ABCエキスタ

大阪駅のアクティ大阪内に開設されたスタジオ

ABCエキスタ(エービーシーエキスタ)は、かつて朝日放送(ABC、現・朝日放送グループホールディングス)のサテライトスタジオとして、日本国有鉄道(国鉄)のち西日本旅客鉄道(JR西日本)大阪駅の高層ビルディング「アクティ大阪」(現・サウスゲートビルディング)内に開設されたスタジオ。

ABCエキスタがあったアクティ大阪(大阪ターミナルビル)
※画像は増床前のもの。現在は低層階のみ手前に増床されている

1983年(昭和58年)4月25日のアクティ大阪のオープンと同時に開設され、1997年(平成9年)4月30日に閉鎖された。

施設概要

編集

スタジオは15階・16階フロアの2層吹き抜けで、背面には36面マルチモニターを装備し番組に連動した映像を映し出した[1]。また本社への映像・音声の伝送は、全て光ケーブルを使った当時としては最新式のものであった。

朝日放送は旧大阪駅時代にも、ラジオのサテライトスタジオを設けていた時期があったが、大阪駅の再開発によりアクティ大阪の建設が決まった際、アクティ大阪の運営会社である大阪ターミナルビル側から「百貨店やホテル以外にも、核となる場所が必要。生活文化の発信基地の役割を担ってもらいたいと」との意見があり、1979年(昭和54年)6月に双方が合意して設置が決まった。

朝日放送の当初の計画では、ラジオ専用のスタジオが計画されていたが、その後テレビスタジオを中心としたものに計画が変更された。元々、アクティ大阪の15階部分は防災面から全体を避難広場とする、吹き通しのオープンスペースに設計されていたが、テレビスタジオを中心にした事で多数のスタッフや機材が出入りするため、防災上オープンスペースではなく、防火壁で取り囲まれた窓のない普通のテレビスタジオとなった[2]

公開放送が行われる時間以外でもエレクトーンの演奏、お笑いタレントによるステージやミニライブなどが行われた他、マルチモニターで高校野球やナイター中継が上映されるなど、イベントスペースとしても利用された。また、1991年(平成3年)には、大阪府の芸能文化資料館「ワッハ上方」の開設準備のため、在阪テレビ局から提供された、往年の漫才や落語のビデオを「公開ダビング」と称して上映するユニークなイベントが行われた。

アクティ大阪開業当時は、ビルの壁面に大阪駅や大阪ターミナルホテル(現:ホテルグランヴィア大阪)、大丸と並んで朝日放送の社名ロゴが描かれたネオン看板が取り付けられていたが、「ABCがアクティ大阪に移転した」と勘違いした人が多くおり、新大阪駅を降りたANN系列局の局員が、タクシーでアクティ大阪に連れてこられたこともあったという[2]

しかし、公開放送がなくなり、設備の劣化やスタジオとしての機能をも全うしたことから、1997年(平成9年)4月30日で閉鎖された。

閉鎖後の跡地は16階に床を設ける改造を行い、15階が大丸ミュージアム、16階はカジュアルダイニングと称した食堂街となっている。

エキスタから放送された番組

編集

テレビ番組

編集

ラジオ番組

編集

脚注

編集
  1. ^ 「放送」『月刊アドバタイジング』第28巻第6号、電通、1983年5月25日、72頁、NDLJP:2262013/38 
  2. ^ a b 朝日放送の50年(朝日放送社史編修室 編、2000年)I 本史 p.246 - 247