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「デ・ハビランド・カナダ DHC-3」の版間の差分

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[[Image:C-FUKN-Northway-Aviation-DHC-3-Otter-2.jpg|thumb|250px|right|レシプ機のオッター水上機]]
[[Image:C-FUKN-Northway-Aviation-DHC-3-Otter-2.jpg|thumb|right|250px|フートを装備したDHC-3 オッター]]
'''デ・ハビランド・カナダ DHC-3 オッター''' (de Havilland Canada DHC-3 Otter) は、[[カナダ]]の[[デ・ハビランド・カナダ]]社が開発した単発[[航空機の離着陸方法#STOL|STOL]][[レシプロ]]機。愛称のオッターとは[[カワウソ]]の意である。
[[Image:Turbo Otter on Wheel-Skiis.JPG|thumb|250px|right|ターボプロップなったオッター(雪上型)]]
{{commons|DHC-3 Otter}}
'''DHC3オッター (De Havilland Canada DHC-3 Otter)'''とは[[デハビランド・カナダ]]社(現在の[[ボンバルディア・エアロスペース]])が開発した単発レシプロ輸送機である。なおオッターとは「[[カワウソ]]」の意である。14席の旅客機として日本の日東航空でも運航された。


== 機体の概要 ==
== 概要 ==
[[Image:Turbo Otter on Wheel-Skiis.JPG|thumb|right|250px|ターボプロップエンジン換装されDHC-3 オッター]]
オッターは[[1951年]]に開発が始まった[[DHC-2ビーバー]]輸送機を大型化したもので、[[1953年]]に初飛行したSTOL汎用輸送機である。車輪は固定式であったが、フロートを装着して完全な水上機に改造された機体もある。主にアメリカ合衆国やカナダなどで軍事用輸送機として導入された(アメリカ軍での呼称はU-1)。また双発機にしてパワーアップした機体にツインオッターがある。
カナダのオンタリオ・プロヴィンシャル・エアサービス(OPAS)社は、[[デ・ハビランド・カナダ DHC-2|DHC-2 ビーバー]]の導入が好成果をもたらしたことから、デ・ハビランド・カナダ社に対し同等の性能でペイロードをさらに増やした機体の開発ができれば20機発注したいと通知した。こうして開発が始まった本機は、当初キングビーバー(King Beaver)という愛称だったが、間もなくオッターへと変更され、[[1951年]][[12月12日]]に初飛行した。基本的な外見はビーバーとほぼ同じだが、胴体と主翼を約3m伸ばし、重量を50%増やした機体となり、それに伴いエンジンもより強力なものを搭載している。クルー2名の他に折り畳み式の座席に乗客9名が搭乗でき、救急機として担架6床を収容することも可能。貨物の搭載用にキャビン床も強化されている。ビーバーと同様、降着装置には[[スキー]]や[[フロート]]を装備することが可能である。


[[1952年]][[12月5日]]に形式証明が下り、前述のOPAS社を含む最初の納入先への引き渡しが始まった。主に僻地での貨客輸送機として使用され、評判は非常に高く、「オッターのパイロットが町へ出てくるのは年に一度。機体の[[オーバーホール]]と自分の髭を剃る時だけである」とさえ言われたという。軍用輸送機としても[[アメリカ合衆国|アメリカ]]など多くの国で導入された(アメリカ軍での呼称は'''U-1''')。生産は[[1967年]]に終了し、生産された466機の内359機は軍用機として使用されたものだった。
== 日本のオッター ==
[[1958年]][[5月3日]]に、[[日東航空]]がJA3115機を導入し「つばめ号」(客席数14)として就航した。しかしつばめ号は[[1963年]][[5月1日]]に[[兵庫県]][[三原郡]][[南淡町]](現在の[[南あわじ市]])にある[[諭鶴羽山]]へ墜落したため喪失した([[日東航空つばめ号墜落事故]])


ビーバーと異なり本機の[[ターボプロップエンジン|ターボプロップ]]型は開発されなかったが、いくつかの会社がターボプロップエンジンへの換装を請け負った他、デ・ハビランド・カナダ社は本機をターボプロップ双発とした[[デ・ハビランド・カナダ DHC-6|DHC-6 ツイン・オッター]]を開発している。
== 機体性能 ==
* 最高速度:285km/h
* 航続距離:1,545km
* 実用上昇限界高度:5,460m(17,900フィート)
* エンジン:[[プラット・アンド・ホイットニー R-1340]]レシプロエンジン 1基600馬力


== 採用国(軍用) ==
[[Category:カナダの航空機|DHC-003]]
[[ファイル:US Army DeHavilland U-1A-DH Otter.jpg|250px|サムネイル|[[アメリカ陸軍]]のU-1A]]
[[Category:旅客機|DHC-003]]
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== 日本のDHC-3 ==
[[en:De_Havilland_Canada_DHC-3_Otter]]
[[1958年]][[5月3日]]に、[[日東航空]]がJA3115機を導入し「つばめ号」(客席数14)として就航した。しかしつばめ号は[[1963年]][[5月1日]]に[[兵庫県]][[三原郡]][[南淡町]](現在の[[南あわじ市]])にある[[諭鶴羽山]]へ墜落したため喪失した([[日東航空つばめ号墜落事故]])
[[fr:DHC-3]]

[[no:De_Havilland_Canada_DHC-3_Otter]]
== 諸元 ==
<small>出典:「週刊エアクラフト」No.160 [[1991年]] p.4</small>
* 全長:12.75 m
* 全幅:17.68 m
* 全高:3.84 m
* 翼面積:34.84 m<sup>2</sup>
* 自重:2,400 kg
* 最大離陸重量:3,600 kg
* エンジン[[プラット・アンド・ホイットニー R-1340]](600馬力)[[星形エンジン]] 1基
* 最高速度:260 km/h
* 巡航速度:222 km/h
* 実用上昇限度:5,000 m
* 航続距離:1,500 km
* 乗員:9-11名

== 参考文献 ==
* 分冊百科「週刊 ワールド・エアクラフト」No.155 [[2002年]] [[デアゴスティーニ]]社

== 外部リンク ==
{{commons|DHC-3 Otter}}
* [http://www.airliners.net/info/stats.main?id=179 The De Havilland Canada DHC3 Otter], www.airliners.net
* [http://www.oldwings.nl/content/dhc3/dhc3.htm DHC-3 Otter - A History], www.oldwings.nl
* [http://www.aviation.technomuses.ca/collections/artifacts/aircraft/deHavillandCanadaDHC-3Otter/ de Havilland Canada DHC-3 CC-123 Otter], www.aviation.technomuses.ca
{{アメリカ軍の汎用機}}
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:てはひらんとかなたDHC3}}
[[Category:カナダの航空機]]
[[Category:旅客機]]

2021年10月9日 (土) 09:53時点における最新版

フロートを装備したDHC-3 オッター

デ・ハビランド・カナダ DHC-3 オッター (de Havilland Canada DHC-3 Otter) は、カナダデ・ハビランド・カナダ社が開発した単発STOLレシプロ機。愛称のオッターとはカワウソの意である。

概要

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ターボプロップエンジンに換装されたDHC-3 オッター

カナダのオンタリオ・プロヴィンシャル・エアサービス(OPAS)社は、DHC-2 ビーバーの導入が好成果をもたらしたことから、デ・ハビランド・カナダ社に対し同等の性能でペイロードをさらに増やした機体の開発ができれば20機発注したいと通知した。こうして開発が始まった本機は、当初キングビーバー(King Beaver)という愛称だったが、間もなくオッターへと変更され、1951年12月12日に初飛行した。基本的な外見はビーバーとほぼ同じだが、胴体と主翼を約3m伸ばし、重量を50%増やした機体となり、それに伴いエンジンもより強力なものを搭載している。クルー2名の他に折り畳み式の座席に乗客9名が搭乗でき、救急機として担架6床を収容することも可能。貨物の搭載用にキャビン床も強化されている。ビーバーと同様、降着装置にはスキーフロートを装備することが可能である。

1952年12月5日に形式証明が下り、前述のOPAS社を含む最初の納入先への引き渡しが始まった。主に僻地での貨客輸送機として使用され、評判は非常に高く、「オッターのパイロットが町へ出てくるのは年に一度。機体のオーバーホールと自分の髭を剃る時だけである」とさえ言われたという。軍用輸送機としてもアメリカなど多くの国で導入された(アメリカ軍での呼称はU-1)。生産は1967年に終了し、生産された466機の内359機は軍用機として使用されたものだった。

ビーバーと異なり本機のターボプロップ型は開発されなかったが、いくつかの会社がターボプロップエンジンへの換装を請け負った他、デ・ハビランド・カナダ社は本機をターボプロップ双発としたDHC-6 ツイン・オッターを開発している。

採用国(軍用)

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アメリカ陸軍のU-1A
アルゼンチンの旗 アルゼンチン
オーストラリアの旗 オーストラリア
バングラデシュの旗 バングラデシュ
ビルマの旗 ビルマ連邦
カナダの旗 カナダ
 チリ
コスタリカの旗 コスタリカ
エチオピアの旗 エチオピア
イギリスの旗 イギリス
ガーナの旗 ガーナ
インドネシアの旗 インドネシア
インドの旗 インド
カンボジアの旗 カンボジア
ニカラグアの旗 ニカラグア
ナイジェリアの旗 ナイジェリア
 ノルウェー
ニュージーランドの旗 ニュージーランド
パナマの旗 パナマ
フィリピンの旗 フィリピン
パラグアイの旗 パラグアイ
タンザニアの旗 タンザニア
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国

日本のDHC-3

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1958年5月3日に、日東航空がJA3115機を導入し「つばめ号」(客席数14)として就航した。しかし、つばめ号は1963年5月1日兵庫県三原郡南淡町(現在の南あわじ市)にある諭鶴羽山へ墜落したため喪失した(日東航空つばめ号墜落事故)。

諸元

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出典:「週刊エアクラフト」No.160 1991年 p.4

参考文献

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外部リンク

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