三木康一郎

日本の映画監督、演出家 (1970-)

三木 康一郎(みき こういちろう、1970年12月7日[1] -)は、日本映画監督演出家富山県富山市大沢野出身[2][3]

みき こういちろう
三木 康一郎
三木 康一郎
生年月日 (1970-12-07) 1970年12月7日(53歳)
出生地 日本の旗 富山県
職業 映画監督
ジャンル 映画
主な作品
トリハダ』シリーズ
植物図鑑 運命の恋、ひろいました
旅猫リポート
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作品歴

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映画

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テレビドラマ

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配信ドラマ

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バラエティ

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『先生の白い嘘』での騒動

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インティマシー・コーディネーターの拒否

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2024年度公開作品『先生の白い嘘』(原作:鳥飼茜)は、主人公で高校教師の原美鈴と、美鈴の担任生徒たち、美鈴を襲った早藤雅巳を中心として男女の性の不条理に切り込む内容であり、性的シーンの撮影もあるため、主演女優の奈緒が撮影時にインティマシー・コーディネーター[注 1]を間に入れてほしいと要望。しかし、三木は「間に人を入れたくなかった」という理由などから拒否していたことをインタビューで語ったことから、三木や映画製作陣に批判が殺到。ネット上で批判的な意見が多く上がり、物議を醸した[10]

三木はそのインタビュー内で「理解し合ってやりたかったので、奈緒さんには、女性として傷つく部分があったら、すぐに言って欲しいとお願いしましたし、(過激にしないように)描写にも細かく提案させてもらいました」とコーディネーターを入れない分、配慮していたと話している[10]。しかし、最終的に主演の奈緒が「言いたいことは伝えましたが、それでも、どうしても現場に対して不十分だと思う部分が正直ありました」と述べる結果となり、さらにインティマシー・コーディネーターの存在意義をめぐって世間からは様々な意見が飛び交い、各所で制作陣に対しての議論が巻き起こった。それに伴い、各メディアからこの件を扱う記事が次々と公開され、週刊誌各社も世間の声を集めた否定的な記事を公開したことで、映画公開直前に大きな騒動となった[11]

初日舞台挨拶でのスタッフによる弁明

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それを受けて、2024年7月の公開初日の舞台挨拶には、松竹の企画・プロデューサーである稲垣竜一郎が急遽登壇。稲垣は「役者から要望を受けて製作チームとして検討しましたが、撮影当時は日本での事例も少なく、第三者を介さず直接コミュニケーションを取る選択をしました。(絵コンテで事前説明をしたり、不満がある場合は女性スタッフが本音を聞くと伝えたり、カメラマンは女性が務めるなど、)細心の注意を払い、様々な配慮ができていると判断しておりましたが、様々なご意見・ご批判をいただき、我々の認識が間違っていました。製作陣一同、配慮が足りなかったこと、深く反省をしております」と説明して謝罪した。その際、司会者の奥浜レイラは進行を始める前に、「一映画に関わる仕事をする者として、個人的にお話をさせていただきます。映画やドラマにおきましてインティマシー・シーンがある場合は、私個人としては、インティマシー・コーディネーターは必ず起用されるべきだと考えております。そして、製作・宣伝の場においても、俳優、そしてあらゆる立場のスタッフが心・身体・人権を尊重され、守られることを強く望んでおります」と意見を述べた[12]

三木は「今回、私の不用意な発言により、皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしたことを、この場を借りて謝罪したいと思います。申し訳ありませんでした。さらに、関係者、スタッフ、キャスト、彼らにも大きな大きな苦しみを与えてしまったことを、この場で謝罪したいと思います。本当に申し訳ありませんでした。さらに、原作の鳥飼茜先生、物凄くこの作品に尽力していただいたにも関わらず、裏切るような形になってしまい、本当に申し訳ありませんでした。最後に、このような状況でも、この場にお集まりいただいた皆さん、感謝しかございません。本当に本当にありがとうございました。」と、それぞれの事柄ごとに頭を下げて謝罪した[13][12]

三木の後にマイクを持った奈緒は、「色々なやり取りがあり、すれ違いがあったことは事実です。でもそれは当人同士の問題として。権力に屈するようなことは一切なく、対等な関係で監督ともお話をしましたし、言いたいことは伝えました。ただ、伝えた上でも、どうしても現場に対して不十分だと思う部分が正直ありました」と説明。続けて、「なので、そこは私たちも本当に未熟で、私自身がもっとちゃんとコミュニケーションを取り、この作品を公開するにあたって、どういう風に皆さんを傷つけないように言葉を選んで、ちゃんと自分たちの真意として伝わるかというところまで宣伝の部分でお話できていなかったことが、結果的に皆さんを不安にさせてしまうようなことを招いてしまったのかなと、私自身は自分のこととして深く反省しております。でも、権力の違いとかはなく、対等な現場でしたので、そこは皆さんどうかご安心してください。胸を痛めるシーンはあるのですが、私のことを心配してくださっている声も届いていますので、それは大丈夫です、ということをお伝えしたいです」と話した[12][11]

また、舞台挨拶の最後に原作者である鳥飼茜からの手紙も読まれ、それを受けて三木は、「先ほどの鳥飼先生のお手紙を聞かせていただきまして、映画制作陣として彼女の想いがこれからの映画の在り方、その辺の意義をしっかり正して、この作品で感じたことを教訓にして、しっかり顔を上げて前に進んでいきたいと思います。今後、この映画がどのように皆さんに届くか計り知れませんが、今後、私、映画人としてしっかり精進してまいりたいと思います」と話し、今後の映画製作に活かしていくとした[12]

あらすじの一部削除

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本作の公開直後、公式サイトからあらすじの一部が削除された[14]。美鈴が早藤を拒めない理由として「早藤を忌み嫌いながらも、快楽に溺れ、早藤の呼び出しに応じてしまう美鈴」と書かれていた部分が、「早藤を忌み嫌いながらも、早藤の呼び出しに応じてしまう美鈴」に変更された。7月7日時点で制作側からの説明はないが、原作を読んでいたファンを中心に「原作を理解してない表現なのではないか」「被害に遭ったことを自責し、葛藤する美鈴をめぐる表現として適切ではない」などという声が事前に上がっていた。

脚注

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注釈

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  1. ^ 性的な表現を伴う撮影の際、制作者と出演俳優との間に立って調整を行い、制作側の意図を的確に俳優に伝えると共に、役者側の尊厳を守り、役者の身体的・精神的なサポートとケアをする専門スタッフ。

出典

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  1. ^ https://twitter.com/mikikoichiro/status/774842973473288192
  2. ^ 三木康一郎 KINENOTE 2019年11月30日閲覧。
  3. ^ 三木さん(大沢野出身)メガホン 来年公開映画「植物図鑑」
  4. ^ “佐久間由衣、映画初主演作で“隠れビッチ”に! 村上虹郎、大後寿々花、森山未來と共演”. 映画.com. (2019年1月29日). https://eiga.com/news/20190129/4/ 2019年2月1日閲覧。 
  5. ^ キンプリ永瀬廉主演で「弱虫ペダル」実写映画化!伊藤健太郎、橋本環奈も出演”. 映画ナタリー (2020年1月18日). 2020年1月18日閲覧。
  6. ^ 宮世琉弥×原菜乃華のW主演作「恋わずらいのエリー」公開、妄想が止まらない特報解禁”. 映画ナタリー. ナターシャ (2023年12月6日). 2023年12月6日閲覧。
  7. ^ 奈緒主演、男女の性差に対峙する鳥飼茜の漫画『先生の白い嘘』実写映画化 監督は三木康一郎、脚本は安達奈緒子”. ORICON NEWS. oricon ME (2024年2月21日). 2024年2月21日閲覧。
  8. ^ 内田理央主演ドラマ「来世ちゃん」に太田莉菜、小関裕太、後藤剛範、飛永翼”. 映画ナタリー (2019年12月11日). 2019年12月11日閲覧。
  9. ^ 「東京ラブストーリー」29年ぶりに再ドラマ化! カンチ役は伊藤健太郎、リカ役は石橋静河”. 映画.com (2020年1月24日). 2020年1月24日閲覧。
  10. ^ a b 主演女優オファーに難航、「10人くらい」に断られ⋯約10年かかった男女の性の格差を描いた 『先生の白い嘘』”. ENCOUNT. 2024年7月6日閲覧。
  11. ^ a b 奈緒「わたしは大丈夫」 インティマシー・コーディネーター問題で監督&プロデューサーが初日挨拶で謝罪 : 映画ニュース”. 映画.com. 2024年7月6日閲覧。
  12. ^ a b c d 【全文掲載】映画『先生の白い嘘』公開初日舞台挨拶【完全レポート】”. NB Press Online (2024年7月6日). 2024年7月6日閲覧。
  13. ^ 性的シーン撮影めぐり物議、映画『先生の白い嘘』異例の舞台あいさつ 三木監督が4度、頭を下げる 主演の奈緒は「自分で決めた」:中日スポーツ・東京中日スポーツ”. 中日スポーツ・東京中日スポーツ. 2024年7月6日閲覧。
  14. ^ 「インティマシー・コーディネーター」起用見送り物議の映画 公式サイトあらすじから「快楽に溺れ」記述を削除...疑問の声”. J-CASTニュース (2024年7月7日). 2024年7月7日閲覧。

外部リンク

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