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「一内閣一仕事」の版間の差分

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{{複数の問題
'''一内閣一仕事'''(いちないかくいちしごと)とは[[内閣]]は政治懸案事項ついて道筋をつけたり解決したり達成できのはせいぜい一仕事くらいであることを表現した言葉
|出典の明記=2020年8月
|独自研究=2020年8月
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'''一内閣一仕事'''(いちないかくいちしごと)とは、一人の[[内閣総理大臣]]が在任中何らかの成果達成させう慣例である。
==概要==
[[内閣総理大臣]]を経験した[[竹下登]]の言葉である。同じく内閣総理大臣時代の[[三木武夫]]の「男は一度勝負する」も似たようなニュアンスを持っている。


== 概要 ==
[[政治家]]を希望する者は様々な政治懸案事項の解決を夢見て[[選挙]]で当選し、政治懸案事項の解決において究極のポストである行政権の長である内閣総理大臣を目指す。
[[内閣総理大臣]]を経験した[[竹下登]]は内閣が政治懸案事項について「道筋をつけたり、解決・達成できるはせいぜい一仕事くらいである」と述べている<ref>http://ryukyushimpo.jp/column/prentry-134805.html</ref>。同じく内閣総理大臣時代の[[三木武夫]]の「男は一度勝負する」も似たようなニュアンスを持っている。


[[政治家]]を希望する者は様々な政治懸案事項の解決を夢想し、[[選挙]]で当選した後は、政治懸案事項の解決における究極のポストである内閣総理大臣を目指す。
様々な経過を経て首相になれたとしても、首相と対決姿勢を取る[[野党]]、[[与党]]内でも首相に反対する反執行部、様々な業界団体の要望、官僚機構の抵抗、[[外国]]との関係、[[地方自治体]]との関係、[[マスコミ]]の報道、マスコミの報道を受けた国民の反応、地方選挙や国政[[補欠選挙]]や大型国政選挙での洗礼などから首相の意向には様々な障害が出てくる。経済問題や国際関係悪化だけでなく、自身及び政権ブレーンのスキャンダル発覚や重大な失政発覚など政のマイナスポイントがトピックスとして浮上した場合は内閣への批判が一層強まる。


首相就任後も、首相と対決姿勢を取る[[野党]]、[[与党]]内でも首相に反対する勢力、様々な業界団体の要望、官僚機構の抵抗、[[外国]]との関係、[[地方公共団体|地方自治体]]との関係、[[マスメディア|マスコミ]]の報道、マスコミの報道を受けた国民の反応、地方選挙や国政[[補欠選挙]]や大型国政選挙による「洗礼など、様々な障害に遭遇する。経済問題や国際関係悪化、自身及び閣僚、側近のスキャンダル発覚や重大な失政など政のマイナスポイントが浮上した場合は内閣への批判が一層強まる。
それでもなお首相は政治懸案事項の解決を模索する中、自の政治信条から多くの政治懸案事項中でも一つの案件を選び出して自身の政治生命を賭けて望む政局に突入することがある(首相経験者は長期政権円満退任・病気・襲撃休などの例外を除けば、政策実現の究極のポストにいながら問題点があったために退いたことになることが殆どであり、政治批判を受けての退任の場合はその首相経験者は「過去の人」として扱われるため、政治経験や政界影響力からご意見番などとして注目されることはあっても、長期政権円満退任・病気・襲撃休の退任を除けば首相経験者の再登板は非常に難しい状況になる)。長期的視野での国益として重要視される一方で反対論が多い政治懸案事項の場合は難関が予測されるが、国益が高くて難易度が高いほど、在任期間が短く成立直後に首相辞任をしたとしても、その政治懸案事項の解決が後世の政治史での首相としての評価が定まっていくことになる。


それでも首相は政治懸案事項の解決を模索する中、自の政治信条から多くの政治懸案事項中でも一つの案件を選び出して自身の政治生命を賭けて望む政局に突入することがある(首相経験者は長期政権円満退任・病気・襲撃休などの例外を除けば、政策実現の究極のポストにいながら問題点があったために退いたことになることが殆どであり、政治批判を受けての退任の場合はその首相経験者は「過去の人」として扱われるため、政治経験や政界影響力からご意見番などとして注目されることはあっても、長期政権円満退任・病気・襲撃休の退任を除けば首相経験者の再登板は非常に難しい状況になる)。長期的視野での国益として重要視される一方で反対も強い政治懸案事項の場合は難関が予測されるが、難易度および国益への貢献度が高いほど、在任期間が短く成立直後に首相辞任をしたとしても、その政治懸案事項の解決が後世の政治史での首相としての評価が定まっていくことになる。
ただし、政治懸案事項の解決という目的ばかりに気を取られ、実現可能性というプロセスを思慮深く戦略を立てることなく、安易なパフォーマンスを取ることもしばしば見られる。


政治的対立が極限にまで高まって予算審議が殆ど進まなくなった場合、首相自身(または首相側近)が与党反執行部幹部や野党有力幹部に対して内密に対談して、首相賭けて本予算成立を条件に退陣すことという条件要求することがある。与野党間の対立を超えて予算案成立という形で社会への一定の安心感を与える一方で、[[倒閣]]に成功という果実を与党反執行部や野党対して与えることを目的としている。組閣直後から本予算成立以外に仕事がない内閣のことを[[予算管理内閣]]と表現する。
政治的対立が極限に達し、予算審議が停滞した場合、首相自身(または首相側近)が与党内の反執行部幹部や野党有力幹部内密に対談して、首相退陣条件に本予算成立させ提示することがある。与野党間の対立を超えて予算案成立という形で社会に対して一定の安心感を与える一方で、与党反執行部や野党に対して「[[倒閣]]に成功した」という果実を与えることを目的としている。組閣直後から本予算成立以外に仕事がない内閣のことを[[予算管理内閣]]と表現する。


逆に、政権禅譲の機運を作ろうとする勢力は、内閣の取り組む重要課題を「[[花道]]」と位置付けることにより、課題解決後の内閣退陣に向けた雰囲気を形成しようとする。
==日本の内閣の一仕事==

{|table border=1 cellspacing=0
== 日本の内閣の一仕事 ==
{| class="wikitable"
|+'''日本の内閣の一仕事'''
|+'''日本の内閣の一仕事'''
|-bgcolor="#EEEEEE"
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!内閣||首相||一仕事||内容
!内閣||首相||一仕事||内容
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|片山内閣||[[片山哲]]||内務省解体||警察制度の改革、労働省の設置<!--GHQの強い意向もあるが社会党首班内閣らしい大政策-->
|片山内閣||[[片山哲]]||[[内務省 (日本)|内務省]]解体||警察制度の改革、[[労働省]]の設置
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|芦田内閣||[[芦田均]]||地方財政法||地方財政ルール明白化<!--外見は派手ではなく地味だが中身はかなり重要。-->
|芦田内閣||[[芦田均]]||[[地方財政法]]||地方財政ルール明白化
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|吉田内閣||吉田茂||片面講和||冷戦下において中ソを先送りにして欧米との講和による<!--全面講和は独立曲学阿世の徒-->
|吉田内閣||[[吉田茂]]||本土地域の主権回復||冷戦下において中ソを先送りにして欧米との[[日本国との平和条約|片面講和]]による早期主権回復
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|鳩山一郎内閣||[[鳩山一郎]]||日ソ国交正常化||ソ連抑留解決と国連加盟<!--ソ連との接近と国連加盟は日本の平和外交への第一歩-->
|鳩山一郎内閣||[[鳩山一郎]]||[[日ソ国交正常化]]||[[シベリア抑留]]解決と国連加盟
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|石橋内閣||[[石橋湛山]]||[[国民健康保険制度|国民皆保険制度]]実現方針の閣議決定||[[厚生省]]に国民皆保険推進本部を設置
|石橋内閣||[[石橋湛山]]||colspan="2"|なし<!--すぐに病気退陣し、国会で一度も登壇して演説を行えない首相の仕事があったら、誰か書いてください。-->
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|岸内閣||[[岸信介]]||安保改定||日米同盟強化<!--私のやったことは後年の歴史が判断してくれるだろう。-->
|岸内閣||[[岸信介]]||[[新安保条約|安保改定]]||日米同盟強化

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|池田内閣||[[池田勇人]]||所得倍増||国民生活向上<!--私は嘘は申しません-->
|池田内閣||[[池田勇人]]||[[所得倍増政策]]||国民生活向上

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|佐藤内閣||[[佐藤栄作]]||沖縄返還||沖縄の日本復帰<!--沖縄が返還されなければ戦後は終わらない-->
|佐藤内閣||[[佐藤栄作]]||[[沖縄返還]]||沖縄の日本復帰
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|田中内閣||[[田中角栄]]||日中国交正常化||米国よりも早く中国との国交正常化<!--首脳訪中自体はニクソン訪中が早いが、中国との国交正常化は米国より早かった-->
|田中内閣||[[田中角栄]]||[[日中国交正常化]]||米国よりも早く中国との国交正常化
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|三木内閣||[[三木武夫]]||政治浄化||金のかからない選挙<!--クリーン三木-->
|三木内閣||[[三木武夫]]||政治浄化||金のかからない選挙
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|福田内閣||[[福田赳夫]]||アジア諸国連帯||日中平和友好条約を含めたアジアの対日感情向上<!--保守色の強い首相の福田ドクトリン-->
|福田内閣||[[福田赳夫]]||アジア諸国連帯||日中平和友好条約を含めたアジアの対日感情向上
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|大平内閣||[[大平正芳]]||石油輸入枠確保||第二次石油危機での石油輸出縮小下でのサミット議長取りまとめ<!--石油輸出縮小で先進国間の思惑が動く中で国際社会の合意を取り付けての日本での石油輸入枠確保。-->
|大平内閣||[[大平正芳]]||石油輸入枠確保||第二次石油危機での石油輸出縮小下でのサミット議長取りまとめ
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|鈴木内閣||[[鈴木善幸]]||財政赤字縮小||増税なき財政再建<!--最終的に増税路線案が浮上したが、財政支出削減は評価-->
|鈴木内閣||[[鈴木善幸]]||[[財政再建|財政赤字縮小]]||増税なき財政再建
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|中曽根内閣|||[[中曽根康弘]]||国鉄分割民営化||巨額赤字恒常化組織の対処<!--強力な労組の中でよく解決できた-->
|中曽根内閣|||[[中曽根康弘]]||[[国鉄分割民営化]]||巨額赤字恒常化する公共企業体の対処
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|竹下内閣||[[竹下登]]||消費税創設||大平内閣以降の懸案解決<!--大型消費税による税収確保長年の懸案であった-->
|竹下内閣||[[竹下登]]||[[消費税]]創設||大型間接税による安定税収確保という長年の懸案解決
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|宇野内閣||[[宇野宗佑]]||妻子を含めた閣僚資産公開||リクルート事件を受けての対応<!--これ以外、思い浮かばない。-->
|宇野内閣||[[宇野宗佑]]||妻子を含めた閣僚資産公開||[[リクルート事件]]を受けての対応
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|海部内閣||[[海部俊樹]]||自衛隊ペルシャ湾派遣||初の自衛隊海外派遣<!--国内への軍事アレルギーに対してギリギリの自衛隊海外派遣。-->
|海部内閣||[[海部俊樹]]||[[自衛隊ペルシャ湾派遣]]||初の[[自衛隊海外派遣]]
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|宮沢内閣||[[宮沢喜一]]||PKO法||法律でのPKO参加定義明白化<!--連日の深夜国会-->
|宮沢内閣||[[宮沢喜一]]||[[国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律]](PKO||法律でのPKO参加定義明白化
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|細川内閣||[[細川護煕]]||政治改革||衆院選における小選挙区比例代表制<!--二大政党化による衆議院第一党自民党に対抗しうる非自民結集勢力による巨大野党誕生可能性-->
|細川内閣||[[細川護煕]]||[[政治改革4法|政治改革]]||衆院選における小選挙区比例代表制
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|羽田内閣||[[羽田孜]]||1994年度予算||1995年3月までの予算枠決定<!--連日の深夜国会-->
|羽田内閣||[[羽田孜]]||1994年度予算||典型的な[[予算管理内閣]]
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|村山内閣||[[村山富市]]||社会党の右傾転向||自衛隊容認、日米安保維持、原発容認<!--社会党の現実路線-->
|村山内閣||[[村山富市]]||[[日本社会党|社会党]]の右傾転向||自衛隊容認、日米安保維持、原発容認
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|橋本内閣||[[橋本龍太郎]]||沖縄地負担軽減||普天間基地返還方針への道筋<!--沖縄返還以降、初めて沖縄と真摯に向き合った内閣-->
|橋本内閣||[[橋本龍太郎]]||[[中央省庁等改革本法]]||[[中央省庁再編]]
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|小渕内閣||[[小渕恵三]]||[[重要影響事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律|周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律]](周辺事態法)<br>[[国旗及び国歌に関する法律]](国旗国歌法)||日本周辺事態における日米協調
|小渕内閣||[[小渕恵三]]||周辺事態法||日米協調による軍事強化<!--公海や国連を除く、自衛隊海外派遣可能による国防道筋-->
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|森内閣||[[森喜朗]]||IT革命||最先端インフラ整備<!--インパク-->
|森内閣||[[森喜朗]]||IT革命([[e-Japan|e-Japan戦略]])||最先端インフラ整備
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|小泉内閣||[[小泉純一郎]]||郵政民営化||事業合理化<!--小泉劇場-->
|小泉内閣||[[小泉純一郎]]||[[郵政民営化]]||公的事業合理化
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|安倍内閣||[[安倍晋三]]||[[日本国憲法の改正手続に関する法律]](国民投票法)<br>[[教育基本法]]改正、[[海洋基本法]]、[[防衛省]]昇格||[[憲法改正]]の地ならし
|安倍内閣||[[安倍晋三]]||防衛庁省昇格||国防行政強化<!--ベース自体は小泉内閣のころからあったが、法案成立は首相の強い意向によるもの-->
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|福田康夫内閣||[[福田康夫]]||[[消費者庁]]設立の提唱||設置関連法の閣議決定
|福田内閣||[[福田康夫]]||薬害肝炎給付金||薬害肝炎患者への全面謝罪・和解による給付金<!--患者寄りの和解案を拒否する一方で裁判所の判決レベル前後での決着を政府が模索すれば、問題解決が長期化・悪化していた-->
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|麻生内閣||[[麻生太郎]]||[[エコポイントの活用によるグリーン家電普及促進事業|家電エコポイント制度]]、[[低排出ガス車認定制度]](エコカー減税)の実施<br>[[ETC割引制度]]、[[雇用保険|雇用保険料]]引き下げ||[[世界金融危機 (2007年-)|世界金融危機]]緊急対応政策の実施
|麻生内閣||[[麻生太郎]]||海賊対処法||海賊対処によるシーレーン安定化<!--ソマリア海賊の対処は日本の航路安全確保向上-->
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|鳩山由紀夫内閣||[[鳩山由紀夫]]||仕分け作業||予算透明化<!--「仕分け作業」をこえる仕事の解決を期待します。-->
|鳩山由紀夫内閣||[[鳩山由紀夫]]||民主党政権発足||政権交代実現
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|菅直人内閣||[[菅直人]]||[[電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法]]||原発政策の転換
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|野田内閣||[[野田佳彦]]||社会保障と税の一体改革||消費税の増税
|-
|安倍内閣||[[安倍晋三]]||[[アベノミクス]]、[[国家安全保障会議 (日本)|日本版NSC]]、[[特定秘密の保護に関する法律]](特定秘密保護法)、[[平和安全法制]]||経済再生、安全保障政策の転換
|-
|菅義偉内閣||[[菅義偉]]||[[デジタル庁]]設立、[[新型コロナウイルスワクチン]]接種推進、[[カーボンニュートラル]]、携帯料金引き下げ||関連法案の成立・設置
|}
|}


==関連項目==
== 脚注 ==
{{Reflist}}

== 参考文献 ==
*[[俵孝太郎]]「戦後首相論」(グラフ社)
*[[升味準之輔]]『日本政治史(4)占領改革、自民党支配』([[東京大学出版会]])

== 関連項目 ==
*[[内閣]]
*[[内閣]]
*[[組閣]]
**[[組閣]]
*[[内閣総辞職]]
**[[内閣総辞職]]


[[Category:日本の内閣|いちないかくいちし]]
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[[Category:日本の内閣]]

2023年4月15日 (土) 07:08時点における最新版

一内閣一仕事(いちないかくいちしごと)とは、一人の内閣総理大臣が在任中に何らかの成果を一つは達成させるという慣例である。

概要[編集]

内閣総理大臣を経験した竹下登は内閣が政治懸案事項について「道筋をつけたり、解決・達成できるのはせいぜい一仕事くらいである」と述べている[1]。同じく内閣総理大臣時代の三木武夫の「男は一度勝負する」も似たようなニュアンスを持っている。

政治家を希望する者は様々な政治懸案事項の解決を夢想し、選挙で当選した後は、政治懸案事項の解決における究極のポストである内閣総理大臣を目指す。

首相就任後も、首相と対決姿勢を取る野党与党内でも首相に反対する勢力、様々な業界団体の要望、官僚機構の抵抗、外国との関係、地方自治体との関係、マスコミの報道、マスコミの報道を受けた国民の反応、地方選挙や国政補欠選挙や大型国政選挙による「洗礼」など、様々な障害に遭遇する。経済問題や国際関係悪化、自身及び閣僚、側近のスキャンダル発覚や重大な失政など政権のマイナスポイントが浮上した場合は内閣への批判が一層強まる。

それでも、首相は政治懸案事項の解決を模索する中、自身の政治信条から多くの政治懸案事項中でも一つの案件を選び出して自身の政治生命を賭けて望む政局に突入することがある(首相経験者は長期政権円満退任・病気・襲撃休養などの例外を除けば、政策実現の究極のポストにいながら問題点があったために退いたことになることが殆どであり、政治批判を受けての退任の場合はその首相経験者は「過去の人」として扱われるため、政治経験や政界影響力から「ご意見番」などとして注目されることはあっても、長期政権円満退任・病気・襲撃休養の退任を除けば首相経験者の再登板は非常に難しい状況になる)。長期的視野での国益として重要視される一方で反対も強い政治懸案事項の場合は難関が予測されるが、難易度および国益への貢献度が高いほど、在任期間が短く成立直後に首相辞任をしたとしても、その政治懸案事項の解決が後世の政治史での首相としての評価が定まっていくことになる。

政治的対立が極限に達し、予算審議が停滞した場合、首相自身(または首相の側近)が与党内の反執行部幹部や野党の有力幹部と内密に対談して、首相退陣を条件に本予算を成立させる案を提示することがある。与野党間の対立を超えて予算案成立という形で社会に対して一定の安心感を与える一方で、与党反執行部や野党に対して「倒閣に成功した」という果実を与えることを目的としている。組閣直後から本予算成立以外に仕事がない内閣のことを「予算管理内閣」と表現する。

逆に、政権禅譲の機運を作ろうとする勢力は、内閣の取り組む重要課題を「花道」と位置付けることにより、課題解決後の内閣退陣に向けた雰囲気を形成しようとする。

日本の内閣の一仕事[編集]

日本の内閣の一仕事
内閣 首相 一仕事 内容
片山内閣 片山哲 内務省解体 警察制度の改革、労働省の設置
芦田内閣 芦田均 地方財政法 地方財政ルール明白化
吉田内閣 吉田茂 本土地域の主権回復 冷戦下において中ソを先送りにして欧米との片面講和による早期主権回復
鳩山一郎内閣 鳩山一郎 日ソ国交正常化 シベリア抑留解決と国連加盟
石橋内閣 石橋湛山 国民皆保険制度実現方針の閣議決定 厚生省に国民皆保険推進本部を設置
岸内閣 岸信介 安保改定 日米同盟強化
池田内閣 池田勇人 所得倍増政策 国民生活向上
佐藤内閣 佐藤栄作 沖縄返還 沖縄の日本復帰
田中内閣 田中角栄 日中国交正常化 米国よりも早く中国との国交正常化
三木内閣 三木武夫 政治浄化 金のかからない選挙
福田内閣 福田赳夫 アジア諸国連帯 日中平和友好条約を含めたアジアの対日感情向上
大平内閣 大平正芳 石油輸入枠確保 第二次石油危機での石油輸出縮小下でのサミット議長取りまとめ
鈴木内閣 鈴木善幸 財政赤字縮小 「増税なき財政再建」
中曽根内閣 中曽根康弘 国鉄分割民営化 巨額赤字が恒常化する公共企業体の対処
竹下内閣 竹下登 消費税創設 大型間接税による安定税収確保という長年の懸案解決
宇野内閣 宇野宗佑 妻子を含めた閣僚資産公開 リクルート事件を受けての対応
海部内閣 海部俊樹 自衛隊ペルシャ湾派遣 初の自衛隊海外派遣
宮沢内閣 宮沢喜一 国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(PKO法) 法律でのPKO参加定義明白化
細川内閣 細川護煕 政治改革 衆院選における小選挙区比例代表制
羽田内閣 羽田孜 1994年度予算 典型的な予算管理内閣
村山内閣 村山富市 社会党の右傾転向 自衛隊容認、日米安保維持、原発容認
橋本内閣 橋本龍太郎 中央省庁等改革基本法 中央省庁再編
小渕内閣 小渕恵三 周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律(周辺事態法)
国旗及び国歌に関する法律(国旗国歌法)
日本周辺事態における日米協調
森内閣 森喜朗 IT革命(e-Japan戦略 最先端インフラ整備
小泉内閣 小泉純一郎 郵政民営化 公的事業合理化
安倍内閣 安倍晋三 日本国憲法の改正手続に関する法律(国民投票法)
教育基本法改正、海洋基本法防衛省昇格
憲法改正の地ならし
福田康夫内閣 福田康夫 消費者庁設立の提唱 設置関連法の閣議決定
麻生内閣 麻生太郎 家電エコポイント制度低排出ガス車認定制度(エコカー減税)の実施
ETC割引制度雇用保険料引き下げ
世界金融危機緊急対応政策の実施
鳩山由紀夫内閣 鳩山由紀夫 民主党政権発足 政権交代実現
菅直人内閣 菅直人 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法 原発政策の転換
野田内閣 野田佳彦 社会保障と税の一体改革 消費税の増税
安倍内閣 安倍晋三 アベノミクス日本版NSC特定秘密の保護に関する法律(特定秘密保護法)、平和安全法制 経済再生、安全保障政策の転換
菅義偉内閣 菅義偉 デジタル庁設立、新型コロナウイルスワクチン接種推進、カーボンニュートラル、携帯料金引き下げ 関連法案の成立・設置

脚注[編集]

参考文献[編集]

関連項目[編集]