コンテンツにスキップ

「ヘンリー・ジャクスン」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
m 謎はゲストのみが提供する物ではない点。前の投稿では常に推理に百科事典を使用しているように読める点を修正。
m Bot作業依頼#Cite webの和書引数追加
 
(15人の利用者による、間の27版が非表示)
1行目: 1行目:
{{otheruses|『黒後家蜘蛛の会』の登場人物|他の人物|ヘンリー・ジャクソン}}
{{文学}}
{{複数の問題
|出典の明記=2022年2月12日 (土) 13:07 (UTC)
|独自研究=2022年2月12日 (土) 13:07 (UTC)
}}
'''ヘンリー・ジャクスン'''({{lang-en-short|Henry Jackson}})、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の作家[[アイザック・アモフ]]の推理短編小説『[[黒後家蜘蛛の会]]』シリーズに登場する架空の人物。本職は[[給仕]]であるが、物語では謎を解く[[名探偵|探偵役]]をつとめる。


[[NHK-FM放送]]で『黒後家蜘蛛の会』のラジオドラマが放送された際には、[[久米明]]が声をあてた。
ヘンリー・ジャクスンはアメリカの作家[[アイザック・アモフ]]の推理小説『[[アイザック・アジモフ|黒後家蜘蛛の会]]』シリーズに登場する探偵である。
{{ネタバレ}}


== 人物 ==
ヘンリーはしわ一つ無い顔がトレードマークである。謙虚で誠実温厚な人柄で、以前はアンダーソンという男という男と二人三脚で商売をしていたが仲違いし、以後ニューヨークのミラノ・レストランで給仕として働く。彼専任の仕事はレストランで月に一回開かれる『黒後家蜘蛛の会』で給仕を務めることである。ここでヘンリーは会のゲスト又はメンバーが持ち出す謎を解いてしまう。その推理力と人柄から、彼は黒後家蜘蛛の会のメンバー六人のから尊敬されている。
ヘンリーの外見的な特徴は、シリーズ中では「''外見は60代ながら皺一つ無い顔で年齢を感じさせない''」人物とだけ描写されている。髪型、髪の色、瞳の色などの描写は無い。

謙虚で誠実・温厚な人柄であり、大変な正直者である。現在は[[ニューヨーク]]のミラノ・レストランで給仕として働いているが、シリーズ第1話『会心の笑い』(The Acquisitive Chuckle)においてアンダーソンという男と過去になんらかの事業をしていたことが明らかになっている。それ以外の詳細な経歴については一切不明である。ただし、作中における描写から彼が高い教養を持っていることがうかがえる。また、姓の“ジャクスン”については『会心の笑い』以外の話では、後期の作品『四月の月曜日』(A Monday in April)で1箇所触れられているだけである。

黒後家蜘蛛の会が月に1回ミラノ・レストランで開く会食で、専任の給仕を務めている。ヘンリーはその推理力と人柄から黒後家蜘蛛の会のメンバー6人の尊敬を得ており、シリーズ後半ではしばしば正規の会員として他の会員たちから扱われている。[[シャーロック・ホームズ]]の崇拝者であると発言したことがあり、実際にホームズの言葉を引用して謎を解決したこともある。

『The Return of the Black Widowers』に収録されている「さはさりながら (Yes, But Why?)」において、独身であり、結婚予定の女性がいることが自身の口から語られている。

作者自身は[[P・G・ウッドハウス]]の短編作品『「ジーヴス」シリーズ』(『[[比類なきジーヴス]]』など)に登場する[[バトラー|執事]](厳密には{{仮リンク|近侍|en|Valet}})の{{仮リンク|ジーヴス|en|Jeeves}}をモデルにしていることに言及している。

2018年より刊行されている[[創元推理文庫]]新装版の表紙には黒後家蜘蛛の会の晩餐会で給仕を務めるヘンリーの姿が描かれている。表紙画は[[久保田眞由美]]による<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.webmysteries.jp/archives/14222387.html|title=名給仕にして名探偵ヘンリーに解けぬ謎はなし! アイザック・アシモフ『黒後家蜘蛛の会5』|date=2018-12-12|website=Web[[東京創元社]]マガジン|accessdate=2022-02-12}}</ref>。

[[田中啓文]]による[[パスティーシュ]]小説「2001年問題」(『シャーロック・ホームズたちの新冒険』(2021年、創元推理文庫、ISBN 9784488475055)収録)では、ヘンリーの正体は[[ロボット三原則]]も組み込まれているロボットということになっている。

==推理法==
黒後家蜘蛛の会の会食で提出された謎についてメンバーが様々な推理を展開した後、皆が見過ごしたり軽視した事実をもとに推理を展開するというパターンが多い。

ただし、作品中で、メンバーの一人ゴンザロは「(ヘンリーの推理の) 秘密はね……まるで飛躍した、無関係な問題に目をつけることだ」「考えてもみたまえ、そもそも論理的にとらえられる問題だとすれば謎なんてありゃしない。」といった穿った見方を示し、これに対してヘンリーは「大変面白いお考えでございますね」とのみコメントしている(『見当違い』Irrelevance!)。

謎解きにおいては非常に想像力豊かな推理を披露する反面、場合によっては特に推理をせずに[[百科事典]]などを調べることによって回答にたどり着くこともある。その知識は[[天文学]]から[[地理学]]まで広汎な範囲に及ぶ。実地調査をすることは決してないので代表的な[[安楽椅子探偵]]の一人とされる。


その推理法は非常に独特なもので、黒後家蜘蛛の会のメンバーが謎について様々な推理を展開した後、皆が見過ごした事実を指摘して推理を展開するというパターンが多い。謎解きにおいては非常に想像力豊かな推理を披露する反面、場合によっては特に推理をせずに百科事典などを調べることによって回答にたどり着くことも厭わない合理性も併せ持つ。その知識は天文学から地理学まで広汎な範囲に及ぶ。実地調査をすることは決してないので代表的な[[安楽椅子探偵]]の一人とされる。
登場作品は66編(うち邦訳60編)である。
登場作品は66編(うち邦訳60編)である。

== 出典 ==
{{Reflist}}


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
*[[グリズウォルド]] - [[アイザック・アジモフ|アイザック・アシモフ]]の推理短編シリーズ『[[ユニオン・クラブ綺談]]』シリーズにおける探偵役。
*[[グリズウォルド]]

{{アイザック・アシモフの作品}}

{{lit-stub}}
{{lit-stub}}
[[category:名探偵|しやくすんへんりい]]
{{DEFAULTSORT:しやくすん へんりい}}
[[category:架空の探偵]]
[[Category:推理小説の登場人物]]
[[Category:アイザック・アシモフ]]

2023年10月29日 (日) 11:33時点における最新版

ヘンリー・ジャクスン: Henry Jackson)は、アメリカの作家アイザック・アシモフの推理短編小説『黒後家蜘蛛の会』シリーズに登場する架空の人物。本職は給仕であるが、物語では謎を解く探偵役をつとめる。

NHK-FM放送で『黒後家蜘蛛の会』のラジオドラマが放送された際には、久米明が声をあてた。

人物[編集]

ヘンリーの外見的な特徴は、シリーズ中では「外見は60代ながら皺一つ無い顔で年齢を感じさせない」人物とだけ描写されている。髪型、髪の色、瞳の色などの描写は無い。

謙虚で誠実・温厚な人柄であり、大変な正直者である。現在はニューヨークのミラノ・レストランで給仕として働いているが、シリーズ第1話『会心の笑い』(The Acquisitive Chuckle)においてアンダーソンという男と過去になんらかの事業をしていたことが明らかになっている。それ以外の詳細な経歴については一切不明である。ただし、作中における描写から彼が高い教養を持っていることがうかがえる。また、姓の“ジャクスン”については『会心の笑い』以外の話では、後期の作品『四月の月曜日』(A Monday in April)で1箇所触れられているだけである。

黒後家蜘蛛の会が月に1回ミラノ・レストランで開く会食で、専任の給仕を務めている。ヘンリーはその推理力と人柄から黒後家蜘蛛の会のメンバー6人の尊敬を得ており、シリーズ後半ではしばしば正規の会員として他の会員たちから扱われている。シャーロック・ホームズの崇拝者であると発言したことがあり、実際にホームズの言葉を引用して謎を解決したこともある。

『The Return of the Black Widowers』に収録されている「さはさりながら (Yes, But Why?)」において、独身であり、結婚予定の女性がいることが自身の口から語られている。

作者自身はP・G・ウッドハウスの短編作品『「ジーヴス」シリーズ』(『比類なきジーヴス』など)に登場する執事(厳密には近侍)のジーヴス英語版をモデルにしていることに言及している。

2018年より刊行されている創元推理文庫新装版の表紙には黒後家蜘蛛の会の晩餐会で給仕を務めるヘンリーの姿が描かれている。表紙画は久保田眞由美による[1]

田中啓文によるパスティーシュ小説「2001年問題」(『シャーロック・ホームズたちの新冒険』(2021年、創元推理文庫、ISBN 9784488475055)収録)では、ヘンリーの正体はロボット三原則も組み込まれているロボットということになっている。

推理法[編集]

黒後家蜘蛛の会の会食で提出された謎についてメンバーが様々な推理を展開した後、皆が見過ごしたり軽視した事実をもとに推理を展開するというパターンが多い。

ただし、作品中で、メンバーの一人ゴンザロは「(ヘンリーの推理の) 秘密はね……まるで飛躍した、無関係な問題に目をつけることだ」「考えてもみたまえ、そもそも論理的にとらえられる問題だとすれば謎なんてありゃしない。」といった穿った見方を示し、これに対してヘンリーは「大変面白いお考えでございますね」とのみコメントしている(『見当違い』Irrelevance!)。

謎解きにおいては非常に想像力豊かな推理を披露する反面、場合によっては特に推理をせずに百科事典などを調べることによって回答にたどり着くこともある。その知識は天文学から地理学まで広汎な範囲に及ぶ。実地調査をすることは決してないので代表的な安楽椅子探偵の一人とされる。

登場作品は66編(うち邦訳60編)である。

出典[編集]

関連項目[編集]