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「グラストンベリー・トー」の版間の差分

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'''グラストンベリー・トー'''、'''グラストンベリー・トア'''('''Glastonbury Tor''')は、[[イギリス]]の[[サマセット]]の[[グラストンベリー]]近郊にある[[丘]]。[[高さ|海抜]]145メートルで、丘の頂上付近にある屋根が無い旧聖ミカエル教会が特徴的である。[[ナショナル・トラスト]]によって管理されている。
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かつてサマセット一帯は湖や湿地帯が広がっており、これらが干拓されてしまう以前は、グラストンベリー・トーは島のように湿地の中に浮かんでいた。古代よりケルト人などの聖地であったほか、[[アーサー王伝説]]に登場する伝説の島・[[アヴァロン]]をグラストンベリー・トーに同定する説もあり、12世紀末には[[アーサー王]]と[[グィネヴィア]]王妃の遺体とされる骨や棺がグラストンベリー修道院長らによって頂上から「発掘」され、修道院に埋葬されたと伝わっている。
== 伝説 ==
かつてサマセット一帯は湖や湿地帯が広がっており、これらが干拓されてしまう以前は、グラストンベリー・トーは島のように湿地の中に浮かんでいた。
最も古い伝説によれば、[[ケルト神話]]に登場する[[アンヌン]]の王[[グウィン・アプ・ニーズ]]が住んだ地とされている<ref name="Evans">シャーン・エヴァンズ 『英国の幽霊伝説:ナショナル・トラストの建物と怪奇現象』 田口未和訳 原書房 2015年初版第1刷 ISBN 9784562051250 pp.137-141.</ref>。
[[アーサー王伝説]]に登場する伝説の島・[[アヴァロン]]をグラストンベリー・トーに同定する説もあり、12世紀末には[[アーサー王]]と[[グィネヴィア]]王妃の遺体とされる骨や棺がグラストンベリー修道院長らによって頂上から「発掘」され、修道院に埋葬されたと伝わっている。

[[キリスト教]]にまつわる伝説として、[[ナザレのイエス]]の叔父である[[アリマタヤのヨセフ]]が錫貿易の旅に幼いイエスを同行させ、この地を訪れた。イエスの死後、ヨセフがアヴァロン島を再訪したところ、地面に置いた荷物が根を生やし「[[セイヨウサンザシ|聖なるいばらの冠]] (The Holy Thorn)」になったという<ref name="Evans"/>。また、イギリスの[[聖杯伝説]]のひとつでは、ヨセフが持ち込んだ聖杯はヨセフの死と伴にグラストンベリーにほど近い[[チャリスヒル]]に葬られたといわれる。ヨセフはグラストンベリー・トーの麓にイギリス初の[[礼拝堂]]を建てたとも言われ<ref name="Evans"/>、後にグラストンベリー修道院へと成長し多くの巡礼者を集めた。グラストンベリー修道院は[[ヘンリー8世 (イングランド王)|ヘンリー8世]]の[[修道院解散]]によって閉鎖されるが、抵抗した修道士によって聖杯や[[聖遺物]]などがグラストンベリー・トーの地下洞窟に隠されたという伝説もある<ref name="Evans"/>。

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==文化的影響==
[[File:2012 Summer Olympics opening ceremony 3429.jpg|thumb|right|250px|ロンドンオリンピックの開会式、「グラストンベリー・トー丘をモデルにした丘」を取り囲むように立てられた参加国の国旗]]
[[2012年ロンドンオリンピックの開会式]]では、会場にこの丘をモデルにした丘の模型が作られ、アトラクションに中心に位置づけられるとともに参加国の国旗掲揚場所に使用された。

== 脚注 ==
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2022年12月4日 (日) 05:25時点における最新版

グラストンベリー・トー
標高 145m
位置 北緯51度8分36秒 西経2度41分57秒 / 北緯51.14333度 西経2.69917度 / 51.14333; -2.69917座標: 北緯51度8分36秒 西経2度41分57秒 / 北緯51.14333度 西経2.69917度 / 51.14333; -2.69917
所在地 イギリスサマセット
プロジェクト 山
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グラストンベリー・トーグラストンベリー・トアGlastonbury Tor)は、イギリスサマセットグラストンベリー近郊にある海抜145メートルで、丘の頂上付近にある屋根が無い旧聖ミカエル教会が特徴的である。ナショナル・トラストによって管理されている。

サマセットの農村地帯に突き出たグラストンベリー・トー

伝説

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かつてサマセット一帯は湖や湿地帯が広がっており、これらが干拓されてしまう以前は、グラストンベリー・トーは島のように湿地の中に浮かんでいた。 最も古い伝説によれば、ケルト神話に登場するアンヌンの王グウィン・アプ・ニーズが住んだ地とされている[1]アーサー王伝説に登場する伝説の島・アヴァロンをグラストンベリー・トーに同定する説もあり、12世紀末にはアーサー王グィネヴィア王妃の遺体とされる骨や棺がグラストンベリー修道院長らによって頂上から「発掘」され、修道院に埋葬されたと伝わっている。

キリスト教にまつわる伝説として、ナザレのイエスの叔父であるアリマタヤのヨセフが錫貿易の旅に幼いイエスを同行させ、この地を訪れた。イエスの死後、ヨセフがアヴァロン島を再訪したところ、地面に置いた荷物が根を生やし「聖なるいばらの冠 (The Holy Thorn)」になったという[1]。また、イギリスの聖杯伝説のひとつでは、ヨセフが持ち込んだ聖杯はヨセフの死と伴にグラストンベリーにほど近いチャリスヒルに葬られたといわれる。ヨセフはグラストンベリー・トーの麓にイギリス初の礼拝堂を建てたとも言われ[1]、後にグラストンベリー修道院へと成長し多くの巡礼者を集めた。グラストンベリー修道院はヘンリー8世修道院解散によって閉鎖されるが、抵抗した修道士によって聖杯や聖遺物などがグラストンベリー・トーの地下洞窟に隠されたという伝説もある[1]

レイライン説によれば、グラストンベリー・トーはアーサー王伝説にまつわる遺跡を繋ぐセントメアリー・ラインとセントマイケル・ラインが交叉するポイントに位置すると言う[1]。現代のアーサー王伝説研究家たちは、ダウジングによってグラストンベリー・トーの地下に迷路状の立体構造が確認できたと主張している[1]。また、UFOや宇宙人との遭遇体験など、超常現象の目撃情報が絶えない神秘的な場所としても知られている。[2]


文化的影響

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ロンドンオリンピックの開会式、「グラストンベリー・トー丘をモデルにした丘」を取り囲むように立てられた参加国の国旗

2012年ロンドンオリンピックの開会式では、会場にこの丘をモデルにした丘の模型が作られ、アトラクションに中心に位置づけられるとともに参加国の国旗掲揚場所に使用された。

脚注

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  1. ^ a b c d e f シャーン・エヴァンズ 『英国の幽霊伝説:ナショナル・トラストの建物と怪奇現象』 田口未和訳 原書房 2015年初版第1刷 ISBN 9784562051250 pp.137-141.
  2. ^ パイ インターナショナル『世界の美しくてミステリアスな場所』2020年5月18日