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1988年、犯罪増加率が400%を突破したアメリカは、ニューヨーク・[[マンハッタン|マンハッタン島]]を15メートルの巨大なコンクリート壁で囲み、一帯をまるごとアメリカ最大の刑務所とした。そこには終身刑の重犯罪者たちが集められ、週に1回[[セントラル・パーク]]に投下される食料の配給以外は全て所内の囚人による自治に委ねられていた。
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エネルギー危機によって米ソが開戦した[[第三次世界大戦]]が終結しつつあった[[1997年]]のある日、[[VC-25|大統領専用機]]が[[テロリスト]]に乗っ取られ、マンハッタン島内に激突墜落させられる。大統領は脱出用ポッドで機外に逃れたが、救助に向かった強行突入部隊が発見したのはこじ空けられたポッドだけであり、大統領はすでに囚人たちによって拉致され、されていたのは刑務所周辺を警備する全兵力の撤退を要求する囚人たちの要求書と、切り落とされた大統領の指1本だった。
エネルギー危機によって米ソが開戦した[[第三次世界大戦]]が終結しつつあった[[1997年]]のある日、[[VC-25|大統領専用機]]が[[テロリスト]]に乗っ取られ、マンハッタン島内に激突墜落させられる。大統領は脱出用ポッドで機外に逃れたが、救助に向かった強行突入部隊が発見したのはこじ空けられたポッドだけであり、大統領はすでに囚人たちによって拉致され、されたのは刑務所周辺を警備する全兵力の撤退を要求する囚人たちの要求書と、切り落とされた大統領の指1本だった。


大統領は米中ソの三国サミットへ向かう途中で、サミットでは参加国に対し、戦争の原因であるエネルギー問題を解決する核融合技術に関する発表内容が吹き込まれた録音テープを提示する予定だった。
大統領は米中ソの三国サミットへ向かう途中で、サミットでは参加国に対し、戦争の原因であるエネルギー問題を解決する核融合技術に関する発表内容が吹き込まれた録音テープを提示する予定だった。


警察本部長は元特殊部隊員で[[レニングラード]]降下作戦の英雄ながら、武装強盗の罪でマンハッタン島に収監される予定だった[[スネーク・プリスキン]]を、放を条件に刑務所内に単身潜入させることを思い付く。
警察本部長のホーク元特殊部隊員で叙勲された英雄ながら、武装強盗の罪で終身刑の判決を受け、収監される予定だった[[スネーク・プリスキン]]を、放を条件に刑務所内に単身潜入させることを思い付く。


嫌々ながら大統領救出作戦に同意したスネークは、頚動脈に24時間後に爆発する小型爆弾を注入されたうえで[[サプレッサー]]付き[[MAC10]]を渡され、[[グライダー]]で[[ワールドトレードセンター (ニューヨーク)|世界貿易センタービル]]へ着地すると、自ら「ニューヨークのデューク」を名乗って、大統領を人質に取ったギャングのリーダーや、街に蠢くたちを相手に孤独な戦いを開始する。
嫌々ながら大統領救出作戦に同意したスネークは、頚動脈に24時間後に爆発するマイクロチップを注入されたうえで[[サプレッサー]]付き[[MAC10]]などの武器を渡され、[[グライダー]]で[[ワールドトレードセンター (ニューヨーク)|世界貿易センタービル]]へ着地すると、大統領を人質に取ったギャングのリーダーや、街に蠢く人たちを相手に孤独な戦いを開始する。


== キャスト ==
== キャスト ==
※括弧内は日本語吹替<ref>初放送1982年10月27日 [[日本テレビ放送網|日本テレビ]] 『[[水曜ロードショー (日本テレビ)|水曜ロードショー]]』。</ref>(2017年8月25日発売のブルーレイに収録)。
※括弧内は日本語吹替{{efn|初放送1982年10月27日 [[日本テレビ放送網|日本テレビ]] 『[[水曜ロードショー (日本テレビ)|水曜ロードショー]]』。}}(2017年8月25日発売のブルーレイに収録)。
* [[スネーク・プリスキン]] - [[カート・ラッセル]]([[青野武]])

* スネーク・プリスキン - [[カート・ラッセル]]([[青野武]])
* ボブ・ホーク - [[リー・ヴァン・クリーフ]]([[内田稔]]): 警察本部長。
* ボブ・ホーク - [[リー・ヴァン・クリーフ]]([[内田稔]]): 警察本部長。
* キャビー - [[アーネスト・ボーグナイン]]([[金井大]]): タクシー運転手。
* キャビー - [[アーネスト・ボーグナイン]]([[金井大]]): タクシー運転手。
* アメリカ合衆国大統領 - [[ドナルド・プレザンス]]([[宮川洋一]])
* アメリカ合衆国大統領 - [[ドナルド・プレザンス]]([[宮川洋一]])
* ニューヨークのデューク - [[アイザック・ヘイズ]]([[小林清志]]
* デューク - [[アイザック・ヘイズ]]([[小林清志]]): ストリートギャング「ジプシーズ」の首領。
* バー[[:en:Chock full o'Nuts|Chock Full o'Nuts]]の女 - シーズン・ヒューブリー
* ブレイン - [[ハリー・ディーン・スタントン]]([[川辺久造]]
* ハロルド・“ブレイン”・ヘルマン - [[ハリー・ディーン・スタントン]]([[川辺久造]]): デュークの参謀。スネークの元仲間。
* バー"[[:en:Chock full o'Nuts|Chock Full o'Nuts]]"の女 - シーズン・ヒューブリー
* マギー - [[エイドリアン・バーボー]]([[此島愛子]]
* マギー - [[エイドリアン・バーボー]]([[有馬瑞香]]): ブレインの情婦。
* レーミー - トム・アトキンス([[筈見純]]): ホークの部下。
* レーミー - [[トム・アトキンス]]([[筈見純]]): ホークの部下。
* 国務長官 - チャールズ・サイファーズ
* 国務長官 - チャールズ・サイファーズ
* テイラー - ジョー・アンガー
* テイラー - ジョー・アンガー: スネークの相棒{{efn|登場シーンカットにより本編未登場。}}。
* ロメロ - [[フランク・ダブルデイ]]
* ロメロ - [[フランク・ダブルデイ]]: デュークの部下。
* クローネンバーグ - ジョン・ストロベル
* クローネンバーグ - ジョン・ストロベル: 科学者。
* 殺人ゲームのレスラ - [[オックス・ベーカー]]
* スラ - [[オックス・ベーカー]]: 殺人ゲームのレスラー
* [[語り手|ナレーター]]、コンピュータの声 - [[ジェイミー・リー・カーティス]]{{efn|クレジットなし。}}

その他の日本語吹替 - [[此島愛子]]、[[大久保正信]]、[[石森達幸]]、[[石丸謙二郎]]、[[藤夏子]]、[[藤本譲]]、[[平林尚三]]、海沢昌代、[[小島敏彦]]、[[秋元羊介]]、[[水鳥鉄夫]]、東富士郎、[[幹本雄之]]、[[三枝みち子]]


== スタッフ ==
== スタッフ ==
* 監督:[[ジョン・カーペンター]]
* 監督:[[ジョン・カーペンター]]
* 製作:デブラ・ヒル、[[ラリー・J・フランコ]]
* 製作:[[デブラ・ヒル]]、[[ラリー・J・フランコ]]
* 脚本:ジョン・カーペンター、[[ニック・キャッスル]]
* 脚本:ジョン・カーペンター、[[ニック・キャッスル]]
* 撮影:[[ディーン・カンディ]]、ジム・ルーカス
* 撮影:[[ディーン・カンディ]]、ジム・ルーカス
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* 第1助監督:ラリー・J・フランコ
* 第1助監督:ラリー・J・フランコ
* 第2助監督:[[ジェフリー・チャーノフ]]
* 第2助監督:[[ジェフリー・チャーノフ]]

<日本語版制作スタッフ>
:演出:福永莞爾
:翻訳:平田勝茂
:効果:南部満治/大橋勝次
:選曲:河合直
:制作:ザック・プロモーション
:テレビ初回放送日:1982年10月27日(水) [[日本テレビ]] [[水曜ロードショー (日本テレビ)|水曜ロードショー]]
:『ニューヨーク1997』 Blu-rayに収録
:規格品番 DAXA-5201
:販売元  KADOKAWA
:発売日  2017年08月25日

== 評価 ==
[[レビュー・アグリゲーター]]の[[Rotten Tomatoes]]では68件のレビューで支持率は85%、平均点は7.20/10となった<ref>{{Cite web|url= https://www.rottentomatoes.com/m/1006717-escape_from_new_york |title= Escape from New York (1981) |work=[[Rotten Tomatoes]]|publisher=Fandango Media|accessdate=2022/07/19}}</ref>。[[Metacritic]]では12件のレビューを基に加重平均値が76/100となった<ref>{{Cite web|url= https://www.metacritic.com/movie/escape-from-new-york |title= Escape from New York Reviews|work=[[Metacritic]]|publisher=[[CBSインタラクティブ|CBS Interactive]]|accessdate=2022/07/19}}</ref>。


== 関連作品 ==
== 関連作品 ==
; 『[[メタルギア]]』
; 『[[メタルギア]]』
: [[コナミ]]のテレビゲーム。主人公の[[ソリッド・スネーク]]のモデルは本作の主人公[[スネーク・プリスキン]]であり、本作自体もモデルになっている。シリズ第4作『[[メタルギアソッド2]]』ではソリッド・スネクが雷電尋ねられた際「イロコィ・プリスキン」と名乗っおり、階級は中尉でスネーク・プリスキンと同階級である。
: [[コナミ]]のテレビゲーム。主人公の[[ソリッド・スネーク]]のモデルは本作の主人公[[スネーク・プリスキン]]であり、麻酔銃を持て単独潜入を行って敵から隠れながら倒していくなど、ストーリーも本作モデル部分が多い
: シリーズ第4作『[[メタルギアソリッド2]]』では、ソリッド・スネークが雷電に名を尋ねられた際に「イロコィ・プリスキン」海軍中尉と名乗っており、またスネーク・プリスキンと同階級である。「イロコィ」はアメリカ合衆国が手本とした連邦制を敷くインディアンの部族「イロコィ族」から取られており、また現地の言葉で「毒蛇」を意味する。
: さらに続編の『[[メタルギアソリッド3]]』では、ネイキッド・スネーク([[ビッグ・ボス]])が片目を失明して眼帯を装着する経緯が描かれ、スネーク・プリスキンとは左右の目が反対ながら、より外見が近くなっている。
: なお、カーペンターに対して『メタルギア』シリーズを盗作疑惑で訴えることを勧める声もあったが、彼がシリーズの生みの親である[[小島秀夫 (ゲームデザイナー)|小島秀夫]]と良好な関係を築いていたなどの理由から訴えることはなかった<ref>{{Cite web|和書|url=http://jp.automaton.am/articles/newsjp/why-did-john-carpenter-not-sue-metal-gear-solid/|title=映画「ニューヨーク1997」の監督、似た設定を持つ『メタルギア』の小島監督を訴えなかった理由語る。「彼はいいやつだったから」|publisher=AUTOMATON|date=2015-10-28|accessdate=2021-12-2}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://www.inside-games.jp/article/2015/10/28/92497.html|title=『METAL GEAR SOLID』訴訟の可能性もあった ― ジョン・カーペンター監督が語る|publisher=インサイド|date=2015-10-28|accessdate=2021-12-2}}</ref>ほか、『メタルギアソリッド2』の限定版パンフレットではカーペンターからのコメントが寄稿されている。
; 『[[魔界都市〈新宿〉]]』
; 『[[魔界都市〈新宿〉]]』
: [[菊地秀行]]の小説。本作にインスパイアされた作品。
: [[菊地秀行]]の小説。本作にインスパイアされた作品。
; 『[[ロックアウト (2012年の映画)]]』
; 『[[ロックアウト (2012年の映画)|ロックアウト]]』
: 内容に本作から盗用した部分があるとされ、裁判の結果賠償金の支払いを命じられている。
: 監督をスティーヴン・セイント・レジャー、脚本を[[リュック・ベッソン]]がそれぞれ担当した、フランスのSF映画。本作から盗用した部分があるとされる(詳細はリンク先を参照)。


== 脚注 ==
== 脚注 ==
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=== 注釈 ===
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=== 出典 ===
{{Reflist}}
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== 参考文献 ==
* ジョン・ウォルシュ『ニューヨーク1997 ジョン・カーペンター映画術』富永晶子訳、2021年12月、DU BOOKS


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
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[[Category:アメリカ合衆国のスリラー映画]]
[[Category:アメリカ合衆国のスリラー映画]]
[[Category:ディストピア映画]]
[[Category:ディストピア映画]]
[[Category:アトランタで製作された映画作品]]
[[Category:セントルイスで製作された映画作品]]
[[Category:ニューヨーク市で製作された映画作品]]
[[Category:ロサンゼルスで製作された映画作品]]
[[Category:ニューヨーク市を舞台とした映画作品]]
[[Category:ニューヨーク市を舞台とした映画作品]]
[[Category:ジョン・カーペンターの監督映画]]
[[Category:ジョン・カーペンターの監督映画]]
[[Category:架空のアメリカ合衆国大統領を題材とした映画作品]]
[[Category:高層ビルを舞台とした作品]]
[[Category:カルト映画]]
[[Category:ワールドトレードセンター]]

2024年8月21日 (水) 03:15時点における最新版

ニューヨーク1997
Escape from New York
監督 ジョン・カーペンター
脚本 ジョン・カーペンター
ニック・キャッスル
製作 デブラ・ヒル
ラリー・J・フランコ
出演者 カート・ラッセル
リー・ヴァン・クリーフ
アーネスト・ボーグナイン
ドナルド・プレザンス
アイザック・ヘイズ
ハリー・ディーン・スタントン
音楽 ジョン・カーペンター
アラン・ハワース
撮影 ディーン・カンディ
ジム・ルーカス
編集 トッド・ラムゼイ
配給 アメリカ合衆国の旗 アブコ・エンバシー
日本の旗 日本ヘラルド映画
公開 アメリカ合衆国の旗 1981年7月10日
日本の旗 1981年5月23日
上映時間 99分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
興行収入 $25,244,626[1]
次作 エスケープ・フロム・L.A.
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ニューヨーク1997』(原題:Escape from New York)は、1981年アメリカ映画

概要

[編集]

製作をアブコ・エンバシー、監督をジョン・カーペンター、主演をカート・ラッセルがそれぞれ担当した、近未来SF映画である。

オープニングのマンハッタンのイラストはCGではなく、段ボール箱にガムテープを貼りブラックライトを当てたものである。また、冒頭のスネーク・プリスキンがグライダーを使い、夜陰に乗じてニューヨークに侵入を試みるシーンで、グライダーに搭載された暗視野装置のモニタに映し出される風景映像は、ミニチュアをリスフィルムで撮影して光学合成をかけたものである。まだCGに莫大な予算が必要だった当時としては現実的かつ効果的な手法であり、その後しばらくの間は「CGを使いたいが予算がない」という作品で多用されるテクニックとなった。

1996年には続編『エスケープ・フロム・L.A.』が製作された。

ストーリー

[編集]

1988年、犯罪増加率が400%を突破したアメリカは、ニューヨーク・マンハッタン島を15メートルの巨大なコンクリート壁で囲み、一帯をまるごとアメリカ最大の刑務所とした。そこには終身刑の重犯罪者たちが集められ、週に1回セントラル・パークに投下される食料の配給以外は全て所内の囚人による自治に委ねられていた。

エネルギー危機によって米ソが開戦した第三次世界大戦が終結しつつあった1997年のある日、大統領専用機テロリストに乗っ取られ、マンハッタン島内に激突墜落させられる。大統領は脱出用ポッドで機外に逃れたが、救助に向かった強行突入部隊が発見したのはこじ空けられたポッドだけであり、大統領はすでに囚人たちによって拉致され、渡されたのは刑務所周辺を警備する全兵力の撤退を要求する囚人たちの要求書と、切り落とされた大統領の指1本だった。

大統領は米中ソの三国サミットへ向かう途中で、サミットでは参加国に対し、戦争の原因であるエネルギー問題を解決する核融合技術に関する発表内容が吹き込まれた録音テープを提示する予定だった。

警察本部長のホークは、元特殊部隊員で叙勲された英雄ながら、武装強盗の罪で終身刑の判決を受け、収監される予定だったスネーク・プリスキンを、放免を条件に刑務所内に単身潜入させることを思い付く。

嫌々ながら大統領救出作戦に同意したスネークは、頚動脈に24時間後に爆発するマイクロチップを注入されたうえでサプレッサー付きMAC10などの武器を渡され、グライダー世界貿易センタービルへ着地すると、大統領を人質に取ったギャングのリーダーや、街に蠢く囚人たちを相手に孤独な戦いを開始する。

キャスト

[編集]

※括弧内は日本語吹替[注釈 1](2017年8月25日発売のブルーレイに収録)。

その他の日本語吹替 - 此島愛子大久保正信石森達幸石丸謙二郎藤夏子藤本譲平林尚三、海沢昌代、小島敏彦秋元羊介水鳥鉄夫、東富士郎、幹本雄之三枝みち子

スタッフ

[編集]

<日本語版制作スタッフ>

演出:福永莞爾
翻訳:平田勝茂
効果:南部満治/大橋勝次
選曲:河合直
制作:ザック・プロモーション
テレビ初回放送日:1982年10月27日(水) 日本テレビ 水曜ロードショー
『ニューヨーク1997』 Blu-rayに収録
規格品番 DAXA-5201
販売元  KADOKAWA
発売日  2017年08月25日

評価

[編集]

レビュー・アグリゲーターRotten Tomatoesでは68件のレビューで支持率は85%、平均点は7.20/10となった[2]Metacriticでは12件のレビューを基に加重平均値が76/100となった[3]

関連作品

[編集]
メタルギア
コナミのテレビゲーム。主人公のソリッド・スネークのモデルは、本作の主人公スネーク・プリスキンであり、麻酔銃を持って単独潜入を行って敵から隠れながら倒していくなど、ストーリー的にも本作をモデルにしている部分が多い。
シリーズ第4作『メタルギアソリッド2』では、ソリッド・スネークが雷電に名を尋ねられた際に「イロコィ・プリスキン」海軍中尉と名乗っており、またスネーク・プリスキンと同階級である。「イロコィ」はアメリカ合衆国が手本とした連邦制を敷くインディアンの部族「イロコィ族」から取られており、また現地の言葉で「毒蛇」を意味する。
さらに続編の『メタルギアソリッド3』では、ネイキッド・スネーク(ビッグ・ボス)が片目を失明して眼帯を装着する経緯が描かれ、スネーク・プリスキンとは左右の目が反対ながら、より外見が近くなっている。
なお、カーペンターに対して『メタルギア』シリーズを盗作疑惑で訴えることを勧める声もあったが、彼がシリーズの生みの親である小島秀夫と良好な関係を築いていたなどの理由から訴えることはなかった[4][5]ほか、『メタルギアソリッド2』の限定版パンフレットではカーペンターからのコメントが寄稿されている。
魔界都市〈新宿〉
菊地秀行の小説。本作にインスパイアされた作品。
ロックアウト
内容に本作から盗用した部分があるとされ、裁判の結果賠償金の支払いを命じられている。

脚注

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注釈

[編集]
  1. ^ 初放送1982年10月27日 日本テレビ水曜ロードショー』。
  2. ^ 登場シーンカットにより本編未登場。
  3. ^ クレジットなし。

出典

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参考文献

[編集]
  • ジョン・ウォルシュ『ニューヨーク1997 ジョン・カーペンター映画術』富永晶子訳、2021年12月、DU BOOKS

外部リンク

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