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「フィンランド料理」の版間の差分

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[[File:Karjalanpiirakka-20060227.jpg|thumb|典型的なフィンランド料理である[[カレリアンピーラッカ]]]]
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'''フィンランド料理'''(ふぃんらんどりょうり)は[[ライムギ|ライ麦]]や[[オオムギ|大麦]]、[[オートムギ|オート麦]]など[[全粒穀物]]のほか、[[ブルーベリー]]や[[コケモモ]]、[[ホロムイイチゴ]]及び[[シーバックソーン]]といった[[ベリー]]を用いることで知られる。
'''フィンランド料理'''(フィンランドりょうり)は[[ライムギ|ライ麦]]や[[オオムギ|大麦]]、[[オートムギ|オート麦]]など[[全粒穀物]]のほか、[[ブルーベリー]]や[[コケモモ]]、[[ホロムイイチゴ]]及び[[シーバックソーン]]といった[[ベリー]]を用いることで知られる。


また、[[牛乳]]・[[乳製品]]([[バターミルク]]など)も[[食品]]や[[飲料]]はもとより用途は幅広い。伝統的な料理では[[カブ]]が重宝されてきたが、[[18世紀]]以後は[[ジャガイモ]]を用いることが多い。なお現代のフィンランド料理は、上述の料理に高級[[フランス料理]]を組み合わせたものが主流であり、一般の家庭料理も[[]]が進んでいる。
また、[[牛乳]]・[[乳製品]]([[バターミルク]]など)も[[食品]]や[[飲料]]はもとより用途は幅広い。伝統的な料理では[[カブ]]が重宝されてきたが、[[18世紀]]以後は[[ジャガイモ]]を用いることが多い。なお現代のフィンランド料理は、上述の料理に高級[[フランス料理]]を組み合わせたものが主流であり、一般の家庭料理も西欧化が進んでいる。


地域別に見ると、フィンランド東部では伝統的に[[魚]]や[[肉]]をふんだんに使った料理が多い一方で、西部では[[野菜]]や[[マッシュルーム]]を古くから利用しており、とりわけ後者については[[第二次世界大戦]]中に[[カレリア]]からの[[難民]]によりもたらされた。
地域別に見ると、フィンランド東部では伝統的に[[魚]]や[[肉]]をふんだんに使った料理が多い一方で、西部では[[野菜]]や[[マッシュルーム]]を古くから利用しており、とりわけ後者については[[第二次世界大戦]]中に[[カレリア]]からの[[難民]]によりもたらされた。


== 代表的な料理 ==
== 代表的な料理 ==
[[File:Leipäjuusto cheese with cloudberry jam.jpg|thumb|200 px|ホロムイイチゴ[[ジャム]]のかかった[[レイパユースト]]]]
[[ファイル:Leipäjuusto cheese with cloudberry jam.jpg|thumb|200 px|ホロムイイチゴ[[ジャム]]のかかった[[レイパユースト]]]]
[[Image:Mämmi.jpg|thumb|200 px|[[マンミ]]]]
[[ファイル:Mämmi.jpg|thumb|200 px|[[マンミ]]]]
[[File:Pullia.jpg|thumb|200 px|[[プッラ]]]]
[[ファイル:Pullia.jpg|thumb|200 px|[[プッラ]]]]
伝統的なフィンランド料理は隣接する[[スウェーデン料理|スウェーデン]]や[[ドイツ料理|ドイツ]]、[[ロシア料理|ロシア]]の影響を大いに受けているものの、差異が若干存在する。例えばスウェーデン料理よりも甘くなく、ロシアと比べて料理に[[サワークリーム]]([[スメタナ]])を用いることがほとんど無い。
伝統的なフィンランド料理は隣接する[[スウェーデン料理|スウェーデン]]や[[ドイツ料理|ドイツ]]、[[ロシア料理|ロシア]]の影響を大いに受けているものの、差異が若干存在する。例えばスウェーデン料理よりも甘くなく、ロシアと比べて料理に[[サワークリーム]]([[スメタナ]])を用いることがほとんど無い。


=== 伝統料理 ===
=== 伝統料理 ===
*[[カーリカーリリート]](kaalikääryleet) - [[ルキャベツ]]
*[[ロヒケイット]](lohikeitto) - [[サーモンス]]
*[[カーリカーリュレート]](kaalikääryleet) - [[ロールキャベツ]]
*[[カラクッコ]](Kalakukko) - 小魚と肉をライ麦の生地で包んで焼いた料理
*[[ヘルネケイット]](Hernekeitto) - [[エンドウマメ|エンドウ豆]]のスープ
*[[ヘルネケイット]](Hernekeitto) - [[エンドウマメ|エンドウ豆]]のスープ
*[[レイパユースト]](Leipäjuusto、juustoleipäとも) - [[雌牛]]の[[チーズ]]
*[[レイパユースト]](Leipäjuusto、juustoleipäとも) - [[ウシ|雌牛]]の[[チーズ]]
*[[ヴィーリ]](Viili) - [[ヨーグルト]]様[[発酵]]乳製品
*[[ヴィーリ]](Viili) - [[ヨーグルト]]様[[発酵]]乳製品
*[[マッシュポテト]]
*[[マッシュポテト]]
*[[リハプラ]](Lihapullat) - [[ミートボール]]
*[[リハプラ]](Lihapullat) - [[ミートボール]]
*[[ニシン]]の[[塩漬け]](ジャガイモを添えることが多い)
*[[ニシン]]の[[塩漬け]](ジャガイモを添えることが多い)
*冷[[燻製]]品
*冷[[燻製]]品
この他にも[[イースター]]の[[マンミ]]や[[クリスマス]]の[[ヨウルポインタ]]など祝祭日用の特別料理がある。
この他にも[[イースター]]の[[マンミ]]や[[クリスマス]]の[[ヨウルポ]](クリスマスメニュー)に含まれる[[人参]][[キャセロール]]の[[ポルッカナラーティッコ]]、[[じゃがいも]]キャセロールの[[ペルナラーティッコ]]、[[ルタバガ]]キャセロールの[[ランットゥラーティッコ]]など祝祭日用の特別料理がある。


=== パン ===
=== パン ===
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*[[ルイスレイパ]](Ruisleipä) - [[ライ麦パン]]
*[[ルイスレイパ]](Ruisleipä) - [[ライ麦パン]]
*[[リエスカ]](Rieska) - 大麦パン
*[[リエスカ]](Rieska) - 大麦パン
*[[カレリアンピーラッカ]](karjalanpiirakka) - パイ料理の一種。[[スプレッド (食品)|スプレッド]]として[[ムナボイ]]が塗られることもある。


=== 飲料 ===
=== 飲料 ===
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==== 酒類 ====
==== 酒類 ====
*[[ラッカ]](Lakka) - ホロムイイチゴ[[酒]]
*[[ラッカ (酒)|ラッカ]](Lakka) - ホロムイイチゴ[[酒]]
*[[グロッグ]] - [[グリューワイン]]
*[[グロ]](Grogi) - [[グロッグ]]、[[グリューワイン]]
*[[マルスキンリューピ]](Marskin ryyppy)
*[[マルスキンリュー]](Marskin ryyppy)
*[[ヤロヴィーナ]](Jaloviina) - カット[[ブランデー]]
*[[ヤロヴィーナ]](Jaloviina) - カット[[ブランデー]]
*[[キルユ]](Kilju)
*[[キルユ]](Kilju)
*[[コスケンコルヴァ]](Koskenkorva) - [[ウォッカ]]様[[スピリット]]
*[[コスケンコルヴァ]](Koskenkorva) - [[ウォッカ]]様[[スピリット]]
**[[サルミアッキコッソウ]](Salmiakkikossu) - コスケンコルヴァと[[サルミアッキ]]の[[カクテル]]
**[[サルミアッキコッ]](Salmiakkikossu) - コスケンコルヴァと[[サルミアッキ]]の[[カクテル]]。[[レディ・トゥ・ドリンク|RTD]]としても市販されている。
*[[シマ]](Sima) - [[蜂蜜酒]]
*[[シマ (酒)|シマ]](Sima) - [[蜂蜜酒]]
*[[サハティ]](Sahti) - 伝統的な[[ビール]]
*[[サハティ]](Sahti) - 伝統的な[[ビール]]


=== デザート ===
=== デザート ===
*[[プッラ]](Pulla) - [[コーヒー]]とともに供される甘いパン
*[[プッラ]](Pulla) - [[コーヒー]]とともに供される[[カルダモン]]風味の甘いパン
**[[コルヴァプースティット]] (korvapuustit) - [[シナモンロール]]
**[[シナモンロール|コルヴァプースティ]] (Korvapuusti) - [[シナモンロール]]
*[[マンミ]](Mämmi) - [[イースター]]で出される[[ライ麦]]粉とライ麦[[麦芽]]粉を練って焼いた[[プディング]]


=== 菓子 ===
=== 菓子 ===
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*[[リコリス菓子]]
*[[リコリス菓子]]


== フィンランド料理に対する批判 ==
== フィンランド料理の評判 ==
フィンランド料理は、[[イギリス料理]]と並び評判はあまり良いとは言えない。例として、2005年[[フランス大統領]][[ジャック・シラク]]は、フィンランド料理について「欧州で最悪の料理の1つで、英国料理よりはわずかにおいしいだけ」と酷評したと報じられた。<ref>{{Cite news |url=http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2128892/1004917 |date=2006-10-21 |title=仏大統領、酷評したフィンランド料理に舌鼓 - フィンランド |newspaper=[[フランス通信社]] |archiveurl=https://web.archive.org/web/20101228022108/http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2128892/1004917 |archivedate=2010年12月28日 |deadurldate=2017年9月 }}
フィンランド料理は[[イギリス料理]]と並び評判良くない。こはかつては過酷な[[風土]]ゆえ新鮮な[[果物]]や[[野菜]]が中々手に入りにくく、[[根菜]]や黒ライ麦パン、発酵乳製品などに拠らざるを得ず、また古くから[[塩]]以外の[[香辛料]]も入手が困難であったことなどが理由に挙げられていた
</ref>また、[[イタリアの首相]][[シルヴィオ・ベルルスコーニ]]も、フィンランドのスモーク[[トナカイ]]を「パルマ産のハムのほう比べ物にならないほど美味い」などと語っている。こうしたイメージの悪さかつては過酷な[[風土]]ゆえ新鮮な[[果物]]や[[野菜]]が中々手に入りにくく、[[根菜]]や黒ライ麦パン、発酵乳製品などに拠らざるを得ず、またフィンランド料理の薄味が外国人にはなじめないこと、さらに古くから[[塩]]以外の[[香辛料]]も入手が困難であったことなどが原因として挙げられ


[[農業]]や[[輸送]]技術の発達を見た現代においてもその状況は揺るがなかったが、転機となったのは[[1995年]]の[[欧州連合]]加盟である。貿易障壁が取り払われるに伴い[[穀物]]や肉、牛乳などの物価が50%近く下落した<ref name="stat.fi">Tietoaika
[[農業]]や[[輸送]]技術の発達を見た現代においてもその状況は揺るがなかったが、転機となったのは[[1995年]]の[[欧州連合]]加盟である。[[貿易障壁]]が取り払われるに伴い[[穀物]]や肉、牛乳などの物価が50%近く下落した<ref name="stat.fi">{{Cite web|url=http://www.stat.fi/tup/tietoaika/ta_02_05.html |accessdate=2012-01-27 |title=Tilastokeskus - Tietoaika - Tietoaika 2/2005 }}</ref>ほか、[[スーパーマーケット|スーパー]]や[[レストラン]]にも世界中の食材が並ぶようになった。今やフィンランド料理は欧州大陸の最新鋭の調理技術を駆使しながら、日々研鑽を重ね、[[2003年]]には[[ヘルシンキ]]市内のレストランが[[ミシュランガイド]]にて2つ星を得る程にまで成長した。
2/2005: ''EU:n tuoma hintaetu on tallella'' [http://www.stat.fi/tup/tietoaika/ta_02_05.html]</ref>ほか、[[スーパーマーケット|スーパー]]や[[レストラン]]にも世界中の食材が並ぶようになった。今やフィンランド料理は欧州大陸の最新鋭の調理技術を駆使しながら、日々研鑽を重ね、[[2003年]]には[[ヘルシンキ]]市内のレストランが[[ミシュランガイド]]にて2つ星を得る程にまで成長した。


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
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== 脚注 ==
== 脚注 ==
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== 外部リンク ==
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*[http://www.foodfromfinland.com フィンランド料理]
*[http://www.foodfromfinland.com フィンランド料理]


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2024年7月31日 (水) 06:03時点における最新版

典型的なフィンランド料理であるカレリアンピーラッカ

フィンランド料理(フィンランドりょうり)はライ麦大麦オート麦など全粒穀物のほか、ブルーベリーコケモモホロムイイチゴ及びシーバックソーンといったベリーを用いることで知られる。

また、牛乳乳製品バターミルクなど)も食品飲料はもとより用途は幅広い。伝統的な料理ではカブが重宝されてきたが、18世紀以後はジャガイモを用いることが多い。なお現代のフィンランド料理は、上述の料理に高級フランス料理を組み合わせたものが主流であり、一般の家庭料理も西欧化が進んでいる。

地域別に見ると、フィンランド東部では伝統的にをふんだんに使った料理が多い一方で、西部では野菜マッシュルームを古くから利用しており、とりわけ後者については第二次世界大戦中にカレリアからの難民によりもたらされた。

代表的な料理

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ホロムイイチゴジャムのかかったレイパユースト
マンミ
プッラ

伝統的なフィンランド料理は、隣接するスウェーデンドイツロシアの影響を大いに受けているものの、差異が若干存在する。例えばスウェーデン料理よりも甘くなく、ロシアと比べて料理にサワークリームスメタナ)を用いることがほとんど無い。

伝統料理

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この他にも、イースターマンミクリスマスヨウルポユタ(クリスマスメニュー)に含まれる人参キャセロールポルッカナラーティッコじゃがいもキャセロールのペルナラーティッコルタバガキャセロールのランットゥラーティッコなど、祝祭日用の特別料理がある。

パン

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飲料

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酒類

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デザート

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菓子

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フィンランド料理の評判

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フィンランド料理は、イギリス料理と並び評判はあまり良いとは言えない。例として、2005年フランス大統領ジャック・シラクは、フィンランド料理について「欧州で最悪の料理の1つで、英国料理よりはわずかにおいしいだけ」と酷評したと報じられた。[1]また、イタリアの首相シルヴィオ・ベルルスコーニも、フィンランドのスモークトナカイを「パルマ産のハムのほうが比べ物にならないほど美味い」などと語っている。こうしたイメージの悪さは、かつては過酷な風土ゆえ新鮮な果物野菜が中々手に入りにくく、根菜や黒ライ麦パン、発酵乳製品などに拠らざるを得ず、またフィンランド料理の薄味が外国人にはなじめないこと、さらに古くから以外の香辛料も入手が困難であったことなどが原因として挙げられる。

農業輸送技術の発達を見た現代においてもその状況は揺るがなかったが、転機となったのは1995年欧州連合加盟である。貿易障壁が取り払われるに伴い、穀物や肉、牛乳などの物価が50%近く下落した[2]ほか、スーパーレストランにも世界中の食材が並ぶようになった。今やフィンランド料理は欧州大陸の最新鋭の調理技術を駆使しながら、日々研鑽を重ね、2003年にはヘルシンキ市内のレストランがミシュランガイドにて2つ星を得る程にまで成長した。

関連項目

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脚注

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外部リンク

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