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{{言語学}}
{{言語学}}
'''言語政策'''(げんごせいさく、英:Language policy)とは、[[国家]]機関が自国民の[[言語]]や占領支配地域の言語を対象として実施する[[政策]]<ref>コトバンク「[https://kotobank.jp/word/%E8%A8%80%E8%AA%9E%E6%94%BF%E7%AD%96-60473 言語政策とは]」[[日本大百科全書]](ニッポニカ)の解説より</ref>。
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'''言語政策'''(げんごせいさく)とは、[[国家]]の優先事項に沿って[[政府]]が[[法律]]を通してどの[[言語]]を使うことにするかを決定する公式決定または[[政策]]で、[[個人]]または[[集団]]の[[権利]]を確立するために必要な[[言語能力]]を深めて彼らが自分たちの言語を使用できるように維持するためのものである。


[[政府]]レベルで実施する[[言語計画]]を指し、[[言語イデオロギー]]、[[言語復興]]{{enlink|Language revitalization}}、[[言語教育]]などにまたがる[[学際]]分野である{{Refnest|group="注釈"|学識者の間でも、[[社会言語学]]だと考える者([[ジョシュア・フィッシュマン]]やオフェリア・ガルシアなど)もいるし、[[応用言語学]]だと考える者(バーナード・スポルスキー、ロバート・B・カプラン、ジョセフ・ロ・ビアンコなど)もいる。}}。
多くの[[国|国々]]は、特定または[[多言語|複数の言語使用]]を支持するか、もしくは規制するような'''言語政策'''を持っている。[[歴史]]的に見ると、[[国家]]は、いかなる代価を払ってでも唯一の[[公用語]]を奨励するために'''言語政策'''を使ったが、現在では、[[危機言語]]を保護する政策を取っている国も多くある。


== 関連項目 ==
==定義==
言語政策には様々な(学術的)定義がされている。カプランとバルダウフ(1997)<ref>{{cite book |last1=Kaplan |first1=Robert B. |last2=Baldauf |first2=Richard B. |title=Language planning from practice to theory |date=1997 |publisher=Multilingual Matters |location=Clevedon|pages=xi}}</ref>によれば「言語政策は、社会の集団や体系において計画通りの[[言語変化]]を成し遂げることを意図した思想、法律、規制、規則、慣行の実体」である。[[ジョセフ・ロー・ビアンコ]]は、この分野を「特定の歴史および地域の状況が言葉の問題とされるものに影響を及ぼし、そこでの政治力学が問題となる言語のどこに政策上の方針を与えるかを決定するもの」と定義している<ref>{{cite book |last1=Hornberger |first1=Nancy H. |last2=McKay |first2=Sandra L. |title=Sociolinguistics and language education |url=https://archive.org/details/sociolinguistics00horn_413 |url-access=registration |date=2010 |publisher=Multilingual Matters |location=Bristol |pages=[https://archive.org/details/sociolinguistics00horn_413/page/n163 143]-176,ciation=p.152}}</ref>。マッカーティ(2011)は言語政策を「複雑な社会文化的プロセスであり、権力関係による仲裁を挟んだ人的な相互作用や折衝、および成果の言語様式<!--(mode)-->」と定義している。これらプロセスにおける「政策」は[[#主な言語調整機関|言語調整の権力機関]]内にあり、それは「使っていい言語と使っては駄目な言語に関する規範的枠組み<!--claim(要求・主張)を意訳-->を表すやり方で、それによって言語の[[社会的地位|ステータス]]と使用を管理する」という<ref>{{cite book |last1=McCarty |first1=Teresa |title=Ethnography of Language Policy |date=2011 |publisher=Routledge |location=New York}}</ref>。
* [[国語]]
* [[言語計画]]
* [[言語改革]]
* [[Welsh Not]]
* [[フランスの言語政策]]


==概要==
{{Language-stub}}
言語政策は広範であるが、概ね3要素に分類できる。スポルスキー(2004)は「[[言語共同体]]の言語政策の3要素を区別することが有用な第一歩だ」と論じている。
#言語慣行 - 自国の言語[[レパートリー]]を構成する様々な言語の中から選択する慣習的なパターン
#言語の信条または[[イデオロギー]] - 言語および言語使用に関する信条
#何らかの言語介入・言語計画・言語管理によってその慣行を変えたり影響を及ぼす、何らかの具体的な取り組み<ref>{{cite book |last1=Spolsky |first1=Bernard |title=Language Policy |date=2004 |publisher=Cambridge University Press |location=Cambridge|pages=5}}</ref>

言語政策の伝統的な分野は言語統制(language regulation)に関するものである。これは[[法律]]や裁判所の決定や政策を通じて政府が公式に実施するもので、言語の使用法を定めたり、国内優先事項に見合う必要な言語技能者を育成したり、言語を使用・維持する個人や集団の権利を確立させる目的がある。

==導入==
言語政策の導入は国によって様々である。これは言語政策が偶発的な歴史的理由に基づいて実施されることが多いとの事実から説明される場合もある<ref>Id., at page 23</ref>。同様に、言語政策を導入する明示の程度も国によって異なる。フランスの[[トゥーボン法]]{{enlink|Toubon law}}が明示的な言語政策の好例であり、[[ケベック州]]の[[フランス語憲章]]も同様である<ref>Van der Jeught, S., EU Language Law (2015), Europa Law Publishing: Groningen, 15 et seq.</ref>。なお日本では、[[文化庁]]が[[国語に関する世論調査]]を実施して定期的に[[日本語の乱れ]]等を調査しているが、それを踏まえた言語法整備や憲章の作成までには至っていない。

[https://english.washington.edu/people/james-tollefson トレフソン]などの学識者は言語政策が不平等を生じうると主張し、「言語政策の策定とは社会集団(階級)における区分の基盤理由となる言語の制度化を意味している。すなわち言語政策とは、言語が政治権力や経済資源をやりとりする人物を決定できるよう、社会構造内部にてその言語を位置付けるメカニズムの1つである。言語政策は、支配集団が言語使用の中で[[覇権]]を確立する{{Refnest|group="注釈"|諸外国では異言語の民族が国内に複数いるケースも珍しくないため、何を[[公用語]]と定めるかでその後の支配統治(覇権)も大きく左右される。}}メカニズムである」と述べている<ref>{{cite book |last1=Tollefson |first1=James W. |title=Planning language, planning inequality: Language policy in the community |date=1989 |publisher=Longman |location=London|pages=16}}</ref>。

多くの国には、特定の言語(または言語群)を使うことを優先・推奨するよう勘案された言語政策がある。歴史的に見ると国家は他を犠牲にして1つの[[公用語]]を促進する目的で言語政策を行うことが最も多かったが、現在は多くの国が存続の危ぶまれている[[地域言語]]や民族言語を保護したり促進するよう勘案された政策である。確かに、[[少数言語|言語的少数派]]が管轄内にいることは内部結束への潜在的脅威になると考えられることも多かったが、国家はまた市民の中央政府に対する信頼を獲得する手段として、少数派に[[言語権]]を与えることが長期的な利益になりうることを理解している<ref>Arzoz, X., 'The Nature of Language Rights'. Journal on Ethnopolitics and Minority Issues in Europe (2007): 13.</ref>。

今日の世界における[[文化多様性]]や[[言語多様性]]の保護は、多くの科学者、芸術家、作家、政治家、言語共同体の指導者、言語権擁護者にとって大きな関心事である。{{要出典範囲|date=2021年5月|現在世界で話されている6000の言語の半分以上が21世紀中に消滅する危険があると推定されている}}。[[ネイティブスピーカーの数が多い言語の一覧|ネイティブ話者の人口規模]]、公的な会話での使用頻度、話者の社会経済的重要性と地理的分散、などの様々な要因が人類の扱う言語の存在や使用法に影響を与えている。国内の言語政策が、これら要因の一部を軽減させることもあれば悪化させることもある。

例えば、[[ギラード・ツッカーマン]]によると「先住民言語の補償{{enlink|Native Tongue Title}}<!-- 定訳不明。英語版wikiの序文によると「先住民の言語消滅に対する補償」を指す -->と言語権は促進されてしかるべきである。(オーストラリアを例に挙げると)政府は[[アボリジニ]]と[[トレス海峡諸島]]の現地語をオーストラリアの[[公用語]]として定義すべきで、[[ワイアラ]]や他の場所の言語景観{{enlink|linguistic landscape}}を変更する必要がある。標識には英語および現地の先住民言語の両方を入れるべきである。言語、音楽、舞踊を含む先住民族の知識という[[知的財産]]を我々は認めるべきである」という<ref>[[Ghil'ad Zuckermann|Zuckermann, Ghil'ad]], [http://www.theaustralian.com.au/higher-education/opinion/stop-revive-and-survive/story-e6frgcko-1226385194433 "Stop, revive and survive"], ''The Australian Higher Education'', June 6, 2012.</ref>。

言語政策を分類するには多くの方法がある。「''L'aménagement linguistique dans le monde(世界中の言語政策)''」というフランス語のウェブサイトは、1999年に[[ラヴァル大学]]の社会言語学者ジャケ・ルクレールによって詳細に作られた<ref>(French) Leclerc, Jacques. [http://www.tlfq.ulaval.ca/axl/monde/index_politique-lng.htm "Index par politiques linguistiques"] in ''L'aménagement linguistique dans le monde'', Québec, TLFQ, [[Université Laval]], December 2003.</ref>。言語政策の収集・翻訳・分類作業は1988年に始まり、1994年の『Recueil des législations linguistiques dans le monde(世界の言語法制百科)』1-4巻の出版で最高潮に達した。約470の言語法を含む研究調査を含めたこの著作物は、[[ケベック州フランス語局]](OQLF)による助成を受けたものだった<ref>Leclerc, Jacques. [http://www.tlfq.ulaval.ca/axl/monde/historique_du_site.htm "Historique du site du CIRAL au TLFQ"] in ''L'aménagement linguistique dans le monde'', Québec, TLFQ, [[Université Laval]], August 16, 2007 (in French).</ref>。2008年4月、同ウェブサイトは194の承認済み国家にある354の州や自治区における言語紹介と言語政策を掲示した<ref>Leclerc, Jacques. [http://www.tlfq.ulaval.ca/axl/index.shtml "Page d'accueil"] in ''L'aménagement linguistique dans le monde'', Québec, TLFQ, [[Université Laval]], 2007 (in French).</ref>。

==主な言語調整機関==
{{main|:en:List of language regulators}}
*[[アカデミー・フランセーズ]]
*[[ヘブライ語アカデミー]]
*[[クルスカ学会]]
*[[アカデミーオ・デ・エスペラント]]
*[[スペイン語アカデミー協会]]
*[[セルビア語標準化委員会]](セルビア、モンテネグロ、スルプスカ共和国)
<!--*[[B?rd na G?idhlig]](スコットランドの[[ゲール語]])-->
*[[フィリピノ語委員会]](フィリピン)
*[[オランダ語連合]]
<!--*[[Foras na Gaeilge]](アイルランド)-->
*[[言語育成振興局]](インドネシア)
*[[ノルウェー言語諮問委員会]]
*[[ケベック州フランス語局]]
*[[ブルトン語公用事務所]](ブルターニュの[[ブルトン語]])
*[[汎南アフリカ言語委員会]]
*[[レアル・アカデミア・エスパニョーラ]]
*[[スウェーデン語評議会]]
*[[国家リトアニア語委員会]]

==関連項目==
<!-- 英語版のリンク量が過剰なため、日本語記事があるものを抜粋-->
*[[言語権]]
*[[言語変化]]
*[[言語計画]]
*[[言語改革]]
*[[言語税]]
*[[言語消滅]]
*[[国語]]
*[[公用語]]
*[[地方言語]]
*[[国際母語デー]]
*[[言語ナショナリズム]]
*[[文化ヘゲモニー]]
*[[言語帝国主義]]
*[[言語純化運動]]
'''具体事例'''
*[[ヨーロッパ地方言語・少数言語憲章]]
*[[フランスの言語政策]]
*[[トルコの言語純化運動]]
*[[方言札]]/英国の[[Welsh Not]]
*[[皇民化教育]](戦前の日本による、言語政策を含む同化教育)
*[[国語審議会]]

== 脚注 ==
=== 注釈===
{{Reflist|group="注釈"}}
=== 出典===
{{Reflist|2}}

==外部リンク==
*「[https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/ 文化審議会国語分科会]」-[[文化庁]](平成14年- )
*「[https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/singikai/horitu/index.html 法律・政令に基づく国語審議会]」-文化庁(昭和24年-平成13年)
* [[欧州評議会]]の[http://www.coe.int/t/dg4/linguistic/ 言語政策部署(Language Policy Division)]

{{公共政策}}
{{Normdaten}}
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[[Category:言語政策|*]]
[[Category:言語政策|*]]
[[Category:社会言語学]]
[[Category:社会言語学]]

[[be:Моўная палітыка]]
[[be-x-old:Моўнае ўрадаваньне]]
[[br:Politikerezh yezh]]
[[ca:Política lingüística]]
[[cv:Чĕлхе политики]]
[[cy:Polisi iaith]]
[[de:Sprachpolitik]]
[[el:Γλωσσική πολιτική]]
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[[eu:Hizkuntza politika]]
[[fi:Kielipolitiikka]]
[[fr:Politique linguistique]]
[[gl:Normalización lingüística]]
[[lb:Sproochpolitik]]
[[lt:Kalbos politika]]
[[lv:Valodu politika]]
[[nl:Taalpolitiek]]
[[no:Språkpolitikk]]
[[pl:Polityka językowa]]
[[pt:Política linguística]]
[[sv:Språkpolitik]]
[[ta:மொழிக் கொள்கை]]
[[uk:Мовна політика]]
[[wa:Politike linwistike]]

2023年7月24日 (月) 15:05時点における最新版

言語政策(げんごせいさく、英:Language policy)とは、国家機関が自国民の言語や占領支配地域の言語を対象として実施する政策[1]

政府レベルで実施する言語計画を指し、言語イデオロギー言語復興 (Language revitalization言語教育などにまたがる学際分野である[注釈 1]

定義[編集]

言語政策には様々な(学術的)定義がされている。カプランとバルダウフ(1997)[2]によれば「言語政策は、社会の集団や体系において計画通りの言語変化を成し遂げることを意図した思想、法律、規制、規則、慣行の実体」である。ジョセフ・ロー・ビアンコは、この分野を「特定の歴史および地域の状況が言葉の問題とされるものに影響を及ぼし、そこでの政治力学が問題となる言語のどこに政策上の方針を与えるかを決定するもの」と定義している[3]。マッカーティ(2011)は言語政策を「複雑な社会文化的プロセスであり、権力関係による仲裁を挟んだ人的な相互作用や折衝、および成果の言語様式」と定義している。これらプロセスにおける「政策」は言語調整の権力機関内にあり、それは「使っていい言語と使っては駄目な言語に関する規範的枠組みを表すやり方で、それによって言語のステータスと使用を管理する」という[4]

概要[編集]

言語政策は広範であるが、概ね3要素に分類できる。スポルスキー(2004)は「言語共同体の言語政策の3要素を区別することが有用な第一歩だ」と論じている。

  1. 言語慣行 - 自国の言語レパートリーを構成する様々な言語の中から選択する慣習的なパターン
  2. 言語の信条またはイデオロギー - 言語および言語使用に関する信条
  3. 何らかの言語介入・言語計画・言語管理によってその慣行を変えたり影響を及ぼす、何らかの具体的な取り組み[5]

言語政策の伝統的な分野は言語統制(language regulation)に関するものである。これは法律や裁判所の決定や政策を通じて政府が公式に実施するもので、言語の使用法を定めたり、国内優先事項に見合う必要な言語技能者を育成したり、言語を使用・維持する個人や集団の権利を確立させる目的がある。

導入[編集]

言語政策の導入は国によって様々である。これは言語政策が偶発的な歴史的理由に基づいて実施されることが多いとの事実から説明される場合もある[6]。同様に、言語政策を導入する明示の程度も国によって異なる。フランスのトゥーボン法 (Toubon lawが明示的な言語政策の好例であり、ケベック州フランス語憲章も同様である[7]。なお日本では、文化庁国語に関する世論調査を実施して定期的に日本語の乱れ等を調査しているが、それを踏まえた言語法整備や憲章の作成までには至っていない。

トレフソンなどの学識者は言語政策が不平等を生じうると主張し、「言語政策の策定とは社会集団(階級)における区分の基盤理由となる言語の制度化を意味している。すなわち言語政策とは、言語が政治権力や経済資源をやりとりする人物を決定できるよう、社会構造内部にてその言語を位置付けるメカニズムの1つである。言語政策は、支配集団が言語使用の中で覇権を確立する[注釈 2]メカニズムである」と述べている[8]

多くの国には、特定の言語(または言語群)を使うことを優先・推奨するよう勘案された言語政策がある。歴史的に見ると国家は他を犠牲にして1つの公用語を促進する目的で言語政策を行うことが最も多かったが、現在は多くの国が存続の危ぶまれている地域言語や民族言語を保護したり促進するよう勘案された政策である。確かに、言語的少数派が管轄内にいることは内部結束への潜在的脅威になると考えられることも多かったが、国家はまた市民の中央政府に対する信頼を獲得する手段として、少数派に言語権を与えることが長期的な利益になりうることを理解している[9]

今日の世界における文化多様性言語多様性の保護は、多くの科学者、芸術家、作家、政治家、言語共同体の指導者、言語権擁護者にとって大きな関心事である。現在世界で話されている6000の言語の半分以上が21世紀中に消滅する危険があると推定されている[要出典]ネイティブ話者の人口規模、公的な会話での使用頻度、話者の社会経済的重要性と地理的分散、などの様々な要因が人類の扱う言語の存在や使用法に影響を与えている。国内の言語政策が、これら要因の一部を軽減させることもあれば悪化させることもある。

例えば、ギラード・ツッカーマンによると「先住民言語の補償 (Native Tongue Titleと言語権は促進されてしかるべきである。(オーストラリアを例に挙げると)政府はアボリジニトレス海峡諸島の現地語をオーストラリアの公用語として定義すべきで、ワイアラや他の場所の言語景観 (linguistic landscapeを変更する必要がある。標識には英語および現地の先住民言語の両方を入れるべきである。言語、音楽、舞踊を含む先住民族の知識という知的財産を我々は認めるべきである」という[10]

言語政策を分類するには多くの方法がある。「L'aménagement linguistique dans le monde(世界中の言語政策)」というフランス語のウェブサイトは、1999年にラヴァル大学の社会言語学者ジャケ・ルクレールによって詳細に作られた[11]。言語政策の収集・翻訳・分類作業は1988年に始まり、1994年の『Recueil des législations linguistiques dans le monde(世界の言語法制百科)』1-4巻の出版で最高潮に達した。約470の言語法を含む研究調査を含めたこの著作物は、ケベック州フランス語局(OQLF)による助成を受けたものだった[12]。2008年4月、同ウェブサイトは194の承認済み国家にある354の州や自治区における言語紹介と言語政策を掲示した[13]

主な言語調整機関[編集]

関連項目[編集]

具体事例

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 学識者の間でも、社会言語学だと考える者(ジョシュア・フィッシュマンやオフェリア・ガルシアなど)もいるし、応用言語学だと考える者(バーナード・スポルスキー、ロバート・B・カプラン、ジョセフ・ロ・ビアンコなど)もいる。
  2. ^ 諸外国では異言語の民族が国内に複数いるケースも珍しくないため、何を公用語と定めるかでその後の支配統治(覇権)も大きく左右される。

出典[編集]

  1. ^ コトバンク「言語政策とは日本大百科全書(ニッポニカ)の解説より
  2. ^ Kaplan, Robert B.; Baldauf, Richard B. (1997). Language planning from practice to theory. Clevedon: Multilingual Matters. pp. xi 
  3. ^ Hornberger, Nancy H.; McKay, Sandra L. (2010). Sociolinguistics and language education. Bristol: Multilingual Matters. pp. 143-176,ciation=p.152. https://archive.org/details/sociolinguistics00horn_413 
  4. ^ McCarty, Teresa (2011). Ethnography of Language Policy. New York: Routledge 
  5. ^ Spolsky, Bernard (2004). Language Policy. Cambridge: Cambridge University Press. pp. 5 
  6. ^ Id., at page 23
  7. ^ Van der Jeught, S., EU Language Law (2015), Europa Law Publishing: Groningen, 15 et seq.
  8. ^ Tollefson, James W. (1989). Planning language, planning inequality: Language policy in the community. London: Longman. pp. 16 
  9. ^ Arzoz, X., 'The Nature of Language Rights'. Journal on Ethnopolitics and Minority Issues in Europe (2007): 13.
  10. ^ Zuckermann, Ghil'ad, "Stop, revive and survive", The Australian Higher Education, June 6, 2012.
  11. ^ (French) Leclerc, Jacques. "Index par politiques linguistiques" in L'aménagement linguistique dans le monde, Québec, TLFQ, Université Laval, December 2003.
  12. ^ Leclerc, Jacques. "Historique du site du CIRAL au TLFQ" in L'aménagement linguistique dans le monde, Québec, TLFQ, Université Laval, August 16, 2007 (in French).
  13. ^ Leclerc, Jacques. "Page d'accueil" in L'aménagement linguistique dans le monde, Québec, TLFQ, Université Laval, 2007 (in French).

外部リンク[編集]