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「フレガート (ロケット)」の版間の差分

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[[ファイル:Phobos Grunt base section model.jpg|thumb|275px|[[パリ航空ショー]]に展示されたフレガートの模型。[[フォボス・グルント]]探査機の軌道投入に使用されるものを再現している。]]
'''フレガート'''({{lang-ru|Фрегат}}, [[ラテン文字]]表記の例: Fregat, [[フリゲート]]の意味)とは、1990年代に[[ロシア]]の[[科学生産合同]][[ラボーチキン]]で開発されたロケットステージ。[[人工衛星]]や[[宇宙探査機]]を[[パーキング軌道]]からより高い軌道へ移す目的で設計された。現在は[[ソユーズ (ロケット)|ソユーズロケット]]や[[ゼニット (ロケット)|ゼニットロケット]]等の上ステージとして用いられている。
'''フレガート'''({{lang-ru|Фрегат}}, [[ラテン文字]]表記の例: Fregat, [[フリゲート]]、または[[グンカンドリ属|軍艦鳥]]の意味)とは、1990年代に[[ロシア]]の[[S・A・ラーヴォチュキン記念科学生産合同]]で開発されたロケットステージ。惑星探査機用のエンジンとして使われていたものをベースに、[[人工衛星]]や[[宇宙探査機]]を[[パーキング軌道]]からより高い軌道へ移動させる上段エンジンとして利用るために設計された。現在は[[ソユーズ (ロケット)|ソユーズロケット]]や[[ゼニット (ロケット)|ゼニットロケット]]等の上ステージとして用いられている。これを上段に搭載したソユーズフレガートロケットは、2000年2月に初めて打ち上げられた


== 設計 ==
== 設計 ==
フレガートの構造は独特のもので、6つの球体がリング状に並んだ形をしている。一般的な円筒形のロケットステージと異なり、直径3.5m、高さ1.5mと平べったい寸法を持つ。6つの球のうち4つは[[ロケットエンジンの推進剤|推進剤]]タンク、残りの2つは[[アビオニクス]]を収める区画に利用されている。乾燥重量は1トン程度だが、推進剤を含めると6.5トンになる<ref name="RSW">{{cite web
フレガートの構造は独特のもので、6つの球体がリング状につなげられた形をしている。一般的な円筒形のロケットステージと異なり、直径3.5 m、高さ1.5 mと平べったい寸法を持つ。6つの球形タンクのうち4つは[[ロケットエンジンの推進剤|推進剤]]タンク(燃料タンク2基、酸化剤タンク2基)だが、残りの2つは[[アビオニクス]]を収める区画に利用されている。乾燥重量は1トン程度、推進剤を含めると6.5トンになる<ref name="RSW">{{cite web
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リングの中心には[[ロケットエンジン]] "S5.92" を備えている。このエンジンは[[非対称ジメチルヒドラジン]] (UDMH) と[[四酸化二窒素]] (NTO) を推進剤として使用するもので、最大0.2k[[ニュートン|N]](2000kg重)の[[推力]]を1350秒間発生させることができる。宇宙空間で3年の設計寿命を持ち、20回以上の再点火が可能である<ref name="RSW" />。
リングの中心には[[ロケットエンジン]] S5.92 を備える。このエンジンは[[非対称ジメチルヒドラジン]] (UDMH) と[[四酸化二窒素]] (NTO) を推進剤として使用、最大20[[キログラム]]の[[推力]]を1,350秒間発生る。宇宙空間で3年の設計寿命を持ち、20回以上の再点火が可能である<ref name="RSW" />。この再点火能力のため、フレガートは複雑な軌道投入シーケンスを柔軟に実行できる

== フレガートSB ==
フレガートはソユーズロケット用に開発されたが、[[ゼニット (ロケット)|ゼニットロケット]]で使用するには推進薬の量が不足する事から下側にドーナツ状のタンクを増設したのがフレガートSBである。このドーナツ状のタンクは燃料を使い切ると切り離されて投棄される設計。このロケットを搭載したゼニットロケットは2011年1月20日に初めて打ち上げられた。


== 参考文献 ==
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* [http://www.roscosmos.ru/451/ Фрегат] ロシア連邦宇宙局のフレガートページ{{ru icon}}
* [http://www.roscosmos.ru/449/ Фрегат-СБ] ロシア連邦宇宙局のフレガートSBページ{{ru icon}}


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2014年10月11日 (土) 19:22時点における最新版

パリ航空ショーに展示されたフレガートの模型。フォボス・グルント探査機の軌道投入に使用されるものを再現している。

フレガートロシア語: Фрегат, ラテン文字表記の例: Fregat, フリゲート、または軍艦鳥の意味)とは、1990年代にロシアS・A・ラーヴォチュキン記念科学生産合同で開発されたロケットステージ。惑星探査機用のエンジンとして使われていたものをベースに、人工衛星宇宙探査機パーキング軌道からより高い軌道へ移動させる上段エンジンとして利用するために設計された。現在はソユーズロケットゼニットロケット等の上段ステージとして用いられている。これを上段に搭載したソユーズフレガートロケットは、2000年2月に初めて打ち上げられた。

設計

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フレガートの構造は独特のもので、6つの球体がリング状につなげられた形をしている。一般的な円筒形のロケットステージと異なり、直径3.5 m、高さ1.5 mと平べったい寸法を持つ。6つの球形タンクのうち4つは推進剤タンク(燃料タンク2基、酸化剤タンク2基)だが、残りの2つはアビオニクスを収める区画に利用されている。乾燥重量は1トン程度で、推進剤を含めると6.5トンになる[1]

リングの中心にはロケットエンジン S5.92 を備える。このエンジンは非対称ジメチルヒドラジン (UDMH) と四酸化二窒素 (NTO) を推進剤として使用し、最大20キログラム推力を1,350秒間発生する。宇宙空間で3年の設計寿命を持ち、20回以上の再点火が可能である[1]。この再点火能力のため、フレガートは複雑な軌道投入シーケンスを柔軟に実行できる。

フレガートSB

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フレガートはソユーズロケット用に開発されたが、ゼニットロケットで使用するには推進薬の量が不足する事から下側にドーナツ状のタンクを増設したのがフレガートSBである。このドーナツ状のタンクは燃料を使い切ると切り離されて投棄される設計。このロケットを搭載したゼニットロケットは2011年1月20日に初めて打ち上げられた。

参考文献

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  1. ^ a b Anatoly Zak. “Fregat space tug”. RussianSpaceWeb.com. 2010年9月13日閲覧。

外部リンク

[編集]
  • Фрегат ロシア連邦宇宙局のフレガートページ(ロシア語)
  • Фрегат-СБ ロシア連邦宇宙局のフレガートSBページ(ロシア語)