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{{ゲームの注意|3}} |
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{{コンピュータゲーム |
{{コンピュータゲーム |
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|Title = 電脳学園<br />電脳学園シナリオI |
|Title = 電脳学園<br />電脳学園シナリオI |
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|Genre = クイズゲーム |
|Genre = SFクイズゲーム |
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|Plat = PC- |
|Plat = [[PC-8800シリーズ|PC-8801SR以降]]<br />[[PC-9800シリーズ|PC-9801VM以降]]<br />[[MSX2]]/[[MSX2+]] |
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|Dev = ガイナックス |
|Dev = [[ガイナックス]] |
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|Pub = ゼネラルプロダクツ |
|Pub = [[ゼネラルプロダクツ]] |
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|Play = 1人 |
|Play = 1人 |
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|Media = [ |
|Media = [[フロッピーディスク|FD]] 5[[インチ|"]]2D 4枚組(PC-88)<br />FD 5"2HD or 3.5"2HD 4枚組(PC-98)<br />FD 3.5"2DD 2枚組(MSX2) |
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|Date = 1989年7月15日<br />1990年11月10日 |
|Date = 1989年7月15日<br />1990年11月10日(Ver2.0 PC-98) |
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|Price = 8800円(税抜) |
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'''電脳学園'''(でんのうがくえん、''CYBERNETIC |
『'''電脳学園'''』(でんのうがくえん、''CYBERNETIC HI-SCHOOL'')は、[[1989年]]7月15日に[[ガイナックス]]から発売された[[クイズゲーム]]。クイズに正解すると、登場するヒロインが服を徐々に脱いで最後は全裸になる脱衣ゲーム([[アダルトゲーム]])である。ガイナックスの[[コンピュータゲーム]]参入第1弾であり、シリーズ化されて4作品が発売された。[[2023年]]現在は、4作とも[[プロジェクトEGG]]で[[PC-9801シリーズ]]版が[[ダウンロード販売]]中である。 |
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また、[[ |
また、[[1999年]]から[[2000年]]にかけて新シリーズ『'''電脳学園ミレニアム'''』が[[ナインライブス]]から2タイトル発売された([[通信販売|通販]]・イベント[[直接販売|直販]]限定)。 |
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==沿革== |
== 沿革 == |
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[[1980年代]]後半、ガイナックスは[[アニメーション]]制作の赤字で悪化していた経営を立て直すため、ゲーム業界へ進出することを決定した。その第1弾として制作されたのが、本シリーズである。 |
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[[赤井孝美]]が本作を企画した意図は、当時のPC用ゲームのグラフィックのレベルが低いことに対する憤慨が有ったと言われる。そして、アニメーション制作スタジオのノウハウをゲーム制作に導入してゲーム業界全般のグラフィックレベル向上を図る啓蒙を兼ねて、本作が発売された。 |
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当時の[[アダルトゲーム]]市場は一流メーカーの撤退により、[[コンピュータグラフィックス|グラフィック]]のレベルが低下していた{{sfn|岡田斗司夫|2010|pp=210-211}}。また、[[Macintosh]]の[[HyperCard]]で遊んでいた[[岡田斗司夫]]と[[赤井孝美]]は、[[アドベンチャーゲーム]]程度であれば自分たちでも制作することが可能であると知っていた{{sfn|岡田斗司夫|2010|p=168}}。こうした状況から、システムが単純なクイズゲームにアニメ制作スタッフによるグラフィックを組み合わせることで、ゲーム制作は可能であり売上も見込めると判断され、本作が制作される。 |
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赤井は販売されたPC88版以前に、マッキントッシュのハイパーカードを使用して基本的なゲームシステムを作っていた。発売されたものとはキャラクターが1名異なっている。 |
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[[PC-8800シリーズ|PC-8801]]版で岡田と赤井はプログラムと[[背景音楽|BGM]]の作曲以外を全て2人でこなし、[[角川書店]]の『[[コンプティーク]]』にヨイショ同然の記事を書いてもらうという癒着ギリギリのバックアップを受け(最終的にはガイナックスから『コンプティーク』にライターを派遣し、自分たちでヨイショ記事を書くまでになる){{sfn|岡田斗司夫|2010|p=171}}、本作を発売した。大きな反響を呼んだが、[[1990年]]11月に発売した『電脳学園シナリオI Ver2.0』は[[宮崎県]]で[[青少年保護育成条例]]による[[有害図書]]指定を受けてしまう{{efn|name="TAKERU"|作家の[[森瀬繚]]がニュースサイト「ファミ通.com」に寄せた記事によると、有害図書指定となってのはパッケージ版ではなく、[[ソフトベンダーTAKERU]]で発売されたバージョンだという<ref name="famitsu20231015">{{Cite web|和書|title=1990年代のPC美少女ゲーム業界と“沙織事件”。成人ゲームと“ソフ倫”の誕生【テレビアニメ『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』連動企画 第2回】 |url=https://www.famitsu.com/news/202310/15320304.html |website=ファミ通.com |date=2023-10-15 |access-date=2023-10-15 |language=ja}}</ref>。}}。ガイナックスは本指定に対して[[日本国憲法第21条|憲法第21条]]等の違反で無効であるとして宮崎県を提訴するが、[[1999年]]12月に[[最高裁判所 (日本)|最高裁判所]]で[[敗訴]]した(詳細は[[#『電脳学園シナリオI Ver2.0』の宮崎県有害図書指定に対する訴訟|#宮崎県有害図書指定に対する訴訟]]を参照){{R|famitsu20231015}}。 |
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==電脳学園シリーズ== |
== 電脳学園シリーズ == |
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全4作。対応機種は[[日本電気|NEC]] [[PC-8800シリーズ|PC-8801SR以降]]、NEC [[PC-9800シリーズ|PC-9801VM/UV以降]]([[ラップトップパソコン|ラップトップ]]を除く、但しVM/VM2/VM4は要16色ボード)/[[EPSON PCシリーズ]]、[[MSX2]]/[[MSX2+]]([[Random Access Memory|RAM]]64[[キロバイト|KB]]/[[VRAM]]128KB以上)。[[パッケージソフトウェア]]販売のほか、[[ソフトベンダーTAKERU]]による[[ダウンロード販売]]も行われていた。パッケージ版には「電脳学園おまけ新聞」が付属する。 |
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全4作。 |
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===電脳学園(シナリオI)=== |
=== 電脳学園(シナリオI) === |
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電脳学園の生徒であるプレイヤーを操作し、3名の講師とクイズで勝負する。クイズのジャンルは[[アニメ]]・[[特撮]]・国内外の[[サイエンス・フィクション|SF]]に関するものが多い。ノルマは25問中20問(正解率 |
[[1989年]]7月15日発売。電脳学園の生徒であるプレイヤーを操作し、3名の講師(初級:芹沢 博子、中級:万城目 ユリ、上級:神宮寺 静)とクイズで勝負する。クイズのジャンルは[[アニメ (日本のアニメーション作品)|アニメ]]・[[特撮]]・国内外の[[サイエンス・フィクション|SF]]に関するものが多い。講師名も特撮の登場人物に由来する。ノルマは25問中20問(正解率80%)で、ノルマを達成すれば相手の服を脱がすことができる。服を脱がした状態で、特定部位をクリックすると反応する。4枚脱がせるとクリアで、全員脱がせると「電脳博士号」の学位認定を受ける。絵は当時としては珍しく、[[陰毛|ヘア]]の描写にこだわっていた。[[ボスが来た|パニックモード]]では「カブザードリィ 兜町の試練場」という、株取引[[コンピュータRPG|RPG]]風の画面が表示された。 |
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*初級:'''芹沢 博子'''(せりざわ ひろこ) |
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*中級:'''万城目 ユリ'''(まんじょうめ - ) |
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*上級:'''神宮寺 静'''(じんぐうじ しずか) |
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[[1990年]]11月10日には第1作の改良版である『電脳学園シナリオI Ver2.0』が発売され、前作の購入者には半額で[[バージョン]]アップを受け付けた。なお、本バージョンは推奨年齢12歳以上として12歳未満のプレイ自粛が発売元から要請されていたが、強制力は無かった。[[1992年]]7月17日(7月24日[[告示]])に宮崎県から有害図書指定を受けているほか、同年9月には[[愛知県]]でも有害図書指定を受けている<ref name="GameMachine451"/>。 |
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第1作の改良版。前作の購入者には半額でバージョンアップを受け付けた。なお、本バージョンは12歳未満のプレイ自粛が発売元から要請されていたが強制力は無かった。 |
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宮崎県による有害図書指定の理由は必ずしも明確ではないが、現在では「[[ヘアヌード|ヘア]]が無修正で描写されていたのが引っかかった」説が有力になっている。 |
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1992年7月17日、宮崎県は「宮崎県における青少年の健全な育成に関する条例」(昭和52年7月28日条例第27号)第13条1項に基づいて『電脳学園シナリオI Ver2.0』を有害図書に指定した。関係機関への通知書には処分の理由として「著しく青少年の性的感情を刺激し、その健全な成長を阻害するおそれがあるため」と記載されているため、岡田は「[[ヘアヌード|ヘア]]が無修正で描写されていたのが引っかかった」と推測し、有害指定されたことは当然であると認識していた。しかし、赤井はこの指定に猛反発し{{sfn|岡田斗司夫|2010|pp=213-214}}、ガイナックスは[[パソコン雑誌]]を中心に「私たち、有害指定されちゃったんです」と題する[[意見広告]]を掲載{{R|famitsu20231015}}。特に『宮崎県[[公報]]』における有害指定の理由が必ずしも明確でないとする点を指摘し、1993年2月に[[宮崎地方裁判所]]に指定の取り消しを求めて提訴するが<ref name="GameMachine451">{{Cite news|和書 |title=論潮 有害ソフト|newspaper=[[ゲームマシン]] |date=1993-06-15 |url=https://onitama.tv/gamemachine/pdf/19930615p.pdf |access-date=2024-06-01 |page=7 |issue=451}}</ref>、[[1994年]][[1月24日]]に敗訴<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.isc.meiji.ac.jp/~sumwel_h/doc/juris/m2dcj-h6-1-24.htm|title=電脳学園シナリオI バージョン2・0事件第一審判決|accessdate=2020-02-11|publisher=夏井高人(明治大学法学部教授)}}</ref>。[[1995年]][[3月1日]]の[[福岡高等裁判所]]宮崎支部における[[控訴]]審でも同様に敗訴<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.isc.meiji.ac.jp/~sumwel_h/doc/juris/hambcj-h7-3-1.htm|title=電脳学園シナリオI バージョン2・0事件控訴審判決|accessdate=2020-02-11|publisher=夏井高人(明治大学法学部教授)}}</ref>。これに対しガイナックスは最高裁判所へ[[上告]]するが、[[1999年]][[12月14日]]の最高裁・第三[[小法廷]]も[[裁判官]]全員一致の意見で一審・二審の[[判決 (日本法)|判決]]を支持し、上告を棄却した<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.isc.meiji.ac.jp/~sumwel_h/doc/juris/sc3j-h11-12-14.htm|title=電脳学園シナリオI バージョン2・0事件上告審判決|accessdate=2020-02-11|publisher=夏井高人(明治大学法学部教授)}}</ref>。 |
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一方、[[アーケードゲーム|アミューズメントマシン]][[専門紙|業界紙]]『[[ゲームマシン]]』は、実物を見たわけではないとしたうえで、宮崎県が有害図書に指定したからにはそれなりの根拠があったのだろうと分析している<ref name="GameMachine451"/>。また、同紙は一般論として、当時の日本では子どもに過保護であるがゆえに[[表現の自由]]が遠慮せざるを得なくなる例が多く、ある程度の制限は当然であり、[[保守|保守的]]な[[司法|司法制度]]では結論が最初から分かってしまっていると述べている<ref name="GameMachine451"/>。 |
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===電脳学園2 HIGHWAY BUSTER=== |
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なお、ガイナックスは本訴訟の敗訴後に[[コンピュータソフトウェア倫理機構]]へ加入している。また、作家の[[森瀬繚]]が[[ニュースサイト]]「[[ファミ通|ファミ通.com]]」に寄せた記事によると、本件が[[コンピュータソフトウェア倫理機構]]設立のきっかけの一つになったという{{R|famitsu20231015}}。 |
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ゲームシステムは前作とほぼ同じだが、ヘルプ機能や[[ボスが来た|パニックモード]](ゲームプレイ中にBackspaceキーを押すと、画面が切り替わって全く別のアプリケーションを動かしているように[[カモフラージュ]]する、通称「ボスが来た」)が追加されている他、キャラクターデザインに[[新田真子]]・[[明貴美加]]・[[菊池通隆]]と豪華なゲストメンバーを迎えている。 |
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=== 電脳学園II ハイウェイバスター!! === |
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クイズのジャンルは交通法規・自動車に関する問題が中心。運転免許を持っていればさほど難しくはない。 |
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また、新規導入のアドベンチャー部分は全4章に分かれており4人全員脱がせ |
ゲームシステムは前作とほぼ同じだが、ヘルプ機能やパニックモードが追加されているほか、キャラクターデザインに[[新田真子]]・[[明貴美加]]・[[菊池通隆]]が参加している。クイズのジャンルは交通法規・自動車に関する問題が中心であり、[[運転免許]]に詳しければさほど難しくはない。また、新規導入のアドベンチャー部分は全4章に分かれており、4人全員を脱がせばクリアとなる。 |
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===電脳学園 |
=== 電脳学園III トップをねらえ! === |
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[[1990年]][[3月24日]]発売。同名OVAが原作。前作までとストーリー上の繋がりは無い。新型[[ガンバスター]]である「グレートガンバスター」のパイロットを決めるため、タカヤ・ノリコ、アマノ・カズミ、ユング・フロイトの3名がクイズで戦いを繰り広げる。 |
[[1990年]][[3月24日]]発売。[[トップをねらえ!|同名OVA]]が原作。前作までとストーリー上の繋がりは無い。新型[[ガンバスター]]である「グレートガンバスター」のパイロットを決めるため、タカヤ・ノリコ、アマノ・カズミ、ユング・フロイトの3名がクイズで戦いを繰り広げる。[[ゼネラルプロダクツ]]での購入特典として[[アペンドディスク]]「電脳まるみえディスク」(非売品)が付属した。 |
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監督に[[庵野秀明]]、作画に[[窪岡俊之]]と |
監督に[[庵野秀明]]、作画に[[窪岡俊之]]とアニメ本編のスタッフが参加しているが、自分たちの創ったキャラクターを脱がすことに抵抗はなく、むしろいかにエロくするかを追求したという{{sfn|岡田斗司夫|2010|pp=215-216}}。 |
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===電脳学園 |
==== 評価(電脳学園III トップをねらえ!) ==== |
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パソコンゲーム誌の編集者である前田尋之の公式サイト「電脳世界のひみつ基地」においてライターの松田は、同作のグラフィックについて評価し、ガイナックスが醸し出す[[昭和]]らしさが好きだったと振り返っている<ref name="maeda20180419">{{Cite web|和書|title=とんがりギャルゲー紀行 第25回:電脳学園III トップをねらえ! |url=https://maedahiroyuki.com/20180419-%e9%9b%bb%e8%84%b3%e5%ad%a6%e5%9c%92%e2%85%a2%e3%80%80%e3%83%88%e3%83%83%e3%83%97%e3%82%92%e3%81%ad%e3%82%89%e3%81%88%ef%bc%81/|website=電脳世界のひみつ基地|date=2018-04-19|accessdate=2020-02-11|author=松田ゆのじ}}</ref>。一方で、松田はゲームの内容についてあまり書くことがないとしつつも、意味もなく歩き回る場面が多かったとも述べている{{R|maeda20180419}}。 |
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[[1991年]][[7月20日]]発売。(ゲーム発売時から見て)近未来([[2006年]])が舞台。深刻な猿害に悩まされる人類社会を救うため、主人公のエイプハンターが人間に成り済まして電脳学園に潜んでいる「進化猿」を発見し、抹殺するのが目的。 |
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=== 電脳学園IV エイプハンターJ === |
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原作・脚本・監督は、みんだ☆なお([[眠田直]])。 |
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『'''電脳学園IV エイプハンターJ'''』は、[[1991年]][[7月20日]]に発売されたコンピュータゲームであり、シリーズ第4作目に当たる{{R|apehunter22}}。同作は、ゲーム発売時から見て[[近未来]]にあたる[[2006年]]を舞台とし、主人公のエイプハンター・Jが名門学園・電脳学園に潜入し、学園に潜むサルを探して駆除する様子を描いている{{R|apehunter22}}。同作では、急激に進化したサルたちが人間社会に混乱を及ぼしているという設定があり、裸にして尻尾の有無を確認しないと人間と区別できないという設定を脱衣の理由にしている{{R|apehunter22}}。また、世界観を解説するため、「高校生の現代社会科 猿害の実際」というタイトルの教科書風ガイドブックが付録としてつけられている<ref name="maeda20180513">{{Cite web|和書|title=とんがりギャルゲー紀行 第27回:電脳学園IV エイプハンターJ|url=https://maedahiroyuki.com/20180503-%e9%9b%bb%e8%84%b3%e5%ad%a6%e5%9c%92%e2%85%a3-%e3%82%a8%e3%82%a4%e3%83%97%e3%83%8f%e3%83%b3%e3%82%bf%e3%83%bcj/|website=電脳世界のひみつ基地|date=2018-05-03|accessdate=2020-01-10|author=松田ゆのじ}}</ref>。 |
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==== あらすじ ==== |
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進化猿は裸にして尻尾の有無を確認しないと人間と区別できないという設定を脱衣することの理由付けとしている。 |
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[[2006年]]、[[紫外線]]によって急激に進化したサルたちは人間社会に溶け込み、混乱を及ぼしていた{{R|apehunter22}}。主人公のエイプハンター・Jはサル駆除のため、名門学園・電脳学園を訪れる{{R|apehunter22}}。Jは理事長の孫・明美の案内で職員室に立ち入り、生徒名簿を確認する{{R|maeda20180513}}。次いで、Jはサルが教師として紛れ込んでいる可能性から、その場にいた五島先生に殺虫剤をかがせて気絶させたうえでパンティをおろすが、普通の人間であることが判明する{{R|maeda20180513}}。その後、Jは健康診断と称して全校生徒を調べようとするが、タートルレディに扮した明美の妨害によって生徒たちからの袋叩きに遭い、失敗に終わる{{R|maeda20180513|apehunter66}}。結局、Jは理事長から服を脱がせるための3枚の許可証を手に、聞き込みに回ることにする{{R|apehunter23}}。まず、Jはバナナ好きのテニス部員・矢追純子を疑い、取り調べにかかるが{{R|apehunter23}}、サルではないことが判明する{{R|apehunter66}}。次に、Jは山籠もりが好きな弓道部部長の南山宏美の取り調べにかかるが{{R|apehunter66}}、彼女も無実であることが判明する{{R|maeda20180513}}。捜査の末にサルを突き止めたJは、学園を去る{{R|maeda20180513}}。 |
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==電脳学園 |
==== 制作(電脳学園IV エイプハンターJ) ==== |
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本作は、『[[バトルスキンパニック]]』同様、[[漫画家]]のみんだ☆なお([[眠田直]])を中心に開発がすすめられた{{R|interview54}}。これまでの『電脳学園』シリーズをはじめとするガイナックスの作品群に対してユーザーからプレイ時間が短いという指摘が寄せられたため、漫画的なテンポではユーザーが混乱するだろうという判断から、本作ではアドベンチャーゲームパートを長くするなどして{{R|interview54}}、テンポを下げる方針が取られた{{R|interview55}}。アドベンチャーゲームなら[[ミステリ]]がよいという提案もあったが、物語の中で殺人を起こすと『電脳学園』シリーズの世界観とかみ合わなくなるため、探し物に変更された{{R|interview54}}。みんだの提案により、『[[ブレードランナー]]』からヒントを得る形で、探索対象は猿に決定した{{R|interview54}}。「急激に進化したサルたちが人間社会に溶け込み、それを主人公が追う」という設定について、みんだは「ロボットをサルに置き換えただけで馬鹿らしくなるというのが根底にある」と、『美少女ゲーム最前線』でのインタビューの中で述べている{{R|interview54}}。また、みんだは前述のインタビューの中で、人間と見分けのつかないものを探すというアイデアはアドベンチャーゲームに合うとは考えていたが、まさか通るとは思っていなかったとも話しており、企画を通したガイナックスに対して感謝の言葉を述べている{{R|interview54}}。本作のキャラクターデザイン・原画は末次徹朗が担当し{{R|maeda20180513|interview55}}、CG作監は玉谷純が務めた。また、プログラムは生田雄大が担当した。 |
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2000年~2001年に[[ナインライブス]]よりイベント・通販限定で発売された。なお、'''16歳未満のプレイ自粛が要請されている。''' |
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===電脳学園 |
==== 評価(電脳学園IV エイプハンターJ) ==== |
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パソコンゲーム誌の編集者である前田尋之の公式サイト「電脳世界のひみつ基地」においてライターの松田ゆのじは、同作が電脳学園シリーズの代表作となった理由として、付録である「高校生の現代社会科 猿害の実際」の作りこみのすごさではないかと述べている{{R|maeda20180513}}。『美少女ゲーム最前線パート5』のレビュー記事では、今までの電脳学園シリーズの中でも本格的なアドベンチャーゲームに仕上がっていると評価し、Hシーンもよかったと述べている{{R|apehunter22}}。 |
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2000年にイベント・通販限定で発売。[[Windows95]]~[[Windows98|98]]([[WindowsXP|XP]]非対応)・[[Macintosh]]ハイブリッド。基本的には1作目のリメイクで、新キャラ2名が追加されている。 |
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== 電脳学園ミレニアムシリーズ == |
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1999年12月23日、電脳学園シリーズの新作となる『電脳学園ミレニアム』が[[ナインライブス]]より通販・イベント直販([[コミックマーケット]]/[[ワンダーフェスティバル]])限定で発売された。[[Microsoft Windows 95|Windows 95]]/[[Microsoft Windows 98|98]]([[Microsoft Windows XP|XP]]非対応)・[[Mac (コンピュータ)|Macintosh]]([[Classic Mac OS]])両対応{{仮リンク|ハイブリッド版|en|Hybrid disc}}[[CD-ROM]]でリリースされた同作は1作目のリメイク版に相当し、新キャラクター2名が追加されている。なお、1999年12月に発売したバージョンに不具合が発見されたため、バグを修正した完全版を制作し、購入者全員に無料で送付されている<ref>{{Wayback|url=http://www.ninelives.co.jp/products/millennium/notice.html|title=電脳学園ミレニアムに関するお知らせ|date=20000823075300}}</ref>。 |
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2001年にイベント・通販限定で発売されたオリジナルの新作。主人公・日の本リリカとその助手・御堂マコトが電脳学園に潜入し、国家の存亡を揺るがす陰謀を暴くと言うストーリー。 |
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その翌年の2000年8月23日には『電脳学園ミレニアム2~紅の女王~』が、ナインライブスより通販・イベント直販限定で発売された。同作は主人公・日の本リリカとその助手・御堂マコトが電脳学園に潜入し、国家の存亡を揺るがす陰謀を暴くという内容になっている。こちらも2000年9月7日に数々の修正を施した新バージョン(Ver.2)がリリースされ、旧バージョンの購入者には無料で送付されている<ref>{{Wayback|url=http://ninelives.co.jp/products/mille2/notice.html|title=電脳学園ミレニアム2~紅の女王~に関するお知らせ|date=20010205141800}}</ref>。 |
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==宮崎県有害図書指定訴訟== |
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[[1992年]][[7月]]、宮崎県は「宮崎県における青少年の健全な育成に関する条例」に基づき「電脳学園シナリオI Ver2.0」を有害図書に指定した。ガイナックスはこの指定に猛反発し、パソコン雑誌を中心に「私たち、有害指定されちゃったんです」と題する意見広告を掲載。特に、宮崎県公報における有害指定の理由が必ずしも明確でないとする点を指摘し、[[宮崎地方裁判所]]に指定取り消しを求めて提訴するが[[1994年]][[1月24日]]に敗訴。[[1995年]][[3月1日]]の[[福岡高等裁判所]]宮崎支部における控訴審でも同様に敗訴。これに対し、ガイナックスは[[最高裁判所]]へ上告するが[[1999年]][[12月14日]]の最高裁・第三小法廷判決も一審・二審の判決を支持し、上告を棄却した。 |
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== 脚注 == |
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なお、ガイナックスは本訴訟の敗訴後に[[コンピュータソフトウェア倫理機構]]へ加入している。 |
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{{脚注ヘルプ}} |
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* [http://www.isc.meiji.ac.jp/~sumwel_h/doc/juris/m2dcj-h6-1-24.htm 最高裁判決文] |
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=== 注釈 === |
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{{Notelist}} |
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=== 出典 === |
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{{reflist|refs=<ref name="apehunter22">[[#apehunter|「よくわかる美少女ゲーム 傾向と対策編 電脳学園IV エイプハンターJ」、『美少女ゲーム最前線パート5』,p.22.]]</ref><ref name="apehunter23">[[#apehunter|「よくわかる美少女ゲーム 傾向と対策編 電脳学園IV エイプハンターJ」、『美少女ゲーム最前線パート5』,p.23.]]</ref><ref name="apehunter66">[[#apehunterwalkthroutgh|「よくわかる美少女ゲーム 深〜く愛して攻略データ編 エイプハンターJ」、『美少女ゲーム最前線パート5』,p.66.]]</ref><ref name="interview54">[[#interview|「ガイナックス特別取材 -監督みんだ☆なお氏に聞く-〔なぜ、サルなのか?〕」、『美少女ゲーム最前線パート5』,p.54.]]</ref><ref name="interview55">[[#interview|「ガイナックス特別取材 -監督みんだ☆なお氏に聞く-〔なぜ、サルなのか?〕」、『美少女ゲーム最前線パート5』,p.55.]]</ref>}} |
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== |
== 参考文献 == |
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=== 書籍 === |
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* {{Cite book|和書|title=遺言|date=2010-10-25|publisher=[[筑摩書房]]|author=岡田斗司夫|isbn=978-4-480-86405-5|ref=harv}} |
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=== 雑誌記事 === |
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* {{Cite|和書|title=美少女ゲーム最前線 パート5|publisher=[[辰巳出版]]|ref=bishoujo5|date=1991-11-1}} |
|||
** {{Wikicite|ref=apehunter|reference=「よくわかる美少女ゲーム 傾向と対策編 電脳学園IV エイプハンターJ」、22-23頁。}} |
|||
** {{Wikicite|ref=apehunterwalkthroutgh|reference=「よくわかる美少女ゲーム 深〜く愛して攻略データ編 エイプハンターJ」、66-67頁。}} |
|||
** {{Wikicite|ref=interview|reference=「ガイナックス特別取材 -監督みんだ☆なお氏に聞く-〔なぜ、サルなのか?〕」、54-55頁。}} |
|||
== 外部リンク == |
|||
* [http://www.gainax.co.jp/ ガイナックス] |
* [http://www.gainax.co.jp/ ガイナックス] |
||
** {{Wayback|url=http://www.gainax.co.jp/catalog/denno1.html|title=電脳学園シナリオI for NEC PC-9801|date=19961018221407}} |
|||
** {{Wayback|url=http://www.gainax.co.jp/catalog/denno2.html|title=電脳学園II ハイウェイバスター!! for NEC PC-9801|date=19961018221416}} |
|||
** {{Wayback|url=http://www.gainax.co.jp/catalog/denno3.html|title=電脳学園III トップをねらえ! for NEC PC-9801|date=19961018221428}} |
|||
** {{Wayback|url=http://www.gainax.co.jp/catalog/denno4.html|title=電脳学園IV エイプハンターJ for NEC PC-9801|date=19961018221441}} |
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* [http://www.ninelives.co.jp/ ナインライブス] |
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[[Category:言論・表現の自由に関する裁判]] |
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2024年7月5日 (金) 01:38時点における最新版
ジャンル | SFクイズゲーム |
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対応機種 |
PC-8801SR以降 PC-9801VM以降 MSX2/MSX2+ |
開発元 | ガイナックス |
発売元 | ゼネラルプロダクツ |
人数 | 1人 |
メディア |
FD 5"2D 4枚組(PC-88) FD 5"2HD or 3.5"2HD 4枚組(PC-98) FD 3.5"2DD 2枚組(MSX2) |
発売日 |
1989年7月15日 1990年11月10日(Ver2.0 PC-98) |
対象年齢 |
未審査(Ver2.0より12歳未満のプレイ自粛要請表示) Ver2.0は宮崎県有害図書指定 |
『電脳学園』(でんのうがくえん、CYBERNETIC HI-SCHOOL)は、1989年7月15日にガイナックスから発売されたクイズゲーム。クイズに正解すると、登場するヒロインが服を徐々に脱いで最後は全裸になる脱衣ゲーム(アダルトゲーム)である。ガイナックスのコンピュータゲーム参入第1弾であり、シリーズ化されて4作品が発売された。2023年現在は、4作ともプロジェクトEGGでPC-9801シリーズ版がダウンロード販売中である。
また、1999年から2000年にかけて新シリーズ『電脳学園ミレニアム』がナインライブスから2タイトル発売された(通販・イベント直販限定)。
沿革
[編集]1980年代後半、ガイナックスはアニメーション制作の赤字で悪化していた経営を立て直すため、ゲーム業界へ進出することを決定した。その第1弾として制作されたのが、本シリーズである。
当時のアダルトゲーム市場は一流メーカーの撤退により、グラフィックのレベルが低下していた[1]。また、MacintoshのHyperCardで遊んでいた岡田斗司夫と赤井孝美は、アドベンチャーゲーム程度であれば自分たちでも制作することが可能であると知っていた[2]。こうした状況から、システムが単純なクイズゲームにアニメ制作スタッフによるグラフィックを組み合わせることで、ゲーム制作は可能であり売上も見込めると判断され、本作が制作される。
PC-8801版で岡田と赤井はプログラムとBGMの作曲以外を全て2人でこなし、角川書店の『コンプティーク』にヨイショ同然の記事を書いてもらうという癒着ギリギリのバックアップを受け(最終的にはガイナックスから『コンプティーク』にライターを派遣し、自分たちでヨイショ記事を書くまでになる)[3]、本作を発売した。大きな反響を呼んだが、1990年11月に発売した『電脳学園シナリオI Ver2.0』は宮崎県で青少年保護育成条例による有害図書指定を受けてしまう[注釈 1]。ガイナックスは本指定に対して憲法第21条等の違反で無効であるとして宮崎県を提訴するが、1999年12月に最高裁判所で敗訴した(詳細は#宮崎県有害図書指定に対する訴訟を参照)[4]。
電脳学園シリーズ
[編集]全4作。対応機種はNEC PC-8801SR以降、NEC PC-9801VM/UV以降(ラップトップを除く、但しVM/VM2/VM4は要16色ボード)/EPSON PCシリーズ、MSX2/MSX2+(RAM64KB/VRAM128KB以上)。パッケージソフトウェア販売のほか、ソフトベンダーTAKERUによるダウンロード販売も行われていた。パッケージ版には「電脳学園おまけ新聞」が付属する。
電脳学園(シナリオI)
[編集]1989年7月15日発売。電脳学園の生徒であるプレイヤーを操作し、3名の講師(初級:芹沢 博子、中級:万城目 ユリ、上級:神宮寺 静)とクイズで勝負する。クイズのジャンルはアニメ・特撮・国内外のSFに関するものが多い。講師名も特撮の登場人物に由来する。ノルマは25問中20問(正解率80%)で、ノルマを達成すれば相手の服を脱がすことができる。服を脱がした状態で、特定部位をクリックすると反応する。4枚脱がせるとクリアで、全員脱がせると「電脳博士号」の学位認定を受ける。絵は当時としては珍しく、ヘアの描写にこだわっていた。パニックモードでは「カブザードリィ 兜町の試練場」という、株取引RPG風の画面が表示された。
1990年11月10日には第1作の改良版である『電脳学園シナリオI Ver2.0』が発売され、前作の購入者には半額でバージョンアップを受け付けた。なお、本バージョンは推奨年齢12歳以上として12歳未満のプレイ自粛が発売元から要請されていたが、強制力は無かった。1992年7月17日(7月24日告示)に宮崎県から有害図書指定を受けているほか、同年9月には愛知県でも有害図書指定を受けている[5]。
『電脳学園シナリオI Ver2.0』の宮崎県有害図書指定に対する訴訟
[編集]1992年7月17日、宮崎県は「宮崎県における青少年の健全な育成に関する条例」(昭和52年7月28日条例第27号)第13条1項に基づいて『電脳学園シナリオI Ver2.0』を有害図書に指定した。関係機関への通知書には処分の理由として「著しく青少年の性的感情を刺激し、その健全な成長を阻害するおそれがあるため」と記載されているため、岡田は「ヘアが無修正で描写されていたのが引っかかった」と推測し、有害指定されたことは当然であると認識していた。しかし、赤井はこの指定に猛反発し[6]、ガイナックスはパソコン雑誌を中心に「私たち、有害指定されちゃったんです」と題する意見広告を掲載[4]。特に『宮崎県公報』における有害指定の理由が必ずしも明確でないとする点を指摘し、1993年2月に宮崎地方裁判所に指定の取り消しを求めて提訴するが[5]、1994年1月24日に敗訴[7]。1995年3月1日の福岡高等裁判所宮崎支部における控訴審でも同様に敗訴[8]。これに対しガイナックスは最高裁判所へ上告するが、1999年12月14日の最高裁・第三小法廷も裁判官全員一致の意見で一審・二審の判決を支持し、上告を棄却した[9]。
一方、アミューズメントマシン業界紙『ゲームマシン』は、実物を見たわけではないとしたうえで、宮崎県が有害図書に指定したからにはそれなりの根拠があったのだろうと分析している[5]。また、同紙は一般論として、当時の日本では子どもに過保護であるがゆえに表現の自由が遠慮せざるを得なくなる例が多く、ある程度の制限は当然であり、保守的な司法制度では結論が最初から分かってしまっていると述べている[5]。
なお、ガイナックスは本訴訟の敗訴後にコンピュータソフトウェア倫理機構へ加入している。また、作家の森瀬繚がニュースサイト「ファミ通.com」に寄せた記事によると、本件がコンピュータソフトウェア倫理機構設立のきっかけの一つになったという[4]。
電脳学園II ハイウェイバスター!!
[編集]1989年12月10日発売。ストーリーは前作からそのまま続いている。電脳学園を卒業した主人公が、首都高速に出没する正体不明のライダーを追い、その手がかりを得る為に再び電脳学園へ赴く。なお、本作より推奨年齢12歳以上として12歳未満のプレイ自粛が発売元から要請されている。
ゲームシステムは前作とほぼ同じだが、ヘルプ機能やパニックモードが追加されているほか、キャラクターデザインに新田真子・明貴美加・菊池通隆が参加している。クイズのジャンルは交通法規・自動車に関する問題が中心であり、運転免許に詳しければさほど難しくはない。また、新規導入のアドベンチャー部分は全4章に分かれており、4人全員を脱がせばクリアとなる。
電脳学園III トップをねらえ!
[編集]1990年3月24日発売。同名OVAが原作。前作までとストーリー上の繋がりは無い。新型ガンバスターである「グレートガンバスター」のパイロットを決めるため、タカヤ・ノリコ、アマノ・カズミ、ユング・フロイトの3名がクイズで戦いを繰り広げる。ゼネラルプロダクツでの購入特典としてアペンドディスク「電脳まるみえディスク」(非売品)が付属した。
監督に庵野秀明、作画に窪岡俊之とアニメ本編のスタッフが参加しているが、自分たちの創ったキャラクターを脱がすことに抵抗はなく、むしろいかにエロくするかを追求したという[10]。
評価(電脳学園III トップをねらえ!)
[編集]パソコンゲーム誌の編集者である前田尋之の公式サイト「電脳世界のひみつ基地」においてライターの松田は、同作のグラフィックについて評価し、ガイナックスが醸し出す昭和らしさが好きだったと振り返っている[11]。一方で、松田はゲームの内容についてあまり書くことがないとしつつも、意味もなく歩き回る場面が多かったとも述べている[11]。
電脳学園IV エイプハンターJ
[編集]『電脳学園IV エイプハンターJ』は、1991年7月20日に発売されたコンピュータゲームであり、シリーズ第4作目に当たる[12]。同作は、ゲーム発売時から見て近未来にあたる2006年を舞台とし、主人公のエイプハンター・Jが名門学園・電脳学園に潜入し、学園に潜むサルを探して駆除する様子を描いている[12]。同作では、急激に進化したサルたちが人間社会に混乱を及ぼしているという設定があり、裸にして尻尾の有無を確認しないと人間と区別できないという設定を脱衣の理由にしている[12]。また、世界観を解説するため、「高校生の現代社会科 猿害の実際」というタイトルの教科書風ガイドブックが付録としてつけられている[13]。
あらすじ
[編集]2006年、紫外線によって急激に進化したサルたちは人間社会に溶け込み、混乱を及ぼしていた[12]。主人公のエイプハンター・Jはサル駆除のため、名門学園・電脳学園を訪れる[12]。Jは理事長の孫・明美の案内で職員室に立ち入り、生徒名簿を確認する[13]。次いで、Jはサルが教師として紛れ込んでいる可能性から、その場にいた五島先生に殺虫剤をかがせて気絶させたうえでパンティをおろすが、普通の人間であることが判明する[13]。その後、Jは健康診断と称して全校生徒を調べようとするが、タートルレディに扮した明美の妨害によって生徒たちからの袋叩きに遭い、失敗に終わる[13][14]。結局、Jは理事長から服を脱がせるための3枚の許可証を手に、聞き込みに回ることにする[15]。まず、Jはバナナ好きのテニス部員・矢追純子を疑い、取り調べにかかるが[15]、サルではないことが判明する[14]。次に、Jは山籠もりが好きな弓道部部長の南山宏美の取り調べにかかるが[14]、彼女も無実であることが判明する[13]。捜査の末にサルを突き止めたJは、学園を去る[13]。
制作(電脳学園IV エイプハンターJ)
[編集]本作は、『バトルスキンパニック』同様、漫画家のみんだ☆なお(眠田直)を中心に開発がすすめられた[16]。これまでの『電脳学園』シリーズをはじめとするガイナックスの作品群に対してユーザーからプレイ時間が短いという指摘が寄せられたため、漫画的なテンポではユーザーが混乱するだろうという判断から、本作ではアドベンチャーゲームパートを長くするなどして[16]、テンポを下げる方針が取られた[17]。アドベンチャーゲームならミステリがよいという提案もあったが、物語の中で殺人を起こすと『電脳学園』シリーズの世界観とかみ合わなくなるため、探し物に変更された[16]。みんだの提案により、『ブレードランナー』からヒントを得る形で、探索対象は猿に決定した[16]。「急激に進化したサルたちが人間社会に溶け込み、それを主人公が追う」という設定について、みんだは「ロボットをサルに置き換えただけで馬鹿らしくなるというのが根底にある」と、『美少女ゲーム最前線』でのインタビューの中で述べている[16]。また、みんだは前述のインタビューの中で、人間と見分けのつかないものを探すというアイデアはアドベンチャーゲームに合うとは考えていたが、まさか通るとは思っていなかったとも話しており、企画を通したガイナックスに対して感謝の言葉を述べている[16]。本作のキャラクターデザイン・原画は末次徹朗が担当し[13][17]、CG作監は玉谷純が務めた。また、プログラムは生田雄大が担当した。
評価(電脳学園IV エイプハンターJ)
[編集]パソコンゲーム誌の編集者である前田尋之の公式サイト「電脳世界のひみつ基地」においてライターの松田ゆのじは、同作が電脳学園シリーズの代表作となった理由として、付録である「高校生の現代社会科 猿害の実際」の作りこみのすごさではないかと述べている[13]。『美少女ゲーム最前線パート5』のレビュー記事では、今までの電脳学園シリーズの中でも本格的なアドベンチャーゲームに仕上がっていると評価し、Hシーンもよかったと述べている[12]。
電脳学園ミレニアムシリーズ
[編集]1999年12月23日、電脳学園シリーズの新作となる『電脳学園ミレニアム』がナインライブスより通販・イベント直販(コミックマーケット/ワンダーフェスティバル)限定で発売された。Windows 95/98(XP非対応)・Macintosh(Classic Mac OS)両対応ハイブリッド版CD-ROMでリリースされた同作は1作目のリメイク版に相当し、新キャラクター2名が追加されている。なお、1999年12月に発売したバージョンに不具合が発見されたため、バグを修正した完全版を制作し、購入者全員に無料で送付されている[18]。
その翌年の2000年8月23日には『電脳学園ミレニアム2~紅の女王~』が、ナインライブスより通販・イベント直販限定で発売された。同作は主人公・日の本リリカとその助手・御堂マコトが電脳学園に潜入し、国家の存亡を揺るがす陰謀を暴くという内容になっている。こちらも2000年9月7日に数々の修正を施した新バージョン(Ver.2)がリリースされ、旧バージョンの購入者には無料で送付されている[19]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 作家の森瀬繚がニュースサイト「ファミ通.com」に寄せた記事によると、有害図書指定となってのはパッケージ版ではなく、ソフトベンダーTAKERUで発売されたバージョンだという[4]。
出典
[編集]- ^ 岡田斗司夫 2010, pp. 210–211.
- ^ 岡田斗司夫 2010, p. 168.
- ^ 岡田斗司夫 2010, p. 171.
- ^ a b c d “1990年代のPC美少女ゲーム業界と“沙織事件”。成人ゲームと“ソフ倫”の誕生【テレビアニメ『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』連動企画 第2回】”. ファミ通.com (2023年10月15日). 2023年10月15日閲覧。
- ^ a b c d 「論潮 有害ソフト」『ゲームマシン』第451号1993年6月15日、7面。2024年6月1日閲覧。
- ^ 岡田斗司夫 2010, pp. 213–214.
- ^ “電脳学園シナリオI バージョン2・0事件第一審判決”. 夏井高人(明治大学法学部教授). 2020年2月11日閲覧。
- ^ “電脳学園シナリオI バージョン2・0事件控訴審判決”. 夏井高人(明治大学法学部教授). 2020年2月11日閲覧。
- ^ “電脳学園シナリオI バージョン2・0事件上告審判決”. 夏井高人(明治大学法学部教授). 2020年2月11日閲覧。
- ^ 岡田斗司夫 2010, pp. 215–216.
- ^ a b 松田ゆのじ (2018年4月19日). “とんがりギャルゲー紀行 第25回:電脳学園III トップをねらえ!”. 電脳世界のひみつ基地. 2020年2月11日閲覧。
- ^ a b c d e f 「よくわかる美少女ゲーム 傾向と対策編 電脳学園IV エイプハンターJ」、『美少女ゲーム最前線パート5』,p.22.
- ^ a b c d e f g h 松田ゆのじ (2018年5月3日). “とんがりギャルゲー紀行 第27回:電脳学園IV エイプハンターJ”. 電脳世界のひみつ基地. 2020年1月10日閲覧。
- ^ a b c 「よくわかる美少女ゲーム 深〜く愛して攻略データ編 エイプハンターJ」、『美少女ゲーム最前線パート5』,p.66.
- ^ a b 「よくわかる美少女ゲーム 傾向と対策編 電脳学園IV エイプハンターJ」、『美少女ゲーム最前線パート5』,p.23.
- ^ a b c d e f 「ガイナックス特別取材 -監督みんだ☆なお氏に聞く-〔なぜ、サルなのか?〕」、『美少女ゲーム最前線パート5』,p.54.
- ^ a b 「ガイナックス特別取材 -監督みんだ☆なお氏に聞く-〔なぜ、サルなのか?〕」、『美少女ゲーム最前線パート5』,p.55.
- ^ 電脳学園ミレニアムに関するお知らせ - ウェイバックマシン(2000年8月23日アーカイブ分)
- ^ 電脳学園ミレニアム2~紅の女王~に関するお知らせ - ウェイバックマシン(2001年2月5日アーカイブ分)
参考文献
[編集]書籍
[編集]- 岡田斗司夫『遺言』筑摩書房、2010年10月25日。ISBN 978-4-480-86405-5。
雑誌記事
[編集]- 『美少女ゲーム最前線 パート5』辰巳出版、1991年11月1日。
- 「よくわかる美少女ゲーム 傾向と対策編 電脳学園IV エイプハンターJ」、22-23頁。
- 「よくわかる美少女ゲーム 深〜く愛して攻略データ編 エイプハンターJ」、66-67頁。
- 「ガイナックス特別取材 -監督みんだ☆なお氏に聞く-〔なぜ、サルなのか?〕」、54-55頁。
外部リンク
[編集]- ガイナックス
- 電脳学園シナリオI for NEC PC-9801 - ウェイバックマシン(1996年10月18日アーカイブ分)
- 電脳学園II ハイウェイバスター!! for NEC PC-9801 - ウェイバックマシン(1996年10月18日アーカイブ分)
- 電脳学園III トップをねらえ! for NEC PC-9801 - ウェイバックマシン(1996年10月18日アーカイブ分)
- 電脳学園IV エイプハンターJ for NEC PC-9801 - ウェイバックマシン(1996年10月18日アーカイブ分)
- ナインライブス
- 電脳学園ミレニアム - ウェイバックマシン(2000年8月23日アーカイブ分)
- 電脳学園ミレニアム2 紅の女王 - ウェイバックマシン(2000年8月23日アーカイブ分)
- プロジェクトEGG
- 眠田直/ゲーム(眠田直ホームページでの紹介)