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「FC-1 (航空機)」の版間の差分

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|分類=[[マルチロール機|多用途戦闘機]]
|分類=[[マルチロール機|多用途戦闘機]]
|設計者=
|設計者=
|製造者={{flagicon|China}} [[成都飛機工業公司|成都飛機工業集団有限責任公司]]
|製造者=<br />{{flagicon|China}} [[成都飛機工業公司|成都飛機工業集団有限責任公司]]<br />{{Flagicon|PAK}} Pakistan Aeronautical Complex<ref>https://thediplomat.com/2020/01/pakistans-jf-17-block-iii-fighter-jet-makes-maiden-flight/</ref>
|運用者={{PAK}}（[[パキスタン軍#空軍|空軍]]）
|運用者 more=<br />
** {{Flagicon|PAK}}（[[パキスタン軍#空軍|空軍]]）
** {{Flagicon|MYA}}（{{仮リンク|ミャンマー空軍|en|Myanmar Air Force}}）
|運用者 more=
** {{Flagicon|NGA}}（{{仮リンク|ナイジェリア空軍|en|Nigerian Air Force}}）
|初飛行年月日=[[2003年]][[9月3日]]
|初飛行年月日=[[2003年]][[9月3日]]
|生産数=164機（2022年）<ref>[https://www.militaryfactory.com/aircraft/detail.php?aircraft_id=758 PAC JF-17 Thunder Lightweight Multirole Fighter Aircraft] Military Factory</ref>
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|運用状況=現役
|運用状況=現役
|ユニットコスト=1,500万[[アメリカ合衆国ドル|ドル]]（ブロック1）
|ユニットコスト=2,500～3,200万[[アメリカ合衆国ドル|ドル]]<ref>https://theaviationist.com/2017/11/09/shopping-for-fighters-is-the-chinesepakistani-jf-17-thunder-the-real-joint-strike-fighter/</ref>
}}
}}
'''FC-1'''（[[英語]]：{{lang|en|'''F'''ighter '''C'''hina}}）または'''JF-17'''（{{lang|en|'''J'''oint '''F'''ighter}}）は、[[中華人民共和国|中国]]と[[パキスタン]]が共同開発した単座式全天候型[[マルチロール機|多用途]][[戦闘機]]。中国では「'''梟龍'''」（{{lang|zh-hans|枭龙}}）、パキスタンでは「'''サンダー'''」（{{lang|en|Thunder}}：「[[雷]]」）が愛称となっている。
'''FC-1'''（[[英語]]：{{lang|en|'''F'''ighter '''C'''hina}}）または'''JF-17'''（{{lang|en|'''J'''oint '''F'''ighter}}）は、[[中華人民共和国|中国]]と[[パキスタン]]が共同開発した単座式全天候型[[マルチロール機|多用途]][[戦闘機]]。中国では「'''梟龍'''（シャオロン）」（{{lang|zh-hans|枭龙}}）、パキスタンでは「'''サンダー'''」（{{lang|en|Thunder}}：「[[雷]]」）が愛称となっている。


成都で開発されている[[J-10 (航空機)|殲撃10型]]と同様、[[1980年代]]は[[アメリカ合衆国]]、[[六四天安門事件|第二次天安門事件]]以降は[[ソビエト連邦|ソ連]]および[[ロシア|ロシア連邦]]の技術支援により開発された[[第4世代ジェット戦闘機|第4世代機]]である。
成都で開発されている[[J-10 (航空機)|殲撃10型]]と同様、[[1980年代]]は[[アメリカ合衆国]]、[[六四天安門事件|第二次天安門事件]]以降は[[ソビエト連邦|ソ連]]および[[ロシア|ロシア連邦]]の技術支援により開発された[[第4世代ジェット戦闘機|第4世代機]]である。
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FC-1は、[[2003年]][[9月3日]]に初飛行を行い、[[2005年]]までに試作機3機が完成し各種飛行試験を行った。[[2006年]]に完成した試作4号機（PT-04）では性能向上のため、大きな特徴であるDSI（[[ダイバータレス超音速インレット]]）の採用や機体の軽量化などの改設計を実施。この仕様が量産型の元になった。
FC-1は、[[2003年]][[9月3日]]に初飛行を行い、[[2005年]]までに試作機3機が完成し各種飛行試験を行った。[[2006年]]に完成した試作4号機（PT-04）では性能向上のため、大きな特徴であるDSI（[[ダイバータレス超音速インレット]]）の採用や機体の軽量化などの改設計を実施。この仕様が量産型の元になった。


== 特徴 ==
=== 発展 ===
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[[2013年]]6月の[[パリ航空ショー]]において、複座型FC-1B（JF-17B）の模型が展示された。これは転換訓練用の複座機で、後部座席を設置したため搭載燃料では少し不利であるが、単座型と同様に実戦への投入が可能な機体を目指している。パキスタン向けのJF-17Bは、2017年4月28日に初飛行した<ref name="kokufan201707">田辺義明「最新・中国航空・軍事トピック 梟龍B型が登場」 『[[航空ファン (雑誌)|航空ファン]]』第66巻第7号（2017年7月号） 文林堂</ref>。
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J-7の機首にあった[[エアインテーク]]は、[[電子機器]]搭載スペース拡大のため機体側面に移り、機体各部もJ-7より空力的に洗練された。大幅な改設計の結果、今までのJ-7系列とは外見が大きく異なり、主翼前部の[[ストレーキ]]や垂直安定板基部の処理など、むしろ、[[F-20 (戦闘機)|F-20]]に近いフォルムとなっている。そして、[[F-35 (戦闘機)|F-35]]より早く、世界で初めてDSIを実機に装備している。

2015年には初期型のブロック1の機上酸素供給システムおよび電子戦システムに改良を加えたブロック2が初飛行している<ref name="janes2015317">[https://web.archive.org/web/20150322152346/http://www.janes.com/article/49991/block-2-jf-17-makes-first-flight-ahead-of-block-3-improvements Block 2 JF-17 makes first flight ahead of Block 3 improvements] {{en icon}}</ref>。さらに発展したブロック3は2020年1月1日に初飛行に成功したと報じられた<ref name="globaltimes202001">[https://www.globaltimes.cn/content/1175376.shtml Upgraded JF-17 fighter jet makes maiden flight, equipped with J-20 tech: report]</ref>。

== 設計 ==
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J-7の機首にあった[[エアインテーク]]は、[[電子機器]]搭載スペース拡大のため機体側面に移り、機体各部もJ-7より空力的に洗練された。大幅な改設計の結果、今までのJ-7系列とは外見が大きく異なり、主翼前部の[[ストレーキ]]や垂直安定板基部の処理など、むしろ、[[F-20 (戦闘機)|F-20]]に近いフォルムとなっている。そして、[[F-35 (戦闘機)|F-35]]より早く、世界で初めて[[ダイバータレス超音速インレット]]（DSI）を実機に装備している。


[[ファイル:Pakistan Air Force Pakistan JF-17 Thunder Bidini-1.jpg|250px|サムネイル|左|パキスタン空軍のJF-17（2011年）]]
[[ファイル:Pakistan Air Force Pakistan JF-17 Thunder Bidini-1.jpg|250px|サムネイル|左|パキスタン空軍のJF-17（2011年）]]
[[軍用機のコックピット|コックピット]]は3基の多機能ディスプレイを装備した[[グラスコックピット]]となり、ブロック3では、J-20で使用されるものと同様の新しいより大きなホログラフィック広角ヘッドアップディスプレイおよび統合コックピットディスプレイになった<ref name="janes2015317"/>。
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[[軍用機のコックピット|コックピット]]は3基の多機能ディスプレイを装備した[[グラスコックピット]]となり、大型化・高性能化が図られた中国国産の[[レーダー]]によって視界外攻撃能力を獲得した。また、操縦方式は縦方向のみデジタル・[[フライ・バイ・ワイヤ]]を採用し、横方向は[[コンピュータ]]補助の機械式制御となっている。[[エンジン]]は、傑作として名高い米[[ゼネラル・エレクトリック|GE]]製[[ゼネラル・エレクトリック_F404|F404エンジン]]にも匹敵する[[ロシア]]・[[クリーモフ (企業)|クリーモフ]]製[[クリーモフ RD-33#RD-93|RD-33の派生型RD-93]]を採用。全量をロシアから輸入しているが、現在中国ではRD-33をベースにした[[WS-13 (エンジン)|WS-13]]が開発されており、1機がこれを搭載して飛行したと報じられている<ref>{{cite journal|last=Sweetman|first=Bill|title=China’s Warplane Industry Expands|journal=[[:en:Aviation Week & Space Technology|Aviation Week]]|date=5 November 2012|url=http://www.aviationweek.com/Article.aspx?id=/article-xml/AW_11_05_2012_p72-508347.xml|accessdate=2014-6-23}}</ref>。
大型化・高性能化が図られた中国製[[KLJ-7 (レーダー)|KLJ-7]][[レーダー]]により探知範囲は増加し、視界外攻撃能力を獲得した。更にブロック2では、改良型のKLJ-7 V2<ref name="janes2016128">[https://web.archive.org/web/20161018073256/https://www.janes.com/article/57508/jf-17-block-ii-advances-with-new-refuelling-probe JF-17 Block II advances with new refuelling probe]</ref>、ブロック3では[[アクティブ・フェーズドアレイ・アンテナ|AESA方式]]の新型が搭載されている<ref name="globaltimes202001"/>。
この他、ブロック2では改良された空対空および精密誘導兵器の統合を処理するための改良されたデータバスを装備、機上酸素供給システムおよび電子戦システムが改良されている<ref name="janes2015317"/><ref name="janes2016128"/>。ブロック3ではJ-10C、J-16、およびJ-10Cで使用される高度な赤外線[[ミサイル警報装置]]が新たに装備され、アビオニクスの[[商用オフザシェルフ|COTS]]化も行われている<ref name="globaltimes202001"/>。

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機体制御には縦方向のみデジタル・[[フライ・バイ・ワイヤ]]を採用し、横方向は[[コンピュータ]]補助の機械式制御となっている。FC-1Bでは操縦系統が一新され、3軸安定式4重デジタル・フライ・バイ・ワイヤとなった<ref name="kokufan201707"/>。この改良は、以降製造される単座型にも適用される。[[エンジン]]は、[[ロシア]]・[[クリーモフ (企業)|クリーモフ]]製[[クリーモフ RD-33#RD-93|RD-33の派生型RD-93]]を採用。全量をロシアから輸入しているが、中国ではRD-33をベースにした[[WS-13 (エンジン)|WS-13]]が開発されており、1機がこれを搭載して飛行したと報じられている<ref>{{cite journal|last=Sweetman|first=Bill|title=China’s Warplane Industry Expands|journal=[[:en:Aviation Week & Space Technology|Aviation Week]]|date=5 November 2012|url=http://www.aviationweek.com/Article.aspx?id=/article-xml/AW_11_05_2012_p72-508347.xml|accessdate=2014-6-23}}</ref>。


機内には2300kgの燃料を搭載でき、戦闘行動半径は空対空任務で1,200km、対地攻撃任務で700km、フェリー航続距離は1,800kmとされている。パキスタンでは、JF-17に空中受油能力を付与する事で航続距離延伸を計画しており、空中給油プローブについてブロック1仕様の機体で試験を行っており、ブロック2で装備されるとされている<ref name="janes2015317"/>。プローブについては2種類あり2013年初期のものではキャノピーフレームのすぐ後ろに配置されており、その形状と配置から[[デネル・エアロスペース・システムズ|デネル]]が設計支援していると推測される。2016年に確認されたプローブはコックピットキャノピーフレームの下にあり、取り外し可能となっている<ref name="janes2016128"/>。
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[[ハードポイント]]は7箇所となり、新型の[[PL-12 (ミサイル)|PL-12]]などの中距離レーダーホーミングミサイルをはじめとした各種[[空対空ミサイル|空対空]]・[[空対地ミサイル|空対地]]・[[空対艦ミサイル]]、[[誘導爆弾]]や通常[[爆弾]]を搭載できる。1機1,500万ドルと[[作戦機|作戦用]][[ジェット機]]としては比較的安価であり、共同開発相手のパキスタン空軍のみならず、[[開発途上国|発展途上国]]のMiG-21や[[F-5 (戦闘機)|F-5]]の代替として積極的な輸出を見込める価格となっている。


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[[ハードポイント]]は7箇所となり、新型の[[PL-12 (ミサイル)|PL-12]]などの中距離レーダーホーミングミサイルをはじめとした各種[[空対空ミサイル|空対空]]・[[空対地ミサイル|空対地]]・[[空対艦ミサイル]]、[[誘導爆弾]]や通常[[爆弾]]を搭載できる。更にJF-17B及び以降製造のの単座型では、{{仮リンク|WMD-7|en|FILAT}}[[照準ポッド]]に対応し、各種誘導爆弾の単独運用が可能となった<ref name="kokufan201707"/>。
初期型のブロック1に続き、現在は改良を加えたブロック2の開発が進行している。ブロック2では機上酸素供給システムおよび電子戦システムの改良、[[空中給油]]プローブの追加などが盛り込まれており、空中給油プローブについては既にブロック1仕様の機体で試験が行われている<ref>[http://www.janes.com/article/49991/block-2-jf-17-makes-first-flight-ahead-of-block-3-improvements Block 2 JF-17 makes first flight ahead of Block 3 improvements] {{en icon}}</ref>。


1機1,500万ドルと[[作戦機|作戦用]][[ジェット機]]としては比較的安価であり、共同開発相手のパキスタン空軍のみならず、[[開発途上国|発展途上国]]のMiG-21や[[F-5 (戦闘機)|F-5]]の代替として積極的な輸出を見込める価格となっている。
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[[2013年]]6月の[[パリ航空ショー]]において、複座型FC-1B（JF-17B）の模型が展示された。転換訓練用の複座機であり、後部座席を設置したため搭載燃料では少し不利であるが、単座型と同様に実戦への投入が可能な機体を目指している。また、FC-1Bは操縦系統が一新され、3軸安定式4重デジタル・フライ・バイ・ワイヤとなったほか、{{仮リンク|WMD-7|en|FILAT}}{{仮リンク|照準ポッド|en|Targeting pod}}に対応し、各種誘導爆弾の単独運用が可能となった。この改良は、単座型にも適応される予定である。パキスタン向けのJF-17Bは、2017年4月28日に初飛行した<ref>田辺義明「最新・中国航空・軍事トピック 梟龍B型が登場」 『[[航空ファン (雑誌)|航空ファン]]』第66巻第7号（2017年7月号） 文林堂</ref>。


== 配備 ==
== 配備 ==
[[ファイル:JF-17 operators.png|thumb|300px|購入した国]]
[[ファイル:JF-17 operators.png|thumb|300px|購入した国]]
[[File:Eight Pakistan Air Force JF-17s escort Air China Boeing 747-400.jpg|thumb|right|中国の[[政府専用機]]を護衛するパキスタン空軍のJF-17（2015年）]]
[[File:Eight Pakistan Air Force JF-17s escort Air China Boeing 747-400.jpg|thumb|right|中国の[[政府専用機]]を護衛するパキスタン空軍のJF-17（2015年）]]
パキスタンは、[[2003年]]12月に中国と購入了解覚書を交わし、最初の16機を中国とパキスタンで8機ずつ生産することになった。[[2007年]][[3月23日]]に最初の2機がパキスタンに到着。同発表によれば2機の配備は実戦配備ではなく飛行評価を主とするものである。そして、[[2009年]][[3月7日]]、中国は先述のパキスタン製機を含む42機をパキスタンに売却し、同国と共同生産を進める契約に調印した。中国紙・[[環球時報]]（[[3月10日]]付）によると、パキスタンは将来的に計250機まで増やす計画だという<ref>[http://www.47news.jp/CN/200903/CN2009031101000275.html 中国、新型戦闘機４２機を輸出　パキスタンで共同生産]</ref>。パキスタンでの生産初号機は[[2009年]][[11月23日]]に引き渡された。その後2013年[[12月18日]]にはブロック1の最終号機たる50号機の納入式典が行われ、さらにブロック2仕様機50機の生産を行うことを明らかにした。また、2014年11月には既存のブロック1もブロック2仕様に改修することを決定した<ref>[http://www.defencenewsdaily.com/asia-pacific-rim/paf-retrofitting-older-block-i-jf-17s-to-block-ii-configuration/ PAF retrofitting older Block I JF-17s to Block II configuration] {{en icon}}</ref>。
パキスタンは、[[2003年]]12月に中国と購入了解覚書を交わし、最初の16機を中国とパキスタンで8機ずつ生産することになった。[[2007年]][[3月23日]]に最初の2機がパキスタンに到着。同発表によれば2機の配備は実戦配備ではなく飛行評価を主とするものである。そして、[[2009年]][[3月7日]]、中国は先述のパキスタン製機を含む42機をパキスタンに売却し、同国と共同生産を進める契約に調印した。中国紙・[[環球時報]]（[[3月10日]]付）によると、パキスタンは将来的に計250機まで増やす計画だという<ref>[https://web.archive.org/web/20090522191035/http://www.47news.jp/CN/200903/CN2009031101000275.html 中国、新型戦闘機４２機を輸出　パキスタンで共同生産]</ref>。パキスタンでの生産初号機は[[2009年]][[11月23日]]に引き渡された。その後2013年[[12月18日]]にはブロック1の最終号機たる50号機の納入式典が行われ、さらにブロック2仕様機50機の生産を行うことを明らかにした。また、2014年11月には既存のブロック1もブロック2仕様に改修することを決定した<ref>[http://www.defencenewsdaily.com/asia-pacific-rim/paf-retrofitting-older-block-i-jf-17s-to-block-ii-configuration/ PAF retrofitting older Block I JF-17s to Block II configuration] {{en icon}}</ref>。


パキスタンとしては[[中国人民解放軍空軍|人民解放軍空軍]]にも同機が配備されることを望んでいるとされる。しかし中国でハイ・ローミックスのロー側（ハイ側は[[Su-27 (航空機)|Su-27]]の輸出型にあたる{{仮リンク|殲撃11型|en|Shenyang J-11|}}）を担うのは、FC-1よりも大型・重武装な[[J-10 (航空機)|殲撃10型]]であり、こちらはすでに量産体制に入っている。そのため、あくまで中小国向けの軽戦闘機FC-1が大国の中国にも配備されるかどうかは未定である。
パキスタンとしては[[中国人民解放軍空軍|人民解放軍空軍]]にも同機が配備されることを望んだとされる。しかし中国でハイ・ローミックスのロー側（ハイ側は[[Su-27 (航空機)|Su-27]]の輸出型にあたる[[J-11 (航空機)|殲撃11型]]）を担うのは、FC-1よりも大型・重武装な[[J-10 (航空機)|殲撃10型]]であり、こちらはすでに量産体制に入っている。そのため、現在まで同機は中国向けに配備されていない。


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[[2019年]][[2月27日]]、パキスタン空軍は係争地の[[カシミール]]で自軍機のJF-17が[[インド空軍]]機のMiG-21を撃墜してパイロットの身柄を確保したと発表した<ref>{{Cite news|url=https://economictimes.indiatimes.com/news/defence/jf-17-used-to-shoot-down-indian-aircraft-says-pakistan-military/articleshow/68564241.cms|title=JF-17 used to shoot down Indian aircraft, says Pakistan military|work=|publisher=The Economic Times|date=2019年3月25日|accessdate=2019-05-23}}</ref>。
海外へのセールスはパキスタン・中国の双方が各々行っており、パキスタン側での成約が多い。


== 輸出 ==
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海外では、[[アゼルバイジャン空軍]]が装備品の近代化の一途としてパキスタンからJF-17の購入を計画しており、契約が交わされれば24機（一説には26機）が導入される予定<ref>[http://today.az/news/business/39829.html {{lang|en|Today.Az - Azerbaijan to buy JF-17 multirole fighters from Pakistan}}] {{en icon}}</ref><ref name=foreignorders>[http://www.avbuyer.com.cn/e/2008/20359.html {{lang|en|Pakistan starts domestic production of JF-17 fighter] AVBuyer.com. January 29, 2008. Retrieved on [[3月2日|March 2]], 2008}} {{en icon}}</ref>。また、[[スーダン]]が12機のJF-17を購入する交渉を行っているとされる<ref>[http://www.sudantribune.com/spip.php?article25992 {{lang|en|China sells arms to Sudan}}] {{en icon}}</ref>。[[ジンバブエ]]も12機のJF-17を導入するとされているが、未だ実現していない<ref name=foreignorders/>。さらに、[[アルゼンチン]]の[[FAdeA]] ([[:en:Fábrica Argentina de Aviones|en]]) が2013年のパリ航空ショーにて中国の成都飛行機とFC-1の合同生産について議論したとされる<ref>[http://web.archive.org/web/20131106081623/http://www.janes.com/article/23497/argentine-officials-confirm-joint-production-talks-over-china-s-fc-1-fighter {{lang|en|Argentine officials confirm joint-production talks over China's FC-1 fighter}}] {{en icon}}</ref>。
⚫
FC-1の海外へのセールスはパキスタン・中国の双方が各々行っており、パキスタン側での成約が多い。前出の環球時報の記事は、パキスタンの軍事アナリストの話として、[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]や[[アゼルバイジャン]]、[[タンザニア]]など、世界で1,500機の需要があるという見通しだと伝えている。約300機程度を[[中東]]・[[アフリカ]]諸国に輸出したいとされている。[[2017年]][[11月12日]]には[[アラブ首長国連邦]][[アール・マクトゥーム国際空港]]にて開催された第15回ドバイ国際航空ショーに出展した<ref>[https://www.recordchina.co.jp/b216591-s0-c70-d0000.html 中パ共同開発戦闘機「梟竜」、ドバイ航空ショーに登場―中国メディア] Record China（2017年11月14日）2017年12月9日閲覧</ref>。


=== 採用国 ===
前出の環球時報の記事は、パキスタンの軍事アナリストの話として、[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]や[[アゼルバイジャン]]、[[タンザニア]]など、世界で1,500機の需要があるという見通しだと伝えている。約300機程度を[[中東]]・[[アフリカ]]諸国に輸出したいとされている。
{{MYA}}
*同機の最初の輸出として、[[ミャンマー]]が16機の導入を決定したことが報じられた<ref>[http://yangon.press/6434 総額600億円分の戦闘機16隻をミャンマーが購入]</ref>。[[ミャンマー軍|空軍]]は2019年4月24日に最初の6機のJF-17Mを受領<ref>イカロス出版 Jwing No.251 2019年7月号 90頁-95頁 「行くぞ!NEWSマン 海外軍関係NEWS」</ref>し、2019年12月15日にはメイクティラ空軍基地で開催されたミャンマー空軍創設72周年式典でJF-17B 2機の就役式が行われた<ref>井上隆司「航空最新ニュース・海外軍事航空 ミャンマー空軍 式典で新型機を披露」『[[航空ファン (雑誌)|航空ファン]]』通巻807号（2020年3月号）文林堂 P.115</ref>。


{{AZE}}
2015年2月10日、韓国の聯合ニュースが、中国の銭江晩報が英国の軍事専門誌ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー (JDW)を引用して、アルゼンチンがFC-1を導入する計画を持っているという記事を掲載した事を報道した<ref>[http://www.yonhapnews.co.kr/bulletin/2015/02/10/0200000000AKR20150210060100097.HTML ""중국, 아르헨티나에 전투기 수출 추진"<영국 언론>"]（聯合ニュース 2015年2月10日）</ref>。
⚫
*[[アゼルバイジャン空軍]]は装備品の近代化の一途としてパキスタンからJF-17の購入を計画しており、契約が交わされれば24機（一説には26機）が導入される予定<ref>[http://today.az/news/business/39829.html {{lang|en|Today.Az - Azerbaijan to buy JF-17 multirole fighters from Pakistan}}] {{en icon}}</ref><ref name=foreignorders>[http://www.avbuyer.com.cn/e/2008/20359.html {{lang|en|Pakistan starts domestic production of JF-17 fighter] AVBuyer.com. January 29, 2008. Retrieved on [[3月2日|March 2]], 2008}} {{en icon}}</ref>。2024年2月22日、[[アゼルバイジャン]]はパキスタンから機数不明のJF-17と不特定の弾薬による総額16億ドル相当の購入契約を結んだと報じられた<ref>https://dsm.forecastinternational.com/2024/02/27/azerbaijan-jf-17-rumors-resurface/</ref>。


{{NGA}}
⚫
2015年6月、[[タミル・イーラム解放のトラ|LTTE]][[スリランカ内戦|掃討戦]]を通じて中国およびパキスタンと親密な関係にある[[スリランカ]]が採用を決定した。18-24機を2017年から導入する予定<ref>[http://www.wantchinatimes.com/news-subclass-cnt.aspx?id=20150622000035&cid=1101 {{lang|en|Sri Lanka revealed as first foreign buyer of JF-17}}] {{en icon}}</ref>だったが、翌年[[インド]]からの圧力によってキャンセルとなった<ref>[http://www.janes.com/article/57111/indian-pressure-stalls-pakistani-jf-17-sale-to-sri-lanka Indian pressure stalls Pakistani JF-17 sale to Sri Lanka] {{en icon}}</ref>。しかし間もなく[[ミャンマー]]が16機の導入を決定したことが報じられ、同国が最初の輸出国となる見込みである<ref>[http://yangon.press/6434 総額600億円分の戦闘機16隻をミャンマーが購入]</ref>。
*2021年5月21日、[[ナイジェリア軍]]は3機のJF-17を空軍に正式に配備した<ref>[https://www.airforce-technology.com/news/nigerian-air-force-inducts-three-jf-17-thunder-multirole-aircraft/ Nigerian Air Force inducts three JF-17 Thunder multirole aircraft]</ref>。


{{IRQ}}
⚫
[[2017年]][[11月12日]]、[[アラブ首長国連邦]][[アール・マクトゥーム国際空港]]にて開催された第15回ドバイ国際航空ショーに出展<ref>[http://www.recordchina.co.jp/b216591-s10-c20.html 中パ共同開発戦闘機「梟竜」、ドバイ航空ショーに登場―中国メディア] Record China（2017年11月14日）2017年12月9日閲覧</ref>。
*2024年5月12日、[[イラク空軍]]はパキスタンから12機のJF-17と12機の[[:en:PAC MFI-17 Mushshak|MFI-395 スーパームシュシャク]]による総額18億ドル相当の購入契約を結んだと報じられた<ref>https://www.nation.com.pk/12-May-2024/pakistan-iraq-sign-land-mark-defense-deal</ref>。


=== 検討中の国家 ===
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[[2019年]][[2月27日]]、パキスタン空軍は係争地の[[カシミール]]で自軍機のJF-17が[[インド空軍]]機の[[Mig-21]]と[[Su-30MKI]]を撃墜してパイロットの身柄を確保したと発表した<ref>{{Cite news|url=https://economictimes.indiatimes.com/news/defence/jf-17-used-to-shoot-down-indian-aircraft-says-pakistan-military/articleshow/68564241.cms|title=JF-17 used to shoot down Indian aircraft, says Pakistan military|work=|publisher=The Economic Times|date=2019年3月25日|accessdate=2019-05-23}}</ref>。
[[スーダン]]が12機のJF-17を購入する交渉を行っているとされる<ref>[http://www.sudantribune.com/spip.php?article25992 {{lang|en|China sells arms to Sudan}}] {{en icon}}</ref>。

[[ジンバブエ]]も12機のJF-17を導入するとされているが、未だ実現していない<ref name=foreignorders/>。

=== 過去に検討された国家 ===
[[アルゼンチン]]の{{仮リンク|FAdeA|en|Fábrica Argentina de Aviones}}が2013年のパリ航空ショーにて中国の成都飛行機とFC-1の合同生産について議論したとされる<ref>[https://web.archive.org/web/20131106081623/http://www.janes.com/article/23497/argentine-officials-confirm-joint-production-talks-over-china-s-fc-1-fighter {{lang|en|Argentine officials confirm joint-production talks over China's FC-1 fighter}}] {{en icon}}</ref>。2015年2月、アルゼンチンの[[クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル]]大統領が訪中してFC-1を20機購入する合意を結んだ<ref>{{cite news|title=China To Supply 20 Thunder Fighter Jets To Argentina |url=http://www.defenseworld.net/news/12186/China_To_Supply_20_Thunder_Fighter_Jets_To_Argentina |date=16 February 2015 |work=Defenseworld.net Bureau |archiveurl=https://webcitation.org/6WOHShGQL?url=http://www.defenseworld.net/news/12186/China_To_Supply_20_Thunder_Fighter_Jets_To_Argentina |archivedate=2019-06-21 |deadurl=yes |df=dmy }}</ref><ref>{{cite web
|url=https://www.uscc.gov/sites/default/files/Research/China%27s%20Military%20Agreements%20with%20Argentina.pdf|title=CHINA’S MILITARY AGREEMENTS WITH ARGENTINA: A POTENTIAL NEW PHASE IN CHINA-LATIN AMERICA DEFENSE RELATIONS|date=2015-11-05|accessdate=2019-06-21|format=pdf|publisher=米中経済安全保障委員会|language=English}}</ref>。しかし2017年2月、イギリスのマーチン・ベーカー製射出座席を換装する費用が高額となることから<ref>{{cite news|url=https://trafficnews.jp/post/125731/2|title=「アメリカさん、早くF-16を…」アルゼンチン空軍 次期戦闘機をとにかく切望する理由|author=乗りものニュース編集部|date=2023-5-10|publisher=[[メディア・ヴァーグ|乗りものニュース]]|accessdate=2023-5-10}}</ref>、[[マウリシオ・マクリ]]政権はこれを中止したとされる<ref>{{cite news| url = https://nationalinterest.org/blog/buzz/could-china-help-ignite-second-war-over-falkland-islands-31197| title = Could China Help Ignite a Second War over the Falkland Islands?| newspaper = [[ナショナル・インタレスト]]| date = 2018-09-14| accessdate = 2019-06-21}}</ref>。

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2015年6月、[[タミル・イーラム解放のトラ|LTTE]][[スリランカ内戦|掃討戦]]を通じて中国およびパキスタンと親密な関係にある[[スリランカ]]が採用を決定した。18-24機を2017年から導入する予定<ref>[http://www.wantchinatimes.com/news-subclass-cnt.aspx?id=20150622000035&cid=1101 {{lang|en|Sri Lanka revealed as first foreign buyer of JF-17}}] {{en icon}}</ref>だったが、翌年[[インド]]からの圧力によってキャンセルとなった<ref>[http://www.janes.com/article/57111/indian-pressure-stalls-pakistani-jf-17-sale-to-sri-lanka Indian pressure stalls Pakistani JF-17 sale to Sri Lanka] {{en icon}}</ref>。


== 評価 ==
== 評価 ==
パキスタン空軍高官によると、[[2001年]]の[[アフガニスタン紛争 (2001年-)|アフガン空爆]]を支援した見返りにアメリカから導入したF-16A/Bよりも高性能であると評価されている<ref>[http://mil.news.sina.com.cn/p/2007-08-13/0812459434.html 新浪軍事] {{zh icon}}</ref>。
パキスタン空軍高官によると、[[2001年]]の[[アフガニスタン紛争 (2001年-)|アフガン空爆]]を支援した見返りにアメリカから導入したF-16A/Bよりも高性能であると評価されている<ref>[http://mil.news.sina.com.cn/p/2007-08-13/0812459434.html 新浪軍事] {{zh icon}}</ref>。
また、本機は[[Su-30 (航空機)|Su-30]]や[[MiG-29 (航空機)|MiG-29]]にも対抗し得るとも言われている（年間飛行時間が200時間もあるパキスタン空軍の[[パイロット (航空)|パイロット]]の腕を加味した可能性あり）（参考;[http://mil.news.sina.com.cn/p/2007-12-19/0730477261.html 新浪軍事 梟龍性能深度分析]）。
また、本機は[[Su-30 (航空機)|Su-30]]や[[MiG-29 (航空機)|MiG-29]]にも対抗し得るとも言われている（年間飛行時間が200時間もあるパキスタン空軍の[[パイロット (航空)|パイロット]]の腕を加味した可能性あり）<ref>[http://mil.news.sina.com.cn/p/2007-12-19/0730477261.html 新浪軍事 梟龍性能深度分析]</ref>。


== 仕様 (JF-17 / FC-1) ==
== 仕様 (JF-17 / FC-1) ==
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* 荷重制限: 8.5G
* 荷重制限: 8.5G
* 武装
* 武装
**固定武装：[[GSh-23 (機関砲)|GSh-23-2]] 23mm連装機関砲×1
**固定武装：[[GSh-23 (機関砲)|GSh-23-2]] 23mm機関砲×1
**機外装備：[[PL-5 (ミサイル)|PL-5EII]]あるいは[[サイドワインダー (ミサイル)#AIM-9L/M/S/R|AIM-9L/M]]短距離[[空対空ミサイル]]、[[PL-12 (ミサイル)|PL-12]]中距離空対空ミサイル、[[ラード (ミサイル)|ラード]][[巡航ミサイル]]、各種通常爆弾/誘導爆弾など
**機外装備：[[PL-5 (ミサイル)|PL-5EII]] ([[サイドワインダー (ミサイル)#AIM-9M/S/R|AIM-9L/M]]短距離[[空対空ミサイル]]も搭載可能とされる)、[[PL-12 (ミサイル)|SD-10]]中距離空対空ミサイル、LD-10[[対レーダーミサイル]]、[[C-802]][[対艦ミサイル]]、[[ラード (ミサイル)|ラード]][[巡航ミサイル]]、各種通常爆弾/誘導爆弾など


== 登場作品 ==
== 登場作品 ==
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:; 『第三次世界大戦』
:; 『第三次世界大戦』
:: JF-17が[[空対艦ミサイル]]を装備しヘリコプター搭載護衛艦「ほうしょう」の攻撃に向かうも、F-35Bに迎撃され全機撃墜される。
:: JF-17が[[空対艦ミサイル]]を装備しヘリコプター搭載護衛艦「ほうしょう」の攻撃に向かうも、F-35Bに迎撃され全機撃墜される。

=== ゲーム ===
:;『[[Digital Combat Simulator]]』
::Eagle Dynamics社のコンバットフライトシミュレーター『DCS World』の有料アドオンモジュールとして、[[サードパーティー]]のDEKA IRONWORK社が開発した『DCS: JF-17 Thunder』がリリースされている。有料アドオンモジュールを購入することにより、JF-17 Block2が操縦可能となる。ほぼ全てのスイッチやアビオニクス等が実機同様に操作可能となっており、非常に再現度の高いシミュレーターとなっている。

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== 脚注 ==
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* [http://www.sinodefence.com/airforce/fighter/fc1.asp China Defense Today] {{en icon}}
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* [http://wiki.livedoor.jp/namacha2/d/FC%2d1%c0%ef%c6%ae%b5%a1%28%dd%d3%b7%e29/JF%2d17/%a5%b9%a1%bc%a5%d1%a1%bc7%29 日本周辺国の軍事兵器] {{ja icon}}
* [http://mil.news.sina.com.cn/p/2008-03-26/1001491848.html FC-1の製造と輸出について]
* [http://jp.youtube.com/watch?v=uhrNIdbzkwo パキスタンでの初の公開フライト]


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FC-1 梟龍
JF-17 Thunder

パキスタン空軍のJF-17（2017年）

パキスタン空軍のJF-17（2017年）

FC-1（英語：Fighter China）またはJF-17（Joint Fighter）は、中国とパキスタンが共同開発した単座式全天候型多用途戦闘機。中国では「梟龍（シャオロン）」（枭龙）、パキスタンでは「サンダー」（Thunder：「雷」）が愛称となっている。

成都で開発されている殲撃10型と同様、1980年代はアメリカ合衆国、第二次天安門事件以降はソ連およびロシア連邦の技術支援により開発された第4世代機である。

開発[編集]

ナンガ・パルバットで飛行するパキスタン空軍のJF-17（2015年）

中国は、長らくMiG-21派生のJ-7を生産し、人民解放軍で防空戦闘機として運用するとともに、中小国家に安価に輸出してきた。しかし、1980年代に入ると、自国での使用のみならず輸出商品としても性能の陳腐化が目立つようになったため、アメリカ合衆国の航空機メーカー・グラマンの協力のもと、J-7をベースにアメリカ合衆国の技術を取り入れた新戦闘機スーパー7（超七）を開発する計画を開始した。ところが、開始直後に発生した第二次天安門事件の余波によりアメリカはじめ西側からの技術提供が打ち切られることとなり、遅滞を余儀なくされた。

スーパー7は新たにFC-1と名前を変えて開発を再開し、中国第132航空廠が担当することになった。そして、パキスタン空軍からの協力でF-16の特徴を参考にし、開発を加速した。また、関係を改善したロシアのミコヤン設計局で開発を進めていた単発小型戦闘機41の開発で得られた技術も開発計画に活かされている。しかし、パキスタンもまた度重なる核実験により国際制裁の対象となった結果、パキスタン空軍が熱望していた西側製アビオニクスの調達が不可能になってしまったため、アビオニクスは機体開発よりも後の段階で別途開発することとなった。

FC-1は、2003年9月3日に初飛行を行い、2005年までに試作機3機が完成し各種飛行試験を行った。2006年に完成した試作4号機（PT-04）では性能向上のため、大きな特徴であるDSI（ダイバータレス超音速インレット）の採用や機体の軽量化などの改設計を実施。この仕様が量産型の元になった。

発展[編集]

2013年6月のパリ航空ショーにおいて、複座型FC-1B（JF-17B）の模型が展示された。これは転換訓練用の複座機で、後部座席を設置したため搭載燃料では少し不利であるが、単座型と同様に実戦への投入が可能な機体を目指している。パキスタン向けのJF-17Bは、2017年4月28日に初飛行した[4]。

2015年には初期型のブロック1の機上酸素供給システムおよび電子戦システムに改良を加えたブロック2が初飛行している[5]。さらに発展したブロック3は2020年1月1日に初飛行に成功したと報じられた[6]。

設計[編集]

J-7の機首にあったエアインテークは、電子機器搭載スペース拡大のため機体側面に移り、機体各部もJ-7より空力的に洗練された。大幅な改設計の結果、今までのJ-7系列とは外見が大きく異なり、主翼前部のストレーキや垂直安定板基部の処理など、むしろ、F-20に近いフォルムとなっている。そして、F-35より早く、世界で初めてダイバータレス超音速インレット（DSI）を実機に装備している。

パキスタン空軍のJF-17（2011年）

コックピットは3基の多機能ディスプレイを装備したグラスコックピットとなり、ブロック3では、J-20で使用されるものと同様の新しいより大きなホログラフィック広角ヘッドアップディスプレイおよび統合コックピットディスプレイになった[5]。 大型化・高性能化が図られた中国製KLJ-7レーダーにより探知範囲は増加し、視界外攻撃能力を獲得した。更にブロック2では、改良型のKLJ-7 V2[7]、ブロック3ではAESA方式の新型が搭載されている[6]。 この他、ブロック2では改良された空対空および精密誘導兵器の統合を処理するための改良されたデータバスを装備、機上酸素供給システムおよび電子戦システムが改良されている[5][7]。ブロック3ではJ-10C、J-16、およびJ-10Cで使用される高度な赤外線ミサイル警報装置が新たに装備され、アビオニクスのCOTS化も行われている[6]。

機体制御には縦方向のみデジタル・フライ・バイ・ワイヤを採用し、横方向はコンピュータ補助の機械式制御となっている。FC-1Bでは操縦系統が一新され、3軸安定式4重デジタル・フライ・バイ・ワイヤとなった[4]。この改良は、以降製造される単座型にも適用される。エンジンは、ロシア・クリーモフ製RD-33の派生型RD-93を採用。全量をロシアから輸入しているが、中国ではRD-33をベースにしたWS-13が開発されており、1機がこれを搭載して飛行したと報じられている[8]。

機内には2300kgの燃料を搭載でき、戦闘行動半径は空対空任務で1,200km、対地攻撃任務で700km、フェリー航続距離は1,800kmとされている。パキスタンでは、JF-17に空中受油能力を付与する事で航続距離延伸を計画しており、空中給油プローブについてブロック1仕様の機体で試験を行っており、ブロック2で装備されるとされている[5]。プローブについては2種類あり2013年初期のものではキャノピーフレームのすぐ後ろに配置されており、その形状と配置からデネルが設計支援していると推測される。2016年に確認されたプローブはコックピットキャノピーフレームの下にあり、取り外し可能となっている[7]。

ハードポイントは7箇所となり、新型のPL-12などの中距離レーダーホーミングミサイルをはじめとした各種空対空・空対地・空対艦ミサイル、誘導爆弾や通常爆弾を搭載できる。更にJF-17B及び以降製造のの単座型では、WMD-7（英語版）照準ポッドに対応し、各種誘導爆弾の単独運用が可能となった[4]。

1機1,500万ドルと作戦用ジェット機としては比較的安価であり、共同開発相手のパキスタン空軍のみならず、発展途上国のMiG-21やF-5の代替として積極的な輸出を見込める価格となっている。

配備[編集]

購入した国
中国の政府専用機を護衛するパキスタン空軍のJF-17（2015年）

パキスタンは、2003年12月に中国と購入了解覚書を交わし、最初の16機を中国とパキスタンで8機ずつ生産することになった。2007年3月23日に最初の2機がパキスタンに到着。同発表によれば2機の配備は実戦配備ではなく飛行評価を主とするものである。そして、2009年3月7日、中国は先述のパキスタン製機を含む42機をパキスタンに売却し、同国と共同生産を進める契約に調印した。中国紙・環球時報（3月10日付）によると、パキスタンは将来的に計250機まで増やす計画だという[9]。パキスタンでの生産初号機は2009年11月23日に引き渡された。その後2013年12月18日にはブロック1の最終号機たる50号機の納入式典が行われ、さらにブロック2仕様機50機の生産を行うことを明らかにした。また、2014年11月には既存のブロック1もブロック2仕様に改修することを決定した[10]。

パキスタンとしては人民解放軍空軍にも同機が配備されることを望んだとされる。しかし中国でハイ・ローミックスのロー側（ハイ側はSu-27の輸出型にあたる殲撃11型）を担うのは、FC-1よりも大型・重武装な殲撃10型であり、こちらはすでに量産体制に入っている。そのため、現在まで同機は中国向けに配備されていない。

2019年2月27日、パキスタン空軍は係争地のカシミールで自軍機のJF-17がインド空軍機のMiG-21を撃墜してパイロットの身柄を確保したと発表した[11]。

輸出[編集]

FC-1の海外へのセールスはパキスタン・中国の双方が各々行っており、パキスタン側での成約が多い。前出の環球時報の記事は、パキスタンの軍事アナリストの話として、北朝鮮やアゼルバイジャン、タンザニアなど、世界で1,500機の需要があるという見通しだと伝えている。約300機程度を中東・アフリカ諸国に輸出したいとされている。2017年11月12日にはアラブ首長国連邦アール・マクトゥーム国際空港にて開催された第15回ドバイ国際航空ショーに出展した[12]。

採用国[編集]

ミャンマーの旗 ミャンマー

  • 同機の最初の輸出として、ミャンマーが16機の導入を決定したことが報じられた[13]。空軍は2019年4月24日に最初の6機のJF-17Mを受領[14]し、2019年12月15日にはメイクティラ空軍基地で開催されたミャンマー空軍創設72周年式典でJF-17B 2機の就役式が行われた[15]。

アゼルバイジャンの旗 アゼルバイジャン

  • アゼルバイジャン空軍は装備品の近代化の一途としてパキスタンからJF-17の購入を計画しており、契約が交わされれば24機（一説には26機）が導入される予定[16][17]。2024年2月22日、アゼルバイジャンはパキスタンから機数不明のJF-17と不特定の弾薬による総額16億ドル相当の購入契約を結んだと報じられた[18]。

ナイジェリアの旗 ナイジェリア

イラクの旗 イラク

検討中の国家[編集]

スーダンが12機のJF-17を購入する交渉を行っているとされる[21]。

ジンバブエも12機のJF-17を導入するとされているが、未だ実現していない[17]。

過去に検討された国家[編集]

アルゼンチンのFAdeA（英語版）が2013年のパリ航空ショーにて中国の成都飛行機とFC-1の合同生産について議論したとされる[22]。2015年2月、アルゼンチンのクリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル大統領が訪中してFC-1を20機購入する合意を結んだ[23][24]。しかし2017年2月、イギリスのマーチン・ベーカー製射出座席を換装する費用が高額となることから[25]、マウリシオ・マクリ政権はこれを中止したとされる[26]。

2015年6月、LTTE掃討戦を通じて中国およびパキスタンと親密な関係にあるスリランカが採用を決定した。18-24機を2017年から導入する予定[27]だったが、翌年インドからの圧力によってキャンセルとなった[28]。

評価[編集]

パキスタン空軍高官によると、2001年のアフガン空爆を支援した見返りにアメリカから導入したF-16A/Bよりも高性能であると評価されている[29]。 また、本機はSu-30やMiG-29にも対抗し得るとも言われている（年間飛行時間が200時間もあるパキスタン空軍のパイロットの腕を加味した可能性あり）[30]。

仕様 (JF-17 / FC-1)[編集]

ファーンボロー国際航空ショーにて展示されるJF-17と搭載武装

登場作品[編集]

小説[編集]

『第三次世界大戦』
JF-17が空対艦ミサイルを装備しヘリコプター搭載護衛艦「ほうしょう」の攻撃に向かうも、F-35Bに迎撃され全機撃墜される。

ゲーム[編集]

『Digital Combat Simulator』
Eagle Dynamics社のコンバットフライトシミュレーター『DCS World』の有料アドオンモジュールとして、サードパーティーのDEKA IRONWORK社が開発した『DCS: JF-17 Thunder』がリリースされている。有料アドオンモジュールを購入することにより、JF-17 Block2が操縦可能となる。ほぼ全てのスイッチやアビオニクス等が実機同様に操作可能となっており、非常に再現度の高いシミュレーターとなっている。

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ https://thediplomat.com/2020/01/pakistans-jf-17-block-iii-fighter-jet-makes-maiden-flight/
  2. ^ PAC JF-17 Thunder Lightweight Multirole Fighter Aircraft Military Factory
  3. ^ https://theaviationist.com/2017/11/09/shopping-for-fighters-is-the-chinesepakistani-jf-17-thunder-the-real-joint-strike-fighter/
  4. ^ a b c 田辺義明「最新・中国航空・軍事トピック 梟龍B型が登場」 『航空ファン』第66巻第7号（2017年7月号） 文林堂
  5. ^ a b c d Block 2 JF-17 makes first flight ahead of Block 3 improvements （英語）
  6. ^ a b c Upgraded JF-17 fighter jet makes maiden flight, equipped with J-20 tech: report
  7. ^ a b c JF-17 Block II advances with new refuelling probe
  8. ^ Sweetman, Bill (5 November 2012). “China’s Warplane Industry Expands”. Aviation Week. http://www.aviationweek.com/Article.aspx?id=/article-xml/AW_11_05_2012_p72-508347.xml 2014年6月23日閲覧。. 
  9. ^ 中国、新型戦闘機４２機を輸出　パキスタンで共同生産
  10. ^ PAF retrofitting older Block I JF-17s to Block II configuration （英語）
  11. ^ “JF-17 used to shoot down Indian aircraft, says Pakistan military”. The Economic Times. (2019年3月25日). https://economictimes.indiatimes.com/news/defence/jf-17-used-to-shoot-down-indian-aircraft-says-pakistan-military/articleshow/68564241.cms 2019年5月23日閲覧。 
  12. ^ 中パ共同開発戦闘機「梟竜」、ドバイ航空ショーに登場―中国メディア Record China（2017年11月14日）2017年12月9日閲覧
  13. ^ 総額600億円分の戦闘機16隻をミャンマーが購入
  14. ^ イカロス出版 Jwing No.251 2019年7月号 90頁-95頁 「行くぞ!NEWSマン 海外軍関係NEWS」
  15. ^ 井上隆司「航空最新ニュース・海外軍事航空 ミャンマー空軍 式典で新型機を披露」『航空ファン』通巻807号（2020年3月号）文林堂 P.115
  16. ^ Today.Az - Azerbaijan to buy JF-17 multirole fighters from Pakistan （英語）
  17. ^ a b Pakistan starts domestic production of JF-17 fighter AVBuyer.com. January 29, 2008. Retrieved on March 2, 2008 （英語）
  18. ^ https://dsm.forecastinternational.com/2024/02/27/azerbaijan-jf-17-rumors-resurface/
  19. ^ Nigerian Air Force inducts three JF-17 Thunder multirole aircraft
  20. ^ https://www.nation.com.pk/12-May-2024/pakistan-iraq-sign-land-mark-defense-deal
  21. ^ China sells arms to Sudan （英語）
  22. ^ Argentine officials confirm joint-production talks over China's FC-1 fighter （英語）
  23. ^ “China To Supply 20 Thunder Fighter Jets To Argentina”. Defenseworld.net Bureau. (2015年2月16日). オリジナルの2019年6月21日時点におけるアーカイブ。. https://webcitation.org/6WOHShGQL?url=http://www.defenseworld.net/news/12186/China_To_Supply_20_Thunder_Fighter_Jets_To_Argentina 
  24. ^ “CHINA’S MILITARY AGREEMENTS WITH ARGENTINA: A POTENTIAL NEW PHASE IN CHINA-LATIN AMERICA DEFENSE RELATIONS” (pdf) (English). 米中経済安全保障委員会 (2015年11月5日). 2019年6月21日閲覧。
  25. ^ 乗りものニュース編集部 (2023年5月10日). “「アメリカさん、早くF-16を…」アルゼンチン空軍 次期戦闘機をとにかく切望する理由”. 乗りものニュース. https://trafficnews.jp/post/125731/2 2023年5月10日閲覧。 
  26. ^ “Could China Help Ignite a Second War over the Falkland Islands?”. ナショナル・インタレスト. (2018年9月14日). https://nationalinterest.org/blog/buzz/could-china-help-ignite-second-war-over-falkland-islands-31197 2019年6月21日閲覧。 
  27. ^ Sri Lanka revealed as first foreign buyer of JF-17 （英語）
  28. ^ Indian pressure stalls Pakistani JF-17 sale to Sri Lanka （英語）
  29. ^ 新浪軍事 （中国語）
  30. ^ 新浪軍事 梟龍性能深度分析

関連項目[編集]

  • JL-9 - J-7の複座練習機型であるJJ-7を基にサイド・エアインテーク化した、超音速複座練習機。よって、J-7を基にサイド・エアインテーク化したFC-1の従兄弟と言える。機体サイズもFC-1とほぼ同じであるため、純粋な練習機としては大柄な部類に入る。

外部リンク[編集]

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哨戒
早期警戒機
飛行艇
無人機
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標的
関連項目
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