デスラー砲

宇宙戦艦ヤマトシリーズの登場兵器

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デスラー砲(デスラーほう)は、『宇宙戦艦ヤマトシリーズ』に登場する架空の兵器。ガミラスの総統デスラーの名を冠する艦艇に搭載されている艦載兵器[1]

本項ではその強化版であるハイパーデスラー砲と、デスラー砲を利用したデスラー砲艦についても、併せて解説する。

デスラー砲

イスカンダルと同様の技術体系を持つガミラス帝国の艦隊決戦兵器。デスラー自身による言及は無い[2]が、真田はデスラー砲を「敵の波動砲」と呼んでおり(発射音も同一)、原理的には同等の兵器と思われる。波動砲の発射装置は拳銃を模しているが、デスラー砲のそれは機銃型でスクリーンへ直接狙いを付ける。また、『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』企画時点のプロットでは反陽子ビーム砲との設定があった[3]が、これは没設定となっている。

任意のエネルギー充填率で発射でき、ワープとの連続使用や連続発射も可能である[4]

光弾色は概ね中心部が白で周辺部がピンク。空洞惑星時では中心部が黄色、周辺部がピンク。デスラー砲艦の光弾色は中心部がピンク、周辺部が赤色。『宇宙戦艦ヤマト 完結編』では中心部が白、周辺部が黄色になっている。

宇宙戦艦ヤマトIII』に登場するガルマン・ガミラス帝国のデスラー砲艦にも装備されており、連続発射を行った。

劇中での描写

宇宙戦艦ヤマト
第26話にて、初代デスラー艦から二度にわたってヤマトに向けて発射されるが、1発目は偶然ヤマトがワープしたためにかわされ、デスラーの怒りと必殺の念をこめた2発目も空間磁力メッキにはね返されて自滅する。
さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち
テレザートから帰還せんとするヤマトを白色彗星帝国から貸与された駆逐艦4隻で包囲し、それらもろともデスラー砲で葬ろうとしたが、ヤマトは小ワープで逃れ、デスラー艦に接舷して白兵戦となる。
宇宙戦艦ヤマト2
第12話にて、空洞惑星の磁力線封鎖装置でヤマトを脱出不能にし、デスラー砲でとどめを刺さんとしたそのとき、監視艦隊司令ミルサーベラー長官の策略により、ヤマト攻撃を一時中断させられてしまう。その間にヤマト内部では波動砲発射時の反動を吸収する重力アンカーをオフにすることで、空洞惑星から逃れることが立案される。再び発射体勢に入ったデスラー砲が発射されたのと、ヤマトが波動砲発射の反動で空洞惑星から逃れたのはほぼ同時であった。
第23話にて、要塞都市に攻撃を仕掛けんとするヤマトをガミラス残存艦隊が瞬間物質移送器で急襲する。急降下爆撃機や雷撃機の攻撃、さらには磁力機雷による包囲までされてしまい、完全に動けなくなったヤマトをデスラー砲が狙う。しかし、ヤマトは小ワープでデスラー艦に接舷して白兵戦に持ち込む作戦に出たため、間一髪での小ワープ後に艦尾へ激突したヤマトにデスラー艦の内部への攻撃を仕掛けられる。他の艦艇は旗艦を人質に取られた格好になり、手出しができなくなってしまった。
宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち
デスラー戦闘空母から暗黒星団帝国自動惑星ゴルバに向けて発射されたが、ゴルバの装甲には通用しなかった。デスラー砲と同原理であるヤマトの波動砲も同様に通用しないと推測され、この戦訓が後に実体弾によって貫通後に波動エネルギーによって内部から破壊する、波動カートリッジ弾が開発されるきっかけとなった。
宇宙戦艦ヤマトIII
第25話にて、太陽系空域でデスラー親衛艦隊のデスラー砲艦部隊がボラー連邦艦隊と機動要塞ゼスパーゼへ斉射する。ボラー艦隊の大半を撃沈するが、ゼスパーゼには効かなかった。
宇宙戦艦ヤマト 完結編
二代目デスラー艦で登場し、ディンギル帝国ルガール大神官・大総統の旗艦「プレ・ノア」を一撃で撃沈しているが、デスラーは無言で発射したため、デスラー砲かハイパーデスラー砲かは不明である(シナリオ最終案ではデスラー砲とされている)。今までヤマトに向けて幾度となく撃たれてきたデスラー砲が、最後にヤマトを救うために撃たれるという皮肉な形となった。
宇宙戦艦ヤマト2199
本作では「ゲシュ=ダールバム」という正式名称が設定されている。旧作同様、原理はヤマトの波動砲と同じ。
空間機動要塞都市「第二バレラス」に装備されており、デウスーラII世を射撃中枢としている。都市と接続した状態の時は巨大な都市の姿勢制御の都合上、亜光速で移動する目標に命中させることは困難であり、その際はデウスーラII世を都市から分離させ、独立艦として運用することで精密射撃を行う。なお、砲のエネルギー源は都市と接続している時は都市の次元波動機関からだが、分離した後はデウスーラII世の次元波動機関からに切り替わる。
第8話では、ヤマトの波動砲がガミラスの兵器開発局において開発中の兵器に似ていることが指摘され、存在を示唆された。
第22話のラストに登場し、第二バレラスからヤマトへ発射されたが、わずかに弾道がそれたためにサレザー恒星系第5惑星エピドラへ命中し、惑星を崩壊させた。射程と威力においては勝っている描写があるが、初弾発射直後に故障が発生している。スターシャはそれを一目見て波動エネルギー兵器だと理解したようで、即座にデスラーへその使用について抗議している。
第23話では、帝都バレラスへ落下させようとした第二バレラス633工区をヤマトの波動砲で破壊されたことから、デスラーはヤマトとバレラスをまとめて破壊しようとデスラー砲の発射を図ったものの、森雪とノラン・オシェットの破壊工作によって第二バレラスの次元波動機関は自爆する。デウスーラII世は間一髪でゲシュタムジャンプ(ワープ)を行い、脱出した。
第25話では、亜空間回廊内でのデウスーラII世によるヤマト追撃戦でガミロイド兵と通常のビーム砲での攻撃が相次いで失敗したことから、デスラー砲での撃沈をまたも企てる。ヴェルテ・タランが亜空間回廊内でのデスラー砲使用が危険であることを説いて制止しようとするもデスラーは聞き入れずヤマトに照準を固定するが、発射直前にヤマトから撃ち込まれた三式融合弾によって艦が中破し、その状態でデスラー砲を発射したために最後は波動エネルギーが暴発し、艦は爆沈した。

デスラー砲艦

『ヤマトIII』に登場。新型(3代目)デスラー艦の途中の設定であったが、瞬間物質移送器を取り外した形で「デスラー砲艦」として「復活」した。

デスラーの親衛艦隊の主力である。太陽系内で、ベムラーゼ首相率いる機動要塞とボラー艦隊との戦いに登場した。

全長234m。艦首のデスラー砲1門の他、前部に2基、後部に1基、左右デッキ上に各1基の計5基の回転速射砲塔を装備する、中型戦闘艦並の戦闘能力を持つ強力な中型艦である。艦体色はガミラス帝国以来伝統の緑色。

ハイパーデスラー砲

デスラー砲の強化版として、『宇宙戦艦ヤマトIII』に登場。デスラー総統の旗艦、3代目デスラー艦の艦首に設けられている。

暗黒星団帝国自動惑星ゴルバと同等の防御力[5]を誇るボラー連邦機動要塞[6]を溶解し、破壊した。ただし動作原理は波動砲そのものであり、一定のエネルギー充填時間を要するのは従来と変わらないので、続けざまにブラックホール砲を発射するボラー連邦機動要塞に対しては反撃の機会を得ることが困難となり、苦戦の末の勝利であった。ゴルサコフ戦や機動要塞戦での劇中描写から、極めて広範囲にわたって誘爆する性質があることや、波動砲のように一瞬で押し流すのではなく着弾空域に高エネルギーを滞留させ、範囲内の敵をことごとく溶融して殲滅することがうかがえる。

発射場面一覧

宇宙戦艦ヤマトIII
第24話ではシャルバート星上空で発射し、ゴルサコフ艦隊を撃破した。第25話では太陽系空域でコスモタイガーII揚羽機)の砲口突入によって攻撃の止まったボラー連邦機動要塞に向けて発射し、撃破した。ちなみにデスラーが発射の際、両手を使ったのは第25話だけである。
宇宙戦艦ヤマト 完結編
本作ではデスラーは二代目デスラー艦で登場し、無言で発射しているため、デスラー砲なのかハイパーデスラー砲なのかは不明である。破壊描写は、命中対象を単純に貫通して破壊するに留まっている。

脚注

  1. ^ 他にデスラーの名前を冠した物としては、デスラー機雷がある。
  2. ^ 松本零士による漫画版では、デスラー自身が波動砲と同じものだと述べている。
  3. ^ アカデミー刊、デラックス版さらば宇宙戦艦ヤマトP222、資料2豊田有恒「続編・SF基本設定」より。
  4. ^ 『宇宙戦艦ヤマト』第26話では、最初の発射時には着弾直前にヤマトがワープ。デスラーもワープで追撃した後、ヤマトへ再発射している。
  5. ^ ゴルバの場合は四次元フィールドないし特殊コーティングであり、装甲が堅牢ということではない。ボラー連邦の機動要塞については、デスラー砲が命中した時点で爆発音があることが作中からうかがえるが、装甲が堅牢なのかゴルバと同じ防御技術なのかは確認できないため、防御力とした。
  6. ^ この要塞の名称については「ゼスパーゼ」や「デスパーデ」等さまざまな説がある。