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'''礼文島'''(れぶんとう)は、[[北海道]]の北部、[[稚内市|稚内]]の西方60kmの[[日本海]]上に位置する[[礼文郡]][[礼文町]]に属する
'''礼文島'''(れぶんとう)は、[[北海道]]の北部、[[稚内市|稚内]]の西方60kmの[[日本海]]上に位置する島。[[礼文郡]][[礼文町]]に属する。


[[礼文水道]]を挟んで[[利尻島]]の北西に位置する。冷涼な気候により[[海抜]]0メートル地帯から200種類以上の[[高山植物]]が咲き乱れているため別名'''花の浮島'''と呼ばれている<ref name="park-rishiri">{{Cite_web|url=http://www.env.go.jp/park/rishiri/intro/outline.html |title=環境省_自然環境の概要 利尻礼文サロベツ国立公園 |author=[[環境省]] |accessdate=2014-06-12}}</ref>。人口は[[2018年]](平成30)4月1日現在、2,572人<ref>{{Cite_web|url=http://www.town.rebun.hokkaido.jp/koho/pdf/92_27466068.pdf|title=広報れぶん 486号 |author=礼文役場 |number=486 |page=14 |format=pdf |accessdate=2018-05-04 |}}</ref>。
[[礼文水道]]を挟んで[[利尻島]]の北西に位置する。冷涼な気候により[[海抜]]0メートル地帯から200種類以上の[[高山植物]]が咲き乱れているため別名'''花の浮島'''と呼ばれている<ref name="park-rishiri">{{Cite_web|url=http://www.env.go.jp/park/rishiri/intro/outline.html |title=環境省_自然環境の概要 利尻礼文サロベツ国立公園 |author=[[環境省]] |accessdate=2014-06-12}}</ref>。人口は[[2022年]](令和4)3月1日現在、2,352人<ref>[http://www.town.rebun.hokkaido.jp/ 礼文役場ホームページ]</ref>。礼文島の北部は樹木が少なくササ原となっているのは明治期の薪材の伐り出しや、度重なる山火事によって樹木が消失したことによる


== 島名の由来 ==
== 島名の由来 ==
[[アイヌ語]]では「沖の・島」を表す「レプンシㇼ(repun-sir)<ref>ただし、この2単語は続けて読んだ場合「レプイシㇼ(repuy-sir)」と発音される可能性が高い。</ref>」と呼ばれ、日本語名はこの「レプン」に字を当てたものである<ref name=":0">{{Cite web|url=http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/ass/grp/141145P.pdf|title=アイヌ語地名リスト ル~ワ P141-145|accessdate=2018-06-17|date=2007|work=[http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/ass/new_timeilist.htm アイヌ語地名リスト]|publisher=北海道 環境生活部 アイヌ政策推進室}}</ref>。
[[アイヌ語]]では「沖の・島」を表す「レプンシㇼ(repun-sir)「レプイシㇼ(repuy-sir)」と呼ばれ、日本語名はこの「レプン」に字を当てたものである<ref name=":0">{{Cite web|和書|url=http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/ass/grp/141145P.pdf|title=アイヌ語地名リスト ル~ワ P141-145|accessdate=2018-06-17|date=2007|work=[http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/ass/new_timeilist.htm アイヌ語地名リスト]|publisher=北海道 環境生活部 アイヌ政策推進室}}</ref>。


アイヌ語研究者の[[山田秀三]]は[[利尻島]]の沖にあるためついた名としている。
アイヌ語研究者の[[山田秀三]]は[[利尻島]]の沖にあるためついた名としている。


== 地理 ==
== 地理 ==
[[File:Rebun Relief Map, SRTM.jpg|thumb|right|130px|礼文島の地形図]]
日本最北端の有人島(北海道本土や北方領土を除く)。東西約7.9[[キロメートル|km]]、南北約25.8km、周囲約72km。[[スコトン岬]]と金田ノ岬の間に直径5kmの半円形の船泊湾がある。最高地点は[[礼文岳]](標高490m)。スコトン岬の北方約1kmには[[海驢島|トド島]]と呼ばれる小島がある。
[[ファイル:Sukoton.JPG|thumb|right|[[スコトン岬]]と[[海驢島|トド島]]]]
[[File:Rebun Relief Map, SRTM.jpg|thumb|left|130px|礼文島の地形図]]
日本最北端の有人島(北海道本土や北方領土を除く)。東西約7.9[[キロメートル]]、南北約25.8キロメートル、周囲約72キロメートル。[[スコトン岬]]と金田ノ岬の間に直径5キロメートルの半円形の船泊湾がある。最高地点は[[礼文岳]](標高490メートル)。スコトン岬の北方約1キロメートルには[[海驢島|トド島]]と呼ばれる小島がある。
[[ファイル:Sukoton.JPG|thumb|[[スコトン岬]]と[[海驢島|トド島]]]]

[[ファイル:Rebun-Island 礼文島元地漁港IMG 2281.JPG|thumb|[[桃岩荘]]辺りから見る[[元地漁港]]]]
[[ファイル:Rebun-Island 礼文島元地漁港IMG 2281.JPG|thumb|[[桃岩荘]]辺りから見る[[元地漁港]]]]
海蝕崖、低標高の寒地であり、[[高山植物|高山性植物]]群落が見られ、地形は[[周氷河地形]]である。丘陵性地形の離島である。島の北部と南部に標高100m前後の[[第四紀]][[更新世]]の海岸段丘が見られる<ref>{{Citation|和書|author=植木岳雪 |contribution=利尻島礼文島の海成段丘 |editor=利尻町立博物館 |title=利尻研究 |volume=19 |pages=67-78 |year=2000 |url=http://www.town.rishiri.hokkaido.jp/rishiri/2579.htm}}</ref>。
海蝕崖、低標高の寒地であり、[[高山植物|高山性植物]]群落が見られ、地形は[[周氷河地形]]である。丘陵性地形の離島である。島の北部と南部に標高100m前後の[[第四紀]][[更新世]]の海岸段丘が見られる<ref>{{Citation|和書|author=植木岳雪 |contribution=利尻島礼文島の海成段丘 |editor=利尻町立博物館 |title=利尻研究 |volume=19 |pages=67-78 |year=2000 |url=http://www.town.rishiri.hokkaido.jp/rishiri/2579.htm}}</ref>。
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=== 地形・地質 ===
=== 地形・地質 ===
[[File:Rebun Island Aerial photograph.2014.jpg|thumb|right|220px|礼文島の空中写真。2014年9月3日撮影の146枚を合成作成。<br/>{{国土航空写真}}。]]
[[白亜紀]] - [[新第三紀]][[中新世]]に海底で堆積した砂岩や泥岩、火山岩の地層が見られる。また[[海食柱#地蔵岩|地蔵岩]]の周辺から1億1150万年前の[[アンモナイト]]の[[化石]]が見つかっており、[[新第三紀]][[中新世]]の地層は、主に海底火山の残骸からで、スコトン岬や知床に露出が見られる<ref name="1997-49" />。白亜紀の地層は、礼文岳を中心とした島のほぼ中心に露出し、また桃岩は、約1300万年前のマグマが海底下で個結したものである。以上のことから、礼文島の形成場所は海底と考えられている。
礼文島が南北に伸びているのは島の骨格をなす白亜紀の地層が南北に褶曲したためである<ref>{{Citation|和書|contribution=五万分の一地質図幅説明書 |title=礼文島 |editor1=長尾捨一 |editor2=秋葉力 |editor3=大森保 |publisher=北海道開発庁 |year=1963}}</ref>。
[[白亜紀]] - [[新第三紀]][[中新世]]に海底で堆積した砂岩や泥岩、火山岩の地層が見られる。また[[海食柱#地蔵岩|地蔵岩]]の周辺から1億1150万年前の[[アンモナイト]]の[[化石]]が見つかっており、[[新第三紀]][[中新世]]の地層は、主に海底火山の残骸からで、スコトン岬や知床に露出が見られる<ref name="1997-49" />。白亜紀の地層は、礼文岳を中心とした島のほぼ中心に露出し、また桃岩は、約1300万年前のマグマが海底下で個結したものである。以上のことから、礼文島の形成場所は海底と考えられている。礼文島が南北に伸びているのは島の骨格をなす白亜紀の地層が南北に褶曲したためである<ref>{{Citation|和書|contribution=五万分の一地質図幅説明書 |title=礼文島 |editor1=長尾捨一 |editor2=秋葉力 |editor3=大森保 |publisher=北海道開発庁 |year=1963}}</ref>。


至る所に[[安山岩]]、[[玄武岩]]の柱状節理が岩脈として現れている。また化石や[[ケイ岩]]、火打石(レブンメノウ)を数多く産出している。
至る所に[[安山岩]]、[[玄武岩]]の[[柱状節理]]が岩脈として現れている。また化石や[[ケイ岩]]、火打石(レブンメノウ)を数多く産出している。


=== 気候 ===
=== 気候 ===
ケッペンの気候区分では[[亜寒帯湿潤気候]] (Df) に属している<ref name="park-rishiri" />。海洋性気候という立ち位置で冬場は-16℃を下回らないかわりに[[リマン海流]]の影響で日中でも気温が上がらず最高気温は1月2月で-3℃ほど。2010年2月3日には最高気温が-12.5℃という日中の冷え込みを記録している。
ケッペンの気候区分では[[亜寒帯湿潤気候]] (Df) に属している<ref name="park-rishiri" />。海洋性気候という立ち位置で冬場は-16℃を下回らないかわりに[[リマン海流]]の影響で日中でも気温が上がらず最高気温は1月 - 2月で-3℃ほど。2010年2月3日には最高気温が-12.5℃という日中の冷え込みを記録している。


西海岸は地形が険しく、また西からの強い[[季節風]]が年中吹き付けて[[気候]]が厳しいため、高い木の生えない荒涼とした[[笹|笹地]]が多い。
西海岸は地形が険しく、また西からの強い[[季節風]]が年中吹き付けて[[気候]]が厳しいため、高い木の生えない荒涼とした[[笹|笹地]]が多い。
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鳥類は[[コマドリ]]、[[ノゴマ]]、[[ウグイス]]、[[エゾセンニュウ]]、[[シマセンニュウ]]がおり、[[久種湖]]周辺には[[アマサギ]]、[[オオジシギ]]、[[タゲリ]]、[[ヤツガシラ]]などが見られるときもある。海岸では[[ウミウ]]、[[ウミネコ]]、[[オオセグロカモメ]]が生息している。
鳥類は[[コマドリ]]、[[ノゴマ]]、[[ウグイス]]、[[エゾセンニュウ]]、[[シマセンニュウ]]がおり、[[久種湖]]周辺には[[アマサギ]]、[[オオジシギ]]、[[タゲリ]]、[[ヤツガシラ]]などが見られるときもある。海岸では[[ウミウ]]、[[ウミネコ]]、[[オオセグロカモメ]]が生息している。


哺乳類では、[[ヒグマ]]や[[エゾシカ]]、[[キツネ]]は生息しておらず<ref name="park-rishiri" />(キツネの歴史については「歴史」節で後述)、[[ニホンイタチ]](移入種)、[[シマリス]]、[[ヤチネズミ]]、[[トガリネズミ]]、[[コウモリ]]が島内には存在する。以前は、ヒグマ、[[エゾリス]]、[[エゾモモンガ]]、[[ニホンイイズナ]]、[[ニホンカワウソ]]、[[ニホンアシカ]]、[[ヒレナガゴンドウ]]も生息していたが現在では絶滅した<ref name="1997-128" />。礼文島はかつての[[ニホンアシカ]]の生息地の一つで、縄文時代からニホンアシカの狩りが行なわれていたが[[竹島 (島根県)|竹島]]以外での最後の記録はこの島での[[1974年]](昭和49年)の記録である<ref>{{Cite_web|url=http://www.biodic.go.jp/rdb_fts/2000/74-081.html |title=絶滅危惧種情報(動物)- ニホンアシカ - |author阿部永 |publisher=環境省 |accessdate=2009-08-08 |archiveurl=http://web.archive.org/web/20110605064619/http://www.biodic.go.jp/rdb_fts/2000/74-081.html |archivedate=2011-06-05}}</ref>。また、ヒレナガゴンドウを対象とした狩猟が12世紀ごろまで行われていたが、この種が国内で出土しているのは本島と[[千葉県]]のみである。現在、[[鰭脚類]]では[[トド]]や[[ゴマフアザラシ]]などが棲息する。トドは[[環境省]]により[[絶滅危惧種]]に指定されているが、漁業被害を考慮し捕殺が行われている。[[クジラ]]類も現在では滅多に見られなくなったが、[[ミンククジラ]]、[[ツチクジラ]]、[[オウギハクジラ]]、[[シャチ]]、[[カマイルカ]]、[[イシイルカ]]、[[ネズミイルカ]]などは時節確認され、[[シロイルカ]]も稀にだが来遊する<ref>{{Citation|和書|contribution=知床・根室海峡海域におけるシロイルカ(ベルーガ) Delphinapterus leucasの出現記録 |author=佐藤晴子、市村政樹 |title=知床博物館研究報告 |volume=32 |editor=斜里町立知床博物館 |pages=45-52 |year=2011 |url=http://shiretoko-museum.mydns.jp/_media/shuppan/kempo/3209s_sato-ichimura.pdf |accessdate=2014-06-12}}</ref>。考古学上での発見<ref>{{Citation|和書|contribution=知床周辺海域の鯨類 |author=宇仁義和 |title=知床博物館研究報告 |editor=斜里町立知床博物館 |volume=27 |pages=37-46 |year=2006 |url=http://www.cho.co.jp/natural-h/download/archive/shiretoko/2703s_UNI.pdf |accessdate=2014-06-17}}</ref><ref>{{Cite_web|author=西谷榮治 |title=北の海の道リイシリのアイヌ史 |url=http://www.frpac.or.jp/about/files/sem1907.pdf |accessdate=2014-06-12 |format=pdf}}</ref>や捕獲記録から、捕鯨時代の以前は[[コククジラ]]<ref>{{Cite_web |url=http://www.h6.dion.ne.jp/~unisan/data/graywhale/cetaken15.html |title=西部系群コククジラ Eschrictius robustus の記録集成と通過海峡 |author=宇仁義和 |year=2004 |accessdate=2014-06-12}}</ref>や[[セミクジラ]]<ref>Scarff, J.E., 1991 [http://www.sfcelticmusic.com/js/RTWHALES/sciliterature.htm Historic distribution and abundance of the right whale (Eubalaena glacialis) in the North Pacific, Bering Sea, Sea of Okhotsk and Sea of Japan from the Maury Whale Charts]. Report of International Whaling Commission 41:467-489(SC/42/PS3).2014年6月12日閲覧</ref>、[[ザトウクジラ]]、[[ナガスクジラ]]などの大型種も豊富だったと思われる。
哺乳類では、[[ヒグマ]]や[[エゾシカ]]、[[キツネ]]は生息しておらず<ref name="park-rishiri" />(キツネの歴史については「歴史」節で後述)、[[ニホンイタチ]](移入種)、[[シマリス]]、[[ヤチネズミ]]、[[トガリネズミ]]、[[コウモリ]]が島内には存在する。以前は、ヒグマ、[[エゾリス]]、[[エゾモモンガ]]、[[ニホンイイズナ]]、[[ニホンカワウソ]]、[[ニホンアシカ]]、[[ヒレナガゴンドウ]]も生息していたが現在では絶滅した<ref name="1997-128" />。礼文島はかつての[[ニホンアシカ]]の生息地の一つで、縄文時代からニホンアシカの狩りが行なわれていたが[[竹島 (島根県)|竹島]]以外での最後の記録はこの島での[[1974年]](昭和49年)の記録である<ref>{{Cite_web|url=http://www.biodic.go.jp/rdb_fts/2000/74-081.html |title=絶滅危惧種情報(動物)- ニホンアシカ - |author阿部永 |publisher=環境省 |accessdate=2009-08-08 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20110605064619/http://www.biodic.go.jp/rdb_fts/2000/74-081.html |archivedate=2011-06-05}}</ref>。また、ヒレナガゴンドウを対象とした狩猟が12世紀ごろまで行われていたが、この種が国内で出土しているのは本島と[[千葉県]]のみである。現在、[[鰭脚類]]では[[トド]]や[[ゴマフアザラシ]]などが棲息する。トドは[[環境省]]により[[絶滅危惧種]]に指定されているが、漁業被害を考慮し捕殺が行われている。[[クジラ]]類も現在では滅多に見られなくなったが、[[ミンククジラ]]、[[ツチクジラ]]、[[オウギハクジラ]]、[[シャチ]]、[[カマイルカ]]、[[イシイルカ]]、[[ネズミイルカ]]などは時節確認され、[[シロイルカ]]も稀にだが来遊する<ref>{{Citation|和書|contribution=知床・根室海峡海域におけるシロイルカ(ベルーガ) Delphinapterus leucasの出現記録 |author=佐藤晴子、市村政樹 |title=知床博物館研究報告 |volume=32 |editor=斜里町立知床博物館 |pages=45-52 |year=2011 |url=http://shiretoko-museum.mydns.jp/_media/shuppan/kempo/3209s_sato-ichimura.pdf |accessdate=2014-06-12}}</ref>。考古学上での発見<ref>{{Citation|和書|contribution=知床周辺海域の鯨類 |author=宇仁義和 |title=知床博物館研究報告 |editor=斜里町立知床博物館 |volume=27 |pages=37-46 |year=2006 |url=http://www.cho.co.jp/natural-h/download/archive/shiretoko/2703s_UNI.pdf |accessdate=2014-06-17}}</ref><ref>{{Cite_web|author=西谷榮治 |title=北の海の道リイシリのアイヌ史 |url=http://www.frpac.or.jp/about/files/sem1907.pdf |accessdate=2014-06-12 |format=pdf}}</ref>や捕獲記録から、捕鯨時代の以前は[[コククジラ]]<ref>{{Cite_web |url=http://www.h6.dion.ne.jp/~unisan/data/graywhale/cetaken15.html |title=西部系群コククジラ Eschrictius robustus の記録集成と通過海峡 |author=宇仁義和 |year=2004 |accessdate=2014-06-12}}</ref>や[[セミクジラ]]<ref>Scarff, J.E., 1991 [http://www.sfcelticmusic.com/js/RTWHALES/sciliterature.htm Historic distribution and abundance of the right whale (Eubalaena glacialis) in the North Pacific, Bering Sea, Sea of Okhotsk and Sea of Japan from the Maury Whale Charts]. Report of International Whaling Commission 41:467-489(SC/42/PS3).2014年6月12日閲覧</ref>、[[ザトウクジラ]]、[[ナガスクジラ]]などの大型種も豊富だったと思われる。


[[エゾアカガエル]]、[[ニホンザリガニ]]も少数ながら現存する。
[[エゾアカガエル]]、[[ニホンザリガニ]]も少数ながら現存する。
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=== 植物相 ===
=== 植物相 ===
針葉樹のほとんどは[[トドマツ]]。落葉広葉樹は[[ダケカンバ]]、[[:W:Salix udensis|オノエヤナギ]]、低標高では海抜20mから[[ハイマツ]]が見られる<ref>{{Citation|和書|author1=杣田美野里 |author2=佐藤雅彦 |author3=宮本誠一郎 |title=利尻・礼文自然観察ガイド |publisher=山と渓谷社 |year=2006 |pages=10-13}}</ref>。草原には[[チシマザサ]]、クマイザザサが分布している。樹林下のササは[[ネマガリダケ]]とよばれるほど大きくなり、[[ツタウルシ]]に覆われていることも多い<ref name="1997-129" />。花類は、[[レブンソウ]]、[[レブンウスユキソウ]]、[[レブンアツモリソウ]]、[[チョウノスケソウ]]、[[フタナミソウ]]、[[レブンコザクラ]]、レブンハナノシブ、[[チシマフウロ]]、レブンカラマツ等が見られる。
針葉樹のほとんどは[[トドマツ]]。落葉広葉樹は[[ダケカンバ]]、[[:W:Salix udensis|オノエヤナギ]]、低標高では海抜20メートルから[[ハイマツ]]が見られる<ref>{{Citation|和書|author1=杣田美野里 |author2=佐藤雅彦 |author3=宮本誠一郎 |title=利尻・礼文自然観察ガイド |publisher=山と渓谷社 |year=2006 |pages=10-13}}</ref>。草原には[[チシマザサ]]、クマイザザサが分布している。樹林下のササは[[ネマガリダケ]]とよばれるほど大きくなり、[[ツタウルシ]]に覆われていることも多い<ref name="1997-129" />。花類は、[[レブンソウ]]、[[レブンウスユキソウ]]、[[レブンアツモリソウ]]、[[チョウノスケソウ]]、[[フタナミソウ]]、[[レブンコザクラ]]、レブンハナノシブ、[[チシマフウロ]]、レブンカラマツ等が見られる。


== 歴史 ==
== 歴史 ==
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* [[1919年]](大正8年)頃 - [[石炭]]を採取。
* [[1919年]](大正8年)頃 - [[石炭]]を採取。
* [[1924年]]から[[1926年]]にかけて[[千島]]列島の[[新知島]]から野ネズミ駆除と[[毛皮]]養殖目的で移入した[[ベニギツネ]]が感染源となり、[[1963年]]頃までに約200人の島民が[[エキノコックス症]]で死亡した。キツネ狩りによりキツネを根絶した結果、エキノコックス症も根絶され、現在では非汚染地域となっている<ref>{{Cite_web|url=http://idsc.nih.go.jp/iasr/20/227/dj2275.html |title=礼文島エキノコックス症の自然史 |publisher=[[国立感染症研究所]]感染症情報センター |accessdate=2008-04-07}}</ref>。
* [[1924年]]から[[1926年]]にかけて[[千島]]列島の[[新知島]]から野ネズミ駆除と[[毛皮]]養殖目的で移入した[[ベニギツネ]]が感染源となり、[[1963年]]頃までに約200人の島民が[[エキノコックス症]]で死亡した。キツネ狩りによりキツネを根絶した結果、エキノコックス症も根絶され、現在では非汚染地域となっている<ref>{{Cite_web|url=http://idsc.nih.go.jp/iasr/20/227/dj2275.html |title=礼文島エキノコックス症の自然史 |publisher=[[国立感染症研究所]]感染症情報センター |accessdate=2008-04-07}}</ref>。
* [[1948年]]([[昭和]]23年) - 5月9日に[[皆既日食]]の中心線が礼文島を通り、戦後間もないこの時期に多くの専門・アマチュア[[天文学者]]が訪問<ref>[https://www.asj.or.jp/jp/activities/geppou/item/113-11_702.pdf 礼文島金環日食 ―実現に向けての日食委員会記録と礼文島日食再検討―(天文月報、2020年)]</ref>。


== 観光 ==
== 観光 ==
島の西部は、[[利尻礼文サロベツ国立公園]]の一部に指定されており全体が自然景勝地である。また、冷涼な気候のため、最高峰の[[礼文岳]] (490m) から島の西半分にかけては[[レブンアツモリソウ]]など約300種類の[[高山植物]]が分布する。東部では[[礼文水道]]を挟み、向かいの[[利尻富士]]を眺める。これらの自然と[[海産物]]が主要な観光資源である。
島の西部は、[[利尻礼文サロベツ国立公園]]の一部に指定されており全体が自然景勝地である。また、冷涼な気候のため、最高峰の[[礼文岳]] (490メートル) から島の西半分にかけては[[レブンアツモリソウ]]など約300種類の[[高山植物]]が分布する。東部では[[礼文水道]]を挟み、向かいの[[利尻富士]]を眺める。これらの自然と[[海産物]]が主要な観光資源である。


最北部[[スコトン岬]](須古頓岬)から西岸沿いを縦断するトレッキングコース「[[愛とロマンの8時間コース]]」や「岬めぐりコース(旧花の4時間コース<ref>{{Cite_web|url=http://www.town.rebun.hokkaido.jp/kankou/sansaku.html |title=散策路マップ |author=礼文町役場 |accessdate=2014-01-13 |archiveurl=http://web.archive.org/web/20140527095049/http://town.rebun.hokkaido.jp/kankou/sansaku.html |archivedate=2014-05-27}}</ref>)」「フラワーロード」などの高山植物を観察できるコースが整備されている。礼文滝などあまり人が訪れない景勝地もあるが、それらの経路は途中危険個所が存在する場合もあるので、前述の各トレッキングコースを訪れる場合と同様に地元自治体([[礼文町]])や自然ガイドの発する情報、指示に従った十分な安全対策が必要である。
最北部[[スコトン岬]](須古頓岬)から西岸沿いを縦断するトレッキングコース「[[愛とロマンの8時間コース]]」や「岬めぐりコース(旧花の4時間コース<ref>{{Cite_web|url=http://www.town.rebun.hokkaido.jp/kankou/sansaku.html |title=散策路マップ |author=礼文町役場 |accessdate=2014-01-13 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20140527095049/http://town.rebun.hokkaido.jp/kankou/sansaku.html |archivedate=2014-05-27}}</ref>)」「フラワーロード」などの高山植物を観察できるコースが整備されている。礼文滝などあまり人が訪れない景勝地もあるが、それらの経路は途中危険個所が存在する場合もあるので、前述の各トレッキングコースを訪れる場合と同様に地元自治体([[礼文町]])や自然ガイドの発する情報、指示に従った十分な安全対策が必要である。


南西部には[[礼文島#地理|地理]]の項で述べた桃岩、地蔵岩に加え、猫岩といった[[奇岩]]や高山植物の群落を見られる景勝地が点在しており、前述のスコトン岬などと並び、[[観光バス]]のルートに組み込まれることが多い。
南西部には[[礼文島#地理|地理]]の項で述べた桃岩、地蔵岩に加え、猫岩といった[[奇岩]]や高山植物の群落を見られる景勝地が点在しており、前述のスコトン岬などと並び、[[観光バス]]のルートに組み込まれることが多い。
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礼文島には富士見ヶ丘スキー場、久種湖畔スキー場の2か所スキー場がある<ref>{{Cite_web |url=http://www.reikyoi.jp/index.php/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E6%95%99%E8%82%B2%E6%96%BD%E8%A8%AD/%E5%AF%8C%E5%A3%AB%E8%A6%8B%E3%83%B6%E4%B8%98%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC%E5%A0%B4/ |title=礼文町教育委員会ポータル :: 富士見ヶ丘スキー場・久種湖畔スキー場 |author=礼文町教育委員会 |accessdate=2014-06-12}}</ref>。このうち久種湖畔スキー場は、日本最北端のスキー場であり、[[久種湖]]は日本が実効支配している地域では最北端の[[湖]]であり、湖畔に[[キャンプ場]]が整備されている。
礼文島には富士見ヶ丘スキー場、久種湖畔スキー場の2か所スキー場がある<ref>{{Cite_web |url=http://www.reikyoi.jp/index.php/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E6%95%99%E8%82%B2%E6%96%BD%E8%A8%AD/%E5%AF%8C%E5%A3%AB%E8%A6%8B%E3%83%B6%E4%B8%98%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC%E5%A0%B4/ |title=礼文町教育委員会ポータル :: 富士見ヶ丘スキー場・久種湖畔スキー場 |author=礼文町教育委員会 |accessdate=2014-06-12}}</ref>。このうち久種湖畔スキー場は、日本最北端のスキー場であり、[[久種湖]]は日本が実効支配している地域では最北端の[[湖]]であり、湖畔に[[キャンプ場]]が整備されている。


島内の各漁港の[[テトラポッド]]では[[メバル属|クロソイ]]・[[ガヤ]]・[[カジカ (魚)|カジカ]]・[[アイナメ]]等が釣れる。
島内の各漁港の[[テトラポッド]]では[[クロソイ]]・[[ガヤ]]・[[カジカ (魚)|カジカ]]・[[アイナメ]]等が釣れる。


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ファイル:Momoiwa2.JPG|桃岩
ファイル:Momoiwa2.JPG|桃岩
ファイル:sukai.jpg|澄海岬
ファイル:Rebun 20140725 110632.jpg|澄海岬
ファイル:Gorota1.JPG|ゴロタ岬から見たスコトン岬と[[海驢島|トド島]]
ファイル:Gorota1.JPG|ゴロタ岬から見たスコトン岬と[[海驢島|トド島]]
ファイル:130726 Cape Gorota in Rebun Island Hokkaido Japan01s5.jpg|ゴロタ岬<!--より良い画像と差し換えてください-->
ファイル:130726 Cape Gorota in Rebun Island Hokkaido Japan01s5.jpg|ゴロタ岬<!--より良い画像と差し換えてください-->
ファイル:Rebun Island Cat Rock.JPG|元地海岸と猫岩
ファイル:Rebun Island Cat Rock.JPG|元地海岸と猫岩
ファイル:Rebun Island 20140814.jpg|桃岩荘
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=== 空路 ===
=== 空路 ===
'''[[礼文空港]]'''([[2009年]](平成21年)4月9日より[[2021年]](平成33年)3月31日まで運用休止)
'''[[礼文空港]]'''([[2009年]](平成21年)4月9日から[[2026年]](令和8年)3月31日まで運用休止)<ref>2021年(令和 3年)2月25日付国土交通省告示第108号</ref>。
: [[2003年]](平成15年)4月以降定期便は未就航。
: [[2003年]](平成15年)4月以降定期便は未就航。


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* [[日本標準時#標準電波による標準時の通報|日本標準時]]([[昭和初期]]の同島での[[日食の一覧#20世紀|日食観測]]時、[[標準電波]]に[[分]][[秒]]信号を試験的にのせ非常に良い結果を得た記録あり)
* [[日本標準時#標準電波による標準時の通報|日本標準時]]([[昭和初期]]の同島での[[日食の一覧#20世紀|日食観測]]時、[[標準電波]]に[[分]][[秒]]信号を試験的にのせ非常に良い結果を得た記録あり)
* [[海食柱]](同島の地蔵岩、[[海食柱#地蔵岩|海食柱の例]])
* [[海食柱]](同島の地蔵岩、[[海食柱#地蔵岩|海食柱の例]])
*[[宗谷 (列車)|礼文 (列車)]]
* [[宗谷 (列車)#礼文|礼文 (列車)]] - [[北海道旅客鉄道|JR北海道]]が運行していた[[急行列車]]
* [[礼文島土砂災害]]

== 外部リンク ==
*[http://www.rebun-island.jp/ 礼文島観光協会]

{{日本の指定離島}}
{{日本の指定離島}}
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2024年6月10日 (月) 05:33時点における版

礼文島
利尻山山頂から見た礼文島
所在地 日本の旗 日本 北海道
所在海域 日本海
座標 北緯45度26分14秒 東経141度02分16秒 / 北緯45.43722度 東経141.03778度 / 45.43722; 141.03778座標: 北緯45度26分14秒 東経141度02分16秒 / 北緯45.43722度 東経141.03778度 / 45.43722; 141.03778
面積 81.33[1] km²
海岸線長 72.0[1] km
最高標高 489.8 m
最高峰 礼文岳
礼文島の位置(北海道内)
礼文島
礼文島
礼文島 (北海道)
礼文島の位置(日本内)
礼文島
礼文島
礼文島 (日本)
プロジェクト 地形
テンプレートを表示

礼文島(れぶんとう)は、北海道の北部、稚内の西方60kmの日本海上に位置する島。礼文郡礼文町に属する。

礼文水道を挟んで利尻島の北西に位置する。冷涼な気候により海抜0メートル地帯から200種類以上の高山植物が咲き乱れているため別名花の浮島と呼ばれている[2]。人口は2022年(令和4年)3月1日現在、2,352人[3]。礼文島の北部は樹木が少なくササ原となっているのは明治期の薪材の伐り出しや、度重なる山火事によって樹木が消失したことによる。

島名の由来

アイヌ語では「沖の・島」を表す「レプンシㇼ(repun-sir)」「レプイシㇼ(repuy-sir)」と呼ばれ、日本語名はこの「レプン」に字を当てたものである[4]

アイヌ語研究者の山田秀三利尻島の沖にあるためついた名としている。

地理

礼文島の地形図
スコトン岬トド島

日本最北端の有人島(北海道本土や北方領土を除く)。東西約7.9キロメートル、南北約25.8キロメートル、周囲約72キロメートル。スコトン岬と金田ノ岬の間に直径5キロメートルの半円形の船泊湾がある。最高地点は礼文岳(標高490メートル)。スコトン岬の北方約1キロメートルにはトド島と呼ばれる小島がある。

桃岩荘辺りから見る元地漁港

海蝕崖、低標高の寒地であり、高山性植物群落が見られ、地形は周氷河地形である。丘陵性地形の離島である。島の北部と南部に標高100m前後の第四紀更新世の海岸段丘が見られる[5]

集落は東海岸と北部・南部にまとまっており、西海岸には元地(もとち)・宇遠内(うえんない)・西上泊(にしうえどまり)・鉄府(てっぷ)の各集落がある。中心集落である香深(かぶか、かふか)・船泊(ふなどまり)をはじめ島の東海岸・北部は比較的開けている。島を縦断する車道は東海岸にあり北部 - 東部 - 南部に通じているが、西海岸を縦断する道は車両の通行が不可能な林道のみとなっている。島のほぼ中央部分を礼文林道という未舗装の道が通っている。

島の北部には久種湖(くしゅこ)という淡水湖がある。

地形・地質

礼文島の空中写真。2014年9月3日撮影の146枚を合成作成。
国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成。

白亜紀 - 新第三紀中新世に海底で堆積した砂岩や泥岩、火山岩の地層が見られる。また地蔵岩の周辺から1億1150万年前のアンモナイト化石が見つかっており、新第三紀中新世の地層は、主に海底火山の残骸からで、スコトン岬や知床に露出が見られる[6]。白亜紀の地層は、礼文岳を中心とした島のほぼ中心に露出し、また桃岩は、約1300万年前のマグマが海底下で個結したものである。以上のことから、礼文島の形成場所は海底と考えられている。礼文島が南北に伸びているのは島の骨格をなす白亜紀の地層が南北に褶曲したためである[7]

至る所に安山岩玄武岩柱状節理が岩脈として現れている。また化石やケイ岩、火打石(レブンメノウ)を数多く産出している。

気候

ケッペンの気候区分では亜寒帯湿潤気候 (Df) に属している[2]。海洋性気候という立ち位置で冬場は-16℃を下回らないかわりにリマン海流の影響で日中でも気温が上がらず最高気温は1月 - 2月で-3℃ほど。2010年2月3日には最高気温が-12.5℃という日中の冷え込みを記録している。

西海岸は地形が険しく、また西からの強い季節風が年中吹き付けて気候が厳しいため、高い木の生えない荒涼とした笹地が多い。

  • 過去最高気温:31.0℃(1989年7月26日)船泊地区
  • 過去最低気温:-19.4℃(1978年2月16日) 船泊地区
  • 年間降水量:最多1247ミリメートル(1999年)船泊地区、最少709ミリメートル(1979年)船泊地区
  • 日最大降水量:最多111ミリメートル(2007年8月1日)幌泊地区
  • 最大瞬間風速:29.9m/s(2010年9月29日)香深地区

気象庁過去の気象データより

動植物

動物相

鳥類はコマドリノゴマウグイスエゾセンニュウシマセンニュウがおり、久種湖周辺にはアマサギオオジシギタゲリヤツガシラなどが見られるときもある。海岸ではウミウウミネコオオセグロカモメが生息している。

哺乳類では、ヒグマエゾシカキツネは生息しておらず[2](キツネの歴史については「歴史」節で後述)、ニホンイタチ(移入種)、シマリスヤチネズミトガリネズミコウモリが島内には存在する。以前は、ヒグマ、エゾリスエゾモモンガニホンイイズナニホンカワウソニホンアシカヒレナガゴンドウも生息していたが現在では絶滅した[8]。礼文島はかつてのニホンアシカの生息地の一つで、縄文時代からニホンアシカの狩りが行なわれていたが竹島以外での最後の記録はこの島での1974年(昭和49年)の記録である[9]。また、ヒレナガゴンドウを対象とした狩猟が12世紀ごろまで行われていたが、この種が国内で出土しているのは本島と千葉県のみである。現在、鰭脚類ではトドゴマフアザラシなどが棲息する。トドは環境省により絶滅危惧種に指定されているが、漁業被害を考慮し捕殺が行われている。クジラ類も現在では滅多に見られなくなったが、ミンククジラツチクジラオウギハクジラシャチカマイルカイシイルカネズミイルカなどは時節確認され、シロイルカも稀にだが来遊する[10]。考古学上での発見[11][12]や捕獲記録から、捕鯨時代の以前はコククジラ[13]セミクジラ[14]ザトウクジラナガスクジラなどの大型種も豊富だったと思われる。

エゾアカガエルニホンザリガニも少数ながら現存する。 蛇は島内に生息していない[15]

植物相

針葉樹のほとんどはトドマツ。落葉広葉樹はダケカンバオノエヤナギ、低標高では海抜20メートルからハイマツが見られる[16]。草原にはチシマザサ、クマイザザサが分布している。樹林下のササはネマガリダケとよばれるほど大きくなり、ツタウルシに覆われていることも多い[17]。花類は、レブンソウレブンウスユキソウレブンアツモリソウチョウノスケソウフタナミソウレブンコザクラ、レブンハナノシブ、チシマフウロ、レブンカラマツ等が見られる。

歴史

観光

島の西部は、利尻礼文サロベツ国立公園の一部に指定されており全体が自然景勝地である。また、冷涼な気候のため、最高峰の礼文岳 (490メートル) から島の西半分にかけてはレブンアツモリソウなど約300種類の高山植物が分布する。東部では礼文水道を挟み、向かいの利尻富士を眺める。これらの自然と海産物が主要な観光資源である。

最北部スコトン岬(須古頓岬)から西岸沿いを縦断するトレッキングコース「愛とロマンの8時間コース」や「岬めぐりコース(旧花の4時間コース[21])」「フラワーロード」などの高山植物を観察できるコースが整備されている。礼文滝などあまり人が訪れない景勝地もあるが、それらの経路は途中危険個所が存在する場合もあるので、前述の各トレッキングコースを訪れる場合と同様に地元自治体(礼文町)や自然ガイドの発する情報、指示に従った十分な安全対策が必要である。

南西部には地理の項で述べた桃岩、地蔵岩に加え、猫岩といった奇岩や高山植物の群落を見られる景勝地が点在しており、前述のスコトン岬などと並び、観光バスのルートに組み込まれることが多い。

2007年に温泉(礼文島温泉)の掘削に成功した。近年は船泊湾など島の北端を中心に野生のアザラシが生息しており一年中観察することが出来る。トド島(海驢島、とどじま)名の由来となったトドも、捕獲圧のために数は少ないが稀に現れる。

礼文島には富士見ヶ丘スキー場、久種湖畔スキー場の2か所スキー場がある[22]。このうち久種湖畔スキー場は、日本最北端のスキー場であり、久種湖は日本が実効支配している地域では最北端のであり、湖畔にキャンプ場が整備されている。

島内の各漁港のテトラポッドではクロソイガヤカジカアイナメ等が釣れる。

アクセス

航路

香深港

空路

礼文空港2009年(平成21年)4月9日から2026年(令和8年)3月31日まで運用休止)[23]

2003年(平成15年)4月以降定期便は未就航。

著名作品などの舞台

出身・ゆかりのある人物

脚注

出典

  1. ^ a b 『SHIMADAS』、p.12
  2. ^ a b c 環境省. “環境省_自然環境の概要 利尻礼文サロベツ国立公園”. 2014年6月12日閲覧。
  3. ^ 礼文島役場ホームページ
  4. ^ アイヌ語地名リスト ル~ワ P141-145”. アイヌ語地名リスト. 北海道 環境生活部 アイヌ政策推進室 (2007年). 2018年6月17日閲覧。
  5. ^ 植木岳雪 著「利尻島礼文島の海成段丘」、利尻町立博物館 編『利尻研究』 19巻、2000年、67-78頁http://www.town.rishiri.hokkaido.jp/rishiri/2579.htm 
  6. ^ 石塚吉浩 「礼文島と利尻島の生い立ち」、『利尻・知床を歩く』、p.49
  7. ^ 長尾捨一; 秋葉力; 大森保 編「五万分の一地質図幅説明書」『礼文島』北海道開発庁、1963年。 
  8. ^ 『利尻・知床を歩く』、p.128
  9. ^ 絶滅危惧種情報(動物)- ニホンアシカ -”. 環境省. 2011年6月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年8月8日閲覧。
  10. ^ 佐藤晴子、市村政樹 著「知床・根室海峡海域におけるシロイルカ(ベルーガ) Delphinapterus leucasの出現記録」、斜里町立知床博物館 編『知床博物館研究報告』 32巻、2011年、45-52頁http://shiretoko-museum.mydns.jp/_media/shuppan/kempo/3209s_sato-ichimura.pdf2014年6月12日閲覧 
  11. ^ 宇仁義和 著「知床周辺海域の鯨類」、斜里町立知床博物館 編『知床博物館研究報告』 27巻、2006年、37-46頁http://www.cho.co.jp/natural-h/download/archive/shiretoko/2703s_UNI.pdf2014年6月17日閲覧 
  12. ^ 西谷榮治. “北の海の道リイシリのアイヌ史” (pdf). 2014年6月12日閲覧。
  13. ^ 宇仁義和 (2004年). “西部系群コククジラ Eschrictius robustus の記録集成と通過海峡”. 2014年6月12日閲覧。
  14. ^ Scarff, J.E., 1991 Historic distribution and abundance of the right whale (Eubalaena glacialis) in the North Pacific, Bering Sea, Sea of Okhotsk and Sea of Japan from the Maury Whale Charts. Report of International Whaling Commission 41:467-489頁(SC/42/PS3).2014年6月12日閲覧
  15. ^ 『地球の歩き方 島旅04 利尻・礼文』、p.107。
  16. ^ 杣田美野里; 佐藤雅彦; 宮本誠一郎『利尻・礼文自然観察ガイド』山と渓谷社、2006年、10-13頁。 
  17. ^ 『利尻・知床を歩く』、pp.128-129
  18. ^ 加藤庸二『原色・日本島図鑑』新星出版社、2011年、6頁。 
  19. ^ 礼文島エキノコックス症の自然史”. 国立感染症研究所感染症情報センター. 2008年4月7日閲覧。
  20. ^ 礼文島金環日食 ―実現に向けての日食委員会記録と礼文島日食再検討―(天文月報、2020年)
  21. ^ 礼文町役場. “散策路マップ”. 2014年5月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年1月13日閲覧。
  22. ^ 礼文町教育委員会. “礼文町教育委員会ポータル :: 富士見ヶ丘スキー場・久種湖畔スキー場”. 2014年6月12日閲覧。
  23. ^ 2021年(令和 3年)2月25日付国土交通省告示第108号

参考資料

  • 財団法人日本離島センター『SHIMADAS(シマダス)』1998年。 
  • 梅沢俊『利尻・礼文を歩く』山と渓谷社、1997年。 
  • 『地球の歩き方 島旅04 利尻・礼文』(ダイヤモンド・ビッグ社、2016)。

関連項目

外部リンク