かぼす (犬)

インターネット・ミームのDogeの基となった柴犬 (2006-2024)

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かぼす(2005年11月2日(推定)[1] - )は、日本千葉県佐倉市で飼われているメスの柴犬[1]。2010年代以降、定番のインターネット・ミーム「Doge」の素材として世界的に広く知られている[2]

略歴

かぼすは、ブリーダーの廃業によって愛護センターに持ち込まれた19匹の柴犬の中の1匹である[3]。その殆どは殺処分されたが、かぼすは運良くボランティア団体に救い出されて里親募集へ掛けられることになった[3]。「かぼす」と言う名はそのボランティア団体が付けたもので、カボスのような丸顔が由来のようである[4]

二児を育て佐倉市で夫と二人で暮らしている幼稚園教諭の佐藤敦子は[2]「ケン」という体重18キロの大型雑種犬を飼っていたが[5]、ケンは2006年秋に10歳で急死し[1]、フルタイムで働く自分が犬を飼うのはもう難しいと[1]なかなか心に空いた穴を埋められずにいた[5]

2008年秋[1]、佐藤は何気なく見た里親募集の Web サイトでかぼすを見つけた[5]。殺処分から間一髪逃れたというのに穏やかで優しそうな表情が印象的で[1]、たまたま近所に預けられていることにも運命的なものを感じ、胸を高鳴らせながら応募のメールを熱心にしたためて送信した[5]。そして翌日には早くも対面を果たしてトライアルに入った[5]。家に来た当初はぬいぐるみのように大人しく、抱こうとすると嫌がって逃げるほどだったが[3]、2ヵ月ほどで家族の一員としてリラックスした面を見せるようになった[3]。柴犬の性格は一般に「賢く、攻撃的で、ほかの犬にあまり馴染まない」と言われたりするが[4]、佐藤はかぼすの性格は少し変わっていて「心の優しい、のんびり屋」と理解した[3]

かぼすを預かって1年半ほど後、かぼすを愛護センターから救ったボランティア団体が母猫から育児放棄された子猫を預かっていると知り、それまであまり猫に関心が無かった佐藤だが、不思議と心が動いてこれも里親として迎えることにした[5]。「つつじ」と名付けられたこのメスの子猫を、かぼすはすんなり受け入れ、姉妹のような睦まじい関係になった[3]。2010年にはオスの子猫の「ぎんなん」も加わり[1]、猫たちと戯れるうちにかぼすも素直な感情表現ができるようになっていった[1][† 1]

佐藤はかぼすとの散歩で日々感じる四季折々の自然の味わいや感動を自分の中だけでしまっておくのは勿体ないと感じ、誰かと分かち合いたいと[5]2009年6月からブログを始めた[4]。かぼすと猫のほのぼのした写真だけでなく、幼稚園教諭ならではの物柔らかな語り口も読者に受けて人気ブログに成長し[5]、日本だけでなく海外からも取材を受け、かぼすとの生活は書籍化やカレンダー化もされた[3]

ところで英語圏の SNS 界隈では、2010年10月に Reddit に変顔のコーギーの写真がアップされたのを嚆矢として、犬を素材としたコラージュなどのミームが dog をもじった「doge」と呼ばれるジャンルを形成した[4]。2012年9月には柴犬の写真にカラフルなコミック体のフレーズを重ねる Shiba Confessions と言うジャンルが出来たが、これもムーブメントというほどのものではなかった[4]。しかし2013年7月に、前足を重ね口を引きつらせながら警戒するように流し目をするかぼすの写真が投下されると[4]、これが Reddit や Tumblr といった SNS で爆発的連鎖反応を引き起こし[2]、珍妙なセリフを重ねたり他の写真素材とシュールにコラージュしたりといった doge の格好の題材として、かぼすは一躍有名になった[2]

2013年には、かぼすの顔は暗号資産 Dogecoin のアイコンとなった[2][† 2]

2021年には、Doge の素材になった写真を含め計8枚のかぼすの写真が NFT オークションにかけられ、4億7000万円で落札された[6]。売り上げは当初の佐藤の意向通り、国内外の子供の人権保護団体に寄付され、さらに残った分は国際 NPO プラン・インターナショナルとワールド・ビジョンを通してベトナム、イラク、南スーダンの学校建設に使われた。

2022年12月にかぼすは急性の肝胆管炎と慢性リンパ性白血病に罹り、黄疸を起こして危篤状態に陥ったが、抗生物質で幸い持ち直した[2]

日常

一軒家の屋内で飼われている座敷犬であり[1]。 飼い主の佐藤がフルタイムで働いているため、日中は猫たちと共に留守番をしている[1]。大半は寝て過ごしているようだが、時には猫たちとイタズラしたり盗み食いをしているようである[1]。普段も食事の時間には特にテンションが上がる性格である[1]。夜は佐藤夫婦および猫たちと同室で就寝している[1]。朝夕に充分時間をかけて佐藤と散歩し、週末は自然を満喫しながら特にゆったり散歩している[1]。夏にはキャンプにも出かける[1]

露出

素材として

2010年代

  • クッキー「オレオ」のキャラクターとして[2]
  • ストックホルムの地下鉄のキャラクターとして[2]
  • Dogecoin のアイコンとして[2]

2020年代

  • SNS 上の親ウクライナ運動「北大西洋同志機構」(NAFO) の合成画像として[2]
  • ウクライナ国防省が NAFO からの募金に感謝するツイートでの迷彩服キャラクターとして[2]
  • Twitter のアイコンとして[7]

著名人との面会

脚注

注釈

  1. ^ その後に「おにぎり」という猫も加わって犬1匹、猫3匹にになっている[3]
  2. ^ ドージコインはチャリティで使われることが多いため、佐藤はこのアイコン化に好意的である[6]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 『かぼすちゃんとおさんぽ。』ブログ管理人かぼすママさん登場!”. メディア. アイリスプラザ (2017年3月7日). 2023年4月4日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k ネットで人気爆発の柴犬「かぼす」、重病で危篤状態”. CNN.co.jp. CNN (2022年12月28日). 2023年4月4日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h 松田義人 (2022年10月8日). “元保護犬を引き取ったら…不思議な縁、猫3匹を飼うことに まるで4きょうだいのように幸せに暮らす日々”. 神戸新聞NEXT. 神戸新聞社. 2023年4月4日閲覧。
  4. ^ a b c d e f 佐藤敦子 (2014年1月4日). “The Verge”. かぼすちゃんとおさんぽ. ライブドアブログ. 2023年4月4日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h 「かぼすちゃんとおさんぽ。」のかぼすママさん登場!”. 今週のピックアップブロガー. エキサイトブログ (2011年7月4日). 2023年4月4日閲覧。
  6. ^ a b 阿部慶次郎 (2022年11月19日). “NFTが4.7億円落札!コラ画像や暗号資産ドージコインで世界を熱狂させた柴犬、かぼすちゃんの飼い主が思うこと”. @DIME アットダイム. 小学館. 2023年4月4日閲覧。
  7. ^ 冨田龍一 (2023年4月4日). “ツイッターの「鳥」ロゴが「柴犬」に”. ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト. Newsweek. 2023年4月4日閲覧。
  8. ^ 竹元かつみ (2018年4月2日). “イーサリアム創設者Vitalik氏、仮想通貨Dogecoinのモデル柴犬“かぼすちゃん”と邂逅”. INTERNET Watch. インプレス. 2023年4月4日閲覧。

外部リンク