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{{出典の明記| date = 2017年11月8日}}
[[Image:Inferno Canto 5 line 4 Minos.jpg|right|400px|thumb|[[ギュスターヴ・ドレ]]によるミーノース]]
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'''ミーノース'''({{lang-el|Μίνως}}, [[ラテン]]表記:Minos)は、[[ギリシア神話]]に登場する[[クレタ島]]の[[国王|王]]である。[[長母音]]を省略して'''ミノス'''とも表記される。
'''ミーノース'''({{lang-grc-short|'''Μίνως'''}}, {{ラテン|el|Mīnōs}})は、[[ギリシア神話]]に登場する[[クレタ島|クレーテー島]]の[[国王|王]]である。冥界の審判官の一人。[[長母音]]を省略して'''ミノス'''とも表記される。


ミーノースは[[クノソス]]の都を創設し、宮殿を築いて[[エーゲ海]]を支配したとされる。[[ミノア文明]]という名称はミーノースに由来している。[[ヘロドトス]]や[[トゥキディデス]]はミーノースを実在の人物と考え、[[プルタルコス]]はミーノースの子[[ミーノータウロス]](ミノタウロス)を怪物ではなく将軍の一人だとする解釈を示している。
ミーノースは[[クノソス]]の都を創設し、宮殿を築いて[[エーゲ海]]を支配したとされる。[[ミア文明]]という名称はミーノースに由来している。[[ヘロドトス]]や[[トゥキディデス|トゥーキューディデース]]はミーノースを実在の人物と考え、[[プルタルコス]]はミーノースの子[[ミーノータウロス]]を怪物ではなく将軍の一人だとする解釈を示している。


近年、クレ島のクノソス宮殿遺跡から世界最古の玉座とともに古文書が見つかり、その碑文の中にミヌテ、ミヌロジャロジャは王の意味という名前があったことから、ミノス王の実在を示すものではないかと言われている。
近年、クレーテー島のクノソス宮殿遺跡から世界最古の玉座とともに古文書が見つかり、その碑文の中にミヌテ、ミヌロジャ<ref group="注">「ロジャは王の意味</ref>という名前があったことから、ミス王の実在を示すものではないかと言われている。


== 神話・民俗 ==
== 神話・民俗 ==
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=== ミーノースの出生 ===
=== ミーノースの出生 ===
ミーノースは[[ゼウス]]と[[エウローペー]]の子である。エウローペーと牡牛に身を変えたゼウスの逸話は、[[おうし座|牡牛座]]にまつわる神話として知られる。ミーノースの兄弟には[[ラダマンテュス]]と[[サルペードーン]]がいる。エウローペーはクレー王[[アステリオス]]の妻となり、ミーノースはアステリオスの下で成人した。ミーノースは[[ヘーリオス]]の娘[[パーシパエー]]を妻とし、パーシパエーとの間に[[カトレウス]]、[[デウカリオーン]]([[トロイア]]戦争の勇将[[イードメネウス]]の父)、[[アンドロゲオース]]、[[アリアドネー]]、[[パイドラー]]らの子供をもうけた。
ミーノースは[[ゼウス]]と[[エウローペー]]の子である。エウローペーと牡牛に身を変えたゼウスの逸話は、[[おうし座|牡牛座]]にまつわる神話として知られる。ミーノースの兄弟には[[ラダマンテュス]]と[[サルペードーン]]がいる。エウローペーはクレーテー王[[アステリオス]]の妻となり、ミーノースはアステリオスの下で成人した。ミーノースは[[ヘーリオス]]の娘[[パーシパエー]]を妻とし、パーシパエーとの間に[[カトレウス]]、{{仮リンク|クレタ島のデウカリオーン|en|Deucalion of Crete|label=デウカリオーン}}([[トロイア戦争]]の勇将[[イードメネウス]]の父)、[[アンドロゲオース]]、[[アリアドネー]]、[[パイドラー]]らの子供をもうけた。


アステリオスが死んだ後、クレー王の後継をめぐって、ミーノースは長子である自分が継ぐべきと主張し、ラダマンテュスは法と秩序を守る立場からこれを支持した。しかし、サルペードーンは納得せず、争いに敗れて[[アナトリア半島|小アジア]]に逃れ、[[リュキア]]王になったという。
アステリオスが死んだ後、クレーテー王の後継をめぐって、ミーノースは長子である自分が継ぐべきと主張し、ラダマンテュスは法と秩序を守る立場からこれを支持した。しかし、サルペードーンは納得せず、争いに敗れて[[アナトリア半島|小アジア]]に逃れ、[[リュキア]]王になったという。


=== ミーノータウロス誕生 ===
=== ミーノータウロス誕生 ===
[[File:クノッソス宮殿の列柱.JPG|300px|thumb|ミーノータウロス伝説の舞台となったクノーソス宮殿]]
このとき、ミーノースは王位継承の証として牡牛を海から送ってくれるように[[ポセイドーン]]に祈り、その牡牛を生贄として捧げることを誓った。ポセイドーンはこれに応えてミーノースに牡牛を送った。しかし、ミーノースは送られた牡牛があまりに美しかったため、欲を出して別の牛を生贄とした。ポセイドーンは怒り、仕返しに王妃パーシパエーが牡牛に恋情を抱くようにした。悩んだパーシパエーは[[ダイダロス]]に相談し、木製の雌牛の張りぼてを製作してもらい、これを使って牡牛への思いを遂げた。やがてパーシパエーは子供を産んだが、その子供は人間の体に牛の頭が乗った怪物ミーノータウロスだった。ミーノースはダイダロスに命じて[[迷宮]]ラビリントスを作らせ、ミーノータウロスを閉じこめた。
このとき、ミーノースは王位継承の証として牡牛を海から送ってくれるように[[ポセイドーン]]に祈り、その牡牛を生贄として捧げることを誓った。ポセイドーンはこれに応えてミーノースに牡牛を送った。しかし、ミーノースは送られた牡牛があまりに美しかったため、欲を出して別の牛を生贄とした。ポセイドーンは怒り、仕返しに王妃パーシパエーが牡牛に恋情を抱くようにした。悩んだパーシパエーは[[ダイダロス]]に相談し、木製の雌牛の張りぼてを製作してもらい、これを使って牡牛への思いを遂げた。やがてパーシパエーは子供を産んだが、その子供は人間の体に牛の頭が乗った怪物ミーノータウロスだった。ミーノースは[[ダイダロス]]に命じて[[迷宮]]ラビリントスを作らせ、ミーノータウロスを閉じこめた。


=== テーセウスのミーノータウロス退治 ===
=== テーセウスのミーノータウロス退治 ===
このころ、アンドロゲオースがパンアテナイ祭に優勝したところ、[[アテーナイ]]人の妬みを買って殺されるという事件が起こり、ミーノースは兵を率いて[[メガラ]]とアテーナイを攻めた。メガラはアテーナイ王[[アイゲウス]]の兄弟[[ニーソス]]が治めていたが、王女[[スキュラ]]の裏切りでニーソスが殺されて落城し、アテーナイも飢饉と疫病に苦しめられてついに降伏した。アテーナイは賠償として、毎年('''3年、9年ごとの説もある''')クレーに少年少女を7人ずつ貢ぐことを約束させられた。少年少女は[[ミーノータウロス]]への生贄であった。3回目のとき、アテーナイの英雄[[テーセウス]]が自ら名乗り出て生贄になった。クレーに到着した生贄一行とテーセウスだが、そこで重要な出会いがあった。('''一説には[[アフロディーテー]]の助力によるもの''')ミーノースの娘、[[アリアドネー]]が[[テーセウス]]にてしまう[[テーセウス]]を死なせたくなかったアリアドネはミーノータウロスが閉じ込めてある脱出不可能といわれる大迷宮[[ラビュリントス]]の製作者である[[ダイダロス]]に聞きに行き、[[テーセウス]]に短剣と魔法の毛糸をもたせた。そして大迷宮[[ラビュリントス]]の入り口にいるアリアドネ魔法の毛糸の端を持たせ[[テーセウス]]にもう片端を持たせた。[[ミーノータウロス]]を隠し持っていた短剣で見事倒した[[テーセウス]]は魔法の毛糸をたぐよせ、アリアドネが待っている大迷宮[[ラビュリントス]]の入り口までたどりつくことができた。ちなみにこの時使った毛糸が運命の赤い糸
このころ、アンドロゲオースが[[パンアテナイ]]に優勝したところ、[[アテーナイ]]人の妬みを買って殺されるという事件が起こり、ミーノースは兵を率いて[[メガラ]]とアテーナイを攻めた。メガラはアテーナイ王[[アイゲウス]]の兄弟[[ニーソス]]が治めていたが、王女[[スキュラ]]の裏切りでニーソスが殺されて落城し、アテーナイも飢饉と疫病に苦しめられてついに降伏した。アテーナイは賠償として、毎年<ref group="注">3年、9年ごとの説もある</ref>クレーテーに少年少女を7人ずつ貢ぐことを約束させられた。少年少女は[[ミーノータウロス]]への生贄であった。3回目のとき、アテーナイの英雄[[テーセウス]]が自ら名乗り出て生贄になった。クレーテーに到着した生贄一行とテーセウスだが、ミーノースの娘、[[アリアドネー]]がテーセウスに恋をする<ref group="注">一説には[[アプロディーテー]]の助力よるとさる。</ref>。テーセウスを死なせたくなかったアリアドネはミーノータウロスが閉じ込めてある脱出不可能といわれる[[ラビュリントス]]の製作者である[[ダイダロス]]に攻略法を聞きに行き、[[テーセウス]]に短剣と魔法の毛糸をもたせた。そしてラビュリントスの入り口にいるアリアドネーが魔法の毛糸の端を持、テーセウスにもう片端を持たせた。[[ミーノータウロス]]を隠し持っていた短剣で見事倒したテーセウスは魔法の毛糸をたぐよせ、アリアドネが待っているラビュリントスの入り口までたどりつくことができた。


=== イーカロスの翼とミーノースの死 ===
=== イーカロスの翼とミーノースの死 ===
[[File:Inferno Canto 5 line 4 Minos.jpg|thumb|[[ギュスターヴ・ドレ]]によるミーノース]]
ミーノースは、アリアドネーに知恵を授けたダイダロスを罰してラビリントスに幽閉した。一説には幽閉したのは高い塔であったともいう。ダイダロスは鳥の羽を蝋で固めた翼を身につけて空を飛ぶことに成功し、脱出して[[シリア]]に逃れた。このとき、ともに脱出したダイダロスの息子[[イーカロス]]は太陽に近づきすぎて蝋が溶けて墜死した。ミーノースはシリアまで追跡したが、[[コーカロス]]王の娘たちがダイダロスを庇い、ミーノースは入浴中に熱湯を浴びせられて死んだ。
ミーノースは、アリアドネーに知恵を授けたダイダロスを罰してラビリントスに幽閉した。一説には幽閉したのは高い塔であったともいう。ダイダロスは鳥の羽を蝋で固めた翼を身につけて空を飛ぶことに成功し、脱出して[[シリア]]に逃れた。このとき、ともに脱出したダイダロスの息子[[イーカロス]]は太陽に近づきすぎて蝋が溶けて墜死した。ミーノースはシリアまで追跡したが、[[コーカロス]]王の娘たちがダイダロスを庇い、ミーノースは入浴中に熱湯を浴びせられて死んだ。


死後、ミーノースは弟[[ラダマンテュス]]、[[アイアコス]](ゼウスと[[アイギーナ]]の子)とともに冥界の審判者となったという。
死後、ミーノースは弟[[ラダマンテュス]]、[[アイアコス]]とともに冥界の審判者となったという。


=== 『神曲』での役割 ===
=== 『神曲』での役割 ===
[[ダンテ・アリギエーリ|ダンテ]]の『[[神曲]]』では「地獄篇」に登場し、冥府の裁判官として地獄の入口で死者の行くべき地獄を割り当てている。
[[ダンテ・アリギエーリ|ダンテ]]の『[[神曲]]』では「地獄篇」に登場し、冥府の裁判官として地獄の入口で死者の行くべき地獄を割り当てている。


==関連項目==
== 系図 ==
*[[ミーノータウロ]]
{{ミーノースの系図}}
*


== 脚注 ==
=== 注釈 ===
{{Reflist|group=注}}

=== 出典 ===
{{Reflist}}

== 関連項目 ==
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2024年5月16日 (木) 05:32時点における最新版

クノーソス宮殿の王座の間

ミーノース古希: Μίνως, Mīnōs)は、ギリシア神話に登場するクレーテー島である。冥界の審判官の一人。長母音を省略してミノスとも表記される。

ミーノースはクノーソスの都を創設し、宮殿を築いてエーゲ海を支配したとされる。ミーノーア文明という名称はミーノースに由来している。ヘーロドトストゥーキューディデースはミーノースを実在の人物と考え、プルータルコスはミーノースの子ミーノータウロスを怪物ではなく将軍の一人だとする解釈を示している。

近年、クレーテー島のクノーソス宮殿遺跡から世界最古の玉座とともに古文書が見つかり、その碑文の中にミヌテ、ミヌロジャ[注 1]という名前があったことから、ミーノース王の実在を示すものではないかと言われている。

神話・民俗

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ミーノースにまつわる神話は諸説あるが、代表的なものを以下に示す。

ミーノースの出生

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ミーノースはゼウスエウローペーの子である。エウローペーと牡牛に身を変えたゼウスの逸話は、牡牛座にまつわる神話として知られる。ミーノースの兄弟にはラダマンテュスサルペードーンがいる。エウローペーはクレーテー王アステリオスの妻となり、ミーノースはアステリオスの下で成人した。ミーノースはヘーリオスの娘パーシパエーを妻とし、パーシパエーとの間にカトレウスデウカリオーン英語版トロイア戦争の勇将イードメネウスの父)、アンドロゲオースアリアドネーパイドラーらの子供をもうけた。

アステリオスが死んだ後、クレーテー王の後継をめぐって、ミーノースは長子である自分が継ぐべきと主張し、ラダマンテュスは法と秩序を守る立場からこれを支持した。しかし、サルペードーンは納得せず、争いに敗れて小アジアに逃れ、リュキア王になったという。

ミーノータウロス誕生

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ミーノータウロス伝説の舞台となったクノーソス宮殿

このとき、ミーノースは王位継承の証として牡牛を海から送ってくれるようにポセイドーンに祈り、その牡牛を生贄として捧げることを誓った。ポセイドーンはこれに応えてミーノースに牡牛を送った。しかし、ミーノースは送られた牡牛があまりに美しかったため、欲を出して別の牛を生贄とした。ポセイドーンは怒り、仕返しに王妃パーシパエーが牡牛に恋情を抱くようにした。悩んだパーシパエーはダイダロスに相談し、木製の雌牛の張りぼてを製作してもらい、これを使って牡牛への思いを遂げた。やがてパーシパエーは子供を産んだが、その子供は人間の体に牛の頭が乗った怪物ミーノータウロスだった。ミーノースはダイダロスに命じて迷宮・ラビュリントスを作らせ、ミーノータウロスを閉じこめた。

テーセウスのミーノータウロス退治

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このころ、アンドロゲオースがパンアテーナイア祭に優勝したところ、アテーナイ人の妬みを買って殺されるという事件が起こり、ミーノースは兵を率いてメガラとアテーナイを攻めた。メガラはアテーナイ王アイゲウスの兄弟ニーソスが治めていたが、王女スキュラの裏切りでニーソスが殺されて落城し、アテーナイも飢饉と疫病に苦しめられてついに降伏した。アテーナイは賠償として、毎年[注 2]クレーテーに少年少女を7人ずつ貢ぐことを約束させられた。少年少女はミーノータウロスへの生贄であった。3回目のとき、アテーナイの英雄テーセウスが自ら名乗り出て生贄になった。クレーテーに到着した生贄一行とテーセウスだが、ミーノースの娘、アリアドネーがテーセウスに恋をする[注 3]。テーセウスを死なせたくなかったアリアドネーはミーノータウロスが閉じ込めてある、脱出不可能といわれるラビュリントスの製作者であるダイダロスに攻略法を聞きに行き、テーセウスに短剣と魔法の毛糸をもたせた。そしてラビュリントスの入り口にいるアリアドネーが魔法の毛糸の端を持ち、テーセウスにもう片端を持たせた。ミーノータウロスを隠し持っていた短剣で見事倒したテーセウスは魔法の毛糸をたぐりよせ、アリアドネーが待っているラビュリントスの入り口までたどりつくことができた。

イーカロスの翼とミーノースの死

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ギュスターヴ・ドレによるミーノース。

ミーノースは、アリアドネーに知恵を授けたダイダロスを罰してラビュリントスに幽閉した。一説には幽閉したのは高い塔であったともいう。ダイダロスは鳥の羽を蝋で固めた翼を身につけて空を飛ぶことに成功し、脱出してシケリアに逃れた。このとき、ともに脱出したダイダロスの息子イーカロスは太陽に近づきすぎて蝋が溶けて墜死した。ミーノースはシケリアまで追跡したが、コーカロス王の娘たちがダイダロスを庇い、ミーノースは入浴中に熱湯を浴びせられて死んだ。

死後、ミーノースは弟ラダマンテュスアイアコスとともに冥界の審判者となったという。

『神曲』での役割

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ダンテの『神曲』では「地獄篇」に登場し、冥府の裁判官として地獄の入口で死者の行くべき地獄を割り当てている。

系図

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アゲーノール
 
テーレパッサ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
カドモス
 
 
 
エウローペー
 
ゼウス
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
クレーテーの牡牛
 
パーシパエー
 
ミーノース
 
サルペードーン
 
ラダマンテュス
 
アルクメーネー
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アイゲウス
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ミーノータウロス
 
 
 
 
 
 
 
 
デウカリオーン
 
アンドロゲオース
 
グラウコス
 
 
 
ディオニューソス
 
アリアドネー
 
テーセウス
 
パイドラー
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
カトレウス
 
 
イードメネウス
 
クレーテー
 
モロス
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アカマース
 
 
 
デーモポーン
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アーエロペー
 
アトレウス
 
クリュメネー
 
ナウプリオス
 
メーリオネース
 
トアース
 
ミュリーネー
 
スタピュロス
 
ペパレートス
 
 
 
オイノピオーン
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アガメムノーン
 
メネラーオス
 
パラメーデース
 
オイアクス
 
 
 
イアーソーン
 
ヒュプシピュレー
 
モルパディアー
 
パルテノス
 
ロイオー
 
メロペー
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
エウネーオス
 
ネブロポノス
 
トアース
 
 
 
 
 
アニオス
 

脚注

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注釈

[編集]
  1. ^ 「ロジャ」は王の意味
  2. ^ 3年、9年ごとの説もある
  3. ^ 一説にはアプロディーテーの助力によるとされる。

出典

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関連項目

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