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'''岡野 弘彦'''（おかの ひろひこ、[[1924年]]（[[大正]]13年）[[7月7日]] - ）は、[[日本]]の[[歌人]]。[[日本芸術院]]会員、[[文化功労者]]、[[國學院大學]][[名誉教授]]。<ref>{{Cite web |url=http://angel-zaidan.org/profile/okano-hirohiko/ |title=講師プロフィール ＞ 岡野 弘彦 |publisher=森永エンゼルカレッジ |accessdate=2017-07-07 }} </ref>
'''岡野 弘彦'''（おかの ひろひこ、[[1924年]]〈[[大正]]13年〉[[7月7日]] - ）は、[[日本]]の[[歌人]]。[[國學院大學]][[名誉教授]]、[[日本芸術院会員]]<ref>{{Cite web|和書|url=http://angel-zaidan.org/profile/okano-hirohiko/ |title=講師プロフィール ＞ 岡野 弘彦 |publisher=森永エンゼルカレッジ |accessdate=2017-07-07 }} </ref>、[[文化功労者]]。[[文化勲章]]受章者。

國學院大學[[文学部]][[教授]]、國學院大學文学部[[学部長]]、[[國學院大學栃木短期大学]][[学長]]などを歴任した。


== 来歴 ==
== 来歴 ==
=== 生い立ち ===
[[三重県]][[一志郡]][[美杉村]]（現・[[津市]]）生まれ。代々[[神主]]の家に、父・弘賢の長男として生まれる。川上尋常小学校、[[皇學館大学|神宮皇學館]]普通科を経て、[[1948年]]（[[昭和]]23年）、[[國學院大學]]国文科卒。[[1946年]]（昭和21年）、学生時代から[[折口信夫|釈迢空]]（[[折口信夫]]）主宰の短歌結社「鳥船社」に入社、[[1947年]]（昭和22年）からは折口家に同居、その死を看取った。[[1953年]]から國學院大學[[講師]]、[[1961年]]に[[助教授]]、[[1969年]]に[[教授]]、[[1975年]]からは文学部長。[[1995年]]から[[2007年]]まで[[國學院大學栃木短期大学]][[学長]]。[[1995年]]から[[2008年]]まで[[読売文学賞]]選考委員。
[[三重県]][[一志郡]][[美杉村]]（現・[[津市]]）生まれ。代々[[神主]]の家に、父・弘賢の長男として生まれる。川上尋常小学校、[[皇學館大学|神宮皇學館]]普通科を経て、[[1948年]]（[[昭和]]23年）[[國學院大學]]国文科卒。[[1957年]]國學院大學専任[[講師]]<ref name=":0">{{Cite web|和書|title=岡野弘彦名誉教授が文化勲章を受章されます |url=https://www.kokugakuin.ac.jp/news/266506 |website=國學院大學 |access-date=2022-11-02 |language=ja}}</ref>、[[1961年]]に[[助教授]]<ref name=":0" />、[[1969年]]に[[教授]]<ref name=":0" />、[[1975年]]からは文学部長。[[1995年]]から[[2007年]]まで[[國學院大學栃木短期大学]][[学長]]。

=== 歌人として ===
[[1946年]]（昭和21年）、学生時代から[[折口信夫|釈迢空（折口信夫）]]主宰の短歌結社「鳥船社」に入社、[[1947年]]（昭和22年）からは折口家に同居、その死を看取った。折口の最後の弟子とも評される<ref>{{Cite web|和書|title=＜土曜訪問＞短歌、心や文化の基盤 集大成となる全歌集を出版 岡野弘彦さん（歌人、国文学者）：東京新聞 TOKYO Web |url=https://www.tokyo-np.co.jp/article/188559 |website=東京新聞 TOKYO Web |access-date=2022-11-02 |language=ja}}</ref>。[[1973年]]（昭和48年）「人」創刊。1995年から2008年まで[[読売文学賞]]選考委員。[[1999年]]（[[平成]]11年）「岡野弘彦個人雑誌、うたげの座」を編集。


宮中と関わりが深く[[宮内庁]]御用掛（[[1983年]]～[[2007年]]）、[[昭和天皇]]の作歌指南役を務めたほか、[[皇太子徳仁親王]]、[[皇太子徳仁親王妃雅子]]にも[[和歌]]の進講をしており、[[歌会始]]選者も務めている（[[1979年]]～）。[[1973年]]（昭和48年）「人」創刊。[[1999年]]（[[平成]]11年）「岡野弘彦個人雑誌、うたげの座」を編集。
宮中と関わりが深く、1983年から2007年まで[[宮内庁]]御用掛として[[昭和天皇]]の作歌指南役を務めた<ref name=":0" />ほか、[[徳仁|皇太子徳仁親王]]、[[皇后雅子|雅子皇太子妃]]にも[[和歌]]の進講をしており、1979年からは宮中[[歌会始]]選者も務めている（2008年まで）。2013年には[[歌会始]]の[[召人]]も務めた。


[[2007年]]（平成18年）に歌集「バグダッド燃ゆ」、第29回[[現代短歌大賞]]（現代歌人協会主催）および第22回[[詩歌文学館賞]]を受賞。この歌集は、師・[[迢空]]が[[第二次世界大戦]]で、[[養子]]の[[折口春洋|春洋]]や多くの若者たちを失ったことに対する自分の戦争責任を問い直し、鎮魂をライフワークとしたことに倣い、岡野自身の戦争体験を踏まえ、[[バグダッド]]での止まらない戦禍に深い悲しみを寄せた作品である。
[[2007年]]（平成18年）に歌集「バグダッド燃ゆ」、第29回[[現代短歌大賞]]（現代歌人協会主催）および第22回[[詩歌文学館賞]]を受賞。この歌集は、師・[[釈迢空]]が[[第二次世界大戦]]で、[[養子]]の[[折口春洋|春洋]]や多くの若者たちを失ったことに対する自分の戦争責任を問い直し、鎮魂をライフワークとしたことに倣い、岡野自身の戦争体験を踏まえ、[[イラク戦争|バグダッドでの止まらない戦禍]]に深い悲しみを寄せた作品である。


門下に[[松坂弘]]、[[藤井常世]]、[[秋山佐和子]]、[[海老沢泰久]]、[[大谷和子]]、[[一ノ関忠人]]など。
門下に[[松坂弘]]、[[藤井常世]]、[[秋山佐和子]]、[[海老沢泰久]]、[[大谷和子]]、[[一ノ関忠人]]、[[沢口芙美]]など。


== 歌風 ==
== 歌風 ==
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== 受賞歴 ==
== 受賞歴 ==
*[[1968年]]（昭和43年）『冬の家族』で第11回[[現代歌人協会賞]]
*[[1967年]]（昭和42年）『冬の家族』で第11回[[現代歌人協会賞]]<ref>{{Cite web|和書|title=岡野 弘彦 - 森永エンゼルカレッジ |url=https://angel-zaidan.org/ |website=森永エンゼルカレッジ |access-date=2022-11-02 |language=ja |publisher=一般財団法人森永エンゼル財団}}</ref>
*[[1973年]]（昭和48年）『滄浪歌』他で第7回[[迢空賞]]
*[[1972年]]（昭和47年）『滄浪歌』他で第7回[[迢空賞]]<ref name=":0" />
*[[1979年]]（昭和54年）『海のまほろば』で第29回[[芸術選奨]]文部科学大臣賞
*[[1979年]]（昭和54年）『海のまほろば』で第29回[[芸術選奨]]文部科学大臣賞
*[[1988年]]（昭和63年）『天の鶴群』で第39回[[読売文学賞]]。[[紫綬褒章]]受章
*[[1988年]]（昭和63年）『天の鶴群』で第39回[[読売文学賞]]
*[[1998年]]（平成10年）[[芸術院賞]]、[[勲三等]][[瑞宝章]]
*[[1998年]]（平成10年）[[日本芸術院賞]]
*[[2001年]]（平成13年）『折口信夫伝 その思想と学問』で第14回[[和辻哲郎文化賞]]
*[[2001年]]（平成13年）『折口信夫伝 その思想と学問』で第14回[[和辻哲郎文化賞]]
*[[2007年]]（平成18年）『バグダッド燃ゆ』で第29回[[現代短歌大賞]]および第22回[[詩歌文学館賞]]
*[[2007年]]（平成18年）『バグダッド燃ゆ』で第29回[[現代短歌大賞]]および第22回[[詩歌文学館賞]]
*[[2013年]]（平成25年）『美しく愛しき日本』で第4回[[日本歌人クラブ大賞]]。[[文化功労者]]に選ばれる
*[[2013年]]（平成25年）『美しく愛しき日本』で第4回[[日本歌人クラブ大賞]]

== 栄典 ==
*[[1988年]]（昭和63年）[[紫綬褒章]]<ref name=":0" />
*[[1998年]]（平成10年）[[勲三等瑞宝章]]<ref name=":0" />
*[[2013年]]（平成25年）[[文化功労者]]<ref name=":0" />
*[[2021年]]（令和3年）[[文化勲章]]<ref name=":0" />


== 著書 ==
== 著書 ==
=== 歌集 ===
;歌集
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*『冬の家族』 [[角川書店]]、1967年
*『冬の家族』 [[角川書店]]、1967年
*『滄浪歌』 角川書店、1972年
*『滄浪歌』 角川書店、1972年
*『石打てば石』 現代歌人叢書35：[[短歌新聞社]]、1976年
*『石打てば石』 現代歌人叢書35：[[短歌新聞社]]、1976年<ref>自選歌集。</ref>
*『岡野弘彦歌集』 現代歌人文庫14：[[国文社]]、1979年
*『海のまほろば』 [[牧羊社]]、1978年
*『海のまほろば』 [[牧羊社]]、新版：[[中公文庫]]、1980年
**[[中公文庫]]、1980年
*『岡野弘彦歌集』(現代歌人文庫 14) [[国文社]]、1979年
*『天の鶴群』 [[不識書院]]、1988年
*『天の鶴群』 [[不識書院]]、1988年
*『異類界消息』 現代短歌全集61：短歌新聞社、1990年
*『異類界消息』(現代短歌全集 61) 短歌新聞社、1990年
*『飛天』 不識書院、1991年
*『飛天』 不識書院、1991年
*『バグダッド燃ゆ』 [[砂子屋書房]]、2006年
*『バグダッド燃ゆ』 [[砂子屋書房]]、2006年
*『美しく愛しき日本』 [[角川学芸出版]]、2012年
*『美しく愛しき日本』 [[角川学芸出版]]、2012年
*『岡野弘彦百首』沢口芙美編：[[本阿弥書店]]、2018年
*『岡野弘彦百首』 沢口芙美編：[[本阿弥書店]]、2018年
*『岡野弘彦全歌集』 [[青磁社]]、2021年
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=== 評論・随想集・歌論 ===
;評論・随想集・歌論
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⚫
*『[[折口信夫]]の晩年』 中央公論社、のち[[中公文庫]]、新版・[[慶應義塾大学出版会]]<ref>編著に『精選折口信夫』（慶應義塾大学出版会 全6巻）</ref>、2017年　
*『折口信夫の記』 [[中央公論新社]]<ref>編著に『釈迢空全歌集』（[[角川ソフィア文庫]]、2016年）</ref>
*『[[折口信夫]]の晩年』中央公論社 1969年
**文庫化：[[中公文庫]]
⚫
*『折口信夫伝　その思想と学問』 中央公論新社、新版・[[ちくま学芸文庫]]、2020年
⚫
**新版 [[慶應義塾大学出版会]] 2017年<ref>編著に『精選折口信夫』（[[慶應義塾大学出版会]] 全6巻）</ref>
⚫
*『最後の弟子が語る折口信夫』 [[平凡社]]、2019年
*『折口信夫の記』中央公論社 1996年<ref>西村亨共編で『折口信夫必携』学燈社</ref>
⚫
*『歌を恋ふる歌』 中央公論社、のち[[中公文庫]]
⚫
*『折口信夫伝　その思想と学問』 [[中央公論新社]] 2000年
⚫
*『花幾年』 牧羊社、のち中公文庫
**新版 [[ちくま学芸文庫]] 2020年
⚫
*『最後の弟子が語る折口信夫』[[平凡社]] 2019年
⚫
*『歌を恋ふる歌』中央公論社
**[[中公文庫]]
⚫
*『花幾年』牧羊社 1981年
**中公文庫 1994年
*『悲歌の時代　祈りと悲しみの歌』 [[講談社学術文庫]] 　
*『悲歌の時代　祈りと悲しみの歌』 [[講談社学術文庫]] 　
*『神がみの座』 [[淡交社]]
*『神がみの座』 [[淡交社]]
*『華の記憶』 淡交社
*『華の記憶』淡交社
*『恋の王朝絵巻　[[伊勢物語]]』 淡交社
*『恋の王朝絵巻　[[伊勢物語]]』 淡交社
{{colend|2}}
*『万葉秀歌探訪』 [[NHK出版|日本放送出版協会]]「NHKライブラリー」
*『万葉秀歌探訪』[[NHK出版|日本放送出版協会]]「NHKライブラリー」
*『万葉の歌人たち　秀歌のしらべと言葉の力』日本放送出版協会「NHKライブラリー」
*『万葉の歌人たち　秀歌のしらべと言葉の力』日本放送出版協会「NHKライブラリー」
*『万葉の歌　人と風土（4） 大和南西部』 [[保育社]]
*『万葉の歌　人と風土（4） 大和南西部』[[保育社]]
*『[[伊勢国|伊勢の国魂]]を求めて旅した人々　今も生きる神話を読み解く』人間社、2022年<ref>講演集。</ref>


==== 共著 ====
;共著
*『岡野弘彦インタビュー集　歌は世につれ情は歌につれ』聞き手 [[小島ゆかり]]、本阿弥書店、2020年
*『歌仙　一滴の宇宙』（[[三浦雅士]]・[[長谷川櫂]]）、[[思潮社]]、2015年
*『歌仙 一滴の宇宙』（[[三浦雅士]]・[[長谷川櫂]]）、[[思潮社]]、2015年
*『歌仙 永遠の一瞬』（同上＋[[谷川俊太郎]]・[[三角みづ紀]]・[[蜂飼耳]]・小島ゆかり）、思潮社、2019年
*『君たちが日本のためにできること　大学生に伝えたい祖国との絆』 [[明成社]]、2011年
*『君たちが日本のためにできること　大学生に伝えたい祖国との絆』 [[明成社]]、2011年
**「和歌に宿る魂の力～濃密な心の交流の世界」を収録。2001年秋講演
**「和歌に宿る魂の力～濃密な心の交流の世界」を収録。2001年秋講演
**『永遠の[[皇室]]を仰いで』（明成社、2008年） にも収録
**『永遠の[[皇室]]を仰いで』（明成社、2008年）にも収録
*「怪談・俳諧・墓誌」、（『書物の達人　[[丸谷才一]]』pp.97-124） [[菅野昭正]]編、[[集英社新書]] 2014年
*講演「怪談・俳諧・墓誌」-『書物の達人 丸谷才一』pp.97-124、[[集英社新書]]（[[菅野昭正]]編）、2014年
*『歌仙の愉しみ』[[大岡信]]・[[丸谷才一]]と、[[岩波新書]]、2008年
*『[[俳諧|歌仙]]の愉しみ』[[大岡信]]・[[丸谷才一]]と、[[岩波新書]]、2008年
*『すばる歌仙』大岡信・丸谷才一と、[[集英社]]、2005年
*『すばる歌仙』大岡信・丸谷才一と、[[集英社]]、2005年
*『祖国』[[福島泰樹]]と、[[鳥影社]]、2005年
*『祖国』[[福島泰樹]]と、[[鳥影社]]、2005年
*『釈迢空　短歌シリーズ・人と作品15』千勝重次と、桜楓社（現：[[おうふう]]）、1981年
*『釈迢空　短歌シリーズ・人と作品15』千勝重次と、[[おうふう|桜楓社]]、1981年
**編著『釈迢空全歌集』[[角川ソフィア文庫]]、2016年


== 校歌作詞 ==
== 校歌作詞 ==
*葛飾区立葛美中学校校歌
*[[佐野日本大学中等教育学校]]校歌
*都立城東高等学校校歌
*[[葛飾区立葛美中学校]]校歌
*[[東京都立城東高等学校]]校歌
*[[神奈川県立氷取沢高等学校]]校歌
*[[神奈川県立氷取沢高等学校]]校歌
*[[名古屋経済大学]]市邨学園校歌
*市邨学園（[[名古屋経済大学]]、[[名古屋経済大学市邨中学校・高等学校]]、名古屋経済大学付属市邨幼稚園）校歌
*津市立美杉小学校校歌
*津市立美杉小学校校歌
*静岡県立伊東城ヶ崎高校校歌
*[[静岡県立伊東高等学校城ケ崎分校]]校歌
*福岡県立光陵高等学校校歌
*[[福岡県立光陵高等学校]]校歌


== 脚注 ==
== 脚注 ==
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2024年7月11日 (木) 13:58時点における版

岡野 弘彦（おかの　ひろひこ）
文化勲章受章に際して
公表された肖像写真
誕生 (1924-07-07) 1924年7月7日（100歳）
三重県一志郡美杉村
職業 歌人
言語 日本語
国籍 日本の旗 日本
最終学歴 國學院大學国文科卒業
ジャンル 短歌
主な受賞歴 現代歌人協会賞(1968年)
迢空賞(1973年)
芸術選奨文部科学大臣賞(1979年)
読売文学賞(1988年)
芸術院賞(1998年)
和辻哲郎文化賞(2001年)
現代短歌大賞(2011年)
詩歌文学館賞(2011年)
日本歌人クラブ大賞(2013年)
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岡野 弘彦（おかの ひろひこ、1924年〈大正13年〉7月7日 - ）は、日本の歌人。國學院大學名誉教授、日本芸術院会員[1]、文化功労者。文化勲章受章者。

國學院大學文学部教授、國學院大學文学部学部長、國學院大學栃木短期大学学長などを歴任した。

来歴

生い立ち

三重県一志郡美杉村（現・津市）生まれ。代々神主の家に、父・弘賢の長男として生まれる。川上尋常小学校、神宮皇學館普通科を経て、1948年（昭和23年）國學院大學国文科卒。1957年國學院大學専任講師[2]、1961年に助教授[2]、1969年に教授[2]、1975年からは文学部長。1995年から2007年まで國學院大學栃木短期大学学長。

歌人として

1946年（昭和21年）、学生時代から釈迢空（折口信夫）主宰の短歌結社「鳥船社」に入社、1947年（昭和22年）からは折口家に同居、その死を看取った。折口の最後の弟子とも評される[3]。1973年（昭和48年）「人」創刊。1995年から2008年まで読売文学賞選考委員。1999年（平成11年）「岡野弘彦個人雑誌、うたげの座」を編集。

宮中と関わりが深く、1983年から2007年まで宮内庁御用掛として昭和天皇の作歌指南役を務めた[2]ほか、皇太子徳仁親王、雅子皇太子妃にも和歌の進講をしており、1979年からは宮中歌会始選者も務めている（2008年まで）。2013年には歌会始の召人も務めた。

2007年（平成18年）に歌集「バグダッド燃ゆ」、第29回現代短歌大賞（現代歌人協会主催）および第22回詩歌文学館賞を受賞。この歌集は、師・釈迢空が第二次世界大戦で、養子の春洋や多くの若者たちを失ったことに対する自分の戦争責任を問い直し、鎮魂をライフワークとしたことに倣い、岡野自身の戦争体験を踏まえ、バグダッドでの止まらない戦禍に深い悲しみを寄せた作品である。

門下に松坂弘、藤井常世、秋山佐和子、海老沢泰久、大谷和子、一ノ関忠人、沢口芙美など。

歌風

近年、折口と同様の句読点、空き字等を使用、また長歌と短歌を組み合わせた組歌を発表するなど意欲的な取り組みをしている。伝統的な詠法に則り、定型を守り、調べが清らかで、確立している。

受賞歴

栄典

著書

歌集
  • 『冬の家族』 角川書店、1967年
  • 『滄浪歌』 角川書店、1972年
  • 『石打てば石』 現代歌人叢書35：短歌新聞社、1976年[5]
  • 『海のまほろば』 牧羊社、1978年
  • 『岡野弘彦歌集』(現代歌人文庫 14) 国文社、1979年
  • 『天の鶴群』 不識書院、1988年
  • 『異類界消息』(現代短歌全集 61) 短歌新聞社、1990年
  • 『飛天』 不識書院、1991年
  • 『バグダッド燃ゆ』 砂子屋書房、2006年
  • 『美しく愛しき日本』 角川学芸出版、2012年
  • 『岡野弘彦百首』 沢口芙美編：本阿弥書店、2018年
  • 『岡野弘彦全歌集』 青磁社、2021年
評論・随想集・歌論
  • 『万葉秀歌探訪』日本放送出版協会「NHKライブラリー」
  • 『万葉の歌人たち　秀歌のしらべと言葉の力』日本放送出版協会「NHKライブラリー」
  • 『万葉の歌　人と風土（4） 大和南西部』保育社
  • 『伊勢の国魂を求めて旅した人々　今も生きる神話を読み解く』人間社、2022年[8]
共著

校歌作詞

脚注

  1. ^ “講師プロフィール ＞ 岡野 弘彦”. 森永エンゼルカレッジ. 2017年7月7日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i “岡野弘彦名誉教授が文化勲章を受章されます”. 國學院大學. 2022年11月2日閲覧。
  3. ^ “＜土曜訪問＞短歌、心や文化の基盤 集大成となる全歌集を出版 岡野弘彦さん（歌人、国文学者）：東京新聞 TOKYO Web”. 東京新聞 TOKYO Web. 2022年11月2日閲覧。
  4. ^ “岡野 弘彦 - 森永エンゼルカレッジ”. 森永エンゼルカレッジ. 一般財団法人森永エンゼル財団. 2022年11月2日閲覧。
  5. ^ 自選歌集。
  6. ^ 編著に『精選折口信夫』（慶應義塾大学出版会 全6巻）
  7. ^ 西村亨共編で『折口信夫必携』学燈社
  8. ^ 講演集。
 
第一部（美術）
日本画
洋画
彫塑
工芸
書
建築
 
第二部（文芸）
小説・
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第三部（音楽・演劇・舞踊）
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太字は恩賜賞受賞者。名跡は受賞時のもの。表記揺れによる混乱を避けるため漢字は便宜上すべて新字体に統一した。
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