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「ソッピース キャメル」の版間の差分

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'''ソッピース キャメル'''(Sopwith Camel)は、[[イギリス]]の[[ソッピース|ソッピース・アビエーション]]が開発した[[戦闘機|複葉戦闘機]]。[[第一次世界大戦]]中、[[西部戦線 (第一次世界大戦)|西部戦線]]で使用された。<!-- 正式名称は、〝Sopwith Camel F1〟である。 Fは戦闘機型の意味では?-->
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== 開発 ==
== 開発 ==
複葉戦闘機[[ソッピース パップ]]の代替として[[1916年]]にソッピース・アビエーションで開発され、開発初期には「ビッグ・パップ」とも呼ばれた。130馬力の9気筒[[ロータリーエンジン (初期航空機)|ロータリーエンジン]]のクレルジェ 9B エンジンを装備して速度は時速185 kmに達した。[[プロペラ]]回転面を通して発射する同調機銃としてビッカーズ 7.7 mm 機関銃2挺を搭載した。
複葉戦闘機[[ソッピース パップ]]の代替として[[1916年]]にソッピース・アビエーションで開発され、開発初期には「ビッグ・パップ」とも呼ばれた。130馬力の9気筒[[ロータリーエンジン (星型エンジン)|ロータリーエンジン]]のクレルジェ 9B エンジンを装備して速度は時速185 kmに達した。[[プロペラ]]回転面を通して発射する同調機銃としてビッカーズ 7.7 mm 機関銃2挺を搭載した。


機関銃の周りを覆うフェアリングがコブのようになっていたことから、キャメル([[ラクダ]])の名がついた。軍はこの呼び名を禁じたが、定着したため採用した。[[1917年]]から運用が開始され、約5,490機が生産された。
機関銃の周りを覆うフェアリングがコブのようになっていたことから、キャメル([[ラクダ]])の名がついた。軍はこの呼び名を禁じたが、定着したため採用した。[[1917年]]から運用が開始され、約5,490機が生産された。
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== 運用歴 ==
== 運用歴 ==
[[ファイル:Sopwith F-1 Camel USAF.jpg|thumb|left|アメリカで製作されたキャメル F.1のレプリカ]]
[[ファイル:Sopwith F-1 Camel USAF.jpg|thumb|left|アメリカで製作されたキャメル F.1のレプリカ]]
ロータリーエンジンの強いジャイロ効果がキャメルの操縦性を独特なものにして、新人パイロットには難しいものであり、着陸時の事故が多かった。意図的に不安定にされており、いつも真直ぐ飛ぶためにパイロットは常に調整する必要があったが、これによって比類ない機敏さを与えられたキャメルは、第一次大戦中に全軍通じての最多撃墜数を記録した戦闘機となった。
ロータリーエンジンの強いジャイロ効果がキャメルの操縦性を独特なものにして、新人パイロットには難しいものであり、着陸時の事故が多かった。また{{疑問点範囲|title=ジャイロ効果なら左右は関係ないはず。反トルクと混同しているのではないか?|date=2022年5月|ジャイロ効果故、抜群の右ロール性能を持っており、左に90度ロールするより右に270度ロールした方が早いとさえ言われた}}。意図的に不安定にされており、いつも真直ぐ飛ぶためにパイロットは常に調整する必要があったが、これによって比類ない機敏さを与えられたキャメルは、第一次大戦中に全軍通じての最多撃墜数を記録した戦闘機となった。


空のレッドバロンことドイツの撃墜王[[マンフレート・フォン・リヒトホーフェン|リヒトホーフェン]]が乗る[[フォッカー Dr.I]]をキャメルに乗っていたブラウン大尉が撃墜したと公式にはなっている。しかし、オーストラリア軍の兵士達は「その瞬間、彼のキャメル機は、リヒトホーフェンの後方にはいなかった。彼を撃墜したのは我々だ。」と主張していて、ブラウン大尉の証言にも矛盾点が多いと言う研究者もおり、現在も真相が明かされていない。当時の騎士道精神に則れば、無名の兵士の対空砲火によって撃墜されるのは不名誉なことであり、意図的にブラウン大尉の戦果ということにしたという見方もある。
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飛行船に吊るされた最初の寄生戦闘機([[パラサイト・ファイター]])の実験に用いられた。
飛行船に吊るされた最初の寄生戦闘機([[パラサイト・ファイター]])の実験に用いられた。


アメリカ軍も使用したが、操縦の難しさゆえに事故を起こすパイロットが後を絶たず「パイロット・キラー」と呼ばれた。
アメリカ軍も使用したが、操縦の難しさゆえに事故を起こすパイロットが後を絶たず「パイロット・キラー」と呼ばれた。

実際、意図せぬ機首上げ・機首下げをすることも多く、結果として墜落事故が多発する。それが「[[ヴィクトリア十字章|ビクトリアクロス]](最高位勲章)、レッドクロス(赤十字=病院送り)、ウッデンクロス(墓標=墓場行き)の3つの十字を授ける」と言われた所以である。


『[[ピーナッツ (漫画)|ピーナッツ]]』のキャラクターである[[スヌーピー]]が、自らの犬小屋の屋根に跨がって「第一次世界大戦の撃墜王」として操縦しているつもりになっているのはこの機である。
『[[ピーナッツ (漫画)|ピーナッツ]]』のキャラクターである[[スヌーピー]]が、自らの犬小屋の屋根に跨がって「第一次世界大戦の撃墜王」として操縦しているつもりになっているのはこの機である。
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== 出典 ==
== 出典 ==
* Bruce, J.M. [http://www.flightglobal.com/pdfarchive/view/1955/1955%20-%200527.html "Sopwith Camel: Historic Military Aircraft No 10: Part I."] ''Flight International'', 22 April 1955
* Bruce, J.M. [http://www.flightglobal.com/pdfarchive/view/1955/1955%20-%200527.html "Sopwith Camel: Historic Military Aircraft No 10: Part I."] ''Flight International'', 22 April 1955
== 参考文献 ==
* 『航空機名鑑 第一次大戦・大戦間編』pp.48-49。コーエー、2001年10月2日発行、ISBN 4-87719-721-4
* 『萌える!戦闘機図鑑』pp.44-45。関賢太郎、双葉社、2014年6月22日発行、ISBN 978-4-575-30688-0


== 関連項目 ==
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2024年7月6日 (土) 03:29時点における版

ソッピース キャメル

帝国戦争博物館(ロンドン)に展示されているキャメル

帝国戦争博物館ロンドン)に展示されているキャメル

ソッピース キャメル(Sopwith Camel)は、イギリスソッピース・アビエーションが開発した複葉戦闘機第一次世界大戦中、西部戦線で使用された。

開発

複葉戦闘機ソッピース パップの代替として1916年にソッピース・アビエーションで開発され、開発初期には「ビッグ・パップ」とも呼ばれた。130馬力の9気筒ロータリーエンジンのクレルジェ 9B エンジンを装備して速度は時速185 kmに達した。プロペラ回転面を通して発射する同調機銃としてビッカーズ 7.7 mm 機関銃2挺を搭載した。

機関銃の周りを覆うフェアリングがコブのようになっていたことから、キャメル(ラクダ)の名がついた。軍はこの呼び名を禁じたが、定着したため採用した。1917年から運用が開始され、約5,490機が生産された。

派生型には、110馬力のル・ローヌ 9J、150馬力のグノーム 9N、ベントレー BR1など、その他のロータリーエンジンを搭載したタイプも製造された。

運用歴

アメリカで製作されたキャメル F.1のレプリカ

ロータリーエンジンの強いジャイロ効果がキャメルの操縦性を独特なものにして、新人パイロットには難しいものであり、着陸時の事故が多かった。またジャイロ効果故、抜群の右ロール性能を持っており、左に90度ロールするより右に270度ロールした方が早いとさえ言われた[疑問点]。意図的に不安定にされており、いつも真直ぐ飛ぶためにパイロットは常に調整する必要があったが、これによって比類ない機敏さを与えられたキャメルは、第一次大戦中に全軍通じての最多撃墜数を記録した戦闘機となった。

空のレッドバロンことドイツの撃墜王リヒトホーフェンが乗るフォッカー Dr.Iをキャメルに乗っていたブラウン大尉[誰?]が撃墜したと公式[誰?]にはなっている。しかし、オーストラリア軍の兵士達[誰?]は「その瞬間、彼のキャメル機は、リヒトホーフェンの後方にはいなかった。彼を撃墜したのは我々だ。」と主張していて、ブラウン大尉の証言にも矛盾点が多いと言う研究者[誰?]もおり、現在も真相が明かされていない。当時の騎士道精神に則れば、無名の兵士の対空砲火によって撃墜されるのは不名誉なことであり、意図的にブラウン大尉の戦果ということにしたという見方[誰によって?]もある。

飛行船に吊るされた最初の寄生戦闘機(パラサイト・ファイター)の実験に用いられた。

アメリカ軍も使用したが、操縦の難しさゆえに事故を起こすパイロットが後を絶たず「パイロット・キラー」と呼ばれた。

実際、意図せぬ機首上げ・機首下げをすることも多く、結果として墜落事故が多発する。それが「ビクトリアクロス(最高位勲章)、レッドクロス(赤十字=病院送り)、ウッデンクロス(墓標=墓場行き)の3つの十字を授ける」と言われた所以である。

ピーナッツ』のキャラクターであるスヌーピーが、自らの犬小屋の屋根に跨がって「第一次世界大戦の撃墜王」として操縦しているつもりになっているのはこの機である。

運用者

性能諸元(F.1)

Orthographically projected diagram of the Sopwith camel.
Orthographically projected diagram of the Sopwith camel.

諸元

  • 乗員: 1
  • 全長: 5.71 m (18 ft 9 in)
  • 全高: 2.59 m (8 ft 6 in)
  • 翼幅: 8.53 m(26 ft 11 in)
  • 翼面積: 21.46 m2 (231 ft2
  • 空虚重量: 420 kg (930 lb)
  • 運用時重量: 660 kg (1,455 lb)
  • 動力: クレルジェ 9B 9気筒ロータリーエンジン、97 kW (130 hp) × 1

性能

  • 最大速度: 185 km/h
  • 失速速度: 77 km/h
  • フェリー飛行時航続距離: 485 km (300 mi)
  • 航続距離: 455 km
  • 実用上昇限度: 6,400 m (21,000 ft)
  • 上昇率: 5.5 m/s (1,085 ft/min)
  • 翼面荷重: 30.8 kg/m2 (6.3 lb/ft2
  • 馬力荷重(プロペラ): 150 W/kg (0.09 hp/lb)

武装

  • 固定武装: ビッカーズ社製7.7mm機関銃 ×2
お知らせ。 使用されている単位の解説はウィキプロジェクト 航空/物理単位をご覧ください。

出典

参考文献

  • 『航空機名鑑 第一次大戦・大戦間編』pp.48-49。コーエー、2001年10月2日発行、ISBN 4-87719-721-4
  • 『萌える!戦闘機図鑑』pp.44-45。関賢太郎、双葉社、2014年6月22日発行、ISBN 978-4-575-30688-0

関連項目

同時代の同等機

著名な搭乗者

外部リンク