労働時間等の設定の改善に関する特別措置法
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労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(ろうどうじかんとうのせっていのかいぜんにかんするとくべつそちほう、平成4年7月2日法律第90号)は、1992年(平成4年)に制定された日本の法律。
労働時間等の設定の改善に関する特別措置法 | |
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![]() 日本の法令 | |
通称・略称 | 設定改善法、時短促進法 |
法令番号 | 平成4年7月2日法律第90号 |
種類 | 労働法 |
効力 | 現行法 |
成立 | 1992年6月19日 |
公布 | 1992年7月2日 |
施行 | 1992年9月1日 |
所管 | 厚生労働省 |
主な内容 | 労働時間等の設定の改善 |
関連法令 | 労働基準法・労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律 |
条文リンク | e-Gov法令検索 |
構成
- 第一章 総則(第1条-第3条の2)
- 第二章 労働時間等設定改善指針等(第4条-第5条)
- 第三章 労働時間等の設定の改善の実施体制の整備等(第6条-第7条)
- 第四章 労働時間等設定改善実施計画(第8条-第14条)
- 附則
歴史
本法の前身は、1992年(平成4年)に成立した「労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法」という平成13年3月末までの時限立法である。労働者全体の平均値で年間総実労働時間が2,000時間を超えていたことを背景に、閣議決定で年間総実労働時間を1,800時間にまで減らすことを目標に、完全週休二日制の普及促進などの取り組みをするために制定された。のちに年間総実労働時間を1,800時間にまで減らすことはおおむね達成できた[1]が、それは短時間労働者の比率の上昇によるもので、正社員の年間総実労働時間は臨時措置法制定後も2,000時間を超えている状況であること、また労働時間分布の長短二極分化の進展が見られ全労働者の平均で目標を用いることは時宜に合わなくなってきたことがある。そこで当初の期限である平成13年3月末にさらに5年間延長し、次の期限である平成18年3月末に現題名に変更して期限の定めのない法律へと変化した。
目的
この法律は、我が国における労働時間等の現状及び動向にかんがみ、労働時間等設定改善指針を策定するとともに、事業主等による労働時間等の設定の改善に向けた自主的な努力を促進するための特別の措置を講ずることにより、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、もって労働者の健康で充実した生活の実現と国民経済の健全な発展に資することを目的とする(第1条)。
国・地方公共団体の責務
国は、労働時間等の設定の改善について、事業主、労働者その他の関係者の自主的な努力を尊重しつつその実情に応じてこれらの者に対し必要な指導、援助等を行うとともに、これらの者その他国民一般の理解を高めるために必要な広報その他の啓発活動を行う等、労働時間等の設定の改善を促進するために必要な施策を総合的かつ効果的に推進するように努めなければならない(第3条1項)。地方公共団体は、1項の国の施策と相まって、広報その他の啓発活動を行う等労働時間等の設定の改善を促進するために必要な施策を推進するように努めなければならない(第3条2項)。
厚生労働大臣は、第2条に定める事項に関し、事業主及びその団体が適切に対処するために必要な指針(「労働時間等設定改善指針」)を定めるものとする(第4条1項)。厚生労働大臣は、労働時間等設定改善指針を定める場合には、あらかじめ、関係行政機関の長と協議し、及び都道府県知事の意見を求めるとともに、労働政策審議会の意見を聴かなければならない(第4条2項)。現在、「労働時間等設定改善指針」(「労働時間等見直しガイドライン」。平成20年3月24日厚生労働省告示第108号)が告示されていて、さらに働き方改革関連法案の成立に伴い平成30年10月30日に同法案に基づく一部改正がなされ平成31年4月より適用される。厚生労働大臣は、労働時間等の設定の改善のための事業主の取組の的確かつ円滑な実施のため必要があると認めるときは、関係団体に対し、労働時間等の設定の改善に関する事項について、必要な要請をすることができる(第5条)。
事業主等の責務
事業主は、その雇用する労働者の労働時間等の設定の改善を図るため、業務の繁閑に応じた労働者の始業及び終業の時刻の設定、年次有給休暇を取得しやすい環境の整備その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない(第2条1項)。事業主は、労働時間等の設定に当たっては、その雇用する労働者のうち、その心身の状況及びその労働時間等に関する実情に照らして、健康の保持に努める必要があると認められる労働者に対して、休暇の付与その他の必要な措置を講ずるように努めるほか、その雇用する労働者のうち、その子の養育又は家族の介護を行う労働者、単身赴任者(転任に伴い生計を一にする配偶者との別居を常況とする労働者その他これに類する労働者をいう。)、自ら職業に関する教育訓練を受ける労働者その他の特に配慮を必要とする労働者について、その事情を考慮してこれを行う等その改善に努めなければならない(第2条2項)。
適用除外
脚注
- ^ 平成14年に年間総実労働時間を1,816時間にまで減った。
外部リンク
- 労働時間等の設定の改善厚生労働省