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{{Otheruses||[[中山優馬]]の楽曲|とことん Got It!}}
'''貯金箱'''(ちょきんばこ)は、[[硬貨]]を[[貯金]]するための[[箱]]。
'''貯金箱'''(ちょきんばこ)は、[[硬貨]]を[[貯金]]するための[[箱]]。
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==用法==
== 歴史 ==
貯金箱の歴史は古く、[[前漢]]時代の中国や[[ポンペイ]]の遺跡などから発見されている<ref name="yu-cho">[https://www.yu-cho-f.jp/research/old/pri/reserch/monthly/2001/149-h13.02/149-museum.pdf 貯金箱] 一般財団法人ゆうちょ財団(2021年1月8日閲覧)</ref><ref name="amashin">[https://www.amashin.co.jp/sekai/p1.htm 尼崎信用金庫 世界の貯金箱博物館(貯金箱のお話)] 尼崎信用金庫(2021年1月8日閲覧)</ref><ref name="kinki">[http://www.cy-net.co.jp/kinkimasudakai/photo-haikingubu/photo-20170211-101.pdf 尼崎信用金庫 世界の貯金箱博物館] 近畿益田会(2021年1月8日閲覧)</ref>。
[[硬貨]]は[[貨幣]]として身近で、小額の決済に利用しやすいため、意識して貯めるためには、貯金箱のような[[容器]]が必要となる。また、商品購入の際に発生する釣り銭も、適切に管理されないと、乱雑になり収拾がつかなくなる。その解決方法として、硬貨用の収納容器として貯金箱が使われる場合がある。


==概要==
=== 中国 ===
[[File:CMOC Treasures of Ancient China exhibit - bronze cowrie container.jpg|thumb|石寨山古墓出土の七牛虎耳貯貝器(前漢初期)]]
貯金箱とは、現行の通貨のうち、小額の硬貨を貯めることを主目的とする。
中国の[[雲南省]]にある遺跡から出土した前漢時代の青銅製の貯貝器(ちょばいき)が最も古い例とされている<ref name="amashin" /><ref name="kinki" />。この遺跡は[[滇|滇国]]の王族の墓である石寨山古墓(せきさいさんこぼ)で、ここから「七牛貯貝器」が出土している。貯貝器は当時、貨幣として使用されていた[[子安貝]]を貯める筒状の容器であった<ref name="amashin" /><ref name="kinki" />。


=== 欧州 ===
古銭収集では、古銭自体に歴史的、美術的に価値を見いだす、もしくは、コレクション対象と見る事から、収納場所として貯金箱は適当でない。多くの貯金箱は構造上、コレクションの閲覧や整理、分類が困難であり、また、硬貨自体に傷をつける可能性もある。同様に記念硬貨やその他のコイン収集をする場合にも適当な保管場所ではない。
[[ヨーロッパ]]の貯金箱のルーツは[[教会]]で[[募金]]として[[貴金属]]の小片を入れてもらう献金箱だったといわれており、[[古代エジプト]]や[[古代ギリシャ]]、[[エルサレム]]の遺跡で発見されている<ref name="amashin" /><ref name="kinki" />。


[[アテネ]]やオリンピアにある遺跡からは紀元前300年頃の粘土製の貯金箱テサウロス(Thesauros)が発見されている<ref name="amashin" /><ref name="kinki" />。このテサウロスは[[金庫]]を意味するTresorの語源になった<ref name="amashin" /><ref name="kinki" />。一方、[[古代ローマ]]の遺跡からは紀元前3世紀から4世紀頃の陶器製で洋梨型の貯金箱が多数発見されている<ref name="amashin" /><ref name="kinki" />。
現行の貨幣制度で流通している硬貨や[[紙幣]]などの貨幣は、流通してこそ効果を発揮する性質の物である為、流通を妨げるような貨幣の貯蓄は、たいていの社会で歓迎されない。貯金箱とは、貨幣自体に充分に貨幣の流通量があり、それに影響を与えない範囲の、小額、もしくは、個人的な利用を前提とされている。


中世になると金属精錬や加工の技術が発達し、鍵付き貯金箱が出現するとともに、18世紀まで鉄製のシリンダー形の貯金箱がよく用いられた<ref name="amashin" /><ref name="kinki" />。
貯金箱は紙幣を貯めるには向かない。現行に充分な流通量のある硬貨に特化した構造を持ち、紙幣にあった投入口がないことや、硬貨ではあまり重要視されない耐火性が必要な点、高額な紙幣に適当な防犯性能を期待できないなど、紙幣の投入にはいくつかの問題がある。紙幣の保管には、[[金庫]]や[[銀行]]など他の手段を考慮すべきである。


=== 日本 ===
また紙幣同様に貝や刀銭など、現行通貨と異なる形状を持つ貨幣は投入口があわないことが多い。
[[日本]]の貯金箱のルーツはよくわかっていない<ref name="yu-cho" />。貯える、備えるという機能から縄文時代末期に現れた甕(かめ)や壺をルーツとする見方もある<ref name="amashin" /><ref name="kinki" />。


[[室町時代]]には[[伊賀国|伊賀]]で焼かれた「せんべい壺」が使用されたが、この壺は遺跡で銭が入って出土することが多く「銭瓶」(せんびょう)を入れるための壺の意味と考える説もある<ref name="amashin" /><ref name="kinki" />。
==構造==
===投入口===
多くの貯金箱は、厚みの薄い円形硬貨を入るのにちょうど良い大きさの投入口がついている。投入口は、硬貨の直径よりやや大きめの横幅と、硬貨の厚みよりやや大きめの高さ(縦幅)になっているため、一度いれた硬貨を投入口から出しにくい構造になっている。


[[江戸時代]]には「[[千両箱]]」や商家で用いられた「両銭箱」「銭箱」と呼ばれる箱があった<ref name="amashin" /><ref name="kinki" /><ref name="chikuma" />。また、品物を買ったときに余ったお金を貯める「堪忍箱」や[[えびす|恵比寿]]や[[大黒天]]をかたどった貯金箱もあった<ref name="yu-cho" />。しかし、江戸時代の金融は武士や商人、一部の農民などに限られており、商家の銭箱のほかは庶民が用いた竹製の銭筒や銭壺といった入れ物があるにすぎなかった<ref name="amashin" /><ref name="kinki" />。
===取出口===
多くの貯金箱に見られる特徴として、投入した硬貨を出す事が困難であることが挙げられる。投入口自体は前述したように取り出しにくい構造を持つ。また投入口以外の開口部が全くないものや、硬貨の取出口を底面の目立たない場所に配置している場合が多い。これによって、貯金している硬貨を利用するには、貯金箱がいっぱいになるか、貯金箱の破壊とつり合う程度の目的を必要とし、安易に硬貨を使用することを阻止する意味がある。


[[明治時代]]になると銀行制度や郵便貯金制度が始まり、一般の人々を対象とする貯金箱が普及し、蔵の形の貯金箱や[[今戸焼]]が発祥とされる宝珠型の「貯金玉」など陶器製の貯金箱が数多く作られるようになった<ref name="yu-cho" /><ref name="amashin" /><ref name="kinki" /><ref name="chikuma" />。陶芸品の産地では郷土人形や民芸品を題材にした貯金箱が作られるようになったほか、明治時代から[[大正時代]]末期にかけて恵比寿や大黒天だけでなく[[福助]]や[[招き猫]]など縁起物を題材にした貯金箱も出現した<ref name="amashin" /><ref name="kinki" /><ref name="chikuma" />。
===強度===
貯金箱自体は、基本的に、硬貨が貯まった場合の重量に耐えられる程度に丈夫である。但し、金庫と異なり、外からの意図的な破壊に対してどれくらい頑丈であるかは、それぞれにおいてことなる。開封の手段として貯金箱自体の破壊を想定された貯金箱もある。多くの場合、小額の硬貨のみを収納するため、金庫に比べると防犯機能は低い。


===大きさ===
== 名称 ==
日本では貯金箱と呼ばれているが、かつては貯金玉や富久箱(ふくばこ)などの呼び方もあった<ref name="kinki" />。英語ではMoney Box、Money Bank、Saving Bank、Penny Bankなどという<ref name="kinki" />。
多くの場合、貯金箱自体の大きさはそれほど大きくない。内容物を含んで人間が一人で移動できる程度の大きさである。ただし、貯金箱自体に様々な意匠が施されている場合や特定の目的をもつ場合はその限りではない。


== 素材と構造 ==
===その他===
=== 素材 ===
特別な意匠が無い場合、木製や金属製、プラスチック製の貯金箱は内部が見通しにくい。ガラスや透明なプラスチックを用いるか、容器の一部に硬貨がこぼれない程度の空洞を開けることで、貯金量を把握しやすく改良された物がある。
貯金箱の素材は土製、陶製、金属製、木製、竹製、紙製、皮製、ガラス製、石膏製、ゴム製、コルク製などがあるが、プラスチック製のものが多くなっている<ref name="amashin" /><ref name="kinki" />。このほかにヤシの実などの果実や毛糸などでできた貯金箱もある<ref name="amashin" /><ref name="kinki" />。ガラスや透明なプラスチックを用いるか、容器の一部に硬貨がこぼれない程度の空洞を開けることで、貯金量を把握しやすく改良された物がある。


==代用品==
=== 構造 ===
硬貨に合わせた大きさの投入口がついている。底面などに取出口が付いているものもあるが、貯金箱自体を壊さなければ硬貨を取り出せない構造のものもある。
空き瓶や、空き缶を利用した手作りの貯金箱を作成したり、丈夫な箱や瓶に収納することで代用する場合がある。多くの場合、強度や構造に、貯金箱としての機能性に欠ける部分があるが、利用者の運営方法によってカバーされることで貯金箱の代用として機能する。


== 保管と開封 ==
例えば、内容物の取り出しが自由な器を、貯金箱として代用した場合、運用方針として、器にはいった硬貨は取り出せない、というルールを作成し、それに忠実に実行することで、機能上貯金箱と同等の効果を上げる事ができる。
=== 鍵付き貯金箱 ===
鍵付きの貯金箱は中世のヨーロッパで生まれ、18世紀頃には南京錠が付けられた貯金箱が存在した<ref name="amashin" /><ref name="kinki" />。また、硬貨の投入口に抜き取りを防ぐための止め金を付けた貯金箱も現れた<ref name="amashin" /><ref name="kinki" />。


=== 貯金箱の開封 ===
歴史的には、穴あき銭が一般に流通していた時代には、丈夫な縄を通すことで、まとまった量の銭を持ち運びやすくする方法があった。ただし、これは、貯金に限って用いられる訳ではない。
[[ファイル:A money box and its cover.jpg|サムネイル|蓋を取った貯金箱]]
中世以降のヨーロッパや日本などでは陶器製の貯金箱が作られているが、取出口がないものは割って硬貨を取り出す<ref name="amashin" /><ref name="kinki" />。また、缶製の貯金箱は、缶切りで開ける。これらの方法は、一度開けてしまうと貯金箱としての機能を失うことを意味する。


== デザイン ==
==貯金箱の破壊==
=== 豚の貯金箱 ===
陶器製で、投入口以外の取出口のない貯金箱は、それを割ることで貯めた硬貨を取り出す。また、缶製の貯金箱は、缶切りで開ける。これらの破壊を伴う方法は、一度開けてしまうと貯金箱としての機能を失うことを意味する。
西洋では貯金箱のデザインにニワトリや豚をデザインしたものが多く、このうち豚は[[大アントニオス|アントニウス]]の豚に由来するという説がある<ref name="amashin" /><ref name="kinki" />([[エンブレム]]参照)。


イギリスでは、余ったコインを台所などにある赤い陶土(pygg)の[[陶器]]の壷に蓄えることがあり、これをピギー銀行 (pygg bank) と呼んだが、これが「子豚」を意味するpiggy を連想させたため、陶器製の豚が貯金箱に使われることが多くなったともいわれている。
破壊する前に、本当に内容物が必要か、目立たない場所に取出口がついていないかを確認すべきだろう。


=== 販売促進用の貯金箱 ===
投入口程度の幅で短冊状に切った厚紙を投入口から挿入し、中の硬貨をこの厚紙に乗せて取り出す事により、貯金箱を破壊せずに中の硬貨を取り出す方法もある。ただし、透明な材質の貯金箱でなければ中の硬貨を確認できず取り出しが難しく、また中の硬貨が多量の場合は現実的な方法とはいえない。(投入口の大きさや硬貨の厚さにもよるが、一度に1枚ないし2枚程度しか取り出すことができない)
[[銀行]]などの[[企業]]が、販売促進グッズとして、貯金箱を用いる場合がある。児童の気に入る意匠を施すことで貯金をする習慣を身に付ける教育効果を期待したり、貯金箱自体に企業名やマスコットを用いる事で、身近な広告媒体として用いられる。かつて<!--昭和60年代頃まで?-->は銀行の販売促進グッズには厳しい価格制限があったため、数万円程度の預金を行った顧客に対しては、プラスチックの貯金箱が粗品として多く提供された。これは高さ10cm程度のものであった。


また、[[郵便局]]の粗品の貯金箱は筒型の[[郵便ポスト]]を模したものが用いられる。
==金庫との違い==
金庫は、高価なものを保管するために、様々な性能が要求されるが、貯金箱はそれを必ずしも満たさない。


=== 貯金箱のコレクション ===
金庫には、持ち去りを防ぐ機能として、それ自体が重量物であったり、床に厳重に固定できるが、貯金箱の場合、意匠の結果として重量が増すことはあるが、それは貯金箱にとって必要の条件ではない。手金庫のように持ち出して中身を確認する機能も、貯金箱には必須ではない。
貯金箱は部屋の中などの身近な場所に置くことが多いため、さまざまな意匠をこらした貯金箱がある。それらの中には、広く一般に知られる企業の物や、キャラクターを模したもの、収納できる貯金の金額より高価なものなどがあり、本来の用途とは離れて、コレクション対象となる場合がある。


==貯金箱の分類==
== 貯金箱の代用品 ==
[[ファイル:Many Japanese coins in the 2700ml Whisky PET bottle for saving.jpg|thumb|150px|ペットボトル貯金]]
===一定の量を貯金することを目的とする場合===
空き瓶や、空き缶を利用した手作りの貯金箱を作成したり、丈夫な箱や瓶に収納することで代用する場合がある。
貯金箱の大きさに従って、一定の量の硬貨を貯金することができる。
多くの場合、硬貨の種類が異なることで、貯金できる金額が異なる。


== 貯金箱のコンクール ==
===一定の金額を貯金することを目的とする場合===
日本ではゆうちょ銀行・郵便局により「ゆうちょアイデア貯金箱コンクール」が開催されている<ref name="idea-chokinbako">[https://www.idea-chokinbako.jp/s3/pdf/43th_ouboguidebook.pdf 第43回ゆうちょアイデア貯金箱コンクール応募ガイドブック] ゆうちょ銀行、郵便局(2021年1月8日閲覧)</ref>。このコンクールは1975年(昭和50年)から開催されており、工作物のコンクールとしては日本最大規模のコンクールである<ref name="idea-chokinbako" />。
硬貨の種類を限定した投入口を持つか、運用方法で一定の種類の硬貨のみを投入することで、内容量いっぱいに貯金すると、一定の金額になるような貯金箱。目的の金額を貯めるための貯金をする場合に有効である。ただし、硬貨自体の大きさの差や、詰め込み程度などが異なるため、金額は目安としてとらえたほうがよい。


== 貯金箱が展示されている博物館 ==
硬貨の種類を限定することの利点として、重量のある硬貨の場合、貯金箱ごと重量を量ることで、ある程度の貯金金額を知る事ができる。また、透明な瓶製であったり、積み重なった硬貨の高さが分かりやすいように目盛がついているものなど、貯金箱の意匠や素材によっては、外部から硬貨の量が分かりやすくなっているものがある。
*[[世界の貯金箱博物館]](兵庫県尼崎市西本町北通)<ref>[https://www.amashin.co.jp/sekai/index.html 尼崎信用金庫 世界の貯金箱博物館] 尼崎信用金庫</ref>
*[[貨幣・浮世絵ミュージアム]](愛知県名古屋市中区錦)
*[http://www.sanyo-do.com/ 倉敷貯金箱博物館(日本製のみを中心に江戸幕末から企業物までを展示)]
*にしざわ貯金箱かん([[長野県]][[千曲市]])<ref name="chikuma">[https://chikuma-kanko.com/2018-01-22/post-2996/ 「にしざわ貯金箱かん」~イヌがメインの十二支貯金箱展 開催中~] 一般社団法人信州千曲観光局(2021年1月8日閲覧)</ref>
*[[郵政博物館]](東京都墨田区押上東京スカイツリータウン・ソラマチ9F)<ref>[https://www.postalmuseum.jp/ 郵政博物館] 郵政博物館</ref>


== 脚注 ==
===販売促進用の貯金箱===
{{脚注ヘルプ}}
[[銀行]]などの[[企業]]が、販売促進グッズとして、貯金箱を用いる場合がある。貯金をする習慣を身に付ける効果を期待したり、貯金箱自体に企業名やマスコットを用いる事で、身近な広告媒体として用いられる。かつて<!--昭和60年代頃まで?-->は銀行の販売促進グッズには厳しい価格制限があったため、数万円程度の預金を行った顧客に対しては、プラスチックの貯金箱が粗品として多く提供された。これは高さ10cm程度のものであった。


=== 出典 ===
また、[[郵便局]]の粗品の貯金箱は筒型の[[郵便ポスト]]を模したものが用いられる。
{{Reflist}}


== 関連項目 ==
===コレクション対象の貯金箱===
{{Commonscat|Money boxes}}
貯金箱は部屋の中などの身近な場所に置くことが多いため、さまざまな意匠をこらした貯金箱がある。それらの中には、広く一般に知られる企業の物や、キャラクターを模したもの、収納できる貯金の金額より高価なものなどがあり、本来の用途とは離れて、コレクション対象となる場合がある。
{{Commons|Piggy bank|Piggy bank}}
* [[ゆうちょ銀行]] - [[日本郵政公社]]時代の[[1975年]](昭和50年)から毎年『私のアイデア貯金箱コンクール』(現在は「ゆうちょアイデア貯金箱コンクール」)を主催している。
* [[募金箱]]
* [[賽銭箱]]
* [[泉]] - [[トレヴィの泉]]などのように[[コイン]]を投げ入れる場所もある。


{{Normdaten}}
==最古の貯金箱==
[[中華人民共和国|中国]]・[[雲南省]]の石寨山古墓(せきさいさんこぼ)からは、青銅製で円筒形をした「八牛貯貝器」が出土している。約2,100年前のものであり、当時通貨として流通していた[[子安貝]]を入れておくものであったと考えられている。これは現存する最古の貯金箱であろう。


{{DEFAULTSORT:ちよきんはこ}}
==豚の貯金箱==
イギリスでは、余ったコインを台所などにある[[陶器]]の壷(piggy)に蓄えることがあり、これをピギー銀行(Piggy bank)と呼んだが、これが[[ブタ|豚]]を意味するpigを連想させたため、陶器製の豚が貯金箱に使われることが多くなった。


==貯金箱が展示されている博物館==
*[[世界の貯金箱博物館]]
*[[三菱東京UFJ銀行貨幣資料館]]

==外部リンク==
*[http://www.chokin-bako.com/ 貯金箱いろいろ大辞典]

{{CommonsN|Piggy bank}}

{{DEFAULTSORT:ちよきんはこ}}
[[Category:容器]]
[[Category:容器]]
[[Category:箱]]
[[Category:箱]]
[[Category:硬貨]]
[[Category:硬貨]]

[[cy:Cadw-mi-gei]]
[[da:Sparegris]]
[[de:Spardose]]
[[en:Piggy bank]]
[[es:Hucha]]
[[fi:Säästöpossu]]
[[fr:Cochon tirelire]]
[[he:קופת חיסכון]]
[[id:Celengan]]
[[it:Salvadanaio]]
[[ko:저금통]]
[[lb:Spuerschwäin]]
[[lt:Kiaulė-taupyklė]]
[[nl:Spaarpot]]
[[no:Sparegris]]
[[pl:Skarbonka]]
[[pt:Porquinho-mealheiro]]
[[ru:Копилка]]
[[scn:Caruseddu (ricipienti)]]
[[sr:Касица-прасица]]
[[sv:Spargris]]
[[tl:Tanggunggong]]
[[zh:撲滿]]

2023年4月14日 (金) 13:53時点における最新版

貯金箱(ちょきんばこ)は、硬貨貯金するための

ブタの貯金箱

歴史

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貯金箱の歴史は古く、前漢時代の中国やポンペイの遺跡などから発見されている[1][2][3]

中国

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石寨山古墓出土の七牛虎耳貯貝器(前漢初期)

中国の雲南省にある遺跡から出土した前漢時代の青銅製の貯貝器(ちょばいき)が最も古い例とされている[2][3]。この遺跡は滇国の王族の墓である石寨山古墓(せきさいさんこぼ)で、ここから「七牛貯貝器」が出土している。貯貝器は当時、貨幣として使用されていた子安貝を貯める筒状の容器であった[2][3]

欧州

[編集]

ヨーロッパの貯金箱のルーツは教会募金として貴金属の小片を入れてもらう献金箱だったといわれており、古代エジプト古代ギリシャエルサレムの遺跡で発見されている[2][3]

アテネやオリンピアにある遺跡からは紀元前300年頃の粘土製の貯金箱テサウロス(Thesauros)が発見されている[2][3]。このテサウロスは金庫を意味するTresorの語源になった[2][3]。一方、古代ローマの遺跡からは紀元前3世紀から4世紀頃の陶器製で洋梨型の貯金箱が多数発見されている[2][3]

中世になると金属精錬や加工の技術が発達し、鍵付き貯金箱が出現するとともに、18世紀まで鉄製のシリンダー形の貯金箱がよく用いられた[2][3]

日本

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日本の貯金箱のルーツはよくわかっていない[1]。貯える、備えるという機能から縄文時代末期に現れた甕(かめ)や壺をルーツとする見方もある[2][3]

室町時代には伊賀で焼かれた「せんべい壺」が使用されたが、この壺は遺跡で銭が入って出土することが多く「銭瓶」(せんびょう)を入れるための壺の意味と考える説もある[2][3]

江戸時代には「千両箱」や商家で用いられた「両銭箱」「銭箱」と呼ばれる箱があった[2][3][4]。また、品物を買ったときに余ったお金を貯める「堪忍箱」や恵比寿大黒天をかたどった貯金箱もあった[1]。しかし、江戸時代の金融は武士や商人、一部の農民などに限られており、商家の銭箱のほかは庶民が用いた竹製の銭筒や銭壺といった入れ物があるにすぎなかった[2][3]

明治時代になると銀行制度や郵便貯金制度が始まり、一般の人々を対象とする貯金箱が普及し、蔵の形の貯金箱や今戸焼が発祥とされる宝珠型の「貯金玉」など陶器製の貯金箱が数多く作られるようになった[1][2][3][4]。陶芸品の産地では郷土人形や民芸品を題材にした貯金箱が作られるようになったほか、明治時代から大正時代末期にかけて恵比寿や大黒天だけでなく福助招き猫など縁起物を題材にした貯金箱も出現した[2][3][4]

名称

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日本では貯金箱と呼ばれているが、かつては貯金玉や富久箱(ふくばこ)などの呼び方もあった[3]。英語ではMoney Box、Money Bank、Saving Bank、Penny Bankなどという[3]

素材と構造

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素材

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貯金箱の素材は土製、陶製、金属製、木製、竹製、紙製、皮製、ガラス製、石膏製、ゴム製、コルク製などがあるが、プラスチック製のものが多くなっている[2][3]。このほかにヤシの実などの果実や毛糸などでできた貯金箱もある[2][3]。ガラスや透明なプラスチックを用いるか、容器の一部に硬貨がこぼれない程度の空洞を開けることで、貯金量を把握しやすく改良された物がある。

構造

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硬貨に合わせた大きさの投入口がついている。底面などに取出口が付いているものもあるが、貯金箱自体を壊さなければ硬貨を取り出せない構造のものもある。

保管と開封

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鍵付き貯金箱

[編集]

鍵付きの貯金箱は中世のヨーロッパで生まれ、18世紀頃には南京錠が付けられた貯金箱が存在した[2][3]。また、硬貨の投入口に抜き取りを防ぐための止め金を付けた貯金箱も現れた[2][3]

貯金箱の開封

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蓋を取った貯金箱

中世以降のヨーロッパや日本などでは陶器製の貯金箱が作られているが、取出口がないものは割って硬貨を取り出す[2][3]。また、缶製の貯金箱は、缶切りで開ける。これらの方法は、一度開けてしまうと貯金箱としての機能を失うことを意味する。

デザイン

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豚の貯金箱

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西洋では貯金箱のデザインにニワトリや豚をデザインしたものが多く、このうち豚はアントニウスの豚に由来するという説がある[2][3]エンブレム参照)。

イギリスでは、余ったコインを台所などにある赤い陶土(pygg)の陶器の壷に蓄えることがあり、これをピギー銀行 (pygg bank) と呼んだが、これが「子豚」を意味するpiggy を連想させたため、陶器製の豚が貯金箱に使われることが多くなったともいわれている。

販売促進用の貯金箱

[編集]

銀行などの企業が、販売促進グッズとして、貯金箱を用いる場合がある。児童の気に入る意匠を施すことで貯金をする習慣を身に付ける教育効果を期待したり、貯金箱自体に企業名やマスコットを用いる事で、身近な広告媒体として用いられる。かつては銀行の販売促進グッズには厳しい価格制限があったため、数万円程度の預金を行った顧客に対しては、プラスチックの貯金箱が粗品として多く提供された。これは高さ10cm程度のものであった。

また、郵便局の粗品の貯金箱は筒型の郵便ポストを模したものが用いられる。

貯金箱のコレクション

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貯金箱は部屋の中などの身近な場所に置くことが多いため、さまざまな意匠をこらした貯金箱がある。それらの中には、広く一般に知られる企業の物や、キャラクターを模したもの、収納できる貯金の金額より高価なものなどがあり、本来の用途とは離れて、コレクション対象となる場合がある。

貯金箱の代用品

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ペットボトル貯金

空き瓶や、空き缶を利用した手作りの貯金箱を作成したり、丈夫な箱や瓶に収納することで代用する場合がある。

貯金箱のコンクール

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日本ではゆうちょ銀行・郵便局により「ゆうちょアイデア貯金箱コンクール」が開催されている[5]。このコンクールは1975年(昭和50年)から開催されており、工作物のコンクールとしては日本最大規模のコンクールである[5]

貯金箱が展示されている博物館

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脚注

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出典

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  1. ^ a b c d 貯金箱 一般財団法人ゆうちょ財団(2021年1月8日閲覧)
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 尼崎信用金庫 世界の貯金箱博物館(貯金箱のお話) 尼崎信用金庫(2021年1月8日閲覧)
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 尼崎信用金庫 世界の貯金箱博物館 近畿益田会(2021年1月8日閲覧)
  4. ^ a b c d 「にしざわ貯金箱かん」~イヌがメインの十二支貯金箱展 開催中~ 一般社団法人信州千曲観光局(2021年1月8日閲覧)
  5. ^ a b 第43回ゆうちょアイデア貯金箱コンクール応募ガイドブック ゆうちょ銀行、郵便局(2021年1月8日閲覧)
  6. ^ 尼崎信用金庫 世界の貯金箱博物館 尼崎信用金庫
  7. ^ 郵政博物館 郵政博物館

関連項目

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