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[[ファイル:Hotsumi Ozaki.JPG|サムネイル|[[ソビエト連邦|ソ連]]の[[スパイ]]・[[扇動者]]、[[尾崎秀実#諜報活動|尾崎秀実]]。彼の扇動が[[日中戦争|日中全面戦争]]や[[太平洋戦争]]の一因となり、日本だけで約310万人が犠牲となった。]] |
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'''扇動'''(せんどう)とは、社会や集団のなかで一部の少数の者が大多数のものに対して巧みな[[演説]]や論説などを駆使することによって[[:Category:群集心理学|群集心理]]を操作し、大多数の者を自分たちにとって都合のよい状態に置き換えるという行為のことである。煽動(せんどう)とも表記される。[[英語]]の[[アジテーション]](agitation)を略して『アジ』と言うこともある。 |
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'''扇動'''(せんどう)とは、大衆の前で[[演説]]などをすることによって、人々の感情を高ぶらせ、意見を変更させたり、特定の行動を起こすように誘導することをいう<ref name=":0">{{Cite web|和書|title=扇動とは|url=https://kotobank.jp/word/%E6%89%87%E5%8B%95-88681|website=コトバンク|accessdate=2021-02-17|language=ja|first=ブリタニカ国際大百科事典|last=小項目事典,デジタル大辞泉,百科事典マイペディア,日本大百科全書(ニッポニカ)}}</ref>。{{読み仮名|'''煽動'''|せんどう}}とも表記される。[[英語]]の[[アジテーション]]({{En|agitation}})を略して『'''アジ'''』と言うこともある。視覚よりも聴覚を利用する方が効果的であるとされ<ref name=":0" />、[[マスメディア]]を利用して動画や音声を放送する手法が用いられる。似たような概念としては、[[教育]]及び[[宣伝]]が挙げられる<ref name=":0" />。 |
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== 海外における扇動 == |
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==歴史== |
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国によっては扇動を行うことそのものが犯罪行為に該当する場合があり、[[ドイツ]]には[[民衆扇動罪]]という罪が存在する。歴史上では、極めて大きな異質な団体などが出現したのは、一人の特質な[[カリスマ性]]を持った指導者が大衆を扇動したことが最大の原因であったという例がしばしば存在する。 |
国によっては扇動を行うことそのものが[[犯罪]]行為に該当する場合があり、[[ドイツ]]には[[民衆扇動罪]]という罪が存在する。歴史上では、極めて大きな異質な団体などが出現したのは、一人の特質な[[カリスマ性]]を持った指導者が大衆を扇動したことが最大の原因であったという例がしばしば存在する。 |
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また、[[ロシア]]の革命家[[ウラジーミル・レーニン]] |
また、[[ロシア]]の革命家[[ウラジーミル・レーニン]]の著作から、政治的宣伝や大衆を政治行動に動員する記述を含んだ論文や著述を、日本共産党中央委員会宣伝部がレーニン全集から選択・編集して「[https://dl.ndl.go.jp/pid/12248699/1/1 宣伝・扇動]」と名付けて出版した[[国民文庫]]<ref>{{Cite book|和書 |title=レーニン 宣伝・扇動(1) |year=1969 |publisher=大月書店 国民文庫 |author=[[レーニン]] |url=https://dl.ndl.go.jp/pid/12248699 |location=[[国立国会図書館]]デジタルコレクション}}</ref><ref>{{Cite book|和書 |title=レーニン 宣伝・扇動(2) |year=1969 |publisher=大月書店 国民文庫 |url=https://dl.ndl.go.jp/pid/12246051 |author=レーニン |location=国立国会図書館デジタルコレクション}}</ref>があるほか、[[東方勤労者共産大学]]のカリキュラムには[[プロパガンダ]]や革命戦術も含まれていた。これだけでなく、[[社会主義国]]([[ソビエト連邦|ソ連]]・[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]など)の[[党の指導性|指導政党]]には「'''宣伝扇動局'''」という部門がある。 |
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==日本== |
==日本== |
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[[ファイル:Mishima Yukio 1970.jpg|サムネイル|[[三島事件]]において、自衛官らの扇動を試みる[[三島由紀夫]]。彼の試みは失敗した。]] |
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日本では煽動について「他人に犯罪その他の違法行為をなさしめるよう刺激を与える行為」と定義され、煽動罪として以下のものが規定されている。 |
[[日本]]の[[法律]]では煽動について「他人に犯罪その他の違法行為をなさしめるよう刺激を与える行為」と定義され、煽動罪として以下のものが規定されている。 |
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*爆発物使用煽動罪([[爆発物取締罰則]]第4条) |
*爆発物使用煽動罪([[爆発物取締罰則]]第4条) |
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*納税妨害煽動罪([[国税 |
*納税妨害煽動罪([[国税通則法]]第126条第1項・[[地方税法]]第21条) |
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*選挙犯罪煽動罪([[公職選挙法]]第234条) |
*選挙犯罪煽動罪([[公職選挙法]]第234条) |
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*薬物犯罪煽動罪([[麻薬特例法]]第9条) |
*薬物犯罪煽動罪([[麻薬特例法]]第9条) |
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*政治目的往来危険煽動罪(破壊活動防止法第40条) |
*政治目的往来危険煽動罪(破壊活動防止法第40条) |
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*公務員等争議行為等煽動罪([[国家公務員法]]第110条・[[地方公務員法]]第61条・[[自衛隊法]]第64条・[[国会職員法]]第18条の2第3項・裁判所職員臨時措置法・[[行政執行法人の労働関係に関する法律|行政執行法人労働関係法]]第17条第1項・[[地方公営企業等の労働関係に関する法律|地方公営企業等労働関係法]]第11条第1項) |
*公務員等争議行為等煽動罪([[国家公務員法]]第110条・[[地方公務員法]]第61条・[[自衛隊法]]第64条・[[国会職員法]]第18条の2第3項・裁判所職員臨時措置法・[[行政執行法人の労働関係に関する法律|行政執行法人労働関係法]]第17条第1項・[[地方公営企業等の労働関係に関する法律|地方公営企業等労働関係法]]第11条第1項) |
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*義務教育諸学校特定政党等支持等教育煽動罪([[義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法]]第4条) |
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*日本安全危害用途目的等特別防衛秘密探知収集煽動罪([[日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法|日米秘密保護法]]第5条第3項) |
*日本安全危害用途目的等特別防衛秘密探知収集煽動罪([[日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法|日米秘密保護法]]第5条第3項) |
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*日本安全危害用途目的特別防衛秘密漏洩煽動罪(日米秘密保護法第5条第3項) |
*日本安全危害用途目的特別防衛秘密漏洩煽動罪(日米秘密保護法第5条第3項) |
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*米国安全危害用途目的等米国軍隊機密探知収集煽動罪([[日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法|日米刑事特別法]]第7条第2項) |
*米国安全危害用途目的等米国軍隊機密探知収集煽動罪([[日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法|日米刑事特別法]]第7条第2項) |
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*米国安全危害用途目的米国軍隊機密漏洩煽動罪(日米刑事特別法第7条第2項) |
*米国安全危害用途目的米国軍隊機密漏洩煽動罪(日米刑事特別法第7条第2項) |
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教唆犯に類似するが、被煽動者が決意を有するに至ったことを必要とせず、煽動行為があればただちに処罰可能な独立共犯である点で異なる。そのため、[[日本国憲法第21条]]に規定された[[表現の自由]]と衝突する可能性もある。煽動罪に関する判例としては食糧緊急措置令 |
教唆犯に類似するが、被煽動者が決意を有するに至ったことを必要とせず、煽動行為があればただちに処罰可能な独立共犯である点で異なる。そのため、[[日本国憲法第21条]]に規定された[[表現の自由]]と衝突する可能性もある。煽動罪に関する判例としては[[食糧緊急措置令事件]]や[[破防法事件]]がある。 |
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== 脚注 == |
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=== 出典 === |
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==関連項目== |
==関連項目== |
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*[[扇動者]] |
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*[[プロパガンダ]]、[[演説技術]] |
*[[プロパガンダ]]、[[演説技術]]、[[マスコミ動員]] |
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*[[ |
*[[扇動者]]、[[諜報活動]] |
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*[[デマ]]、[[集団催眠]] |
*[[噂|デマ]]、[[集団催眠]] |
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*[[陶片追放]] |
*[[陶片追放]] |
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*[[差別]]、[[迫害]]、[[マイノリティ]] |
*[[差別]]、[[迫害]]、[[マイノリティ]] |
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*[[愛国無罪]]、[[反日デモ]]、[[憤青]] |
*[[愛国無罪]]、[[反日デモ]]、[[憤青]] |
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*[[コミンテルン]]、[[スパイ]] |
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*[[南京事件 (1927年)#事件の原因|南京事件]] |
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*[[日比谷焼打事件]] |
*[[日比谷焼打事件]] |
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== 外部リンク == |
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*{{Cite book|和書 |title=宣伝・扇動(1)(国民文庫) |year=1969 |publisher=大月書店 |url=https://dl.ndl.go.jp/pid/12248699/1 |editor= |author=レーニン |location=国立国会図書館デジタルコレクション}} |
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*{{Cite book|和書 |title=宣伝・扇動(2)(国民文庫) |year=1969 |publisher=大月書店 |url=https://dl.ndl.go.jp/pid/12246051 |editor= |author=レーニン |location=国立国会図書館デジタルコレクション}} |
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2024年4月20日 (土) 14:29時点における最新版
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扇動(せんどう)とは、大衆の前で演説などをすることによって、人々の感情を高ぶらせ、意見を変更させたり、特定の行動を起こすように誘導することをいう[1]。
海外における扇動
[編集]国によっては扇動を行うことそのものが犯罪行為に該当する場合があり、ドイツには民衆扇動罪という罪が存在する。歴史上では、極めて大きな異質な団体などが出現したのは、一人の特質なカリスマ性を持った指導者が大衆を扇動したことが最大の原因であったという例がしばしば存在する。
また、ロシアの革命家ウラジーミル・レーニンの著作から、政治的宣伝や大衆を政治行動に動員する記述を含んだ論文や著述を、日本共産党中央委員会宣伝部がレーニン全集から選択・編集して「宣伝・扇動」と名付けて出版した国民文庫[2][3]があるほか、東方勤労者共産大学のカリキュラムにはプロパガンダや革命戦術も含まれていた。これだけでなく、社会主義国(ソ連・北朝鮮など)の指導政党には「宣伝扇動局」という部門がある。
日本
[編集]![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/df/Mishima_Yukio_1970.jpg/220px-Mishima_Yukio_1970.jpg)
日本の法律では煽動について「他人に犯罪その他の違法行為をなさしめるよう刺激を与える行為」と定義され、煽動罪として以下のものが規定されている。
- 爆発物使用煽動罪(爆発物取締罰則第4条)
- 納税妨害煽動罪(国税通則法第126条第1項・地方税法第21条)
- 選挙犯罪煽動罪(公職選挙法第234条)
- 薬物犯罪煽動罪(麻薬特例法第9条)
- 内乱煽動罪(破壊活動防止法第38条第1項)
- 外患煽動罪(破壊活動防止法第38条第1項)
- 政治目的放火煽動罪(破壊活動防止法第39条)
- 政治目的激発物破裂煽動罪(破壊活動防止法第39条)
- 政治目的汽車転覆等煽動罪(破壊活動防止法第39条)
- 政治目的殺人煽動罪(破壊活動防止法第39条)
- 政治目的強盗煽動罪(破壊活動防止法第39条)
- 政治目的騒乱煽動罪(破壊活動防止法第40条)
- 政治目的往来危険煽動罪(破壊活動防止法第40条)
- 公務員等争議行為等煽動罪(国家公務員法第110条・地方公務員法第61条・自衛隊法第64条・国会職員法第18条の2第3項・裁判所職員臨時措置法・行政執行法人労働関係法第17条第1項・地方公営企業等労働関係法第11条第1項)
- 義務教育諸学校特定政党等支持等教育煽動罪(義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法第4条)
- 日本安全危害用途目的等特別防衛秘密探知収集煽動罪(日米秘密保護法第5条第3項)
- 日本安全危害用途目的特別防衛秘密漏洩煽動罪(日米秘密保護法第5条第3項)
- 米国安全危害用途目的等米国軍隊機密探知収集煽動罪(日米刑事特別法第7条第2項)
- 米国安全危害用途目的米国軍隊機密漏洩煽動罪(日米刑事特別法第7条第2項)
教唆犯に類似するが、被煽動者が決意を有するに至ったことを必要とせず、煽動行為があればただちに処罰可能な独立共犯である点で異なる。そのため、日本国憲法第21条に規定された表現の自由と衝突する可能性もある。煽動罪に関する判例としては食糧緊急措置令事件や破防法事件がある。
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ a b c 小項目事典,デジタル大辞泉,百科事典マイペディア,日本大百科全書(ニッポニカ), ブリタニカ国際大百科事典. “扇動とは”. コトバンク. 2021年2月17日閲覧。
- ^ レーニン『レーニン 宣伝・扇動(1)』大月書店 国民文庫、国立国会図書館デジタルコレクション、1969年 。
- ^ レーニン『レーニン 宣伝・扇動(2)』大月書店 国民文庫、国立国会図書館デジタルコレクション、1969年 。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- レーニン『宣伝・扇動(1)(国民文庫)』大月書店、国立国会図書館デジタルコレクション、1969年 。
- レーニン『宣伝・扇動(2)(国民文庫)』大月書店、国立国会図書館デジタルコレクション、1969年 。