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「お色気番組」の版間の差分

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{{性的}}
{{性的}}
'''お色気番組'''(おいろけばんぐみ)とは、[[下ネタ]]や性的な描写、いわゆる[[色気|お色気]]を扱った[[バラエティ番組|テレビ番組]]。
'''お色気番組'''(おいろけばんぐみ)とは、[[下ネタ]]や性的な描写、いわゆる[[色気|お色気]]を扱った[[バラエティ番組|テレビ番組]]。ラジオ番組、配信番組などを含むこともある


[[色気|お色気コーナー]]・[[濡れ場]]・[[サービスカット]]などを含むバラエティやドラマ・映画作品を指すこともあるが、本項では主にバラエティ番組を中心に記述している。主に[[深夜番組]]の枠で放送され、「'''エロ番組'''」と表現されることもある。
[[色気|お色気コーナー]]・[[濡れ場]]・[[サービスカット]]などを含むバラエティやドラマ・映画作品を指すこともあるが、本項では主にバラエティ番組を中心に記述している。主に[[深夜番組]]の枠で放送され、「'''エロ番組'''」と表現されることもある。
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==概要==
==概要==
番組放映当時は、通常の情報番組やバラエティー番組として放送されていたが1990年代以降、このような番組が地上波から減少していったため、視聴者やメディアからこのような名称で呼ばれるようになった。
番組放映当時は、通常の情報番組やバラエティー番組として放送されていたが[[1990年代]]以降、このような番組が地上波から減少していったため、視聴者やメディアからこのような名称で呼ばれるようになった。


なお現在でも「[[深夜番組]]'''お色気番組'''」と捉えている視聴者も少なからずいる。
なお現在でも「[[深夜番組]]='''お色気番組'''」と捉えている視聴者も少なからずいる。


地上波における放送基準は1958年に制定され、しばらくラジオとテレビの2本立ての期間が続いていたが、1970年に一本化されて「日本民間放送連盟 放送基準」となった。1969年には現在のBPO([[放送倫理・番組向上機構]])の前身である「放送番組向上委員会」が設置され、その当時から性を扱う娯楽番組への風当たり([[コンプライアンス]])は強かった。
地上波における放送基準は[[1958年]]に制定され、しばらくラジオとテレビの2本立ての期間が続いていたが、[[1970年]]に一本化されて「日本民間放送連盟 放送基準」となった。[[1969年]]には現在のBPO([[放送倫理・番組向上機構]]の前身である「放送番組向上委員会」が設置され<ref>{{Cite web |title=現在までの歴史 {{!}} BPO {{!}} 放送倫理・番組向上機構 {{!}} |url=https://www.bpo.gr.jp/?page_id=1074 |website=www.bpo.gr.jp |access-date=2024-04-07}}</ref>、その当時から性を扱う娯楽番組への風当たりは強かった。


[[1950年代]]後半、テレビの普及を受けて「低俗番組」批判が起こり、それとともに放送制度の見直し論が広がった<ref>{{Cite web |title=シリーズ 初期“テレビ論”を再読する 【第3回】 制度論 {{!}} 調査・研究結果 - 放送史 {{!}} NHK放送文化研究所 |url=https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/research/history/036.html |website=www.nhk.or.jp |access-date=2024-04-07}}</ref>。
実際に[[1960年代|1960年代初頭]]に放送された[[フジテレビジョン|フジテレビ]]の「[[ピンクムードショウ]]」では毎回、ヌードダンサーが出演していたが乳房露出が多かったため、「低俗」・「卑猥だ」といった批判が殺到し、4回目の放送からはヌードは自粛された例がある(後に番組も終了)<ref>{{Cite book|和書 |title=テレビ史ハンドブック |year=1996年 |publisher=自由国民社 |page=33}}</ref>。他にも日本テレビの「[[コント55号の裏番組をぶっとばせ!]]」が[[プライムタイム|ゴールデンタイム]]にお色気要素を持ちこんだことで視聴者からの苦情が相次ぎ、学校などでは生徒が教師から番組を観ないよう注意を受けることもあり、番組は1年間で打ち切られている。またお笑い番組「[[8時だョ!全員集合]]」は、[[日本PTA全国協議会]]が「低俗テレビ番組を野放しにできない」として放送中止をTBSと番組[[スポンサー]]に求めてチャンネルの切り替え運動や商品の[[不買運動]]までちらつかせ、[[加藤茶|加藤 茶]]の「'''ちょっとだけよ〜。あんたも好きねぇ〜'''」がストリップを連想させるギャグとして槍玉に挙げられた<ref>https://www.zakzak.co.jp/article/20230126-PUEUC3NV45KWFBDS5WGCR5OGS4/</ref>。


[[1960年代]]初頭に放送された[[フジテレビジョン|フジテレビ]]の『[[ピンクムードショウ]]』では毎回、ヌードダンサーが出演していたが乳房露出が多かったため、「低俗」・「卑猥だ」といった批判が殺到し、4回目の放送からはヌードは自粛された例がある(後に番組も終了)<ref>{{Cite book|和書 |title=テレビ史ハンドブック |year=1996 |publisher=自由国民社 |page=33}}</ref>。他にも[[日本テレビ放送網|日本テレビ]]の『[[コント55号の裏番組をぶっとばせ!]]』が[[プライムタイム|ゴールデンタイム]]にお色気要素を持ちこんだことで視聴者からの苦情が相次ぎ、学校などでは生徒が教師から番組を観ないよう注意を受けることもあり、番組は1年間で打ち切られている<ref>{{Cite book|和書 |title=立ち読み社会 |year=1983 |publisher=勁草書房 |page=188}}</ref>。またお笑い番組『[[8時だョ!全員集合]]』は、[[日本PTA全国協議会]]が「低俗テレビ番組を野放しにできない」として放送中止をTBSと番組[[スポンサー]]に求めてチャンネルの切り替え運動や商品の[[不買運動]]までちらつかせ、[[加藤茶]]の「'''ちょっとだけよ〜。あんたも好きねぇ〜'''」がストリップを連想させるギャグとして槍玉に挙げられた<ref>{{Cite web |title=【「1973」エンタメプレイバック】加藤茶の衝撃 「ちょっとだけよ」と子供が連呼! 先生やPTAは眉をひそめたが…ドリフ人気は止まらない!(1/2ページ) |url=https://www.zakzak.co.jp/article/20230126-PUEUC3NV45KWFBDS5WGCR5OGS4/ |website=zakzak:夕刊フジ公式サイト |date=2023-01-26 |access-date=2023-11-19 |language=ja |first=SANKEI DIGITAL |last=INC}}</ref>。
放映される時間帯は、一部は[[プライムタイム]](22時台など。中には昼過ぎに放送されたものもある)以前の時間帯に放送されるケースもあるが、深夜帯を主とする。本来、深夜は不毛の時間帯と言われていたが、[[1965年]]に放送を開始した「[[11PM]]」が人気を博し、[[視聴率]]不毛時間帯の開拓に成功を成し遂げた。また1980年代までの日本は男性優位的な社会(男は仕事、女は家庭という性別役割分担をベースとしていた時代)だったこともあり、視聴率稼ぎのために成人男性をターゲットにしたお色気番組や男性視聴者向けの番組も多く放送されていたという実情がある。


=== 男性向け深夜番組の全盛 ===
1984年、[[フジテレビジョン|フジテレビ]]『[[オールナイトフジ]]』が深夜番組としては驚異的な[[視聴率]]を獲得し、他局も同様の番組を土曜深夜に放送し、視聴率争いが繰り広げられた。アダルトビデオやインターネットなどが普及していなかった時代において男性視聴者を中心に人気を博した。しかし、これが要因となり、1985年に当時放送中だった[[日本テレビ放送網|日本テレビ]]の「[[TV海賊チャンネル]]」・[[All-nippon News Network|テレビ朝日]]の「[[ミッドナイトin六本木]]」・[[テレビ東京]]の「[[夜はエキサイティング]]」の3本がスタート当初から各方面の批判の的にもなっていたこともあって放送打ち切りとなり、以後、各局は[[深夜番組]]の「脱・お色気」の風潮が高まるようになった。
放映される時間帯は、一部は[[プライムタイム]](22時台など。中には昼過ぎに放送されたものもある)以前の時間帯に放送されるケースもあるが、深夜帯を主とする。本来、深夜は不毛の時間帯と言われていたが、[[1965年]]に放送を開始した『[[11PM]]』が人気を博し、[[視聴率]]不毛時間帯の開拓に成功を成し遂げた。また[[1980年代]]までの日本は男性優位的な社会(男は仕事、女は家庭という性別役割分担をベースとしていた時代)だったこともあり、視聴率稼ぎのために成人男性をターゲットにしたお色気番組や男性視聴者向けの番組も多く放送されていたという実情がある。


[[1984年]]、フジテレビの『[[オールナイトフジ]]』が深夜番組としては驚異的な[[視聴率]]を獲得し、他局も同様の番組を土曜深夜に放送し、視聴率争いが繰り広げられた。アダルトビデオやインターネットなどが普及していなかった時代において男性視聴者を中心に人気を博した。しかし、これが要因となり、[[1985年]]に当時放送中だった[[日本テレビ放送網|日本テレビ]]の『[[TV海賊チャンネル]]』・[[All-nippon News Network|テレビ朝日]]の『[[ミッドナイトin六本木]]』・[[テレビ東京]]の『[[夜はエキサイティング]]』の3本がスタート当初から各方面の批判の的にもなっていたこともあって放送打ち切りとなり、以後、各局は[[深夜番組]]の「脱・お色気」の風潮が高まるようになった<ref>{{Cite web |title=伝説の深夜番組「オールナイトフジ」復活へ 港社長とのパイプで「とんねるず」の出演はあるか(2ページ目) |url=https://www.dailyshincho.jp/article/2023/02011100/ |website=デイリー新潮 |date=2023-02-01 |access-date=2023-11-20 |language=ja}}</ref><ref>{{Cite web |title=80年代土曜深夜 フジvs日テレvsテレ朝のトップレス戦争 |url=https://www.news-postseven.com/archives/20171018_621282.html?DETAIL |website=NEWSポストセブン |access-date=2023-11-20 |language=ja}}</ref>。
そのような状況の中で日本テレビの「[[EXテレビ]]」は、地上波から¨お色気¨が減っているのではないか?という視聴者の苦情電話をきっかけにテレビにおける裸とは、低俗とは何かというテーマで放送コードに挑戦する企画「低俗の限界」を放送。この回は話題を集め、一度目は好評を得たものの、二度目の放送時は不評に終わった。


そのような状況の中で日本テレビの『[[EXテレビ]]』では、地上波から「お色気」が減っているのではないか?という男性視聴者からの苦情電話をきっかけにテレビにおける裸とは、低俗とは何かというテーマで放送コードに挑戦する企画「低俗の限界」を放送<ref>{{Cite web |title=全裸のAV女優が多数登場……「低俗の限界」に挑んだ伝説の企画とは? |url=https://www.excite.co.jp/news/article/E1488967226654/ |website=エキサイトニュース |date=2017-03-14 |access-date=2023-11-20 |language=ja}}</ref>。この回は話題を集め好評を得たものの、最終的には不評に終わる結果となった。
1980年代後半以降は成人女性をターゲットにした深夜番組もたくさん制作されるようになる。


=== 女性向け深夜番組の台頭 ===
[[1991年]]に女性向けのお色気バラエティ番組として[[TXN|テレビ東京]]の「[[ギルガメッシュないと|ギルガメッシュNIGHT]]」が放送開始<ref>{{Cite book|和書 |title=日本民間放送年鑑 |year=1994年 |publisher=日本民間放送連盟 |page=50}}</ref>。しばらく休止状態に陥っていた深夜のお色気路線を復活させ、人気番組となった。この影響を受けて各局も女性視聴者をターゲットとした類似番組を制作するようになったが、ギルガメの1人勝ち状態であり、他の番組は人気を長く維持できず数年で打ち切られた。最終的にはギルガメッシュNIGHTも番組人気低迷と共に終了し、後述するように短期間で終わる結果となった。
1980年代後半以降、深夜番組のチャンネル権は主に10代後半から30代の女性層が握るようになり、このため民放各局の制作陣たちも女性が強くなった世相にマッチした、成人女性をターゲットとした深夜番組を制作するようになる。


[[1991年]]に女性向けのお色気バラエティ番組としてテレビ東京の『[[ギルガメッシュないと|ギルガメッシュNIGHT]]』が放送開始<ref>{{Cite book|和書 |title=日本民間放送年鑑 |year=1994 |publisher=日本民間放送連盟 |page=50}}</ref>。しばらく休止状態に陥っていた深夜のお色気路線を復活させ、人気番組となった。この影響を受けて各局も女性視聴者をターゲットとした「[[トゥナイト2]]」、「[[ロバの耳そうじ]]」、「[[BiKiNi]]」、「[[アルテミッシュNIGHT]]」、「[[ワンダフル (テレビ番組)|ワンダフル]]」といった類似番組を放送するようになったが、事実上、『ギルガメ』の1人勝ち状態であり、他の番組は人気を長く維持できず数年で打ち切られた。最終的には『ギルガメッシュNIGHT』もマンネリ化と共に終了し、後述するように深夜のお色気人気は短期間で終わった。
2000年代以降は[[全国独立放送協議会|独立局]]をはじめとする[[ローカル局]]や[[衛星放送|BS、CS]]で製作・放送される事例が多くなり、地上波での放送が減少した一方でインターネットテレビでの製作は盛んとなる状況が続いた。


==== 地上波でのお色気番組の縮小 ====
放送局別に見ると[[TBSテレビ|TBS]]とフジテレビには歴史的にも放映例が少なく特に[[日本放送協会|NHK]]は[[公共放送]]としての使命上皆無とならざるを得ない。ワイドショー形式の全国ネット番組が特にそうである。若干は存在するが、TBSではこの種の番組を全国ネットしようとすると準キー局・[[朝日放送テレビ|朝日放送]](ABC)と[[毎日放送]](MBS)にネット受けを拒否されるケースがあり、実際にそれを理由とした[[打ち切り]]も起こるなど他局に比べて短命であった。{{Main|高橋信三#エログロ排除路線}}レジャー情報・事件、さらには政治・経済等を含む時事問題などをも取り上げ、硬軟・清濁を織り交ぜた番組は1960年代から1990年代こそ多かったが2000年代後半以降では皆無である。1990年代までは男女共に[[裸]]も放送されていたものの、2000年代頃からは地上波では[[水着]]が限界となっている。女性の場合、その水着でさえも[[批評]]を受ける状況にあり、内容の過激さは年々失われている。
放送局別に見ると[[TBSテレビ|TBS]]とフジテレビには歴史的にも放映例が少なく特に[[日本放送協会|NHK]]は[[公共放送]]としての使命上皆無とならざるを得ない。ワイドショー形式の全国ネット番組が特にそうである。若干は存在するが、TBSではこの種の番組を全国ネットしようとすると準キー局・[[朝日放送テレビ|朝日放送]](ABC)と[[毎日放送]](MBS)にネット受けを拒否されるケースがあり、実際にそれを理由とした[[打ち切り]]も起こるなど他局に比べて短命であった。{{Main|高橋信三#エログロ排除路線}}レジャー情報・事件、さらには政治・経済等を含む時事問題などをも取り上げ、硬軟・清濁を織り交ぜた番組は1960年代から1990年代こそ多かったが2000年代後半以降では皆無である。1990年代までは男女共に[[裸]]も放送されていたものの、2000年代頃からは地上波では[[水着]]が限界となっている。女性の場合、その水着でさえも[[批評]]を受ける状況にあり、内容の過激さは年々失われている。


このような状況になったのは、様々な理由が挙げられる。
このような状況になったのは、様々な理由が挙げられる。


* 1980年代後半から1990年代にかけて[[テレビゲーム]]やビデオデッキの普及またはレンタルビデオ店の拡大によってそれまで深夜のテレビ番組を好んでいた男性層が[[アダルトビデオ]]などの[[アダルトコンテンツ]]に流れ、お色気番組の視聴率低下・スポンサー減少・マンネリ化が進んだこと。またビデオデッキで番組を録画して視聴した場合も視聴率を下げる原因となった。(当時は録画は視聴率に反映されなかった)
* 1980年代後半から1990年代にかけて[[テレビゲーム]]やビデオデッキの普及またはレンタルビデオ店の拡大によってそれまで深夜のテレビ番組を好んでいた男性層が[[アダルトビデオ]]などの[[アダルトコンテンツ]]に流れ、お色気番組の視聴率低下・スポンサー減少・マンネリ化が進んだこと。またビデオデッキで番組を録画して視聴した場合も視聴率を下げる原因となった。
* [[東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件]]や[[神戸連続児童殺傷事件]]などの[[神戸連続児童殺傷事件|少年犯罪]]が相次いで発生(年間215,629件)し、お色気番組自体が視聴者に直接的な影響を与えているわけではないものの「'''性的・暴力的な映像が青少年に悪影響を与えるのではないか'''」として対策を検討された事や未成年の生活習慣などの変化によるもの。
* [[東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件]]や[[神戸連続児童殺傷事件]]などの[[神戸連続児童殺傷事件|少年犯罪]]が相次いで発生年間215,629件し、お色気番組自体が視聴者に直接的な影響を与えているわけではないものの「'''性的・暴力的な映像が青少年に悪影響を与えるのではないか'''」として対策を検討された事や未成年の生活習慣などの変化によるもの<ref>{{Cite web |title=青少年とテレビ、ゲーム等に係る暴力性に関する調査研究の概要 |url=https://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/tv/tv.htm |website=www8.cao.go.jp |access-date=2023-11-19}}</ref>
* 1997年にテレビアニメ[[新世紀エヴァンゲリオン]]がテレビ東京の深夜帯において数度再放送され、深夜帯としては驚異的な数字を叩き出し、大ヒットを記録した。本作品以降も[[首都圏 (日本)|首都圏]]で深夜を中心にアニメ放送が急増した。このような影響によって「'''深夜=お色気'''」→「'''深夜=アニメ'''」という時代へシフトしていった。
* 1997年にテレビアニメ[[新世紀エヴァンゲリオン]]がテレビ東京の深夜帯において数度再放送され、深夜帯としては驚異的な数字を叩き出し、大ヒットを記録した。本作品以降も[[首都圏 (日本)|首都圏]]で深夜を中心にアニメ放送が急増した。このような影響によって「'''深夜=お色気'''」→「'''深夜=アニメ'''」という時代へシフトしていった。
* 1990年代以降、女性の社会進出が増え、女性優位的な社会となり、テレビも女性向けの番組([[F1層]]など)が増加した。「女性に人気」といった語句を並べて放送したり、スタジオの観覧客をすべて若い女性のみにするなど女性視聴者をターゲットにした番組がゴールデンタイムや深夜番組でも主流になった。このような風潮から、かつての男性視聴者向け(お色気番組)や総合的な芸能番組が好まれなくなり、次第に男性層もテレビから離れる結果となった。
* 1990年代以降、女性の社会進出が増え、女性優位的な社会となり、テレビも女性向けの番組[[F1層]]などが増加した。「女性に人気」といった語句を並べて放送したり、スタジオの観覧客をすべて若い女性のみにするなど女性視聴者をターゲットにした番組がゴールデンタイムや深夜番組でも主流になった。このような風潮から、かつてのお色気路線や総合的な芸能番組が好まれなくなり、次第に男性層もテレビから離れる結果となった。
* 1998年からは[[映画のレイティングシステム]]('''R-15指定、R-18指定、PG-12指定''')が導入され、性的描写だけでなく暴力や殺人などの反社会的行為に関する描写も重要な判断要素の1つとされた。
* 1998年からは[[映画のレイティングシステム]]'''R-15指定、R-18指定、PG-12指定'''が導入され、性的描写だけでなく暴力や殺人などの反社会的行為に関する描写も重要な判断要素の1つとされた。


=== 2000年代のCS衛星放送 ===
=== 2000年代のCS衛星放送 ===
2000年代後半頃からは[[スカパー!]]などの衛星放送で、お色気・アダルト内容の番組を扱うチャンネルが新設されており、2010年代以降、そのテイストはCS専門局やウェブ配信番組に移行している<ref>{{Cite web|和書|title=パンチラ、おっぱいの揉み合い、ブラジリアンワックス!――過激な内容でもオイシイ現場!? AbemaTVとグラドルの関係|url=https://www.premiumcyzo.com/modules/member/2018/09/post_8753/|website=サイゾーpremium|accessdate=2019-05-10|publisher=|date=2018.09.30}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=ネット版『モヤさま』でグラドル大暴れ 火花バチバチのセクシーアピール合戦で男性スタッフを悩殺|url=https://www.menscyzo.com/2019/04/post_96582.html|website=メンズサイゾー|accessdate=2019-05-10|language=ja|publisher=|date=2019.04.16}}</ref>。
[[2000年代]]以降は[[全国独立放送協議会|独立局]]をはじめとする[[ローカル局]]や[[衛星放送|BS、CS]]で製作・放送される事例が多くなり、地上波での放送が減少した一方でインターネットテレビでの製作は盛んとなる状況が続いた。後半頃からは[[スカパー!]]などの衛星放送で、お色気・アダルト内容の番組を扱うチャンネルが新設されており、[[2010年代]]以降、そのテイストはCS専門局やウェブ配信番組に移行している<ref>{{Cite web|和書|title=パンチラ、おっぱいの揉み合い、ブラジリアンワックス!――過激な内容でもオイシイ現場!? AbemaTVとグラドルの関係|url=https://www.premiumcyzo.com/modules/member/2018/09/post_8753/|website=サイゾーpremium|accessdate=2019-05-10|publisher=|date=2018-09-30}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=ネット版『モヤさま』でグラドル大暴れ! 火花バチバチのセクシーアピール合戦で男性スタッフを悩殺|url=https://www.menscyzo.com/2019/04/post_96582.html|website=メンズサイゾー|accessdate=2019-05-10|language=ja|publisher=|date=2019-04-16}}</ref>。


中でも[[パラダイステレビ]]の[[24時間テレビ エロは地球を救う#おっぱい募金|おっぱい募金]]([[24時間テレビ エロは地球を救う]])」は、東京スポーツが公開した動画の再生回数が2本で80万回を突破し、日本のみならずアメリカ・韓国・台湾・フィリピン・シンガポール・カナダ・ロシアなど海外のニュースでも報道された<ref>https://www.excite.co.jp/news/article/TokyoSports_36956/ {{リンク切れ|date=2023-3}}</ref>。当初はイベント自体もあまり知名度がなく参加者も多くはなかったが、近年のインターネットのニュースサイト・SNSなどで当企画が取り上げられ、外国人の募金者や成人女性も多く参加するなどイベントへの参加者が急増した。第13回(2015)では来場者数7175人と過去最多記録を更新した<ref>{{Cite web|和書|title=「おっぱい募金」来場者7000人突破!600万円以上集める |url=https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/141577 |website=東スポWEB |date=2015-12-06 |access-date=2023-02-10 |language=ja}}</ref>。
[[パラダイステレビ]]の[[24時間テレビ エロは地球を救う#おっぱい募金|おっぱい募金]][[24時間テレビ エロは地球を救う]])』は、東京スポーツが公開した動画の再生回数が2本で80万回を突破し、日本のみならずアメリカ・韓国・台湾・フィリピン・シンガポール・カナダ・ロシアなど海外のニュースでも報道された<ref>https://www.excite.co.jp/news/article/TokyoSports_36956/ {{リンク切れ|date=2023-03}}</ref>。当初はイベント自体もあまり知名度がなく参加者も多くはなかったが、近年のインターネットのニュースサイト・SNSなどで当企画が取り上げられ、外国人の募金者や成人女性も多く参加するなどイベントへの参加者が急増した。第13回(2015では来場者数7175人と過去最多記録を更新した<ref>{{Cite web|和書|title=「おっぱい募金」来場者7000人突破!600万円以上集める |url=https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/141577 |website=東スポWEB |date=2015-12-06 |access-date=2023-02-10 |language=ja}}</ref>。


[[BSスカパー!]]で放送された[[徳井義実のチャックおろさせて〜や]]はスカパー!加入者限定の特別番組にもかかわらず大人気番組となり、[[動画共有サービス]]「[[YouTube]]」にも投稿されたことで、スカパーに加入していない視聴者にも好評を得た<ref>{{Cite web|和書|title=地上派では絶対放送不可能 伝説のお色気番組・スカパー『徳井義実のチャックおろさせて夏の催し』が一夜限りの復活! (2013年7月18日) |url=https://www.excite.co.jp/news/article/Shueishapn_20130718_20521/ |website=エキサイトニュース |access-date=2023-02-10 |language=ja}}</ref>。この番組の影響で海外のバラエティ番組に招待された出演者もいるなど、2010年代に最も人気を獲得したお色気番組となった。[[BAZOOKA!!!]]の「[[おっぱい]]スペシャル」もレギュラー企画となり人気を集めた<ref>{{Cite web|和書|title=禁断の企画再び スカパーで「お◯ぱいコレクション2015」生放送 (2015年3月9日) |url=https://www.excite.co.jp/news/article/Kai_you_14229/ |website=エキサイトニュース |access-date=2023-02-10 |language=ja}}</ref>。これらの番組も一部アダルトチャンネルを除けば、コンプライアンスが叫ばれる2010年代後半に終了している。
[[BSスカパー!]]で放送された[[徳井義実のチャックおろさせて〜や]]はスカパー!加入者限定の特別番組にもかかわらず大人気番組となり、[[動画共有サービス]]「[[YouTube]]」にも投稿されたことで、スカパーに加入していない視聴者にも好評を得た<ref>{{Cite web|和書|title=地上派では絶対放送不可能! 伝説のお色気番組・スカパー!『徳井義実のチャックおろさせて-夏の催し-』が一夜限りの復活!(2013年7月18日 |url=https://www.excite.co.jp/news/article/Shueishapn_20130718_20521/ |website=エキサイトニュース |access-date=2023-02-10 |language=ja}}</ref>。この番組の影響で海外のバラエティ番組に招待された出演者もいるなど、2010年代に最も人気を獲得したお色気番組となった。[[BAZOOKA!!!]]の「[[おっぱい]]スペシャル」もレギュラー企画となり人気を集めた<ref>{{Cite web|和書|title=禁断の企画再び! スカパーで「お◯ぱいコレクション2015」生放送(2015年3月9日 |url=https://www.excite.co.jp/news/article/Kai_you_14229/ |website=エキサイトニュース |access-date=2023-02-10 |language=ja}}</ref>。これらの番組も一部アダルトチャンネルを除いて2010年代後半に終了している。


またこの時期には[[AV女優]]のテレビ進出・[[タレント|タレント化]]もあり、前述の状況と相反し、お色気番組に限らず、AV女優や風俗嬢などが[[深夜番組]]に出演するのは珍しいことではなくなっている(例として[[恵比寿マスカッツ]]出演の『[[おねがい!マスカット]]』シリーズなど<ref group="注">AV女優が出演しても裸になることは皆無である。『[[ゴッドタンの企画|ゴッドタン]]』のエロ系企画なども含め、この時期のAV女優は演技力やアドリブ力から起用されることが増加した。</ref>)。地上波でエロネタ・下ネタが取り上げられる事はほぼ皆無になったが、時代に逆行する形で、[[東京メトロポリタンテレビジョン|TOKYO MX]]の[[5時に夢中!]]ではエロネタ・下ネタが取り上げられている。特に月曜と木曜がそうであり、時には批判を浴びることもある。
またこの時期には[[AV女優]]のテレビ進出・[[タレント|タレント化]]もあり、前述の状況と相反し、お色気番組に限らず、AV女優や風俗嬢などが[[深夜番組]]に出演するのは珍しいことではなくなっている(例として[[恵比寿マスカッツ]]出演の『[[おねがい!マスカット]]』シリーズなど<ref group="注">AV女優が出演しても裸になることは皆無である。『[[ゴッドタン]]』「[[ゴッドタンの企画|エロ系企画]]」なども含め、この時期のAV女優は演技力やアドリブ力から起用されることが増加した。</ref>)。地上波でエロネタ・下ネタが取り上げられる事はほぼ皆無になったが、時代に逆行する形で、[[東京メトロポリタンテレビジョン|TOKYO MX]]の[[5時に夢中!]]ではエロネタ・下ネタが取り上げられている。特に月曜と木曜がそうであり、時には批判を浴びることもある。


=== 配信番組への進出 ===
=== 配信番組への進出 ===
2010年代後半には[[AbemaTV]]でかつての深夜お色気番組の風合いを持つ『[[土曜の夜は尻上がり!「ピーチゃんねる」|ピーチゃんねる]]』、『[[妄想マンデー]]』が配信開始<ref name=":0">{{Cite web|和書|title=初代MC・綾部祐二もサプライズ出演「妄想マンデー」終了に“妄マン”ロス嘆く声も (1/2) {{!}} 芸能ニュースならザテレビジョン|url=https://thetv.jp/news/detail/152062/|website=ザテレビジョン|accessdate=2020-12-21|language=ja|last=ザテレビジョン|publisher=|date=2018/06/27}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=AbemaTVの2大セクシー番組がコラボ『ビンカン学校』7・22、24放送|url=https://www.tvlife.jp/entame/130050|website=TV LIFE web|accessdate=2020-12-21|language=ja|publisher=|date=20170719}}</ref>。これらが終了した<ref name=":0" /> 2020年代に入ると、[[アダルトビデオメーカー]]自らがバラエティ番組を制作する『[[聖ファレノ女学院|聖ファレノ女学園]]』、『[[カチコチTV]]』などの番組がYouTubeなどで配信<ref>{{Cite web|和書|title=三四郎・小宮さらば青春の光・森田、セクシー女優たちに翻弄される“特殊な”記者会見を実施 (1/2) {{!}} 芸能ニュースならザテレビジョン|url=https://thetv.jp/news/detail/1013634/|website=ザテレビジョン|accessdate=2020-12-21|language=ja|last=ザテレビジョン|publisher=|date=2020/12/09}}</ref>。直接的表現を使わない形でAV女優の知名度上昇や、商品販促の導入口として使用している。
2010年代後半には[[AbemaTV]]でかつての深夜お色気番組の風合いを持つ『[[土曜の夜は尻上がり!「ピーチゃんねる」|ピーチゃんねる]]』、『[[妄想マンデー]]』が配信開始<ref name=":0">{{Cite web|和書|title=初代MC・綾部祐二もサプライズ出演!「妄想マンデー」終了に“妄マン”ロス嘆く声も (1/2) {{!}} 芸能ニュースならザテレビジョン|url=https://thetv.jp/news/detail/152062/|website=ザテレビジョン|accessdate=2020-12-21|language=ja|last=ザテレビジョン|publisher=|date=2018-06-27}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=AbemaTVの2大セクシー番組がコラボ!『ビンカン学校』7・22、24放送|url=https://www.tvlife.jp/entame/130050|website=TV LIFE web|accessdate=2020-12-21|language=ja|publisher=|date=2017-07-19}}</ref>。これらが終了した<ref name=":0" />[[2020年代]]に入ると、[[アダルトビデオメーカー]]自らがバラエティ番組を制作する『[[聖ファレノ女学院|聖ファレノ女学園]]』、『[[カチコチTV]]』などの番組がYouTubeなどで配信<ref>{{Cite web|和書|title=三四郎・小宮&さらば青春の光・森田、セクシー女優たちに翻弄される“特殊な”記者会見を実施! (1/2) {{!}} 芸能ニュースならザテレビジョン|url=https://thetv.jp/news/detail/1013634/|website=ザテレビジョン|accessdate=2020-12-21|language=ja|last=ザテレビジョン|publisher=|date=2020-12-09}}</ref>。直接的表現を使わない形でAV女優の知名度上昇や、商品販促の導入口として使用している。


=== 現在のお色気番組 ===
2022年1月にはAV女優が主に所属する芸能事務所「[[バンビプロモーション|ビースター]]」が中心となる形でテレビ埼玉『[[ビビッと!TV]]』が開始される<ref>{{Cite web|和書|title=白石茉莉奈、天使もえ、戸田真琴、本郷愛ら出演者のSNSフォロワー数は100万over!“令和の深夜バラエティ”「ビビッと!TV」放送開始 - music.jpニュース|url=https://music-book.jp/video/news/news/776970|website=music.jp|accessdate=2022-01-09|language=ja|last=エムティーアイ|date=2022年01月08日}}</ref>。
[[2009年]]から[[テレビ埼玉]]で放送されている『[[ビ〜チ9]]』は、スタートから約15年と現在に至るまで放送が継続されている。


[[2013年]][[10月]]からスタートした『[[ケンコバのバコバコナイト]]』は、2021年4月に一度リニューアルされたが、2024年現在、土曜日時代([[サンテレビ土曜深夜アダルトバラエティ枠]])の『[[のりノリ天国]]』の6年半を超え、歴代で最も長く放送されているお色気番組である。
== 海外 ==
海外では性的な内容を含む番組を放送する際には男女共にヌードや性器の露出なども普通に地上波で放映されている。


[[2022年]]1月にはAV女優が主に所属する芸能事務所「[[バンビプロモーション|ビースター]]」が中心となる形で[[テレビ埼玉|テレ玉]]の『[[ビビッと!TV]]』が放送開始<ref>{{Cite web|和書|title=白石茉莉奈、天使もえ、戸田真琴、本郷愛ら出演者のSNSフォロワー数は100万over!“令和の深夜バラエティ”「ビビッと!TV」放送開始 - music.jpニュース|url=https://music-book.jp/video/news/news/776970|website=music.jp|accessdate=2022-01-09|language=ja|last=エムティーアイ|date=2022-01-08}}</ref>。
イギリスでは夜9時以降であれば状況に応じて映像を処理せず番組を放送することが可能であり、80年代から90年代初頭にはイタリアで「[[ねむれナイト コルポグロッソ|コルポグロッソ]]」のような成人向け番組が存在し、2000年代には[[カナダ]]の[[インターネットテレビ]]番組「[[ネイキッドニュース|NAKED NEWS]]」が話題になった。これらの番組は日本のテレビ番組でも紹介されたことがある。


[[2023年]]4月、『[[オールナイトフジコ]]』が放送開始。1991年3月30日に終了した『[[オールナイトフジ]]』以来32年ぶりに復活した<ref>{{Cite web |title=新番組『オールナイトフジコ』が初回から賛否両論でも、フジテレビが「生放送」にこだわる理由(木村 隆志) @moneygendai |url=https://gendai.media/articles/-/109298 |website=マネー現代 |date=2023-04-21 |access-date=2024-04-07 |language=ja}}</ref>。
また海外では「お色気番組」といったジャンル(表現)がないため、通常のバラエティ番組や映画で性的なシーンがあってもポルノ扱いにならないといった事例もある。イギリスで放送されている「[[:en:Naked_Attraction|ネイキッドアトラクション]]」は本来、恋愛バラエティ番組としてスタートしたが、初回放送時に全裸の候補者からデート相手を選ぶといった内容にクレームが殺到し物議を晒した。しかし、これに対してイギリスの放送通信庁である[[Ofcom]](日本の[[放送倫理・番組向上機構|BPO]]に当たる存在)では「体の魅力の本質にせまる番組であり、問題はない」という判断で放送が継続された。

== 海外 ==
海外では性的な内容を含む番組を放送する際には男女共にヌードや性器の露出なども普通に地上波で放映されている。


イギリスでは21時以降であれば状況に応じて映像を処理せず番組を放送することが可能であり、80年代から90年代初頭にはイタリアで『[[ねむれナイト コルポグロッソ|コルポグロッソ]]』のような成人向け番組が存在し、2000年代には[[カナダ]]の[[インターネットテレビ]]番組『[[ネイキッドニュース|NAKED NEWS]]』が話題になった。これらの番組は日本のテレビ番組でも紹介されたことがある。
'''Vチップ'''


また海外では「お色気番組」といったジャンル(表現)がないため、通常のバラエティ番組や映画で性的なシーンがあってもポルノ扱いにならないといった事例もある。イギリスで放送されている『[[:en:Naked_Attraction|ネイキッドアトラクション]]』は本来、恋愛バラエティ番組としてスタートしたが、初回放送時に全裸の候補者からデート相手を選ぶといった内容にクレームが殺到し物議を晒した。しかし、これに対してイギリスの放送通信庁である[[Ofcom]](日本のBPOに当たる存在)では「体の魅力の本質にせまる番組であり、問題はない」という判断で放送が継続された。
[[アメリカ合衆国]]では2000年からテレビに[[Vチップ]]の内蔵が義務付けられている。
=== Vチップ ===
[[アメリカ合衆国|アメリカ]]では2000年からテレビに[[Vチップ]]の内蔵が義務付けられている。


欧米諸国では「'''女性の裸や暴力表現に対する規制'''」が日本より厳しく、テレビに搭載されたVチップによってテレビ番組の暴力シーンや性的シーンを自動的に画面上から消し(映像が自動的に消される)、未成年者による視聴を防ぐ仕組みとなっている。
欧米諸国では「'''女性の裸や暴力表現に対する規制'''」が日本より厳しく、テレビに搭載されたVチップによってテレビ番組の暴力シーンや性的シーンを自動的に画面上から消し映像が自動的に消される、未成年者による視聴を防ぐ仕組みとなっている。


カナダでは1996年頃から正式にVチップ放送が始まり、韓国は2001年から放送番組レーティング制度が放送法に導入されている。一方で、日本では1995年から1998年の間、少年犯罪の多発をきっかけとして放送番組レーティング制度に関する議論より、行政側によるVチップ導入の議論が進められたが継続審議の後、時期尚早として見送られて以降、未だ導入されていない。
カナダでは[[1996年]]頃から正式にVチップ放送が始まり、[[大|韓国]][[2001年]]から放送番組レーティング制度が放送法に導入されている。一方で、日本では[[1995年]]から[[1998年]]の間、少年犯罪の多発をきっかけとして放送番組レーティング制度に関する議論より、行政側によるVチップ導入の議論が進められたが継続審議の後、時期尚早として見送られて以降、未だ導入されていない。


== 放送基準・性表現 ==
== 放送基準・性表現 ==
[[1958年]]度(昭和33年)の日本民間放送連盟による娯楽番組の放送基準は以下の通りである<ref>{{Cite book|和書 |title=日本民間放送連盟放送基準 |date=昭和33年1月21 |year=1958 |publisher=日本民間放送連盟放送基準 |pages=36,37,38,39}}</ref>。
1958年昭和33年)度の日本民間放送連盟による娯楽番組の放送基準は以下の通りである<ref>{{Cite book|和書 |title=日本民間放送連盟放送基準 |date=1958-01-21 |year=1958 |publisher=日本民間放送連盟放送基準 |pages=36,37,38,39}}</ref>。
; 1. 不快な感じをいだかせるような下品・卑わいな表現や言葉は使わない。
; 2. 方言を使うときには、不快な感じを与えないように注意する。
; 3. 不具・疾病・白病など、肉体的・精神的欠陥に触れなければならないときには同じ欠陥に悩む人々の感情を刺激しないように注意する。
; 4. 犯罪の手口を明示または詳説するときには、故意に犯罪を魅力的に表現したり、模倣の意欲を起させたりするような描写はしない。
; 5. 凶器の使用はなるべく少なくし、模倣の動機を与えないようにつとめる。
; 6. 犯罪容疑者の逮捕、尋問方法及び訴訟の手続きや法廷の描写などは、正しく表現する。
; 7. 殺人・拷問・暴力・私刑などの残虐行為、その他肉体的・精神的苦痛を誇大または刺激的に表現しない。
; 8. 婦人および児童の虐待または人身売買を是認するような表現、またはその詳細な描写を避ける。
; 9. 麻薬及び覚せい剤の使用は、医療および悪癖としての表現以外は避ける。
; 10. 心中・自殺・その他、人命を軽視する言動を是認するような取り扱いはしない。古典または芸術作品についても慎重を期する。
; 11. 性犯罪・変態性欲などの取り扱いは避ける。
; 12. 性心理に関する描写または表現は、性に未成熟な視聴者を考慮して慎重に取り扱う。
; 13. 扇情的な接吻や抱擁 、暗示的な姿態や身振りは、出来るだけ避ける。
; 14. 肉体描写、寝室描写など官能的な素材を取り扱うときには、刺激的な表現を避ける。
; 15. 踊手・俳優その他の出演者の動作・舞踊・姿勢・位置などによって卑わい感を起させないように注意する。
; 16. 全裸はたとえシルエットでも避ける。
; 17. 肢体細部の露出または肢体細部をみだりに強調するようなカメラ角度は避ける。
; 18. 視聴者参加番組については、参加の機会を均等にし、広く視聴者一般に及ぶようにつとめる。
; 19. 視聴者参加番組の審査は、出演者の技能に応じて公正を期する。
; 20. 視聴者参加番組は、単に報酬または賞品によって過度に射幸心を刺激することのないように注意する。
; 21. 視聴者参加番組では、参加者・視聴者に対し、礼を失して不快を感じさせることのないように注意する。
; 22. 視聴者参加番組の出演児童に対しては、著しく児童にふさわしくないことはさせない。
; 23. 以上の各項は放送に先立って、参観者に公開する試演・録音・録像の場合にも適用する。
; 24. 以上の放送基準は映画番組にも適用する。特に児童・少年に対する影響を考慮して、素材の選択、および放送時刻に留意する。


当時は娯楽番組と呼称されており、これらの項目を厳守して番組を制作しなければならないとされていた。
'''1.不快な感じをいだかせるような下品・卑わいな表現や言葉は使わない。'''


現在の放送基準(11章・性表現)では以下の通りとなっている<ref>{{Cite web|和書|title=よりよい放送のために {{!}} 一般社団法人 日本民間放送連盟 |url=https://j-ba.or.jp/category/broadcasting/jba101032#hk11 |website=j-ba.or.jp |access-date=2023-02-10}}</ref>。
'''2.方言を使うときには、不快な感じを与えないように注意する。'''


'''3.不具・疾病・白病など、肉体的・精神的欠陥に触れなければならないときには同じ欠陥悩む人々の感刺激しないように注意する。'''
; 性関する事柄、視聴者困惑・嫌悪の感抱かせないように注意する。
; 性感染症や生理衛生に関する事柄は、医学上、衛生学上、正しい知識に基づいて取り扱わなければならない。
; 一般作品はもちろんのこと、たとえ芸術作品でも過度に官能的刺激を与えないように注意する。
; 性的犯罪や変態性欲・性的倒錯を表現する場合は、過度に刺激的であってはならない。
; 性的少数者を取り上げる場合は、その人権に十分配慮する。
; 全裸は原則として取り扱わない。肉体の一部を表現する時は、下品・卑わいの感を与えないように特に注意する。
; 出演者の言葉・動作・姿勢・衣装などによって、卑わいな感じを与えないように注意する。


現在は、[[公序良俗]]的な面やスポンサーとの問題など昨今の風潮からドラマや映画作品ではOKだがバラエティ番組ではNGという傾向がある。ただし、これには絶対的な基準はないため、放送される際の判断はテレビ局などによってそれぞれ異なる。
'''4.犯罪の手口を明示または詳説するときには、故意に犯罪を魅力的に表現したり、模倣の意欲を起させたりするような描写はしない。'''
; バラエティ
: バラエティ番組で女性の裸を放送すると「'''性を売り物や笑いモノにしている'''」・「'''性をふざけて扱っている'''」といったようにドラマ等に比べて批判の対象になりやすいという実情がある。現在ではインターネット上においてアダルトコンテンツ(女性の裸)が飽和状態となっており、ユーザーは自然とそちらに流れていくため、テレビでのお色気ジャンルにはスポンサーが付かず、収益に繋がらない等の理由もある。また近年では男性の裸も批判される事例が増えている。
; ドラマ
: ドラマや映画では、芸術性や露出の必然性を認めて物語・ストーリー上の展開として必要といった判断であえて自粛せずヌードシーンがそのまま放送される場合がある。2023年現在でもテレビ東京の『[[午後のロードショー]]』や過去の[[時代劇]]・映画作品の再放送などでもテレビ局や番組、または放送内容や時間帯によってはあえて隠さないで放送されていることもある。


== クレーム ==
'''5.凶器の使用はなるべく少なくし、模倣の動機を与えないようにつとめる。'''
お色気番組への[[コンプライアンス]]は1960年代頃から[[郵政省]](現:[[総務省]])をはじめ、[[PTA]](日本PTA全国協議会)や[[国会]]([[衆議院]][[予算委員会]])などからも槍玉に上げられるなど問題視されており、青少年不良防止の為の低俗番組追放といった[[表現の自主規制]]介入が行われていた。特にPTAは、1960年代〜1980年代頃までは大きな影響力を持っていた。多くの児童・生徒らが就寝しているはずの深夜23時台以後に生放送されていた番組には性風俗を扱う内容が多く、地上波放送は不特定多数の視聴者が視聴できるメディアであり、たとえ子供であっても番組を観てしまう可能性も高いとして「'''子供らに見せるべき番組ではない'''」と酷評されていた。また[[2012年]]まで行われていた「テレビ番組に関する小中学生と親の意識調査」というアンケートに於いてもお色気番組は[[子供に見せたくない番組]]の常に上位にランキングされていた。


現在ではお色気番組だけでなく、通常のバラエティ番組や女性に限らず男性の裸に対しても非難を受ける場合がある。
'''6.犯罪容疑者の逮捕、尋問方法及び訴訟の手続きや法廷の描写などは、正しく表現する。'''


=== 1960年代 ===
'''7.殺人・拷問・暴力・私刑などの残虐行為、その他肉体的・精神的苦痛を誇大または刺激的に表現しない。'''
1969年、[[相模原市民会館]]で[[日本テレビ]]の『コント55号の裏番組をぶっとばせ!』の収録が行われていた際、教育関係者が野球拳のコーナーを視察し、子供たちもがセリに参加しているのを見て市長にクレームを入れた。以後、市側が会場使用を断った。また放映時に女性タレントの下着を買っている自校生徒を中学校の校長が確認して市側に問題提起した。


=== 1970年代 ===
'''8.婦人および児童の虐待または人身売買を是認するような表現、またはその詳細な描写を避ける。'''
国会では「11PM」<ref>{{Cite book|和書 |title=市民的自由の広がり JCLU 人権と60年 |date=2007-11 |year=2007 |publisher=新評論}}</ref>や「[[23時ショー]]」での"ペチャパイコンクール"、"衝撃!夜の身の上相談"など番組名を挙げて批判が続いた。


[[1971年]]、[[広瀬正雄]][[郵政大臣]]は放送法の番組準則に「暴力とかあるいはわいせつとかいうことを掲げておきますと、放送事業者の反省がもう少し具体的になってくるのじゃないだろうか」と苛立ちを見せた<ref>{{Cite book|和書 |title=政治介入されるテレビ 武器としての放送法 |year=2019 |publisher=株式会社青弓社 |page=21}}</ref>。
'''9.麻薬及び覚せい剤の使用は、医療および悪癖としての表現以外は避ける。'''


こうした世論の高まりに対してNHKと日本民間放送連盟を母体とした放送番組向上委員会(現:BPO)が各テレビ局に意見提言をしたり、[[1970年]]〜[[1971年]]にかけては衆議院逓委員会に「放送に関する小委員会」が設置されて審議されるなど、低俗番組の解決は広く議論されることになる<ref>{{Cite book|和書 |title=メディア・リテラシーの社会史 |date=2005-12 |year=2005 |publisher=(株)青弓社 |page=117}}</ref>。
'''10.心中・自殺・その他、人命を軽視する言動を是認するような取り扱いはしない。古典または芸術作品についても慎重を期する。'''


[[1972年]]、『11PM』など夜のポルノ番組の“ お色気路線 ”について衆議院逓信委員会の放送に関する小委員会に放送番組向上委員長ら参考人4名が招致され、議論が行われた。
'''11.性犯罪・変態性欲などの取り扱いは避ける。'''


[[1975年]]、当時[[日本共産党]]に所属していた政治家の[[宮本顕治]]が『11PM』(日本テレビ系列)・『[[独占!男の時間]]』(東京12チャンネル)に代表される女性の裸体を売りにした番組が多いという現状に憤り「今の商業[[テレビ]]界には女性を軽視した番組、ポルノ番組が満ち溢れている」と批判し、この発言をきっかけにお色気番組追放キャンペーンが展開された。
'''12.性心理に関する描写または表現は、性に未成熟な視聴者を考慮して慎重に取り扱う。'''


=== 1980年代 ===
'''13.扇情的な接吻や抱擁 、暗示的な姿態や身振りは、出来るだけ避ける。'''
[[1985年]]、当時[[内閣総理大臣]]を務めていた[[中曽根康弘|中曽根康弘首相]]が[[性風俗店]]の摘発やお色気番組の規制に力を入れた。


中曽根首相は、国会答弁で「'''まず当面は、郵政省が監督権を持っておるわけでございますから、郵政省の側においてよく民放の諸君とも話をしてもらって、そしていやが上にも自粛してもらうし、その実を上げてもらう。郵政省としてはそれをよくチェックして見て、そして繰り返さないようにこれに警告を発するなり、しかるべき措置をやらしたいと思います'''」と述べ、その後のお色気番組の自粛の遠因になった<ref>{{Cite book|和書 |title=放送中止事件50年 テレビは何を伝えることを拒んだか |date=2005-07 |year=2005 |publisher=花伝社 |pages=49, 50}}</ref><ref>{{Cite book|和書 |title=テレビ番組の 40年 |year=1994 |publisher=日本放送出版協会 |page=371}}</ref>。
'''14.肉体描写、寝室描写など官能的な素材を取り扱うときには、刺激的な表現を避ける。'''


=== 1990年代 ===
'''15.踊手・俳優その他の出演者の動作・舞踊・姿勢・位置などによって卑わい感を起させないように注意する。'''
[[1990年]]、日本テレビで放送されていた深夜番組『[[EXテレビ]]』の火曜日の実験企画として放送した「低俗の限界」が高視聴率を獲得した一方で250本を超える苦情電話が殺到する事態となり、物議を醸した。


[[1993年]]、フジテレビで放送中だった『[[殿様のフェロモン]]』の人気コーナー・快感!ハケ水車が回っているのは誰だ?クイズに対して「'''下品・低俗・不純・公序良俗に反する'''」などといった批判が殺到し、物議を晒した。その後、番組自体も5ヶ月程で終了している<ref>{{Citation|title=ハケ水車 苦情|date=2022-10-07|url=https://www.nicovideo.jp/watch/sm41187085|language=ja|access-date=2024-04-06}}</ref>。
'''16.全裸はたとえシルエットでも避ける。'''


[[1994年]]、[[フジテレビジョン|フジテレビ]]の[[深夜番組]]枠[[JOCX-TV2]]で放送された『[[Mars TV]]』のストリップコーナーに苦情が相次ぎ、番組は打ち切りとなった。
'''17.肢体細部の露出または肢体細部をみだりに強調するようなカメラ角度は避ける。'''


[[1996年]]、日本テレビで放送されていた『[[ロバの耳そうじ]]』において、放送開始当初から低俗番組のレッテルを貼られ、日本PTA全国協議会からは常に「超ワースト番組」と批判を受けていたが、当時日本テレビの社長だった[[氏家齊一郎]]が[[日本民間放送連盟]]の会長も兼務していた<ref>{{Cite web |title=日本テレビ・氏家齊一郎会長が死去 84歳|日テレNEWS NNN |url=https://news.ntv.co.jp/category/society/179601 |website=日テレNEWS NNN |access-date=2024-04-06 |language=ja-JP |last=日本テレビ}}</ref>ため、同年3月をもって番組は終了した。
'''18.視聴者参加番組については、参加の機会を均等にし、広く視聴者一般に及ぶようにつとめる。'''


[[1997年]]に放送がスタートしたフジテレビの深夜番組『[[A女E女]]』の番組内容が俗悪番組とのレッテルを貼られ、「'''あまりにも低俗すぎる'''」との批判を浴びたため、番組は5ヶ月という短命に終わった<ref>{{Cite web |title=90年代伝説のエロ番組「A女E女」とは? |url=https://www.excite.co.jp/news/article/E1474597968559/ |website=エキサイトニュース |date=2016-09-24 |access-date=2024-04-06 |language=ja}}</ref>。
'''19.視聴者参加番組の審査は、出演者の技能に応じて公正を期する。'''


[[1998年]]、テレビ東京の『ギルガメッシュないと』において同年1月に放送された番組内容に対して視聴者から「'''お色気番組として笑って見過ごすことができない'''」との苦情が寄せられた。テレビ東京の放送番組審議会で審議された結果、同年3月をもって番組は終了した<ref>{{Cite web |title=番組審議会 |url=https://web.archive.org/web/20000301214150/http://www.tv-tokyo.co.jp/singik/226.htm |website=web.archive.org |date=2000-03-01 |access-date=2023-11-20}}</ref>。
'''20.視聴者参加番組は、単に報酬または賞品によって過度に射幸心を刺激することのないように注意する。'''


=== 2000年代 ===
'''21.視聴者参加番組では、参加者・視聴者に対し、礼を失して不快を感じさせることのないように注意する。'''
[[2000年]]、テレビ朝日で放送されていた[[ネプチューン (お笑いトリオ)|ネプチューン]]司会の深夜番組『[[おネプ!]]』の人気コーナーだった「祈願成就!出張ネプ投げ」の内容について、放送と青少年に関する委員会(現:BPO)から「'''カメラアングルがのぞきを肯定しているかのようだ'''」との指摘を受けた。また、このコーナーは主に若い女性を対象としていて女性たちの肌や下着が高確率で見えてしまうため、当初から問題になっていた。これに対して局側は当初、「制作側としては、このコーナーはネプチューンと自らの意思で出場する素人との共演コーナーであり、そういう意味において、これが女性蔑視、セクハラにつながるとは考えておりません。」と回答していた<ref>{{Cite web |title=2000年4月 {{!}} BPO {{!}} 放送倫理・番組向上機構 {{!}} |url=https://www.bpo.gr.jp/?p=1651 |website=www.bpo.gr.jp |access-date=2024-04-07}}</ref>が、最終的にコーナーは打ち切りを余儀なくされた。


[[2009年]]、[[サンテレビジョン|サンテレビ]]で放送されていた『[[今夜もハッスル]]』が青少年委員会から「あまりにも低俗すぎる」という厳しい意見が相次いだため、放送倫理・番組向上機構(BPO)が質問状を送った。指摘を受けたサンテレビ側は「外部制作番組とはいえ、社内のチェック体制が甘かったこと、また、番組に関わるスタッフの放送基準に対する意識不足が、結果的に番組の表現・演出をエスカレートさせ、視聴者の苦情・批判を受けることとなってしまいました」と行き過ぎが多いと判断したため、番組の打ち切りが決定した<ref>{{Cite web|和書|title=asahi.com(朝日新聞社):サンテレビ「今夜もハッスル」打ち切り BPO指摘で - テレビ・ラジオ - 映画・音楽・芸能 |url=https://www.asahi.com/showbiz/tv_radio/OSK200906270093.html |website=www.asahi.com |access-date=2023-02-10}}</ref>。以後、同枠は金曜深夜に移動し、サンテレビが制作に関与しない体制となったうえで復活している(現在は[[ケンコバのバコバコナイト]]が放送されている)。
'''22.視聴者参加番組の出演児童に対しては、著しく児童にふさわしくないことはさせない。'''


=== 2010年代 ===
'''23.以上の各項は放送に先立って、参観者に公開する試演・録音・録像の場合にも適用する。'''
[[2016年]]、TBSで放送された『オール芸人お笑い謝肉祭‘16秋』の放送内容について視聴者から「男性が男性の股間を無理やり触る行為などがあった。内容が下品。子供に説明できないような番組はやめてほしい」「浜辺で芸人がローション階段を全裸や下半身露出で滑り落ちるシーンが放送された。裸になれば笑いがとれるという低俗な発想が許しがたい」などの意見が寄せられた<ref>{{Cite web |title=視聴者から「裸になれば笑いがとれるという低俗な発想」と苦情 BPOがTBSバラエティーを審議入り |url=https://www.sanspo.com/article/20161026-OI3TMPFXCROHDGV2FQGOYLNEBY/ |website=サンスポ |date=2016-10-27 |access-date=2024-03-28 |language=ja |first=SANKEI DIGITAL |last=INC}}</ref>。


=== 2020年代 ===
'''24.以上の放送基準は映画番組にも適用する。特に児童・少年に対する影響を考慮して、素材の選択、および放送時刻に留意する。'''
[[2022年]]、本来はお色気番組ではないが日本テレビ『[[午前0時の森]]』のパイロット版の放送内容において「スタジオに水着姿の女性を並べて品定め」、「さまざまなハラスメントがあった非常に不快な内容」といった苦情が多く寄せられた<ref>{{Cite web |title=「午前0時の森」セクハラ発言問題の根底は、テレビ局が「アウト」の境界が分からないこと|SALLiA「トレンドなるままに」 |url=https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geinox/303114 |website=日刊ゲンダイDIGITAL |date=2022-03-29 |access-date=2023-11-20}}</ref><ref>{{Cite web |title=2022年3月に視聴者から寄せられた意見 {{!}} BPO {{!}} 放送倫理・番組向上機構 {{!}} |url=https://www.bpo.gr.jp/?p=11251 |website=www.bpo.gr.jp |access-date=2023-11-20}}</ref>。この事態を受け、生放送でのレギュラー放送スタートが見送られた。

当時は娯楽番組と呼称されており、これらの項目を厳守して番組を制作しなければならないとされていた。

※現在の放送基準(11章・性表現)では以下の通りとなっている<ref>{{Cite web|和書|title=よりよい放送のために {{!}} 一般社団法人 日本民間放送連盟 |url=https://j-ba.or.jp/category/broadcasting/jba101032#hk11 |website=j-ba.or.jp |access-date=2023-02-10}}</ref>。

*'''性に関する事柄は、視聴者に困惑・嫌悪の感じを抱かせないように注意する。'''
*'''性感染症や生理衛生に関する事柄は、医学上、衛生学上、正しい知識に基づいて取り扱わなければならない。'''
*'''一般作品はもちろんのこと、たとえ芸術作品でも過度に官能的刺激を与えないように注意する。'''
*'''性的犯罪や変態性欲・性的倒錯を表現する場合は、過度に刺激的であってはならない。'''
*'''性的少数者を取り上げる場合は、その人権に十分配慮する。'''
*'''全裸は原則として取り扱わない。肉体の一部を表現する時は、下品・卑わいの感を与えないように特に注意する。'''
*'''出演者の言葉・動作・姿勢・衣装などによって、卑わいな感じを与えないように注意する。'''

現在は、[[公序良俗]]的な面やスポンサーとの問題など昨今の風潮からドラマや映画作品ではOKだがバラエティ番組ではNGという傾向がある。ただし、これには絶対的な基準はないため、放送される際の判断はテレビ局などによってそれぞれ異なる。

'''バラエティ'''

バラエティ番組で女性の裸を放送すると「'''性を売り物や笑いモノにしている'''」・「'''性をふざけて扱っている'''」といったようにドラマ等に比べて批判の対象になりやすいという実情がある。現在ではインターネット上においてアダルトコンテンツ(女性の裸)が飽和状態となっており、ユーザーは自然とそちらに流れていくため、テレビでのお色気ジャンルにはスポンサーが付かず、収益に繋がらない等の理由もある。また近年では男性の裸も批判される事例が増えている。

'''ドラマ'''

ドラマや映画では、芸術性や露出の必然性を認めて物語・ストーリー上の展開として必要といった判断であえて自粛せずヌードシーンがそのまま放送される場合がある。2023年現在でも[[テレビ東京]]の「[[午後のロードショー]]」や過去の[[時代劇]]・映画作品の再放送などでもテレビ局や番組、または放送内容や時間帯によってはあえて隠さないで放送されていることもある。

== クレーム ==
[[女性差別|男尊女卑]]的な傾向が強かった昭和の時代に男性向けの番組として人気を博していたため、「女性の裸体を道具のように扱っている」・「女性を見下している」といった批判も当時から多数寄せられており、現在でも世間一般では「[[低俗番組]]」や「[[ミソジニー|女性蔑視]]」などの評価を受けることも多い。お色気番組への[[コンプライアンス]]は1960年代頃から[[郵政省]](現:[[総務省]])をはじめ、[[PTA]]([[日本PTA全国協議会]])や[[国会]]([[衆議院]][[予算委員会]])などからも槍玉に上げられるなど問題視されており、青少年不良防止の為の低俗番組追放といった[[表現の自主規制]]介入が行われていた。

特に[[PTA]]は、1960年代~1980年代頃まで影響力が大きかった。多くの児童・生徒らが就寝しているはずの深夜23時台以後に生放送されていた「[[11PM]]」などの番組には性風俗を扱う内容が多く、地上波放送は不特定多数の視聴者が視聴できるメディアであり、たとえ子供であっても番組を観てしまう可能性も高いとして「'''子供らに見せるべき番組ではない'''」と酷評されていた。また[[2012年]]まで行われていた「テレビ番組に関する小中学生と親の意識調査」というアンケートに於いてもお色気番組は[[子供に見せたくない番組]]の常に上位にランキングされていた。

[[1975年]]、当時[[日本共産党]]に所属していた政治家の[[宮本顕治]]が「[[11PM]]」([[日本テレビ放送網|日本テレビ]]系列)・「[[独占!男の時間]]」([[テレビ東京|東京12チャンネル]])に代表される女性の裸体を売りにした番組が多いという現状に憤り「今の商業[[テレビ]]界には女性を軽視した番組、ポルノ番組が満ち溢れている」と批判し、この発言をきっかけにお色気番組追放キャンペーンが展開された。

[[1980年代]]には当時、[[内閣総理大臣]]を務めていた[[中曽根康弘|中曽根康弘首相]]が[[性風俗店]]の摘発やお色気番組の規制にも力を入れた。

中曽根首相は、国会答弁で「'''まず当面は、郵政省が監督権を持っておるわけでございますから、郵政省の側においてよく民放の諸君とも話をしてもらって、そしていやが上にも自粛してもらうし、その実を上げてもらう。郵政省としてはそれをよくチェックして見て、そして繰り返さないようにこれに警告を発するなり、しかるべき措置をやらしたいと思います。'''」と述べ、その後のお色気番組の自粛の遠因になった<ref>{{Cite book|和書 |title=放送中止事件50年 テレビは何を伝えることを拒んだか |date=2005年7月 |year=2005年 |publisher=花伝社 |pages=49,50}}</ref>。

[[放送倫理・番組向上機構|BPO]]([[放送倫理・番組向上機構]])は、[[1969年]]に放送番組向上委員会という名称で設置された。また同団体は「'''番組を監視して罰するところではなく、あくまでも放送事業者自身が自主的にさまざまな問題を解決していくために視聴者やスポンサーからの苦情・意見を審議する'''」ことが目的であり、直接番組へクレームを入れている訳ではない。

[[2009年]]、[[サンテレビジョン|サンテレビ]]で放送されていた「[[今夜もハッスル]]」が青少年委員会から「あまりにも低俗すぎる」という厳しい意見が相次いだため、放送倫理・番組向上機構(BPO)が質問状を送った。指摘を受けたサンテレビ側は「外部制作番組とはいえ、社内のチェック体制が甘かったこと、また、番組に関わるスタッフの放送基準に対する意識不足が、結果的に番組の表現・演出をエスカレートさせ、視聴者の苦情・批判を受けることとなってしまいました。」と行き過ぎが多いと判断したため、番組の打ち切りが決定した<ref>{{Cite web|和書|title=asahi.com(朝日新聞社):サンテレビ「今夜もハッスル」打ち切り BPO指摘で - テレビ・ラジオ - 映画・音楽・芸能 |url=https://www.asahi.com/showbiz/tv_radio/OSK200906270093.html |website=www.asahi.com |access-date=2023-02-10}}</ref>。


== 代表的なお色気番組 ==
== 代表的なお色気番組 ==
'''日本'''
=== 日本 ===
一般的に有名な番組を中心に記載。

==== 1960年代 ====
'''※一般的に有名な番組を中心に記載。'''
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* [[11PM]]([[日本テレビネットワーク協議会|日本テレビ系列]])
===1960年代===
* [[コント55号の裏番組をぶっとばせ!]](日本テレビ系列)
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* [[11PM]](日本テレビ系列)
* [[コント55号の裏番組をぶっとばせ!]](日本テレビ系列)
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===1970年代===
==== 1970年代 ====
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* [[23時ショー]]([[テレビ朝日|NETテレビ]]系列ほか)
* [[23時ショー]]([[テレビ朝日|NETテレビ]]系列ほか)
* [[独占!男の時間]]([[テレビ東京|東京12チャンネル]])
* [[独占!男の時間]]([[テレビ東京|東京12チャンネル]])
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===1980年代===
==== 1980年代 ====
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* [[トゥナイト (テレビ番組)|トゥナイト]](テレビ朝日系列)
* [[トゥナイト (テレビ番組)|トゥナイト]](テレビ朝日系列)
* [[ミッドナイトin六本木]](テレビ朝日){{Sfn|シロツグ|2013|p=54}}
* [[ミッドナイトin六本木]](テレビ朝日){{Sfn|シロツグ|2013|p=54}}
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* [[サンテレビ土曜深夜アダルトバラエティ枠|土曜深夜アダルトバラエティ枠]]([[サンテレビジョン|サンテレビ]]ほか[[全国独立放送協議会|独立UHF局]])}}
* [[サンテレビ土曜深夜アダルトバラエティ枠|土曜深夜アダルトバラエティ枠]]([[サンテレビジョン|サンテレビ]]ほか[[全国独立放送協議会|独立UHF局]])}}


===1990年代===
==== 1990年代 ====
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* [[トゥナイト2]](テレビ朝日系列)
* [[トゥナイト2]](テレビ朝日系列)
* [[ギルガメッシュないと]](テレビ東京系列){{Sfn|シロツグ|2013|p=55}}
* [[ギルガメッシュないと]](テレビ東京系列){{Sfn|シロツグ|2013|p=55}}
* [[殿様のフェロモン]](フジテレビ){{Sfn|シロツグ|2013|p=56}}
* [[殿様のフェロモン]](フジテレビ){{Sfn|シロツグ|2013|p=56}}
* [[ロバの耳そうじ]]([[日本テレビネットワーク協議会|日本テレビ]])
* [[ロバの耳そうじ]]日本テレビ
* [[A女E女]](フジテレビ系列){{Sfn|シロツグ|2013|p=56}}
* [[A女E女]](フジテレビ系列){{Sfn|シロツグ|2013|p=56}}
* [[平成女学園 (テレビ番組)|平成女学園]](テレビ東京系列)
* [[平成女学園 (テレビ番組)|平成女学園]](テレビ東京系列)
* [[おネプ!]]([[All-nippon News Network|テレビ朝日系列]])}}
* [[おネプ!]][[All-nippon News Network|テレビ朝日系列]]}}


===2000年代===
==== 2000年代 ====
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* [[パラダイステレビ]](CSアダルトチャンネル)
* [[パラダイステレビ]](CSアダルトチャンネル)
* [[Neo Happy系教育テレビ]](テレビ大阪)
* [[Neo Happy系教育テレビ]]([[テレビ大阪]]
* [[淀川★キャデラック]](テレビ大阪)
* [[淀川★キャデラック]]テレビ大阪)
* [[夜美女]](サンテレビ)
* [[夜美女]]サンテレビ
* [[今夜もハッスル]]([[サンテレビ]])
* [[今夜もハッスル]]サンテレビ
* [[ビートたけしの絶対見ちゃいけないTV]]([[TBS系列]])
* [[ビートたけしの絶対見ちゃいけないTV]][[TBS系列]]
* [[ビ〜チ9]](テレビ埼玉)
* [[ビ〜チ9]]([[テレビ埼玉|テレ玉]]
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===2010年代===
==== 2010年代 ====
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* [[徳井義実のチャックおろさせて〜や]]([[BSスカパー!]])
* [[徳井義実のチャックおろさせて〜や]]([[BSスカパー!]])
* [[ケンコバのバコバコテレビ]]([[サンテレビジョン|サンテレビ]]
* [[ケンコバのバコバコテレビ]](サンテレビ)
* Midnight女子会Z(BSスカパー!)
* Midnight女子会Z(BSスカパー!)
* [[土曜の夜は尻上がり!「ピーチゃんねる」]]([[AbemaTV]])
* [[土曜の夜は尻上がり!「ピーチゃんねる」]][[AbemaTV]]
* [[男のザップ 生イキ! ジャンポケクルーズ]](BSスカパー!)
* [[男のザップ 生イキ! ジャンポケクルーズ]](BSスカパー!)
* [[妄想マンデー]](AbemaTV)<ref>{{Cite web|和書|title=男性ウケお色気番組受難の時代 独自路線の深夜バラエティーは生き残れるか – 東京スポーツ新聞社|url=https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/78652|website=東スポWeb – 東京スポーツ新聞社|accessdate=2019-05-11|language=ja|publisher=|date=20180402}}</ref>
* [[妄想マンデー]](AbemaTV)<ref>{{Cite web|和書|title=男性ウケお色気番組受難の時代 独自路線の深夜バラエティーは生き残れるか – 東京スポーツ新聞社|url=https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/78652|website=東スポWeb – 東京スポーツ新聞社|accessdate=2019-05-11|language=ja|publisher=|date=2018-04-02}}</ref>
* [[DTテレビ]](AbemaTV)
* [[DTテレビ]](AbemaTV)
* [[もう!バカリズムさんのドH!|もう!バカリズムさんのH! → もう!バカリズムさんのドH!]]([[NOTTV]]) → もう!バカリズムさんの超H!([[フジテレビONE]])
* [[もう!バカリズムさんのドH!|もう!バカリズムさんのH! → もう!バカリズムさんのドH!]]([[NOTTV]]) → もう!バカリズムさんの超H!([[フジテレビONE]])
* [[桃色ゲームチャンネル]]([[AbemaTV]])
* [[桃色ゲームチャンネル]](AbemaTV)
* [[チャンスの時間]](AbemaTV)コーナーにより下ネタ色がある
* [[チャンスの時間]](AbemaTV) コーナーにより下ネタ色がある
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===2020年代===
==== 2020年代 ====
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* [[オールナイトフジコ]](フジテレビ)
* [[聖ファレノ女学院]]([[YouTube]])
* [[聖ファレノ女学院]]([[YouTube]])
* [[カチコチTV]]([[FANZA]]見放題ch)
* [[カチコチTV]]([[FANZA]]見放題ch)
* [[ケンコバのバコバコテレビ|ケンコバのバコバコナイト]]([[サンテレビジョン|サンテレビ]]ほか[[全国独立放送協議会|独立UHF局]])※改名リニューアル
* [[ケンコバのバコバコテレビ|ケンコバのバコバコナイト]](サンテレビほか独立UHF局) ※改名&リニューアル
* [[グラパー!ボクとおやすみ前のグラドルたち]]([[BSスカパー]]
* [[グラパー!ボクとおやすみ前のグラドルたち]](BSスカパー!
* [[どぶろっくと山岸逢花の #やらかしジャッジメント]](CS・[[刺激ストロングチャンネル]])
* [[どぶろっくと山岸逢花の #やらかしジャッジメント]](CS・[[刺激ストロングチャンネル]])
* [[ビビッと!TV]](テレビ埼玉)
* [[ビビッと!TV]](テレビ埼玉)
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'''海外'''
=== 海外 ===

* [[ねむれナイト コルポグロッソ]]
* [[ねむれナイト コルポグロッソ]]


== その他 ==
== その他 ==
* テレビ東京系列で放送されていた『[[マスカットシリーズ]]』は[[AV女優]]・[[グラビアアイドル]]などが出演しているのもあってお色気番組と誤解される事があるが、実際は「『[[夕やけニャンニャン]]』の深夜版」として企画された<ref>{{Cite web|和書|title=永遠の青春!輝け、深夜のお色気バラエティ |url=https://allabout.co.jp/gm/gc/202276/ |website=[お笑い・バラエティ] All About |access-date=2023-02-10 |language=ja}}</ref>通常のバラエティ番組であり、[[恵比寿マスカッツ]]自体も[[アイドル]]として売り出されたため事実上、アイドルの[[バラエティ番組|冠番組]]といった感覚に近い。

* [[テレビ東京]]系列で放送されていた[[マスカットシリーズ]]は[[AV女優]]・[[グラビアアイドル]]などが出演しているのもあってお色気番組と誤解される事があるが、実際は「[[夕やけニャンニャン]]の深夜版」として企画された<ref>{{Cite web|和書|title=永遠の青春!輝け、深夜のお色気バラエティ |url=https://allabout.co.jp/gm/gc/202276/ |website=[お笑い・バラエティ] All About |access-date=2023-02-10 |language=ja}}</ref>通常のバラエティ番組であり、[[恵比寿マスカッツ]]自体も[[アイドル]]として売り出されたため事実上、アイドルの[[バラエティ番組|冠番組]]といった感覚に近い。
* お色気番組が自粛された要因の1つにAV女優のタレント化が挙げられる。従来型のセクシーさで地上波進出しなくてもタレント・ファッション・モデル・アイドル・海外進出など他の活動での人気と活躍が出来ていれば売り上げに貢献できるため、コンプライアンスや肖像権などの観点で難しいとされているお色気番組を制作する必要はないのではないかとされている。
* お色気番組が自粛された要因の1つにAV女優のタレント化が挙げられる。従来型のセクシーさで地上波進出しなくてもタレント・ファッション・モデル・アイドル・海外進出など他の活動での人気と活躍が出来ていれば売り上げに貢献できるため、コンプライアンスや肖像権などの観点で難しいとされているお色気番組を制作する必要はないのではないかとされている。
* お色気バラエティ番組を放送する際、キャスティングされるのは主にAV女優やグラビアアイドルといったセクシータレントである。特にAV女優の場合は、入れ替わりが激しい業界であるため、番組出演時は現役でも番組終了時には引退しているというケースも多い。そのため、当時の出演者に連絡が取れない場合や個人情報などの関係で番組の二次利用・再放送が不可能となってしまうことがある。
* お色気バラエティ番組を放送する際、キャスティングされるのは主にAV女優やグラビアアイドルといったセクシータレントである。特にAV女優の場合は、入れ替わりが激しい業界であるため、番組出演時は現役でも番組終了時には引退しているというケースも多い。そのため、当時の出演者に連絡が取れない場合や個人情報などの関係で番組の二次利用・再放送が不可能となってしまうことがある。
*2000年代以降はインターネットメディアの普及や視聴者(ファン)にも個人主義が進みテレビ離れなどによって次第に「'''テレビでのお色気番組'''」の影響力・需要は低下していったため、[[インターネットテレビ|動画配信サービス]]や[[インターネットテレビ]]等に移行するようになった。そのため必ずしも自主規制お色気番組が減少したとは限らない。
*2000年代以降はインターネットメディアの普及や視聴者ファンにも個人主義が進みテレビ離れなどによって次第に「'''テレビでのお色気番組'''」の影響力・需要は低下していったため、[[インターネットテレビ|動画配信サービス]]や[[インターネットテレビ]]等に移行するようになった。そのため必ずしも自主規制=お色気番組が減少したとは限らない。


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
* {{Cite journal|和書|author = シロツグケンイチ|date = 2013-05-10|title = BPOにモノ申す! オレたち、やっぱり地上波で裸が見たい!! 伝説の『TVエロ企画』30年史|journal = CIRCUS MAX|volume = 6|issue = 第3号(平成25年6月号)|pages = 54-57|publisher = [[ベストセラーズ]]|id = {{全国書誌番号|01022562}}|ref={{SfnRef|シロツグ|2013}} }}
* {{Cite journal|和書|author = シロツグケンイチ|date = 2013-05-10|title = BPOにモノ申す! オレたち、やっぱり地上波で裸が見たい!! 伝説の『TVエロ企画』30年史|journal = CIRCUS MAX|volume = 6|issue = 第3号(平成25年6月号)|pages = 54 - 57|publisher = [[ベストセラーズ]]|id = {{全国書誌番号|01022562}}|ref={{SfnRef|シロツグ|2013}} }}
*そもそもなんでダメなんだっけ?<ref>{{Citation|title=スペシャル座談会「昔はテレビでおっぱい出してたし、電車でタバコも吸えたよね」小沢柴田が指原にレクチ...|テレ東プラス|last=Corporation|first=株式会社テレビ東京-TV TOKYO|url=https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/entertainment/entry/2019/020883.html|language=ja|access-date=2023-02-10}}</ref>」(テレビ東京) - 2019年12月30日 / お色気番組の規制について取り上げられた。
*そもそもなんでダメなんだっけ?<ref>{{Citation|title=スペシャル座談会「昔はテレビでおっぱい出してたし、電車でタバコも吸えたよね」小沢&柴田が指原にレクチ...|テレ東プラス|last=Corporation|first=株式会社テレビ東京-TV TOKYO|url=https://www.tv-tokyo.co.jp/plus/entertainment/entry/2019/020883.html|language=ja|access-date=2023-02-10}}</ref>』(テレビ東京 - 2019年12月30日放送。お色気番組の規制について取り上げられた。


== 脚注 ==
== 脚注 ==
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=== 注釈 ===
=== 注釈 ===
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=== 出典 ===
=== 出典 ===
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== 関連文献 ==
== 関連文献 ==
* {{Cite book|和書|editor=佐野亨|title=【昭和・平成】お色気番組グラフィティ|publisher=河出書房新社|date=2014|isbn=978-4-309-27502-4}}
* {{Cite book|和書|editor=佐野亨|title=【昭和・平成】お色気番組グラフィティ|publisher=河出書房新社|year=2014|isbn=978-4-309-27502-4}}
* {{Cite book|和書|title=日本昭和エロ大全|publisher=辰巳出版|date=2020|isbn=978-4777825721}}
* {{Cite book|和書|title=日本昭和エロ大全|publisher=辰巳出版|year=2020|isbn=978-4777825721}}


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[表現の自由]]
* [[表現の自由]]
* [[お色気シーン]]
* [[サービスカット]](お色気シーン
* [[バラエティ番組]]
* [[バラエティ番組]]
* [[低俗番組]]
* [[低俗番組]]

2024年7月20日 (土) 08:37時点における版

お色気番組(おいろけばんぐみ)とは、下ネタや性的な描写、いわゆるお色気を扱ったテレビ番組。ラジオ番組、配信番組などを含むこともある。

お色気コーナー濡れ場サービスカットなどを含むバラエティやドラマ・映画作品を指すこともあるが、本項では主にバラエティ番組を中心に記述している。主に深夜番組の枠で放送され、「エロ番組」と表現されることもある。

現在でもお色気番組の制作・放送は可能であり、時代に合わせた表現を用いて継続されている。

概要

番組放映当時は、通常の情報番組やバラエティー番組として放送されていたが1990年代以降、このような番組が地上波から減少していったため、視聴者やメディアからこのような名称で呼ばれるようになった。

なお現在でも「深夜番組=お色気番組」と捉えている視聴者も少なからずいる。

地上波における放送基準は1958年に制定され、しばらくラジオとテレビの2本立ての期間が続いていたが、1970年に一本化されて「日本民間放送連盟 放送基準」となった。1969年には現在のBPO(放送倫理・番組向上機構)の前身である「放送番組向上委員会」が設置され[1]、その当時から性を扱う娯楽番組への風当たりは強かった。

1950年代後半、テレビの普及を受けて「低俗番組」批判が起こり、それとともに放送制度の見直し論が広がった[2]

1960年代初頭に放送されたフジテレビの『ピンクムードショウ』では毎回、ヌードダンサーが出演していたが乳房露出が多かったため、「低俗」・「卑猥だ」といった批判が殺到し、4回目の放送からはヌードは自粛された例がある(後に番組も終了)[3]。他にも日本テレビの『コント55号の裏番組をぶっとばせ!』がゴールデンタイムにお色気要素を持ちこんだことで視聴者からの苦情が相次ぎ、学校などでは生徒が教師から番組を観ないよう注意を受けることもあり、番組は1年間で打ち切られている[4]。またお笑い番組『8時だョ!全員集合』は、日本PTA全国協議会が「低俗テレビ番組を野放しにできない」として放送中止をTBSと番組スポンサーに求めてチャンネルの切り替え運動や商品の不買運動までちらつかせ、加藤茶の「ちょっとだけよ〜。あんたも好きねぇ〜」がストリップを連想させるギャグとして槍玉に挙げられた[5]

男性向け深夜番組の全盛

放映される時間帯は、一部はプライムタイム(22時台など。中には昼過ぎに放送されたものもある)以前の時間帯に放送されるケースもあるが、深夜帯を主とする。本来、深夜は不毛の時間帯と言われていたが、1965年に放送を開始した『11PM』が人気を博し、視聴率不毛時間帯の開拓に成功を成し遂げた。また1980年代までの日本は男性優位的な社会(男は仕事、女は家庭という性別役割分担をベースとしていた時代)だったこともあり、視聴率稼ぎのために成人男性をターゲットにしたお色気番組や男性視聴者向けの番組も多く放送されていたという実情がある。

1984年、フジテレビの『オールナイトフジ』が深夜番組としては驚異的な視聴率を獲得し、他局も同様の番組を土曜深夜に放送し、視聴率争いが繰り広げられた。アダルトビデオやインターネットなどが普及していなかった時代において男性視聴者を中心に人気を博した。しかし、これが要因となり、1985年に当時放送中だった日本テレビの『TV海賊チャンネル』・テレビ朝日の『ミッドナイトin六本木』・テレビ東京の『夜はエキサイティング』の3本がスタート当初から各方面の批判の的にもなっていたこともあって放送打ち切りとなり、以後、各局は深夜番組の「脱・お色気」の風潮が高まるようになった[6][7]

そのような状況の中で日本テレビの『EXテレビ』では、地上波から「お色気」が減っているのではないか?という男性視聴者からの苦情電話をきっかけにテレビにおける裸とは、低俗とは何かというテーマで放送コードに挑戦する企画「低俗の限界」を放送[8]。この回は話題を集め好評を得たものの、最終的には不評に終わる結果となった。

女性向け深夜番組の台頭

1980年代後半以降、深夜番組のチャンネル権は主に10代後半から30代の女性層が握るようになり、このため民放各局の制作陣たちも女性が強くなった世相にマッチした、成人女性をターゲットとした深夜番組を制作するようになる。

1991年に女性向けのお色気バラエティ番組としてテレビ東京の『ギルガメッシュNIGHT』が放送開始[9]。しばらく休止状態に陥っていた深夜のお色気路線を復活させ、人気番組となった。この影響を受けて各局も女性視聴者をターゲットとした「トゥナイト2」、「ロバの耳そうじ」、「BiKiNi」、「アルテミッシュNIGHT」、「ワンダフル」といった類似番組を放送するようになったが、事実上、『ギルガメ』の1人勝ち状態であり、他の番組は人気を長く維持できず数年で打ち切られた。最終的には『ギルガメッシュNIGHT』もマンネリ化と共に終了し、後述するように深夜のお色気人気は短期間で終わった。

地上波でのお色気番組の縮小

放送局別に見るとTBSとフジテレビには歴史的にも放映例が少なく特にNHK公共放送としての使命上皆無とならざるを得ない。ワイドショー形式の全国ネット番組が特にそうである。若干は存在するが、TBSではこの種の番組を全国ネットしようとすると準キー局・朝日放送(ABC)と毎日放送(MBS)にネット受けを拒否されるケースがあり、実際にそれを理由とした打ち切りも起こるなど他局に比べて短命であった。

レジャー情報・事件、さらには政治・経済等を含む時事問題などをも取り上げ、硬軟・清濁を織り交ぜた番組は1960年代から1990年代こそ多かったが2000年代後半以降では皆無である。1990年代までは男女共にも放送されていたものの、2000年代頃からは地上波では水着が限界となっている。女性の場合、その水着でさえも批評を受ける状況にあり、内容の過激さは年々失われている。

このような状況になったのは、様々な理由が挙げられる。

  • 1980年代後半から1990年代にかけてテレビゲームやビデオデッキの普及またはレンタルビデオ店の拡大によってそれまで深夜のテレビ番組を好んでいた男性層がアダルトビデオなどのアダルトコンテンツに流れ、お色気番組の視聴率低下・スポンサー減少・マンネリ化が進んだこと。またビデオデッキで番組を録画して視聴した場合も視聴率を下げる原因となった。
  • 東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件神戸連続児童殺傷事件などの少年犯罪が相次いで発生(年間215,629件)し、お色気番組自体が視聴者に直接的な影響を与えているわけではないものの「性的・暴力的な映像が青少年に悪影響を与えるのではないか」として対策を検討された事や未成年の生活習慣などの変化によるもの[10]
  • 1997年にテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』がテレビ東京の深夜帯において数度再放送され、深夜帯としては驚異的な数字を叩き出し、大ヒットを記録した。本作品以降も首都圏で深夜を中心にアニメ放送が急増した。このような影響によって「深夜=お色気」→「深夜=アニメ」という時代へシフトしていった。
  • 1990年代以降、女性の社会進出が増え、女性優位的な社会となり、テレビも女性向けの番組(F1層など)が増加した。「女性に人気」といった語句を並べて放送したり、スタジオの観覧客をすべて若い女性のみにするなど女性視聴者をターゲットにした番組がゴールデンタイムや深夜番組でも主流になった。このような風潮から、かつてのお色気路線や総合的な芸能番組が好まれなくなり、次第に男性層もテレビから離れる結果となった。
  • 1998年からは映画のレイティングシステムR-15指定、R-18指定、PG-12指定)が導入され、性的描写だけでなく暴力や殺人などの反社会的行為に関する描写も重要な判断要素の1つとされた。

2000年代のCS衛星放送

2000年代以降は独立局をはじめとするローカル局BS、CSで製作・放送される事例が多くなり、地上波での放送が減少した一方でインターネットテレビでの製作は盛んとなる状況が続いた。後半頃からはスカパー!などの衛星放送で、お色気・アダルト内容の番組を扱うチャンネルが新設されており、2010年代以降、そのテイストはCS専門局やウェブ配信番組に移行している[11][12]

パラダイステレビの『おっぱい募金24時間テレビ エロは地球を救う)』は、東京スポーツが公開した動画の再生回数が2本で80万回を突破し、日本のみならずアメリカ・韓国・台湾・フィリピン・シンガポール・カナダ・ロシアなど海外のニュースでも報道された[13]。当初はイベント自体もあまり知名度がなく参加者も多くはなかったが、近年のインターネットのニュースサイト・SNSなどで当企画が取り上げられ、外国人の募金者や成人女性も多く参加するなどイベントへの参加者が急増した。第13回(2015年)では来場者数7175人と過去最多記録を更新した[14]

BSスカパー!で放送された『徳井義実のチャックおろさせて〜や』はスカパー!加入者限定の特別番組にもかかわらず大人気番組となり、動画共有サービスYouTube」にも投稿されたことで、スカパーに加入していない視聴者にも好評を得た[15]。この番組の影響で海外のバラエティ番組に招待された出演者もいるなど、2010年代に最も人気を獲得したお色気番組となった。『BAZOOKA!!!』の「おっぱいスペシャル」もレギュラー企画となり人気を集めた[16]。これらの番組も一部アダルトチャンネルを除いて2010年代後半に終了している。

またこの時期にはAV女優のテレビ進出・タレント化もあり、前述の状況と相反し、お色気番組に限らず、AV女優や風俗嬢などが深夜番組に出演するのは珍しいことではなくなっている(例として恵比寿マスカッツ出演の『おねがい!マスカット』シリーズなど[注 1])。地上波でエロネタ・下ネタが取り上げられる事はほぼ皆無になったが、時代に逆行する形で、TOKYO MXの『5時に夢中!』ではエロネタ・下ネタが取り上げられている。特に月曜と木曜がそうであり、時には批判を浴びることもある。

配信番組への進出

2010年代後半にはAbemaTVでかつての深夜お色気番組の風合いを持つ『ピーチゃんねる』、『妄想マンデー』が配信開始[17][18]。これらが終了した[17]2020年代に入ると、アダルトビデオメーカー自らがバラエティ番組を制作する『聖ファレノ女学園』、『カチコチTV』などの番組がYouTubeなどで配信[19]。直接的表現を使わない形でAV女優の知名度上昇や、商品販促の導入口として使用している。

現在のお色気番組

2009年からテレビ埼玉で放送されている『ビ〜チ9』は、スタートから約15年と現在に至るまで放送が継続されている。

2013年10月からスタートした『ケンコバのバコバコナイト』は、2021年4月に一度リニューアルされたが、2024年現在、土曜日時代(サンテレビ土曜深夜アダルトバラエティ枠)の『のりノリ天国』の6年半を超え、歴代で最も長く放送されているお色気番組である。

2022年1月にはAV女優が主に所属する芸能事務所「ビースター」が中心となる形でテレ玉の『ビビッと!TV』が放送開始[20]

2023年4月、『オールナイトフジコ』が放送開始。1991年3月30日に終了した『オールナイトフジ』以来32年ぶりに復活した[21]

海外

海外では性的な内容を含む番組を放送する際には男女共にヌードや性器の露出なども普通に地上波で放映されている。

イギリスでは21時以降であれば状況に応じて映像を処理せず番組を放送することが可能であり、80年代から90年代初頭にはイタリアで『コルポグロッソ』のような成人向け番組が存在し、2000年代にはカナダインターネットテレビ番組『NAKED NEWS』が話題になった。これらの番組は日本のテレビ番組でも紹介されたことがある。

また海外では「お色気番組」といったジャンル(表現)がないため、通常のバラエティ番組や映画で性的なシーンがあってもポルノ扱いにならないといった事例もある。イギリスで放送されている『ネイキッドアトラクション』は本来、恋愛バラエティ番組としてスタートしたが、初回放送時に全裸の候補者からデート相手を選ぶといった内容にクレームが殺到し物議を晒した。しかし、これに対してイギリスの放送通信庁であるOfcom(日本のBPOに当たる存在)では「体の魅力の本質にせまる番組であり、問題はない」という判断で放送が継続された。

Vチップ

アメリカでは2000年からテレビにVチップの内蔵が義務付けられている。

欧米諸国では「女性の裸や暴力表現に対する規制」が日本より厳しく、テレビに搭載されたVチップによってテレビ番組の暴力シーンや性的シーンを自動的に画面上から消し(映像が自動的に消される)、未成年者による視聴を防ぐ仕組みとなっている。

カナダでは1996年頃から正式にVチップ放送が始まり、韓国2001年から放送番組レーティング制度が放送法に導入されている。一方で、日本では1995年から1998年の間、少年犯罪の多発をきっかけとして放送番組レーティング制度に関する議論より、行政側によるVチップ導入の議論が進められたが継続審議の後、時期尚早として見送られて以降、未だ導入されていない。

放送基準・性表現

1958年(昭和33年)度の日本民間放送連盟による娯楽番組の放送基準は以下の通りである[22]

1. 不快な感じをいだかせるような下品・卑わいな表現や言葉は使わない。
2. 方言を使うときには、不快な感じを与えないように注意する。
3. 不具・疾病・白病など、肉体的・精神的欠陥に触れなければならないときには同じ欠陥に悩む人々の感情を刺激しないように注意する。
4. 犯罪の手口を明示または詳説するときには、故意に犯罪を魅力的に表現したり、模倣の意欲を起させたりするような描写はしない。
5. 凶器の使用はなるべく少なくし、模倣の動機を与えないようにつとめる。
6. 犯罪容疑者の逮捕、尋問方法及び訴訟の手続きや法廷の描写などは、正しく表現する。
7. 殺人・拷問・暴力・私刑などの残虐行為、その他肉体的・精神的苦痛を誇大または刺激的に表現しない。
8. 婦人および児童の虐待または人身売買を是認するような表現、またはその詳細な描写を避ける。
9. 麻薬及び覚せい剤の使用は、医療および悪癖としての表現以外は避ける。
10. 心中・自殺・その他、人命を軽視する言動を是認するような取り扱いはしない。古典または芸術作品についても慎重を期する。
11. 性犯罪・変態性欲などの取り扱いは避ける。
12. 性心理に関する描写または表現は、性に未成熟な視聴者を考慮して慎重に取り扱う。
13. 扇情的な接吻や抱擁 、暗示的な姿態や身振りは、出来るだけ避ける。
14. 肉体描写、寝室描写など官能的な素材を取り扱うときには、刺激的な表現を避ける。
15. 踊手・俳優その他の出演者の動作・舞踊・姿勢・位置などによって卑わい感を起させないように注意する。
16. 全裸はたとえシルエットでも避ける。
17. 肢体細部の露出または肢体細部をみだりに強調するようなカメラ角度は避ける。
18. 視聴者参加番組については、参加の機会を均等にし、広く視聴者一般に及ぶようにつとめる。
19. 視聴者参加番組の審査は、出演者の技能に応じて公正を期する。
20. 視聴者参加番組は、単に報酬または賞品によって過度に射幸心を刺激することのないように注意する。
21. 視聴者参加番組では、参加者・視聴者に対し、礼を失して不快を感じさせることのないように注意する。
22. 視聴者参加番組の出演児童に対しては、著しく児童にふさわしくないことはさせない。
23. 以上の各項は放送に先立って、参観者に公開する試演・録音・録像の場合にも適用する。
24. 以上の放送基準は映画番組にも適用する。特に児童・少年に対する影響を考慮して、素材の選択、および放送時刻に留意する。

当時は娯楽番組と呼称されており、これらの項目を厳守して番組を制作しなければならないとされていた。

現在の放送基準(11章・性表現)では以下の通りとなっている[23]

性に関する事柄は、視聴者に困惑・嫌悪の感じを抱かせないように注意する。
性感染症や生理衛生に関する事柄は、医学上、衛生学上、正しい知識に基づいて取り扱わなければならない。
一般作品はもちろんのこと、たとえ芸術作品でも過度に官能的刺激を与えないように注意する。
性的犯罪や変態性欲・性的倒錯を表現する場合は、過度に刺激的であってはならない。
性的少数者を取り上げる場合は、その人権に十分配慮する。
全裸は原則として取り扱わない。肉体の一部を表現する時は、下品・卑わいの感を与えないように特に注意する。
出演者の言葉・動作・姿勢・衣装などによって、卑わいな感じを与えないように注意する。

現在は、公序良俗的な面やスポンサーとの問題など昨今の風潮からドラマや映画作品ではOKだがバラエティ番組ではNGという傾向がある。ただし、これには絶対的な基準はないため、放送される際の判断はテレビ局などによってそれぞれ異なる。

バラエティ
バラエティ番組で女性の裸を放送すると「性を売り物や笑いモノにしている」・「性をふざけて扱っている」といったようにドラマ等に比べて批判の対象になりやすいという実情がある。現在ではインターネット上においてアダルトコンテンツ(女性の裸)が飽和状態となっており、ユーザーは自然とそちらに流れていくため、テレビでのお色気ジャンルにはスポンサーが付かず、収益に繋がらない等の理由もある。また近年では男性の裸も批判される事例が増えている。
ドラマ
ドラマや映画では、芸術性や露出の必然性を認めて物語・ストーリー上の展開として必要といった判断であえて自粛せずヌードシーンがそのまま放送される場合がある。2023年現在でもテレビ東京の『午後のロードショー』や過去の時代劇・映画作品の再放送などでもテレビ局や番組、または放送内容や時間帯によってはあえて隠さないで放送されていることもある。

クレーム

お色気番組へのコンプライアンスは1960年代頃から郵政省(現:総務省)をはじめ、PTA(日本PTA全国協議会)や国会衆議院予算委員会)などからも槍玉に上げられるなど問題視されており、青少年不良防止の為の低俗番組追放といった表現の自主規制介入が行われていた。特にPTAは、1960年代〜1980年代頃までは大きな影響力を持っていた。多くの児童・生徒らが就寝しているはずの深夜23時台以後に生放送されていた番組には性風俗を扱う内容が多く、地上波放送は不特定多数の視聴者が視聴できるメディアであり、たとえ子供であっても番組を観てしまう可能性も高いとして「子供らに見せるべき番組ではない」と酷評されていた。また2012年まで行われていた「テレビ番組に関する小中学生と親の意識調査」というアンケートに於いてもお色気番組は子供に見せたくない番組の常に上位にランキングされていた。

現在ではお色気番組だけでなく、通常のバラエティ番組や女性に限らず男性の裸に対しても非難を受ける場合がある。

1960年代

1969年、相模原市民会館日本テレビの『コント55号の裏番組をぶっとばせ!』の収録が行われていた際、教育関係者が野球拳のコーナーを視察し、子供たちもがセリに参加しているのを見て市長にクレームを入れた。以後、市側が会場使用を断った。また放映時に女性タレントの下着を買っている自校生徒を中学校の校長が確認して市側に問題提起した。

1970年代

国会では「11PM」[24]や「23時ショー」での"ペチャパイコンクール"、"衝撃!夜の身の上相談"など番組名を挙げて批判が続いた。

1971年広瀬正雄郵政大臣は放送法の番組準則に「暴力とかあるいはわいせつとかいうことを掲げておきますと、放送事業者の反省がもう少し具体的になってくるのじゃないだろうか」と苛立ちを見せた[25]

こうした世論の高まりに対してNHKと日本民間放送連盟を母体とした放送番組向上委員会(現:BPO)が各テレビ局に意見提言をしたり、1970年1971年にかけては衆議院逓委員会に「放送に関する小委員会」が設置されて審議されるなど、低俗番組の解決は広く議論されることになる[26]

1972年、『11PM』など夜のポルノ番組の“ お色気路線 ”について衆議院逓信委員会の放送に関する小委員会に放送番組向上委員長ら参考人4名が招致され、議論が行われた。

1975年、当時日本共産党に所属していた政治家の宮本顕治が『11PM』(日本テレビ系列)・『独占!男の時間』(東京12チャンネル)に代表される女性の裸体を売りにした番組が多いという現状に憤り「今の商業テレビ界には女性を軽視した番組、ポルノ番組が満ち溢れている」と批判し、この発言をきっかけにお色気番組追放キャンペーンが展開された。

1980年代

1985年、当時内閣総理大臣を務めていた中曽根康弘首相性風俗店の摘発やお色気番組の規制に力を入れた。

中曽根首相は、国会答弁で「まず当面は、郵政省が監督権を持っておるわけでございますから、郵政省の側においてよく民放の諸君とも話をしてもらって、そしていやが上にも自粛してもらうし、その実を上げてもらう。郵政省としてはそれをよくチェックして見て、そして繰り返さないようにこれに警告を発するなり、しかるべき措置をやらしたいと思います」と述べ、その後のお色気番組の自粛の遠因になった[27][28]

1990年代

1990年、日本テレビで放送されていた深夜番組『EXテレビ』の火曜日の実験企画として放送した「低俗の限界」が高視聴率を獲得した一方で250本を超える苦情電話が殺到する事態となり、物議を醸した。

1993年、フジテレビで放送中だった『殿様のフェロモン』の人気コーナー・快感!ハケ水車が回っているのは誰だ?クイズに対して「下品・低俗・不純・公序良俗に反する」などといった批判が殺到し、物議を晒した。その後、番組自体も5ヶ月程で終了している[29]

1994年フジテレビ深夜番組JOCX-TV2で放送された『Mars TV』のストリップコーナーに苦情が相次ぎ、番組は打ち切りとなった。

1996年、日本テレビで放送されていた『ロバの耳そうじ』において、放送開始当初から低俗番組のレッテルを貼られ、日本PTA全国協議会からは常に「超ワースト番組」と批判を受けていたが、当時日本テレビの社長だった氏家齊一郎日本民間放送連盟の会長も兼務していた[30]ため、同年3月をもって番組は終了した。

1997年に放送がスタートしたフジテレビの深夜番組『A女E女』の番組内容が俗悪番組とのレッテルを貼られ、「あまりにも低俗すぎる」との批判を浴びたため、番組は5ヶ月という短命に終わった[31]

1998年、テレビ東京の『ギルガメッシュないと』において同年1月に放送された番組内容に対して視聴者から「お色気番組として笑って見過ごすことができない」との苦情が寄せられた。テレビ東京の放送番組審議会で審議された結果、同年3月をもって番組は終了した[32]

2000年代

2000年、テレビ朝日で放送されていたネプチューン司会の深夜番組『おネプ!』の人気コーナーだった「祈願成就!出張ネプ投げ」の内容について、放送と青少年に関する委員会(現:BPO)から「カメラアングルがのぞきを肯定しているかのようだ」との指摘を受けた。また、このコーナーは主に若い女性を対象としていて女性たちの肌や下着が高確率で見えてしまうため、当初から問題になっていた。これに対して局側は当初、「制作側としては、このコーナーはネプチューンと自らの意思で出場する素人との共演コーナーであり、そういう意味において、これが女性蔑視、セクハラにつながるとは考えておりません。」と回答していた[33]が、最終的にコーナーは打ち切りを余儀なくされた。

2009年サンテレビで放送されていた『今夜もハッスル』が青少年委員会から「あまりにも低俗すぎる」という厳しい意見が相次いだため、放送倫理・番組向上機構(BPO)が質問状を送った。指摘を受けたサンテレビ側は「外部制作番組とはいえ、社内のチェック体制が甘かったこと、また、番組に関わるスタッフの放送基準に対する意識不足が、結果的に番組の表現・演出をエスカレートさせ、視聴者の苦情・批判を受けることとなってしまいました」と行き過ぎが多いと判断したため、番組の打ち切りが決定した[34]。以後、同枠は金曜深夜に移動し、サンテレビが制作に関与しない体制となったうえで復活している(現在はケンコバのバコバコナイトが放送されている)。

2010年代

2016年、TBSで放送された『オール芸人お笑い謝肉祭‘16秋』の放送内容について視聴者から「男性が男性の股間を無理やり触る行為などがあった。内容が下品。子供に説明できないような番組はやめてほしい」「浜辺で芸人がローション階段を全裸や下半身露出で滑り落ちるシーンが放送された。裸になれば笑いがとれるという低俗な発想が許しがたい」などの意見が寄せられた[35]

2020年代

2022年、本来はお色気番組ではないが日本テレビ『午前0時の森』のパイロット版の放送内容において「スタジオに水着姿の女性を並べて品定め」、「さまざまなハラスメントがあった非常に不快な内容」といった苦情が多く寄せられた[36][37]。この事態を受け、生放送でのレギュラー放送スタートが見送られた。

代表的なお色気番組

日本

一般的に有名な番組を中心に記載。

1960年代

1970年代

1980年代

1990年代

2000年代

2010年代

2020年代

海外

その他

  • テレビ東京系列で放送されていた『マスカットシリーズ』はAV女優グラビアアイドルなどが出演しているのもあってお色気番組と誤解される事があるが、実際は「『夕やけニャンニャン』の深夜版」として企画された[42]通常のバラエティ番組であり、恵比寿マスカッツ自体もアイドルとして売り出されたため事実上、アイドルの冠番組といった感覚に近い。
  • お色気番組が自粛された要因の1つにAV女優のタレント化が挙げられる。従来型のセクシーさで地上波進出しなくてもタレント・ファッション・モデル・アイドル・海外進出など他の活動での人気と活躍が出来ていれば売り上げに貢献できるため、コンプライアンスや肖像権などの観点で難しいとされているお色気番組を制作する必要はないのではないかとされている。
  • お色気バラエティ番組を放送する際、キャスティングされるのは主にAV女優やグラビアアイドルといったセクシータレントである。特にAV女優の場合は、入れ替わりが激しい業界であるため、番組出演時は現役でも番組終了時には引退しているというケースも多い。そのため、当時の出演者に連絡が取れない場合や個人情報などの関係で番組の二次利用・再放送が不可能となってしまうことがある。
  • 2000年代以降はインターネットメディアの普及や視聴者(ファン)にも個人主義が進みテレビ離れなどによって次第に「テレビでのお色気番組」の影響力・需要は低下していったため、動画配信サービスインターネットテレビ等に移行するようになった。そのため必ずしも自主規制=お色気番組が減少したとは限らない。

参考文献

  • シロツグケンイチ「BPOにモノ申す! オレたち、やっぱり地上波で裸が見たい!! 伝説の『TVエロ企画』30年史」『CIRCUS MAX』第6巻第3号(平成25年6月号)、ベストセラーズ、2013年5月10日、54 - 57頁、全国書誌番号:01022562 
  • 『そもそもなんでダメなんだっけ?[43]』(テレビ東京) - 2019年12月30日放送。お色気番組の規制について取り上げられた。

脚注

注釈

  1. ^ AV女優が出演しても裸になることは皆無である。『ゴッドタン』の「エロ系企画」なども含め、この時期のAV女優は演技力やアドリブ力から起用されることが増加した。

出典

  1. ^ 現在までの歴史 | BPO | 放送倫理・番組向上機構 |”. www.bpo.gr.jp. 2024年4月7日閲覧。
  2. ^ シリーズ 初期“テレビ論”を再読する 【第3回】 制度論 | 調査・研究結果 - 放送史 | NHK放送文化研究所”. www.nhk.or.jp. 2024年4月7日閲覧。
  3. ^ 『テレビ史ハンドブック』自由国民社、1996年、33頁。 
  4. ^ 『立ち読み社会』勁草書房、1983年、188頁。 
  5. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2023年1月26日). “【「1973」エンタメプレイバック】加藤茶の衝撃 「ちょっとだけよ」と子供が連呼! 先生やPTAは眉をひそめたが…ドリフ人気は止まらない!(1/2ページ)”. zakzak:夕刊フジ公式サイト. 2023年11月19日閲覧。
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  7. ^ 80年代土曜深夜 フジvs日テレvsテレ朝のトップレス戦争”. NEWSポストセブン. 2023年11月20日閲覧。
  8. ^ 全裸のAV女優が多数登場……「低俗の限界」に挑んだ伝説の企画とは?”. エキサイトニュース (2017年3月14日). 2023年11月20日閲覧。
  9. ^ 『日本民間放送年鑑』日本民間放送連盟、1994年、50頁。 
  10. ^ 青少年とテレビ、ゲーム等に係る暴力性に関する調査研究の概要”. www8.cao.go.jp. 2023年11月19日閲覧。
  11. ^ パンチラ、おっぱいの揉み合い、ブラジリアンワックス!――過激な内容でもオイシイ現場!? AbemaTVとグラドルの関係”. サイゾーpremium (2018年9月30日). 2019年5月10日閲覧。
  12. ^ ネット版『モヤさま』でグラドル大暴れ! 火花バチバチのセクシーアピール合戦で男性スタッフを悩殺”. メンズサイゾー (2019年4月16日). 2019年5月10日閲覧。
  13. ^ https://www.excite.co.jp/news/article/TokyoSports_36956/ [リンク切れ]
  14. ^ 「おっぱい募金」来場者7000人突破!600万円以上集める”. 東スポWEB (2015年12月6日). 2023年2月10日閲覧。
  15. ^ 地上派では絶対放送不可能! 伝説のお色気番組・スカパー!『徳井義実のチャックおろさせて〜や-夏の催し-』が一夜限りの復活!(2013年7月18日)”. エキサイトニュース. 2023年2月10日閲覧。
  16. ^ 禁断の企画再び! スカパーで「お◯ぱいコレクション2015」生放送(2015年3月9日)”. エキサイトニュース. 2023年2月10日閲覧。
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関連文献

  • 佐野亨 編『【昭和・平成】お色気番組グラフィティ』河出書房新社、2014年。ISBN 978-4-309-27502-4 
  • 『日本昭和エロ大全』辰巳出版、2020年。ISBN 978-4777825721 

関連項目