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「AIM-95 (ミサイル)」の版間の差分

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[[ファイル:Lt Ayers and prototype AIM-95 1970.jpg|thumb|right|アメリカ海軍によるAIM-95ミサイルの写真(1970年頃)]]
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'''AIM-95 アジャイル'''({{Lang-en-short|Agile}})は、[[アメリカ合衆国]]によって開発された[[空対空ミサイル]]である。
'''AIM-95 アジャイル'''({{Lang-en-short|Agile}}:「[[敏捷]]」の意)は、[[アメリカ合衆国]]によって開発された[[空対空ミサイル#WVR|短距離空対空ミサイル]]である。


== 概要 ==
== 開発 ==
[[File:Agile flight test on F-4.jpg|thumb|right|200px|F-4に搭載されたAIM-95]]
AIM-95は、[[サイドワインダー (ミサイル)|AIM-9 サイドワインダー]]短距離空対空ミサイルに代わる先進のミサイルとして、チャイナ・レイク海軍兵器センターで開発された。アジャイルは[[ファイア・アンド・フォーゲット]](撃ちっぱなし)作動が可能な赤外線シーカーを備えていた。シーカー・ヘッドにはヘルメット装着型照準装置(Helmet Mounted Sight、HMS)によって照準できる高いオフ・ボアサイト標的探知能力があり、前にない目標に対して発射することを可能にした。それゆえに、ファイアリング・ポジション(発砲可能な位置)を確保することを以前よりはるかに簡単にした。AIM-95の固体推進剤ロケットは、AIM-9 サイドワインダー以上の優れた旋回能力を与えるために推力偏向能力を持っていた。
AIM-95は、[[サイドワインダー (ミサイル)|AIM-9 サイドワインダー]] 短距離空対空ミサイルに代わる先進のミサイルとして、チャイナ・レイク海軍兵器センターで開発された。


AIM-95は[[ファイア・アンド・フォーゲット]](撃ち能力;ミサイルの発射後に発射母機による誘導を必要としない方式)作動が可能な赤外線シーカーを備えていた。シーカー・ヘッドにはVisual Target Acquisition System (VTAS)<ref>[http://thefutureofthings.com/3073-lumus-future-video-eyeglasses/ Lumus – Future Video-Eyeglasses]</ref>と呼ばれる[[ヘッドマウントディスプレイ|ヘルメット装着型照準装置]](Helmet Mounted Sight、HMS)によって照準できる高い[[対空ミサイル#オフボアサイト射撃能力の獲得|オフ・ボアサイト標的探知能力]]があり、前位置しない目標に対して発射することを可能にした。それゆえに、ファイアリング・ポジション(発砲可能な位置)を確保することを以前よりはるかに簡単にした。AIM-95の固体推進剤ロケットは、AIM-9 サイドワインダー以上の優れた旋回能力を与えるために推力偏向能力を持っていた。
[[アメリカ空軍]]は、同じ時期にF-15イーグルに装備するための[[AIM-82 (ミサイル)|AIM-82]]ミサイルを開発していた。双方のミサイルの役割が一部重複する部分があったため、アジャイルを存続し、AIM-82の開発を中止するを破棄することが決定された。

同じ時期、[[アメリカ空軍]]はF-15イーグルに装備するための新型空対空ミサイルとして[[AIM-82]]ミサイルを開発していた。双方のミサイルの役割が一部重複する部分があったため、AIM-82の開発を破棄し、AIM-95に計画を統合することが決定された。


== AIMVAL ==
== AIMVAL ==
AIM-95Aはチャイナ・レイクでの試射と[[1975年]]から[[1978年]]の[[ネリス空軍基地]]での[[F-14 (戦闘機)|F-14]]と[[F-15 (戦闘機)|F-15]]によるACEVAL/AIMVAL統合試験評価への編入を含む飛行試験が行われるところまで開発された。より高いオフ・ボアサイト能力と高いコストの限られた有用性を示しているAIMVALの分析結果はそれが入手可能であるともはや考えられていなかったという意見に終わった、そして、プロジェクトは[[1975年]]にキャンセルされた。その代わりに、サイドワインダーの改良版が、空軍と海軍による使用のために開発された。これが臨時的な解決策であったはずだったが、実際には、AIM-9は今日も運用を続けられており、アジャイルのような特徴を持つミサイルはAIM-9Xや[[ASRAAM (ミサイル)|AIM-132 ASRAAM]]として開発された。
計画の統合後、AIM-95Aはチャイナ・レイクでの試射と[[1975年]]から[[1978年]]の[[ネリス空軍基地]]での[[F-14 (戦闘機)|F-14]]と[[F-15 (戦闘機)|F-15]]によるACEVAL/AIMVAL統合試験評価への編入を含む飛行試験が行われるところまで開発された。


AIMVALの分析結果は、より高いオフ・ボアサイト能力の必要性と高コストで複雑高価なミサイルの限られた有用性を示しており、このまま開発を継続したとしても現実的な予算の範囲では配備不可能であると考えられる、という結論に終わり、プロジェクトは[[1975年]]にキャンセルされた。その代わりに、サイドワインダーの改良版が空軍と海軍による使用のために開発された。これは臨時的な解決策であったはずだったが、実際にはAIM-9はその後も長期に渡って運用が続けられており、アジャイルのような特徴を持つミサイルはAIM-9Xや[[ASRAAM (ミサイル)|AIM-132 ASRAAM]]として開発された。
[[ソビエト連邦]]は、推力偏向機構を持つ先進高ボアサイトSRMの開発に乗りだし、[[1985年]]に[[MiG-29 (航空機)|MiG-29]]の[[R-73 (ミサイル)|AA-11/R-73 アーチャー]]を配備し

[[ソビエト連邦]]は、推力偏向機構を持つ先進的な高ボアサイトミサイルの開発に乗りだし、[[1985年]]に[[MiG-29 (航空機)|MiG-29]]の[[R-73 (ミサイル)|AA-11/R-73 アーチャー]]を配備している

== 脚注・出典 ==
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== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
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* [[サイドワインダー (ミサイル)|AIM-9 サイドワインダー]]
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* [[AIM-82 (ミサイル)|AIM-82]]
* [[AIM-82]]
* {{仮リンク|SRAAM (ミサイル)|en|SRAAM|label=SRAAM}}
* [[アメリカ合衆国のミサイル一覧]]
* [[アメリカ合衆国のミサイル一覧]]

== 外部リンク ==
*[http://sistemasdearmas.com.br/aam/agile.html AIM-95 Agile e AIM-82]
*[https://www.militarytoday.com/missiles/aim_95_agile.htm MilitaryToday.com>AIM-95 Agile Short-range air-to-air missile]


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[[Category:アメリカ合衆国の空対空ミサイル]]
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[[Category:アメリカ合衆国の中止された軍用ロケットとミサイルの計画]]

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2023年7月26日 (水) 18:35時点における最新版

アメリカ海軍によるAIM-95ミサイルの写真(1970年頃)

AIM-95 アジャイル: Agile:「敏捷」の意)は、アメリカ合衆国によって開発された短距離空対空ミサイルである。

開発

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F-4に搭載されたAIM-95

AIM-95は、AIM-9 サイドワインダー 短距離空対空ミサイルに代わる先進のミサイルとして、チャイナ・レイク海軍兵器センターで開発された。

AIM-95はファイア・アンド・フォーゲット(撃ち放し能力;ミサイルの発射後に発射母機による誘導を必要としない方式)作動が可能な赤外線シーカーを備えていた。シーカー・ヘッドにはVisual Target Acquisition System (VTAS)[1]と呼ばれるヘルメット装着型照準装置(Helmet Mounted Sight、HMS)によって照準できる高いオフ・ボアサイト標的探知能力があり、前方に位置しない目標に対して発射することを可能にした。それゆえに、ファイアリング・ポジション(発砲可能な位置)を確保することを以前よりはるかに簡単にした。AIM-95の固体推進剤ロケットは、AIM-9 サイドワインダー以上の優れた旋回能力を与えるために推力偏向能力を持っていた。

同じ時期、アメリカ空軍はF-15イーグルに装備するための新型空対空ミサイルとしてAIM-82ミサイルを開発していた。双方のミサイルの役割が一部重複する部分があったため、AIM-82の開発を破棄し、AIM-95に計画を統合することが決定された。

AIMVAL

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計画の統合後、AIM-95Aはチャイナ・レイクでの試射と1975年から1978年ネリス空軍基地でのF-14F-15によるACEVAL/AIMVAL統合試験評価への編入を含む飛行試験が行われるところまで開発された。

AIMVALの分析結果は、より高いオフ・ボアサイト能力の必要性と高コストで複雑高価なミサイルの限られた有用性を示しており、このまま開発を継続したとしても現実的な予算の範囲では配備不可能であると考えられる、という結論に終わり、プロジェクトは1975年にキャンセルされた。その代わりに、サイドワインダーの改良版が空軍と海軍による使用のために開発された。これは臨時的な解決策であったはずだったが、実際にはAIM-9はその後も長期に渡って運用が続けられており、アジャイルのような特徴を持つミサイルはAIM-9XやAIM-132 ASRAAMとして開発された。

ソビエト連邦は、推力偏向機構を持つ先進的な高ボアサイトミサイルの開発に乗りだし、1985年MiG-29AA-11/R-73 アーチャーを配備している。

脚注・出典

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関連項目

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外部リンク

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