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[[ファイル:Hoyo Strait Satellite.jpg|thumb|right|upright|画像中央に見える豊予海峡より南の海域が豊後水道]]
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[[ファイル:Oita sekizaki hoyo strait.jpg|thumb|right|大分県側から見た豊後水道<br />手前が[[関崎]]で左手奥が[[佐田岬]]。右手の島は[[高島 (大分県)|高島]]]]
'''豊後水道'''(ぶんごすいどう)は、[[九州]]の[[大分県]]と[[四国]]の[[愛媛県]]に挟まれた[[水道 (地理)|水道]]である。
'''豊後水道'''(ぶんごすいどう)は、[[九州]]の[[大分県]]と[[四国]]の[[愛媛県]]に挟まれた[[水道 (地理)|水道]]である。


== 地理 ==
== 地理 ==
{{see also|豊予海峡|宇和海}}
北で[[瀬戸内海]]([[伊予灘]])、南で[[太平洋]]([[フィリピン海]][[日向灘]]))に接する。ただし、豊後水道北部を瀬戸内海に含めることもある。また、愛媛県に近い水域は、[[由良半島]]を境に北側を[[宇和海]](うわかい)、南側を内海(うちうみ)と呼ぶ。
北で[[瀬戸内海]]([[伊予灘]])、南で[[太平洋]]([[フィリピン海]][[日向灘]]に接する。ただし、豊後水道北部を瀬戸内海に含めることもある。また、愛媛県に近い水域は、[[由良半島]]を境に北側を[[宇和海]](うわかい)、南側を内海(うちうみ)と呼ぶ。


豊後水道が最も狭くなった部分が、[[豊予海峡]]である。大分県[[大分市]](旧[[佐賀関町]])[[佐賀関]]の[[関崎]]と、愛媛県[[伊方町]](旧[[三崎町 (愛媛県)|三崎町]])の[[佐田岬]]の間に位置し、その幅は約14kmである。
豊後水道が最も狭くなった部分が、[[豊予海峡]]である。大分県[[大分市]](旧[[佐賀関町]])[[佐賀関]]の[[関崎]]と、愛媛県[[伊方町]](旧[[三崎町 (愛媛県)|三崎町]])の[[佐田岬]]の間に位置し、その幅は約14kmである。[[豊予海峡]]を境に[[伊予灘]]と隣接しているため、[[別府湾]]は伊予灘に面しているが豊後水道には面していない


中央の海域に無人島[[水ノ子島]]({{ウィキ座標|33|2|37|N|132|10|36|E||位置}})があり[[水ノ子島灯台]]が立つ。
中央の海域に無人島[[水ノ子島]]({{Coord|33|2|37|N|132|10|36|E|}})があり[[水ノ子島灯台]]が立つ。

=== 代表的な海域 ===
* [[豊予海峡]]
* 四国側
** [[宇和海]]・宇和島湾・御荘湾・[[油袋湾]]・[[宿毛湾]]
* 九州側
** [[別府湾]]・[[臼杵湾]]・[[津久見湾]]・[[佐伯湾]]・[[米水津湾]]

=== 代表的な半島 ===
* 四国側
** [[佐田岬半島]]・[[由良半島]]
* 九州側
** [[佐賀関半島]]・[[長目半島]]・[[四浦半島]]・[[鶴見半島]]

=== 代表的な島 ===
* [[水ノ子島]]
* 四国側
** [[御籠島]]・[[戸島 (愛媛県)|戸島]]・[[日振島]]・[[御五神島]]・[[竹ヶ島]]・[[鹿島 (愛南町)|鹿島]]・[[大島 (高知県)|大島]]・[[咸陽島]]・[[沖の島 (高知県)|沖の島]]
* 九州側
** [[高島 (大分県)|高島]]・[[保戸島]]・[[大入島]]・[[大島 (大分県佐伯市)|豊後大島]]


=== 水深再測量 ===
=== 水深再測量 ===
[[2009年]](平成21年)[[10月3日]]、[[海上保安庁]]に豪船籍の[[LNGタンカー]]から[[海図]]に記載のない浅い地点があると通報があった。同庁が直後に航行者に対して[[航行警報]]を発するとともに、同月12日に[[測量船]]「海洋」を緊急派遣し測量した結果、従来海図上で水深約90m程度とされていた地点に直径約400mの地形的な高まりが発見され、最も浅い部分で水深約35mと判明。同月22日に新たに水深が判明したことと、あわせて船舶航行の安全性に問題はないことが発表された<ref>{{PDFlink|[http://www.kaiho.mlit.go.jp/info/kouhou/h21/k20091022/k091022.pdf 豪 タンカーのシーマン・シップ~船舶からの通報により、豊後水道で新たな浅所を発見~]}} 海上保安庁、2009年10月22日告知</ref><ref>{{Cite web |url=http://mainichi.jp/select/wadai/news/20091023k0000m040066000c.html |title=豊後水道:「水深90m」実は「35m」 海図更新へ |publisher=毎日新聞 |accessdate=20091022 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20091024212934/http://mainichi.jp/select/wadai/news/20091023k0000m040066000c.html |archivedate=2009-10-24 |deadlinkdate=2015-9-15 }}</ref>。
[[2009年]](平成21年)[[10月3日]]、[[海上保安庁]]に豪船籍の[[LNGタンカー]]から[[海図]]に記載のない浅い地点があると通報があった。同庁が直後に航行者に対して[[航行警報]]を発するとともに、同月12日に[[測量船]]「海洋」を緊急派遣し測量した結果、従来海図上で水深約90m程度とされていた地点に直径約400mの地形的な高まりが発見され、最も浅い部分で水深約35mと判明。同月22日に新たに水深が判明したことと、あわせて船舶航行の安全性に問題はないことが発表された<ref>{{PDFlink|[https://www.kaiho.mlit.go.jp/info/kouhou/h21/k20091022/k091022.pdf 豪 タンカーのシーマン・シップ~船舶からの通報により、豊後水道で新たな浅所を発見~]}} 海上保安庁、2009年10月22日告知</ref><ref>{{Cite web|和書|url=http://mainichi.jp/select/wadai/news/20091023k0000m040066000c.html |title=豊後水道:「水深90m」実は「35m」 海図更新へ |publisher=毎日新聞 |accessdate=2009-10-22 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20091024212934/http://mainichi.jp/select/wadai/news/20091023k0000m040066000c.html |archivedate=2009-10-24 |url-status=dead|url-status-date=2015-09-15 }}</ref>。


発見された海域周辺は[[1940年]](昭和15年)に測量されたが、当時の技術的制約によりこの地点の存在は知られていなかった。
発見された海域周辺は[[1940年]](昭和15年)に測量されたが、当時の技術的制約によりこの地点の存在は知られていなかった。


== 自然 ==
== 自然環境 ==
[[File:Oita sekizaki hoyo strait.jpg|thumb|right|大分県側から見た[[予海峡]]。手前が[[関崎]]で左手奥が[[佐田岬]]。右手の島は[[高島 (大分県)|高島]]]]
かつては[[ニタリクジラ]]または[[カツオクジラ]](現在でも[[土佐湾]]に定住する)をはじめ多くのクジラが見られたとされ<ref>(著)宮脇 和人 「鯨塚からみえてくる日本人の心―豊後水道海域の鯨の記憶をたどって」</ref>、現在でも[[ハンドウイルカ]]、[[ミナミハンドウイルカ]]、[[ハセイルカ]]の3種類のイルカが定住する<ref>{{cite web|author=豊後水道桂丸|title=イルカの回遊情報|url=http://www.hyper-tsukumi.jp/~amadai/irukanokaiyuu.html|accessdate=2015-02-01}}</ref>。
{{see also|豊後水道県立自然公園}}
[[高島 (大分県)|高島]]は[[ウミネコ]]や[[ビロウ|ビロウ樹]]の生息地として[[大分県]]の[[天然記念物]]に指定されている。また、[[シギ]]や[[チドリ]]の来遊地が点在し、たとえば[[番匠川]]の[[河口]]部の[[干潟]]や[[臼杵湾]]の沿岸部に存在する<ref name=Suishitu>瀬戸内海の環境データベース, 2007年, [https://www.pa.cgr.mlit.go.jp/suishitu/seto/env/area/00_list.html 湾灘別の環境特性及び課題特性一覧], [[国土交通省]]</ref>。

かつては多くの[[クジラ]]や[[シャチ]]<ref name=Oodomari>[https://www.asahi-net.or.jp/~rn2h-dimr/ohaka2/12kujira/18kyusyu/ou_oodomari.htm 大鯨魚寳塔]</ref>などが見られたとされ<ref>{{Cite web|和書|website=佐伯市観光ナビ|year=|title=クジラの墓|url=https://www.visit-saiki.jp/spots/detail/20a6a327-5caf-438a-88f7-c8530fb201e4|accessdate=2023-12-21}}</ref><ref>[[臼杵市]], 2019年2月28日, [https://www.city.usuki.oita.jp/docs/2014020500967/ 鯨の墓]</ref>、豊後水道や[[豊予海峡]]の沿岸部には瀬戸内海でも際立って多くの[[鯨塚]]や[[鯨墓]]が点在する<ref>(著)宮脇 和人 「鯨塚からみえてくる日本人の心―豊後水道海域の鯨の記憶をたどって」</ref>。近年も、少数ではあるが毎年[[ザトウクジラ]]が豊後水道や[[別府湾]]に現れたり<ref>[[毎日新聞]], 2018年, 「[https://mainichi.jp/articles/20180215/k00/00m/040/048000c 別府湾:潮を吹いたり潜水と浮上も、ザトウクジラか]」</ref>、[[ハンドウイルカ]]、[[ミナミハンドウイルカ]]、[[ハセイルカ]]の3種類のイルカが定住している<ref>{{Cite web|和書|author=豊後水道桂丸|title=イルカの回遊情報|url=https://web.archive.org/web/20170831083539/http://www.hyper-tsukumi.jp/~amadai/irukanokaiyuu.html|accessdate=2023-12-21}}</ref>。

また、[[高島 (大分県)|高島]]の付近のアシカ島は、絶滅種に指定されている[[ニホンアシカ]]の生息に由来する地名だともされている<ref name="kaiseikan">[https://web.archive.org/web/20100225161618/https://kaiseikan.jp/sekisea_site/takasima/takasima.htm 高島 - 関崎海星館へようこそ!]</ref>。


== 就航している航路 ==
== 就航している航路 ==
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== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[豊後水道県立自然公園]]
* [[川中美幸]] - [[歌手]]。ご当地ソング「[[豊後水道 (川中美幸の曲)|豊後水道]]」を歌唱している。
* [[川中美幸]] - [[歌手]]。ご当地ソング「[[豊後水道 (川中美幸の曲)|豊後水道]]」を歌唱している。
* [[ぶんご (掃海母艦)]]
* [[ぶんご (掃海母艦)]]
* [[ゴジラvsデストロイア]] - [[ゴジラ (架空の怪獣)#『ゴジラvsキングギドラ』以降|ゴジラ]]と[[スーパーX#スーパーXIII|スーパーXIII]]が豊後水道で交戦する。
* [[ゴジラvsデストロイア]] - [[ゴジラ (平成VSシリーズ)|ゴジラ]]と[[スーパーX (ゴジラシリーズ)#スーパーXIII|スーパーXIII]]が豊後水道で交戦する。


== 脚注 ==
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2024年7月16日 (火) 21:02時点における最新版

画像中央に見える豊予海峡より南の海域が豊後水道。

豊後水道(ぶんごすいどう)は、九州大分県四国愛媛県に挟まれた水道である。

地理

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北で瀬戸内海伊予灘)、南で太平洋フィリピン海日向灘)に接する。ただし、豊後水道北部を瀬戸内海に含めることもある。また、愛媛県に近い水域は、由良半島を境に北側を宇和海(うわかい)、南側を内海(うちうみ)と呼ぶ。

豊後水道が最も狭くなった部分が、豊予海峡である。大分県大分市(旧佐賀関町佐賀関関崎と、愛媛県伊方町(旧三崎町)の佐田岬の間に位置し、その幅は約14kmである。豊予海峡を境に伊予灘と隣接しているため、別府湾は伊予灘に面しているが豊後水道には面していない。

中央の海域に無人島水ノ子島北緯33度2分37秒 東経132度10分36秒 / 北緯33.04361度 東経132.17667度 / 33.04361; 132.17667)があり水ノ子島灯台が立つ。

代表的な海域

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代表的な半島

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代表的な島

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水深再測量

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2009年(平成21年)10月3日海上保安庁に豪船籍のLNGタンカーから海図に記載のない浅い地点があると通報があった。同庁が直後に航行者に対して航行警報を発するとともに、同月12日に測量船「海洋」を緊急派遣し測量した結果、従来海図上で水深約90m程度とされていた地点に直径約400mの地形的な高まりが発見され、最も浅い部分で水深約35mと判明。同月22日に新たに水深が判明したことと、あわせて船舶航行の安全性に問題はないことが発表された[1][2]

発見された海域周辺は1940年(昭和15年)に測量されたが、当時の技術的制約によりこの地点の存在は知られていなかった。

自然環境

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大分県側から見た豊予海峡。手前が関崎で左手奥が佐田岬。右手の島は高島

高島ウミネコビロウ樹の生息地として大分県天然記念物に指定されている。また、シギチドリの来遊地が点在し、たとえば番匠川河口部の干潟臼杵湾の沿岸部に存在する[3]

かつては多くのクジラシャチ[4]などが見られたとされ[5][6]、豊後水道や豊予海峡の沿岸部には瀬戸内海でも際立って多くの鯨塚鯨墓が点在する[7]。近年も、少数ではあるが毎年ザトウクジラが豊後水道や別府湾に現れたり[8]ハンドウイルカミナミハンドウイルカハセイルカの3種類のイルカが定住している[9]

また、高島の付近のアシカ島は、絶滅種に指定されているニホンアシカの生息に由来する地名だともされている[10]

就航している航路

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※便数は往復。2019年12月現在。

関連項目

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脚注

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  1. ^ 豪 タンカーのシーマン・シップ~船舶からの通報により、豊後水道で新たな浅所を発見~ (PDF) 海上保安庁、2009年10月22日告知
  2. ^ 豊後水道:「水深90m」実は「35m」 海図更新へ”. 毎日新聞. 2009年10月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年10月22日閲覧。
  3. ^ 瀬戸内海の環境データベース, 2007年, 湾灘別の環境特性及び課題特性一覧, 国土交通省
  4. ^ 大鯨魚寳塔
  5. ^ クジラの墓”. 佐伯市観光ナビ. 2023年12月21日閲覧。
  6. ^ 臼杵市, 2019年2月28日, 鯨の墓
  7. ^ (著)宮脇 和人 「鯨塚からみえてくる日本人の心―豊後水道海域の鯨の記憶をたどって」
  8. ^ 毎日新聞, 2018年, 「別府湾:潮を吹いたり潜水と浮上も、ザトウクジラか
  9. ^ 豊後水道桂丸. “イルカの回遊情報”. 2023年12月21日閲覧。
  10. ^ 高島 - 関崎海星館へようこそ!
  11. ^ 運航休止のお知らせ

外部リンク

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