利用者:McYata/コンテンツ翻訳について

コンテンツ翻訳を用いた他言語版の記事の翻訳に関する指針の試案です。記事翻訳については既にWikipedia:翻訳のガイドラインが存在していますが、主にウィキペディア初心者向けに作られた翻訳ツール「コンテンツ翻訳」は、使い方を誤ると極めて低質な、記事未満の記事を作ってしまうことになりかねません。また、きちんと翻訳できたつもりでも、技術的な問題から上記のガイドラインや記事のスタイルについての諸ガイドラインにそぐわない記事のまま公表されてしまう例もあります。ここでは、日本語版ウィキペディアの環境に即したツールの使い方と注意点について解説します。

なお、本私論は発展途上です。不明な点があったり、誤りや不足を見つけたりした場合は、ここのノートに知らせてください。あなたのご指摘が、本私論をより良いものにします。ご協力をお願いします。

前提

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まず大前提として、必ず以下のページを確認してください。

また、次の記事も読んでみてください。

'この英語が難なく読めるかどうかを、あなたが記事の翻訳に挑戦できるか否かという指標の一つにしてみてください。もちろん辞書は使っても良いのですが、「羅列されている単語の意味は分かる」「何となく言っていることは分かる」ではいけませんよ。詳しくは#日本語で記事を書くにて。

コンテンツ翻訳

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アカウント登録済みの利用者であれば、画面右上の「ベータ版」からコンテンツ翻訳ツールを利用できる。
 
ベータ版選択画面でコンテンツ翻訳を有効にしたのち、「投稿記録」にマウスオーバーすると「翻訳」と表示される。ここからコンテンツ翻訳ツールに入る。

まず最初に、コンテンツ翻訳を利用していない方に向けて、このツールの概要を説明します。ただし、この私論はコンテンツ翻訳ツールそのものの利用ガイドではなく、使用に際しての注意点をまとめることを主眼としているため、Mediawikiで公式に解説されている部分については極力説明を省きます。公式な利用ガイドも参照してください。

コンテンツ翻訳(Contents Translation)は、2014年1月1日にスタートしたWikimedia Foundation projectの一つ、およびそこで開発が続いている翻訳補助ツールです[1]。ウィキペディアではベータ版機能の一つとして提供されており、ウィキペディアのログインユーザーなら誰でもすぐに利用できます。

コンテンツ翻訳ツールの重要な特徴としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 翻訳用に設計された二画面エディタを利用できる。
    • 画面の左に翻訳元の記事が、中央に翻訳執筆スペース(実際に翻訳先の言語版で投稿される文章)が表示され、両者を見比べながら翻訳できる。
    • 脚注や画像などが、ソースそのままでなく実際に記事となった時と同様に表示されるため、翻訳が必要な部分が分かりやすい。英字のまま残さなければならないテンプレート要素などを誤って「翻訳」してしまう事故も起きない。
  • 翻訳途中の記事を非公開のまま保存、管理できる。

こうした特徴のため、Mediawikiでは「ブラウザーのタブ間でテキストをコピーしたり関連リンクやカテゴリーを探したりといったわずらわしい作業は自動化されます。スムーズな作業が可能となるため、翻訳者は自然な翻訳の高品質なコンテンツを仕上げることに集中できます。」と謳われています[1]。しかしながら、実際のところすべてのウィキテキスト関係の作業が必要なくなるわけではありませんし、自然で高品質な翻訳が保証されるわけでもありません。技術的なバグは次第に解消されていくでしょうが、いくら高度で行き届いたツールが出来ても、翻訳をするのはユーザー自身なのです。

以下では、コンテンツ翻訳ツールを用いてウィキペディアの記事を翻訳したい、もしくは既に始めている、というユーザーが、より高品質な日本語版ウィキペディアの記事を作成するために留意したいポイントを解説します。翻訳者個人の語学的な力量はもちろんですが、それと関係なく複雑なインターフェースを使いこなし、より完璧に近い記事を完成させるためのコツ、方法についても述べます。

翻訳の流れ

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記事として成立させるために毎回必要な最低限の工程は強調してあります。

1, (V2に移行する)

古いバージョンのコンテンツ翻訳を使用している方は、新しいバージョンに切り替えましょう。

2, 翻訳元を吟味する。

それが翻訳する価値のある記事なのか、また自分の手に負える仕事なのか、翻訳を始める前に確認しましょう。

3, 記事名を設定する

翻訳記事の顔となる記事名を決めましょう。

4, 機械翻訳を無効化する

機械翻訳は良質な翻訳の妨げになりかねません。使用は控えましょう。

5, 翻訳執筆スペースで翻訳する

画面中央の翻訳執筆スペースの空欄をクリックすると、画面左側の原文が転写されます。一文一文、原語を消して日本語に置き換えていきましょう。

6, 脚注を編集する

記事の中の脚注を一つ一つクリックして確認し、修正しましょう。

7, 見直しをする

一通り翻訳が終わったら、全体を見直しましょう。

8, 翻訳した記事を公開する

完成した翻訳記事を投稿する、その前に。

9, 翻訳した記事を補う

コンテンツ翻訳ツールでできる記事は、ところどころ不十分な部分が残ってしまいます。必ず通常のウィキソースモードの編集で修正しておきましょう。

新バージョンを使いましょう

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コンテンツ翻訳を新規利用する際に表示される画面。

まず、初めてコンテンツ翻訳ツールにアクセスした方は、右の図のような画面を目にしているはずです。ここで突然、新バージョンを試用するか否かを問われますが、ポップに従って新バージョンを使うことを強くお勧めします

また既にコンテンツ翻訳ツールを利用している方も、「進行中の翻訳」を一覧できる画面を開くと、右の図の右半分と同様の表示を見つけることができるかと思います。今からでも良いですから、「新しいバージョンを試用」という項目を選択してください。

コンテンツ翻訳ツールには、旧バージョン(以下「V1」と表記)と新バージョン(以下「V2」と表記)が存在します。使い勝手では両者とも一長一短がありますが、技術的なサポートはV2の方が優先されており、V1は致命的な問題を抱えたまま放置されている状況です。まずは、新バージョンへの移行を済ませてください。なお、V1で翻訳中の記事をいくつか抱えたままV2に移行した場合、それまでの翻訳中の記事はV1の環境のまま作業を続けることができます。ただ、V1で作成された翻訳記事を公開する際には、非常に煩雑な作業が必要になることに留意してください。V2への移行を選択した後に開始した翻訳作業は、V2の環境下で行うことになります。

V1を使い続ける問題点

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コンテンツ翻訳ツールでは、ある時期から翻訳記事公開時に再利用型脚注(<ref name= 〇〇〇/>という形式のもの)が消滅するという致命的なバグが発生するようになりました。2018年11月ごろにV1、V2ともにこの問題が解消されたのですが、サポートが半休止状態にあるV1では同じバグが再発してしまっています。

このバグが存在している状況下でV1を使いたい場合は、公開後に翻訳元の記事のソースを開き、翻訳先の記事へ脚注を一つ一つ手作業で移植しなければならなくなります。この作業を怠る人が多かったため、脚注が多く焼失した翻訳記事が出回り、結果としてコンテンツ翻訳の客観的評判を落とすことになりました。他にもV1には問題が多く、またコンテンツ翻訳ツール開発チームもV2に重きを置くようになったため、ツール利用者の方々にはV1からV2への乗り換えを推奨しています。

V1環境でまだ翻訳中の記事がある、という方は、上記の問題に留意し、公開する際に必ず脚注を補うようにしてください。またその際、#脚注を編集しましょうを参考にしながら、脚注内の記述を修正することも忘れないでください。

翻訳作業を始める前に

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翻訳元の記事選びは慎重に

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日本語版になく他言語版にある項目は非常に多く、その中には普通の辞書や教科書に載っているのに日本語版ウィキペディアの記事が無い、というものもあります。ですから、ウィキペディアの言語間翻訳をすることで日本語版を充実させるために大きく貢献することができます。だからといって、日本語版が無い記事なら何でも翻訳してよいというわけではありません。まず翻訳以前の問題として、百科事典的でない記事は削除されます。例えば、ウィキペディアには独立記事作成の目安や、分野別の特筆性基準が存在します。特に特筆性のガイドラインは各言語版により異なる基準を設けているため、英語版では問題なくとも日本語版で立項するのは認められない、という場合があります。それ以外にも、日本語版と他言語版の基準の狭間にあったり、他言語版でも不適切な内容でありながら見逃されていたりする記事もあります。翻訳作業を開始する前に、まず翻訳元の記事全体を把握し、Wikipedia:削除の方針などと照らして翻訳に足る記事であるかどうか判断するようにしましょう。

特に、翻訳元記事に出典がしっかり示されているか否かという点には注意しましょう。どんなに詳細で長大な記事であっても、細かく脚注をつけて出典を示していない記事は全く歓迎されません。例えば2018年12月現在、英語版のen:Republic of Pisa(ピサ共和国)という記事には、出典や脚注がほとんどありません[2]。本来なら「ピサ共和国」は歴史記事として十分に立項する価値がある事項なのですが、ただ出典が明記されていないという一点において、日本語版に翻訳するべきではないのです(もちろん、手元にある有用な参考文献を出典として追加する用意があるならこの限りではありませんが、それならばそもそも他言語版翻訳に頼らず日本語版で一から立項した方が早いでしょう)。また海外の記事を翻訳するという性格上、記事に示された出典をすべて実際に確認するのは困難かもしれません。だからこそ、その出典にアクセスできる人が翻訳記事を読んだときに検証できるように、翻訳元の出典を残す必要があります。

もちろん、すべての方針を完全に理解し実践するのは困難です(特にウィキペディアの編集を始めたばかりの方は)。大丈夫だと思って記事を作成しても、それがノートページなどで疑問点を示されたり、場合によってはWikipedia:削除依頼に出されてしまったりするかもしれません。たいてい、こうしたチェック活動をしている利用者は各方針や記事の作り方に精通している人です。翻訳とはいえ自分の書いた記事であれば、問題点を示された際にはできる限り議論に参加し、質問に答えるようにしましょう。

記事名を設定して翻訳を始める

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以上を受けて翻訳したい記事を見つけたら、次のどちらかを使って翻訳を始めましょう。コンテンツ翻訳ツールを開くか、そのページの左下に表示される言語間リンクから灰色の「日本語」というリンクをクリックして、翻訳を始めましょう。

  • コンテンツ翻訳ツールを開き、ページ上部のボックスに翻訳したい記事を(原語で)書き込む。
翻訳元の言語を指定するのを忘れずに。記事名を設定しないまま翻訳をスタートできます。後で翻訳中に良い記事名を思いついたら、中央の翻訳執筆スペース上部にある記事名を訳し代えましょう。
  • 翻訳元の記事の右メニューにある「他言語版」で、灰色の「日本語」をクリックし、日本語で記事名を書き込む。
本来「他言語版」は、その名の通り同じ内容の他言語版に移動するためのものです。既に日本語版記事がある場合は、青い言語間リンクになっています。日本語版がない場合は灰色のリンクになっていますが、そこを通して翻訳を始めることが出来ます。なお、ここで設定した記事名は翻訳を始めた後でも変更できます。
ただし英語版以外の言語版ですと、灰色の「日本語」表示も出てこない場合があります。その時には先述の方法で翻訳を始めましょう。

機械翻訳を使わない

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日本語版ウィキペディアのコミュニティにおいて、コンテンツ翻訳ツールの評判は芳しくありません。それは多分にツール利用者の質の問題が関わっているのですが、その最たる理由は「機械翻訳を頼っているコンテンツ翻訳利用者が少なくない」点にあるのではないでしょうか。

コンテンツ翻訳には、「Yandex. Translate」なる機械翻訳ツールが搭載されていますデフォルト設定では翻訳フィールドをクリックすると翻訳元の文章が機械翻訳され、脚注などのフォーマットなどもそのままに日本語の節ができてしまいます。極端なことを言えば、節の数だけフィールドをクリックして「公開する」を押す、という数クリックの作業で翻訳記事ができてしまうのです(もちろん機械翻訳の割合が多すぎるという警告は出ますが、そのままでは公開できない、ということではないので、モラルが無い自称翻訳者が上述の手続きだけで記事を作成してしまうこともあり得ます)。しかし、このYandex. Translateの性能ははっきり言って劣悪です(下の項で例証します)。全文をGoogle翻訳に投げ込んだ方がよっぽどマシです。

ではGoogle翻訳はどうかと言えば、最近学習AI導入によって精度が飛躍的に向上したとはいえ、やはり日本語の文章をすべて任せられるまでの質には至っていません。ましてや専門事項を扱うことの多いWikipedia執筆作業では、専門用語や特殊な言い回しはもちろん、些細な短文であっても文脈までGoogleが正しく読み取ってくれるわけがないのです(私自身はAI万能主義者なので、近いうちにGoogleが文脈なども含めた完璧に近い翻訳ツールを完成させてくれることを期待しています)。

開発チームが不完全な機械翻訳をわざわざ搭載しているのは、おそらく不完全なりにも生成された翻訳文を参考にしながら人力翻訳をすすめる、という使い方を想定しているからでしょう。しかし、私もこの使い方は推奨できません。翻訳作業には、少なからず訳者の主観が混じってしまう危険が伴います。それが意訳と言えるレベルに留まるなら問題ないのですが、直前に「誤った訳文=機械翻訳」を目にしてから人力翻訳しようとしても、無意識に機械翻訳に引きずられてしまう恐れがあるのです。

ではどうすればよいのか。意外と認知されていない気がするのですが、自動機械翻訳を簡単に無効化することができるのです。コンテンツ翻訳である記事の翻訳を始めようとすると、画面が三分割され、左に原文、中央に訳文を書いていく翻訳執筆スペース、右に各種ツールボックスが表示されるかと思います。この右側のツールボックスの下側に「機械翻訳」「Yandex. Translateを使用」と書かれたボックスがありますね?これをクリックして「翻訳元の文を使用」、次いで「規定として保持」を選択してください。こうすると、中央の翻訳執筆スペースをクリックした時に左の原文がそのままコピーされるのです。これを、一文一文人力で日本語に置き換えていくようにしましょう。

次項では、機械翻訳を使用した場合の質がどれほどのものか、実例を通して感じてみてください。

原文、Yandex、Google、人力の比較

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セイム (ポーランド・リトアニア共和国)の一部を抜粋

  • 原文

In addition to the regular sessions of the general sejm, in the era of electable kings, beginning in 1573, three special types of sejms (convocation, election, and coronation sejms) handled the process of the royal election in the interregnum period. In total, 173 sejms met between 1569 and 1793.

  • Yandex. Translate (コンテンツ翻訳に搭載)

また、通常のセッションの一般sejmは、時代のelectableキング、1573、特別な種類のsejms(招集の選挙があり、コロネーションsejms)取り扱いには ロイヤル選挙 の interregnum ます。 合計173sejmsたと1569、1793ます。

  • Google翻訳

1573年に始まった一般的なsejmの定期的なセッションに加えて、1573年に始まった選挙可能な王時代に、3つの特別なタイプのsejms(会合、選挙、戴冠式セムス)が、義務教育期間中の王政選挙のプロセスを扱った。合計で、1569年と1793年の間に173の会合があった。

  • 人力翻訳(McYataによる新版立項時の文章)

また、通常のセイムの他にも、選挙王制が確立された1573年以降には、国王死後の空位期間に国王選挙を行う過程で、投票者の招集、選挙、戴冠のためにそれぞれ特別セイムが開かれた。これらを含めると、1569年から1793年までに全部で173回のセイムが開催された。

並べてみると、Yandex. Translateは論外として、Google翻訳でも「sejm(セイム)」や「interregnum(空位時代)」のような歴史用語などに難があることが分かります。

日本語で記事を書く

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機械翻訳では良質な文章を書けないことを述べましたが、人力でやれば問題ないというわけでもありません。結局のところ、文章の質は執筆者個人の力量や内容理解度に大きく左右されます。

例えば、英語版の宗教もしくは歴史の文章に”He broke fast”とあったら、どう訳せばよいでしょうか。「breakfastは朝食・・・?」というところで思考が止まったまま「彼は朝食を食べた」とか「彼は朝食だ」などと書いてWikipediaのページとして公開してしまったら、もはやそれは百科事典の体をなしていません。他人が読んでも分からないのですから。(答え[3])これは一例ですけれども残念ながら、このような誤訳を大量に放置したままの翻訳記事は少なくありません。内容をつかむために読者の側に翻訳元を確認しに行かせるようでは論外です。それでは日本語版記事を執筆した意味がない、というより、もはや日本語とは言えないのです。

このような事態を減らし、無くしていくためには、どうすればよいでしょうか。もちろん翻訳者はその道の専門家とは限らないのですから、わからないことがあって当然です。まずは、自分ではその部分を訳せない、ということを自覚しましょう。そうしたら辞書や参考文献を探し回りましょう。確実に意味が通っていると確信できるまでです。どうしても分からなければ、Wikipedia:執筆・翻訳者の広場へ知恵を借りに行くのも良い手です。どんどん質問しに行きましょう。面倒かもしれませんが、意味の通らない翻訳記事は削除の対象(ケースG)となる恐れがあります。せっかくの努力を無駄にしないためにも、もう少し努力を積み上げて、一定以上の質の記事に仕上げられるといいですね。

また記事を選ぶ時点で、自分の得意分野と言えないものには手を出さないのが賢明です。英語版を読めているつもりでも、実際に一文一文訳していくと、専門知識が無ければうまく訳せない文章が現れるはずです。さらに恐ろしいのは、前掲のbreak fastのように、気づかぬうちに誤訳してしまうことが起こりうる点です。どの分野にも独特の言い回しがあったり、一般的な意味とは異なる言葉の使い方をしたりします。それをうまく訳しきれていないと、読む人にとっての記事の信頼性はガタ落ちします。無理に他の分野に手を出さずとも、あなたが力になれる分野は必ずあるはずですし、そこにはまだ膨大な未訳記事が眠っているはずです。安全なところから翻訳の経験を積んでいけば、次第に自分がどの程度の記事まで訳せるのかわかってくるはずです。

最後に、どれほど気を付けても、翻訳作業に誤訳はつきものです。私たちはアマチュアですから、誤訳の一つや二つで社会的生命を絶たれるようなことはありませんが、だからといって自分の誤訳を放置してよいことにはなりません。ノートや会話、査読ページなどで指摘を受けたら、真摯に吟味して修正しましょう。わざわざ記事を読んで原版と見比べて指摘までしてくださる方は、あなたの敵ではなく、かけがえのない応援者であることを忘れないでください。

部分翻訳を公開しない

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コンテンツ翻訳ツールを使用した場合に限らず、言語間で翻訳された記事の中には、冒頭だけとか前半だけ記事が書かれ、元の言語版の内容が一部分しか反映されていないものがあります。こうしたものは、一応 タグを貼っておけば黙認される部分もありますが、褒められたものではありません。初版作成者が途中で投げ出した翻訳を、わざわざ翻訳元を見ながら補充して完成させてくれるような利用者はなかなかいないので、実際には不完全なスタブ記事が捨て置かれてしまうことになります。青年期しか書かれていない人物記事、背景しか書かれていない事件記事などは非常に見苦しいものです。しかもコンテンツ翻訳は今のところ初版作成のみを想定したツールなので、いったん公開した記事をコンテンツ翻訳で補充していくことができません。翻訳記事を作ると決めたら、最後まで訳し通してください。もし途中で断念したくなったら、出来かけの状態で公開するようなことをせず、未公開の状態にとどめてください。

ただ、些細な障害に直面した程度で翻訳を断念してしまうのももったいないですね。そういうときにこそ、他の利用者を頼りましょう。Wikipedia:執筆・翻訳者の広場では、執筆や翻訳に関する幅広い質問回答が交わされています。「残りの翻訳はやってくれ」と言われて応じる人はいませんが、「ここはどう訳せばいい?」「知らない言葉があるのだけど、何のことだろう?」というように対象を絞った質問であれば、快く解決してくれる人が現れるでしょう。

脚注を編集しましょう

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中央の翻訳執筆スペースを全部訳し終えたらいざ公開!と行きたいところですが、まだ目立たないところに人の手を加えなければいけない部分があります。

日本語フィールドに表示されている脚注([1]というような記号)をクリックして、右側のツールボックスを通じて脚注編集画面に移ってください。脚注のインライン要素として、出典や注釈が表示されるかと思います。平文で補足説明などが書かれている場合は、しっかり翻訳しておきましょう。出典については、わざわざ日本語に訳す必要はありません。洋書なら洋書用の出典の書き方があり、それは日本でも通用するからです。わざわざ日本式の出典記述法に書き換えようとしても上手くいかないでしょう。

では何が修正を要するのか。それは脚注内に内部リンク(ウィキペディアの他のページへ飛ぶためのリンク ⇔ 外部リンク)がある場合です。V1では、脚注内の内部リンクが外部リンク化されてしまうという問題がありました。V2では改善された[4]ものの、脚注内までは内部リンクの変換機能が機能せず、翻訳元の言語版のリンクが残ってしまっています。例えば出典の中にある書名や著者名にリンクが貼られ、個別記事に飛べるようになっているものがあります。しかし日本語版ではそうした個別記事が存在しないものがほとんどです。もし日本語版に記事がある文献/著者であれば、次のように修正してください。

  • [[Herodotus]] (2099) "[[Histories (Herodotus)|Histories]]"~

  • [[ヘロドトス|Herodotus]] (2099) "[[歴史 (ヘロドトス)|Histories]]"~

日本語版に記事が無い文献/著者であれば、リンクを外してください。この確認作業を、記事内のすべての脚注について行ってください。

公開の仕方

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翻訳が完成したら、いよいよ標準名前空間に公開する段階に入ります。ただし、ウィキペディアに翻訳記事を公開するには2通りの段取りがあることを押さえましょう。コンテンツ翻訳ツールの日本語フィールドの右上に「公開する」というボタンがありますが、これを押す前に、すぐ左側にある歯車のマークをクリックしてください。

公開先:新規ページ

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これが選択された状態で「公開する」を押すと、すぐさま正式なウィキペディアの一記事として公開されます。この場合、本来翻訳記事を公開する際に書かなければいけない要約欄は自動で埋めてくれるので、気にしなくても構いません。ただ、#翻訳者が公開前・後にするべき修正で示しているような一部の作業を行う必要があります。2回や3回程度の編集で済むなら大丈夫ですが、それでスタイルを完璧に整備できる自信がないのであれば、次項で紹介する「草稿」機能を利用してください。(Wikipedia:同じ記事への連続投稿を減らすも参照)

公開先:個人の草稿

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これを選択しておくと、ページ名が「利用者:(翻訳者名)/(ページ名)」という表記に置き換わります。この[書式の記事名をつけられた記事は利用者ページに付随するサブページという扱いになり、ある程度自由なことを書いたり編集を繰り返したりすることが認められています。ここで#翻訳者が公開前・後にするべき修正作業を済ませたら、ソースをコピーした後、新規ページを作成する要領で標準名前空間に貼り付けてください。この手順を踏む場合、標準名前空間に投稿する前に「履歴継承」を行うことを絶対に忘れないでください。翻訳記事は、一見すると何を翻訳元としたのかわかりません。そこで、要約欄を用いて、「この言語版のこの記事を翻訳して、この記事を作成しました」ということを書き残さなければならないのです。

書き方は、Wikipedia:翻訳のガイドライン#要約欄への記入を参照してください。もし初版作成時に要約欄を記入し損ねたという場合には、他の利用者が手を加えないうちに、記事のソースを個人用草稿やテキストエディタなどに退避したうえでWikipedia:即時削除の方針#記事にある「全般8」のテンプレートを記事の冒頭に貼り付けてください。記事が削除されたら、退避した文章を使って記事を投稿しなおしてください。今度は要約欄への記入を忘れずに。

翻訳者が公開前・後にするべき修正

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翻訳作業中に一部のテンプレートが日本語フィールドへ反映されなかった、というような不具合があるでしょうから、翻訳元の記事から移植して各項目を翻訳しなおすなど、細々とした事後修正は避けられません。

  • テンプレートを移植・翻訳しましょう。現在のコンテンツ翻訳では、InfoboxやCampaignboxなど多くのテンプレートを翻訳先の記事に対応させることができません。そうしたテンプレートがある記事を訳したら、翻訳元から対象のテンプレートを翻訳先にコピペして、テンプレート内要素を翻訳しておきましょう。脚注が含まれている場合は、もう一度#脚注を編集しましょうを確認してください。
  • デフォルトソートを設定しましょう。Help:カテゴリ#ソートキーWikipedia:カテゴリの方針#ソートキーに従い、記事の下端のカテゴリ群のすぐ上にソートキーを付け加えてください。
    • 基本的には、ソートキーは平仮名で記述します。濁点や半濁点は除き、小文字は大文字、長音は母音に置き換えます(例、ヘーゼルナッツ→{{デフォルトソート:へえせるなつつ}})。
    • 人物名、特に外国人名は特殊な書き方をする場合があります。(例、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト→{{デフォルトソート:もおつあると うおるふかんく あまてうす}})
  • もう一度、脚注が消えていないか確認しましょう。(#脚注を編集しましょう
  • 関連項目と脚注・出典の位置を入れ替えましょう。英語版では、記事の最後に「関連項目」「脚注」「参考文献」「外部リンク」の順で節が並んでいますが、日本語版では「脚注」「参考文献」「関連項目」「外部リンク」の順が基本です(Wikipedia:スタイルマニュアル (レイアウト)#付録節)。

脚注

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  1. ^ a b mw:Content_translation/ja 2018年10月17日12:10 (UTC)時点の版を閲覧。
  2. ^ 2018年8月31日 (金) 15:48 (UTC)の版を参照[1]
  3. ^ 文脈にもよるが、この分野であれば「断食を止める/終える」というような原義に近い意味になることが多い。
  4. ^ CX2: References by name disappear and produce missing reference errors when published