大日本猟友会

これはこのページの過去の版です。試される大地 (会話 | 投稿記録) による 2017年5月24日 (水) 14:06個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (116.65.176.126 (会話) による ID:64179174 の版を取り消し)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

一般社団法人大日本猟友会(だいにほんりょうゆうかい)は、野生鳥獣の保護、狩猟事故・違反防止対策などの活動、日本国内における狩猟者のための共済事業を行っている法人1929年昭和4年)9月26日に創設され、1939年(昭和14年)8月1日に社団法人として認可され、2012年平成24年)4月1日から一般社団法人に移行した。

一般社団法人大日本猟友会
団体種類 一般社団法人
設立 2012年平成24年)4月1日
所在地 日本の旗 日本
東京都千代田区九段北三丁目2番11号
法人番号 1010005018894 ウィキデータを編集
起源 大日本聯合獵友會、社団法人大日本猟友会
主要人物 佐々木洋平(代表理事会長)
ウェブサイト http://www.moriniikou.jp/
テンプレートを表示

概要

狩猟道徳の向上、野生鳥獣の保護、有害鳥獣駆除及び狩猟の適正化を図り、狩猟の健全な発達と生活環境の改善に資することを目的としている。さらに、狩猟者の減少及び高齢化の問題に対して、狩猟後継者育成及び若年会員取得へ向けた活動も併せて行っている。

大日本猟友会は、3階層の構造になっている。各狩猟者は、一般的に地域(市町村別程度の範囲)にある狩猟愛好者団体(地元猟友会)に所属して会員となる。地元猟友会は、各都道府県ごとの組織として一般社団法人である一般社団法人○○県猟友会の団体会員となり、各都道府県猟友会は一般社団法人大日本猟友会の団体会員になっている。したがって、狩猟者個人は各都道府県猟友会や大日本猟友会の直接の会員ではなく、間接的な構成員となっている。

歴史

大日本猟友会の前身は、1929年(昭和4年)9月26日に発足された大日本聯合獵友會である[1]。この設立の背景には、軍用毛皮を組織的に収集するという目的があったとされる[1]。また、当時は密猟が横行しており、狩猟道徳の向上も目的のひとつであったと考えられている[2]。大日本聯合獵友會が組織される以前には、1910年に設立された帝国在郷軍人會が中心となって各府県ごとに猟友会を結成していた[1]。軍部はウサギなどの捕獲数のノルマを定め、狩猟を統制した[1]。銃弾や火薬は軍部から支給され、大日本聯合獵友會は戦時下の毛皮需要にともない、大きな収入を得ていた[2]。1945年に終戦を迎えると、大日本猟友会は連合軍総司令部の認可を得られないのではという危機感を抱き、政府も狩猟の継続を要請する文書を連合軍総司令部に送った[3]。結局のところ、有害鳥獣駆除と毛皮・肉資源の入手を主目的として狩猟は認められることになった[3]

主な事業

大日本猟友会は、野生鳥獣の保護増殖事業、有害鳥獣捕獲事業、狩猟事故・違反防止対策事業、狩猟共済事業の3つを主な活動目的としている。保護増殖事業、狩猟事故・違反防止対策事業の2つは主として各都道府県猟友会が、狩猟共済事業は主として大日本猟友会が中心となって行っている。

野生鳥獣の保護増殖事業
適正な狩猟文化の育成のため、野生鳥獣の保護増殖事業として、キジ、ヤマドリ類をはじめとする各種鳥類を放鳥している。また、滋賀県甲賀市に設置している鳥獣実験場では、平成3年度以降、放鳥及び増殖用のキジの養殖と、放鳥用ウズラの飼育を行っている。さらに、渡来数の少ないカモ類については狩猟の自主規制を行っている。
個体数が過剰に増加しているニホンジカや人里に出没したツキノワグマヒグマなど、人間や生態系に軋轢を発生させている野生動物の駆除を実施している。
外来種による生態系の破壊、農作物被害などを防ぐために、有害となる鳥獣の捕獲も行っている。ただし、これについては会員によるボランティアである。
鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律に基づき、市町村長より非常勤公務員(消防団消防団員と同じ)である「鳥獣被害対策実施隊員」に任命されて活動する。
狩猟事故・違反防止対策事業
適正な狩猟が行われるように、狩猟事故・違反の根絶を目指して活動を行っている。
主に、毎年の猟期前の射撃練習の実施及び事故・違反防止講習の受講や、目立つ色彩の猟装(帽子ベストを全会員に無償配布)の着用の徹底を図る等である[4]
狩猟共済事業
事故が発生した場合の構成員の生活の安定と福祉を図るため、狩猟共済制度を創設している。
過失により狩猟者構成員が他人の生命又は身体を害した場合、構成員自らの生命又は身体を害した場合には、共済金が給付される仕組みとなっている。なお狩猟を行う際には対人補償3000万円以上の共済もしくは保険への加入か、3000万円以上の預貯金があることの証明を法律で義務づけられている。
猟友会に所属しない狩猟者は、大日本猟友会が行っている共済に入らないため民間保険を利用していたが、2010年頃から各保険会社が個人向けのハンター保険の販売を中止しており、現在では銃猟を実施するには猟友会もしくは狩猟者で構成する団体に所属しなければ狩りを行うのが難しくなっている[1][要出典]。民間のハンター保険ではカバーされない網猟、わな猟に必要な施設所有管理者賠償責任保険は従来どおり個人で契約できる。

脚注

  1. ^ a b c d 『野生動物管理のための狩猟学』p.15
  2. ^ a b 『野生動物管理のための狩猟学』p.16
  3. ^ a b 『野生動物管理のための狩猟学』p.18
  4. ^ 大日本猟友会について 大日本猟友会

参考文献

  • 梶 光一・伊吾田宏正・鈴木正嗣(編著)『野生動物管理のための狩猟学』朝倉書店、2013年1月20日。ISBN 978-4-254-45028-6 

関連項目

外部リンク