三里塚のイカロス
『三里塚のイカロス』(さんりづかのいかろす)は、2017年の日本のドキュメンタリー映画。
三里塚のイカロス THE FALL OF ICARUS: NARITA STORIES | |
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監督 | 代島治彦 |
製作 | 三里塚のイカロス製作委員会 |
音楽 | 大友良英 |
配給 | ムヴィオラ、スコブル工房 |
公開 | 2017年9月9日 |
上映時間 | 138分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語(英語字幕付き) |
前作 | 三里塚に生きる |
概要
三里塚闘争(成田空港問題)を題材としたドキュメンタリー映画。『三里塚に生きる』の続編。イカロスとは『ギリシア神話』に登場する、蝋で固めた翼によって自由自在に飛翔する能力を得るが、太陽に接近し過ぎたことで、翼が溶けて墜落する人物「イーカロス」のことである。
前作では成田空港反対派の地元農民を中心に描かれていたのに対し、今作では革共同・ML派・第四インター等に所属していた、成田空港管制塔占拠事件実行犯を含む新左翼の支援者・活動家・支援妻らを中心に描く。また、「0期生」と呼ばれる新東京国際空港公団が正式な採用を始める前からのたたき上げとして、数多くの地元農民との用地買収交渉を手掛け、後に中核派に自宅を爆破された元空港公団職員へのインタビューも行われる。
本作を制作するため、クラウドファンディングを利用して制作資金を集めた[1]。
2017年(平成29年)9月9日から、東京都渋谷区のシアター・イメージフォーラムで、英語字幕付きで公開された。また、公開記念および小川紳介没後25周年として「小川プロダクション・三里塚とあの時代 1967-1973」も、アテネ・フランセ文化センターと武蔵大学提供の16ミリフィルムで9月17日まで再上映された。その後は『三里塚に生きる』の再上映を実施している。
第18回チョンジュ国際映画祭の招待作品に選ばれた。
なお、主要登場人物の1人である元活動家岸宏一(中核派元代表、2007年(平成19年)に中核派から除名)は、映画撮影後の2017年(平成29年)3月26日に、谷川岳への雪山スキー中に遭難しており、捜索の結果、持ち物のリュックが見つかったが、身体が見つかっていない[2][3]。岸が三里塚闘争の責任者(1981年 - 2006年)だった期間中、中核派は成田空港問題を巡り、10.20成田現地闘争のほか、東鉄工業作業員宿舎放火殺人事件、千葉県収用委員会会長襲撃事件、日本飛行機専務宅放火殺人事件、仲間同士の内ゲバなどのテロリズムを起こしたが[3]、劇中の岩屋鉄塔のシーンでは「あれは間違っていた。過ちだった」と、生前に三里塚闘争の失敗を認め、事実上最期の遺言となり、活動を総括している。
また、中核派[4]は2017年(平成29年)10月9日付の機関紙『前進』で『三里塚のイカロス』について触れ、同作は脱落派の見解・国家権力が描く闘争観であり、(中核派が支援を続けている反対派農家である)市東孝雄が登場することは絶対に不可能な構成になっている、脱落・転向した岸は三里塚に敵対するデタラメな主張を述べ立てている、(別の場所で行われた内ゲバやABCD問題を論い)第四インターは腐敗し国家権力中枢からの攻撃の手先に成り果てていた、(元空港公団職員への爆破テロについて)農民切り崩しの張本人に鉄槌が下されたのは当然の報いだ、等として同作を批判し、「三里塚闘争はこれからだ。労農連帯で市東さんの農地を守り、軍事空港を阻止しよう!」と締めくくっている[5]。
スタッフ
脚注
- ^ “傑作『三里塚に生きる』につづく戦後ニッポン黙示録の第二章、『三里塚のイカロス』製作費をご支援ください。”. 2017年4月30日閲覧。
- ^ “「三里塚のイカロス」完成 成田反対運動その後描く 元現地闘争活動家の「遺言」 /東京”. 毎日新聞. (2017年6月20日) 2017年9月17日閲覧。
- ^ a b 渡辺浩 (2017年6月23日). “【ニュースの深層】 中核派元幹部、雪山で不明3カ月 10年前に除名…「完全打倒」予告されていた”. 産経新聞 2017年9月19日閲覧。
- ^ 三里塚芝山連合空港反対同盟(反対同盟)の北原派の活動を支援している。反対同盟は「北原派」「旧熱田派」「小川派」などに分裂している。
- ^ “映画「三里塚のイカロス」批判 三里塚の歴史と真実ゆがめ虚偽で「闘争の終結」あおる”. 革命的共産主義者同盟全国委員会 (2017年10月9日). 2017年10月13日閲覧。
- ^ “スタッフ”. 2017年9月17日閲覧。