「小姓」の版間の差分

履歴の双方向閲覧

← 古い編集

削除された内容追加された内容

ビジュアルウィキテキスト

インライン

2023年2月22日 (水) 02:32時点における最新版

小姓（こしょう）とは、武士の職の一つで、武将の身辺に仕え、諸々の雑用を請け負う。同音の「扈従（貴人に付き従う人）」に由来し、「小性」とも表記される^[1]。

中世の小姓[編集]

小姓の名は室町時代に現れ、室町幕府の将軍の近侍に「小姓衆」の語が見られる^[1]。

戦国時代の小姓には主に若年者が就いた。平時には秘書のような役割をこなした。戦時・行軍のときは特に主君の盾として命を捨てて守る役目が大きかったため、幅広い知識と一流の作法と武芸を身につけていなくてはならなかった。このため、成長すると主君の側近として活躍する者も多かった^[2]。

また、主君の戦国大名が小姓を男色の対象とした例も数多く見られた。

詳細は「衆道」を参照

豊臣秀吉、徳川家康は、大名家の子弟を小姓という名目で事実上人質にとっていた^[要出典]。

江戸時代の小姓[編集]

幕府や諸藩の職制に小姓が見られる。江戸時代の小姓は、秘書としての役割を側用人・側衆・近習出頭役・御側御用取次役・右筆等に譲り、主君に近侍して、小納戸役と協力して身辺の雑務に従い、日常生活に関する取次を行った。建前上の役目の第一は、将軍・藩主などの主君の警護であった^[要出典]。

江戸幕府の小姓[編集]

江戸幕府の小姓は、よく似た名称の小姓組（表御殿の警備を行う番方）や中奥小姓（表御殿の儀礼に従事）と区別するために奥小姓、側小姓、近習小姓ともいう^[3]。若年寄支配で、役高500石、小禄（家禄1000石以下）の者は役料300俵を支給された^[1]。就任すると1年ほどで従五位下に叙任される諸大夫役^[3]。

人数は20人から30人で、同輩中の世話役が小姓頭取を務めた^[1]。多い時には40人ほどいて、交代で将軍に近似し、将軍が中奥で就寝するときは、近くの部屋で宿直した^[3]。

中奥小姓、小納戸などから登用され、留守居、百人組頭、徒頭、新番頭、先手頭、目付、小納戸頭取などさまざまな役職に転任した^[3]。

諸藩の小姓[編集]

諸藩の小姓は、藩ごとに職務や地位が異なる。藩によっては小（児）小姓、中小姓、大小姓などに分かれる。小姓より小納戸役の方が上席である場合もある。また、米沢藩や紀州藩、柳河藩などでは小姓や小納戸役を統括する小姓頭が置かれた。

藩主の中には、元服したての優秀な若い藩士を小姓・側用人等に任じて、将来自分の手足として働けるような人材に育成する事を心がける藩主もいた。例えば、永代家老の嫡子・総領として生まれた場合は、小姓→用人職（側用人を含む）→家老職、あるいは、小姓→家老見習い→家老職と、班を進めることが多かった。また、藩主の元服前の男子のお相手役・側衆として、上級家臣の子弟が、部屋住み身分で小姓として、召し出されることもあった。小姓は物理的に主君に最も近い位置で奉公し、その警護と枢機に与ったため、小姓に任じられた者は、親族を含む他家との交際を禁止する藩もあった。

その他の小姓[編集]

幕臣である旗本のうち、相当数の家臣団を抱える大身旗本の場合は、次男・三男などの庶子のうち、他家に養子に行きそびれた者の直系子孫は、その旗本家の家臣取り扱いとなり、中小姓（中奥小姓）となることが多かった^[要出典]。ただし、諸大名においては同様の場合、給人格（給人席）となることはあっても、中小姓となることはまず無かった。また、貧しい武士の次男・三男は、口減らしと学問習得などの理由で寺に売られるなどして、「寺小姓」として僧侶の身の回りの世話などをした^[要出典]。

一般的には大抵十八・十九と成人する頃には、纏まった金をもらって御家人株・諸藩の足軽株を買う者、あるいは町家に囲われるなどして（援助を受けて）寺を出された（寺小姓から解放された）者、及び妻子を持って所帯を持っても、いわば公認・法律婚によるものでなく、その子供は、武士と認められずに町民・百姓となる者などがあった^[要出典]。

著名な小姓経験者[編集]

※ 上記以外のものを挙げる。（）内は小姓時代の主君。ただし戦国時代のものについては死後数十年から数百年経過した二次史書によるものもあり、信憑性は保障できない。

脚注[編集]

[脚注の使い方]

^ ^a ^b ^c ^d 扈従コトバンク
^ 川口素生『戦国軍師人名事典』学習研究社、2009年、18頁。
^ ^a ^b ^c ^d 松平太郎『江戸時代制度の研究上巻』武家制度研究会, 1919年, p. 356-359.

@@ 1行目: / 1行目: @@
 {{出典の明記|date= 2015年6月}}
+{{混同|小姓組|中奥小姓}}
+'''小姓'''（こしょう）とは、[[武士]]の職の一つで、[[武将]]の身辺に仕え、諸々の雑用を請け負う。同音の「扈従（貴人に付き従う人）」に由来し、「小性」とも表記される<ref name="kotobank">[https://kotobank.jp/word/%E6%89%88%E5%BE%93-501363　扈従]コトバンク</ref>。
+== 中世の小姓 ==
-'''小姓'''（こしょう）とは、[[武士]]の職の一つで、[[武将]]の身辺に仕え、諸々の雑用を請け負う。「扈従」に由来し、「小性」とも表記される。
+小姓の名は[[室町時代]]に現れ、[[室町幕府]]の[[征夷大将軍|将軍]]の近侍に「小姓衆」の語が見られる<ref name="kotobank" />。
+[[戦国時代 (日本)|戦国時代]]の小姓には主に若年者が就いた。平時には[[秘書]]のような役割をこなした。戦時・行軍のときは特に主君の盾として命を捨てて守る役目が大きかったため、幅広い知識と一流の作法と武芸を身につけていなくてはならなかった。このため、成長すると主君の側近として活躍する者も多かった<ref name="戦国軍師18">{{Cite book|和書|author=川口素生|authorlink=川口素生|title=戦国軍師人名事典|publisher=[[学習研究社]]|year=2009|page=18}}</ref>。
-== 各時代の小姓 ==
-=== 戦国時代・安土桃山時代 ===
-小姓には主に若年者が着いた。平時には[[秘書]]のような役割をこなした。戦時・行軍のときは特に主君の盾として命を捨てて守る役目が大きかったため、幅広い知識と一流の作法と武芸を身につけていなくてはならなかった。このため、成長すると主君の側近として活躍する者も多かった。<ref name="戦国軍師18">{{Cite book|和書|author=川口素生|authorlink=川口素生|title=戦国軍師人名事典|publisher=[[学習研究社]]|year=2009|page=18}}</ref>
 また、主君の[[戦国大名]]が小姓を[[男色]]の対象とした例も数多く見られた。{{main|[[衆道]]}}
-[[豊臣秀吉]]、[[徳川家康]]は、[[大名]]家の子弟を小姓という名目で事実上[[人質]]にとっていた。その後、泰平の世となると次第に変化をみせた。
+[[豊臣秀吉]]、[[徳川家康]]は、[[大名]]家の子弟を小姓という名目で事実上[[人質]]にとっていた{{要出典|date=2023年2月}}。
-=== 江戸時代 ===
+== 江戸時代の小姓 ==
-幕府や[[諸藩]]の職制では、秘書としての役割は[[側用人]]・[[側衆]]・近習出頭役・[[御側御用取次]]役等が担い、小姓は、主君に近侍して雑務や日常生活に必要な取り次ぎをすることが主な仕事となっていったが、建前上の役目の第一は、将軍・藩主などの主君の警護であった。
+幕府や[[諸藩]]の職制に小姓が見られる。江戸時代の小姓は、秘書としての役割を[[側用人]]・[[側衆]]・近習出頭役・[[御側御用取次]]役・[[右筆]]等に譲り、主君に近侍して、[[小納戸|小納戸役]]と協力して身辺の雑務に従い、日常生活に関する[[取次 (歴史学)|取次]]を行った。建前上の役目の第一は、将軍・藩主などの主君の警護であった{{要出典|date=2023年2月}}。
+=== 江戸幕府の小姓 ===
-小姓が主君に近侍しているため、その手先として働くのが[[小納戸|小納戸役]]である場合もあるが、藩によっては小姓より小納戸役の方が上席である場合もある。また、[[米沢藩]]や[[紀州藩]]、[[柳河藩]]などでは小姓や小納戸役を統括する[[小姓頭]]が置かれた。
+江戸幕府の小姓は、よく似た名称の[[小姓組]]（表御殿の警備を行う番方）や[[中奥小姓]]（表御殿の儀礼に従事）と区別するために'''奥小姓'''、'''側小姓'''、'''近習小姓'''ともいう<ref name="matsudaira">[{{NDLDC|980847/224}} 松平太郎『江戸時代制度の研究 上巻』武家制度研究会, 1919年, p. 356-359.]</ref>。[[若年寄]]支配で、[[足高の制|役高]]500石、小禄（家禄1000石以下）の者は[[役料]]300俵を支給された<ref name="kotobank" />。就任すると1年ほどで[[従五位|従五位下]]に叙任される[[諸大夫]]役<ref name="matsudaira" />。
+人数は20人から30人で、同輩中の世話役が小姓頭取を務めた<ref name="kotobank" />。多い時には40人ほどいて、交代で将軍に近似し、将軍が[[江戸城#本丸御殿|中奥]]で就寝するときは、近くの部屋で宿直した<ref name="matsudaira" />。
-藩主の中には、[[元服]]したての優秀な若い[[藩士]]を小姓・側用人等に任じて、将来自分の手足として働けるような人材に育成する事を心がける藩主もいた。例えば、永代家老の[[嫡子]]・総領として、生まれた場合は、小姓→用人職（側用人を含む）→家老職、あるいは、小姓→家老見習い→家老職と、班を進めることが多かった。また、藩主の元服前の男子のお相手役・側衆として、上級家臣の子弟が、部屋住み身分で小姓として、召し出されることもあった。小姓は、物理的に主君に最も近い位置で奉公し、その警護と、枢機に与ったため、小姓に任じられた者は、親族を含む他家との交際を禁止する藩もあった。
+[[中奥小姓]]、[[小納戸]]などから登用され、[[留守居]]、[[百人組|百人組頭]]、[[徒士|徒頭]]、[[新番|新番頭]]、[[先手組|先手頭]]、[[目付]]、小納戸頭取などさまざまな役職に転任した<ref name="matsudaira" />。
-幕臣である[[旗本]]のうち、相当数の家臣団を抱える[[大身]]旗本の場合は、次男・三男などの庶子のうち、他家に養子に行きそびれた者の直系子孫は、その旗本家の家臣取り扱いとなり、中小姓（中奥小姓）となることが多かった。ただし、諸大名においては同様の場合、[[給人]]格（給人席）となることはあっても、中小姓となることは、まず無かった。ちなみに藩によっては小（児）小姓、中小姓、大小姓に分かれるところもある。また、貧しい武士の次男・三男は、口減らしと学問習得などの理由で寺に売られるなどして、「寺小姓」として[[僧侶]]の身の回りの世話などをした。
+=== 諸藩の小姓 ===
-一般的には大抵十八・十九と成人する頃には、纏まった金をもらって御家人株・諸藩の[[足軽]]株を買う者、あるいは町家に囲われるなどして（援助を受けて）寺を出された（寺小姓から解放された）者、及び妻子を持って所帯を持っても、いわば公認・法律婚によるものでなく、その子供は、武士と認められずに町民・百姓となる者などがあった。
+諸藩の小姓は、藩ごとに職務や地位が異なる。藩によっては小（児）小姓、中小姓、大小姓などに分かれる。小姓より小納戸役の方が上席である場合もある。また、[[米沢藩]]や[[紀州藩]]、[[柳河藩]]などでは小姓や小納戸役を統括する[[小姓頭]]が置かれた。
+藩主の中には、[[元服]]したての優秀な若い[[藩士]]を小姓・側用人等に任じて、将来自分の手足として働けるような人材に育成する事を心がける藩主もいた。例えば、永代家老の[[嫡子]]・総領として生まれた場合は、小姓→用人職（側用人を含む）→家老職、あるいは、小姓→家老見習い→家老職と、班を進めることが多かった。また、藩主の元服前の男子のお相手役・側衆として、上級家臣の子弟が、部屋住み身分で小姓として、召し出されることもあった。小姓は物理的に主君に最も近い位置で奉公し、その警護と枢機に与ったため、小姓に任じられた者は、親族を含む他家との交際を禁止する藩もあった。
+=== その他の小姓 ===
+幕臣である[[旗本]]のうち、相当数の家臣団を抱える[[大身]]旗本の場合は、次男・三男などの庶子のうち、他家に養子に行きそびれた者の直系子孫は、その旗本家の家臣取り扱いとなり、中小姓（中奥小姓）となることが多かった{{要出典|date=2023年2月}}。ただし、諸大名においては同様の場合、[[給人]]格（給人席）となることはあっても、中小姓となることはまず無かった。また、貧しい武士の次男・三男は、口減らしと学問習得などの理由で寺に売られるなどして、「寺小姓」として[[僧侶]]の身の回りの世話などをした{{要出典|date=2023年2月}}。
+一般的には大抵十八・十九と成人する頃には、纏まった金をもらって御家人株・諸藩の[[足軽]]株を買う者、あるいは町家に囲われるなどして（援助を受けて）寺を出された（寺小姓から解放された）者、及び妻子を持って所帯を持っても、いわば公認・法律婚によるものでなく、その子供は、武士と認められずに町民・百姓となる者などがあった{{要出典|date=2023年2月}}。
 == 著名な小姓経験者 ==
@@ 43行目: / 53行目: @@
 == 関連項目 ==
-* [[小姓組]]
 * [[馬廻]] - 大将の警護職
 * [[小草履取り]]