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「インボリュート曲線」の版間の差分

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'''インボリュート曲線'''(インボリュートきょくせん)は、その[[法線]]が常に一つの定円に接するような[[平面曲線]]である。'''円の[[伸開線]]''' (involute of circle) あるいは'''反[[クロソイド曲線|クロソイド]]''' (anti-clothoid) とも呼ばれる。固定されて回転しない円形のリールに巻き取られた糸を弛まないように引き、ほどいていくと、糸の端点はインボリュート曲線を描く。
[[Image:Involute of circle.png|thumb|140px|right|インボリュート曲線]]
'''インボリュート曲線(きょくせん)'''とは定円に糸を巻きつけて、糸の端を引っぱりながらほどくとき、その糸の先端が描く[[曲線]]である。'''円の伸開線'''(involute of circle)とも呼ばれる。[[パラメータ]]表示では<math>x=a(\cos \theta + \theta \sin \theta),y=a(\sin \theta - \theta \cos \theta)</math>で表される。


==外部リンク==
== 概要 ==
<gallery>
*[http://www.shirakami.or.jp/~eichan/java/javafr.html じゃばで数学]より
file:Involute of circle.png|インボリュート曲線
**[http://www.shirakami.or.jp/~eichan/java/java55/involute.html 円の伸開線(インボリュート) ]
file:Animated involute of circle.gif|糸を解く様子
file:Evolvent of circle.svg|伸開線の法線と円の接線
</gallery>

これを初めて研究したのは[[クリスティアーン・ホイヘンス|ホイヘンス]]である。ホイヘンスは[[等時性]]を示す[[振り子#サイクロイド振り子|擺線振子]]を作るために、円の伸開線を用いた。

[[媒介変数]]表示では
:<math>\begin{cases} x=a(\cos\theta +\theta\sin\theta),\\ y=a(\sin\theta -\theta\cos\theta)\end{cases}</math>
で表される。[[代数螺旋]] (アルキメデスの螺旋) と曲線の形状は似ているが、同一ではない。

== 応用 ==
一つの円とそれに接する一つの直線を取る。円に沿って直線を滑ることなく回転させるとき、直線上の任意の点が描く軌跡は円の伸開線と相似になる。

運動学的に見れば、速度と回転速度を一定に保ったまま運動する物体の描く軌跡が円の伸開線となる。速度が一定で、回転速度が線型に増加する物体が描く軌跡が[[クロソイド]]であることから、円の伸開線の別名として反クロソイドの名がある。

[[file:Involute_wheel.gif|thumb|right|インボリュート歯車の歯の接触面]]
[[歯車]]の歯の形には円の伸開線の一部が使われている([[インボリュート歯車]])。これは、二つの歯が接する点における接線が共通するような形になっているため、歯車の回転速度が一定になり、歯車の間のエネルギー伝導が最適になることが望めるからである。このような歯車に関して、他にも様々な注目すべき性質がある。

エアコンの室外機であるコンプレッサー(圧縮機)には、スクロール方式が採用されている。固定スクロールと可動スクロールはインボリュート曲線が使われている<ref>[[西山豊]] [http://yutaka-nishiyama.sakura.ne.jp/math2010j/oldham_j.pdf 「オルダム継手からエアコンまで」『数学を楽しむ』現代数学社、2007年(補足版)]</ref>。

==脚注==
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== 関連項目 ==
* [[歯車]]
* [[クロソイド]]
* [[螺旋]]
* [[伸線]]

== 外部リンク ==
* {{MathWorld|urlname=CircleInvolute|title=Circle Involute}}
* [http://www.mathcurve.com/courbes2d/developpantedecercle/developpantedecercle.shtml Mathcurve.com, 円の伸開線(仏語)]


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[[Category:数学に関する記事]]
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[[sv:Cirkelevolvent]]
[[zh:漸伸線]]

2021年12月10日 (金) 18:41時点における最新版

インボリュート曲線(インボリュートきょくせん)は、その法線が常に一つの定円に接するような平面曲線である。円の伸開線 (involute of circle) あるいはクロソイド (anti-clothoid) とも呼ばれる。固定されて回転しない円形のリールに巻き取られた糸を弛まないように引き、ほどいていくと、糸の端点はインボリュート曲線を描く。

概要

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これを初めて研究したのはホイヘンスである。ホイヘンスは等時性を示す擺線振子を作るために、円の伸開線を用いた。

媒介変数表示では

で表される。代数螺旋 (アルキメデスの螺旋) と曲線の形状は似ているが、同一ではない。

応用

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一つの円とそれに接する一つの直線を取る。円に沿って直線を滑ることなく回転させるとき、直線上の任意の点が描く軌跡は円の伸開線と相似になる。

運動学的に見れば、速度と回転速度を一定に保ったまま運動する物体の描く軌跡が円の伸開線となる。速度が一定で、回転速度が線型に増加する物体が描く軌跡がクロソイドであることから、円の伸開線の別名として反クロソイドの名がある。

インボリュート歯車の歯の接触面

歯車の歯の形には円の伸開線の一部が使われている(インボリュート歯車)。これは、二つの歯が接する点における接線が共通するような形になっているため、歯車の回転速度が一定になり、歯車の間のエネルギー伝導が最適になることが望めるからである。このような歯車に関して、他にも様々な注目すべき性質がある。

エアコンの室外機であるコンプレッサー(圧縮機)には、スクロール方式が採用されている。固定スクロールと可動スクロールはインボリュート曲線が使われている[1]

脚注

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関連項目

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外部リンク

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  • Weisstein, Eric W. "Circle Involute". mathworld.wolfram.com (英語).
  • Mathcurve.com, 円の伸開線(仏語)