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'''膣痙攣'''(ちつけいれん)もしくは'''陰茎捕捉'''(いんけいほそく、{{Lang-en|Penis Captivus}})とは、[[症候]]の一つであり、女性の[[膣]]が[[不随意運動|不随意]]な収縮を起こして挿入されている男性の[[性器]]が抜けなくなるものとされる<ref name=":0">{{Cite journal|last=Taylor|first=F K|date=1979-10-20|title=Penis captivus--did it occur?|url=https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1596579/|journal=British Medical Journal|volume=2|issue=6196|pages=977–978|issn=0007-1447|pmid=509182|pmc=1596579}}</ref>。[[膣痙]]と類似しているが、膣痙攣は特に性交中に発生し陰茎が脱去不能になることが強調される点で異なる。膣痙が国際疾病分類に記載された病名であるのに対し、膣痙攣は後述する症例報告の経緯から現在では架空のものとされており、1979年にこの症状について情報を収集したクレープル・テイラーは、少なくとも過去100年にわたって信頼できる症例報告は存在しないと結論づけている<ref name=":0" />。
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|Field = [[婦人科学|婦人科]]、[[精神科]]
|DiseasesDB = 13701
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'''膣痙攣'''(ちつけいれん)は、女性の[[膣]]に起こる突発的な[[痙攣]]により、[[膣口]]が不随意に引き締まる状態の事を言う。正確な医学用語ではなく、症状としての「[[盲腸]]」のように、一般用語として巷間に流布している。


==概要==
[[性行為|性交]]の際に、膣に[[陰茎]]を挿入しようとすると、不随意反射的に膣口の[[括約筋]]を強く締めてしまうため、挿入が困難か、あるいは挿入に強い痛みを伴う症状である。また、まれに挿入中に[[陰茎]]が抜去不能となる事があるとされる。
ジェームズ・リッチーによれば、この症状が公に記されたのは、1729年にマルティン・シューリヒによるものが最初である<ref>{{Cite book|title=One hundred years of gynaecology, 1800-1900; a comprehensive review of the specialty during its greatest century with summaries and case reports of all diseases pertaining to women|url=https://catalog.hathitrust.org/Record/002070714|publisher=The Blakiston company|date=1945|location=Philadelphia|first=James V.|last=Ricci}}</ref>。膣痙攣の特徴は、突然の外発的な刺激や、精神的な動揺により女性の膣が不随意な収縮を起こして挿入されている男性の[[性器]]が抜けなくなるものとされる。


これらの症状は医学的には長らく関心を集めることはなかったが、1979年にクレープル・テイラーは[[ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル]]に投稿した論文で詳細な調査と検討を行った。過去報告された症例がいずれも信憑性に乏しいこと、また膣収縮筋には陰茎を保持するほどの筋力がないこと、膣痙攣が発生した場合極めて稀な現象であると考えられることから「少なくとも過去100年にわたって膣痙攣の症例は存在しなかった。もし入院を必要とするような膣痙攣の症例があったとしたら、それは可能な限り詳細かつ熱心に医学雑誌に報告されていただろう」と結論した<ref name=":0" />。
性的な意味または医療上の指の挿入や、[[月経]]の際の[[タンポン]]の挿入まで困難になる事もある。


ブレンダン・マスグレーヴはこの論文に対する公開書簡として、当時から数えて約30年前の1947年に、ある患者に膣痙攣が発生し陰茎が抜けなくなったのを目撃した旨を記しており、ここには「カップルと思しき男女が一台のストレッチャーに乗せられて救急科に搬送されるのを目撃した。女性に麻酔を投与してようやく抜去に成功した」とある<ref>{{Cite journal|author=Brendan Musgrave|year=1980|title=Penis captivus has occurred|url=https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1600494/pdf/brmedj00001-0055a.pdf|journal=British Medical Journal|page=51}}</ref>。
医学用語としては「'''[[膣痙]]'''({{lang-en-short|vaginism}}、{{lang-de-short|vaginismus}})」がそれに当たり、症状自体は[[都市伝説]]ではない。(後述)


==「症例」概要==
==フィクションで描写==
この症状は現在でもある程度の民間知名度があることから、一部のフィクション作品においては、性交中に膣痙攣が発生し、陰茎が抜けなくなるなどの描写がされることがある。フィクションでは長時間にわたって抜けなくなり、注射を打つと抜ける描写をされている場合と何らかの作中イベントにより解消する場合がある。
この症状の特徴は、突然の外発的な刺激や、精神的な動揺により女性の膣が不随意な収縮を起こす点にある。[[性行為|性交]]の際に起きると挿入不可、或いは挿入した男性の[[性器]]が抜けなくなるという。


===登場作品===
"Vaginism"(膣痙)とは性交時に膣周辺の筋肉が引きつって痛みを発し、うまく行為が行えない状態をいう。ペニスを離れなくなるような痙攣ではない。膣の収縮に関係する筋肉は直接的に作用するものはない。たとえば膣括約筋と言うようなものはない。骨盤腔を形成する外・内閉鎖筋、恥骨筋とか、周辺の殿筋や大腿関連の筋肉、それと外肛門括約筋、肛門挙筋などが協働して膣内圧を作っている。膣入り口には球海綿体筋というのがあるが、これはきわめてか細い筋肉であり、とても人力が及ばないような力は発揮しようがない。
*[[げっちゅー♥]] 10巻でヒロインが膣痙攣をおこして合体したまま街中を歩く
もし挿入した男性の[[性器]]が抜けなくなるというのような痙攣の場合、これら会陰から骨盤内腔を形成する筋肉が皆痙攣していることになる。ある種の部分てんかんでもあったら、そういう痙攣が起こる可能性はなくはないが、一部の筋肉は神経支配も異なるため上記症状への否定的な意見もある。
*[[スウィート・ムービー]] エッフェル塔の上で性行為を行い膣痙攣を起こして抜けなくなるシーンがある。

*[[:en:Car_Trouble_(film)|カートラブル]] カーセックス中に膣痙攣を起こして抜けなくなるシーンがある。
==医学上の症例==
*[[プレイヤー (映画)|プレイヤー]] ベルナールの挿話で結合したまま外れなくなってしまった情けない夫の姿が描かれている。
膣痙で陰茎が抜去不能になることは医学上起こり得る。性交前に起これば挿入不可、もしくは性交に痛みを伴う。膣痙にも軽度から重度まで段階があり、重度ともなれば括約筋や大腿筋までもが収縮・痙攣することもある。
*[[みんなあげちゃう]] - 膣痙攣で抜けなくなり病院へ行くことに。結合した状態で町中を歩いていく過程がコミカルに描かれる。結局、医師が女性の臀部を叩くとそのショックで膣が緩まり解決する。

*[[クライング フリー セックス]] - 抜けなくなったまま秘密組織と戦う捜査員の活躍を描いた短編映画
抜去不能の際に陰茎捕捉([[:en:Penis captivus]])の状態になる。この部分が都市伝説に近い<ref name=en>英語版記事</ref>とされており、1884年の報告が悪戯であったと書かれているが、1947年、イギリスにおける手紙による報告が一例存在する。

尚、抜去不能になることはあり得るが、非常に稀である。

また、抜去不能となった症例を見たということよりも、“先輩が言っていた”“病院で昔あったらしい”など間接的な伝聞の形を取っており、実際に診察をした医師がいないことが特徴的である。

==対処方法==
原因を問わず膣痙攣を起こした女性はパニックに陥っているため、先ずは膣痙攣を起こした女性を落ち着かせる必要がある。その段階を踏んだ上で膣周辺の筋肉を外側に引き伸ばすように指でマッサージを施す。また、肛門を指で広げるようにマッサージを施すと良いとされている。これは肛門が緩むと連鎖反応的に膣周辺の筋肉も緩むからである。

== 脚注 ==
<references/> {{脚注ヘルプ}}


==他の動物==
獣医学の分野で犬やミナミオットセイなど性行為時に陰茎が抜けるのを防ぐための[[亀頭球]]を持つ動物では陰茎が抜けなくなる疾患が存在するが、人間には亀頭球が存在しないので起こりえない。これはオスの側で起きる現象で膣による物ではない。
== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
<references />
『医学大辞典』南山堂


==関連項目==
==関連項目==
*[[膣]]
*[[膣]]
*[[都市伝説]]
*[[都市伝説]]
*[[ヴァギナ・デンタタ]]
*[[異物挿入]]
*[[異物挿入]]

*[[手切れ屋]] - [[藤子不二雄A]]『[[笑ゥせぇるすまん]]』の一作品。結末で客の交際女性が膣痙攣を起こしてしまう。
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[[Category:女性生殖器]]
[[Category:]]
[[Category:婦人科疾患]]
[[Category:都市伝説]]

2024年6月29日 (土) 03:11時点における版

膣痙攣(ちつけいれん)もしくは陰茎捕捉(いんけいほそく、英語: Penis Captivus)とは、症候の一つであり、女性の不随意な収縮を起こして挿入されている男性の性器が抜けなくなるものとされる[1]膣痙と類似しているが、膣痙攣は特に性交中に発生し陰茎が脱去不能になることが強調される点で異なる。膣痙が国際疾病分類に記載された病名であるのに対し、膣痙攣は後述する症例報告の経緯から現在では架空のものとされており、1979年にこの症状について情報を収集したクレープル・テイラーは、少なくとも過去100年にわたって信頼できる症例報告は存在しないと結論づけている[1]

概要

ジェームズ・リッチーによれば、この症状が公に記されたのは、1729年にマルティン・シューリヒによるものが最初である[2]。膣痙攣の特徴は、突然の外発的な刺激や、精神的な動揺により女性の膣が不随意な収縮を起こして挿入されている男性の性器が抜けなくなるものとされる。

これらの症状は医学的には長らく関心を集めることはなかったが、1979年にクレープル・テイラーはブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに投稿した論文で詳細な調査と検討を行った。過去報告された症例がいずれも信憑性に乏しいこと、また膣収縮筋には陰茎を保持するほどの筋力がないこと、膣痙攣が発生した場合極めて稀な現象であると考えられることから「少なくとも過去100年にわたって膣痙攣の症例は存在しなかった。もし入院を必要とするような膣痙攣の症例があったとしたら、それは可能な限り詳細かつ熱心に医学雑誌に報告されていただろう」と結論した[1]

ブレンダン・マスグレーヴはこの論文に対する公開書簡として、当時から数えて約30年前の1947年に、ある患者に膣痙攣が発生し陰茎が抜けなくなったのを目撃した旨を記しており、ここには「カップルと思しき男女が一台のストレッチャーに乗せられて救急科に搬送されるのを目撃した。女性に麻酔を投与してようやく抜去に成功した」とある[3]

フィクションでの描写

この症状は現在でもある程度の民間知名度があることから、一部のフィクション作品においては、性交中に膣痙攣が発生し、陰茎が抜けなくなるなどの描写がされることがある。フィクションでは長時間にわたって抜けなくなり、注射を打つと抜ける描写をされている場合と何らかの作中イベントにより解消する場合がある。

登場作品

  • げっちゅー♥ 10巻でヒロインが膣痙攣をおこして合体したまま街中を歩く
  • スウィート・ムービー エッフェル塔の上で性行為を行い膣痙攣を起こして抜けなくなるシーンがある。
  • カートラブル カーセックス中に膣痙攣を起こして抜けなくなるシーンがある。
  • プレイヤー ベルナールの挿話で結合したまま外れなくなってしまった情けない夫の姿が描かれている。
  • みんなあげちゃう - 膣痙攣で抜けなくなり病院へ行くことに。結合した状態で町中を歩いていく過程がコミカルに描かれる。結局、医師が女性の臀部を叩くとそのショックで膣が緩まり解決する。
  • クライング フリー セックス - 抜けなくなったまま秘密組織と戦う捜査員の活躍を描いた短編映画

他の動物

獣医学の分野で犬やミナミオットセイなど性行為時に陰茎が抜けるのを防ぐための亀頭球を持つ動物では陰茎が抜けなくなる疾患が存在するが、人間には亀頭球が存在しないので起こりえない。これはオスの側で起きる現象で膣による物ではない。

参考文献

  1. ^ a b c Taylor, F K (1979-10-20). “Penis captivus--did it occur?”. British Medical Journal 2 (6196): 977–978. ISSN 0007-1447. PMC 1596579. PMID 509182. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1596579/. 
  2. ^ Ricci, James V. (1945). One hundred years of gynaecology, 1800-1900; a comprehensive review of the specialty during its greatest century with summaries and case reports of all diseases pertaining to women. Philadelphia: The Blakiston company. https://catalog.hathitrust.org/Record/002070714 
  3. ^ Brendan Musgrave (1980). “Penis captivus has occurred”. British Medical Journal: 51. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1600494/pdf/brmedj00001-0055a.pdf. 

関連項目