白昼の悪魔

アガサ・クリスティの小説

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白昼の悪魔』(はくちゅうのあくま、原題:Evil under the Sun)は、イギリスの小説家アガサ・クリスティ1941年に発表した長編推理小説である。

白昼の悪魔
Evil Under the Sun
著者 アガサ・クリスティー
訳者 鳴海四郎
発行日 イギリスの旗1941年6月
日本の旗1986年4月30日
発行元 イギリスの旗Collins Crime Club
日本の旗早川書房
ジャンル 推理小説
イギリスの旗 イギリス
前作 愛国殺人
次作 NかMか
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あらすじ

スマグラーズ島の浜辺で、周囲の異性に魅力を振り撒き、避暑地を満喫していた元女優アリーナ・マーシャルが殺害される。「白昼にも悪魔はいる」というエルキュール・ポアロの言葉どおり、不穏な空気が流れる中、ホテルの客の1人と不倫していた彼女に殺害の動機を持つ容疑者が浮かび上がるが、完璧なアリバイに捜査は難航する。

登場人物

  • エルキュール・ポアロ - 私立探偵。
  • オーデル・C・ガードナー - ホテルの宿泊客。アメリカ人。
  • ガードナー夫人 - ホテルの宿泊客。おしゃべりなオーデルの妻。
  • バリー少佐 - ホテルの宿泊客。
  • スチーブン・レーン - ホテルの宿泊客。元牧師。
  • エミリー・ブルースター - ホテルの宿泊客。スポーツウーマン。アリーナに損害を負わされた過去が。
  • ロザモンド・ダーンリー - ホテルの宿泊客。ドレスメーカー。ケネスに気がある。
  • ケネス・マーシャル - ホテルの宿泊客。実業家。
  • アリーナ・マーシャル - ホテルの宿泊客。美貌の元女優。事件の被害者。
  • リンダ・マーシャル - ホテルの宿泊客。マーシャル夫妻の娘。継母であるアリーナを疎ましく思う。
  • パトリック・レッドファン - ホテルの宿泊客。アリーナと不倫関係にある。
  • クリスチン・レッドファン - ホテルの宿泊客。元教師。夫の不倫に気付き、アリーナを恨む。
  • ホレス・ブラット - ホテルの宿泊客。ヨットが趣味。
  • ミセス・カースル - ホテルの女主人
  • コルゲート - 州警察警部
  • ウェストン警視正 - 州警察本部長

日本語訳

本作品は早川書房の日本語翻訳権独占作品である。

日本語初訳は堀田善衛訳『白晝の悪魔』が早川書房の傑作探偵小説シリーズから刊行された。同訳は現行の題名と同様の表記でハヤカワ・ポケット・ミステリにも収録された。その後、講談社がクリスチー探偵小説集の一点に『太陽は見ていた』の題名で予定したものの、早川書房が翻訳権を持っていたため中止となった。1976年の鳴海四郎による新訳はハヤカワ・ノヴェルズ、ハヤカワ・ミステリ文庫を経てクリスティー文庫に至る。

題名 出版社 文庫名 訳者 巻末 カバーデザイン 初版年月日 ページ数 ISBN 備考
白昼の悪魔 早川書房 ハヤカワ・ミステリ文庫1-82 鳴海四郎 真鍋博 1986年4月30日 313 4-15-070082-6 絶版
白昼の悪魔 早川書房 クリスティー文庫20 鳴海四郎 解説 若竹七海 Hayakawa Design 389 4-15-130020-1

作品の評価

  • 江戸川乱歩は本書を作者ベスト8の1つに挙げている。
  • 1982年に行われた日本クリスティ・ファンクラブ員の投票による作者ベストテンでは、本書は10位に挙げられている[1]

メディア

映画

1982年公開。邦題は『地中海殺人事件』。『ナイル殺人事件』に続き、ピーター・ユスチノフがポアロを演じた。舞台はアドリア海の隔絶したリゾート地に変更された(撮影はスペインマジョルカ島で行われた)。

テレビドラマ

2001年デビッド・スーシェ主演のドラマ『名探偵ポワロ』にて映像化されている。ガードナー夫妻が登場しない、マーシャル夫妻の娘リンダが「息子、ライオネル」になっている、ヘイスティングズ、ミス・レモン、ジャップ警部らが重要な役回りを演じる、など原作との相違が見られる。

ゲーム

2007年The Adventure CompanyによりPC向けアドベンチャーゲームとしてリリースされた。ポアロを声優のケヴィン・ディレーニーが演じた。

脚注

  1. ^ 乱歩が選ぶ黄金時代ミステリーBEST10(6)『アクロイド殺害事件』(集英社文庫、1998年)巻末解説参照。