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「デキストリン」の版間の差分

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食後血糖上昇抑制作用
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'''デキストリン''' (dextrin) は、数個の[[グルコース|α-グルコース]]が[[グリコシド結合]]によって[[重合]]した物質の総称で、かつては'''糊精'''(こせい)とも呼ばれた。[[食物繊維]]の一種であり、[[デンプン]]の[[加水分解]]により得られる。[[多糖]]に分類され、[[デンプン]]と[[マルトース]]の中間にあたる。
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'''デキストリン''' (dextrin、糊精) は、[[デンプン]]<ref>An Introduction to the chemistry of plants - Vol II: Metabolic processes, P. Haas and T. G. Hill, London (Longmans, Green & Co.), 1913; pages 123-127</ref>または[[グリコーゲン]]<ref>Salway, JG. Medical Biochemistry at a Glance. Second Edition. Malden, MA (Blackwell Publishing), 2006; page 66</ref>の[[加水分解]]で得られる低分子量の[[炭水化物]]の総称である。α-[[グルコース]]がα-(1→4) または α-(1→6)[[グリコシド結合]]によって[[重合]]した[[分子構造]]である。[[多糖]]類に分類され、[[デンプン]]と[[マルトース]]の中間にあたる。

== 種類 ==
デキストリンは、DE(デキストロース当量値,[[:en:dextrose equivalent]])と呼ばれる、デンプンの[[糖化|糖化率]]を示す尺度により分類されている。

DE(デキストロース当量値)は、[[ブドウ糖]]の還元力を100とした場合の相対的な尺度で、0に近いほどデンプンに近い特性、100に近いほどブドウ糖に似た特性を表している。経験的に、120/DE はデンプン分解物の重合度(DP)を表し、平均分子量の指標とみなせる。

デキストリンは、(デキストロース当量値)によって、以下のように分類されている。
* 粉あめ(DE 20~40程度、重合度3~6)
* [[マルトデキストリン]](DE 10~20程度、重合度6~10)
* デキストリン(DE 10 以下、重合度12以上)
特にDEが低いものは、溶解性の低さ、冷蔵や冷凍融解時の老化による白濁や沈殿、あるいは粉臭などの問題点がある。

デキストリンを短時間低温加熱したものを可溶性デンプンという。また、環状構造を持つデキストリンを[[シクロデキストリン|環状デキストリン]]という。


== 性質 ==
== 性質 ==
構造中に多数の[[ヒドロキシ基]]を持つため[[水溶性]]である。ただし、分子量の増加とともに水への溶解性は低下していく([[難溶性]]デキストリン)。また、生体内では、[[アミラーゼ]]によってマルトースに分解され、最終的に[[グルコース]]となる食後血糖上昇抑制作用がある<ref>大隈 一裕, 松田 , 勝田 康夫, 岸本 由香, 啓介: [http://www.jstage.jst.go.jp/article/jag/53/1/53_65/_article/-char/ja 難消化性デキストリンの開発 ] J. Appl. Glycosci., 53, 65-69 (2006) </ref>。
構造中に多数の[[ヒドロキシ基]]を持つため[[水溶性]]である。ただし、分子量の増加とともに水への溶解性は低下していく([[難溶性]]デキストリン)。ヨウ素デンプン反応では赤色・小豆色に呈色する。生体内では、[[アミラーゼ]]によってマルトースに分解され、最終的に[[グルコース]]となるが、一部、アミラーゼによって分解しにくい成分があり、これを精製して得られる[[難消化性デキストリン]]は、整腸作用と食後血糖上昇抑制作用があることが報告されている<ref>{{Cite journal|和書|author=[[大隈一裕]] |author2=松田功 |author3=勝田康夫 |author4=岸本由香 |author5=辻啓介 |title=難消化性デキストリンの開発 |date=2006-01-20 |publisher=日本応用糖質科学会 |journal=Journal of applied glycoscience |volume=53 |number=1 |naid=10016738765 |pages=65-69 |ref=harv}}</ref>。


== 利用 ==
== 利用 ==
粉状[[化粧品]]の固形化や、[[エキス]]の顆粒化、[[粘度]]の調整、[[皮膚]]への吸着剤として用いられている。人体、[[便秘]]解消や[[ダイエット]]の効果もあるされ、[[健康食品]]やスナック菓子類にも利用されている。
デキストリンの種類によって用途は異なるが,粉状[[化粧品]]の固形化や、[[エキス]]の顆粒化、[[粘度]]の調整、[[皮膚]]への吸着剤、[[花火]]の結合剤として用いられている。食品も用いられ、飲料の粘度の調整や、[[便秘]]解消を目的した[[健康食品]]にも利用されている。


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
*[[食物繊維]]
*[[グルコース]]
*[[グルコース]]
*[[マルトース]]
*[[マルトース]]
14行目: 61行目:
*[[シクロデキストリン]]
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*[[デキストラン]]
*[[デキストラン]]
*[[難消化性デキストリン]]


== 脚注 ==
== 脚注 ==
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==外部リンク==
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*[http://hfnet.nih.go.jp/contents/indiv_agreement.html?22 デキストリン - 「健康食品」の安全性・有効性情報] ([[国立健康・栄養研究所]])


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2023年8月21日 (月) 11:14時点における最新版

デキストリン
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識別情報
CAS登録番号 9004-53-9 チェック
PubChem 62698
ChemSpider NA チェック
UNII 2NX48Z0A9G チェック
E番号 E1400 (追加化合物)
KEGG C00721 チェック
特性
化学式 (C6H10O5)n
外観 白または黄色の粉末
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

デキストリン (dextrin、糊精) は、デンプン[1]またはグリコーゲン[2]加水分解で得られる低分子量の炭水化物の総称である。α-グルコースがα-(1→4) または α-(1→6)グリコシド結合によって重合した分子構造である。多糖類に分類され、デンプンマルトースの中間にあたる。

種類

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デキストリンは、DE(デキストロース当量値,en:dextrose equivalent)と呼ばれる、デンプンの糖化率を示す尺度により分類されている。

DE(デキストロース当量値)は、ブドウ糖の還元力を100とした場合の相対的な尺度で、0に近いほどデンプンに近い特性、100に近いほどブドウ糖に似た特性を表している。経験的に、120/DE はデンプン分解物の重合度(DP)を表し、平均分子量の指標とみなせる。

デキストリンは、(デキストロース当量値)によって、以下のように分類されている。

  • 粉あめ(DE 20~40程度、重合度3~6)
  • マルトデキストリン(DE 10~20程度、重合度6~10)
  • デキストリン(DE 10 以下、重合度12以上)

特にDEが低いものは、溶解性の低さ、冷蔵や冷凍融解時の老化による白濁や沈殿、あるいは粉臭などの問題点がある。

デキストリンを短時間低温加熱したものを可溶性デンプンという。また、環状構造を持つデキストリンを環状デキストリンという。

性質

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構造中に多数のヒドロキシ基を持つため水溶性である。ただし、分子量の増加とともに水への溶解性は低下していく(難溶性デキストリン)。ヨウ素デンプン反応では、赤色・小豆色に呈色する。生体内では、アミラーゼによってマルトースに分解され、最終的にグルコースとなるが、一部、アミラーゼによって分解しにくい成分があり、これを精製して得られる難消化性デキストリンは、整腸作用と食後血糖上昇抑制作用があることが報告されている[3]

利用

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デキストリンの種類によって用途は異なるが,粉状化粧品の固形化や、エキスの顆粒化、粘度の調整、皮膚への吸着剤、花火の結合剤として用いられている。食品にも用いられ、飲料の粘度の調整や、便秘解消を目的とした健康食品にも利用されている。

関連項目

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脚注

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  1. ^ An Introduction to the chemistry of plants - Vol II: Metabolic processes, P. Haas and T. G. Hill, London (Longmans, Green & Co.), 1913; pages 123-127
  2. ^ Salway, JG. Medical Biochemistry at a Glance. Second Edition. Malden, MA (Blackwell Publishing), 2006; page 66
  3. ^ 大隈一裕、松田功、勝田康夫、岸本由香、辻啓介「難消化性デキストリンの開発」『Journal of applied glycoscience』第53巻第1号、日本応用糖質科学会、2006年1月20日、65-69頁、NAID 10016738765 

外部リンク

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