F1世界選手権ポイントシステム

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F1世界選手権ポイントシステムは、FIA F1世界選手権での、各レースごとのポイント獲得ルールおよび選手権順位決定方法を示すものである。

概要

ドライバーズとコンストラクターズ

F1世界選手権には、選手部門のワールド・ドライバーズ・チャンピオンシップと、車輌製造者部門のワールド・コンストラクターズ・チャンピオンシップの2タイトルが懸けられている。各レース上位入賞者に順位ごとのポイントが付与され、年間獲得ポイント最上位者がワールドチャンピオンと認定される。

ドライバーズ選手権のポイントは選手個人に付与されるものであり、シーズン中に所属チーム(車輌)を変えてもポイントはリセットされない。

コンストラクターズ選手権の対象となるのは、厳密には「シャーシ製造者(コンストラクター)+エンジン製造者」である。同一コンストラクターでもシーズン中にエンジンメーカーを変更すると、選手権では別扱いとなる[1]

量販マシンの参戦が認められていた1970年代まで、コンストラクターズ選手権上ではワークスチームとプライベーターの区別はなく[2]、各レースで最上位に入賞した者の成績に対してポイントが付与された。1980年代以降はチームがコンストラクターとして参戦することが義務付けられ、プライベーターの存在は消滅した。以後、コンストラクターズポイントは各チーム(コンストラクター)最大2名までの成績が対象となっている。

入賞範囲と得点

  • 1950年〜1959年 - 1位5位までが入賞。ポイントは8-6-4-3-2点。
  • 1960年 - 1位から6位までが入賞。ポイントは8-6-4-3-2-1点。
  • 1961年 - 1位から6位までが入賞。ポイントはドライバーズが9-6-4-3-2-1点、コンストラクターズが8-6-4-3-2-1点[3]
  • 1962年〜1990年 - 1位から6位までが入賞。ポイントは9-6-4-3-2-1点。
  • 1991年〜2002年 - 1位から6位までが入賞。ポイントは10-6-4-3-2-1点。
  • 2003年〜2009年 - 1位から8位までが入賞。ポイントは10-8-6-5-4-3-2-1点。
  • 2010年〜2013年 - 1位から10位までが入賞。ポイントは25-18-15-12-10-8-6-4-2-1点。
  • 2014年     - 2010年〜2013年と同じだが、最終戦のみポイントが2倍になる。
  • 2015年〜    - 最終戦の2倍ポイント制度を廃止。
  • 2021年     - イギリスGP&イタリアGPで土曜日にスプリントレースを実施。ポイントは3–2–1点。

その他

  • 1950年から1990年までは入賞したレースのうち、上位の成績を選手権ポイントとする有効ポイント制度が適用されていた。例えば「16戦中ベスト11戦」のシーズンに13戦入賞した場合、下位の成績2戦分のポイントは切り捨てとなる。1967年から1978年(ドライバーズは1980年)まではシーズンを前半戦と後半戦に区切り、それぞれのベスト数戦のポイントを合算して年間有効ポイントとした。
  • 先頭車両が2周未満でレースが終了した場合は全車両の獲得ポイントは0となる。2周以上でレースは成立するが、規定周回数の75%未満で終了した場合は獲得ポイントが半分(1ポイントであれば0.5ポイント)となる。75%ルールが適用されたレースは過去に5例ある。
  • 1950-1959年と2019年以降は、ファステストラップ (FL) 記録者にもポイントが与えられた[4]
    • 1950-1959年は記録者が複数人いた場合、ポイントは記録した人数で等分された。1954年イギリスGPはラップタイムが秒単位で計測されたため、7人がファステストラップを記録し、7人に17点が与えられた。
    • 2019年以降は記録者が10位以内でフィニッシュすることがポイント獲得の条件となる[4]
    • 2018年現在、FL記録者へのポイント授与復活のほか、ポールポジション(PP)記録者へのポイント授与、更なる入賞範囲拡大を検討する動きがある。このうち入賞範囲拡大に関しては「出場全車にポイント授与」と言うアイデアも出ているが、「全車がポイントを巡ってレースをすることになる」「全車入賞にすると、”ご褒美”のような達成感はなくなってしまう」「ポイント獲得を15台までにする」と議論が交わされているとのこと[5]
  • 1950年から1957年までは、決勝レース中にマシンを乗り換えることが認められていた。入賞した場合、ポイントはマシンをシェアした人数で等分された。自分のマシンが故障し、チームメイトのマシンを借りて優勝したケースは3例ある(1位8ポイントを4点ずつ)。
  • 入賞しても、規定違反により失格となった場合はポイント無効となる。重大な過失および違反行為に対してはシーズン中の全獲得ポイント無効もしくは剥奪という厳罰が下される。
    • ティレル(1984年) - 「水タンク事件」によりドライバーズ・コンストラクターズともポイント剥奪。
    • ラルース(1991年) - コンストラクター登録名の不備[6]により1990年のコンストラクターズポイント無効。ただしドライバーズポイントは有効とされ、翌年の予備予選は免除となった。
    • マクラーレン(2007年) - 機密漏洩事件スパイゲート)によりコンストラクターズポイント剥奪。ただし、ドライバーズポイントは有効とされた。
    • フォース・インディア(2018年) - ハンガリーGPの時点でチームが破産し、次戦ベルギーGPまでにレーシング・ポイントへの売却が行われた。新規参戦という形が取られたため、ハンガリーGPまでのコンストラクターズポイントが無効となった。ただし、ドライバーズポイントは売却前と売却後のポイントの合算で計算された。[7]
    • レーシング・ポイント(2020年) - この年開発されたマシンRP20のブレーキダクトについて、前年にメルセデスが使用していたW10のコピーであるとルノーから訴えがあり、調査の結果ルノーの抗議が認められてコンストラクターズポイント15点が剥奪された。ただし、ドライバーズポイントはそのままとした[8]
  • シーズン開幕時に1台登録でエントリーした場合、2台目のマシンが入賞しても得点対象外とされた。

変遷表

1位 2位 3位 4位 5位 6位 7位 8位 9位 10位 FL ドライバーズ選手権
得点対象
コンストラクターズ選手権
得点対象
1950 8 6 4 3 2           1 ベスト4戦  
1951 8 6 4 3 2           1 ベスト4戦  
1952 8 6 4 3 2           1 ベスト4戦  
1953 8 6 4 3 2           1 ベスト4戦  
1954 8 6 4 3 2           1 ベスト5戦  
1955 8 6 4 3 2           1 ベスト5戦  
1956 8 6 4 3 2           1 ベスト5戦  
1957 8 6 4 3 2           1 ベスト5戦  
1958 8 6 4 3 2           1 ベスト6戦 ベスト6戦
各レース最上位入賞者
FLは非加算
1959 8 6 4 3 2           1 ベスト5戦 ベスト5戦
各レース最上位入賞者
FLは非加算
1960 8 6 4 3 2 1           ベスト6戦 ベスト6戦
各レース最上位入賞者
1961[3] 9 6 4 3 2 1 ※ドライバーズ ベスト5戦 ベスト5戦
各レース最上位入賞者
8 6 4 3 2 1 ※コンストラクターズ
1962 9 6 4 3 2 1           ベスト5戦 ベスト5戦
各レース最上位入賞者
1963 9 6 4 3 2 1           ベスト6戦 ベスト6戦
各レース最上位入賞者
1964 9 6 4 3 2 1           ベスト6戦 ベスト6戦
各レース最上位入賞者
1965 9 6 4 3 2 1           ベスト6戦 ベスト6戦
各レース最上位入賞者
1966 9 6 4 3 2 1           ベスト5戦 ベスト5戦
各レース最上位入賞者
1967 9 6 4 3 2 1           ベスト9戦
(前半戦5/6+後半戦4/5)
ベスト9戦
(前半戦5/6+後半戦4/5)
各レース最上位入賞者
1968 9 6 4 3 2 1           ベスト10戦
(前半戦5/6+後半戦5/6)
ベスト10戦
(前半戦5/6+後半戦5/6)
各レース最上位入賞者
1969 9 6 4 3 2 1           ベスト9戦
(前半戦5/6+後半戦4/5)
ベスト9戦
(前半戦5/6+後半戦4/5)
各レース最上位入賞者
1970 9 6 4 3 2 1           ベスト11戦
(前半戦6/7+後半戦5/6)
ベスト11戦
(前半戦6/7+後半戦5/6)
各レース最上位入賞者
1971 9 6 4 3 2 1           ベスト9戦
(前半戦5/6+後半戦4/5)
ベスト9戦
(前半戦5/6+後半戦4/5)
各レース最上位入賞者
1972 9 6 4 3 2 1           ベスト10戦
(前半戦5/6+後半戦5/6)
ベスト10戦
(前半戦5/6+後半戦5/6)
各レース最上位入賞者
1973 9 6 4 3 2 1           ベスト13戦
(前半戦7/8+後半戦6/7)
ベスト13戦
(前半戦7/8+後半戦6/7)
各レース最上位入賞者
1974 9 6 4 3 2 1           ベスト13戦
(前半戦7/8+後半戦6/7)
ベスト13戦
(前半戦7/8+後半戦6/7)
各レース最上位入賞者
1975 9 6 4 3 2 1           ベスト12戦
(前半戦7/8+後半戦5/6)
ベスト12戦
(前半戦7/8+後半戦5/6)
各レース最上位入賞者
1976 9 6 4 3 2 1           ベスト14戦
(前半戦7/8+後半戦7/8)
ベスト14戦
(前半戦7/8+後半戦7/8)
各レース最上位入賞者
1977 9 6 4 3 2 1           ベスト15戦
(前半戦8/9+後半戦7/8)
ベスト15戦
(前半戦8/9+後半戦7/8)
各レース最上位入賞者
1978 9 6 4 3 2 1           ベスト14戦
(前半戦7/8+後半戦7/8)
ベスト14戦
(前半戦7/8+後半戦7/8)
各レース最上位入賞者
1979 9 6 4 3 2 1           ベスト8戦
(前半戦4/7+後半戦4/8)
全戦
1980 9 6 4 3 2 1           ベスト10戦
(前半戦5/7+後半戦5/7)
全戦
1981 9 6 4 3 2 1           ベスト11戦[9] 全戦
1982 9 6 4 3 2 1           ベスト11戦[10] 全戦
1983 9 6 4 3 2 1           ベスト11戦[11] 全戦
1984 9 6 4 3 2 1           ベスト11戦[12] 全戦
1985 9 6 4 3 2 1           ベスト11戦 全戦
1986 9 6 4 3 2 1           ベスト11戦 全戦
1987 9 6 4 3 2 1           ベスト11戦 全戦
1988 9 6 4 3 2 1           ベスト11戦 全戦
1989 9 6 4 3 2 1           ベスト11戦 全戦
1990 9 6 4 3 2 1           ベスト11戦 全戦
1991 10 6 4 3 2 1           全戦 全戦
1992 10 6 4 3 2 1           全戦 全戦
1993 10 6 4 3 2 1           全戦 全戦
1994 10 6 4 3 2 1           全戦 全戦
1995 10 6 4 3 2 1           全戦 全戦
1996 10 6 4 3 2 1           全戦 全戦
1997 10 6 4 3 2 1           全戦 全戦
1998 10 6 4 3 2 1           全戦 全戦
1999 10 6 4 3 2 1           全戦 全戦
2000 10 6 4 3 2 1           全戦 全戦
2001 10 6 4 3 2 1           全戦 全戦
2002 10 6 4 3 2 1           全戦 全戦
2003 10 8 6 5 4 3 2 1       全戦 全戦
2004 10 8 6 5 4 3 2 1       全戦 全戦
2005 10 8 6 5 4 3 2 1       全戦 全戦
2006 10 8 6 5 4 3 2 1       全戦 全戦
2007 10 8 6 5 4 3 2 1       全戦 全戦
2008 10 8 6 5 4 3 2 1       全戦 全戦
2009 10 8 6 5 4 3 2 1       全戦 全戦
2010 25 18 15 12 10 8 6 4 2 1   全戦 全戦
2011 25 18 15 12 10 8 6 4 2 1   全戦 全戦
2012 25 18 15 12 10 8 6 4 2 1   全戦 全戦
2013 25 18 15 12 10 8 6 4 2 1   全戦 全戦
2014 25 18 15 12 10 8 6 4 2 1   最終戦以外 最終戦以外
50 36 30 24 20 16 12 8 4 2   最終戦のみ 最終戦のみ
2015 25 18 15 12 10 8 6 4 2 1   全戦 全戦
2016 25 18 15 12 10 8 6 4 2 1   全戦 全戦
2017 25 18 15 12 10 8 6 4 2 1   全戦 全戦
2018 25 18 15 12 10 8 6 4 2 1   全戦 全戦
2019 25 18 15 12 10 8 6 4 2 1 1[13][4] 全戦 全戦
2020 25 18 15 12 10 8 6 4 2 1 1[13][4] 全戦 全戦
2021 25 18 15 12 10 8 6 4 2 1 1[13][4] 全戦 全戦
3 2 1 ※スプリントレース イギリスGP&イタリアGP イギリスGP&イタリアGP

脚注

  1. ^ 例として、1991年フットワークポルシェとフットワーク・フォード
  2. ^ 例として、1970年にコンストラクターズ3位となったマーチ・フォードには、ワークスのほかにプライベーター5チームが含まれる。
  3. ^ a b 林信次 『F1全史 第7集 1961 - 1965』 ニューズ出版、1997年、p.30。ISBN 9784938495091
  4. ^ a b c d e F1、ファステストラップポイント導入を正式決定…開幕オーストラリアGPから施行”. Formula1-Data (2019年3月12日). 2019年3月12日閲覧。
  5. ^ F1、ポイントシステム変更を検討。ポイント獲得対象が全車に拡大も? motorsport.com 2018年7月7日、同9日閲覧。
  6. ^ ローラのシャーシを使用しながらラルース名義で登録したとの裁定。
  7. ^ 新生“レーシング・ポイント・フォース・インディア”のF1参戦が承認。チーム譲渡により前半戦のポイントは取り消しに”. AUTO SPORT web (2018年8月24日). 2018年8月24日閲覧。
  8. ^ レーシングポイントF1が違法な模倣行為との裁定。15ポイント剥奪および約5000万円の罰金”. autosport web (2020年8月7日). 2020年8月9日閲覧。
  9. ^ 林信次 『F1全史 第2集 1981 - 1985』 ニューズ出版、1992年、p.30。ISBN 9784938495091
  10. ^ 『F1全史 第2集 1981 - 1985』、p.50。
  11. ^ 『F1全史 第2集 1981 - 1985』、p.70。
  12. ^ 『F1全史 第2集 1981 - 1985』、p.90。
  13. ^ a b c 10位以内に入賞が条件。

関連項目