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層積雲
	青空の下に散在する扁平な層積雲
略記号	Sc
雲形記号	、または
類	層積雲
高度	地上付近〜 2,000 m
階級	下層雲
特徴	うね状、全天を覆う
降水の有無	あり（まれに降水がある）
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2023年4月26日 (水) 14:03時点における最新版

映像で見る波状層積雲

層積雲（そうせきうん）は雲の一種。白色または灰色で、大きな塊が群れをなし、ロール状、斑状、層状などと形容される集まり方をした雲。どの季節にもよく現れ、曇天はもたらすが、降水は多くなく降っても強くない^[1]^[2]。主な俗称は畝雲（うね雲）・まだら雲・くもり雲・むら雲で、ときにかさばり雲、重なり雲などとも呼ぶ^[3]^[4]^[5]^[6]。

名称

基本雲形（十種雲形）の一つで、地表付近から高度 2 km 程度まで（日本を含む中緯度地域の場合）にできる下層雲。ラテン語学術名は stratus（ストラトゥス、層雲）と cumulus（キュムラス、積雲）を合成した stratocumulus（ストラトキュムラス）で、略号は Sc ^[1]^[2]^[7]。

形状と出現環境

空の低い所に現れて大きな塊が次々と移動していき、ときどき雲の隙間に青空が覗くことはあるが、おおむね曇りの天気となる。高積雲とよく似ていて、一つ一つの雲の塊の天空上での見かけの大きさ（視角度）が約5度以上あるものを層積雲とする^{[注 1]}。なお、高積雲と異なり毛羽立ったような形状が現れないのも特徴^[1]^[2]。

層積雲の形は多様である。たくさんの塊が群れたものや細長く伸び並んだものがあり、塊も平らだったり丸まっていたりし、お互いにくっついて斑やモザイクのような模様を見せるものもあれば、畑の畝のように凸凹に波打ち、あるいは長いロール状がいくつも並んだ形をする。また、手でちぎった綿、あるいはとらえどころのない形をし、刻々と姿を変えていくことも多い。冗談交じりに「層積雲とはほかのどの雲にも当てはまらない雲のことである」と紹介されることもある^[1]^[8]。

層積雲は主に、水平に広がる層雲がその中で発生した対流により上に成長して変化、あるいは対流により生じた積雲や積乱雲が水平に広がって変化するなどして形成される。高積雲や乱層雲から生じることもある^[7]^[9]。

山地や丘陵地などで、湿った気流が地形の影響で上昇したり振動したりして層積雲が発生し、比較的小さな層積雲の大集団を形成することがある。

層積雲がだんだんと崩れてきたり次々と形が変わり始めた場合、風が強くなってきたことが考えられる。また、層積雲はその生成条件と高度の低さなどから、温度が比較的高く太陽光を受けやすいため、日中、特に夏の水辺では雲の上部から蒸発し始めてばらばらに分解してしまうこともしばしばである。

また、高度が低いため地上を照らす太陽光を遮ることが多く、その隙間から太陽光が漏れる天使の梯子が見られることも多い。

層積雲が厚くなってくるときは天気が崩れ、層積雲の高度が高くなってくるときは天気は回復する。層積雲から降る雨や雪はそれほど強くなく、より上層にある高積雲から落下した氷晶が層積雲の中で成長するなどして降ることが多い^[1]^[7]。

層積雲には5つの雲種がある。広がって空のほとんどを覆ったものを層状雲といい、層積雲では最も頻度が高い^[10]^[11]。上空の風が強い時現れるレンズのような塊型のものをレンズ雲というが層積雲では頻度が低い^[12]^[13]。下から盛り上がった雲のてっぺんにあるものを塔状雲といい、ときに雄大積雲や積乱雲に発達することがある^[14]^[15]。丸みを帯びた塊（房状雲）となることもあり、塔状雲が消えていく過程で見られることが多い^[16]。稀にチューブ状（volutus^{[注 2]}）となることもある^[17]。

雲の厚さによって、太陽や月を透視できるくらいのものを半透明雲、完全に覆い隠してしまうくらい厚いものを不透明雲という^[18]。また雲片が集団になりひとつひとつの雲片に隙間が見えるものを隙間雲という^[19]。

変種として、帯状・ロール状の雲が放射状に並ぶものを放射状雲^[20]、2層異なる高度にあって重なって見えるものを二重雲^[21]、上空の気流の影響で波紋やうねりのような模様が見えるものを波状雲^[22]、丸い穴がいくつも開き消散傾向のものを蜂の巣状雲^[23]という。

派生する雲形

国際雲図帳2017年版の解説によると、層積雲に現れることがある種・変種・副変種は以下の通り^[24]^[25]。

雲種 - 層状雲、レンズ雲、塔状雲、房状雲、volutus^{[注 2]}
雲変種 - 半透明雲、隙間雲、不透明雲、二重雲、波状雲、放射状雲、蜂の巣状雲
雲副変種（部分的に特徴のある雲） - 乳房雲、尾流雲、降水雲、fluctus^{[注 3]}、asperitas^{[注 4]}、cavum^{[注 5]}

脚注

注釈

[脚注の使い方]

^ 手を伸ばしたときの握り拳の幅の半分が目安。なお原則、仰角（水平線からの角度）30度以上で見分ける。
^ ^a ^b 日本語訳未確定。ロール雲などの案がある。
^ 日本語訳未確定。波頭雲（はとううん）などの案がある。
^ 日本語訳未確定。荒底雲（こうていうん）などの案がある。
^ 日本語訳未確定。穴あき雲などの案がある。

出典

^ ^a ^b ^c ^d ^e 『雲・空』pp.72-81.
^ ^a ^b ^c 『気象観測の手引き』p.51.
^ 『雲・空』pp.170-171.
^ "層積雲". 小学館『デジタル大辞泉』. コトバンクより2023年2月22日閲覧。
^ "層積雲". 小学館『精選版日本国語大辞典』. コトバンクより2023年2月22日閲覧。
^ "層積雲". 小学館『日本大百科全書』（ニッポニカ）. コトバンクより2023年2月22日閲覧。
^ ^a ^b ^c 「お天気豆知識 No.82 層積雲」、バイオウェザー、2007年11月、2023年2月22日閲覧
^ 「雲の種類とその特徴 - 層積雲」 - 理科年表オフィシャルサイト（国立天文台、丸善出版）、2023年2月22日閲覧
^ “Clouds from which Stratocumulus may form”. International Cloud Atlas（国際雲図帳）. WMO (2017年). 2023年2月22日閲覧。
^ 『雲・空』pp.118-119.
^ “Stratocumulus stratiformis (Sc str)”. International Cloud Atlas（国際雲図帳）. WMO (2017年). 2023年2月22日閲覧。
^ 『雲・空』p.117.
^ “Stratocumulus lenticularis (Sc len)”. International Cloud Atlas（国際雲図帳）. WMO (2017年). 2023年2月22日閲覧。
^ 『雲・空』p.116.
^ “Stratocumulus castellanus (Sc cas)”. International Cloud Atlas（国際雲図帳）. WMO (2017年). 2023年2月22日閲覧。
^ “Stratocumulus floccus (Sc flo)”. International Cloud Atlas（国際雲図帳）. WMO (2017年). 2023年2月22日閲覧。
^ “Stratocumulus volutus (Sc vol)”. International Cloud Atlas（国際雲図帳）. WMO (2017年). 2023年2月22日閲覧。
^ 『雲・空』pp.138-139.
^ 『雲・空』p.137.
^ 『雲・空』pp.130-131.
^ 『雲・空』pp.132-133.
^ 『雲・空』pp.134-135.
^ 『雲・空』p.136.
^ 『雲・空』p.12.
^ “Cloud classification summary”. International Cloud Atlas（国際雲図帳）. WMO (2017年). 2023年2月22日閲覧。

参考文献

田中達也、『雲・空』〈ヤマケイポケットガイド 25〉、山と溪谷社、2001年。ISBN 978-4-635-06235-0
『気象観測の手引き』、気象庁、1998年（平成10年）9月発行・2007年（平成19年）12月改訂。
"International Cloud Atlas"（国際雲図帳）, WMO（世界気象機関）, 2017

外部リンク

『層積雲』 - コトバンク
Stratocumulus - International Cloud Atlas, WMO（英語）

[8] 手を伸ばしたときの握り拳の幅の半分が目安。なお原則、仰角（水平線からの角度）30度以上で見分ける。

[volutus-18] 日本語訳未確定。ロール雲などの案がある。

[28] 日本語訳未確定。波頭雲（はとううん）などの案がある。

[29] 日本語訳未確定。荒底雲（こうていうん）などの案がある。

[30] 日本語訳未確定。穴あき雲などの案がある。

[雲・空pp72-81-1] 『雲・空』pp.72-81.

[手引きp51-2] 『気象観測の手引き』p.51.

[雲・空pp170-171-3] 『雲・空』pp.170-171.

[4] "層積雲". 小学館『デジタル大辞泉』. コトバンクより2023年2月22日閲覧。

[5] "層積雲". 小学館『精選版日本国語大辞典』. コトバンクより2023年2月22日閲覧。

[6] "層積雲". 小学館『日本大百科全書』（ニッポニカ）. コトバンクより2023年2月22日閲覧。

[biow-7] 「お天気豆知識 No.82 層積雲」、バイオウェザー、2007年11月、2023年2月22日閲覧

[9] 「雲の種類とその特徴 - 層積雲」 - 理科年表オフィシャルサイト（国立天文台、丸善出版）、2023年2月22日閲覧

[10] “Clouds from which Stratocumulus may form”. International Cloud Atlas（国際雲図帳）. WMO (2017年). 2023年2月22日閲覧。

[11] 『雲・空』pp.118-119.

[12] “Stratocumulus stratiformis (Sc str)”. International Cloud Atlas（国際雲図帳）. WMO (2017年). 2023年2月22日閲覧。

[13] 『雲・空』p.117.

[14] “Stratocumulus lenticularis (Sc len)”. International Cloud Atlas（国際雲図帳）. WMO (2017年). 2023年2月22日閲覧。

[15] 『雲・空』p.116.

[16] “Stratocumulus castellanus (Sc cas)”. International Cloud Atlas（国際雲図帳）. WMO (2017年). 2023年2月22日閲覧。

[17] “Stratocumulus floccus (Sc flo)”. International Cloud Atlas（国際雲図帳）. WMO (2017年). 2023年2月22日閲覧。

[19] “Stratocumulus volutus (Sc vol)”. International Cloud Atlas（国際雲図帳）. WMO (2017年). 2023年2月22日閲覧。

[20] 『雲・空』pp.138-139.

[21] 『雲・空』p.137.

[22] 『雲・空』pp.130-131.

[23] 『雲・空』pp.132-133.

[24] 『雲・空』pp.134-135.

[25] 『雲・空』p.136.

[26] 『雲・空』p.12.

[27] “Cloud classification summary”. International Cloud Atlas（国際雲図帳）. WMO (2017年). 2023年2月22日閲覧。

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[注 1]

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[注 2]

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[19]

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[21]

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[23]

[24]

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[注 3]

[注 4]

[注 5]

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 {{Infobox 雲
+|名称=層積雲
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 }}
+[[File:Sveti Jost Time Lapse 1.webm|thumb|200px|映像で見る波状層積雲]]
+[[File:Branched.jpg|thumb|200px|波状/放射状層積雲]]
+[[File:Large Stratocumulus.JPG|thumb|200px|層状層積雲の隙間雲]]
+[[File:Stratocumulusfromabove.jpg|thumb|200px|上空から見た層積雲]]
+[[File:Stratocumulus lenticularis bei Mackenzell.jpg|thumb|レンズ層積雲]]
+[[File:Stratocumulus castellanus clouds (165472005).jpg|thumb|塔状層積雲]]
+'''層積雲'''（そうせきうん）は[[雲]]の一種。[[白色]]または[[灰色]]で、大きな塊が群れをなし、ロール状、斑状、層状などと形容される集まり方をした雲。どの季節にもよく現れ、[[曇り|曇天]]はもたらすが、[[降水]]は多くなく降っても強くない<ref name="雲・空pp72-81">『雲・空』pp.72-81.</ref><ref name="手引きp51">『気象観測の手引き』p.51.</ref>。主な俗称は'''畝雲'''（'''うね雲'''）・'''まだら雲'''・'''くもり雲'''・'''むら雲'''で、ときに かさばり雲、重なり雲などとも呼ぶ<ref name="雲・空pp170-171">『雲・空』pp.170-171.</ref><ref>{{Cite kotobank|層積雲|encyclopedia=小学館『デジタル[[大辞泉]]』|accessdate=2023-02-22}}</ref><ref>{{Cite kotobank|層積雲|encyclopedia=小学館『精選版 [[日本国語大辞典]]』|accessdate=2023-02-22}}</ref><ref>{{Cite kotobank|層積雲|encyclopedia=小学館『[[日本大百科全書]]』（ニッポニカ）|accessdate=2023-02-22}}</ref>。
+== 名称 ==
-'''層積雲'''（そうせきうん）は雲の一種。[[白色]]または[[灰色]]で、大きな塊が群れをなし、[[ロール]]状、斑状、層状などと形容される集まり方をした[[雲]]。'''うね雲'''、'''まだら雲'''、'''くもり雲'''とも呼び、[[曇天]]はもたらすが[[降水]]を伴うことは少ないという特徴がある。
+基本[[雲形]]（十種雲形）の一つで、地表付近から高度 2 km 程度まで（日本を含む中緯度地域の場合）にできる下層雲。ラテン語学術名は [[wikt:en:stratus|stratus]]（ストラトゥス、層雲）と [[wikt:en:cumulus|cumulus]]（キュムラス、積雲）を合成した stratocumulus（ストラトキュムラス）で、略号は Sc <ref name="雲・空pp72-81"/><ref name="手引きp51"/><ref name="biow">「お天気豆知識 No.82 [https://www.bioweather.net/column/weather/%E5%B1%A4%E7%A9%8D%E9%9B%B2/ 層積雲]」、バイオウェザー、2007年11月、2023年2月22日閲覧</ref>。
+== 形状と出現環境 ==
-層雲より高いところに浮かび、高度2000m程度にある場合が多い。高積雲との違いは、天球上の見かけの大きさ（視直径）が約5度以上あること、毛状雲のような変形がないことなどである。
+空の低い所に現れて大きな塊が次々と移動していき、ときどき雲の隙間に青空が覗くことはあるが、おおむね[[曇り]]の天気となる。[[高積雲]]とよく似ていて、一つ一つの雲の塊の天空上での見かけの大きさ（視角度）が約5度以上あるものを層積雲とする<ref group="注">手を伸ばしたときの握り[[拳]]の幅の半分が目安。なお原則、仰角（水平線からの角度）30度以上で見分ける。</ref>。なお、高積雲と異なり毛羽立ったような形状が現れないのも特徴<ref name="雲・空pp72-81"/><ref name="手引きp51"/>。
+層積雲の形は多様である。たくさんの塊が群れたものや細長く伸び並んだものがあり、塊も平らだったり丸まっていたりし、お互いにくっついて斑やモザイクのような模様を見せるものもあれば、畑の[[畝]]のように凸凹に波打ち、あるいは長いロール状がいくつも並んだ形をする。また、手でちぎった[[綿]]、あるいはとらえどころのない形をし、刻々と姿を変えていくことも多い。冗談交じりに「層積雲とはほかのどの雲にも当てはまらない雲のことである」と紹介されることもある<ref name="雲・空pp72-81"/><ref>「[https://official.rikanenpyo.jp/posts/6655#sc 雲の種類とその特徴 - 層積雲]」 - [[理科年表]]オフィシャル[[ウェブサイト|サイト]]（国立天文台、丸善出版）、2023年2月22日閲覧</ref>。
-基本[[雲形]]（十種雲形）の一つ。ラテン語学術名は[[wikt:en:stratus|stratus]]（ストラタス、層雲）と[[wikt:en:cumulus|cumulus]]（キュムラス、積雲）を合成したstratocumulus（ストラトキュムラス）で、略号はSc。
+層積雲は主に、水平に広がる[[層雲]]がその中で発生した対流により上に成長して変化、あるいは対流により生じた[[積雲]]や[[積乱雲]]が水平に広がって変化するなどして形成される。[[高積雲]]や[[乱層雲]]から生じることもある<ref name="biow"/><ref>{{Cite web|url=https://cloudatlas.wmo.int/en/stratocumulus-may-form.html|title=Clouds from which Stratocumulus may form|work=International Cloud Atlas（国際雲図帳）|publisher=WMO|date=2017|accessdate=2023-02-22}}</ref>。
-多くの場合は塊を形成するが、層状に全天を覆うこともある。[[高積雲]]と形が似ているが、高積雲の1つ1つの雲が小さいのに対して、層積雲は1つ1つの雲が大きく、空一面が1つのつながった雲に覆われることもある。うね雲の別名の通り、[[畝]]のように波打った形の雲となることがある。
+[[山地]]や[[丘陵|丘陵地]]などで、湿った気流が地形の影響で上昇したり振動したりして層積雲が発生し、比較的小さな層積雲の大集団を形成することがある。
-くもり雲の別名の通り、[[曇天]]をもたらす雲としては最もありふれた雲で、[[雨]]が降る前に出ることが多く、塊が融合して[[乱層雲]]に変わる場合もある。
+層積雲がだんだんと崩れてきたり次々と形が変わり始めた場合、[[風]]が強くなってきたことが考えられる。また、層積雲はその生成条件と高度の低さなどから、温度が比較的高く[[太陽光]]を受けやすいため、日中、特に[[夏]]の水辺では雲の上部から[[蒸発]]し始めてばらばらに分解してしまうこともしばしばである。
-[[ファイル:Mount Kinabalu Clouds 8.jpg|thumb|left|200px|[[キナバル山]]頂から撮影した層積雲]]
-[[山地]]や[[丘陵]]地帯などで、湿った気流が地形の影響で上昇したり振動したりして層積雲が発生し、比較的小さな層積雲の大集団を形成することがある。
+また、高度が低いため地上を照らす太陽光を遮ることが多く、その隙間から太陽光が漏れる[[薄明光線|天使の梯子]]が見られることも多い。
-層積雲がだんだんと崩れてきたり次々と形が変わり始めた場合、[[風]]が強くなってきたことが考えられる。また、層積雲はその生成条件と高度の低さなどから、温度が比較的高く[[太陽光]]を受けやすいため、日中、特に[[夏]]の水辺では雲の上部から蒸発し始めてばらばらに分解してしまうこともしばしばである。
+層積雲が厚くなってくるときは天気が崩れ、層積雲の高度が高くなってくるときは天気は回復する。層積雲から降る雨や雪はそれほど強くなく、より上層にある[[高積雲]]から落下した氷晶が層積雲の中で成長するなどして降ることが多い<ref name="雲・空pp72-81"/><ref name="biow"/>。
-また、高度が低いため地上を照らす太陽光を遮ることが多く、その隙間から太陽光が漏れる[[天使の梯子]]が見られることも多い。
+層積雲には5つの雲種がある。広がって空のほとんどを覆ったものを[[層状雲]]といい、層積雲では最も頻度が高い<ref>『雲・空』pp.118-119.</ref><ref>{{Cite web|url=https://cloudatlas.wmo.int/en/species-stratocumulus-stratiformis-sc-str.html|title=Stratocumulus stratiformis (Sc str)|work=International Cloud Atlas（国際雲図帳）|publisher=WMO|date=2017|accessdate=2023-02-22}}</ref>。上空の風が強い時現れるレンズのような塊型のものを[[レンズ雲]]というが層積雲では頻度が低い<ref>『雲・空』p.117.</ref><ref>{{Cite web|url=https://cloudatlas.wmo.int/en/species-stratocumulus-lenticularis-sc-len.html|title=Stratocumulus lenticularis (Sc len)|work=International Cloud Atlas（国際雲図帳）|publisher=WMO|date=2017|accessdate=2023-02-22}}</ref>。下から盛り上がった雲のてっぺんにあるものを[[塔状雲]]といい、ときに雄大積雲や積乱雲に発達することがある<ref>『雲・空』p.116.</ref><ref>{{Cite web|url=https://cloudatlas.wmo.int/en/species-stratocumulus-castellanus-sc-cas.html|title=Stratocumulus castellanus (Sc cas)|work=International Cloud Atlas（国際雲図帳）|publisher=WMO|date=2017|accessdate=2023-02-22}}</ref>。丸みを帯びた塊（[[房状雲]]）となることもあり、塔状雲が消えていく過程で見られることが多い<ref>{{Cite web|url=https://cloudatlas.wmo.int/en/species-stratocumulus-floccus-sc-flo.html|title=Stratocumulus floccus (Sc flo)|work=International Cloud Atlas（国際雲図帳）|publisher=WMO|date=2017|accessdate=2023-02-22}}</ref>。稀にチューブ状（volutus<ref name="volutus" group="注"/>）となることもある<ref>{{Cite web|url=https://cloudatlas.wmo.int/en/species-stratocumulus-volutus-sc-vol.html|title=Stratocumulus volutus (Sc vol)|work=International Cloud Atlas（国際雲図帳）|publisher=WMO|date=2017|accessdate=2023-02-22}}</ref>。
-層積雲に現れる[[雲形#種の分類|雲種]]には、[[層状雲]]、[[レンズ雲]]、[[塔状雲]]の3つがある。
+雲の厚さによって、太陽や月を透視できるくらいのものを[[半透明雲]]、完全に覆い隠してしまうくらい厚いものを[[不透明雲]]という<ref>『雲・空』pp.138-139.</ref>。また雲片が集団になりひとつひとつの雲片に隙間が見えるものを[[隙間雲]]という<ref>『雲・空』p.137.</ref>。
-層積雲はあまりとらえどころのない雲であるため「層積雲とはほかのどの雲にも当てはまらない雲のことである」というジョークもある<ref>[http://www.rikanenpyo.jp/FAQ/kisyo/faq_kisyo_004.html#sc 雲の種類とその特徴 - 層積雲] - [[理科年表]][[公式ウェブサイト|オフィシャルサイト]]内のページ</ref>。
+変種として、帯状・ロール状の雲が放射状に並ぶものを[[放射状雲]]<ref>『雲・空』pp.130-131.</ref>、2層異なる高度にあって重なって見えるものを[[二重雲]]<ref>『雲・空』pp.132-133.</ref>、上空の気流の影響で波紋やうねりのような模様が見えるものを[[波状雲]]<ref>『雲・空』pp.134-135.</ref>、丸い穴がいくつも開き消散傾向のものを[[蜂の巣状雲]]<ref>『雲・空』p.136.</ref>という。
 == 派生する雲形 ==
+[[国際雲図帳]]2017年版の解説によると、層積雲に現れることがある種・変種・副変種は以下の通り<ref>『雲・空』p.12.</ref><ref>{{Cite web|url=https://cloudatlas.wmo.int/en/cloud-classification-summary.html|title=Cloud classification summary|work=International Cloud Atlas（国際雲図帳）|publisher=WMO|date=2017|accessdate=2023-02-22}}</ref>。
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+* 雲種 - [[層状雲]]、[[レンズ雲]]、[[塔状雲]]、[[房状雲]]、volutus<ref name="volutus" group="注">日本語訳未確定。ロール雲などの案がある。</ref>
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-* [[層状雲]]
-* [[レンズ雲]]
-* [[塔状雲]]
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-; 雲変種
-* [[半透明雲]]
-* [[隙間雲]]
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-; 雲副変種
-* [[乳房雲]]
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-* [[降水雲]]
-|}
-== 脚注・出典 ==
+== 脚注 ==
+=== 注釈 ===
 {{脚注ヘルプ}}
-{{Reflist}}
+{{Reflist|group="注"}}
+=== 出典 ===
+{{Reflist|2}}
+== 参考文献 ==
+* 田中達也、『雲・空』〈ヤマケイポケットガイド 25〉、山と溪谷社、2001年。ISBN 978-4-635-06235-0
+* 『[https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kansoku_guide/hpc.html 気象観測の手引き]』、気象庁、1998年（平成10年）9月発行・2007年（平成19年）12月改訂。
+* "[https://cloudatlas.wmo.int/en/home.html International Cloud Atlas]"（国際雲図帳）, WMO（[[世界気象機関]]）, 2017
+== 外部リンク ==
+{{Commons&cat|Stratocumulus|Stratocumulus clouds}}
+* {{Kotobank}}
+* [https://cloudatlas.wmo.int/en/clouds-genera-stratocumulus.html Stratocumulus] - [https://cloudatlas.wmo.int/en/home.html International Cloud Atlas], WMO{{En icon}}
-{{Commons|Stratocumulus}}
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 [[Category:雲]]
-{{Climate-stub}}
-[[ca:Stratocumulus]]
-[[cs:Stratocumulus]]
-[[de:Stratocumulus]]
-[[el:Στρωματοσωρείτες]]
-[[en:Stratocumulus cloud]]
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