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[[ファイル:Wing Loong (3).jpg|サムネイル|300x300ピクセル|中国製UCAVの[[翼竜 (航空機)|翼竜]]]]
{{更新|date=2019年6月}}
'''UCAV'''({{lang-en-short|unmanned combat air vehicle}})は、[[無人航空機]]([[無人機]]、UAV) 、および、[[軍事用ロボット|軍用ロボット]]の一種である。[[空襲|爆撃]]、[[偵察]]任務を行うために特に設計されたものを指す。
[[Image:X-47B over sea.jpg|thumb|250px|[[航空母艦]]での運用が前提のX-47B]]
'''UCAV'''({{lang-en-short|unmanned combat air vehicle}})は、[[無人航空機]]([[無人機]]、UAV) 、および、[[軍事用ロボット|軍用ロボット]]の一種である。[[空襲|爆撃]]任務を行うために特に設計されたものを指す。


== 概要 ==
== 概要 ==
=== 名称について ===
=== 名称について ===
<!--地上管制は人間は行っていて、「機体には乗っていない」ことを強調するために、UはUninhabitedの略だとすることもある。-->「{{lang|en|unmanned combat air vehicle}}」は字義通りには「無人戦闘航空移動体」を意味するが、一般には無人戦闘[[航空機]]、無人戦闘[[攻撃機]]などと呼ばれる。正式な訳語が無い状況であるが、[[防衛省]]では無人戦闘攻撃機としている<ref>[http://www.mod.go.jp/msdf/navcol/SSG/review/1-2/1-2.pdf 海幹校戦略研究 第1巻第2号(通巻第2号) 2011年12月]</ref>。
<!--地上管制は人間は行っていて、「機体には乗っていない」ことを強調するために、UはUninhabitedの略だとすることもある。-->「{{lang|en|unmanned combat air vehicle}}」は字義通りには「無人戦闘航空移動体」を意味するが、一般には無人戦闘[[航空機]]、無人戦闘[[攻撃機]]などと呼ばれる。正式な訳語が無い状況であるが、[[防衛省]]では無人戦闘攻撃機としている<ref>[https://www.mod.go.jp/msdf/navcol/SSG/review/1-2/1-2.pdf 海幹校戦略研究 第1巻第2号(通巻第2号) 2011年12月]</ref>。
[[ファイル:Bayraktar TB2.jpg|サムネイル|307x307ピクセル|トルコ製UCAVの[[バイラクタル TB2|TB2]]]]

無人「[[戦闘機]]」と呼ばれることもあるが、有人機のような汎用性は持たず、一般に知られる戦闘機のような空対空戦闘や[[ドッグファイト|空中戦]]を行うわけではない。精密な攻撃のための空中自律行動・戦闘機能を持つものがUCAVとされるが、この戦闘機能とは現在のところは主に対地攻撃が考えられている。
無人「[[戦闘機]]」と呼ばれることもあるが、有人機のような汎用性は持たず、一般に知られる戦闘機のような空対空戦闘や[[ドッグファイト|空中戦]]を行うわけではない。精密な攻撃のための空中自律行動・戦闘機能を持つものがUCAVとされるが、この戦闘機能とは現在のところは主に対地攻撃が考えられている。


=== 一般的な特徴 ===
=== 一般的な特徴 ===
<!--*生命維持装置が不要なため、その分の重量・スペースを[[燃料]]や[[ペイロード]]に宛てることができる。あるいは、軽量・小型にできる。-->
<!--*生命維持装置が不要なため、その分の重量・スペースを[[燃料]]や[[ペイロード]]に宛てることができる。あるいは、軽量・小型にできる。-->
*用途によって様々な形態が考案されているが、無人であるために比較的小型、軽量であり、[[ステルス性]]を取り入れた設計がなされている。
*[[用途]]によって様々な形態が考案されているが、無人であるために基本的には比較的小型、軽量であり、一部では[[ステルス性]]を取り入れた設計がなされている。
*戦闘や事故により機体が破損・墜落しても人的被害が出ない。そのため、SEAD(敵防空網制圧)、すなわち[[レーダーサイト]]攻撃任務に適すると考えられている。
*戦闘や事故により機体が破損・墜落しても運用者側の人的被害が出ない。そのため、SEAD(敵防空網制圧)、すなわち[[レーダーサイト]]攻撃任務に適すると考えられている。
*無人機は<!--人間(パイロットが乗っておらず、荷重倍数(いわゆるG)の制限は機体のみに依存するため、通常の有人飛行機では困難なアクロバティックな飛行が可能。また、-->[[パイロット (航空)|パイロット]]に休息を与える必要ないため、長時間の飛行が可能となる。[[空中給油]]を組み合わせることで目標付近での攻撃待機や哨戒を数十時間に渡って行うことなども検討されている。
*[[パイロット (航空)|パイロット]]が乗っておらず、荷重倍数(いわゆるG)の制限は機体のみに依存するため、通常の有人飛行機では困難なアクロバティックな飛行が可能。
*飛行中にパイロット休息や交代可能で長時間の飛行が可能となる。[[空中給油]]を組み合わせることで目標付近での攻撃待機や哨戒を数十時間に渡って行うことなども検討されている。


=== 歴史 ===
== 歴史 ==
[[1960年代]]から[[1970年代]]にかけて無線機の小型化や電子誘導装置が発達したことにより、写真[[偵察]]などを目的とする[[D-21 (航空機)|D-21]]や{{仮リンク|ライアンモデル147 ライトニングバグ|en|Ryan Model 147}}などの無人偵察機が[[アメリカ合衆国|アメリカ]]や[[イスラエル]]で本格的に開発され、ライトニングバグの基礎となった標的機の{{仮リンク|BQM-34 ファイヤービー|en|Ryan Firebee}}を使って試験的ながら攻撃用途での開発の先鞭も付けられ、[[AGM-65 マーベリック|マーベリックミサイル]]の発射実験などに成功していた<ref>{{cite web|title=Teledyne Ryan Q-2/KDA/xQM-34/BGM-34 Firebee|web=Designation-Systems.Net |date=2003-05-26 |url=http://www.designation-systems.net/dusrm/m-34.html |accessdate=2019-12-19}}</ref>。
[[1960年代]]から[[1970年代]]にかけて無線機の小型化や電子誘導装置が発達したことにより、写真[[偵察]]などを目的とする[[D-21 (航空機)|D-21]]や{{仮リンク|ライアンモデル147 ライトニングバグ|en|Ryan Model 147}}などの無人偵察機が[[アメリカ合衆国|アメリカ]]や[[イスラエル]]で本格的に開発され、ライトニングバグの基礎となった標的機の{{仮リンク|BQM-34 ファイヤービー|en|Ryan Firebee}}を使って試験的ながら攻撃用途での開発の先鞭も付けられ、[[AGM-65 マーベリック|マーベリックミサイル]]の発射実験などに成功していた<ref>{{cite web|title=Teledyne Ryan Q-2/KDA/xQM-34/BGM-34 Firebee|web=Designation-Systems.Net |date=2003-05-26 |url=http://www.designation-systems.net/dusrm/m-34.html |accessdate=2019-12-19}}</ref>。


[[20世紀]]末からは画像電子機器や通信機器、[[コンピュータ]]の発達により、衛星通信により遠隔地でもリアルタイムで操縦と映像の取得、気象条件が良ければ完全自動操縦などが可能となり、[[対テロ戦争]]が始まった[[21世紀]]からは偵察機型から[[攻撃機]]型への展開が行われた<ref>石川潤一著 『2010年度 米国防予算案を読む』、軍事研究2009年7月号、(株)ジャパン・ミリタリー・レビュー</ref>。
[[20世紀]]末からは画像電子機器や通信機器、[[コンピュータ]]の発達により、衛星通信により遠隔地でもリアルタイムで操縦と映像の取得、気象条件が良ければ完全自動操縦などが可能となり、[[対テロ戦争]]が始まった[[21世紀]]からは偵察機型から[[攻撃機]]型への展開が行われた<ref>石川潤一著 『2010年度 米国防予算案を読む』、軍事研究2009年7月号、(株)ジャパン・ミリタリー・レビュー</ref>。


[[2002年]]12月に[[スティンガーミサイル|スティンガー]]で武装した[[RQ-1 プレデター|MQ-1]]が[[イラク戦争]]で[[イラク軍]]の[[MiG-25]]と交戦し、互いに[[対空兵器]]を装備した有人機無人機の史上初の[[ドッグファイト|空中戦]]となった<ref>Krane, Jim. "Pilotless Warriors Soar To Success." CBS News, 25 April 2003.</ref><ref>Paul J. Springer, Military Robots and Drones: A Reference Handbook (Santa Barbara, CA: ABC-CLIO, 2013), p.23</ref>。[[2007年]]に[[イラク]]と[[アフガニスタン]]で[[MQ-9 リーパー|MQ-9]]が実戦投入された。[[兵器]]のトリガーは地上の人間が握っており、制御ループ内に人間も入る形(マン イン ザ ループ)の設計となっている。主な機能として敵のターゲットと攻撃モードは正確を期するために一度ターゲッティング後に専任オペレーター(教育を受けた[[将校]])が攻撃可否を最終判断する様になっている。これは、システムとしてエラー・ミス・[[誤爆]]([[民間人]]の死亡リスク)を限り無く未然に防止するためである。また、攻撃に使用する[[火薬|爆薬]]は必要最小の物を選択するシステムに都度改善が図られている。
[[2002年]]12月に[[FIM-92 スティンガー|スティンガー]]で武装した[[RQ-1 プレデター|MQ-1]]が[[イラク戦争]]で[[イラク軍]]の[[MiG-25 (航空機)|MiG-25]]と交戦し、互いに[[対空兵器]]を装備した有人機無人機の史上初の[[ドッグファイト|空中戦]]となったが、スティンガーは命中せず、逆に対空ミサイルによって撃墜されてしまった<ref>Krane, Jim. "Pilotless Warriors Soar To Success." CBS News, 25 April 2003.</ref><ref>Paul J. Springer, Military Robots and Drones: A Reference Handbook (Santa Barbara, CA: ABC-CLIO, 2013), p.23</ref>。[[2007年]]に[[イラク]]と[[アフガニスタン]]で[[MQ-9 リーパー|MQ-9]]が実戦投入された。[[兵器]]のトリガーは地上の人間が握っており、制御ループ内に人間も入る形(マン イン ザ ループ)の設計となっている。主な機能として敵のターゲットと攻撃モードは正確を期するために一度ターゲッティング後に専任オペレーター(教育を受けた[[将校]])が攻撃可否を最終判断する様になっている。これは、システムとしてエラー・ミス・[[誤爆]]([[民間人]]の死亡リスク)を未然に防止するためである。また、攻撃に使用する[[火薬|爆薬]]は必要最小の物を選択するシステムに都度改善が図られている。


[[2008年]][[10月]]、[[アメリカ空軍]]第174戦闘飛行隊は、[[F-16 (戦闘機)|F-16]]からMQ-9に機材を更新し、最初のUCAVのみによる戦闘攻撃飛行隊となっている。今後は飛行ルートの選定などにおいてもUCAVが完全に自律作動することを目指していると言われている。
[[2008年]][[10月]]、[[アメリカ空軍]]第174戦闘飛行隊は、[[F-16 (戦闘機)|F-16]]からMQ-9に機材を更新し、最初のUCAVのみによる戦闘攻撃飛行隊となっている。今後は飛行ルートの選定などにおいてもUCAVが完全に自律作動することを目指していると言われている。


攻撃能力を持つ無人機がアフガニスタンと[[パキスタン]]での[[ターリバーン]]、[[アルカーイダ]]攻撃に参加しており、[[2009年]][[8月]]には[[パキスタン・ターリバーン運動]]の[[バイトゥッラー・マフスード]][[司令官]]、[[2013年]][[11月]]には同組織の[[ハキームッラー・マフスード]]司令官の殺害に成功しているが、誤爆や巻き添えによる民間人の犠牲者が多いことが問題となっている<ref>[http://www.jiji.com/jc/v2?id=20100324unmanned_aerial_vehicle_02 無人機プレデター&リーパー【2】死者1000人、巻き添え多数] - [[時事ドットコム]]</ref>。これは、無人機操縦員の誤認や地上部隊の誤報、[[ヘルファイア (ミサイル)|ヘルファイアミサイル]]の威力が大きすぎることなどが原因となっている<ref>[http://mainichi.jp/select/world/news/20100501ddm007030129000c.html テロとの戦いと米国:第4部 オバマの無人機戦争/2 「情報」が招く誤爆] - [[毎日新聞]] 2010年5月1日</ref><ref name="uav01">[http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100427-OYT1T00388.htm 巻き添え減らせ、CIAが対テロ新型ミサイル] - [[読売新聞]] 2010年4月27日</ref>。ヘルファイアミサイルの問題に関してはより小型で精密なスコーピオンミサイルを採用して対処することになっている<ref name="uav01"/>。
攻撃能力を持つ無人機がアフガニスタンと[[パキスタン]]での[[ターリバーン]]、[[アルカーイダ]]攻撃に参加しており、[[2009年]][[8月]]には[[パキスタン・ターリバーン運動]]の[[バイトゥッラー・マフスード]][[司令官]]、[[2013年]][[11月]]には同組織の[[ハキームッラー・マフスード]]司令官の殺害に成功しているが、誤爆や巻き添えによる民間人の犠牲者が多いことが問題となっている<ref>[https://www.jiji.com/jc/v2?id=20100324unmanned_aerial_vehicle_02 無人機プレデター&リーパー【2】死者1000人、巻き添え多数] - [[時事ドットコム]]</ref>。これは、無人機操縦員の誤認や地上部隊の誤報、[[ヘルファイア (ミサイル)|ヘルファイアミサイル]]の威力が大きすぎることなどが原因となっている<ref>[http://mainichi.jp/select/world/news/20100501ddm007030129000c.html テロとの戦いと米国:第4部 オバマの無人機戦争/2 「情報」が招く誤爆] - [[毎日新聞]] 2010年5月1日</ref><ref name="uav01">[https://web.archive.org/web/20100430135930/http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100427-OYT1T00388.htm 巻き添え減らせ、CIAが対テロ新型ミサイル] - [[読売新聞]] 2010年4月27日</ref>。ヘルファイアミサイルの問題に関してはより小型で精密な[[Small Smart Weapon|スコーピオンミサイル]]を採用して対処することになっている<ref name="uav01"/>。


また、世界最大のUCAV輸出国<ref>{{cite news |url=https://nationalinterest.org/blog/buzz/really-big-deal-china-drone-superpower-47692 |title=A Really Big Deal: China is a Drone Superpower |publisher=[[ナショナル・インタレスト]] |date=2019-03-16|accessdate=2019-03-22}}</ref>となった[[中華人民共和国|中国]]は[[翼竜 (航空機)|翼竜]]や[[彩虹 (航空機)|彩虹]]など積極的にUCAVを[[発展途上国]]に輸出してイラク軍<ref>{{Cite web|author=|url=http://www.recordchina.co.jp/b125510-s0-c20.html|title=中国製無人機がイスラム国拠点を破壊=低価格高性能の新型機―イラク|publisher=[[Record China]]|date=2015-12-21|accessdate=2017-04-15}}</ref>や[[エジプト]]軍<ref>{{Cite web|author=|url=http://www.defenseworld.net/news/23535/Egyptian_Air_Force_Shows_off_Chinese_made_Wing_Loong_Attack_Drones|title=Egyptian Air Force Shows-Off Chinese-Made Wing Loong Attack Drones|publisher=Defence Web|date=2018-10-19|accessdate=2018-11-06}}</ref><ref>{{Cite web|author=|url=https://www.liveleak.com/view?i=8ab_1492694560|title=Egyptian Air Force Drone Attack|publisher=LiveLeak.com |accessdate=2017-04-29}}</ref><ref>{{Cite web|author=|url=http://english.alarabiya.net/en/features/2017/02/27/The-story-of-the-Wing-Loong-drone-and-the-Egyptian-battle-against-ISIS-in-Sinai.html|title=The story of the Wing Loong drone and the Egyptian battle against ISIS in Sinai|publisher=[[アル=アラビーヤ]]|accessdate=2017-04-15}}</ref>の[[ISIL]]への作戦、[[ナイジェリア]]軍の[[ボコ・ハラム]]攻撃<ref>{{Cite web|author=|url=http://www.defenceweb.co.za/index.php?option=com_content&view=article&id=53613:algeria-egypt-unveil-chinese-uavs|title=Algeria, Egypt unveil Chinese UAVs|publisher=Defence Web|date=2018-11-02|accessdate=2018-11-06}}</ref>、[[サウジアラビア]]と[[アラブ首長国連邦]]の[[2015年イエメン内戦|イエメン内戦]]への軍事介入<ref>{{Cite web|author=|url=https://www.scmp.com/news/world/middle-east/article/3030823/chinese-drones-hunt-turkish-drones-libya-air-war|title=Chinese drones hunt Turkish drones in Libya air war|publisher=[[サウスチャイナ・モーニング・ポスト]]|date=2019-09-29|accessdate=2019-11-13}}</ref><ref>{{Cite web|author=|date=2015-12-17|url=http://militaryedge.org/articles/uae-saudi-arabia-operating-chinese-uavs-yemen/|title=UAE, Saudi Arabia Operating Chinese UAVs Over Yemen|publisher=Military Edge|accessdate=2018-04-06}}</ref><ref>http://foreignpolicy.com/2018/04/27/drone-wars-how-the-uaes-chinese-made-drone-is-changing-the-war-in-yemen/</ref>などで使用されており、[[先進国]]に輸出を限定していた米国もこれに規制緩和で対抗し<ref>{{Cite web|author=|date=2018-04-20|url=https://mainichi.jp/articles/20180421/k00/00m/030/042000c|title=無人機輸出の規制緩和 武器売却拡大へ方針|accessdate=2018-06-18}}</ref>、UCAVの拡散による紛争拡大が懸念されている<ref>{{Cite web|author=|date=2016-04-24|url=http://www.cnn.co.jp/world/35081142.html|title=無人機市場で存在感増す中国、兵器拡散で紛争拡大の懸念も|publisher=[[CNN]]|accessdate=2017-04-09}}</ref>。また、[[イラン]]は武装無人機の{{仮リンク|シャヘド129|en|Shahed 129}}によって[[シリア]]で反政府勢力を攻撃し<ref>Gettinger, Dan (December 2016). "Drones Operating in Syria and Iraq" . Center for the Study of the Drone at Bard College.</ref>、市販の中国製エンジンを搭載した{{仮リンク|アバビール|en|Ababil}}のような武装無人機を中東の[[シーア派]]民兵組織に拡散させて問題になっており<ref>{{Cite web|author=|date=2019-10-07|url=https://wired.me/technology/killer-drone-middle-east-online/|title=The killer-drone parts available online for less than $600|publisher=[[WIRED]]|accessdate=2019-12-17}}</ref><ref>{{Cite web|author=|date=2019-09|url=https://www3.nhk.or.jp/news/special/new-middle-east/drone-warfare/|title=拡散する“現代のカラシニコフ” 中東ドローン戦争|publisher=[[NHK]]|accessdate=2019-09-10}}</ref>、[[イエメン]]の[[フーシ]]が自前化したアバビール(カセフ1)や{{仮リンク|サマド3|en|Samad (UAV)}}などで[[サウジ石油施設攻撃]]を起こして世界経済に大きな影響を与えた<ref>{{Cite web|author=|date=2019-09-19|url=https://jp.reuters.com/article/saudi-attack-brirf-idJPKBN1W329C|title=サウジ、攻撃使用の無人機残骸を公表 イラン関与「疑いない」|publisher=[[ロイター]]|accessdate=2019-11-18}}</ref>。[[2014年リビア内戦]]では暫定政府の[[トルコ]]製無人攻撃機の{{仮リンク|バイラクタルTB2|en|Bayraktar Tactical UAS}}と[[リビア国民軍]]の中国製無人攻撃機の翼竜が互いに破壊し合う無人機戦争が起きている<ref>{{Cite web|author=|date=2019-09|url=https://www.scmp.com/news/world/middle-east/article/3030823/chinese-drones-hunt-turkish-drones-libya-air-war|title=Chinese drones hunt Turkish drones in Libya air war|publisher=[[サウスチャイナ・モーニング・ポスト]]|accessdate=2019-09-10}}</ref>。
また、世界最大のUCAV輸出国<ref>{{cite news |url=https://nationalinterest.org/blog/buzz/really-big-deal-china-drone-superpower-47692 |title=A Really Big Deal: China is a Drone Superpower |publisher=[[ナショナル・インタレスト]] |date=2019-03-16|accessdate=2019-03-22}}</ref>となった[[中華人民共和国|中国]]は[[翼竜 (航空機)|翼竜]]や[[彩虹 (航空機)|彩虹]]など積極的にUCAVを[[発展途上国]]に輸出してイラク軍<ref>{{Cite web|和書|author=|url=https://www.recordchina.co.jp/b125510-s0-c70-d0000.html|title=中国製無人機がイスラム国拠点を破壊=低価格高性能の新型機―イラク|publisher=[[Record China]]|date=2015-12-21|accessdate=2017-04-15}}</ref>や[[エジプト]]軍<ref>{{Cite web|author=|url=http://www.defenseworld.net/news/23535/Egyptian_Air_Force_Shows_off_Chinese_made_Wing_Loong_Attack_Drones|title=Egyptian Air Force Shows-Off Chinese-Made Wing Loong Attack Drones|publisher=Defence Web|date=2018-10-19|accessdate=2018-11-06}}</ref><ref>{{Cite web|author=|url=http://english.alarabiya.net/en/features/2017/02/27/The-story-of-the-Wing-Loong-drone-and-the-Egyptian-battle-against-ISIS-in-Sinai.html|title=The story of the Wing Loong drone and the Egyptian battle against ISIS in Sinai|publisher=[[アル=アラビーヤ]]|accessdate=2017-04-15}}</ref>の[[ISIL]]への作戦、[[ナイジェリア]]軍の[[ボコ・ハラム]]攻撃<ref>{{Cite web|author=|url=http://www.defenceweb.co.za/index.php?option=com_content&view=article&id=53613:algeria-egypt-unveil-chinese-uavs|title=Algeria, Egypt unveil Chinese UAVs|publisher=Defence Web|date=2018-11-02|accessdate=2018-11-06}}</ref>、[[サウジアラビア]]と[[アラブ首長国連邦]]の[[イエメン内戦 (2015年-)|イエメン内戦]]への軍事介入<ref>{{Cite web|author=|url=https://www.scmp.com/news/world/middle-east/article/3030823/chinese-drones-hunt-turkish-drones-libya-air-war|title=Chinese drones hunt Turkish drones in Libya air war|publisher=[[サウスチャイナ・モーニング・ポスト]]|date=2019-09-29|accessdate=2019-11-13}}</ref><ref>{{Cite web|author=|date=2015-12-17|url=http://militaryedge.org/articles/uae-saudi-arabia-operating-chinese-uavs-yemen/|title=UAE, Saudi Arabia Operating Chinese UAVs Over Yemen|publisher=Military Edge|accessdate=2018-04-06}}</ref><ref>http://foreignpolicy.com/2018/04/27/drone-wars-how-the-uaes-chinese-made-drone-is-changing-the-war-in-yemen/</ref>などで使用されており、[[先進国]]に輸出を限定していた米国もこれに規制緩和で対抗し<ref>{{Cite web|和書|author=|date=2018-04-20|url=https://mainichi.jp/articles/20180421/k00/00m/030/042000c|title=無人機輸出の規制緩和 武器売却拡大へ方針|accessdate=2018-06-18}}</ref>、UCAVの拡散による紛争拡大が懸念されている<ref>{{Cite web|和書|author=|date=2016-04-24|url=http://www.cnn.co.jp/world/35081142.html|title=無人機市場で存在感増す中国、兵器拡散で紛争拡大の懸念も|publisher=[[CNN]]|accessdate=2017-04-09}}</ref>。また、[[イラン]]は武装無人機の{{仮リンク|シャヘド129|en|Shahed 129}}によって[[シリア]]で反政府勢力を攻撃し<ref>Gettinger, Dan (December 2016). "Drones Operating in Syria and Iraq" . Center for the Study of the Drone at Bard College.</ref>、市販の中国製エンジンを搭載した{{仮リンク|アバビール|en|HESA Ababil}}のような武装無人機を中東の[[シーア派]]民兵組織に拡散させて問題になっており<ref>{{Cite web|author=|date=2019-10-07|url=https://wired.me/technology/killer-drone-middle-east-online/|title=The killer-drone parts available online for less than $600|publisher=[[WIRED]]|accessdate=2019-12-17}}</ref><ref>{{Cite web|和書|author=|date=2019-09|url=https://www3.nhk.or.jp/news/special/new-middle-east/drone-warfare/|title=拡散する“現代のカラシニコフ” 中東ドローン戦争|publisher=[[日本放送協会|NHK]]|accessdate=2019-09-10}}</ref>、[[イエメン]]の[[フーシ]]が自前化したアバビール(カセフ1)や{{仮リンク|サマド3|en|Samad (UAV)}}などで[[サウジ石油施設攻撃]]を起こして世界経済に大きな影響を与えた<ref>{{Cite web|和書|author=|date=2019-09-19|url=https://jp.reuters.com/article/saudi-attack-brirf-idJPKBN1W329C|title=サウジ、攻撃使用の無人機残骸を公表 イラン関与「疑いない」|publisher=[[ロイター]]|accessdate=2019-11-18}}</ref>。[[2014年リビア内戦]]では暫定政府の[[トルコ]]製無人攻撃機の[[バイラクタル TB2]]と[[リビア国民軍]]の中国製無人攻撃機の翼竜が互いに破壊し合う無人機戦争が起きている<ref>{{Cite web|author=|date=2019-09|url=https://www.scmp.com/news/world/middle-east/article/3030823/chinese-drones-hunt-turkish-drones-libya-air-war|title=Chinese drones hunt Turkish drones in Libya air war|publisher=[[サウスチャイナ・モーニング・ポスト]]|accessdate=2019-09-10}}</ref>。


[[テロ]]組織側でもISILは滑走路での離着陸を必要としない[[DJI]]<ref>{{Cite web|author=|date=2016-10-11|url=http://gizmodo.com/isis-is-now-turning-hobby-drones-into-makeshift-smart-b-1787687168|title=ISIS Is Now Using Hobby Drones to Kill People|publisher=[[ギズモード]]|accessdate=2017-04-09}}</ref>や[[スカイウォーカー・テクノロジー]]など殆どは世界市場でメジャーな中国製<ref>{{Cite web|author=|date=2017-12-10|url=https://www.ft.com/content/82a29f96-c9e7-11e7-ab18-7a9fb7d6163e|title=Isis use of hobby drones as weapons tests Chinese makers|publisher=[[ファイナンシャル・タイムズ]]|accessdate=2018-07-06}}</ref>の商用無人機に爆発物を搭載した事実上のUCAVに改造するといった利用が拡大しており、構造は単純で、真下に爆弾を落とすだけの簡素なものだが、誤差数メートルという驚異的な精度で攻撃できた。小型のドローンは被発見性も低く、騒音も軍用機に比べてはるかに小さいため、直下の兵士が全く気付かないまま攻撃を受けることもあった。戦車に対する攻撃にも使用されており、撃破の事例はまだないが、対戦車榴弾や対戦車ロケットによる攻撃が試みられている。少なくともこの攻撃で乗員が殺傷されたことがISの連日投稿する動画で確認されており、脅威度の高さを裏付けるものとなった。民生用ドローンを攻撃用途に用いる場合、防護が一切ないので小銃弾を受けるだけで簡単に撃墜されてしまうが、十分な高度があれば攻撃後の退避は容易である。赤外線をほとんど出さない上にRCSも低いので、SAMによる対処は不可能である。軍用機として見れば極めて安価であり、歩兵が直接運用し自前で近接航空支援が可能なことから、テロリストから見れば理想的な航空兵器であり、懸念が高まっている。商用無人機の高性能化でイラクでは充電不足で自動帰還したテロ用無人機にISILの戦闘員が誤爆されるという事故も起きている<ref>{{Cite web|author=|date=2019-08-25|url=https://www.thesun.co.uk/news/9797095/isis-fighter-killed-by-drone-bomb/|title=JIHADI KARMA ISIS fighter killed by drone bomb he was operating after it ran low on battery and flew back|publisher=[[ザ・サン]]|accessdate=2019-09-10}}</ref>。[[ベネズエラ]]では爆弾を搭載したDJIの商用無人機を武装化して大統領暗殺を狙ったテロ事件([[:en:Caracas drone attack|Caracas drone attack]])も起きており<ref>{{cite news |title=Venezuela says it has ID'd mastermind, accomplices in apparent Maduro assassination try |url=https://www.cnn.com/2018/08/06/americas/venezuela-maduro-apparent-assassination-attempt/index.html |accessdate=2018-11-13 |work=[[CNN]] |date=6 August 2018}}</ref>、これはドローンによる国家指導者に対する初のテロとされた<ref>{{Cite web|author=|date=2017-12-10|url=https://www.nytimes.com/2018/08/04/world/americas/venezuelan-president-targeted-in-attack-attempt-minister-says.html|title=Venezuelan President Targeted by Drone Attack, Officials Say|publisher=[[ニューヨーク・タイムズ]]|accessdate=2019-11-13}}</ref>。
[[テロ]]組織側でもISILは滑走路での離着陸を必要としない[[DJI (会社)|DJI]]<ref>{{Cite web|author=|date=2016-10-11|url=http://gizmodo.com/isis-is-now-turning-hobby-drones-into-makeshift-smart-b-1787687168|title=ISIS Is Now Using Hobby Drones to Kill People|publisher=[[ギズモード]]|accessdate=2017-04-09}}</ref>や[[スカイウォーカー・テクノロジー]]など殆どは世界市場でメジャーな中国製<ref>{{Cite web|author=|date=2017-12-10|url=https://www.ft.com/content/82a29f96-c9e7-11e7-ab18-7a9fb7d6163e|title=Isis use of hobby drones as weapons tests Chinese makers|publisher=[[ファイナンシャル・タイムズ]]|accessdate=2018-07-06}}</ref>の商用無人機に爆発物を搭載した事実上のUCAVに改造するといった利用が拡大しており、構造は単純で、真下に爆弾を落とすだけの簡素なものだが、誤差数メートルという驚異的な精度で攻撃できた。小型のドローンは被発見性も低く、騒音も軍用機に比べてはるかに小さいため、直下の兵士が全く気付かないまま攻撃を受けることもあった。戦車に対する攻撃にも使用されており、撃破の事例はまだないが、対戦車榴弾や対戦車ロケットによる攻撃が試みられている。少なくともこの攻撃で乗員が殺傷されたことがISの連日投稿する動画で確認されており、脅威度の高さを裏付けるものとなった。民生用ドローンを攻撃用途に用いる場合、防護が一切ないので小銃弾を受けるだけで簡単に撃墜されてしまうが、十分な高度があれば攻撃後の退避は容易である。赤外線をほとんど出さない上にRCSも低いので、SAMによる対処は不可能である。軍用機として見れば極めて安価であり、歩兵が直接運用し自前で近接航空支援が可能なことから、テロリストから見れば理想的な航空兵器であり、懸念が高まっている。商用無人機の高性能化でイラクでは充電不足で自動帰還したテロ用無人機にISILの戦闘員が誤爆されるという事故も起きている<ref>{{Cite web|author=|date=2019-08-25|url=https://www.thesun.co.uk/news/9797095/isis-fighter-killed-by-drone-bomb/|title=JIHADI KARMA ISIS fighter killed by drone bomb he was operating after it ran low on battery and flew back|publisher=[[ザ・サン]]|accessdate=2019-09-10}}</ref>。[[ベネズエラ]]では爆弾を搭載したDJIの商用無人機を武装化して大統領暗殺を狙ったテロ事件([[:en:Caracas drone attack|Caracas drone attack]])も起きており<ref>{{cite news |title=Venezuela says it has ID'd mastermind, accomplices in apparent Maduro assassination try |url=https://www.cnn.com/2018/08/06/americas/venezuela-maduro-apparent-assassination-attempt/index.html |accessdate=2018-11-13 |work=[[CNN]] |date=6 August 2018}}</ref>、これはドローンによる国家指導者に対する初のテロとされた<ref>{{Cite web|author=|date=2017-12-10|url=https://www.nytimes.com/2018/08/04/world/americas/venezuelan-president-targeted-in-attack-attempt-minister-says.html|title=Venezuelan President Targeted by Drone Attack, Officials Say|publisher=[[ニューヨーク・タイムズ]]|accessdate=2019-11-13}}</ref>。
また、アメリカや[[イスラエル]]などの正規軍でも民生用無人機は使用されているが<ref>{{Cite web|author=|date=2017-08-06|url=http://www.jpost.com/Israel-News/US-Army-order-troops-to-stop-using-Chinese-made-DJI-drones-501741|title=IDF to continue using drones that US army deemed unsafe|publisher=[[エルサレム・ポスト]]|accessdate=2019-11-13}}</ref><ref>{{Cite web|author=|date=2017-06-04|url=http://www.jpost.com/Israel-News/US-Army-order-troops-to-stop-using-Chinese-made-DJI-drones-501741|title=WATCH: THE NEW DRONE EVERY IDF OFFICER WANTS IN THE BATTLEFIELD|publisher=[[エルサレム・ポスト]]|accessdate=2019-11-13}}</ref><ref>{{Cite web|author=|date=2017-08-04|url=https://www.reuters.com/article/us-usa-army-drones-idUSKBN1AK2C0|title=US Army halts use of Chinese-made drones over cyber concerns|publisher=[[ロイター]]|accessdate=2019-11-13}}</ref><ref>{{Cite web|author=|date=2019-09-17|url=https://www.voanews.com/usa/us-military-still-buying-chinese-made-drones-despite-spying-concerns|title=US Military Still Buying Chinese-Made Drones Despite Spying Concerns|publisher=[[ボイス・オブ・アメリカ]]|accessdate=2019-11-13}}</ref><ref name=slate1708>{{Cite web|author=|date=2017-08-16|url=http://www.slate.com/articles/technology/future_tense/2017/08/the_u_s_military_shouldn_t_use_commercial_drones.html|title=The U.S. military shouldn't use commercial drones|publisher=Slate|accessdate=2019-11-13}}</ref><ref>{{Cite web|author=|date=2018-09-26|url=https://www.defenseworld.net/news/23420/US_Air_Force_Requisitions_Chinese_Origin_DJI_Drones|title=US Air Force Requisitions Chinese Origin DJI Drones|publisher=DefenseWorld|accessdate=2019-11-13}}</ref>、イスラエル軍はDJIの無人機に[[非致死性兵器]]の[[催涙弾]]を搭載して[[ガザ地区]]におけるデモ隊を攻撃したことが報じられている<ref>{{cite news |title=Drones Don’t Wear Uniforms. They Should|url=https://foreignpolicy.com/2018/05/22/drones-dont-wear-uniforms-they-should/ |accessdate=2019-11-13 |work=フォーリン・ポリシー |date=2018-05-22}}</ref><ref>{{Cite web |date= 2018年3月31日|url= http://www.afpbb.com/articles/-/3169477|title= ガザ大規模衝突で15人死亡、1400人負傷 デモに住民数万人|publisher= AFP|accessdate=2019-11-13}}</ref>。
また、アメリカや[[イスラエル]]などの正規軍でも民生用無人機は使用されているが<ref>{{Cite web|和書|author=|date=2017-08-06|url=http://www.jpost.com/Israel-News/US-Army-order-troops-to-stop-using-Chinese-made-DJI-drones-501741|title=IDF to continue using drones that US army deemed unsafe|publisher=[[エルサレム・ポスト]]|accessdate=2019-11-13}}</ref><ref>{{Cite web|和書|author=|date=2017-06-04|url=http://www.jpost.com/Israel-News/US-Army-order-troops-to-stop-using-Chinese-made-DJI-drones-501741|title=WATCH: THE NEW DRONE EVERY IDF OFFICER WANTS IN THE BATTLEFIELD|publisher=[[エルサレム・ポスト]]|accessdate=2019-11-13}}</ref><ref>{{Cite web|author=|date=2017-08-04|url=https://www.reuters.com/article/us-usa-army-drones-idUSKBN1AK2C0|title=US Army halts use of Chinese-made drones over cyber concerns|publisher=[[ロイター]]|accessdate=2019-11-13}}</ref><ref>{{Cite web|author=|date=2019-09-17|url=https://www.voanews.com/usa/us-military-still-buying-chinese-made-drones-despite-spying-concerns|title=US Military Still Buying Chinese-Made Drones Despite Spying Concerns|publisher=[[ボイス・オブ・アメリカ]]|accessdate=2019-11-13}}</ref><ref name=slate1708>{{Cite web|author=|date=2017-08-16|url=http://www.slate.com/articles/technology/future_tense/2017/08/the_u_s_military_shouldn_t_use_commercial_drones.html|title=The U.S. military shouldn't use commercial drones|publisher=Slate|accessdate=2019-11-13}}</ref><ref>{{Cite web|author=|date=2018-09-26|url=https://www.defenseworld.net/news/23420/US_Air_Force_Requisitions_Chinese_Origin_DJI_Drones|title=US Air Force Requisitions Chinese Origin DJI Drones|publisher=DefenseWorld|accessdate=2019-11-13}}</ref>、イスラエル軍はDJIの無人機に[[非致死性兵器]]の[[催涙弾]]を搭載して[[ガザ地区]]におけるデモ隊を攻撃したことが報じられている<ref>{{cite news |title=Drones Don’t Wear Uniforms. They Should|url=https://foreignpolicy.com/2018/05/22/drones-dont-wear-uniforms-they-should/ |accessdate=2019-11-13 |work=フォーリン・ポリシー |date=2018-05-22}}</ref><ref>{{Cite web|和書|date= 2018年3月31日|url= https://www.afpbb.com/articles/-/3169477|title= ガザ大規模衝突で15人死亡、1400人負傷 デモに住民数万人|publisher= AFP|accessdate=2019-11-13}}</ref>。

=== 操縦者の精神的問題 ===
機体そのものに人間が搭乗しないため、[[撃墜]]されたり事故を起こしたりしても操縦員に危険はなく、また、衛星経由で[[アメリカ合衆国|アメリカ]]から遠隔操作が可能であるため、操縦員は長い期間戦地に派遣されることもなく、任務を終えればそのまま自宅に帰ることも可能である。このような[[無人機]]の運用は操縦者が人間を殺傷したという実感を持ちにくいという意見がある<ref>[http://mainichi.jp/select/world/news/20100430ddm003030027000c.html テロとの戦いと米国:第4部 オバマの無人機戦争/1 ピーター・シンガー氏の話] - [[毎日新聞]] 2010年4月30日</ref><ref name="uav02">[http://mainichi.jp/select/world/news/20100502ddm007030059000c.html テロとの戦いと米国:第4部 オバマの無人機戦争/3 コソボ、イラクで操作した…] - [[毎日新聞]] 2010年5月2日</ref>が、「いつ[[ミサイル]]を発射してもおかしくない状況から、次には子どもの[[サッカー]]の試合に行く」という平和な日常と戦場を行き来する、従来の軍事作戦では有り得ない生活を送ることや、敵を殺傷する瞬間をカラーTVカメラや[[赤外線]]カメラで鮮明に見ることが無人機の操縦員に大きな精神的[[ストレス (生体)|ストレス]]を与えているという意見もある<ref>[http://wired.jp/wv/2008/08/22/%E3%80%8C%E5%9C%B0%E7%90%83%E3%81%AE%E8%A3%8F%E5%81%B4%E3%81%8B%E3%82%89%E7%84%A1%E4%BA%BA%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F%E3%81%A7%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%92%E7%99%BA%E5%B0%84%E3%81%99/ 「地球の裏側から無人航空機でミサイルを発射する」兵士たちのストレス] - [[WIRED.jp]] 2008年8月22日</ref>。[[国際政治学者]]の[[P・W・シンガー]]によると、無人機の[[パイロット (航空)|パイロット]]は実際にイラクに展開している[[兵士]]よりも高い割合で[[心的外傷後ストレス障害]]を発症している<ref>[http://www.ted.com/talks/lang/jpn/pw_singer_on_robots_of_war.html P.W. Singer が語る軍用ロボットと戦争の未来]</ref>。


===自爆型の無人攻撃機===
===自爆型の無人攻撃機===
無人攻撃機自体がミサイルとなって敵目標に突入する、自爆型のUCAVが開発されている。これらは「{{lang|en|loitering munition}}」([[徘徊型兵器]])と呼ばれ、イスラエル製の[[ハーピー (航空機)|IAI ハーピー]]を先駆けとして各国で開発が行われている<ref name="defense">[http://defense-update.com/features/du-1-07/armedUAVs_8.htm defense-update.com Loitering Autonomous Weapons]</ref><ref name="wired">[http://wired.jp/2015/08/28/drone-missile/ WIRED.JP 新開発された「特攻ドローン」の強烈な威力(動画あり)]</ref>。
無人攻撃機自体がミサイルとなって敵目標に突入する、自爆型のUCAVが開発されている。これらは「{{lang|en|loitering munition}}」([[徘徊型兵器]])と呼ばれ、イスラエル製の[[ハーピー (航空機)|IAI ハーピー]]を先駆けとして各国で開発が行われている<ref name="defense">{{Cite news|url=http://defense-update.com/features/du-1-07/armedUAVs_8.htm |publisher=defense-update.com |title=Loitering Autonomous Weapons|date=}}</ref><ref name="wired">{{Cite news|url=http://wired.jp/2015/08/28/drone-missile/ |publisher=WIRED.JP |title=新開発された「特攻ドローン」の強烈な威力(動画あり)|date=2015-08-28}}</ref>。
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== 計画されているUCAV ==
== 計画されているUCAV ==
現在、以下のようなUCAVが構想されている
現在、以下のようなUCAVが構想されている
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* [[ノースロップ・グラマン]] [[X-47 (航空機)|X-47]]
: [[2007年]][[8月1日]]、[[アメリカ合衆国海軍省]]はノースロップ・グラマン社の開発計画案を承認し、J-UCAS計画(下記参照)を再編した[[アメリカ海軍]]独自の無人戦闘攻撃機開発計画を決定した。最低6億3,580万[[アメリカ合衆国ドル|ドル]](約762億円)が拠出され、X-47をベースにした無人戦闘攻撃機の実証機の開発が継続されることとなる。
* [[ダッソー nEUROn]]
* [[ダッソー nEUROn]]
: [[ダッソー]]主導のもと、サーブなどと開発が進められている[[翼平面形#デルタ翼|デルタ翼]][[ステルス機|ステルスUCAV]]。[[2012年]]には[[フランス]][[スウェーデン]]、[[イタリア]]においてテスト飛行が予定さている
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* [[ユーロドローン]]

: [[エアバス]]・[[ダッソー|ダッソー・アビュエーション]]・[[レオナルド]]がドイツ、フランス、イタリア、スペイン向けに開発を進めているUCAV。2027年中の初飛行を予定している<ref>{{Cite web |title=Catalyst's Eurodrone win a huge milestone for Europe, Avio Aero boss says |url=https://www.flightglobal.com/defence/catalysts-eurodrone-win-a-huge-milestone-for-europe-avio-aero-boss-says/148063.article |website=Flight Global |access-date=2023-12-02 |language=en |first=Craig |last=Hoyle2022-03-28T11:18:00+01:00}}</ref>。
* [[SAAB|サーブ]] SHARC
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* サーブ Filur
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* [[エアバス・グループ|EADS]] UCAV
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* Kentron UCAV-TD
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* [[MiG]] [[スキャット (航空機)|MiG スキャット]]
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* [[スホーイ]] {{仮リンク|オホートニク (航空機)|label=オホートニク|en|Sukhoi S-70 Okhotnik}}
*[[スホーイ]] [[S70 オホートニク-B|S-70 オホートニク-B]]
* [[防衛省]][[技術研究本部]]「UAV技術を基盤とした戦闘型無人機技術の研究」[http://www.mod.go.jp/trdi/data/pdf/setsumei.pdf]島しょ部侵略対処における敵部隊などに対する精密な攻撃[http://www.mod.go.jp/trdi/data/pdf/chuchoki.pdf]
* [[防衛省]][[技術研究本部]]「UAV技術を基盤とした戦闘型無人機技術の研究」<ref>[https://web.archive.org/web/20081227054239/http://www.mod.go.jp/trdi/data/pdf/setsumei.pdf]</ref>島しょ部侵略対処における敵部隊などに対する精密な攻撃<ref>[https://web.archive.org/web/20081227054116/http://www.mod.go.jp/trdi/data/pdf/chuchoki.pdf]</ref>
: 2007年(平成19年)の中長期技術見積りにおいて「精密な攻撃のための空中自律行動・戦闘機能を有するUAVは概ね10年後」としている。
: 2007年(平成19年)の中長期技術見積りにおいて「精密な攻撃のための空中自律行動・戦闘機能を有するUAVは概ね10年後」としている。
* [[BAEシステムズ]] {{仮リンク|タラニス (航空機)|label=タラニス|en|BAE Systems Taranis}}(Taranis)
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: [[イギリス国防省]]とBAEシステムズが[[2006年]]から開発を進めてきた無人ステルス攻撃機。[[2010年]][[7月12日]]に試作機が公開された。全長12m、全幅10m。タラニスは[[ケルト神話]]の雷神。
*[[中国航空工業集団公司|AVIC]] [[利剣 (航空機)|利剣]]
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:2013年[[11月25日]]、[[中国]]のAVIC(中航工業)が初飛行に成功した全翼無人ステルス攻撃機<ref>{{Cite web|author=|date=2013-11-25|url=https://wired.jp/2013/11/25/sharp-sword/|title=中国のステルス無人機「利剣」、初飛行に成功|publisher=[[WIRED]]|accessdate=2019-09-20}}</ref>。
:2013年11月25日、[[中国]]のAVIC(中航工業)が初飛行に成功した全翼無人ステルス攻撃機<ref>{{Cite web|和書|author=|date=2013-11-25|url=https://wired.jp/2013/11/25/sharp-sword/|title=中国のステルス無人機「利剣」、初飛行に成功|publisher=[[WIRED]]|accessdate=2019-09-20}}</ref>。
*AVIC [[暗剣]]
*AVIC [[暗剣]]
*[[中国航天科技集団|CASC]] FH-97          
*[[XQ-58 (航空機)|クラトス XQ-58 ヴァルキリー]]
:2019年3月5日に、初飛行に成功した実験的な[[ステルス機|ステルス]]無人戦闘航空機(UCAV)。

下のUCAVは人間が搭乗可能なもの。
下のUCAVは人間が搭乗可能なもの。
* [[ロッキード・マーティン]] [[F-35 (戦闘機)|F-35]]のUCAV化
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== 計画が中止されたUCAV ==
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*[[ノースロップ・グラマン]] [[X-47 (航空機)|X-47]]
: 2007年8月1日、[[アメリカ合衆国海軍省]]はノースロップ・グラマン社の開発計画案を承認し、J-UCAS計画(下記参照)を再編した[[アメリカ海軍]]独自の無人戦闘攻撃機開発計画を決定した。最低6億3,580万[[アメリカ合衆国ドル|ドル]](約762億円)が拠出され、X-47をベースにした無人戦闘攻撃機の実証機の開発が継続されることとなる。
=== 統合無人戦闘航空システム計画 ===
=== 統合無人戦闘航空システム計画 ===
[[Image:Boeing_X-45A_UCAV.jpg|thumb|300px|ボーイングX-45A UCAV]]
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== 脚注 ==
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== 関連項目 ==
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* [[徘徊型兵器]]
* [[徘徊型兵器]]
* [[航空機メーカーの一覧]]
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* {{ill2|ドローンを使った戦い|en|Drone warfare}}


== 外部リンク ==
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* [http://www.defensetech.org/archives/002079.html J-UCASキャンセル]
* [https://web.archive.org/web/20070410191855/http://www.boeing.com/defense-space/military/x-45/index.html X-45C cancellation prevents Boeing rolling out J-UCAS demonstrator]
* [https://web.archive.org/web/20070410191855/http://www.boeing.com/defense-space/military/x-45/index.html X-45C cancellation prevents Boeing rolling out J-UCAS demonstrator]
* [https://web.archive.org/web/20040405235705/http://www.darpa.mil/j-ucas/index.htm J-UCAS]
* [https://web.archive.org/web/20040405235705/http://www.darpa.mil/j-ucas/index.htm J-UCAS]
* [hhttps://web.archive.org/web/20081107061716/http://www.boeing.com/defense-space/military/x-45/index.html X-45 J-UCAS Joint Unmanned Combat Air Systems (X-45 連動無人戦闘航空システム) ボーイング社]
* [https://web.archive.org/web/20081107061716/http://www.boeing.com/defense-space/military/x-45/index.html X-45 J-UCAS Joint Unmanned Combat Air Systems (X-45 連動無人戦闘航空システム) ボーイング社]
* [https://web.archive.org/web/20040818005036/http://www.dassault-aviation.com/gb/actualite/actualite/article.cfm?id=2108 ダッソーのUAV/UCAV計画]
* [https://web.archive.org/web/20040818005036/http://www.dassault-aviation.com/gb/actualite/actualite/article.cfm?id=2108 ダッソーのUAV/UCAV計画]
* [https://web.archive.org/web/20020815054834/http://www.saabaerospace.com/node3916.asp SaabのUAV/UCAVについて]
* [https://web.archive.org/web/20020815054834/http://www.saabaerospace.com/node3916.asp SaabのUAV/UCAVについて]


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2024年5月11日 (土) 23:46時点における版

中国製UCAVの翼竜

UCAV: unmanned combat air vehicle)は、無人航空機無人機、UAV) 、および、軍用ロボットの一種である。爆撃偵察任務を行うために特に設計されたものを指す。

概要

名称について

unmanned combat air vehicle」は字義通りには「無人戦闘航空移動体」を意味するが、一般には無人戦闘航空機、無人戦闘攻撃機などと呼ばれる。正式な訳語が無い状況であるが、防衛省では無人戦闘攻撃機としている[1]

トルコ製UCAVのTB2

無人「戦闘機」と呼ばれることもあるが、有人機のような汎用性は持たず、一般に知られる戦闘機のような空対空戦闘や空中戦を行うわけではない。精密な攻撃のための空中自律行動・戦闘機能を持つものがUCAVとされるが、この戦闘機能とは現在のところは主に対地攻撃が考えられている。

一般的な特徴

  • 用途によって様々な形態が考案されているが、無人であるために基本的には比較的小型、軽量であり、一部ではステルス性を取り入れた設計がなされている。
  • 戦闘や事故により機体が破損・墜落しても運用者側の人的被害が出ない。そのため、SEAD(敵防空網制圧)、すなわちレーダーサイト攻撃任務に適すると考えられている。
  • パイロットが乗っておらず、荷重倍数(いわゆるG)の制限は機体のみに依存するため、通常の有人飛行機では困難なアクロバティックな飛行が可能。
  • 飛行中にパイロットの休息や交代が可能で長時間の飛行が可能となる。空中給油を組み合わせることで目標付近での攻撃待機や哨戒を数十時間に渡って行うことなども検討されている。

歴史

1960年代から1970年代にかけて無線機の小型化や電子誘導装置が発達したことにより、写真偵察などを目的とするD-21ライアンモデル147 ライトニングバグ英語版などの無人偵察機がアメリカイスラエルで本格的に開発され、ライトニングバグの基礎となった標的機のBQM-34 ファイヤービー英語版を使って試験的ながら攻撃用途での開発の先鞭も付けられ、マーベリックミサイルの発射実験などに成功していた[2]

20世紀末からは画像電子機器や通信機器、コンピュータの発達により、衛星通信により遠隔地でもリアルタイムで操縦と映像の取得、気象条件が良ければ完全自動操縦などが可能となり、対テロ戦争が始まった21世紀からは偵察機型から攻撃機型への展開が行われた[3]

2002年12月にスティンガーで武装したMQ-1イラク戦争イラク軍MiG-25と交戦し、互いに対空兵器を装備した有人機対無人機の史上初の空中戦となったが、スティンガーは命中せず、逆に対空ミサイルによって撃墜されてしまった[4][5]2007年イラクアフガニスタンMQ-9が実戦投入された。兵器のトリガーは地上の人間が握っており、制御ループ内に人間も入る形(マン イン ザ ループ)の設計となっている。主な機能として敵のターゲットと攻撃モードは正確を期するために一度ターゲッティング後に専任オペレーター(教育を受けた将校)が攻撃可否を最終判断する様になっている。これは、システムとしてエラー・ミス・誤爆民間人の死亡リスク)を未然に防止するためである。また、攻撃に使用する爆薬は必要最小の物を選択するシステムに都度改善が図られている。

2008年10月アメリカ空軍第174戦闘飛行隊は、F-16からMQ-9に機材を更新し、最初のUCAVのみによる戦闘攻撃飛行隊となっている。今後は飛行ルートの選定などにおいてもUCAVが完全に自律作動することを目指していると言われている。

攻撃能力を持つ無人機がアフガニスタンとパキスタンでのターリバーンアルカーイダ攻撃に参加しており、2009年8月にはパキスタン・ターリバーン運動バイトゥッラー・マフスード司令官2013年11月には同組織のハキームッラー・マフスード司令官の殺害に成功しているが、誤爆や巻き添えによる民間人の犠牲者が多いことが問題となっている[6]。これは、無人機操縦員の誤認や地上部隊の誤報、ヘルファイアミサイルの威力が大きすぎることなどが原因となっている[7][8]。ヘルファイアミサイルの問題に関してはより小型で精密なスコーピオンミサイルを採用して対処することになっている[8]

また、世界最大のUCAV輸出国[9]となった中国翼竜彩虹など積極的にUCAVを発展途上国に輸出してイラク軍[10]エジプト[11][12]ISILへの作戦、ナイジェリア軍のボコ・ハラム攻撃[13]サウジアラビアアラブ首長国連邦イエメン内戦への軍事介入[14][15][16]などで使用されており、先進国に輸出を限定していた米国もこれに規制緩和で対抗し[17]、UCAVの拡散による紛争拡大が懸念されている[18]。また、イランは武装無人機のシャヘド129英語版によってシリアで反政府勢力を攻撃し[19]、市販の中国製エンジンを搭載したアバビール英語版のような武装無人機を中東のシーア派民兵組織に拡散させて問題になっており[20][21]イエメンフーシが自前化したアバビール(カセフ1)やサマド3英語版などでサウジ石油施設攻撃を起こして世界経済に大きな影響を与えた[22]2014年リビア内戦では暫定政府のトルコ製無人攻撃機のバイラクタル TB2リビア国民軍の中国製無人攻撃機の翼竜が互いに破壊し合う無人機戦争が起きている[23]

テロ組織側でもISILは滑走路での離着陸を必要としないDJI[24]スカイウォーカー・テクノロジーなど殆どは世界市場でメジャーな中国製[25]の商用無人機に爆発物を搭載した事実上のUCAVに改造するといった利用が拡大しており、構造は単純で、真下に爆弾を落とすだけの簡素なものだが、誤差数メートルという驚異的な精度で攻撃できた。小型のドローンは被発見性も低く、騒音も軍用機に比べてはるかに小さいため、直下の兵士が全く気付かないまま攻撃を受けることもあった。戦車に対する攻撃にも使用されており、撃破の事例はまだないが、対戦車榴弾や対戦車ロケットによる攻撃が試みられている。少なくともこの攻撃で乗員が殺傷されたことがISの連日投稿する動画で確認されており、脅威度の高さを裏付けるものとなった。民生用ドローンを攻撃用途に用いる場合、防護が一切ないので小銃弾を受けるだけで簡単に撃墜されてしまうが、十分な高度があれば攻撃後の退避は容易である。赤外線をほとんど出さない上にRCSも低いので、SAMによる対処は不可能である。軍用機として見れば極めて安価であり、歩兵が直接運用し自前で近接航空支援が可能なことから、テロリストから見れば理想的な航空兵器であり、懸念が高まっている。商用無人機の高性能化でイラクでは充電不足で自動帰還したテロ用無人機にISILの戦闘員が誤爆されるという事故も起きている[26]ベネズエラでは爆弾を搭載したDJIの商用無人機を武装化して大統領暗殺を狙ったテロ事件(Caracas drone attack)も起きており[27]、これはドローンによる国家指導者に対する初のテロとされた[28]。 また、アメリカやイスラエルなどの正規軍でも民生用無人機は使用されているが[29][30][31][32][33][34]、イスラエル軍はDJIの無人機に非致死性兵器催涙弾を搭載してガザ地区におけるデモ隊を攻撃したことが報じられている[35][36]

自爆型の無人攻撃機

無人攻撃機自体がミサイルとなって敵目標に突入する、自爆型のUCAVが開発されている。これらは「loitering munition」(徘徊型兵器)と呼ばれ、イスラエル製のIAI ハーピーを先駆けとして各国で開発が行われている[37][38]

計画されているUCAV

現在、以下のようなUCAVが構想されている

XQ-58 ヴァルキリーから分離するアルティウス-600小型無人航空機
ダッソー主導のもと、サーブなどと開発が進められているデルタ翼ステルスUCAV。2012年12月1日にはフランス南部イストルで初飛行が行われた。
エアバスダッソー・アビュエーションレオナルドがドイツ、フランス、イタリア、スペイン向けに開発を進めているUCAV。2027年中の初飛行を予定している[39]
2007年(平成19年)の中長期技術見積りにおいて「精密な攻撃のための空中自律行動・戦闘機能を有するUAVは概ね10年後」としている。
イギリス国防省とBAEシステムズが2006年から開発を進めてきた無人ステルス攻撃機。2010年7月12日に試作機が公開された。全長12m、全幅10m。タラニスはケルト神話の雷神。
2013年11月25日、中国のAVIC(中航工業)が初飛行に成功した全翼無人ステルス攻撃機[42]
2019年3月5日に、初飛行に成功した実験的なステルス無人戦闘航空機(UCAV)。

下のUCAVは人間が搭乗可能なもの。

注意:上記のUCAVのなかには、航空機のプロトタイプというよりも技術実証試験機と呼ぶべきものも含まれている。そういったものは、そのままの形で生産され、運用されるわけではない(例:X-36。28%の大きさであり、もし量産されるときには本来のサイズで作られる予定であった)

計画が中止されたUCAV

2007年8月1日、アメリカ合衆国海軍省はノースロップ・グラマン社の開発計画案を承認し、J-UCAS計画(下記参照)を再編したアメリカ海軍独自の無人戦闘攻撃機開発計画を決定した。最低6億3,580万ドル(約762億円)が拠出され、X-47をベースにした無人戦闘攻撃機の実証機の開発が継続されることとなる。

統合無人戦闘航空システム計画

ボーイングX-45A UCAV

ボーイングX-45CはDARPAアメリカ空軍海軍共同の統合無人戦闘航空システム(J-UCAS, Joint Unmanned Combat Air System)計画において候補機の一つであったが2006年3月に開発が中止された。これは米空軍が次世代重爆撃機調達計画の大幅繰上げに伴い2006年1月にJ-UCAS計画からの離脱を発表したことにより、J-UCAS計画そのものも中止になったことによるため。X-45は地上からの発進を基本とした空軍寄りの機体であった。

もう一つの候補機であった海軍寄りのノースロップ・グラマン X-47Bも開発が一時中止されたが、こちらは海軍の無人戦闘攻撃機開発計画の実証機として引き続き使用されることが決定している。

候補機の予定された性能

計画のスケジュール

脚注

  1. ^ 海幹校戦略研究 第1巻第2号(通巻第2号) 2011年12月
  2. ^ Teledyne Ryan Q-2/KDA/xQM-34/BGM-34 Firebee” (2003年5月26日). 2019年12月19日閲覧。
  3. ^ 石川潤一著 『2010年度 米国防予算案を読む』、軍事研究2009年7月号、(株)ジャパン・ミリタリー・レビュー
  4. ^ Krane, Jim. "Pilotless Warriors Soar To Success." CBS News, 25 April 2003.
  5. ^ Paul J. Springer, Military Robots and Drones: A Reference Handbook (Santa Barbara, CA: ABC-CLIO, 2013), p.23
  6. ^ 無人機プレデター&リーパー【2】死者1000人、巻き添え多数 - 時事ドットコム
  7. ^ テロとの戦いと米国:第4部 オバマの無人機戦争/2 「情報」が招く誤爆 - 毎日新聞 2010年5月1日
  8. ^ a b 巻き添え減らせ、CIAが対テロ新型ミサイル - 読売新聞 2010年4月27日
  9. ^ “A Really Big Deal: China is a Drone Superpower”. ナショナル・インタレスト. (2019年3月16日). https://nationalinterest.org/blog/buzz/really-big-deal-china-drone-superpower-47692 2019年3月22日閲覧。 
  10. ^ 中国製無人機がイスラム国拠点を破壊=低価格高性能の新型機―イラク”. Record China (2015年12月21日). 2017年4月15日閲覧。
  11. ^ Egyptian Air Force Shows-Off Chinese-Made Wing Loong Attack Drones”. Defence Web (2018年10月19日). 2018年11月6日閲覧。
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  16. ^ http://foreignpolicy.com/2018/04/27/drone-wars-how-the-uaes-chinese-made-drone-is-changing-the-war-in-yemen/
  17. ^ 無人機輸出の規制緩和 武器売却拡大へ方針” (2018年4月20日). 2018年6月18日閲覧。
  18. ^ 無人機市場で存在感増す中国、兵器拡散で紛争拡大の懸念も”. CNN (2016年4月24日). 2017年4月9日閲覧。
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関連項目

外部リンク