キルナ

スウェーデンの都市

キルナスウェーデン語: Kiruna [ˈkǐːrʉna]北部サーミ語: Giron [ˈkiron]フィンランド語: Kiiruna [ˈkiːrunɑ]))はスウェーデンで最も北に位置する都市(正確には、市〈kommun〉)であり、ノールボッテン県 (Norrbotten län) に属する。人口は約2万3000人[1](市街約1万7000人)。市章にはライチョウが描かれており、これは鉱業(キルナ鉄山)が街にとって主要な産業であることと、キルナという名称がサーミ語のキロン(Giron、ライチョウ)に由来していることによる。元はルオッサヴァーラといった。

キルナ
Kiruna
スウェーデンの旗
位置
キルナの位置の位置図
キルナの位置
座標 : 北緯67度51分 東経20度13分 / 北緯67.850度 東経20.217度 / 67.850; 20.217
歴史
市制 1948年
行政
 スウェーデン
 地方 ラップランド地方
  ノールボッテン県の旗 ノールボッテン県
 市 キルナ
地理
面積  
  市域 16.53 km2 (6.4 mi2)
人口
人口 (2019年現在)
  市域 22,906人
    人口密度   1,098人/km2
その他
等時帯 中央ヨーロッパ時間 (UTC+1)
夏時間 中央ヨーロッパ夏時間 (UTC+2)
公式ウェブサイト : https://kiruna.se/

キールナとも表記する[2]

概要

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1891年に鉄道がここまで伸び、できて間もない鉱山会社ルオッサヴァーラ=キルナヴァーラ(LKAB)が広大な土地を手に入れてから、鉱山事業が盛んになった。スウェーデンのになったのは1948年であり、当時は世界で最も面積の広い市であった。1970年代に行政区の改革が行われた後には、キルナの20,000 km2オーストラリアクイーンズランド州マウントアイザの42,904 km2に続いて2番目に広い市となっている。ラップランド地方に属しており、昔からサーミ人がトナカイの放牧をしながら生活していたエリアであり、今でも郊外にはサーミ人が暮らしている。北緯68度の北極圏に位置するため、夏は夜でも太陽が沈まない白夜となる他、冬はオーロラを観ることができる。

後述する鉱山の鉱区上に位置しているため、6,000人が住む市街地を3km東方へ移動させる計画が進んでいる[3]

気候

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ケッペンの気候区分では、亜寒帯湿潤気候に区分される。シベリアのように極端な低温ではないものの、冬は長く寒冷で、雪も比較的頻繁に降る。夏は短く、最高気温が20℃以上になる期間も夏のごくわずかの期間だけである。

キルナ (気温 2002-2017 極値 1901- 降水・日照 1961-1990)の気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
最高気温記録 °C°F 7.3
(45.1)
7.3
(45.1)
11.3
(52.3)
15.2
(59.4)
27.0
(80.6)
29.8
(85.6)
31.6
(88.9)
28.4
(83.1)
23.3
(73.9)
16.1
(61)
9.2
(48.6)
8.0
(46.4)
31.6
(88.9)
平均最高気温 °C°F −9.0
(15.8)
−7.2
(19)
−1.6
(29.1)
3.9
(39)
10.0
(50)
15.5
(59.9)
19.3
(66.7)
16.7
(62.1)
10.8
(51.4)
2.8
(37)
−3.7
(25.3)
−6.1
(21)
4.3
(39.7)
平均最低気温 °C°F −18.7
(−1.7)
−16.9
(1.6)
−12.5
(9.5)
−5.7
(21.7)
0.4
(32.7)
5.7
(42.3)
9.0
(48.2)
6.6
(43.9)
2.3
(36.1)
−4.0
(24.8)
−11.9
(10.6)
−15.7
(3.7)
−5.1
(22.8)
最低気温記録 °C°F −43.3
(−45.9)
−42.3
(−44.1)
−36.8
(−34.2)
−31.1
(−24)
−21.0
(−5.8)
−5.8
(21.6)
−1.8
(28.8)
−4.0
(24.8)
−11.8
(10.8)
−28.8
(−19.8)
−34.6
(−30.3)
−38.0
(−36.4)
−43.3
(−45.9)
降水量 mm (inch) 30.1
(1.185)
25.4
(1)
26.2
(1.031)
26.9
(1.059)
33.6
(1.323)
48.5
(1.909)
86.1
(3.39)
73.6
(2.898)
49.3
(1.941)
47.0
(1.85)
41.5
(1.634)
34.0
(1.339)
522.1
(20.555)
平均降水日数 17 14 14 13 12 13 16 17 15 16 16 17 192
平均月間日照時間 5 62 139 183 232 266 243 159 110 67 18 0 1,484
出典:Swedish Meteorological and Hydrological Institute [4][5][6][7]

産業

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キルナのスケールモデル。赤線内が将来の鉱山の拡張に備えて移転が予定されているエリア

スウェーデンの国営企業LKABのキルナ鉱山[8]は良質なスウェーデン鋼となる鉄鉱石を1日約7万トン産出している[1]。創業当時は露天掘りで行われていたが、現在は1000m以上も地下を掘り進んでおり、作業は全てコンピューター制御の機械により行われている。将来は地下2000m程度まで掘り進む計画で、現在の市街を支える地盤や地下水道管などがずれる可能性があるため、20年~25年かけて街を移転させる予定である[1]

鉄鉱石はオーフォート鉄道で輸送され、夏の間は鉄道の端のボスニア湾に面したルレオから、そして湾が凍結する間は鉄道の反対側で大西洋の不凍港であるノルウェーナルヴィクから輸出される。

このことから日本の地理教育では時折覚え方として「鉄はキルナ」(切ると刃こぼれするので)という語呂合わせが取り上げられることがある。

観光

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毎年1月に「雪祭り」が開催され、雪や氷で造る雪像・氷像のコンテストが行われている[9]

キルナから東に16km離れたユッカスイェルヴィスウェーデン語版という地区には、アイスホテル英語版スウェーデン語版があり、毎年3万人程度が宿泊する[1]。部屋には世界各国のアーティストによってデザインされたスイートやアイスルーム、スノールームがあり、氷のベッドでトナカイの皮の上に敷いた寝袋に入って眠る。このホテルは毎年11月に建てられるが、4月になると気温の上昇で溶けてしまう[9]。また、冬にはオーロラを見に訪れる人も数多くいるほか、犬ぞりを楽しむこともできる。

姉妹都市

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脚注

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  1. ^ a b c d 現場を旅する(62)キルナ、街は「引っ越し準備中」『朝日新聞GLOBE』2014年4月20日~5月3日号(8面)。
  2. ^ キールナ Kiruna”. スウェーデン観光文化センター. 2018年7月18日閲覧。
  3. ^ 沈没危機の町を丸ごと大移動 深く掘り過ぎたスウェーデンの鉱山都市 Newsphere(2017年12月13日)2017年12月22日閲覧
  4. ^ Nederbörd, normalvärden 1961-90” (Swedish). Swedish Meteorological and Hydrological Institute. 2007年10月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年5月28日閲覧。
  5. ^ Dataserier med normalvärden för perioden 1961-1990” (Swedish). Swedish Meteorological and Hydrological Institute. 2009年5月28日閲覧。 [リンク切れ]
  6. ^ Klimatkartor” (Swedish). Swedish Meteorological and Hydrological Institute. 2009年11月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年5月28日閲覧。
  7. ^ Monthly & Yearly Statistics 2002-2015” (Swedish). Swedish Meteorological and Hydrological Institute. 2016年4月7日閲覧。
  8. ^ LKAB、05年半期業績は大幅増収増益
  9. ^ a b チャールズ・フィリップス『ナショナルジオグラフィック 世界の国 スウェーデン』ほるぷ出版、2010年、15頁。ISBN 978-4-593-58564-9 

外部リンク

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