民法第1046条
法学>民事法>民法>コンメンタール民法>第5編 相続 (コンメンタール民法)
条文
(遺留分侵害額の請求)
- 第1046条
- 遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。
- 遺留分侵害額は、第1042条の規定による遺留分から第1号及び第2号に掲げる額を控除し、これに第3号に掲げる額を加算して算定する。
解説
- (改正前第1031条解説)
- 遺留分減殺請求権の規定。遺留分権利者(及びその承継人)の法的に認められた遺留分を保護するための制度である。明治民法第1134条を継承。
- 遺留分減殺請求権の法的性質は、形成権であると考えられている。すなわち、相手方に対する一方的な意思表示によって行使することができる。
- ただし、遺留分減殺請求権には期間制限がある。「遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間」または、「相続開始の時から十年」で時効消滅する(旧・第1042条)。
参照条文
判例
- (改正前第1031条関係判例)
- 所有権移転登記手続請求(最高裁判決昭和41年07月14日)
- 権利の行使は受贈者または受遺者に対する意思表示によつてなせば足り、必ずしも裁判上の請求による必要はない。
- 遺留分減殺(最高裁判決 平成8年01月26日)民法第898条、民法第907条、民法第964条
- 遺言者の財産全部の包括遺贈に対して遺留分権利者が減殺請求権を行使した場合に遺留分権利者に帰属する権利は、遺産分割の対象となる相続財産としての性質を有しない。そこで、分割手続は物権法上の共有物分割手続(訴訟手続)である。
- 遺留分減殺請求に基づく持分権確認並びに持分権移転登記手続(最高裁判決 平成8年11月26日)民法第1029条
- 共有持分売却代金(最高裁判決 平成10年03月10日)民法第1040条
- 遺留分減殺、土地建物所有権確認(最高裁判決 平成10年06月11日)
- 第三者異議事件(最高裁判決 平成13年11月22日)民法第423条1項
- 死亡保険金支払請求権確認請求事件(最高裁判決 平成14年11月05日)商法第675条1項
- 所有権移転登記手続請求(最高裁判決昭和41年07月14日)
参考
明治民法において、本条には財産分離時における物上代位の規定の準用に関する準用規定があった。戦後民法では、第946条に継承された。
- 第三百四条ノ規定ハ財産分離ノ場合ニ之ヲ準用ス
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