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「軍事政権」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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近代より前の政権はいずれも軍事政権的色彩あります。また、日本を入れるか否かについてはノートで合意をお願いします。
冒頭の定義に概要の一部を移動、節名を簡潔に変更、英語版en:Military dictatorshipを参考に過去例は近代以降と追記
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{{統治体制}}
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'''軍事政権'''(ぐんじせいけん)は、当該国の[[軍隊]]が統治を行う形の政権。さらに広く、軍の武力を背景に政治を行う国家という意味で'''軍事国家'''(ぐんじこっか)などとも呼ぶ。当記事では主に[[近代]]以降について説明する


なお、外国軍による[[占領行政]]を意味する「軍政」は軍事政権統治ではない。自国の軍人が自国の文民に代わって全権を掌握し執政を行なうのが軍事政権である。
'''軍事政権'''(ぐんじせいけん)は、当該国の[[軍隊]]が統治を行う形の政権。近代以降について言う。さらに広く、軍の武力を背景に政治を行う国家という意味で'''軍事国家'''(ぐんじこっか)などとも呼ぶ。


== 概要 ==
== 概要 ==
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官僚組織の一種である軍隊は選挙や市場原理などによる自浄作用が働かず、国の利益より軍組織や軍首脳の利益を優先しがちになる欠点がある。職業政治家にやる[[民主政]]に対して効率性等で劣る為、現在先進国で軍事政権をとる国家はない。ただし、民政の形をとりながら、[[文民統制]]が働かず、軍が政治に強い影響力を持つ[[トルコ]]や末期の[[大日本帝国]]のような国がある。
官僚組織の一種である軍隊は選挙や市場原理などによる自浄作用が働かず、国の利益より軍組織や軍首脳の利益を優先しがちになる欠点がある。職業政治家にやる[[民主政]]に対して効率性等で劣る為、現在先進国で軍事政権をとる国家はない。ただし、民政の形をとりながら、[[文民統制]]が働かず、軍が政治に強い影響力を持つ[[トルコ]]や末期の[[大日本帝国]]のような国がある。


== 現在の ==
なお、外国軍による[[占領行政]]を意味する「軍政」は軍事政権統治ではない。'''自国の軍人が自国の文民に成り代わって全権を掌握し執政を行なう'''のが軍事政権である。

== 現在の各国の軍事政権 ==
=== 現在軍事政権が統治する国 ===
=== 現在軍事政権が統治する国 ===
* {{flagicon|Fiji}} [[フィジー]]([[2006年]]のクーデターによる)
* {{flagicon|Fiji}} [[フィジー]]([[2006年]]のクーデターによる)
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: 2007年12月に下院議員選挙、2008年3月に上院議員選挙が実施されているが、[[2010年]]現在も現旧両首相が対立している。
: 2007年12月に下院議員選挙、2008年3月に上院議員選挙が実施されているが、[[2010年]]現在も現旧両首相が対立している。


== 過去に存在した軍事政権 ==
== 過去の例(近代以降) ==
注:歴史上の大多数の体制は軍事政権に分類されるため、以下の一覧は近代以降を記載する。
=== アフリカ ===
=== アフリカ ===
* {{flagicon|Algeria}} [[アルジェリア]]([[1965年]]-[[1976年]]、[[1992年]]-[[1994年]])
* {{flagicon|Algeria}} [[アルジェリア]]([[1965年]]-[[1976年]]、[[1992年]]-[[1994年]])

2010年7月12日 (月) 12:00時点における版

軍事政権(ぐんじせいけん)は、当該国の軍隊が統治を行う形の政権。さらに広く、軍の武力を背景に政治を行う国家という意味で軍事国家(ぐんじこっか)などとも呼ぶ。当記事では主に近代以降について説明する。

なお、外国軍による占領行政を意味する「軍政」は軍事政権統治ではない。「自国の軍人が自国の文民に代わって全権を掌握し執政を行なう」のが軍事政権である。

概要

軍事政権は軍首脳が直接的に政権担当を行うことで、文民統制などの一般的な抑止装置が働かない状態にある。具体的には戒厳令を布告したり憲法を停止するなどして、行政権立法権司法権を一手に掌握する。軍部が政権に多大な影響を与えている場合でも、立憲主義的法秩序が維持されている場合は軍事政権の枠組みには含まれない。またイデオロギーに基づく独裁的支配が憲法によって認められている場合も、軍事政権とは異なる形体として類別される。ただしイデオロギー色の薄い軍事政権が名目的に社会主義的独裁を標榜することもあり、境界は曖昧である。

一般的に、現役予備役にある軍人が、憲法上の手続きを踏まずに大統領首相などの政治の要職を占めるか、「**評議会」のような最高機関を設けて統治を行うといった形をとることが多い。

軍事政権は自らを非常時における過渡的政権として正当化を図ることが多い。実際に公約どおり短期間で民政移管がなされる場合もあるが、そういった国ではその後もたびたびクーデターが起って政局が不安定になることがある。また民政移管を約束しながら数十年にわたり政権に居座る場合や、自由選挙を行っても結果が自分達の気に入る物(軍部出身者や軍人の候補が当選する、軍部大臣現役武官制が認められる)でなければ「不正があった」などの理由をつけて民政移管を中止する例もある。

官僚組織の一種である軍隊は選挙や市場原理などによる自浄作用が働かず、国の利益より軍組織や軍首脳の利益を優先しがちになる欠点がある。職業政治家にやる民主政に対して効率性等で劣る為、現在先進国で軍事政権をとる国家はない。ただし、民政の形をとりながら、文民統制が働かず、軍が政治に強い影響力を持つトルコや末期の大日本帝国のような国がある。

現在の例

現在軍事政権が統治する国

ビルマでは1974年に憲法が施行され、ビルマ社会主義計画党(BSPP)による一党独裁体制へと移行した。しかし、BSPP議長職はクーデターを起こしたネ・ウィンが独占し続け、大統領首相職も軍人出身者が占めるなど、軍政の性格を継承したものであった。1988年8888蜂起でBSPP政権は崩壊したが、直後にビルマ軍総参謀長のソウ・マウンがクーデターを実施、国家法秩序回復評議会(のち「国家平和発展評議会」)を発足し、現在に至っている。

現在民政移管の途上にある国

本節では現在民政移管の手続きを進めている、または、2024年10月までに民主的な選挙を行う予定がある国について記述。

2007年12月に下院議員選挙、2008年3月に上院議員選挙が実施されているが、2010年現在も現旧両首相が対立している。

過去の例(近代以降)

注:歴史上の大多数の体制は軍事政権に分類されるため、以下の一覧は近代以降を記載する。

アフリカ

モーリタニアでは、タヤ政権による独裁体制が続いていたが、タヤ大統領に反発する軍の一派が蜂起。タヤ政権を打倒して、軍事政権を樹立。民主化プロセスを推進して、新憲法制定、自由選挙を行い、民主政権へと移行した。軍政が民主化を達成したというケースである。同様のケースとしてはポルトガルカーネーション革命がある。2008年8月、文民政権が腐敗、強権政治を行なっているとして、再び軍事クーデターが発生。2009年に大統領選挙が実地された。

アメリカ大陸

アジア

韓国については、職業軍人出身の朴正煕全斗煥盧泰愚大統領であった時期を「軍事(独裁)政権」と呼ぶことも多い。しかし、あくまで形式的に解釈するならば、「軍事政権」に分類できるのは朴が軍事クーデターで政権を奪取後、現役軍人の身分を保持したまま「国家再建最高会議議長」として執政した1961年から1963年までに限られる、という捉え方もある。

ヨーロッパ

ギリシャ軍事政権
イオン・アントネスク政権。
フランシスコ・フランコ政権。

オセアニア

関連項目