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''' バリケード ''' (barricade 阻塞)は戦争において相手の攻撃や侵入を防ぐため築かれる障害物。
[[File:Gabions.png|thumb|フランスの砲兵陣地で使用される[[蛇篭]]]]
''' バリケード ''' (barricade、'''阻塞''')は戦争などにおいて相手の侵入を防ぐため築かれる障害物。


==概要==
== 概要 ==
戦場では相手の進行を塞ぎ、妨害するために様々なバリケードが築かれる。特に迂回がしにくい市街地や隘路でその力を発揮する。素材はありあわせの瓦礫や土嚢から鉄筋コンクリートなどまで幅広い。[[戦車]]など型の兵器はバリケードに行動を阻害されやす[[履帯]]で乗り越えられず戦車単体の衝突で直接破壊するが不可能な構造物は特に[[対戦車阻塞]]として機能する。(コンクリート製の巨大な角錐やレールの基部を地中深く埋め地面に垂直に立てた構造物などが用いられる)
戦場では相手の進行を塞ぎ、妨害するために様々なバリケードが築かれる。特に迂回がしにくい市街地や隘路でその力を発揮する。素材はありあわせの瓦礫や[[土嚢]]から[[鉄筋コンクリート]]などまで幅広い。[[戦車]]をはじめきな[[装甲戦闘車両]]はバリケードに行動を阻害されやすいので、戦車単体の衝突で直接破壊することが不可能で、かつ、[[履帯]]で乗り越えられ構造物は対戦車阻塞として機能する。具体的には、コンクリート製の巨大な角錐やレールの基部を地中深く埋め垂直に立てた構造物などが用いられる


バリケードを築いて部外者の入場を拒み、機関の機能を麻痺させる戦術を「バリケードストライキ」(略称・バリスト)と呼ぶ。
==歴史==
[[革命]]など、市民が戦闘行為をする場合には正規の工兵がいないため、防衛策としてはありあわせのものでバリケードを築くことになる。近代[[フランス]][[革命家]]の[[ルイ・オーギュスト・ブランキ]]の著した『武装蜂起教範』は、パリで武装蜂起した革命派のバリケード形成についての古典的マニュアル本でもあった。


== 歴史 ==
日本でも70年安保闘争前後の[[全学共闘会議|全共闘]]による[[学生運動]]で盛んに利用、[[東京大学]]、[[京都大学]]をはじめ主要な国立大学や、[[早稲田大学]]、[[明治大学]]、[[法政大学]]、[[中央大学]]、[[同志社大学]]、[[立命館大学]]など主要な私立大学は軒並み全学バリケード封鎖状態になっていた。バリケードを築いて部外者の入場を拒み、機関の機能を麻痺させる戦術を「バリケードストライキ」(略称・バリスト)と呼ぶ
[[革命]]など、市民が戦闘行為をする場合には正規の工兵がいないため、防衛策としてはありあわせのものでバリケードを築くことになる。近代[[フランス]]における[[革命家]]の[[ルイ・オーギュスト・ブランキ]]の著した『武装蜂起教範』は、パリで武装蜂起した革命派のバリケード形成についての古典的マニュアル本でもあった。なお、[[ナポレオン3世]]の治世下で行われた[[パリ改造]]は、こうしたバリケード構築に適した狭く入り組んだ路地を下層住民ごと排除し、軍隊の移動と[[大砲]]の使用を容易にするという治安上の目的とも絡んでいた<ref>{{Cite web|和書|date=|url=https://kotobank.jp/word/%E3%83%91%E3%83%AA%E6%94%B9%E9%80%A0-1580910|title=パリ改造|publisher=[[コトバンク]]|accessdate=2017-05-16}}</ref>


日本においては、[[鳥羽・伏見の戦い]]において、「酒樽台場」と呼ばれるバリケードが築かれている。これは、[[造り酒屋]]から徴用した[[酒樽]]を用いた野戦陣地と考えられている。1970の[[安保闘争]]前後の[[全学共闘会議|全共闘]]による[[学生運動]]で盛んに利用され、[[東京大学]]、[[京都大学]]をはじめ主要な国立大学や、[[早稲田大学]]、[[明治大学]]、[[法政大学]]、[[中央大学]]、[[同志社大学]]、[[立命館大学]]など主要な私立大学は軒並み全学バリケード封鎖状態になっていた。
==現代のバリケード==
[[韓国]]や[[スイス]]のように戦争に備える国では早急にバリケードを築く資材が常設されている。たとえば道路沿いにコンクリートの塊を準備してあり、有事の際には道路を塞いで敵機甲部隊の進撃を妨害する。


== 現代のバリケード ==
近年では[[自爆テロ]]対策のため軍事施設や外国大使館など外交施設の周辺に構築されるも多い。
[[大韓民国|韓国]]や[[スイス]]のように戦争や有事に備える国では早急にバリケードを築く資材が常設されている。たとえば道路沿いにコンクリートの塊を準備しているうえ、道路をまたぐコンクリート橋に爆薬を設置できるようにしてあり、有事の際には道路を塞いで敵機甲部隊などの進撃を妨害する。

近年では[[自爆テロ]]や[[街宣右翼]]などへの対策のため、[[軍事施設]][[大使館|外国大使館]]・[[皇居]]・[[官邸]]など重要施設の周辺に移動式や固定式(起倒式)のバリケードが設置されることも多い。


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[鉄条網]]
* [[拒馬]]
* [[ノルマンディー上陸作戦]](バリケードが使用された)
{{Commonscat|Barricades}}
{{Commonscat|Barricades}}
* [[鉄条網]]
* [[レンガ]]
* [[コンクリートブロック]]
* [[逆茂木]](逆虎落、鹿砦) / [[拒馬]]
* [[チェコの針鼠]] / [[竜の歯]]
* [[閉塞船]]
* [[輸送コンテナ]] - デモや戦場でバリケード目的で設置される。
* [[土嚢]]
* [[ヘスコ防壁]]
* [[止水板]] - 水の侵入を防ぐために設置される。


== 脚注 ==
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<references />
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[[Category:城]]
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[[Category:野戦築城]]
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[[Category:軍事史]]
[[Category:軍事史]]
[[Category:仮設物]]

2023年10月23日 (月) 10:52時点における最新版

アルジェの街路に築かれたバリケード。1960年1月撮影。
東京都港区麻布台二丁目・ロシア大使館の付近に設置されている移動式バリケード
フランスの砲兵陣地で使用される蛇篭

バリケード (barricade、阻塞)は、戦争などにおいて相手の侵入を防ぐために築かれる障害物。

概要

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戦場では相手の進行を塞ぎ、妨害するために様々なバリケードが築かれる。特に、迂回がしにくい市街地や隘路でその力を発揮する。素材はありあわせの瓦礫や土嚢から鉄筋コンクリートなどまで、幅広い。戦車をはじめ大きな装甲戦闘車両はバリケードに行動を阻害されやすいので、戦車単体の衝突で直接破壊することが不可能で、かつ、履帯で乗り越えられない構造物は、対戦車阻塞として機能する。具体的には、コンクリート製の巨大な角錐や、レールの基部を地中深く埋めて垂直に立てた構造物などが用いられる。

バリケードを築いて部外者の入場を拒み、機関の機能を麻痺させる戦術を「バリケードストライキ」(略称・バリスト)と呼ぶ。

歴史

[編集]

革命など、市民が戦闘行為をする場合には正規の工兵がいないため、防衛策としてはありあわせのものでバリケードを築くことになる。近代フランスにおける革命家ルイ・オーギュスト・ブランキの著した『武装蜂起教範』は、パリで武装蜂起した革命派のバリケード形成についての古典的マニュアル本でもあった。なお、ナポレオン3世の治世下で行われたパリ改造は、こうしたバリケード構築に適した狭く入り組んだ路地を下層住民ごと排除し、軍隊の移動と大砲の使用を容易にするという治安上の目的とも絡んでいた[1]

日本においては、鳥羽・伏見の戦いにおいて、「酒樽台場」と呼ばれるバリケードが築かれている。これは、造り酒屋から徴用した酒樽を用いた野戦陣地と考えられている。1970年の安保闘争前後の全共闘による学生運動では盛んに利用され、東京大学京都大学をはじめ主要な国立大学や、早稲田大学明治大学法政大学中央大学同志社大学立命館大学などの主要な私立大学は軒並み、全学バリケード封鎖状態になっていた。

現代のバリケード

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韓国スイスのように戦争や有事に備える国では、早急にバリケードを築く資材が常設されている。たとえば道路沿いにコンクリートの塊を準備しているうえ、道路をまたぐコンクリート橋に爆薬を設置できるようにしてあり、有事の際には道路を塞いで敵機甲部隊などの進撃を妨害する。

近年では自爆テロ街宣右翼などへの対策のため、軍事施設外国大使館皇居官邸など重要施設の周辺に移動式や固定式(起倒式)のバリケードが設置されることも多い。

関連項目

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脚注

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  1. ^ パリ改造”. コトバンク. 2017年5月16日閲覧。