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「無誘導爆弾」の版間の差分

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無誘導爆弾は、航空機の爆弾倉または機体下面や主翼下面に設けられた懸架装置に取り付けられる。航空機は無誘導爆弾を懸架して飛行し、目標の上空へ達すると[[照準器]]によって目標を確認し、投弾(切り離し)する。[[第二次世界大戦]]の中盤に無線、[[赤外線]]で誘導される[[誘導爆弾]]が開発されるまでは、航空機搭載爆弾には無誘導爆弾しかなかった。
無誘導爆弾は、航空機の爆弾倉または機体下面や主翼下面に設けられた懸架装置に取り付けられる。航空機は無誘導爆弾を懸架して飛行し、目標の上空へ達すると[[照準器]]によって目標を確認し、投弾(切り離し)する。[[第二次世界大戦]]の中盤に無線、[[赤外線]]で誘導される[[誘導爆弾]]が開発されるまでは、航空機搭載爆弾には無誘導爆弾しかなかった。


[[ベトナム戦争]]時、[[F-4 (戦闘機)|F-4]][[戦闘爆撃機]]の[[射撃管制装置#火器管制システム (航空戦における射撃管制装置)|火器管制システム]]と組み合わされた場合、500ポンド無誘導爆弾は[[平均誤差半径]]122m(400ft)の精度を発揮することができた<ref>{{Cite web|author=Whitney, Bradley & Brown, Inc.|date=2006-10-17|url=http://www.dtic.mil/ndia/2006psa_psts/kuz.pdf|title=Multi-Mode Precision Strike Weapons|format=PDF|language=英語|accessdate=2013-01-27}}</ref>。
[[ベトナム戦争]]時、[[F-4 (戦闘機)|F-4]][[戦闘爆撃機]]の[[射撃管制装置#火器管制システム (航空戦における射撃管制装置)|火器管制システム]]と組み合わされた場合、[[500ポンド無誘導爆弾]]は[[平均誤差半径]]122m(400ft)の精度を発揮することができた<ref>{{Cite web|author=Whitney, Bradley & Brown, Inc.|date=2006-10-17|url=http://www.dtic.mil/ndia/2006psa_psts/kuz.pdf|title=Multi-Mode Precision Strike Weapons|format=PDF|language=英語|accessdate=2013-01-27}}</ref>。

誘導装置を用いない爆弾は単価が安く、[[大量生産]]に適する。無誘導方式の爆弾は、[[誘導爆弾]]や[[ミサイル]]が開発された後も、[[航空機]]における主力地上攻撃[[武装]]として使用されている。また、初期の[[核爆弾]]は、航空機から投下するのみの無誘導爆弾であった。[[湾岸戦争]]においても、投下量自体は誘導兵器よりも無誘導爆弾の方が多い。[[1990年代]]の[[ユーゴスラビア紛争|ユーゴ紛争]]より、急激に誘導爆弾使用割合が増加し、無誘導爆弾の使用が減少した。


== 投下方法 ==
== 投下方法 ==
最も原始的な投下方法でる'''[[水平爆撃]]'''では、目標へ向かって水平飛行しながら爆弾を投下する。投下の際は、目標と運搬する[[航空機]]の位置関係、投下時の航空機の速度、目標の速度、投下後の[[爆弾]]に働く重力や空気抵抗、風向きなどから適切な投下位置を計算せねばならないが、[[第次世界大戦]]まで目算がほとんどで命中精度は低かった。で降下爆撃といったより精度の高い方法使用された[[ノルデン爆撃照準器]]に代表される機械式の自動照準器開発さ代において機上[[コンピュータ]]により投下タイミングが自動計算される。
[[Image:Japanese Type 98 No 25 land bomb.jpg|right|thumb|[[大日本帝国海軍]]が使用した、九八式25番陸用爆弾の構造図。日本海軍における無誘導爆弾の基本的な構造を示す。[[弾頭]]および弾底に信管を装着し、弾体は鋲接で接合された。炸薬量96.6kg。400mmの[[コンクリート]]を貫通した]]

無誘導爆弾の投下っては、目標と運搬する[[航空機]]の位置関係、投下時の航空機の速度、目標の速度、投下後の[[爆弾]]に働く重力や空気抵抗、風向きなどを計算に入れる必要があるが、全ての変数を得れるわけではない[[第次世界大戦]]において、投下の見越し角度は全て目測によるものであった。こうした原始的な[[水平爆撃]]の命中率は低く、より精度の高い[[急降爆撃]]開発された[[第二次世界大戦]]では水平爆撃の他、急降下爆撃も行われ、大戦中に[[照準器]]機械進めらた。在では[[コンピュータ]]により投下タイミングが自動計算される。
精密爆撃の手法である'''[[急降下爆撃]]'''は[[第一次世界大戦]]末期に開発されたもので、目標に向かって(正確には目標より少し先に向かって)急降下しながら爆弾を投下する。手法上投下誤差が小さくなり、一般に水平爆撃よりも投下高度が低いため命中精度は高くなるが、防空システムの発達で危険度が増したことや誘導弾の出現により優位が小さくなったことで現代までにほぼ廃れた。


第二次大戦中に、[[アメリカ陸軍]][[中将]]ジョージ・C・ケニーは反跳爆撃を開発し、[[日本軍]]の艦艇を攻撃した。これは、[[機関銃|機銃]]を増設した航空機が、艦艇に射撃を加えて[[対空砲|対空防御]]を制圧しつつ、海面すれすれの低空で、5秒[[信管|遅延信管]]付きの爆弾を投下すると、石切りと同じ原理で爆弾が海面を跳ねながら突進していくというものである。爆弾が艦艇に命中した場合、舷側または舷側水線下で爆発した。反跳爆撃は、本来点的な攻撃である爆撃が線的な攻撃になった点で[[雷撃]]に近いが、雷撃よりも高速で突入し爆弾を投下できた。[[魚雷]]は、入射角と衝撃を計算に入れて投下せねばならず、また、あまり高速で投下すると弾体が破壊される欠点があった。
主に対艦攻撃に用いられた手法として'''[[反跳爆撃]]'''がある。これは海上を超低空で目標に向かって直進しながら大遅延信管(アメリカ陸軍の場合5秒)を装着した爆弾を投下するもので、爆弾は海面を飛び跳ねながら目標の側面に激突、起爆する。特別な機材がなくとも敵艦船に対して効果的な打撃を加えることができるが、反撃を受けやすい上に難易度は高かった。
<!--第二次大戦中に、[[アメリカ陸軍]][[中将]]ジョージ・C・ケニーは[[反跳爆撃]]を開発し、[[日本軍]]の艦艇を攻撃した。これは、[[機関銃|機銃]]を増設した航空機が、艦艇に射撃を加えて[[対空砲|対空防御]]を制圧しつつ、海面すれすれの低空で、5秒[[信管|遅延信管]]付きの爆弾を投下すると、石切りと同じ原理で爆弾が海面を跳ねながら突進していくというものである。爆弾が艦艇に命中した場合、舷側または舷側水線下で爆発した。反跳爆撃は、本来点的な攻撃である爆撃が線的な攻撃になった点で[[雷撃]]に近いが、雷撃よりも高速で突入し爆弾を投下できた。[[魚雷]]は、入射角と衝撃を計算に入れて投下せねばならず、また、あまり高速で投下すると弾体が破壊される欠点があった。


日本陸海軍も反跳爆撃の実験を行い成功したが、大戦末期の艦艇攻撃の主戦術は[[特別攻撃隊|特攻]]へと傾斜した。[[大日本帝国陸軍|日本陸軍]]の反跳爆撃は、[[1943年|昭和18年]]3月から研究を開始し、[[1944年|昭和19年]]4月には爆弾の整備にまで至った。[[空襲|爆撃]]は、速度500km/hで進入し、距離200mまで接近、高度20-10mで投弾し、離脱するものであった。信管は15秒延期されており、昭和19年[[12月8日]]には[[フィリピン]](おそらく[[レイテ島]][[オルモック湾]])で、[[百式重爆撃機|一〇〇式重爆]]7機が[[輸送艦]]に対し攻撃を実施、1発が命中した。弾種は、強化改良された250kg跳飛爆弾である<ref>兵頭二十八『日本海軍の爆弾』208頁から212頁</ref>。
日本陸海軍も反跳爆撃の実験を行い成功したが、大戦末期の艦艇攻撃の主戦術は[[特別攻撃隊|特攻]]へと傾斜した。[[大日本帝国陸軍|日本陸軍]]の反跳爆撃は、[[1943年|昭和18年]]3月から研究を開始し、[[1944年|昭和19年]]4月には爆弾の整備にまで至った。[[空襲|爆撃]]は、速度500km/hで進入し、距離200mまで接近、高度20-10mで投弾し、離脱するものであった。信管は15秒延期されており、昭和19年[[12月8日]]には[[フィリピン]](おそらく[[レイテ島]][[オルモック湾]])で、[[百式重爆撃機|一〇〇式重爆]]7機が[[輸送艦]]に対し攻撃を実施、1発が命中した。弾種は、強化改良された250kg跳飛爆弾である<ref>兵頭二十八『日本海軍の爆弾』208頁から212頁</ref>。


[[大日本帝国海軍|日本海軍]]の反跳爆撃は、艦艇の側面[[装甲]]の貫通を狙うことにこだわり、戦術化が遅れた。これは、爆撃法が反跳を必要とすることから爆弾がブレて飛翔し、貫通には不適であったことが原因の一つであった。また、信管の開発に時間をとられたこと、弾体強度、弾道直進性、威力などから、大型艦艇への大規模な反跳爆撃の実施に至らず、特攻を主戦術とした<ref>兵頭二十八『日本海軍の爆弾』212頁から217頁</ref>。
[[大日本帝国海軍|日本海軍]]の反跳爆撃は、艦艇の側面[[装甲]]の貫通を狙うことにこだわり、戦術化が遅れた。これは、爆撃法が反跳を必要とすることから爆弾がブレて飛翔し、貫通には不適であったことが原因の一つであった。また、信管の開発に時間をとられたこと、弾体強度、弾道直進性、威力などから、大型艦艇への大規模な反跳爆撃の実施に至らず、特攻を主戦術とした<ref>兵頭二十八『日本海軍の爆弾』212頁から217頁</ref>。-->


さらに自機の速度・高度を大いに利用しトスボミングという投下法もある。これ、急上昇を行いなら爆弾を切り離すことで、より遠方に爆放り投げことできる方法である。目標と自機の距離ことができるが命中精度下するため主に高度からの投下や、自機と爆弾の距離を稼ぐ必要のある[[核爆弾]]の投下法として使用された
'''[[トス爆撃]]'''は自機の速度を利用して爆弾を投げ上げる(トス投下で、最一般的な手順で投下機目標に接近せずに爆行え利点があるが爆弾投げ上げ都合命中精度い。爆弾の滞空時間が長い、低空飛行で投下目標に接近できなど[[核爆弾]]の使用とも相性がいい


== 種類 ==
== 種類 ==
[[Image:Japanese Type 98 No 25 land bomb.jpg|right|thumb|[[大日本帝国海軍]]が使用した、九八式25番陸用爆弾の構造図。日本海軍における無誘導爆弾の基本的な構造を示す。[[弾頭]]および弾底に信管を装着し、弾体は鋲接で接合された。炸薬量96.6kg。400mmの[[コンクリート]]を貫通した]]
誘導装置を必要としない[[爆弾]]は単価が安く、[[大量生産]]に適する。無誘導方式の爆弾は、[[誘導爆弾]]や[[ミサイル]]が開発された後も、[[航空機]]における主力地上攻撃[[武装]]として使用されている。また、初期の[[核爆弾]]は、航空機から投下するのみの無誘導爆弾であった。[[湾岸戦争]]においても、投下量自体は誘導兵器よりも無誘導爆弾の方が多い。[[1990年代]]の[[ユーゴスラビア紛争|ユーゴ紛争]]より、急激に誘導爆弾使用割合が増加し、無誘導爆弾の使用が減少した。
一般的な無誘導爆弾は大きく弾体、信管、安定翼からなる。弾体は主に鉄で作られ、内部には炸薬が充填される。信管は炸薬を起爆させ、目的に応じて瞬発、遅発、近接等の機能が使い分けられる。安定翼は投下された爆弾の姿勢を整え、命中精度や起爆率を向上させる。


[[第二次世界大戦]]当時の日本陸海軍の用いた無誘導爆弾、また、現代の[[軍]]が使用するものの中には空気抵抗板や[[パラシュート]][[バリュート]]が取り付けられた減速爆弾が存在する<ref>兵頭二十八『日本海軍の爆弾』259頁</ref>。これは、航空機が低空から爆弾を投下すると、爆弾炸裂の影響(衝撃波や四散する破片)が投下母機におよぶため、空気抵抗により爆弾の落下速度を下げ、母機の退避時間を稼ぐというものである。こうした爆弾は、投下飛翔中の水平速度が減少し、降下角と地面への入射角が深くなり、炸裂した爆弾がより効果的に爆風と生成破片を放射するという利点もある。地面に着弾した際に侵徹量が少なくなり、地中へと爆発威力をおよぼすよりも、地表へ露出した目標へ威力をおよぼす。
無誘導爆弾の中には空気抵抗板や[[パラシュート]][[バリュート]]が取り付けられたものが存在する<ref>兵頭二十八『日本海軍の爆弾』259頁</ref>。これは、航空機が低空から爆弾を投下すると、爆弾炸裂の影響(衝撃波や四散する破片)が投下母機におよぶため、空気抵抗により爆弾の落下速度を下げ、母機の退避時間を稼ぐというものである。こうした爆弾は、投下飛翔中の水平速度が減少し、降下角と地面への入射角が深くなり、炸裂した爆弾がより効果的に爆風と生成破片を放射するという利点もある。地面に着弾した際に侵徹量が少なくなり、地中へと爆発威力をおよぼすよりも、地表へ露出した目標へ威力をおよぼす。


[[大日本帝国陸軍|日本陸軍]]の開発した[[徹甲弾|徹甲]]爆弾は、[[コンクリート]]で建造された強固な防御[[建築物]]に対して破壊効果を発揮するよう設計された。殻は[[鋳鋼]]熱処理して硬化され[[炸薬]]に発火するまでの秒時遅めるため[[信管|遅延式信管]]を、比較的衝撃対して変形を起こしにく弾底装着した<ref>兵頭二十八『日本海軍の爆弾』80頁</ref>
[[コンクリート]]で建造された強固な防御[[建築物]]や艦艇といった装甲目標使用される爆弾は、着弾時の衝撃で自身が破壊されように頑丈なもち、また同様の理由弾底信管持つもが多い。信管には遅延式のもの用い相手込んだ、あるいは内部貫通侵入した後に炸裂することで大きなダメージを与える
徹甲爆弾は、防御建築物に命中するとコンクリートの壁面を貫通侵入し、遅延信管が作動して目標内部で炸裂する。


[[潜水艦]]を攻撃するための爆弾は通常[[爆雷]](自衛隊では対潜爆弾)と呼ばれる。基本的に無誘導であり、設定した水深や時間、もしくは近接信管により起爆する。潜水艦に対する誘導兵器としては誘導爆弾ではなく魚雷が用いられる。
また、[[大日本帝国海軍|日本海軍]]が使用した対艦用の爆弾は通常爆弾と呼称され、陸上の目標に用いる陸用爆弾とは別個の設計が施された。通常爆弾は、艦艇の[[装甲]]を貫通して内部で炸裂する性能が要求された。艦艇の装甲に対し、陸用爆弾を命中させると衝撃に耐えられず弾殻がはじけ、内部の炸薬が飛散する恐れがあったためである。そこで、弾殻を強靭な鍛鋼で製造し、さらに、命中時の衝撃に耐えられるよう弾殻の厚みが増強されていた。欠点としては製造単価が高価であることと、弾体内部に充填する炸薬量が少なくなったことである<ref>兵頭二十八『日本海軍の爆弾』80頁</ref>。


== 現代の無誘導爆弾 ==
== 現代の無誘導爆弾 ==
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Mk.80 シリーズの爆弾は、以下のバージョンが主として使用されている。
Mk.80 シリーズの爆弾は、以下のバージョンが主として使用されている。
[[Image:North American F-100D-75-NA (SN 56-3184) in flight dropping a Snake-Eye bomb 060922-F-1234S-005.jpg|thumb|250px|Snake Eye]]
* '''BDU-50[[演習弾]]'''(非爆発性) - Mk.82爆弾本体を流用した訓練用のバージョン
* '''BDU-56[[演習弾]]'''(非爆発性) - Mk.84爆弾本体を流用した訓練用のバージョン
* {{Visible anchor|BDU-50}}[[演習弾]](非爆発性) - Mk.82爆弾本体を流用した訓練用
* BDU-56[[演習弾]](非爆発性) - Mk.84爆弾本体を流用した訓練用
* Mk.82 スネークアイ - Mk.82に折り畳み式フィンを取り付けたもの
* Mk.82 Retarded - Mk.82に[[バリュート]]を取り付けたもの。
* Mk.83 Retarded - Mk.83にバリュートを取り付けたもの。
* Mk.84 Retarded - Mk.84にバリュートを取り付けたもの。


なお、アメリカではこれらの無誘導爆弾に装着して精密誘導爆弾化するキットである[[JDAM]]が開発され、2000年ごろから実戦投入されている。
誘導爆弾キット
[[Image:Paveway II p1230135.jpg|thumb|250px|right]]
* '''GBU-12D [[ペイブウェイ#ペイブウェイII|Paveway II]]'''(Mk.82) - [[レーザー誘導爆弾]]。
* '''GBU-16B [[ペイブウェイ#ペイブウェイII|Paveway II]]'''(Mk.83) - レーザー誘導爆弾。
* '''GBU-24B [[ペイブウェイ#ペイブウェイIII|Paveway III]]'''(Mk.84) - レーザー誘導爆弾。
* '''GBU-38 [[JDAM]]'''(Mk.82) - [[慣性航法装置|INS]]/[[グローバル・ポジショニング・システム|GPS]][[誘導爆弾]]。
* '''GBU-32 [[JDAM]]'''(Mk.83) - INS/GPS誘導爆弾。
* '''GBU-31 [[JDAM]]'''(Mk.84) - INS/GPS誘導爆弾。
{{-}}
低高度爆撃用遅延バージョン
[[Image:North American F-100D-75-NA (SN 56-3184) in flight dropping a Snake-Eye bomb 060922-F-1234S-005.jpg|thumb|250px|Snake Eye]]
* '''Mk.82 スネークアイ''' - Mk.82に折り畳み式フィンを取り付けたバージョン
* '''Mk.82 Retarded''' - Mk.82に[[バリュート]]を取り付けたもの。
* '''Mk.83 Retarded''' - Mk.83にバリュートを取り付けたもの。
* '''Mk.84 Retarded''' - Mk.84にバリュートを取り付けたもの。
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=== ソビエト連邦/ロシア ===
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=== フランス ===
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*BANG 125 - 重量125kg
*BANG 250 - 重量221kg<ref>[http://www.mbda-systems.com/air-dominance/bang/ MBDA BANG]</ref>


== 脚注 ==
== 脚注 ==
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== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
* 兵頭二十八『日本海軍の爆弾』光人社NF文庫、2010年。ISBN 978-4-7698-2664-4
* 兵頭二十八『日本海軍の爆弾』光人社NF文庫、2010年。ISBN 978-4-7698-2664-4

== 関連項目 ==
* {{仮リンク|樽爆弾|en|Barrel bomb|label=樽爆弾(Barrel bomb)}} - [[ドラム缶]]などを利用して作られる[[即席]]性の航空爆弾。空飛ぶ[[即席爆発装置]](flying improvised explosive device)とも呼ばれる。
* [[ミサイル]]
* [[地雷]]

== リンク ==


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2024年4月21日 (日) 06:10時点における最新版

無誘導爆弾(Mk.82)

無誘導爆弾(むゆうどうばくだん、Gravity bomb)または自由落下爆弾(じゆうらっかばくだん)は、航空機搭載爆弾の一種。単に航空機から投下する爆弾を示す。最も古くからあるタイプの航空機搭載爆弾。

概要[編集]

無誘導爆弾は、航空機から無線などによる操縦・誘導をともなわず、自由落下によって目標物へと投下される兵器である。爆弾本体の構造は、弾殻・信管炸薬と安定翼で構成される。各国が用いた初期の航空爆弾や大戦中の爆弾には、衝撃による弾体の変形や破壊による不発を少なくするため、信管が複数取り付けられることが多かった[1]

無誘導爆弾は、航空機の爆弾倉または機体下面や主翼下面に設けられた懸架装置に取り付けられる。航空機は無誘導爆弾を懸架して飛行し、目標の上空へ達すると照準器によって目標を確認し、投弾(切り離し)する。第二次世界大戦の中盤に無線、赤外線で誘導される誘導爆弾が開発されるまでは、航空機搭載爆弾には無誘導爆弾しかなかった。

ベトナム戦争時、F-4戦闘爆撃機火器管制システムと組み合わされた場合、500ポンド無誘導爆弾平均誤差半径122m(400ft)の精度を発揮することができた[2]

誘導装置を用いない爆弾は単価が安く、大量生産に適する。無誘導方式の爆弾は、誘導爆弾ミサイルが開発された後も、航空機における主力地上攻撃武装として使用されている。また、初期の核爆弾は、航空機から投下するのみの無誘導爆弾であった。湾岸戦争においても、投下量自体は誘導兵器よりも無誘導爆弾の方が多い。1990年代ユーゴ紛争より、急激に誘導爆弾使用割合が増加し、無誘導爆弾の使用が減少した。

投下方法[編集]

最も原始的な投下方法である水平爆撃では、目標へ向かって水平飛行しながら爆弾を投下する。投下の際は、目標と運搬する航空機の位置関係、投下時の航空機の速度、目標の速度、投下後の爆弾に働く重力や空気抵抗、風向きなどから適切な投下位置を計算せねばならないが、第二次世界大戦までは目算がほとんどで命中精度は低かった。そこで降下爆撃といったより精度の高い投下方法が使用された他ノルデン爆撃照準器に代表される機械式の自動照準器が開発され、現代においては機上コンピュータにより投下タイミングが自動計算される。

精密爆撃の手法である急降下爆撃第一次世界大戦末期に開発されたもので、目標に向かって(正確には目標より少し先に向かって)急降下しながら爆弾を投下する。手法上投下誤差が小さくなり、一般に水平爆撃よりも投下高度が低いため命中精度は高くなるが、防空システムの発達で危険度が増したことや誘導弾の出現により優位が小さくなったことで現代までにほぼ廃れた。

主に対艦攻撃に用いられた手法として反跳爆撃がある。これは海上を超低空で目標に向かって直進しながら大遅延信管(アメリカ陸軍の場合5秒)を装着した爆弾を投下するもので、爆弾は海面を飛び跳ねながら目標の側面に激突、起爆する。特別な機材がなくとも敵艦船に対して効果的な打撃を加えることができるが、反撃を受けやすい上に難易度は高かった。

トス爆撃は自機の速度を利用して爆弾を投げ上げる(トス)投下方法で、最も一般的な手順では投下機が目標に接近せずに爆撃を行える利点があるが爆弾を投げ上げる都合命中精度は低い。爆弾の滞空時間が長い、低空飛行で投下目標に接近できるなど核爆弾の使用とも相性がいい。

種類[編集]

大日本帝国海軍が使用した、九八式25番陸用爆弾の構造図。日本海軍における無誘導爆弾の基本的な構造を示す。弾頭および弾底に信管を装着し、弾体は鋲接で接合された。炸薬量96.6kg。400mmのコンクリートを貫通した

一般的な無誘導爆弾は大きく弾体、信管、安定翼からなる。弾体は主に鉄で作られ、内部には炸薬が充填される。信管は炸薬を起爆させ、目的に応じて瞬発、遅発、近接等の機能が使い分けられる。安定翼は投下された爆弾の姿勢を整え、命中精度や起爆率を向上させる。

無誘導爆弾の中には空気抵抗板やパラシュートバリュートが取り付けられたものが存在する[3]。これは、航空機が低空から爆弾を投下すると、爆弾炸裂の影響(衝撃波や四散する破片)が投下母機におよぶため、空気抵抗により爆弾の落下速度を下げ、母機の退避時間を稼ぐというものである。こうした爆弾は、投下飛翔中の水平速度が減少し、降下角と地面への入射角が深くなり、炸裂した爆弾がより効果的に爆風と生成破片を放射するという利点もある。地面に着弾した際に侵徹量が少なくなり、地中へと爆発威力をおよぼすよりも、地表へ露出した目標へ威力をおよぼす。

コンクリート等で建造された強固な防御建築物や艦艇といった装甲目標に使用される爆弾は、着弾時の衝撃で自身が破壊されないように頑丈な弾体をもち、また同様の理由で弾底信管を持つものが多い。信管には遅延式のものを用い、相手に食い込んだ、あるいは内部に貫通侵入した後に炸裂することで大きなダメージを与える。

潜水艦を攻撃するための爆弾は通常爆雷(自衛隊では対潜爆弾)と呼ばれる。基本的に無誘導であり、設定した水深や時間、もしくは近接信管により起爆する。潜水艦に対する誘導兵器としては誘導爆弾ではなく魚雷が用いられる。

現代の無誘導爆弾[編集]

アメリカ[編集]

過去に朝鮮戦争ベトナム戦争で使用された爆弾であるM117M118英語版は、最新の航空爆弾よりも感度が高く、爆発しやすい炸薬を使用していた。これらの爆弾の一部は、現在もアメリカ軍の兵器庫に残っているものの、ほとんどが消費された。M117は、主としてB-52 ストラトフォートレスによってのみ投下される。

現在主用されるアメリカ軍の汎用爆弾はMark 80系列である。この形式の爆弾は、1946年に空力的な研究が行われた結果、ダグラス航空機会社の設計技師エド・ハイネマンによって設計された「エアロ1A」として知られる形状を採用した。これは艦載機のための最小抗力を追求しており、弾体のサイズは長さと直径の比率が約8対1とされている。モジュラー構造により、頭部や尾部を各種のアタッチメントに交換して誘導爆弾とすることができるという点が特徴である[4]

Mark 80系列の爆弾は、ベトナム戦争以前の戦いには投入されていないが、当時運用されていた旧式な爆弾を装備更新して以来、現在に至るまで使用されている。この汎用爆弾は、4つの基本的な兵装の種類が含まれる。

  • Mark 81 - 公称重量250ポンド(113キロ)
  • Mark 82 - 公称重量500ポンド(227キロ)
  • Mark 83 - 公称重量1,000ポンド(454キロ)
  • Mark 84 - 公称重量2,000ポンド(908キロ)

ベトナム戦争では、Mk.81 ファイアークラッカーが効果不十分であると認められたため、アメリカ軍での使用が中止された。しかし、Mk.81爆弾の最近の精密誘導式の派生形(SDB)は、2003年以降、イラクにおいてアメリカ軍の実戦経験に基づいて運用開始され、巻き添え被害を低減するためにMk.82およびそれよりも大きい爆弾と一部代替されはじめている。また、アメリカ海軍海兵隊の使用する汎用爆弾は、ベトナム戦争以降、航空母艦上で火災が発生した場合に爆発事故を起こす可能性があることから、この不意の爆弾の発火を遅らせるように設計されている。弾体は、表面を厚いアブレーティブ難燃性塗料によって処理されている。

Mk.80 シリーズの爆弾は、以下のバージョンが主として使用されている。

Snake Eye
  • BDU-50演習弾(非爆発性) - Mk.82爆弾本体を流用した訓練用。
  • BDU-56演習弾(非爆発性) - Mk.84爆弾本体を流用した訓練用。
  • Mk.82 スネークアイ - Mk.82に折り畳み式フィンを取り付けたもの。
  • Mk.82 Retarded - Mk.82にバリュートを取り付けたもの。
  • Mk.83 Retarded - Mk.83にバリュートを取り付けたもの。
  • Mk.84 Retarded - Mk.84にバリュートを取り付けたもの。

なお、アメリカではこれらの無誘導爆弾に装着して精密誘導爆弾化するキットであるJDAMが開発され、2000年ごろから実戦投入されている。

ソビエト連邦/ロシア[編集]

FAB-250
FAB-500
  • FAB-250 - 250kg
  • FAB-500 - 500kg
  • FAB-1500 - 1500kg

イギリス[編集]

フランス[編集]

  • BANG 125 - 重量125kg
  • BANG 250 - 重量221kg[5]

脚注[編集]

  1. ^ 兵頭二十八『日本海軍の爆弾』59頁から60頁
  2. ^ Whitney, Bradley & Brown, Inc. (2006年10月17日). “Multi-Mode Precision Strike Weapons” (PDF) (英語). 2013年1月27日閲覧。
  3. ^ 兵頭二十八『日本海軍の爆弾』259頁
  4. ^ Mk80
  5. ^ MBDA BANG

参考文献[編集]

関連項目[編集]

リンク[編集]