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'''分子遺伝学'''(ぶんしいでんがく)は[[生物学]]の研究分野であるが、二つの異なる分野を指す。[[塩基配列]]の比較から[[進化|生物の進化]]を議論する分野と、遺伝現象の仕組みを分子のレベルで理解しようとする分野である。
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==進化を扱う分子遺伝学==
== 進化を扱う分子遺伝学 ==
遺伝情報として生物が有する[[デオキシリボ核酸|DNA]]や[[リボ核酸|RNA]]は、[[種 (生物)|種]]の進化とともに一定の確率で変化する。この変化を観察することである生物種(や[[ウイルス]]等の非生物も)がどのように分化したかを調べる。形態的な分類による古典的な分類学に対し、遺伝情報という確実な情報から計算することで正確な分類が可能になった
遺伝情報として生物が有する[[デオキシリボ核酸|DNA]]や[[リボ核酸|RNA]]は、[[種 (分類学)|種]]の進化とともに変化する。この変化を観察することである生物種(や[[ウイルス]]等の非生物も)がどのように分化したかを調べる。形態的な分類による古典的な分類学に対し、[[塩基配列]]や酵素多型と行った遺伝情報から分類する。


理論的な体系は、[[木村資生]]の[[中立進化説]]により確立された。<ref>太田朋子. (2009). 分子進化のほぼ中立説 偶然と淘汰の進化モデル. [[講談社]].</ref><ref>木村資生 (1986). 分子進化の中立説. [[紀伊国屋]].</ref><ref>{{Cite journal|和書|author=高畑尚之, 前野みゆき |title=分子進化の中立説と集団遺伝学 (数学者のための分子生物学入門) |journal=物性研究 |ISSN=05252997 |publisher=物性研究刊行会 |year=2003 |month=oct |volume=81 |issue=1 |pages=60-68 |naid=110006409146 |url=https://hdl.handle.net/2433/97614}}</ref>現在でも中立説は遺伝子進化を解析する際に非常に重要な理論的基盤を提供している。
理論的な体系としては[[木村資生]]によって既に完成され、その後は内輪でのマッチポンプ的議論に終始し、発展と呼べるものはない。本質的に配列中の置換のみでしか議論が行われないので、ダイナミックな生命現象や種の分化を扱うことは不得手である。


この分野は、[[分子進化学]]、<ref>木村資生. (1984). 分子進化学入門. [[培風館]].</ref>あるいは[[分子系統学]]([[系統学]]の一分野として)、<ref>Yang, Z., & Rannala, B. (2012). Molecular phylogenetics: principles and practice. Nature reviews genetics, 13(5), 303-314.</ref><ref>Whelan, S., Liò, P., & Goldman, N. (2001). Molecular phylogenetics: state-of-the-art methods for looking into the past. TRENDS in Genetics, 17(5), 262-272.</ref>分子分類学([[分類学]]の一分野として)<ref>尾本惠市. (1996). 分子人類学と日本人の起源. [[裳華房]].</ref><ref>長谷川政美. (1984). DNA からみた人類の起原と進化: 分子人類学序説. 海鳴社.</ref><ref>Stoneking, M. (2016). An introduction to molecular anthropology. John Wiley & Sons.</ref>などとも呼ばれる。
==遺伝現象を分子レベルで扱う分子遺伝学==
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== 遺伝現象を分子レベルで扱う分子遺伝学 ==
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遺伝情報を記述する[[遺伝子]]の化学的本体が[[デオキシリボ核酸|DNA]]であり、その[[塩基配列]]によって[[タンパク質|蛋白質]]の構造が記述されていることが明らかとなっている今日では、[[遺伝学]]や[[分子生物学]]、あるいは[[遺伝子工学]]において用いられる基本的かつ重要な手法となっている。<ref>鈴木健一朗, 平石明, & 横田明 (Eds.). (2001). 微生物の分類・同定実験法: 分子遺伝学・分子生物学的手法を中心に. Springer Science & Business Media.</ref>
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==脚注==
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==関連項目==
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* [[分子人類学]]
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2024年6月2日 (日) 14:07時点における最新版

分子遺伝学(ぶんしいでんがく、英語:molecular genetics[1])は生物学の研究分野であるが、二つの異なる分野を指す。塩基配列の比較から生物の進化を議論する分野と、遺伝現象の仕組みを分子のレベルで理解しようとする分野である。

進化を扱う分子遺伝学

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遺伝情報として生物が有するDNARNAは、の進化とともに変化する。この変化を観察することである生物種(やウイルス等の非生物も)がどのように分化したかを調べる。形態的な分類による古典的な分類学に対し、塩基配列や酵素多型と行った遺伝情報から分類する。

理論的な体系は、木村資生中立進化説により確立された。[2][3][4]現在でも中立説は遺伝子進化を解析する際に非常に重要な理論的基盤を提供している。

この分野は、分子進化学[5]あるいは分子系統学系統学の一分野として)、[6][7]分子分類学(分類学の一分野として)[8][9][10]などとも呼ばれる。

遺伝現象を分子レベルで扱う分子遺伝学

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遺伝情報を記述する遺伝子の化学的本体がDNAであり、その塩基配列によって蛋白質の構造が記述されていることが明らかとなっている今日では、遺伝学分子生物学、あるいは遺伝子工学において用いられる基本的かつ重要な手法となっている。[11]

脚注

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  1. ^ Carroll, S. B., Grenier, J. K., & Weatherbee, S. D. (2013). From DNA to diversity: molecular genetics and the evolution of animal design. John Wiley & Sons.
  2. ^ 太田朋子. (2009). 分子進化のほぼ中立説 偶然と淘汰の進化モデル. 講談社.
  3. ^ 木村資生 (1986). 分子進化の中立説. 紀伊国屋.
  4. ^ 高畑尚之, 前野みゆき「分子進化の中立説と集団遺伝学 (数学者のための分子生物学入門)」『物性研究』第81巻第1号、物性研究刊行会、2003年10月、60-68頁、ISSN 05252997NAID 110006409146 
  5. ^ 木村資生. (1984). 分子進化学入門. 培風館.
  6. ^ Yang, Z., & Rannala, B. (2012). Molecular phylogenetics: principles and practice. Nature reviews genetics, 13(5), 303-314.
  7. ^ Whelan, S., Liò, P., & Goldman, N. (2001). Molecular phylogenetics: state-of-the-art methods for looking into the past. TRENDS in Genetics, 17(5), 262-272.
  8. ^ 尾本惠市. (1996). 分子人類学と日本人の起源. 裳華房.
  9. ^ 長谷川政美. (1984). DNA からみた人類の起原と進化: 分子人類学序説. 海鳴社.
  10. ^ Stoneking, M. (2016). An introduction to molecular anthropology. John Wiley & Sons.
  11. ^ 鈴木健一朗, 平石明, & 横田明 (Eds.). (2001). 微生物の分類・同定実験法: 分子遺伝学・分子生物学的手法を中心に. Springer Science & Business Media.

関連項目

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