英語

インド・ヨーロッパ語族のアングロ・フリジア語群に属し、イギリス・イングランド地方を発祥とする言語

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英語(えいご)は、世界の広い地域で話されている言語の一つで、インド・ヨーロッパ語族ゲルマン語派に属するイングランドを発祥とする言語である。英語の「英」とは、Englishという単語のポルトガル語訳inglêsの漢訳「英吉利」の略である。他にInglaterraの漢訳とする説もある。英語という語はイングランド語あるいはイギリス語の略だが、フランス語ドイツ語など他のヨーロッパ発祥の言語と違い、日本ではこの言語のみ略称が一般的に通用している。

英語
English
[ˈɪŋɡlɪʃ]
話される国 イギリスアメリカカナダオーストラリアなど
地域 主として西ヨーロッパ北アメリカオーストラリア
話者数 第一言語:約3億4000万人
第二言語:約6億
話者数の順位 2
言語系統
公的地位
公用語 下記参照
統制機関 なし
言語コード
ISO 639-1 en
ISO 639-2 eng
ISO 639-3
SIL ENG
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現在、連合王国全体としての国家語は英語であるが、連合王国に含まれるウェールズスコットランドでは英語以外の言語話者もいる。イギリス人なら誰もが普段から英語を話していると誤解しないよう注意が必要である。

20世紀中盤まで、イギリスが多くの植民地を抱えていたことが、英語話者数の増加の要因となった(大英帝国を参照せよ)。イギリスの採った植民地政策は間接統治であった。つまり、エリート層をイギリス本国で教育を受けさせ、それぞれの植民地へ送り返した。上層階級であるエリート層はみな英語で教育を受けたため、植民地行政では英語が支配的となり、独立後もこの状態が続く。かくして、旧イギリス領(現在その多くはイギリス連邦に加盟している)では英語が公的に(政治経済・教育で)使われるようになった。

第二次世界大戦後、アメリカの台頭とともに、英語は他の言語に対して用途が広がっていく。ビジネス自然科学工学分野など学術芸術分野の中心が西欧からアメリカに移り、英語が当然共通語として用いられるため、それらに関与する人々にとって英語 (English for Specific/Special Purposes; ESP) は必要不可欠になっている(アメリカ帝国も参照せよ)。

文字

英語は通常ラテン文字によって記述され、以下の26文字全てを用いる。

A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T U V W X Y Z
a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z

ヨーロッパの他の多くの言語と異なり、ダイアクリティカルマークはほとんど用いない。

英語においては多くの文字が複数の発音を持っており、綴りと実際の発音の食い違いも大きい。

発音

詳細は英語学を参照

英語の発音は、他のヨーロッパの言語と比べると一貫性のある発音規則がない。これは主に中英語時代である15世紀初頭に始まり、近代英語初期である17世紀初頭に終わった大母音推移という現象にも関わらず、綴りには基本的に変更が加えられなかったことに起因する。それ以前はnameはナーメと、timeはティーメと綴り通り発音されていたが、ネイムやタイムという発音に変化したにも関わらず、neimやtaimなどと綴りが変更されることはなかったため、現在まで英語学習者を悩ませている綴りと発音の不一致が起きている。以下に発音規則を示すが、例外も多い。

母音

A: 強勢があるときには/æ/。ただ、その後に子音+eとなる場合は/eɪ/と二重母音化する。 例: fat /fæt/, make /meɪk/

強勢がない場合は曖昧母音。 例: adamant /ædəmənt/

ai: /eɪ/ 例: mail /meɪl/

al: /ɔː/ また、ロマンス系単語の形容詞系としてのalは/əl/ 例: all /ɔːl/, talk /tɔːk/, national /ˈnæʃnəl/

ar: /aː/(英)、/aːr/(米) 例: car /kaːr/, /kaː/,

au: /ɔː/

文法

この項では英語教育・英語学習者に適する「伝統文法」(規範的)の枠組みを示す。これとはまったく別の記述的英文法は生成文法および英語学を参照せよ。

言語類型論から見て、英語は以下の特徴がある。

  1. インド・ヨーロッパ語族の特徴である名詞のがほぼ消滅しており、格変化は代名詞に残るのみである。このため語順SVOで固定している。
  2. インド・ヨーロッパ語族の中では、動詞の変化が単純化している。しかし不規則動詞の数は比較的多い。規則動詞の変化形は過去形過去分詞の-ed、現在分詞動名詞の-ing、三人称単数現在形の-(e)sのみである。不規則動詞(古英語における強変化動詞の一部)では現在形過去形過去分詞語幹変化が見られる。
  3. 複雑な時間表現がある。下記の時制の章を参照。
  4. 否定文、疑問文で無内容の助動詞doを用いる。これは英語にしか見られない特徴である。
  5. 主語の働きが強く、形式主語や物を主語にする文などが発達している。
  6. 二人称で数および親疎の区別をせず、youのみを使う。

代名詞

  • 人称代名詞の格変化
    二人称単数 thou は現在では用いられない。You はもともとは thou の複数形である。
一人称 二人称 三人称
単数 複数 (単数) 複数 単数 複数
男性 女性 多くの無生物
主格 I we thou you he she it they
所有格 my our thy your his her its their
目的格 me us thee you him her it them
所有代名詞 mine ours thine yours his hers its theirs
人称疑問詞(personal interrogative)・関係代名詞(relative pronoun)whoは、単数複数関係なく主格 who / 所有格 whose / 目的格whom (who) の格変化をするのみである。(非人称疑問詞what/whichは所有格whoseの変化のみ)。

名詞

名詞の格、性による変化は消失したが、可算名詞(countable noun)は、複数を表す語尾として"-s"を付する(例:books「本」)。語が無声音で終わっていれば発音は[s]、有声音なら[z]となる。もともと語尾が"s"になっている語では、"-es"と付する(例:gases「(ある種の)気体」)。また、"f" /f/ で終わる語の中にも複数語尾が"-es"となる語があり、その場合 /f/ は有声化し[v]となる(例:leaves「葉」)。
なお、古英語時代の強変化名詞の中には、複数変化に伴う語幹の音変化を現代英語でも保っている物があり(例:mouse>mice「ネズミ」)、また単複同型のもの(例:fish「魚」)、弱変化名詞の変化を未だ保っているもの(例:ox>oxen「オスの去勢牛」)など、例外も多くある。
  • 名詞の所有表現
ある名詞が何らかを所有していることを表し、直後に置かれる他の名詞を形容詞的に修飾する場合、単数の場合は語尾に"-'s"、複数の場合は"-'"(アポストロフィのみ)を付する(例: king's mother「王の母」/ kings' mother「王たちの母」)。中英語期まで、所有を表すには属格(genitive)を用いていたが、現代では弱変化名詞属格の活用語尾の名残としてこのような形になって一般化した。
また、前置詞"of"を用いて所有関係を表すこともある(例: the crown of the king 「王の王冠」)。

動詞

一般動詞(ordinary verb)は、法(mood)、(number)、人称(person)による活用をほぼ消失しており、三人称単数現在形で"-(e)s"が付されるだけである。時制(tense)による変化は不規則変化動詞においては現在形、過去形、過去分詞形でそれぞれ変化するが(例:rise/rose/risen「昇る」)、規則変化動詞では過去形、過去分詞形に"-ed"語尾が付されるのみとなる(例:walk/walked/walked「歩く」)。また、動名詞(gerund)・現在分詞(present participle)においては全ての動詞において原形(bare form)に"-ing"語尾を付すれば良い。

英語の直説法仮定法命令法条件法が存在する。 直説法(indicative)では、一般動詞においては過去形、過去分詞形、現在分詞形、動名詞、三人称単数現在形以外では目に見える形で活用せず、実質原形を用いる。 仮定法(subjunctive)は、中英語期以前までは、現在・過去のいずれの時制でも現れ、それぞれ固有の語形変化をもっていたが、現代では仮定法自体やや特殊な用法となっている。"if"などを用いた条件(conditional clause)内においては一般動詞を過去形に、be動詞の場合は"were"にすることによって法を表現し(現在では主語が"you"以外の単数の場合"was"が用いられることもある)、条件節以外では助動詞の過去形(例:would, could, might, should)を用いることによって表現する。仮定法本来の動詞変化が消失したためにこのような形で表現するのであるが、そのせいで動詞の語形変化で表される時制と、仮定法によって叙述される時制にズレが生じる。

例: If I were a bird, I could fly into the sky.「もし私が鳥ならば、空に向かって飛んでいくのだが。」

これを「仮定法過去」といい、叙述されているのは現在の状態・動作である。 仮定法によって過去の状態・動作を叙述するには、次のような構造を用いる。

例: If I had been a bird, I could have flown into the sky.「もし私が鳥だったならば、空に向かって飛んでいったのだが。」

条件節内を「助動詞haveの過去形"had"+過去分詞」とし、主節(main clause)内を「助動詞過去形+助動詞have+過去分詞」とする。これを「仮定法過去完了」という。 なお、主節の動詞が話者の意思を表す動詞(intentional verb)の場合、従属節(subordinate clause)内の動詞が人称・時制にかかわらず原形になる場合があり、これを「仮定法現在」という。叙述されている時制は主節内の動詞の時制となる。これはアメリカ英語に多く見られる用法であり、イギリス英語では従属節内の動詞の前に"should"をおく。

例: He insisted that she be innocent.「彼は、彼女が無罪であると主張した。」

命令法(imperative)は、動詞を原形で(sentence)の最初に置くことによって表現する。命令法以外では文頭に動詞の原形が置かれることはほとんど無い。

例: Be quiet.「静かにしなさい。」

時制

英語の基本的な時制は、非過去(nonpast)と過去(past)の二つである。これはゲルマン語系言語に共通する特徴である。過去形は不規則変化動詞においては語幹変化で、規則変化動詞においては"-ed"語尾を付して表現する。本来、英語には未来時制がないので、未来のことを表現するときは法の助動詞"will", "shall"を用いて表現したり、"be going to"という慣用表現を用いたりする。直近の予定は現在進行形で表現することもある。

英語の時制、法、相、態は以下のように結びつく。

時制 動詞
完了相 進行相
-Ø (非過去)
-ed (過去)
Ø (通常)
will (未来)
Ø (通常)
have -en (完了)
Ø (通常)
be -ing (進行)
Ø (能動)
be -en (受動)
do

時制、法 (will)、完了、進行が各2通りあるので、実質的な時間表現は16通りある。不定詞では相および態しか使えない。本来の時制の他、will による未来表現も時制に入れることがある。この場合、現在 (-Ø)、過去 (-ed)、未来 (will)、過去未来 (would) と呼ばれる。

英語の(aspect)は、完了相(perfect -)と進行相(progressive -)が存在する。

完了相は、「助動詞"have"+過去分詞形動詞」によって表される。助動詞haveを過去形"had"にすることにより、完了相の時制を表現することが可能である。

現在完了形の例: She has gone to India.「彼女はインドへ行ってしまった。」
過去完了形の例: He said that she had gone to India.「彼は、彼女がインドに行ってしまったのだと言った。」

過去完了を用いることにより、間接話法中において、時制の差異を表現することができる。これを「大過去」ともいう。

進行相は、「助動詞"be"+現在分詞形動詞」によって表される。ただし、動作を表す動詞しか用いることはできない。また、助動詞beを過去形"was", "were"にすることにより、進行相の時制を表現することが可能である。

現在進行形の例: She is playing tennis.「彼女はテニスをしている。」
過去進行形の例: She was playing tennis.「彼女はテニスをしていた。」

英語の能動態(active voice)と受動態(passive -)があり、能動態においては動詞によって表される状態・動作は主語によるものであるが、受動態を用いることによって、主語が何らかの動作を「されている」ことを表現できる。受動態は、「助動詞"be"+過去分詞」で表現され、その場合の真の動作主は"by"で導かれる前置詞(prepositional phrase)によって表される。ただし、他動詞(transitive verb)に限定され、能動態において目的語を取らない自動詞(intransitive -)(例:"stand"「立つ」)は受動態にできない。また、助動詞beを過去形"was", "were"にすることにより、受動態の時制を表現することが可能である。

能動態の例: He builds a kennel.「彼は犬小屋を造る。」
受動態の例: A kennel is built (by him). 「犬小屋は彼に造られる。」

なお、これらの法・時制・相を組み合わせて複雑な時間軸・動作の表現をすることも論理上可能になる。

例: He would say that the building had been being built.

(wouldは仮定法、had beenが過去完了形、been beingが進行形、being builtが受動態)

be動詞の活用

be動詞の原形はもちろんbeである。仮定法過去においては人称に関係なくwereとなる(主語がyou以外の単数の場合はwasが使われることもある)。過去分詞形はbeen、現在分詞、動名詞はbeingである。

直説法 一人称 二人称 三人称
単数 複数 単数 複数
現在形 am are are is are
過去形 was were were was were

助動詞(auxiliary verb)は、動詞に意味の広がりや限定を付与する。

助動詞には直後に原形不定詞を置くものとto不定詞を置くものがある。中でも、可能・義務・予定など、話者の意思が助動詞に表れる場合、法助動詞(modal auxiliary)と呼ばれ、助動詞の中でも使用の頻度が高い。
法助動詞の例: can, will, shall, may, have (to), need
古英語・中英語期に、一般動詞として使用されてきたものが転じて助動詞となったものがある(例:can<cunnan「~できる」)。この理由により、これらの法助動詞は過去形を持ち、本動詞の代わりに語形変化をして過去時制を表すことが出来る。
例: Once I could swim very well.「私はかつて、上手く泳ぐことが出来た。」
英語には元来、未来時制は存在しないが、"will", "shall"を用いることによって未来を表現することが可能である。
分詞を後置する助動詞で代表的なものに"have"、"be"があり、各々過去分詞・現在分詞と結びついて完了相・進行相を形成する。この場合、"have"/"be"は主語の人称・数・時制に対応して一般動詞の場合と同様の語形変化をする。
肯定文(平叙文)において原形不定詞を置くものと分詞を置くものに関しては、助動詞を主語の直前に置き、語順を「助動詞-主語-本動詞」とすることにより疑問文を形成する。また、助動詞の直後に副詞"not"を置くことにより否定文を形成する。肯定文において助動詞を用いていない場合は、"do"を用いて疑問文・否定文を形成する。その場合の"do"は主語の人称・数・時制に対応して一般動詞の場合と同様の語形変化をする。ただし、本動詞がbe動詞であった場合は"do"を用いない。
例: *Do you be a student? > Are you a student?
助動詞と代名詞からなる2語の疑問文を平叙文、または命令文の最後に付加し、付加疑問文を形成する。付加疑問文では、文中の動詞と同一の時制、相をとる。
    • He will study English,won't he?
    • He is studying English,isn't he?

のような文となる。

その他の品詞

形容詞(adjective)は、古英語期まで修飾する名詞の数・性・格によって変化していたが、現在では消失した。語形変化としては、比較級(comparative class)の"-er"および最上級(superlative -)の"-est" 接辞がある。3音節以上の語では級変化せず、直前に副詞more/the mostを置く。一部の形容詞には語幹変化するものもある(例:many/much>more>most, little/less/least)。
元来独立して副詞(adverb)として存在してきたものに加え、古英語時代の接尾辞 "-lice" の流れを受け、形容詞に "-ly" を付けた物が多い。
定冠詞(definite article)"the"と不定冠詞(indefinite -)"a/an"が存在する。これもすべての格変化を消失している。
前置詞(preposition)は、英語においては特に発達している。理由としては、中英語期まで名詞は主格(nominative)の他に属格、与格(dative)、対格(accusative)の格変化を持っており、語形変化によって他の語との意味的な関係を表していた。しかし現代英語に至って格が消失した結果、それを補うために前置詞が大きな役割を果たしている。
接続詞(conjunction)には、等位接続詞(coordinate -)と従属接続詞(subordinate -)がある。接続詞#英語の接続詞に詳しいので、そちらを参照されたい。
関係詞(relative)には、関係代名詞、関係副詞、関係形容詞がある。関係詞#英語に詳しいので、そちらを参照されたい。

基本文型

日本の英語教育では、C・T・オニオンズ (C.T. Onions) の提唱した5文型という考え方が英語の基本文型として広く使われている。(実際には、5つの文型ではうまく説明できないも存在するとし、5文型を強調しすぎることが却って学習の妨げになる、という主張も珍しくない。とはいうものの、下記の文型が主要かつ重要なものであることに変わりはない。)5文型という考え方は日本以外の国ではあまり一般的ではない。主語はS、動詞はV、目的語はO、補語はC、修飾語はMで表すことが多い。

通常、進行形の文は第2文型とは見なさず、動詞部分を原形や三単現の形にして文型を考える。また完了形も同様である。また受動態の文も第2文型とは見なさず(他の5文型にも含めない)、能動態にしたときの文型をもとに、それぞれ第3文型の受動態、第4文型の受動態、第5文型の受動態と考える場合が多い。群動詞を含む文は群動詞全体を1つの動詞と考えることが多い。

ランドルフ・クァーク (Randolph Quirk) は付加語A (adverbial) を加えた考え方を提唱している。付加語 A は修飾語 M とは異なり省略することができない。この考えでは従来の5文型にSVAとSVOAという文型が加わる。また第2文型のうちVがbe動詞の場合を特別に扱う考えもある(つまりS be C)。またA・S・ホーンビー (A.S. Hornby) は第3文型、第4文型、第5文型のOやCが不定詞や分詞や動名詞やthat節の場合などで細かく分類した文型を提唱している。

  • 第1文型 S + V
これは修飾語 M を除いたとき、主語 Sと述語動詞Vだけで文章が完結している文型である。このときそのVを完全自動詞という。

第1文型に用いられる動詞にはbe, come, goなどがある。

  • 第2文型 S + V + C
これは修飾語Mを除いたとき、主語Sと述語動詞Vと主語を説明する補語Cで文章が成り立っている文型である。このときそのVを不完全自動詞という。このとき主語S⊆補語Cという関係が成立している。

第2文型における文の例:He is a teacher. (彼は先生です。)となり、これが最も基本的な核となる部分であり、もしこれが例として「彼は英語の先生です。」としたいならば、 "He is a teacher of English." というように継ぎ足せばよい。 第2文型に用いられる動詞には次のものがある。 状態の維持を表すbe, remainなど。 状態の変化を表すbecome, get, come, goなど。 感覚を表すseem, feel, look, hear, smell, tasteなど。

  • 第3文型 S + V + O
これは修飾語Mを除いたとき、主語Sと述語動詞Vと動作の対象となる目的語Oで文章が成り立っている文型である。このときそのVを完全他動詞という。

第3文型における最も有名で分かり易い文としては I love you. (私はあなたを愛しています。)が挙げられる。

  • 第4文型 S + V + IO + DO
これは修飾語Mを除いたとき、主語Sと述語動詞Vと動作を受ける人間接目的語IOとその動作を受ける人に対して動くもの直接目的語DOで文章が成り立っている文型である。このときそのVを授与動詞という。

間接目的語IOと直接目的語DOの位置を入れ替えると、前置詞が加わってS + V + DO + 前置詞 + IOという形になる。このときの前置詞はtoかforの場合がほとんどである(toの場合のほうが多い)。 第4文型に用いられる動詞には次のものがある。 toが加わるgive, hand, pass, offer, allow; sell, lend, owe; show, teach, tell, promise, readなど。 forが加わるbuy, make, get, do, find, cook, play, chooseなど。

  • 第5文型 S + V + O + C
これは修飾語Mを除いたとき、主語Sと述語動詞Vと動作の対象となる目的語Oと目的語を説明する補語Cで文章が成り立っている文型である。このときそのVを不完全他動詞という。

第5文型における例文としては、 I think him a suspect. (私は彼を容疑者だと考えている、みなしている。)となる。このとき目的語O⊆補語Cという関係が成立している。第5文型における、この関係をイェスペルセンが考えた用語でネクサスという。 また、第5文型は基本文型とされているが、元の文における目的語Oを主語Sとし、補語Cを補語Cとするような文を含む実質上の複文の構造であるとも考えられることから、基本文型としては扱わないほうが実際的だという考えもある。 第5文型に用いられる動詞には次のものがある。 知覚動詞のfeel, see, hear, watch, observe, notice, smell, perceive, tasteなど。 使役動詞のmake, have, let; get, allow, permit, cause, force, compel, oblige など。

英語が国語・共通語・公用語になっている国・地域

注)

  1. ここで言う共通語とはその国のほとんどの人が話すことができる言語であって、必ずしも日常的に話しているとは限らない。
  2. (米)は、「アメリカ方言が主流」、もしくは「アメリカ方言の影響が強い」の意。

情報源:

国ごとに固有の英語系・フランス語系のクレオール語が話されている。

大西洋地域

 
国別の英語話者人口 2/3をアメリカ合衆国一国が占める

英語人口

英語を第一言語としている人の数は3億4千万人程度にすぎず、言語人口第1位の北方中国語(約9億人)には遠く及ばない。しかし英米による覇権により、英語が最有力の言語となり、第二言語 (English as a Second Language; ESL) として用いる人口は約6億人に上る。外国語 (English as a Foreign Language; EFL) として英語を学習・使用する人も多い。そのため、世界各国でイギリス方言・アメリカ方言などの英語の枠組みを超えた「新英語」が出現するようになった。

イギリスの英語事情

イギリス英語も参照

イギリスには、「容認発音(Received Pronunciation/RP、BBC English、Queen's Englishなど様々な呼称がある)」という伝統的な標準発音を用いた標準英語があったが、最近では「河口域英語 (Estuary English)」が新しい標準語として登場した。

英語以外に先住民族であるケルト民族の言語(ウェールズ語ゲール語など)が話されている。イングランドによる同化政策を経てケルト諸語話者は激減したが、現在はウェールズ語等の復興策もとられている。

アメリカの英語事情

アメリカ英語も参照

アメリカ合衆国イギリスと同様に、国家の公用語に関する法的な文章が存在しない。初期の頃は西ヨーロッパ系(特にゲルマン系)の移民が多く、英語優位の状況が確保されていたが、次第に東欧南欧系が増え、さらにアジア中南米ヒスパニック問題を参照せよ)からの移民が大量に押し寄せてくると、英語の地位が揺るぎかねないといった風潮が英語話者(アングロ・サクソン系)の間で生まれてくる(イングリッシュ・オンリー運動)。

いずれにしても英語が国家言語国語)として通用しているのは事実で、教育の分野においては「バイリンガル教育かモノリンガル教育か」といった趣旨の問題がたびたび持ち出される。英語ができないと社会的な差別や不平等が起きるなどの悲劇が移民してくる人たちやアメリカ州の先住民族の障害にもなっており、大きな社会問題になっている(Top Non-English Languages Spoken in the United Statesも参照せよ。)。

英語に関する資格試験

英語検定を参照

日本における英語

日本における英語は日常生活に必要不可欠なものとはなっていない。あくまでも科学技術や諸制度の吸収のための手段や通商の道具(商業英語)という位置付けである。TOEICで一定以上の得点が出せないと重要なポストに就けない企業があるものの例外的な存在である。

高校・大学受験、各種学校の必修・選択単位取得においては、英語を読解する能力が重視される。ただし、せっかくの読解能力も日本語での出版活動が盛んであること、多くの洋書が日本語へ翻訳されることから日常生活ではあまり役立たない。

一方、英語を「話す」、「聞く」能力を特殊技能と見なす傾向が、日本には認められる。これは、日本ではイギリスの植民地であった国々とは違って、大学の講義が英語ではなく母語(日本語)で行われていること、英語を母語とする外国人が1%も国内に居住していないなどの複合的な要素によって、日本国内では英語を話す、聞く必要性に乏しいためである。

参考

和文通話表で、「」を送る際に「英語のエ」という。

関連項目

参考文献

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外部リンク