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[[File:Anti vivisection campaigners from 1903.jpg|thumb|動物実験に反対する人たち。1903年撮影]]
{{権利}}
'''動物の権利'''(どうぶつのけんり、'''アニマル・ライツ'''、{{lang-en-short|animal rights}})とは、多くの動物、あるい感覚を持つ全ての動物が、人間にとっての有用性とは無関係に道徳的価値を持ち、その最も基本的な利益(苦しみを避けること等)は、人間同様に配慮されるべきであるという[[哲学]]である<ref>DeGrazia (2002), ch. 2; Taylor (2009), ch. 1.</ref>。 大まかにいうと、特に一般的な言説においては、「動物保護」または「動物の解放」の[[類義語|同意語]]としてしばしば使われる。より狭義には多くの動物が個として尊重された扱いを受ける基本的な権利、すなわち生命、自由、[[動物虐待|虐待]]から解放される権利であり、この権利は集合的な福祉のために覆されることはないという考えを指す<ref>Taylor (2009), ch. 3.</ref>。
 
== 概論 ==
何故権利が人間だけのものであるか」ということは、伝統的には考えられてこなかった。人間であること自体が根拠であった<ref name=":5">{{Cite book|和書| author=田上孝一 |title=権利の哲学入門 |publisher=社会評論社 |page=307}}</ref>。
 
動物の権利運動は、[[ピーター・シンガー]]が[[1975年]]に出版した『[[動物の解放]]』をきっかけに世界中に広まっていった。シンガーはその著書の中で、動物は苦痛を感じる能力に応じて人間と同様の配慮を受けるべき存在であり、種が異なることを根拠に差別を容認するのは[[種差別]]にあたるとした。功利主義の立場に立つシンガーは[[利益に対する平等な配慮]]という原則を強調しつつ、「財産とされない基本権を動物に認めることは、動物の利益に道徳的な重要性を持たせる必要条件ではない」と主張し、動物の持つ権利概念は認めない立場を取った{{sfn|ゲイリー・フランシオン|2018|pp=229-232}}。なお、1978年にシンガーは「動物が持っている唯一の権利は、平等な思いやりを受ける『権利』である。」と述べている<ref>{{Cite book|author=ローレンス・プリングル |title=動物に権利はあるか |publisher=NHK出版 |page=38}}</ref>。
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== 参考文献 ==
* {{Cite book |和書|author=ゲイリー・フランシオン |authorlink=ゲイリー・フランシオン |translator=井上太一 |title=動物の権利入門:わが子を救うか、犬を救うか |date=2018 |publisher=[[緑風出版 ]]|isbn=9784846118044 |ref=harv }}
*ヘルムート・F.カプラン著、ニトライ陽子・田辺リューディア・まきぼう訳『死体の晩餐:動物の権利と菜食の理由』同時代社、2005年。{{ISBN|4886835449}}
*Angus Taylor (2009). ''Animals and Ethics: An Overview of the Philosophical Debate''. Broadview Press.
*[[:en:David DeGrazia|David DeGrazia]] (2002). ''Animal Rights: A Very Short Introduction''. Oxford University Press.
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*田上孝一『はじめての動物倫理学』[[集英社]]〈[[集英社新書]]〉、2021年。{{ISBN|9784087211603}}
*浅野幸治『ベジタリアン哲学者の動物倫理入門』[[ナカニシヤ出版]]、2021年。{{ISBN|9784779515521}}
*船瀬俊介『ヴィトム・レーガン革命:著、井上太一訳『動物食は老化する』ビオの権利マガジン人間の不正:道徳哲学入門』緑風出版、2022年。{{ISBN|97848658811589784846122065}}
*[[船瀬俊介]]『ヴィーガン革命:動物食は老化する』ビオ・マガジン、2022年。{{ISBN|9784865881158}}
*[[佐々木正明]]『「動物の権利」運動の正体』[[PHP研究所]]〈[[PHP新書]]1309〉、2022年。{{ISBN|9784569846989}}
*井上太一『動物倫理の最前線:批判的動物研究とは何か』[[人文書院]]、2022年。{{ISBN|9784409031155}}