タイム・アバンチュール 絶頂5秒前

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タイムアバンチュール絶頂5秒前(たいむあばんちゅーる ぜっちょう5びょうまえ)は、滝田洋二郎監督、田中こずえ主演で1986年12月20日に公開された日本映画である。同時上映は「ベッド・イン」。未来にタイムトラベルした女性が現代に戻るために繰り広げる騒動を描いたコメディである。

タイムアバンチュール絶頂5秒前
監督 滝田洋二郎
脚本 高木功
出演者 田中こずえ
杉田かおり
若菜忍
木築沙絵子
野上祐二
荒木太郎
上田耕一
螢雪次朗
音楽 藤野浩一
撮影 志賀葉一
編集 山田眞司
製作会社 にっかつ
配給 にっかつ
公開 日本の旗 1986年12月
上映時間 76分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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あらすじ

OLの田中悦子は、上司の真一に振られたショックから、自分を慰めるためラジオを聴きながらオナニーを行うが、絶頂に達した瞬間大きな雷鳴とともに光に包まれ失神してしまう。目を覚ました悦子は、自分が2001年にタイムスリップしたことを知り、たまたま知り合った探偵の岡野のもとで働きながら、現代に戻る方法を探す。悦子は岡野の家族写真を見て重大な事実に気づく・・・。

概要

獅子プロダクションに所属してにっかつに買い取り作品を供給してきた滝田が、初めてにっかつ制作の作品として監督したロマンポルノの一作である。

主演の田中こずえは、「女豹」に続くロマンポルノ2作目だが、ミステリーの前作とうって変わったコメディで二役を明るく演じている。

相手役となる蛍雪次朗はこのころの滝田映画の常連で、他の作品同様、ここでも探偵役を演じている。

さやか役の若菜忍はこの年の「にっかつ新人女優コンテスト」のグランプリ受賞者で、本作がデビューとなる。

本作は滝田にとって最後の成人指定映画である。(翌年にっかつで公開された「愛しのハーフ・ムーン」は一般映画制限付(R指定)の一般映画。)

登場人物

田中悦子/岡野悦子 田中こずえ

商事会社のOLで、上司の真一に思いを寄せていたが、真一と直子の性行為を見てしまい失恋する。その夜、自宅で2001kHzのラジオを聴きながらオナニーをしたところ、絶頂に達した瞬間タイムスリップしてしまう。 岡野と関係を持った悦子は、岡野の妻の顔が自分と同じだと知り、自分たちが同一人物であることに気づく。 過去から未来に時間を下った際には記憶を維持していたが、タイムマシンで未来から現代に時間を遡った際には未来の記憶を失っていた。 その後、真一と直子の事件を捜査していた岡野と出会い、結婚する。

岡野 蛍雪次朗

私立探偵。妻とうり二つの悦子を匿い、仕事を手伝わせるうちに関係を持つようになる。15年前は刑事で、真一たちの事件で悦子と知り合う。結婚を機に独立し、探偵を始めた。

田島直子 杉田かおり

悦子の同僚。真一と通じており、会社の金庫からボーナスを持ち逃げする。

小宮真一 野上祐二

悦子がひそかに思いを寄せていた課長。会社のボーナスを持ち出し直子と駆け落ちしてしまう。2001年に悦子が再会した時には、金をギャンブルで使い果たしてしまい貧乏な生活をしている。

タケル 荒木太郎

タイムマシンの研究をしている14歳の少年。岡野と悦子の子(厳密には2001年の岡野の子)。悦子のくしゃみを受けてソ連風邪を引いたことから事件の真実にたどり着く。 悦子が現代に戻らないと自分が存在しなくなることから、「ラジオの周波数と人間が絶頂に達したときに持つ固有の周波数がシンクロしたときに時間を超える」というタイムマシンの理論を完成させ、悦子を現代に戻す。

さやか 若菜忍

タケルの恋人。タイムマシンの実験に失敗した後、研究室でタケルといちゃつく。

ヨウイチ(刺青少年/刺青男)

悦子の近所に住んでいる子供で、「桜吹雪」の真ん中にドラ猫のマイケルと「おニャン子命」と書かれた刺青を背中に入れている。2001年には成長していて、子供のころからあこがれていた悦子をナンパしようとする。

刺青男の恋人 木築沙絵子

15年前から大きなリボンを愛用する、ファッションの変わらない少女。

興信所 上田耕一

岡野の妻から浮気調査を依頼されるが、(元々同一人物である)悦子と妻の見分けがつかなかったため、性行為の現場さえ確認しながら「シロ」と報告する。

2001年の出来事

作品の舞台となる2001年は、公開当時の15年後の未来として描かれており、物語に挟まれる描写は当時の社会世相の延長となっている。

例として、都心は第2次関東大震災によって高層ビルが全滅しており、かつての住宅地も人の住まない荒野となっている。これはノストラダムスの大予言等による世紀末終末論を基にしたものである。

日本の総理大臣は西川きよし。アメリカの大統領はクリント・イーストウッド。1986年当時は二人とも政治活動をしていたことによる。

さらに、当時「王選手以来の逸材」と言われた清原和博が800号ホームランを記録している。実際の2001年度終了時の成績は442本、現役23年間の通算本塁打は525本で終わっている。

各家庭にはブラウン管式のテレビ電話が普及している一方、携帯電話パソコンは存在せず、私立探偵の岡野は仕事上の報告書作成にワープロではなくタイプライターを使用している。[1]

なお、物語の鍵となるチェルノブイリ型ソ連風邪はすでに根絶している事となっているが、実際にはそのような疾病は存在しない。これは、チェルノブイリでの病人の増加を、8年前に流行したソ連風邪と結びつけ、その新型と仮想したものである。

劇中で、主人公がタイムスリップ先で拾い上げた新聞の日付が「2001年12月20日(金)」となっているが、実際の同日は木曜日であった。

スタッフ

監督 滝田洋二郎

脚本 高木功

企画 作田貴志

プロデューサー 沖野晴久

撮影 志賀葉一

録音 佐藤富士男

美術 川船夏夫

音楽 藤野浩一

選曲 細井正次

照明 田島武志

編集 山田眞司

助監督 石田和彦

助手 後藤大輔 北川篤也

キャスト

田中こずえ

杉田かおり

若菜忍

木築沙絵子

野上祐二

佐藤恒治

荒木太郎

ジミー土田

渡辺一平

池島ゆたか

上田耕一

蛍雪次朗

外部リンク

  1. ^ 現実の1986年当時はワープロ専用機の黎明期でもあった。