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「有線誘導ミサイル」の版間の差分

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[[Image:JGSDF Type 96 Multi-Purpose Missile System.jpg|thumb|right|250px|[[96式多目的誘導弾システム]]の発射]]
[[Image:JGSDF Type 96 Multi-Purpose Missile System.jpg|thumb|right|250px|[[96式多目的誘導弾システム]]の発射]]
'''有線誘導ミサイル'''(ゆうせんゆうどうミサイル、{{lang-en|Wire-guided missile}})は、[[有線通信]]によって誘導される[[ミサイル]]。[[対戦車兵器]]としての利用がほとんどである{{Sfn|『兵器と技術』編集委員会|1990|pp=86-87}}。
[[Image:TOW fired from Jeep.jpg|thumb|right|250px|発射された[[TOW]]]]
'''有線誘導ミサイル'''とは電線や[[光ファイバー]]を伝送媒体として誘導される[[ミサイル]]である。


== 概要 ==
== 概要 ==
[[ミサイルの誘導方式]]として、特に[[対戦車ミサイル]]では有線通信による[[指令誘導]]が広く使われてきた{{Sfn|久野|1990|pp=602-603}}。これは多数目標に対して多数のミサイルが発射されると誘導すべきミサイルが同時に空中に存在することになり、[[電波]]による[[無線通信]]では[[混信]]が懸念されたためであった{{Sfn|久野|1990|pp=602-603}}。
ミサイルの誘導方法として古くから開発されてきた。[[TOW]]は代表的な有線誘導ミサイルで各国に配備される。


[[電線]]では送ることができる情報量に限度があり、指令信号以外の情報の送受は無理であった{{Sfn|久野|1990|pp=602-603}}。その後、[[光ファイバー]]が実用化されると、より多くの情報を送受可能となり、例えば飛翔中のミサイルに搭載したカメラから捉えた情報を地上側に送信して、これに基づいてミサイルを誘導することもできるようになった{{Sfn|久野|1990|pp=602-603}}。
;長所
:[[チャフ]]や[[電波妨害]]に対する抗湛性に優れる。


なお電線や光ファイバーを曳いて飛翔することから、速度はおおむね亜[[音速]]であり、ミサイルの形状は比較的自由に決めることができる{{Sfn|久野|1990|p=197}}。特に電線を曳く場合は飛翔速度・距離ともに遅く短く制約されるが、光ファイバーであればこれらの制約はある程度緩和され、[[対空兵器]]としての応用も可能となっている{{Sfn|『兵器と技術』編集委員会|1990|pp=86-87}}。ただしこの場合でも、ミサイルの速度は300[[メートル毎秒]]を大きく超えるような高速にはできないなど制約が残るため、特に[[攻撃ヘリコプター]]に搭載して[[空対地ミサイル]]として用いる場合には、[[レーザー誘導]]や、理想的には[[ファイア・アンド・フォーゲット]]性を備えたミサイルが望ましいとされる{{Sfn|Bonsignore|1987}}。
;短所
:射程距離や機動性が電線や光ファイバーによって制限される。


== 主な有線誘導ミサイル ==
== 主な誘導方式とミサイル ==
* [[手動指令照準線一致誘導方式]](MCLOS)
* [[IDAS (ミサイル)|IDAS]]
* [[ポリフェム (ミサイル)|ポリフェム]]
** [[9M14 (ミサイル)|9M14 (AT-3「サガー」)]]
** [[64対戦車誘導弾]]
* [[TOW]]
** [[スウィングファイア (ミサイル)|スウィングファイア]]
* [[YMGM-157]]
* [[半自動指令照準線一致誘導方式]](SACLOS)
* [[ALAS (ミサイル)|ALAS]]
** [[ミラン_(ミサイル)|ミラン]]
* [[LORANA]]
* [[79式対舟艇対戦車誘導弾]]
** [[BGM-71 TOW]]
** [[79式対舟艇対戦車誘導弾]]
* [[ミサイル経由追尾]](TVM)
* [[96多目的誘導弾システム]]
** [[YMGM-157]]
** [[ポリフェム (ミサイル)|ポリフェム]]
** [[96式多目的誘導弾システム]]
** [[ALAS (ミサイル)|ALAS]]
** [[LORANA]]

== 脚注 ==
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=== 出典 ===
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== 参考文献 ==
* {{Citation|和書|last=久野|first=治義|year=1990|title=ミサイル工学事典|publisher=[[原書房]]|isbn=978-4562021383}}
* {{Cite journal|和書|last=Bonsignore|first=Ezio|year=1987|month=4|title=第三世代の対戦車ミサイルの行方(II)|journal=兵器と技術|issue=479|pages=23-28|others=高田統 (抄訳)|publisher=[[日本防衛装備工業会]]|doi=10.11501/11395693}}
* {{Citation|和書|editor=『兵器と技術』編集委員会|year=1990|month=1|title=特集・経空脅威と対空兵器|journal=兵器と技術|issue=512|publisher=日本防衛装備工業会|doi=10.11501/11395729}}


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2023年8月16日 (水) 14:52時点における最新版

79式対舟艇対戦車誘導弾の発射
96式多目的誘導弾システムの発射

有線誘導ミサイル(ゆうせんゆうどうミサイル、英語: Wire-guided missile)は、有線通信によって誘導されるミサイル対戦車兵器としての利用がほとんどである[1]

概要

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ミサイルの誘導方式として、特に対戦車ミサイルでは有線通信による指令誘導が広く使われてきた[2]。これは多数目標に対して多数のミサイルが発射されると誘導すべきミサイルが同時に空中に存在することになり、電波による無線通信では混信が懸念されたためであった[2]

電線では送ることができる情報量に限度があり、指令信号以外の情報の送受は無理であった[2]。その後、光ファイバーが実用化されると、より多くの情報を送受可能となり、例えば飛翔中のミサイルに搭載したカメラから捉えた情報を地上側に送信して、これに基づいてミサイルを誘導することもできるようになった[2]

なお電線や光ファイバーを曳いて飛翔することから、速度はおおむね亜音速であり、ミサイルの形状は比較的自由に決めることができる[3]。特に電線を曳く場合は飛翔速度・距離ともに遅く短く制約されるが、光ファイバーであればこれらの制約はある程度緩和され、対空兵器としての応用も可能となっている[1]。ただしこの場合でも、ミサイルの速度は300メートル毎秒を大きく超えるような高速にはできないなど制約が残るため、特に攻撃ヘリコプターに搭載して空対地ミサイルとして用いる場合には、レーザー誘導や、理想的にはファイア・アンド・フォーゲット性を備えたミサイルが望ましいとされる[4]

主な誘導方式とミサイル

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脚注

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出典

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  1. ^ a b 『兵器と技術』編集委員会 1990, pp. 86–87.
  2. ^ a b c d 久野 1990, pp. 602–603.
  3. ^ 久野 1990, p. 197.
  4. ^ Bonsignore 1987.

参考文献

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  • 久野治義『ミサイル工学事典』原書房、1990年。ISBN 978-4562021383 
  • Bonsignore, Ezio「第三世代の対戦車ミサイルの行方(II)」『兵器と技術』第479号、日本防衛装備工業会、1987年4月、23-28頁、doi:10.11501/11395693 
  • 『兵器と技術』編集委員会 編「特集・経空脅威と対空兵器」『兵器と技術』第512号、日本防衛装備工業会、1990年1月。doi:10.11501/11395729 

関連項目

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