「フランケンシュタイン対地底怪獣」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
各種資料より加筆。
35行目:
| 配給 = 東宝{{R|group="出典"|製作}}{{efn|name="no"}}
| 公開 = {{Plainlist|
* {{flagicon|JPN}} [[1965年]][[8月8日]]{{refnest|group="出典"|{{R|映画資料室|全史547|大ゴジラ271|来襲74|BEST5436|特撮世界110|円谷組297|C大全119|東宝全怪獣|超常識256}}}}{{efn|書籍『ゴジラ来襲』では、「別版93分」と併記している{{R|来襲74}}。}}
* {{flagicon|USA}} [[1966年]][[7月8日]]
}}
| 上映時間 = {{Plainlist|
* {{flagicon|JPN}} 90分{{refnest|group="出典"|{{R|映画資料室|全史547|大ゴジラ271|来襲74|画報122|円谷組297|東宝特撮映画大全集94|東宝全怪獣|超常識256}}}}
* {{flagicon|USA}} 87分
}}
57行目:
 
== 概要 ==
東宝が、海外資本との提携によって怪獣映画の新機軸を模索した意欲作{{R|GTOM vol.027}}。怪獣映画としては日米共同製作である{{R|東宝全怪獣}}。内容は「フランケンシュタインが[[怪獣#フィクションにおける怪獣の属性|地底怪獣]][[バラゴン]]と戦う」というものであり、ゴジラシリーズ以外では怪獣対決映画は初めてとな{{R|東宝全怪獣}}。怪獣と戦う巨人という構図は、後の『[[ウルトラマン]]』などの巨大特撮ヒーローシリーズの先駆けになったとされる{{refnest|group="出典"|{{R|大全集104|大ゴジラ271|BEST5436|特撮世界110|東宝特撮映画大全集97|GTOM vol.027}}}}。怪獣の大きさの設定が従来のゴジラなどの半分程度とされたことにより、ミニチュアのセットの縮尺はそれまでの1/25から1/12とされた。結果的にミニチュアそのもののサイズは従来の2倍となり、よりリアルな表現が可能となった{{refnest|group="出典"|{{R|BEST5436|特撮世界110|東宝特撮映画大全集95|超常識256}}}}。
 
原案を担当したアメリカのSF作家{{仮リンク|ジェリー・ソウル|en|Jerry Sohl}}はアメリカ側スタッフとともに医学監修として来日し、撮影にも立ち会った<ref>東芝EMIのCD『東宝怪獣映画選集7』解説より。</ref>。
64行目:
 
== ストーリー ==
[[第二次世界大戦]]末期終戦直前、陥落寸前の[[ドイツ]]ベルリンのリーゼンドルフ博士の研究室から、[[国家社会主義ドイツ労働者党|ナチ]]によってはるばる日本に「あるもの」が運ばれ、[[Uボート]]を犠牲にしてまで[[広島市|広島]]の「広島[[衛戍]]病院」に移送された。いぶかる移送責任者の河井海軍大尉の質問に対し、軍医長はそれが「フランケンシュタイン博士の創造した不死の心臓である」と説明する。それは大戦の切り札として、この永遠の生命力を持つ心臓をもとに不死身の兵士を作ろうとする日独の秘密の作戦であった。しかし、それは直後に米軍によって投下された[[原子爆弾]]の爆発で消滅したかと思われた。
 
それから時は流れ、15年後の[[1960年]]。広島県のある住宅の飼い犬が何者かによって殺害され、ある小学校でウサギのバラバラ死体が発見される事件が発生。また、激しく雨が降る晩、謎の浮浪児がタクシーにひき逃げされる。数日後、[[厳島|宮島]]周辺に徘徊していたこの浮浪児が、「国際放射線医学研究所」のボーエン博士と助手の戸上季子(とがみ すえこ)たちに保護された。少年は白人種であり、短期のうちに急成長して20メートルに及ぶ巨人となっていく。その知能は低く行動を予測できないため、始末に困ったボーエンらは鉄格子付きの特別室で彼の手首を鎖でつなぎ、「飼育」することとなる。季子は彼を「坊や」と呼んで愛情を寄せる。
114行目:
|出現地=ドイツ{{R|超常識256}}
}}
太平洋戦争の末期終戦直前、不死の兵士を造るためにドイツの潜水艦から広島市へ送られた「フランケンシュタインの心臓」が被爆後、心臓から幹細胞的に自ら人間の姿へと成長した亜人間{{R|C大全102|東宝全怪獣}}。心臓があればたんぱく質を補給する限り、身体を失っても復元するため、不死である{{R|東宝全怪獣|全怪獣大図鑑284|GTOM vol.027}}。
 
その後、放射線医学研究室に保護されたが放射能を浴びて短期間のうちに数メートルにも巨大化。テレビ局の取材中に当てられた照明に驚き、鉄格子を破壊して研究所を脱走する。バラゴンによる家畜や人間に対する食害行為の罪を着せられるが、性格はあくまで気が優しく温厚であり{{R|画報40|東宝全怪獣|全怪獣大図鑑284}}、人間に対して友好的で{{R|GTOM vol.027}}、自分から悪意を持って人間を傷付けることはない{{efn|海外版では、街灯を引き抜いてパトカーに投げつけたり、自動車を投げ壊すなど、フランケンシュタインの凶暴性を示すカットが追加されている{{R|KHBVSM75}}。}}。
 
研究室では特製の衣服を着せられていたが、日本アルプスにいた時点では毛皮をまとっていた{{efn|スチルではボロ布。}}。少年の姿から成長し、最終的には20メートルにまで成長する。その後、自分を追って富士山麓に来たボーエンたちをバラゴンの襲撃から守るためにバラゴンと対決し、苦闘の末にその首を折って倒したが、バラゴンが地中を移動するために掘っていた空洞が原因で地面が陥没し、それに巻き込まれて地中に沈み生き埋めになって絶命してしまう(オリジナル版)。別バージョンでは、バラゴンを倒した直後に湖から現れた大ダコと疲労した状態で連戦し、大ダコに湖に引きずり込まれて相打ちとなる(大ダコ出現版)。
264行目:
この企画案の「フランケンシュタイン」の要素から、『[[ガス人間第一号|ガス人間㐧一号]]』(1960年、[[本多猪四郎]]監督)の続編企画として、『フランケンシュタイン対ガス人間』の脚本が[[関沢新一]]によって起こされたが、未制作に終わった{{refnest|group="出典"|{{R|大全集64|来襲74|画報124|東宝特撮映画大全集96|東宝全怪獣|大辞典162}}{{Sfn|未発表資料アーカイヴ|2010|pp=260-290, 421-422}}}}{{efn|書籍『ゴジラ大全集』では、[[変身人間シリーズ]]の関連作品である『[[マタンゴ]]』の興行的失敗が原因としている{{R|大全集64}}。}}。
 
その一方、「ゴジラ映画」の新作として『[[モスラ対ゴジラ]]』後に『続キングコング対ゴジラ』が検討された後、『フランケンシュタイン対ゴジラ』と題した脚本が[[馬淵薫|木村武]]によって執筆された{{refnest|group="出典"|{{R|大全集64|来襲74|画報124|東宝特撮映画大全集95|東宝全怪獣|大辞典162}}{{Sfn|未発表資料アーカイヴ|2010|pp=291-318, 422}}}}。この時点で[[ゴジラ (架空の怪獣)|ゴジラ]]の部分以外はほぼ本作品と同じストーリーで、ゴジラの部分を新怪獣バラゴンに変更し、本作品に結実した{{refnest|group="出典"|{{R|東宝特撮映画大全集96|東宝全怪獣|大辞典162|超常識256}}}}{{efn|ゴジラから変更になった理由は明らかになっていない{{R|大辞典162}}。書籍『ゴジラ大全集』では、田中友幸がゴジラには海外資本を加えないという方針であったためと記述している{{R|大全集64}}。書籍『ゴジラ大辞典』では、『[[キングコング対ゴジラ]]』と類似するイメージであったことを指摘している{{R|大辞典162}}。}}。
 
監督の本多によれば、冒頭での戦時中の物語は、日独での技術交換([[遣独潜水艦作戦]])から着想を得たという{{R|来襲74}}。