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「長崎犯科帳」の版間の差分

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== テレビ版 ==
== テレビ版 ==

=== 再放送 ===
テレビ局は多数あり、2022年現在初放映から47年になります。

全ての再放送を書くと読みづらくなると思われるので、ここには書かないものとします。


=== あらすじ ===
=== あらすじ ===
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=== 特徴 ===
=== 特徴 ===
本作には[[長崎奉行|長崎奉行所]]の判決文集『犯科帳(長崎犯科帳)』をもとに制作したストーリーがあり、『犯科帳 長崎奉行の記録』[[岩波新書]]世に出した郷土史家の[[森永種夫]]が資料提供としてクレジットされている。
本作には[[長崎奉行|長崎奉行所]]の判決文集『犯科帳(長崎犯科帳)』をもとに制作したストーリーがあり、長崎の[[郷土史]]家の[[森永種夫]](『犯科帳 長崎奉行の記録』[[岩波新書]]など著す)が資料提供としてクレジットされている。


[[江戸時代]]としては特殊な地域であった[[長崎市|長崎]]が舞台とあって、従来の時代劇では見られない、[[カステラ]]、[[オランダ凧]]、[[コーヒー]]、[[マルセイユ版タロット|マルセイユ版タロットカード]]、[[チェス]]などといった道具が登場し、台詞には長崎弁([[肥筑方言]])が盛り込まれていた。
[[江戸時代]]特殊な地域であった[[長崎市|長崎]]が舞台とあって、従来の時代劇では見られない、[[カステラ]]、オランダ凧(長崎ハタ)、[[コーヒー]]、[[マルセイユ版タロット|マルセイユ版タロットカード]]、[[チェス]]などといった道具が登場し、台詞には長崎弁([[肥筑方言]])が盛り込まれていた。


=== 登場人物 ===
=== 登場人物 ===
; {{Anchors|平松忠四郎}}平松忠四郎([[萬屋錦之介]])
; {{Anchors|平松忠四郎}}平松忠四郎([[萬屋錦之介]])
: 長崎奉行にして闇奉行。指をパチンと鳴らす癖がある。悪徳商人らからの賄賂を平気で受け取り、その受け取った金を闇奉行としての悪人狩りの資金に当てるという、ある意味では非常に合理的な男。闇奉行として活躍する時には白の着流し、白い[[宗十郎頭巾]]で顔を隠して(昼間は黒を用いる)いるが、その姿でも指を鳴らす癖はそのままのため、悪人の中にはその正体に気づいてから殺される者が少なくない。残る悪人がその回のボス辺りになると自ら覆面を引き下ろし、素顔を見せてからボスや手下を斬る(この手法は、『[[破れ奉行]]』の速水右近にも用いられている)。
: [[石高]]は八百石。前職の[[山田奉行]]時代にはろくに詮議所にも顔を出さず、無能な奉行と評されていた。長崎奉行にして闇奉行。指をパチンと鳴らす癖がある。悪徳商人らからの賄賂を平気で受け取り、その受け取った金を闇奉行としての悪人狩りの資金に当てるという、ある意味では非常に合理的な男。闇奉行として活躍する時には白の着流し、白い[[宗十郎頭巾]]で顔を隠して(昼間は黒を用いる)いるが、その姿でも指を鳴らす癖はそのままのため、悪人の中にはその正体に気づいてから殺される者が少なくない。残る悪人がその回のボス辺りになると自ら覆面を引き下ろし、素顔を見せてからボスや手下を斬る(この手法は、『[[破れ奉行]]』の速水右近にも用いられている)。
: 文武に秀でており剣の腕は[[柳生新陰流]]の達人。新し物好きな性格なためか短銃も良く使う。良順を呼び出す時には[[凧]]を上げて合図にしていた。また仲間であるはずの三次とお文に対して、影では「女や下郎」と呼び、物語後半になるまで自分の正体を明かさず信用もしなかった。
: 文武に秀でており剣の腕は[[柳生新陰流]]の達人。新し物好きな性格なためか短銃も良く使う。良順を呼び出す時には[[凧]]を上げて合図にしていた。また仲間であるはずの三次とお文に対して、影では「女や下郎」と呼び、物語後半になるまで自分の正体を明かさず信用もしなかった。
; {{Anchors|木暮良順}}木暮良順([[田中邦衛]])
; {{Anchors|木暮良順}}木暮良順([[田中邦衛]])
: 蘭学医。だらしない面もあるが医者としては誠実で、腕も確か。[[フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト|シーボルト]]の門下であるという。自分と同業である医者の悪事を許しておけず、殺害した。その手口を忠四郎に見破られ、忠四郎を手伝うはめになった。初めは闇奉行としての彼を嫌々手伝っていたが、段々と仲間意識を強めていった。おぎんといい仲。殺しの時には、[[メス (刃物)|メス]]でこめかみや額を刺す他、[[手裏剣]]の様に投げて相手の急所を刺す。
: 蘭学医。だらしない面もあるが医者としては誠実で、腕も確か。[[フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト|シーボルト]]の門下であるという。自分と同業である医者の悪事を許しておけず、殺害した。その手口を忠四郎に見破られ、忠四郎を手伝うはめになった。初めは闇奉行としての彼を嫌々手伝っていたが、段々と仲間意識を強めていった。おぎんといい仲。殺しの時には、[[メス (刃物)|メス]]でこめかみや額を刺す他、[[手裏剣]]の様に投げて相手の急所を刺す。放映開始時は良純と表示されていたが、途中から良順に変更されている
; {{Anchors|三次}}三次([[火野正平]])
; {{Anchors|三次}}三次([[火野正平]])
: [[丸山 (長崎市)|丸山]]の妓夫太郎(=客引き。牛太郎とも)で通称は出島の三次。初め良順から「オレの用心棒だ」と説明されていた闇奉行を、上述の指を鳴らす癖から“正体は長崎奉行の平松では?”と疑いを持ち探ろうとしたことがある。
: [[丸山 (長崎市)|丸山]]の妓夫太郎(=客引き。牛太郎とも)で通称は出島の三次。初め良順から「オレの用心棒だ」と説明されていた闇奉行を、上述の指を鳴らす癖から“正体は長崎奉行の平松では?”と疑いを持ち探ろうとしたことがある。
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: 長崎奉行所同心。
: 長崎奉行所同心。
; {{Anchors|三島与五郎}}三島与五郎([[御木本伸介]])
; {{Anchors|三島与五郎}}三島与五郎([[御木本伸介]])
: 長崎奉行所与力。杓子定規な堅物で、融通が利かない。忠四郎との初対面の後、長崎会所頭取・福島六左衛門に「全くもって、たわけ奉行で」と印象を伝えるなど、忠四郎に好感を持ってはいないが、職務には忠実。出演は第16話までだが、劇中、退場についての説明はされない。
: 長崎奉行所与力。
; {{Anchors|沢田一馬}}沢田一馬([[太田博之]])
; {{Anchors|沢田一馬}}沢田一馬([[太田博之]])
: 長崎奉行所通詞。
: 長崎奉行所通詞。
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|4月6日
|4月6日
|1||すごい男がやって来た||池田一朗||渡邊祐介||福島六左衛門:[[小沢栄太郎]]<br/>村田屋新兵衛:[[嵯峨善兵]]<br/>長尾神吉:[[北村総一朗]]
|1||すごい男がやって来た||池田一朗||[[渡邊祐介]]||福島六左衛門:[[小沢栄太郎]]<br/>村田屋新兵衛:[[嵯峨善兵]]<br/>長尾神吉:[[北村総一朗]]
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|4月13日
|4月13日
|2||トンネル抜ければ地獄だぜ||下飯坂菊馬<br />藤川洋一||rowspan="2"|大洲斎||中村孫之進:[[橋本功]]<br/>川上彦左衛門:[[和崎俊哉]]<br/>天草屋利右衛門:[[田島義文]]<br/>たか:[[森秋子]]<br/>太一郎:[[松田洋治]]
|2||トンネル抜ければ地獄だぜ||下飯坂菊馬<br />藤川洋一||rowspan="2"|[[大洲斉|大洲斎]]||中村孫之進:[[橋本功]]<br/>川上彦左衛門:[[和崎俊哉]]<br/>天草屋利右衛門:[[田島義文]]<br/>たか:[[森秋子]]<br/>太一郎:[[松田洋治]]
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|4月20日
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|4月27日
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|4||闇の中の闇奉行||小川英<br />胡桃哲||rowspan="2"|松島稔||お時:[[泉晶子]]<br/>京極屋宗兵衛:[[天津敏]]<br/>福田屋和助:[[岩崎信忠]]
|4||闇の中の闇奉行||小川英<br />胡桃哲||rowspan="2"|[[松島稔]]||お時:[[泉晶子]]<br/>京極屋宗兵衛:[[天津敏]]<br/>福田屋和助:[[岩崎信忠]]
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|5月4日
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|5月18日
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|7||闇奉行はよか男||小沢啓一||お亀:[[緑魔子]]<br/>灘屋千造:[[浜田寅彦]]<br/>田島数右衛門:[[成瀬昌彦]]
|7||闇奉行はよか男||[[小沢啓一]]||お亀:[[緑魔子]]<br/>灘屋千造:[[浜田寅彦]]<br/>田島数右衛門:[[成瀬昌彦]]
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|5月25日
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|6月1日
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|9||赤い炎は闇で消せ||長曽我部清親||rowspan="2"|田中徳三||竹次:[[工藤堅太郎 (俳優)|工藤堅太郎]]<br/>おさよ(小稲太夫):[[田島令子]]<br/>牛島剣十郎:[[久富惟晴]]
|9||赤い炎は闇で消せ||長曽我部清親||rowspan="2"|[[田中徳三]]||竹次:[[工藤堅太郎 (俳優)|工藤堅太郎]]<br/>おさよ(小稲太夫):[[田島令子]]<br/>牛島剣十郎:[[久富惟晴]]
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|6月8日
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|7月6日
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|14||旅路の果てのふたり||下飯坂菊馬<br />長曽我部清親||長谷和夫||雪姫:[[有吉ひとみ]]<br/>相良周介:[[夏夕介]]<br/>駒形段造:[[今井健二]]<br/>[[剣持伴紀]]
|14||旅路の果てのふたり||下飯坂菊馬<br />長曽我部清親||[[長谷和夫]]||雪姫:[[有吉ひとみ]]<br/>相良周介:[[夏夕介]]<br/>駒形段造:[[今井健二]]<br/>[[剣持伴紀]]
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|7月13日
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|7月20日
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|16||帰って来た男||宮川一郎||田中徳三||藤屋定右衛門:[[江戸家猫八 (3代目)|江戸家猫八]]<br/>おとせ:[[桜井浩子]]<br/>軍次:[[住吉正博]]<br/>玄:[[田中浩 (俳優)|田中浩]]
|16||帰って来た男||宮川一郎||田中徳三||藤屋定右衛門:[[江戸家猫八 (3代目)|江戸家猫八]]<br/>桔梗屋十兵衛:[[松下達夫]]<br/>おちか:[[小野恵子]]<br/>おとせ:[[桜井浩子]]<br/>軍次:[[住吉正博]]<br/>玄:[[田中浩 (俳優)|田中浩]]<br/>藤次:[[千波丈太郎]]<br/>[[服部哲治]]、[[石丸博也]]
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|7月27日
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|8月3日
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|18||忠四郎危機一髪|| rowspan="2" |池田一朗||松島稔||島左衛門尉高次:[[中村嘉葎雄|中村賀津雄]]<br/>高岩平助:[[玉川伊佐男]]<br/>旗持剣吾:[[大村文武]]
|18||忠四郎危機一髪|| rowspan="2" |池田一朗||松島稔||島左衛門尉高次:[[中村嘉葎雄|中村賀津雄]]<br/>高岩平助:[[玉川伊佐男]]<br/>旗持剣吾:[[大村文武]]<br/>[[沖田駿一]]、[[三上左京]]、[[柄沢英二]]、[[今西正男]]、[[高杉哲平]]
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|8月10日
|8月10日
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|8月31日
|8月31日
|22||子の刻心中||播磨幸治||戸田康貴||おとき:[[水原麻記]]<br/>与之吉:[[石山輝夫|石山律雄]]
|22||子の刻心中||播磨幸治||戸田康貴||おとき:[[水原麻記]]<br/>与之吉:[[石山輝夫|石山律雄]]
角屋伝兵衛:[[田中明夫]]<br />利助:木村元
角屋伝:[[田中明夫]]<br />利助:木村元
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|9月7日
|9月7日
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|次番組=[[十手無用 九丁堀事件帖]]<br /> (21:00 - 21:54) <hr />[[NNNニューススポット]]<br />(21:54 - 22:00)<br />【1分拡大して継続】
|次番組=[[十手無用 九丁堀事件帖]]<br /> (21:00 - 21:54) <hr />[[NNNニューススポット]]<br />(21:54 - 22:00)<br />【1分拡大して継続】
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== 舞台版 ==
== 舞台版 ==
*『長崎犯科帳 オランダ坂の決闘』(吉例第十二回萬屋錦之介特別公演、歌舞伎座、1976年)
* 『長崎犯科帳 オランダ坂の決闘』(吉例第十二回萬屋錦之介特別公演、歌舞伎座、1976年)
*『長崎犯科帳』(地方巡演、1992年)
* 『長崎犯科帳』(地方巡演、1992年)
テレビドラマ版では名前のみの登場だった長崎会所頭取・福島六左衛門が長崎奉行・平松忠四郎の敵役として登場し、クライマックスで対決するという物語になっている。
テレビドラマ版では名前のみの登場だった長崎会所頭取・福島六左衛門が長崎奉行・平松忠四郎の敵役として登場し、クライマックスで対決するという物語になっている。

===スタッフ===
=== スタッフ ===
*原案:[[隆慶一郎|池田一朗]]
* 原案:[[隆慶一郎|池田一朗]]
*脚本・演出:[[土橋成男]]
* 脚本・演出:[[土橋成男]]
===配役===

*平松忠四郎:[[萬屋錦之介]]
=== 配役 ===
*医師木檜良順:尾形伸之介
* 平松忠四郎:[[萬屋錦之介]]
*せいろむの女将お文:[[水谷八重子 (2代目)|水谷良重]]
* 医師木檜良順:尾形伸之介
*花魁琴浦:[[江波杏子]]
*客引き出島三次:[[中村歌六 (5代目)|中村米吉(4代目)]]
* せいろむ女将お文:[[水谷八重子 (2代目)|水谷良重]]
* 花魁琴浦:[[江波杏子]]
*奉行所与力飯塚源八郎:大村文武
* 客引き出島の三次:[[中村歌六 (5代目)|中村米吉(4)]]
*同心加田宇太郎:橋本仙三
* 奉行所与力飯塚源八郎:大村文武
*近習貝田伊織:[[中村錦之助 (2代目)|中村信二郎(代)]]
* 同心加田宇太郎:橋本仙三
*長崎会所頭取福島六左衛門:[[御木本伸介]]
* 近習貝田伊織:[[中村錦之助 (2代目)|中村信二郎(初代)]]
* 長崎会所頭取福島六左衛門:[[御木本伸介]]

== 外部リンク ==
* [https://www.jidaigeki.com/program/detail/jd00012043.html 長崎犯科帳] - [[時代劇専門チャンネル]]のサイト


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[[Category:暗殺者を主人公としたテレビドラマ]]
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[[Category:テレビドラマを原作とする舞台作品]]
[[Category:長崎県を舞台とした舞台作品]]
[[Category:江戸時代を舞台とした舞台作品]]

2024年5月5日 (日) 08:45時点における最新版

長崎犯科帳
ジャンル 時代劇
企画 梅谷茂(日本テレビ)
脚本 池田一朗
下飯坂菊馬
小川英
猪又憲吾 ほか
監督 渡邊祐介
大洲斎
松島稔
森崎東 ほか
出演者 萬屋錦之介
火野正平
杉本美樹
田中邦衛 ほか
オープニング 作曲:矢野誠
エンディング 日暮し『坂道』
製作
プロデューサー 加藤教夫(日本テレビ)
中岡潔治(中村プロ)
中島正幸(ユニオン映画
制作 日本テレビ
放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間1975年4月6日 - 9月28日
放送時間日曜 21:00 - 21:55
放送分55分
回数26
テンプレートを表示

長崎犯科帳』(ながさきはんかちょう)は、日本テレビでは1975年4月6日から同年9月28日まで毎週日曜日21時から21時55分に放映されたテレビ時代劇。全26話。

後年、同じスタッフ、主演、脚本などにより、同名で舞台劇として上演された。

テレビ版

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あらすじ

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江戸末期・文化年間の長崎に主人公・平松忠四郎が新しい長崎奉行として着任する。その長崎とは、わずか一年ごとに交代する奉行より、金という力を持った少数の豪商達が実権を握る町。歴代の長崎奉行は商人と結託し、彼らが非合法なやり口で自らを肥え太らせるのを黙認、その見返りの賄賂で私腹を肥やしてきた。

今回やってきた平松忠四郎もまた例外ではなく、菓子「カステイラ」という名目で贈られた小判を喜んで受け取る、酒好き女好きな男だった。今度の奉行も『また金でどうとでもなる男(いわゆる「昼行灯(ひるあんどん)」)』と見て安心する町年寄たち。しかし昼行灯は忠四郎の仮面であり、蘭学医・良順らと共に許せぬ悪人を闇に始末していく彼らは、「闇奉行」と呼ばれた。

特徴

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本作には長崎奉行所の判決文集『犯科帳(長崎犯科帳)』をもとに制作したストーリーがあり、長崎の郷土史家の森永種夫(『犯科帳 長崎奉行の記録』岩波新書などを著す)が資料提供者としてクレジットされている。

江戸時代、特殊な地域であった長崎が舞台とあって、従来の時代劇では見られない、カステラ、オランダ凧(長崎ハタ)、コーヒーマルセイユ版タロットカードチェスなどといった道具が登場し、台詞には長崎弁(肥筑方言)が盛り込まれていた。

登場人物

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平松忠四郎(萬屋錦之介
石高は八百石。前職の山田奉行時代にはろくに詮議所にも顔を出さず、無能な奉行と評されていた。長崎奉行にして闇奉行。指をパチンと鳴らす癖がある。悪徳商人らからの賄賂を平気で受け取り、その受け取った金を闇奉行としての悪人狩りの資金に当てるという、ある意味では非常に合理的な男。闇奉行として活躍する時には白の着流し、白い宗十郎頭巾で顔を隠して(昼間は黒を用いる)いるが、その姿でも指を鳴らす癖はそのままのため、悪人の中にはその正体に気づいてから殺される者が少なくない。残る悪人がその回のボス辺りになると自ら覆面を引き下ろし、素顔を見せてからボスや手下を斬る(この手法は、『破れ奉行』の速水右近にも用いられている)。
文武に秀でており剣の腕は柳生新陰流の達人。新し物好きな性格なためか短銃も良く使う。良順を呼び出す時にはを上げて合図にしていた。また仲間であるはずの三次とお文に対して、影では「女や下郎」と呼び、物語後半になるまで自分の正体を明かさず信用もしなかった。
木暮良順(田中邦衛
蘭学医。だらしない面もあるが医者としては誠実で、腕も確か。シーボルトの門下であるという。自分と同業である医者の悪事を許しておけず、殺害した。その手口を忠四郎に見破られ、忠四郎を手伝うはめになった。初めは闇奉行としての彼を嫌々手伝っていたが、段々と仲間意識を強めていった。おぎんといい仲。殺しの時には、メスでこめかみや額を刺す他、手裏剣の様に投げて相手の急所を刺す。放映開始時は良純と表示されていたが、途中から良順に変更されている。
三次(火野正平
丸山の妓夫太郎(=客引き。牛太郎とも)で通称は出島の三次。初め良順から「オレの用心棒だ」と説明されていた闇奉行を、上述の指を鳴らす癖から“正体は長崎奉行の平松では?”と疑いを持ち探ろうとしたことがある。
商人や武士などが、己の強いのをいいことに弱者をいたぶり踏みにじるのを強く憎んでおり、闇奉行の仲間になることに非常に積極的だった。18話で忠四郎に命を救われてその正体を知ってからは忠四郎に心酔した。釵(さい)で殴ったり急所を刺す。
おぎん(磯村みどり
居酒屋「せいろむ」の女将。子供の頃に見た象の優しげな目がいたく気に入り、間夫を持つなら象に似た目をした男が良いと思っている。おぎんの基準では、忠四郎の目が象に似た目らしい。居酒屋の名「せいろむ」もその象の故郷の地名からとった。
お文(杉本美樹
闇奉行のメンバー中では唯一の長崎弁使い。序盤は造花の花束を短剣に変える手品を敵に見せ、その剣で急所を刺していたが、その後は最初から短剣で戦うようになった。
加田宇太郎(新克利
長崎奉行所同心。切れ者とは言いがたいが、奉行所と商人の癒着を嫌う真面目な人柄の人物。そのため忠四郎が賄賂を受け取るのにはイヤな顔を見せる。そういう真面目さが好まれてか忠四郎からはウタさんと親しく呼ばれていたが、遊廓に御供をさせられたり凧を作らされたりとかなり振り回されてもいる。
猪俣安兵衛(高峰圭二
長崎奉行所同心。
三島与五郎(御木本伸介
長崎奉行所与力。杓子定規な堅物で、融通が利かない。忠四郎との初対面の後、長崎会所頭取・福島六左衛門に「全くもって、たわけ奉行で」と印象を伝えるなど、忠四郎に好感を持ってはいないが、職務には忠実。出演は第16話までだが、劇中、退場についての説明はされない。
沢田一馬(太田博之
長崎奉行所通詞。

ナレーター:城達也

スタッフ

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放映リスト

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放映年月日は日本テレビのもの。

放映年月日
(1975年)
話数 サブタイトル 脚本 監督 ゲスト
4月6日 1 すごい男がやって来た 池田一朗 渡邊祐介 福島六左衛門:小沢栄太郎
村田屋新兵衛:嵯峨善兵
長尾神吉:北村総一朗
4月13日 2 トンネル抜ければ地獄だぜ 下飯坂菊馬
藤川洋一
大洲斎 中村孫之進:橋本功
川上彦左衛門:和崎俊哉
天草屋利右衛門:田島義文
たか:森秋子
太一郎:松田洋治
4月20日 3 彼奴は医者か殺し屋か 下飯坂菊馬 美里:佐野厚子
引田甚右衛門:香川良介
音羽屋徳兵衛:横森久
4月27日 4 闇の中の闇奉行 小川英
胡桃哲
松島稔 お時:泉晶子
京極屋宗兵衛:天津敏
福田屋和助:岩崎信忠
5月4日 5 殺しの番号 二、三、一 池田一朗 和泉屋彦兵衛:山本麟一
宝泉:天草四郎
勘十:宮口二郎
5月11日 6 虎の罠を噛み破れ 森崎東 要屋五兵衛:竜崎勝
佐吉:浅若芳太郎
松造:郷鍈治
5月18日 7 闇奉行はよか男 小沢啓一 お亀:緑魔子
灘屋千造:浜田寅彦
田島数右衛門:成瀬昌彦
5月25日 8 日見峠に散った花 大洲斎 田之浦冴:木内みどり
岩渕清太:伊藤高
山崎一虎:田口計
黒山英太郎:清水綋治
6月1日 9 赤い炎は闇で消せ 長曽我部清親 田中徳三 竹次:工藤堅太郎
おさよ(小稲太夫):田島令子
牛島剣十郎:久富惟晴
6月8日 10 ウンスンカルタは地獄札 小川英
胡桃哲
小文太:鶴田忍
お恵:服部妙子
五島屋:須賀不二男
唐木寿安:穂積隆信
6月15日 11 真夜中の逃亡者 猪又憲吾 丸山誠治 おこう:上原ゆかり
銀屋万蔵:名和宏
辰吉:寺田農
6月22日 12 刃には刃 眼には眼を 直居欽哉 内出好吉 有馬玄之介:長谷川明男
志摩屋清左衛門:村上冬樹
西海屋十兵衛:外山高士
6月29日 13 闇に消えた用心棒 池田一朗 お仙:珠めぐみ
仁吉:平泉征
浜屋庄兵衛:富田仲次郎
竜太:森山周一郎
7月6日 14 旅路の果てのふたり 下飯坂菊馬
長曽我部清親
長谷和夫 雪姫:有吉ひとみ
相良周介:夏夕介
駒形段造:今井健二
剣持伴紀
7月13日 15 花嫁替玉大作戦 鴨井達比古 戸田康貴 妙:土田早苗
菊枝:香野百合子
美濃屋仙造:高城淳一
備中屋仁平:山岡徹也
北村晃一北町嘉朗池田勝
7月20日 16 帰って来た男 宮川一郎 田中徳三 藤屋定右衛門:江戸家猫八
桔梗屋十兵衛:松下達夫
おちか:小野恵子
おとせ:桜井浩子
軍次:住吉正博
玄哲:田中浩
藤次:千波丈太郎
服部哲治石丸博也
7月27日 17 復讐にかけた姉妹 中村努 大洲斎 珊:松本留美
末次屋九右衛門:菅貫太郎
民蔵:内田勝正
8月3日 18 忠四郎危機一髪 池田一朗 松島稔 島左衛門尉高次:中村賀津雄
高岩平助:玉川伊佐男
旗持剣吾:大村文武
沖田駿一三上左京柄沢英二今西正男高杉哲平
8月10日 19 呪いの連発銃 大洲斎 伍助:睦五郎
伊豆屋善兵:高品格
大村純旦:富川澈夫
8月17日 20 怪談唐人屋敷 直居欽哉 深雪:志摩みずえ
碇屋太兵衛:高木均
お辰:藤江リカ
福松:中村俊男
山田禅二阿藤海麿のぼる
8月24日 21 辻斬り犯人を追え 鴨井達比古 丸山誠治 稲村鬼堂:小松方正
稲村小太郎:西田健
雪絵:今出川西紀
真山知子増田順司島田茂
8月31日 22 子の刻心中 播磨幸治 戸田康貴 おとき:水原麻記
与之吉:石山律雄

角屋伝造:田中明夫
利助:木村元

9月7日 23 風の噂の孫七郎 猪又憲吾 森崎東 彦太:大門正明
溝口新之介:浜田晃
西国屋:須藤健 徳助:山本清
9月14日 24 悪い奴らをあぶりだせ 池田一朗 山城屋:庄司永建
赤松屋:内田稔
虎松:潮健児 熊吉:高杉玄
見明凡太郎
9月21日 25 欲ボケ野郎は海へ沈めろ 下飯坂菊馬 渡邊祐介 弥吉:本郷直樹
お美代:ホーン・ユキ
備前屋:犬塚弘
巳之吉:中田博久
横山リエ江角英明片岡半蔵中川秀人
須賀良小泉郁之助八代康二白井鋭
9月28日 26 さよなら長崎 また来るぜ 池田一朗 原島三左衛門:加藤嘉
加賀屋:川合伸旺
おゆう:佐野厚子
太郎左:梅津栄
ひろみどり加島潤園田健二

前後番組

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日本テレビ 日曜21:00 - 21:55枠
前番組 番組名 次番組
長崎犯科帳
十手無用 九丁堀事件帖
(21:00 - 21:54)
NNNニューススポット
(21:54 - 22:00)
【1分拡大して継続】

舞台版

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  • 『長崎犯科帳 オランダ坂の決闘』(吉例第十二回萬屋錦之介特別公演、歌舞伎座、1976年)
  • 『長崎犯科帳』(地方巡演、1992年)

テレビドラマ版では名前のみの登場だった長崎会所頭取・福島六左衛門が長崎奉行・平松忠四郎の敵役として登場し、クライマックスで対決するという物語になっている。

スタッフ

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配役

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外部リンク

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