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「パーリ仏典」の版間の差分

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[[File:Tipitaka1.jpg|thumb|パーリ仏典(タイ国)]]
[[File:Tipitaka1.jpg|thumb|パーリ仏典(タイ国)]]
{{初期仏教・部派仏教}}
'''パーリ仏典'''('''パーリ語仏典'''、'''パーリ聖典'''、Pali Canon)、あるいは'''パーリ三蔵'''(Tipitaka, '''ティピタカ'''、[[三蔵]]のこと)は、南伝の[[上座部仏教]]に伝わる[[パーリ語]]で書かれた[[仏典]]である。北伝の[[大乗仏教]]に伝わる漢語・チベット語の仏典と並ぶ三大仏典群の1つ。
'''パーリ仏典'''('''パーリ語仏典'''、'''パーリ聖典'''、{{en|Pali Canon}})、あるいは'''パーリ三蔵'''({{lang-pi-short|Tipiṭaka}}, '''ティピタカ'''、[[三蔵]]のこと)は、南伝の[[上座部仏教]]に伝わる[[パーリ語]]で書かれた[[仏典]]である。北伝の[[大乗仏教]]に伝わる漢語・[[チベット語]]の仏典と並ぶ三大仏典群の1つ。'''パーリ経典'''('''パーリ語経典''')とも呼ばれることがある

'''パーリ経典'''('''パーリ語経典''')とも呼ばれることがあるが、{{要出典範囲|経典(sutta, sutra)は通常、仏教においては三蔵の内の「経蔵」(sutta pitaka, sutra pitaka)典籍を意味する語なので、|date=2015年11月9日 (月) 07:25 (UTC)}}これだと仏典よりも狭い限定的な意味のニュアンスを持った表現となる。{{要出典範囲|(ただし、[[パーリ律]]の戒律解説部分を[[経分別]](Sutta-vibhanga)と呼ぶことからも分かるように、三蔵が整備される前の古い段階では、律も含めた典籍全般を「経」(sutta)と呼んでいたとも考えられる。)|date=2015年11月9日 (月) 07:25 (UTC)}}


日本でも戦前に輸入・翻訳され、漢訳[[大蔵経]](北伝大蔵経)、[[チベット大蔵経]]に対して、『'''南伝大蔵経'''』『'''パーリ大蔵経'''』('''パーリ語大蔵経''')などとしても知られる。
日本でも戦前に輸入・翻訳され、漢訳[[大蔵経]](北伝大蔵経)、[[チベット大蔵経]]に対して、『'''南伝大蔵経'''』『'''パーリ大蔵経'''』('''パーリ語大蔵経''')などとしても知られる。


== 概要 ==
== 概要 ==
{{出典の明記|date=2017年7月21日 (金) 04:29 (UTC)|section=1}}
パーリ仏典は、[[部派仏教]]時代に使われていた[[プラークリット]](俗語)の1つであり、(釈迦が生きた北東インドのマガダ地方の方言ではなく)西インド系<ref name=pali>[http://kotobank.jp/word/パーリ語 パーリ語とは] - 世界の主要言語がわかる事典/[[講談社]]/[[コトバンク]]</ref>の、より具体的には[[ウッジャイン]]周辺で用いられた[[ピシャーチャ語]]の一種であると推定されるパーリ語で書かれている<ref>『バウッダ [佛教]』 [[中村元]] [[講談社学術文庫]] p.100</ref>。第1回-第3回の[[結集]]や、後代における[[仏典]]の[[サンスクリット]]化からも分かる通り、仏典はその歴史の過程で編纂・増広・翻訳が繰り返されており、パーリ仏典はその歴史過程における、インド部派仏教時代の形態を強く留めている、現存する唯一の仏典だと言える。
パーリ仏典は、[[部派仏教]]時代に使われていた[[プラークリット]](俗語)の1つであり、(釈迦が生きた北東[[インド]]のマガダ地方の方言ではなく)西インド系<ref name=pali>[https://kotobank.jp/word/%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%AA%E8%AA%9E-116896 パーリ語とは] - 世界の主要言語がわかる事典/[[講談社]]/[[コトバンク]]</ref>の、より具体的には[[ウッジャイン]]周辺で用いられた[[ピシャーチャ語]]の一種であると推定される[[パーリ語]]で書かれている<ref>『バウッダ [佛教]』 [[中村元 (哲学者)|中村元]] [[講談社学術文庫]] p.100</ref>。第1回-第3回の[[結集]]や、後代における[[仏典]]の[[サンスクリット]]化からも分かる通り、仏典はその歴史の過程で編纂・増広・翻訳が繰り返されており、パーリ仏典はその歴史過程における、インド部派仏教時代の形態を強く留めている、現存する唯一の仏典だと言える。

上座部仏教では伝統的に、この仏典の言語であるパーリ語が、釈迦が用いたいわゆるマガダ語であると信じられてきたが、学問的知見が広まった今日においてはそうした主張は弱まってきている。ただし、マガダ語とパーリ語は、実際には言語的にそれほど相違しておらず、語彙をほぼ共有し、文法上の差異もさほどないなど、むしろかなり近似的な関係にあったと推定されている<ref>『バウッダ [佛教]』 [[中村元]] [[講談社学術文庫]] p.101</ref>。


上座部仏教では伝統的に、この仏典の言語であるパーリ語が、釈迦が用いたいわゆる[[マガダ語]]であると信じられてきたが、学問的知見が広まった今日においてはそうした主張は弱まってきている。ただし、マガダ語とパーリ語は、実際には言語的にそれほど相違しておらず、語彙をほぼ共有し、文法上の差異もさほどないなど、むしろかなり近似的な関係にあったと推定されている<ref>『バウッダ [佛教]』 [[中村元 (哲学者)|中村元]] [[講談社学術文庫]] p.101</ref>。
{{要出典範囲|更に、パーリ仏典は、紀元後に仏典のサンスクリット化や[[大乗仏教]]化が進む以前の、[[プラークリット]](俗語)の形態を留めたまとまったテキストとしては唯一現存するものであり、特に、インド系言語特有の言葉遣い・ニュアンスの保存という点で言えば、仮にパーリ語がマガダ語からいくらか離れた方言だったとしても、音韻・文法・語彙体系が全く異なる漢語・チベット語に翻訳されてしまった北伝仏典と比べれば、比較するまでもないほど遥かに良好にそれが保存されていると言える。|date=2015年11月9日 (月) 07:25 (UTC)}}


なお、「パーリ」とは聖典の意であり<ref name=pali />、各経典に関して「〜聖典」(-pāḷi)という表現もよく用いられる。パーリ語という言語名も「聖典(パーリ)の言葉」「聖典語」というところから付けられた通称に過ぎない。
{{要出典範囲|特定の文字・表記で継承されて来なかったため、伝播したそれぞれの地域の文字で書き留められてきた。また、現在でもスリランカ、ミャンマー、タイ等でそれぞれ見られるように、地域の音韻的な訛りが若干混じることもある。|date=2015年11月9日 (月) 07:25 (UTC)}}


現在、[[スリランカ]]・[[ミャンマー]]・[[タイ王国|タイ]]等の上座部仏教文化圏で流通しているパーリ仏典は、[[分別説部]]([[紅衣部|赤銅鍱部]])と呼ばれる上座部一派の流れをくむ、[[スリランカ仏教]][[アヌラーダプラ・マハーヴィハーラ|大寺派]]に起源を持つものが、[[12世紀]]以降に広まったものであり、瑣末な差異こそあれ、基本的に同一のテキストである。
なお、「パーリ」とは聖典の意であり<ref name=pali />、各経典に関して「〜聖典」(-pali)という表現もよく用いられる。パーリ語という言語名も「聖典(パーリ)の言葉」「聖典語」というところから付けられた通称に過ぎない。


近代以降は、[[1881年]]に[[ロンドン]]に設立された[[パーリ聖典協会]](Pali Text Society, PTS)の校訂出版本{{efn|『南伝大蔵経』や、[[中村元 (哲学者)|中村元]]らの翻訳本は、これを底本としている。}}や、[[1954年]]に[[ビルマ]]([[ミャンマー]])の[[ヤンゴン]]([[ラングーン]])で行われた第6回[[結集]]によって編纂された聖典テキスト(第六回結集本){{efn|現在、[[大蔵出版]]から刊行され続けている[[片山一良 (仏教学者)|片山一良]]訳の『パーリ仏典』シリーズは、これを底本としている。}}等が、共通の底本となっている。
現在、[[スリランカ]]・[[ミャンマー]]・[[タイ王国|タイ]]等の上座部仏教文化圏で流通しているパーリ仏典は、[[分別説部]]([[紅衣部|赤銅鍱部]])と呼ばれる上座部一派の流れをくむ、[[スリランカ仏教]][[マハーヴィハーラ|大寺派]]に起源を持つものが、[[12世紀]]以降に広まったものであり、瑣末な差異こそあれ、基本的に同一のテキストである。


== 写本の成立年代 ==
近代以降は、[[1881年]]に[[ロンドン]]に設立された[[パーリ聖典協会]](Pali Text Society, PTS)の校訂出版本<ref>『南伝大蔵経』や、[[中村元]]らの翻訳本は、これを底本としている。</ref>や、[[1954年]]に[[ビルマ]]([[ミャンマー]])の[[ヤンゴン]]([[ラングーン]])で行われた第6回[[結集]]によって編纂された聖典テキスト(第六回結集本)<ref>現在、[[大蔵出版]]から刊行され続けている[[片山一良]]訳の『パーリ仏典』シリーズは、これを底本としている。</ref>等が、共通の底本となっている。
パーリ語仏典の写本は、近代以前のものはほとんど現存していない。<br>
山中行雄によれば「東南アジア地域においては,現存写本の数自体が膨大である一方,高温多湿の気候,写本の保存体制の不備等から,古写本の保存が極めて困難で,'''15世紀以前の写本を発見することは,かなり稀'''である」<ref>山中行雄「東南アジアおよび南アジアにおけるパーリ語文献の写本伝承」印度學佛教學研究 65 (2), 757-756, 2017 NII論文ID 130006314815</ref>。<br>
[[下田正弘]]は「K. R.ノーマンおよびO.フォン=ヒニューバによれば,'''現在利用可能なパーリ語の写本はほとんどが18世紀から19世紀'''という,きわめて近年のものである(von Hinüber 1983, 78; 1994, 188; Geiger and Norman 1994, XXV).しかもこれらの写本がどのような過程をたどって現在に至ったかほとんど情報がないため,近代以前の足跡は写本自身から知りえない.この点,漢訳の諸経典が古い時代―『道安録』を起点とするなら四世紀以降―より翻訳状況の記録とともに継承されていることに比すると,その'''歴史資料としての価値にはかなりの限界がある'''.」<ref>下田 正弘「「正典概念とインド仏教史」を再考する――直線的歴史観からの解放――」印度學佛教學研究 68 (2), 1043-1035, 2020-03-20  NII論文ID 130007899192</ref>と述べる。<br>
パーリ仏典の古写本が少ないことは、学術的な研究上のネックにはなるものの、信仰の対象としての価値を減ずるものではない。そもそも上座部仏教の教義では、聖典の本質は、書写された経巻そのものにあるのではなく、それが[[衆生|有情]]によって記憶・実践・暗誦されていることにこそある(清水2018<ref name="清水2018">清水俊史「パーリ上座部における正法と書写聖典」、『[[佛教大学]]仏教学会紀要 23』pp.19-41, 2018-03-25</ref>pp.26-27)とされてきたことにも注意すべきである。<br>
ちなみに、パーリ語以外の現存の仏教古写本の情況を見ると、[[ガンダーラ語仏教写本]]は1世紀から、漢訳写本は[[釈道安]]を起点とするなら4世紀から、サンスクリット語写本は6世紀から<ref>ユネスコ「世界の記憶」公式サイト(英語) “Gilgit Manuscrpit”(ギルギット写本) の項。https://www.unesco.org/en/memory-world/gilgit-manuscript </ref>、と、[[1千年紀|紀元1千年紀]]の古写本が存在する。「写経」や「納経」の功徳を重視する大乗仏教は古写本が多く残っている。日本に限っても、[[奈良時代]]に書写された仏教経典が一千数百巻、また、その奈良時代のものから転写したと想定される平安時代から鎌倉時代の古写経が一万巻以上も現存しており<ref>日本古写経研究所 https://www.icabs.ac.jp/research/koshakyo 閲覧日2023年11月11日</ref>、パーリ仏典の古写本の少なさと著しい対比をなす。


==内容==
==内容==
{{出典の明記|date=2017年7月21日 (金) 04:29 (UTC)|section=1}}
{{節stub|1=内容と出典}}
{{節stub|1=内容と出典}}
[[律 (仏教)|律]]は中国やチベットにそれぞれ伝わっているものとは異なる独自のもので、通称『パーリ律』と呼ばれる。
[[律 (仏教)|律]]は中国やチベットにそれぞれ伝わっているものとは異なる独自のもので、通称『パーリ律』と呼ばれる。


経は漢訳[[大蔵経]]で言えば、概ね「[[阿含部 (大正蔵)|阿含部]]」「[[本縁部 (大正蔵)|本縁部]]」に相当するもので、当然のことながら[[大乗仏教]]経典は含まれていない。
[[_(仏教)|経]]は漢訳[[大蔵経]]で言えば、概ね「[[阿含部 (大正蔵)|阿含部]]」「[[本縁部 (大正蔵)|本縁部]]」に相当するもので、当然のことながら[[大乗仏教]]経典は含まれていない。


== 構成 ==
== 構成 ==
漢訳仏典、チベット語訳仏典と同じく、'''律蔵'''(Vinaya Pitaka(ヴィナヤ・ピタカ))、'''経蔵'''(Sutta Pitaka(スッタ・ピタカ))、'''論蔵'''(Abhidhamma Pitaka(アビダンマ・ピタカ))の'''三蔵'''(Tipitaka(ティピタカ))から成る。順序としては、律蔵が軽視されて後回しにされる漢訳とは異なり、チベット仏典と同じく、律蔵が最初に来る。
漢訳仏典、チベット語訳仏典と同じく、'''律蔵'''(Vinaya Piṭaka(ヴィナヤ・ピタカ))、'''経蔵'''(Sutta Piṭaka(スッタ・ピタカ))、'''論蔵'''(Abhidhamma Piṭaka(アビダンマ・ピタカ))の'''三蔵'''(Tipiṭaka(ティピタカ))から成る。順序としては、律蔵が軽視されて後回しにされる漢訳とは異なり、チベット仏典と同じく、律蔵が最初に来る。


===律蔵===
===律蔵===
{{main|律蔵 (パーリ)}}
{{main|律蔵 (パーリ)}}
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<div class="NavHead" style="text-align:left">'''[[律蔵 (パーリ)|律蔵]]'''(Vinaya Pitaka(ヴィナヤ・ピタカ)):戒律</div>
<div class="NavHead" style="text-align:left">'''[[律蔵 (パーリ)|律蔵]]'''(Vinaya Piṭaka(ヴィナヤ・ピタカ)):戒律</div>
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*'''[[経分別]]'''(きょうふんべつ、Sutta-vibhanga) - [[波羅提木叉]](Patimokkha、[[僧伽|僧団]]内規則、[[具足戒]])の解説
*'''[[経分別]]'''(きょうふんべつ、Sutta-vibhanga) - [[波羅提木叉]](Patimokkha、[[僧伽|僧団]]内規則、[[具足戒]])の解説
**大分別(Maha-vibhanga) - [[比丘]]戒<br />(1. 波羅夷(Parajika) 2. 僧残法(Sanghadisesa) 3. 不定法(Aniyata) 4. 捨堕法(Nissaggiya pacittiya) 5. 波逸提法(Pacittiya) 6. 提舎尼法(Patidesaniya) 7. 衆学法(Sekhiyavatta) 8. 滅諍法(Adhikarana-samatha))
**大分別(Maha-vibhanga) - [[比丘]]戒<br />(1. 波羅夷(Parajika) 2. 僧残法(Sanghadisesa) 3. 不定法(Aniyata) 4. 捨堕法(Nissaggiya pacittiya) 5. 波逸提法(Pacittiya) 6. 提舎尼法(Patidesaniya) 7. 衆学法(Sekhiyavatta) 8. 滅諍法(Adhikarana-samatha))
**比丘尼分別(Bhikkhuni-vibhanga) - [[比丘尼]]戒<br />(1. 波羅夷(Parajika) 2. 僧残法(Sanghadisesa) 3. 捨堕法(Nissaggiya pacittiya) 4. 波逸提法(Pacittiya) 5. 提舎尼法(Patidesaniya) 6. 衆学法(Sekhiyavatta) 7. 滅諍法(Adhikarana-samatha))
**比丘尼分別(Bhikkhuni-vibhanga) - [[比丘尼]]戒<br />(1. 波羅夷(Parajika) 2. 僧残法(Sanghadisesa) 3. 捨堕法(Nissaggiya pacittiya) 4. 波逸提法(Pacittiya) 5. 提舎尼法(Patidesaniya) 6. 衆学法(Sekhiyavatta) 7. 滅諍法(Adhikarana-samatha))
*'''[[ケン度 (パーリ律)|犍度]]'''(けんど、Khandhaka) - 僧団運営規則
*'''[[犍度]]'''(けんど、Khandhaka) - 僧団運営規則
**大品(Maha-vagga)<br />(1. 大犍度(Maha-khandhaka) 2. 薩犍度(Uposathak-khandhaka) 3. 入雨安居犍度(Vassupanayikak-khandhaka) 4. 自恣犍度(Pavaranak-khandhaka) 5. 皮革犍度(Cammak-khandhaka) 6. 薬犍度(Bhesajjak-khandhaka) 7. 迦絺那衣犍度(Kathinak-khandhaka) 8. 衣犍度(Civarak-khandhaka) 9. 瞻波犍度(Campeyyak-khandhaka) 10. 拘睒弥犍度(Kosambakak-khandhaka))
**大品(Maha-vagga)<br />(1. 大犍度(Maha-khandhaka) 2. 薩犍度(Uposathak-khandhaka) 3. 入雨安居犍度(Vassupanayikak-khandhaka) 4. 自恣犍度(Pavaranak-khandhaka) 5. 皮革犍度(Cammak-khandhaka) 6. 薬犍度(Bhesajjak-khandhaka) 7. 迦絺那衣犍度(Kathinak-khandhaka) 8. 衣犍度(Civarak-khandhaka) 9. 瞻波犍度(Campeyyak-khandhaka) 10. 拘睒弥犍度(Kosambakak-khandhaka))
**小品(Culla-vagga)<br />(1. 羯磨犍度(Kammak-khandhaka) 2. 別住犍度(Parivasikak-khandhaka) 3. 集犍度(Samuccayak-khandhaka) 4. 滅諍犍度(Samathak-khandhaka) 5. 小事犍度(Khuddakavatthuk-khandhaka) 6. 臥坐具犍度(Senasanak-khandhaka) 7. 破僧犍度(Sanghabhedakak-khandhaka) 8. 儀法犍度(Vattak-khandhaka) 9. 遮説戒犍度(Patimokkhatthapanak-khandhaka) 10. 比丘尼犍度(Bhikkhunik-khandhaka) 11. 五百結集犍度(Pancasatikak-khandhaka) 12. 七百結集犍度(Sattasatikak-khandhaka))
**小品(Culla-vagga)<br />(1. 羯磨犍度(Kammak-khandhaka) 2. 別住犍度(Parivasikak-khandhaka) 3. 集犍度(Samuccayak-khandhaka) 4. 滅諍犍度(Samathak-khandhaka) 5. 小事犍度(Khuddakavatthuk-khandhaka) 6. 臥坐具犍度(Senasanak-khandhaka) 7. 破僧犍度(Sanghabhedakak-khandhaka) 8. 儀法犍度(Vattak-khandhaka) 9. 遮説戒犍度(Patimokkhatthapanak-khandhaka) 10. 比丘尼犍度(Bhikkhunik-khandhaka) 11. 五百結集犍度(Pancasatikak-khandhaka) 12. 七百結集犍度(Sattasatikak-khandhaka))
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{{main|経蔵 (パーリ)}}
{{main|経蔵 (パーリ)}}
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<div class="NavHead" style="text-align:left">'''[[経蔵 (パーリ)|経蔵]]'''(Sutta Pitaka(スッタ・ピタカ)):経典本体</div>
<div class="NavHead" style="text-align:left">'''[[経蔵 (パーリ)|経蔵]]'''(Sutta Piṭaka(スッタ・ピタカ)):経典本体</div>
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*'''[[長部 (パーリ)|長部]]'''(じょうぶ、Digha Nikaya(ディーガ・ニカーヤ))- 長編の経典集
*'''[[長部 (パーリ)|長部]]'''(じょうぶ、Digha Nikaya(ディーガ・ニカーヤ))- 長編の経典集
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**有偈篇(Sagatha-vagga)<br />(1. 諸天相応(Devata-samyutta) 2. 天子相応(Devaputta-samyutta) 3. 拘薩羅相応(Kosala-samyutta) 4. 悪魔相応(Mara-samyutta) 5. 比丘尼相応(Bhikkhuni-samyutta) 6. 梵天相応(Brahma-samyutta) 7. 婆羅門相応(Brahmana-samyutta) 8. 婆耆沙長老相応(Vangisa-samyutta) 9. 森相応(Vana-samyutta) 10. 夜叉相応(Yakkha-samyutta) 11. 帝釈相応(Sakka-samyutta))
**有偈篇(Sagatha-vagga)<br />(1. 諸天相応(Devata-samyutta) 2. 天子相応(Devaputta-samyutta) 3. 拘薩羅相応(Kosala-samyutta) 4. 悪魔相応(Mara-samyutta) 5. 比丘尼相応(Bhikkhuni-samyutta) 6. 梵天相応(Brahma-samyutta) 7. 婆羅門相応(Brahmana-samyutta) 8. 婆耆沙長老相応(Vangisa-samyutta) 9. 森相応(Vana-samyutta) 10. 夜叉相応(Yakkha-samyutta) 11. 帝釈相応(Sakka-samyutta))
**因縁篇(Nidana-vagga)<br />(1. 因縁相応(Nidana-samyutta) 2. 現観相応(Abhisamaya-samyutta) 3. 界相応(Dhatu-samyutta) 4. 無始相応(Anamatagga-samyutta) 5. 迦葉相応(Kassapa-samyutta) 6. 利得供養相応(Labhasakkara-samyutta) 7. 羅睺羅相応(Rahula-samyutta) 8. 勒叉那相応(Lakkhana-samyutta) 9. 譬喩相応(Opamma-samyutta) 10. 比丘相応(Bhikkhu-samyutta))
**因縁篇(Nidana-vagga)<br />(1. 因縁相応(Nidana-samyutta) 2. 現観相応(Abhisamaya-samyutta) 3. 界相応(Dhatu-samyutta) 4. 無始相応(Anamatagga-samyutta) 5. 迦葉相応(Kassapa-samyutta) 6. 利得供養相応(Labhasakkara-samyutta) 7. 羅睺羅相応(Rahula-samyutta) 8. 勒叉那相応(Lakkhana-samyutta) 9. 譬喩相応(Opamma-samyutta) 10. 比丘相応(Bhikkhu-samyutta))
**蘊篇(Khandha-vagga)<br />(1. 蘊相応(Khandha-samyutta) 2. 羅陀相応(Radha-samyutta) 3. 見相応(Ditthi-samyutta) 4. 入相応(Okkanta-samyutta) 5. 生相応(Uppada-samyutta) 6. 煩悩相応(Kilesa-samyutta) 7. 舎利弗相応(Sariputta-samyutta) 8. 龍相応(Naga-samyutta) 9. 金翅鳥相応(Supanna-samyutta) 10. 乾婆相応(Gandhabbakaya-samyutta) 11. 雲相応(Valahaka-samyutta) 12. 婆蹉種相応(Vacchagotta-samyutta) 13. 禅定相応(Jhana-samyutta))
**蘊篇(Khandha-vagga)<br />(1. 蘊相応(Khandha-samyutta) 2. 羅陀相応(Radha-samyutta) 3. 見相応(Ditthi-samyutta) 4. 入相応(Okkanta-samyutta) 5. 生相応(Uppada-samyutta) 6. 煩悩相応(Kilesa-samyutta) 7. 舎利弗相応(Sariputta-samyutta) 8. 龍相応(Naga-samyutta) 9. 金翅鳥相応(Supanna-samyutta) 10. 乾婆相応(Gandhabbakaya-samyutta) 11. 雲相応(Valahaka-samyutta) 12. 婆蹉種相応(Vacchagotta-samyutta) 13. 禅定相応(Jhana-samyutta))
**六処篇(Salayatana-vagga)<br />(1. 六処相応(Salayatana-samyutta) 2. 受相応(Vedana-samyutta) 3. 女人相応(Matugama-samyutta) 4. 閻浮車相応(Jambukhadaka-samyutta) 5. 沙門出家相応(Samandaka-samyutta) 6. 目犍連相応(Moggallana-samyutta) 7. 質多相応(Citta-samyutta) 8. 聚落主相応(Gamani-samyutta) 9. 無為相応(Asankhata-samyutta) 10. 無記説相応(Abyakata-samyutta))
**六処篇(Salayatana-vagga)<br />(1. 六処相応(Salayatana-samyutta) 2. 受相応(Vedana-samyutta) 3. 女人相応(Matugama-samyutta) 4. 閻浮車相応(Jambukhadaka-samyutta) 5. 沙門出家相応(Samandaka-samyutta) 6. 目犍連相応(Moggallana-samyutta) 7. 質多相応(Citta-samyutta) 8. 聚落主相応(Gamani-samyutta) 9. 無為相応(Asankhata-samyutta) 10. 無記説相応(Abyakata-samyutta))
**大篇(Maha-vagga)<br />(1. 道相応(Magga-samyutta) 2. 覚支相応(Bojjhanga-samyutta) 3. 念処相応(Satipatthana-samyutta) 4. 根相応(Indriya-samyutta) 5. 正勤相応(Sammappadhana-samyutta) 6. 力相応(Bala-samyutta) 7. 神足相応(Iddhipada-samyutta) 8. 阿那律相応(Anuruddha-samyutta) 9. 静慮相応(Jhana-samyutta) 10. 入出息相応(Anapana-samyutta) 11. 預流相応(Sotapatti-samyutta) 12. 諦相応(Sacca-samyutta))
**大篇(Maha-vagga)<br />(1. 道相応(Magga-samyutta) 2. 覚支相応(Bojjhanga-samyutta) 3. 念処相応(Satipatthana-samyutta) 4. 根相応(Indriya-samyutta) 5. 正勤相応(Sammappadhana-samyutta) 6. 力相応(Bala-samyutta) 7. 神足相応(Iddhipada-samyutta) 8. 阿那律相応(Anuruddha-samyutta) 9. 静慮相応(Jhana-samyutta) 10. 入出息相応(Anapana-samyutta) 11. 預流相応(Sotapatti-samyutta) 12. 諦相応(Sacca-samyutta))
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===論蔵===
===論蔵===
{{main|論蔵 (パーリ)}}
{{main|論蔵 (パーリ)}}
*'''[[論蔵 (パーリ)|論蔵]]'''(Abhidhamma Pitaka(アビダンマ・ピタカ)):解説・注釈
*'''[[論蔵 (パーリ)|論蔵]]'''(Abhidhamma Piṭaka(アビダンマ・ピタカ)):解説・注釈
**法集論(Dhamma-sangani)
**法集論({{lang|pi|Dhammasaṅgaṇī}})
**分別論(Vibhanga)
**分別論({{lang|pi|Vibhaṅga}})
**界論(Dhatukatha)
**界論({{lang|pi|Dhātukathā}})
**人施設論(Puggalapannatti)
**人施設論({{lang|pi|Puggalapaññatti}})
**論事(Kathavatthu)
**論事({{lang|pi|Kathāvatthu}})
**双論(Yamaka)
**双論({{lang|pi|Yamaka}})
**発趣論(Patthana)
**発趣論({{lang|pi|Paṭṭhāna}})
:日本の仏教界では、部派仏教(特に南伝)は[[阿羅漢]]にしかなれない仏教とされる<ref>[[竹村牧男]]著(講談社現代新書) 『覚りと空』 第3章 大乗仏教の出現。</ref>ことがあるが、『双論』の Yamaka には双子の意味もあり<ref>『パーリ語佛教辞典』 [[雲井昭善]]著 (山喜房仏書林) 「Yamaka」。</ref>、Yama には[[閻魔]]([[閻魔#インドの「ヤマ」|ヤマ]])の意味もある<ref>『パーリ語佛教辞典』 雲井昭善著 (山喜房仏書林) 「Yama」。</ref>。{{要追加記述範囲|[[密教]]や[[大乗仏教]]圏で説かれる[[明王]]の[[ヤマーンタカ|降閻魔尊]]と通じるものである。|date=2017年4月22日 (土) 01:13 (UTC)|title=何がどう「通じる」のか明確に書かれるべきである。綴りが同じだと言いたいだけなら、曖昧に「通じる」などと書かずにはっきり書くべきである。そもそも前段の「〜ことが多い」という前提と、この後段の関係も不明瞭。}}


===注釈・復注釈===
===注釈・復注釈===
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*[[アッタカター]](Aṭṭhakathā) - 注釈(註釈)書
*[[アッタカター]](Aṭṭhakathā) - 注釈(註釈)書
*[[ティーカー]](Ṭīkā) - 複注釈(註釈)書・復注釈(註釈)書
*[[ティーカー]](Ṭīkā) - 複注釈(註釈)書・復注釈(註釈)書
と呼ばれる注釈文献群が付属しており、パーリ仏典の内容解釈に際して参照される。
と呼ばれる注釈文献群が付属しており、パーリ仏典の内容解釈に際して参照される。


ちなみに、下掲する日本語訳の中では、[[大蔵出版]]の[[片山一良 (仏教学者)|片山一良]]訳 『パーリ仏典』シリーズが、これら注釈文献を参照した日本語訳として知られている<ref>[http://daizoshuppan.bunkensystem.co.jp/Default.aspx?Category=%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%AA%E4%BB%8F%E5%85%B8 パーリ仏典 片山良一訳] - [[大蔵出版]]</ref>。
ちなみに、下掲する日本語訳の中では、[[大蔵出版]]の[[片山一良 (仏教学者)|片山一良]]訳 『パーリ仏典』シリーズが、これら注釈文献を参照した日本語訳として知られている<ref>[http://daizoshuppan.bunkensystem.co.jp/Default.aspx?Category=%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%AA%E4%BB%8F%E5%85%B8 パーリ仏典 片山良一訳] - [[大蔵出版]]</ref>。

南伝アビダンマの綱要書である『[[アビダンマッタサンガハ]]』はティーカー(復注釈書)に含まれる。


===その他===
===その他===
その他の付属・関連文献(Anya アニヤと表現される)としては、[[ブッダゴーサ]]の『[[清浄道論]]』や、[[レディ・サヤドー]]の文献、あるいは『[[アビダンマッタ・サンガハ]]』等がある。
その他の付属・関連文献(Anya アニヤと表現される)としては、[[ブッダゴーサ]]の『[[清浄道論]]』や、[[レディ・サヤドー]]の文献等がある。


==南伝大蔵経==
==南伝大蔵経==
{{基礎情報 書籍
===翻訳・===
| title = 南伝大蔵経
{{要出典範囲|[[上座部仏教]]とその仏典である『パーリ語仏典』の存在は、日本が近代化した明治以降知られるようになり、[[釈興然]]のように[[スリランカ]]へと渡航し、上座部仏教の出家者([[比丘]])となった者や、学者たちによって、日本へとその情報・知識が持ち込まれ、理解が急速に進展した。|date=2015年11月9日 (月) 07:08 (UTC)}}
| orig_title = <!-- 書籍の原題 -->

| editor = [[高楠順次郎]]
パーリ語仏典の日本語への翻訳(全訳)は、パーリ聖典協会(Pali Text Society, PTS)の校訂出版本を底本とした日本語訳として、漢訳仏典の集成である『[[大正新脩大蔵経]]』([[1923年]]-[[1934年]]、全88巻)を手がけた[[高楠順次郎]]らによって進められ、[[1935年]]から[[1941年]]にかけて、『南伝大蔵経』全65巻70冊として刊行・出版された<ref>[https://kotobank.jp/word/%E5%8D%97%E4%BC%9D%E5%A4%A7%E8%94%B5%E7%B5%8C-108889 南伝大蔵経とは] - [[ブリタニカ国際大百科事典]]/[[コトバンク]]</ref>。
| translator = 上田天瑞
| published = 1936年1月8日
| publisher = [[大蔵出版]]
| genre = 仏教[[聖典]]
| country = 日本
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| id = <!-- 基本的に書籍のISBNを記入します。 -->
}}
パーリ語仏典の日本語翻訳(全訳)は、[[1935年]]から[[1941年]]にかけて'''南伝大蔵経'''全65巻70冊として刊行・出版された。[[パーリ聖典協会]](Pali Text Society, PTS)の校訂出版本を底本とし、漢訳仏典の集成である『[[大正新脩大蔵経]]』([[1923年]]-[[1934年]]、全88巻)を手がけた[[高楠順次郎]]らによってされた<ref>[https://kotobank.jp/word/%E5%8D%97%E4%BC%9D%E5%A4%A7%E8%94%B5%E7%B5%8C-108889 南伝大蔵経とは] - [[ブリタニカ国際大百科事典]]/[[コトバンク]]</ref>。


===著作権問題===
===パブリックアクセス問題===
[[国立国会図書館]]は、「[[近代デジタルライブラリー]]」事業の一環として、[[2007年]]7月からは『大正新脩大蔵経』の大正期刊行分を、[[2013年]]2月からは『大正新脩大蔵経』の昭和期刊行分と『南伝大蔵経』を、著作権切れの刊行物としてインターネット公開を始めたが、2008年からこれらを出版物として扱っている[[大蔵出版]]から抗議を受けるようになった。それに対して国立国会図書館は、2013年5-6月より、それらのインターネット公開を一時停止し、抗議内容を検討した。
[[国立国会図書館]]は、「[[近代デジタルライブラリー]]」事業の一環として、[[2007年]]7月からは『大正新脩大蔵経』の大正期刊行分を、[[2013年]]2月からは『大正新脩大蔵経』の昭和期刊行分と『南伝大蔵経』を、著作権切れの刊行物としてインターネット公開を始めたが、2008年からこれらを出版物として扱っている[[大蔵出版]]から抗議を受けるようになった。それに対して国立国会図書館は、2013年5-6月より、それらのインターネット公開を一時停止し、抗議内容を検討した。


[[2014年]]1月、半年間の検討期間を経て、国立国会図書館は、『大正新脩大蔵経』のインターネット公開は再開するが、『南伝大蔵経』は当分の間は館内公開に留め、インターネット公開は行わないと発表した<ref>{{Cite web|url=http://www.j-cast.com/2014/01/08193708.html?p=all|title=全文表示|著作権切れ書籍データのネット公開停止 出版社側からの抗議に国会図書館が折れる : J-CASTニュース|accessdate=2015-11-09}}</ref>。この「南伝大蔵経問題」の一連の経緯は、図書館の「無料原則」「民業圧迫の回避」や著作権問題と合わせて様々な議論を巻き起こした<ref>湯浅俊彦編著「電子出版と電子図書館の最前線を創り出す」(出版メディアパル、2015)、pp.201-203。</ref>。
[[2014年]]1月、半年間の検討期間を経て、国立国会図書館は、『大正新脩大蔵経』のインターネット公開は再開するが、『南伝大蔵経』は当分の間は館内公開に留め、インターネット公開は行わないと発表した<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.j-cast.com/2014/01/08193708.html?p=all|title=全文表示|著作権切れ書籍データのネット公開停止 出版社側からの抗議に国会図書館が折れる : J-CASTニュース|accessdate=2015-11-09}}</ref>。この「南伝大蔵経問題」の一連の経緯は、図書館の「無料原則」「民業圧迫の回避」や著作権問題と合わせて様々な議論を巻き起こした<ref>湯浅俊彦編著「電子出版と電子図書館の最前線を創り出す」(出版メディアパル、2015)、pp.201-203。</ref>。

国立国会図書館は、この件における経緯と対応について、「インターネット提供に対する出版社の申出への対応について」という文書をインターネット上に発表している<ref>{{Cite web|url=http://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2013/report140107.pdf|title=インターネット提供に対する出版社の申出への対応について|accessdate=2015-11-09}} 国立国会図書館、2014年1月</ref>。
国立国会図書館は、この件における経緯と対応について、「インターネット提供に対する出版社の申出への対応について」という文書をインターネット上に発表している<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2013/report140107.pdf|title=インターネット提供に対する出版社の申出への対応について|accessdate=2015-11-09|archiveurl=https://web.archive.org/web/20180115073313/http://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2013/report140107.pdf|archivedate=2018-01-15|publisher=}} 国立国会図書館、2014年1月</ref>。


==日本語訳==
==日本語訳==
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==== 経蔵長部 ====
==== 経蔵長部 ====
'''経蔵長部 全訳'''
'''経蔵長部 全訳'''
*『原始仏典 長部経典1-3』(第1-3巻)[[中村元]]監修 [[春秋社]]
*『原始仏典 長部経典1-3』(第1-3巻)[[中村元 (哲学者)|中村元]]監修 [[春秋社]]
*『パーリ仏典 長部(ディーガニカーヤ)』(全6巻)[[片山一良 (仏教学者)|片山一良]]訳 [[大蔵出版]]
*『パーリ仏典 長部(ディーガニカーヤ)』(全6巻)[[片山一良 (仏教学者)|片山一良]]訳 [[大蔵出版]]


177行目: 193行目:
'''経蔵相応部 全訳'''
'''経蔵相応部 全訳'''
*『原始仏典II 相応部経典』(全6巻)中村元監修 春秋社
*『原始仏典II 相応部経典』(全6巻)中村元監修 春秋社
*『パーリ仏典 相応部(サンユッタニカーヤ)』(全10巻)片山一良訳 大蔵出版
*『パーリ仏典 相応部(サンユッタニカーヤ)』(全10巻既刊9巻<ref>{{Cite web|和書|url = https://www.daizoshuppan.jp/book/b583499.html |title = ☆ シリーズ最新刊!! ☆パーリ仏典 3-9相応部(サンユッタニカーヤ)大篇Ⅰ|website = www.daizoshuppan.jp|publisher = 大蔵出版|date = |accessdate = 2023-06-20}}</ref>)片山一良訳 大蔵出版


'''有偈篇 全訳'''
'''有偈篇 全訳'''
183行目: 199行目:
*『ブッダ悪魔との対話――サンユッタ・ニカーヤ2 』中村元訳 岩波文庫
*『ブッダ悪魔との対話――サンユッタ・ニカーヤ2 』中村元訳 岩波文庫


'''デヴァター相応(諸天相応)'''
'''デヴァター相応(諸天相応)'''
*『世界の名著〈1〉バラモン教典, 原始仏典 』「サミッディの出家」中央公論社
*『世界の名著〈1〉バラモン教典, 原始仏典 』「サミッディの出家」中央公論社


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==== 経蔵増支部 ====
==== 経蔵増支部 ====
*『原始仏典III 増支部経典』(全8巻)中村元監修 春秋社
---


==== 経蔵小部 ====
==== 経蔵小部 ====
'''経蔵小部 全訳'''
'''経蔵小部 全訳'''
*『小部経典』 全10巻、[[正田大観]]、Evolving/Kindle 2015年
*『小部経典』 全10巻、[[正田大観]]、Evolving/Kindle 2015年
*『小部経典』 全16巻、中村 元 監修・訳、春秋社、2023年から刊行中<ref>{{Cite web |url = https://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:f8ynVQWZLYQJ:https:%2F%2Fwww.shunjusha.co.jp%2Fsmp%2Fbook%2F9784393113646.html&sca_esv=578392941&hl=ja&gl=jp&strip=1&vwsrc=0 |archiveurl = https://web.archive.org/web/20231101055334/https://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:f8ynVQWZLYQJ:https:%2F%2Fwww.shunjusha.co.jp%2Fsmp%2Fbook%2F9784393113646.html&sca_esv=578392941&hl=ja&gl=jp&strip=1&vwsrc=0 |author = 春秋社|title = 小部経典 第一巻|website = webcache.googleusercontent.com|publisher = www.shunjusha.co.jp|date = 2023-07-14|archivedate = 2023-11-01|accessdate = 2023-11-01}}</ref>

'''ダンマパダ(法句経)'''
'''ダンマパダ(法句経)'''
*『ブッダの真理のことば・感興のことば』中村元訳 岩波文庫
*『ブッダの真理のことば・感興のことば』中村元訳 岩波文庫
211行目: 227行目:
'''テーリーガーター(長老尼偈経)'''
'''テーリーガーター(長老尼偈経)'''
*『尼僧の告白―テーリーガーター』中村元訳 岩波文庫
*『尼僧の告白―テーリーガーター』中村元訳 岩波文庫
*『パーリ文『テーリー・ガーター』翻訳語彙典』([[植木雅俊]]、[[法蔵館]]、2023年)


'''ジャータカ(本生経)'''
'''ジャータカ(本生経)'''
216行目: 233行目:


'''ミリンダパンハ(弥蘭陀王問経)'''
'''ミリンダパンハ(弥蘭陀王問経)'''
*『世界の名著〈1〉バラモン教典, 原始仏典 』中央公論社
*『世界の名著〈1〉バラモン教典 原始仏典』中央公論社
*『[[ミリンダ王の問い]]インドとギリシアの対決』中村元・[[早島鏡正]]訳 [[平凡社]][[東洋文庫 (平凡社)|東洋文庫]]
*『[[ミリンダ王の問い]] インドとギリシアの対決』中村元・[[早島鏡正]]訳 [[平凡社]][[東洋文庫 (平凡社)|東洋文庫]]

'''ペータヴァットゥ(餓鬼事)'''
*『餓鬼事経 死者たちの物語』藤本晃訳 サンガ

'''ヴィマーナヴァットゥ(天宮事)'''
*『天宮事経 天界往生の物語』藤本晃訳 サンガ


===その他===
===その他===
*『阿含経典1-3』 [[増谷文雄]]訳 [[筑摩書房]]
*『阿含経典1-3』 [[増谷文雄]]訳 [[筑摩書房]]


== 脚注・出典 ==
== 脚注 ==
=== 注釈 ===
{{脚注ヘルプ}}
{{脚注ヘルプ}}
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=== ===
{{Reflist}}
{{Reflist}}


229行目: 256行目:
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* [[阿含経]]
* [[阿含経]]
* [[経典]]
* [[日本テーラワーダ仏教協会]]
* [[日本テーラワーダ仏教協会]]


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
{{Portal 仏教}}
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*[http://www.tipitaka.org/ The Pali Tipitaka] - Tipitaka.org --- 第6結集本のパーリ語原文を、様々な文字で読める
*[http://www.tipitaka.org/ The Pali Tipitaka] - 第6結集本のパーリ語原文を、様々な文字で読める
*[http://www.accesstoinsight.org/tipitaka/ Tipitaka: The Pali Canon] - [[:en:Access to Insight|Access to Insight]] --- 英訳
*[http://www.accesstoinsight.org/tipitaka/ Tipitaka: The Pali Canon](英訳) - [[:en:Access to Insight|Access to Insight]]
*[http://www.j-theravada.net/sutta/ パーリ語日常読誦経典] - 日本テーラワーダ仏教協会
*[http://www.j-theravada.net/sutta/ パーリ語日常読誦経典] - 日本テーラワーダ仏教協会
*[http://daizoshuppan.bunkensystem.co.jp/daizo/bunrui/bunrui.asp?Category=%93%EC%93%60%91%E5%91%A0%8Co 南伝大蔵経] - [[大蔵出版]]公式サイト
*[https://www.daizoshuppan.jp/nandendaizokyo/ 南伝大蔵経] - [[大蔵出版]]公式サイト


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2023年11月11日 (土) 04:41時点における最新版

パーリ仏典(タイ国)

パーリ仏典パーリ語仏典パーリ聖典Pali Canon)、あるいはパーリ三蔵: Tipiṭaka, ティピタカ三蔵のこと)は、南伝の上座部仏教に伝わるパーリ語で書かれた仏典である。北伝の大乗仏教に伝わる漢語・チベット語の仏典と並ぶ三大仏典群の1つ。パーリ経典パーリ語経典)とも呼ばれることがある。

日本でも戦前に輸入・翻訳され、漢訳大蔵経(北伝大蔵経)、チベット大蔵経に対して、『南伝大蔵経』『パーリ大蔵経』(パーリ語大蔵経)などとしても知られる。

概要[編集]

パーリ仏典は、部派仏教時代に使われていたプラークリット(俗語)の1つであり、(釈迦が生きた北東インドのマガダ地方の方言ではなく)西インド系[1]の、より具体的にはウッジャイン周辺で用いられたピシャーチャ語の一種であると推定されるパーリ語で書かれている[2]。第1回-第3回の結集や、後代における仏典サンスクリット化からも分かる通り、仏典はその歴史の過程で編纂・増広・翻訳が繰り返されており、パーリ仏典はその歴史過程における、インド部派仏教時代の形態を強く留めている、現存する唯一の仏典だと言える。

上座部仏教では伝統的に、この仏典の言語であるパーリ語が、釈迦が用いたいわゆるマガダ語であると信じられてきたが、学問的知見が広まった今日においてはそうした主張は弱まってきている。ただし、マガダ語とパーリ語は、実際には言語的にそれほど相違しておらず、語彙をほぼ共有し、文法上の差異もさほどないなど、むしろかなり近似的な関係にあったと推定されている[3]

なお、「パーリ」とは聖典の意であり[1]、各経典に関して「〜聖典」(-pāḷi)という表現もよく用いられる。パーリ語という言語名も「聖典(パーリ)の言葉」「聖典語」というところから付けられた通称に過ぎない。

現在、スリランカミャンマータイ等の上座部仏教文化圏で流通しているパーリ仏典は、分別説部赤銅鍱部)と呼ばれる上座部一派の流れをくむ、スリランカ仏教大寺派に起源を持つものが、12世紀以降に広まったものであり、瑣末な差異こそあれ、基本的に同一のテキストである。

近代以降は、1881年ロンドンに設立されたパーリ聖典協会(Pali Text Society, PTS)の校訂出版本[注釈 1]や、1954年ビルマミャンマー)のヤンゴンラングーン)で行われた第6回結集によって編纂された聖典テキスト(第六回結集本)[注釈 2]等が、共通の底本となっている。

写本の成立年代[編集]

パーリ語仏典の写本は、近代以前のものはほとんど現存していない。
山中行雄によれば「東南アジア地域においては,現存写本の数自体が膨大である一方,高温多湿の気候,写本の保存体制の不備等から,古写本の保存が極めて困難で,15世紀以前の写本を発見することは,かなり稀である」[4]
下田正弘は「K. R.ノーマンおよびO.フォン=ヒニューバによれば,現在利用可能なパーリ語の写本はほとんどが18世紀から19世紀という,きわめて近年のものである(von Hinüber 1983, 78; 1994, 188; Geiger and Norman 1994, XXV).しかもこれらの写本がどのような過程をたどって現在に至ったかほとんど情報がないため,近代以前の足跡は写本自身から知りえない.この点,漢訳の諸経典が古い時代―『道安録』を起点とするなら四世紀以降―より翻訳状況の記録とともに継承されていることに比すると,その歴史資料としての価値にはかなりの限界がある.」[5]と述べる。
パーリ仏典の古写本が少ないことは、学術的な研究上のネックにはなるものの、信仰の対象としての価値を減ずるものではない。そもそも上座部仏教の教義では、聖典の本質は、書写された経巻そのものにあるのではなく、それが有情によって記憶・実践・暗誦されていることにこそある(清水2018[6]pp.26-27)とされてきたことにも注意すべきである。
ちなみに、パーリ語以外の現存の仏教古写本の情況を見ると、ガンダーラ語仏教写本は1世紀から、漢訳写本は釈道安を起点とするなら4世紀から、サンスクリット語写本は6世紀から[7]、と、紀元1千年紀の古写本が存在する。「写経」や「納経」の功徳を重視する大乗仏教は古写本が多く残っている。日本に限っても、奈良時代に書写された仏教経典が一千数百巻、また、その奈良時代のものから転写したと想定される平安時代から鎌倉時代の古写経が一万巻以上も現存しており[8]、パーリ仏典の古写本の少なさと著しい対比をなす。

内容[編集]

は中国やチベットにそれぞれ伝わっているものとは異なる独自のもので、通称『パーリ律』と呼ばれる。

は漢訳大蔵経で言えば、概ね「阿含部」「本縁部」に相当するもので、当然のことながら大乗仏教経典は含まれていない。

構成[編集]

漢訳仏典、チベット語訳仏典と同じく、律蔵(Vinaya Piṭaka(ヴィナヤ・ピタカ))、経蔵(Sutta Piṭaka(スッタ・ピタカ))、論蔵(Abhidhamma Piṭaka(アビダンマ・ピタカ))の三蔵(Tipiṭaka(ティピタカ))から成る。順序としては、律蔵が軽視されて後回しにされる漢訳とは異なり、チベット仏典と同じく、律蔵が最初に来る。

律蔵[編集]

経蔵[編集]

論蔵[編集]

  • 論蔵(Abhidhamma Piṭaka(アビダンマ・ピタカ)):解説・注釈
    • 法集論(Dhammasaṅgaṇī
    • 分別論(Vibhaṅga
    • 界論(Dhātukathā
    • 人施設論(Puggalapaññatti
    • 論事(Kathāvatthu
    • 双論(Yamaka
    • 発趣論(Paṭṭhāna

注釈・復注釈[編集]

また、パーリ仏典には、

と呼ばれる注釈文献群が付属しており、パーリ仏典の内容解釈に際して参照される。

ちなみに、下掲する日本語訳の中では、大蔵出版片山一良訳 『パーリ仏典』シリーズが、これら注釈文献を参照した日本語訳として知られている[10]

南伝アビダンマの綱要書である『アビダンマッタサンガハ』はティーカー(復注釈書)に含まれる。

その他[編集]

その他の付属・関連文献(Anya アニヤと表現される)としては、ブッダゴーサの『清浄道論』や、レディ・サヤドーの文献等がある。

南伝大蔵経[編集]

南伝大蔵経
編集者 高楠順次郎
訳者 上田天瑞
発行日 1936年1月8日
発行元 大蔵出版
ジャンル 仏教聖典
日本
言語 日本語
形態 聖典、仏典
公式サイト インターネットアーカイブnandendaizokyovol01
[ ウィキデータ項目を編集 ]
テンプレートを表示

パーリ語仏典の日本語翻訳(全訳)は、1935年から1941年にかけて南伝大蔵経全65巻70冊として刊行・出版された。パーリ聖典協会(Pali Text Society, PTS)の校訂出版本を底本とし、漢訳仏典の集成である『大正新脩大蔵経』(1923年-1934年、全88巻)を手がけた高楠順次郎らによってなされた[11]

パブリックアクセス問題[編集]

国立国会図書館は、「近代デジタルライブラリー」事業の一環として、2007年7月からは『大正新脩大蔵経』の大正期刊行分を、2013年2月からは『大正新脩大蔵経』の昭和期刊行分と『南伝大蔵経』を、著作権切れの刊行物としてインターネット公開を始めたが、2008年からこれらを出版物として扱っている大蔵出版から抗議を受けるようになった。それに対して国立国会図書館は、2013年5-6月より、それらのインターネット公開を一時停止し、抗議内容を検討した。

2014年1月、半年間の検討期間を経て、国立国会図書館は、『大正新脩大蔵経』のインターネット公開は再開するが、『南伝大蔵経』は当分の間は館内公開に留め、インターネット公開は行わないと発表した[12]。この「南伝大蔵経問題」の一連の経緯は、図書館の「無料原則」「民業圧迫の回避」や著作権問題と合わせて様々な議論を巻き起こした[13]

国立国会図書館は、この件における経緯と対応について、「インターネット提供に対する出版社の申出への対応について」という文書をインターネット上に発表している[14]

日本語訳[編集]

全訳[編集]

  • 『南伝大蔵経』(全65巻70冊) 大蔵出版
    • 『律蔵』(5巻5冊)
    • 『経蔵』(39巻42冊)
    • 『論蔵』(14巻15冊)
    • 『蔵外』(7巻8冊)

部分訳[編集]

経蔵長部[編集]

経蔵長部 全訳

サーマンニャパラ経(沙門果経)

マハーパリニッバーナ経(大般涅槃経)

  • 『ブッダ最後の旅―大パリニッバーナ経』中村元訳 岩波文庫

経蔵中部[編集]

経蔵中部 全訳

  • 『原始仏典 中部経典1-4』(第4-7巻)中村元監修 春秋社
  • 『パーリ仏典 中部(マッジマニカーヤ)』(全6巻)片山一良訳 大蔵出版

マハー(大)ハッティパドーパマ経(象跡喩大経)

  • 『世界の名著〈1〉バラモン教典, 原始仏典 』「象の足跡のたとえ」中央公論社

チューラ(小)マールキヤ経(摩羅迦小経)

  • 『世界の名著〈1〉バラモン教典, 原始仏典 』「毒矢のたとえ」中央公論社

アングリマーラ経(鴦掘摩経)

  • 『世界の名著〈1〉バラモン教典, 原始仏典 』「兇賊の帰依」中央公論社

アッサラーヤナ経(阿摂惒経)

  • 『世界の名著〈1〉バラモン教典, 原始仏典 』「階級の平等」中央公論社

バフダートゥカ経(多界経)

  • 『世界の名著〈1〉バラモン教典, 原始仏典 』「種々の界」中央公論社

経蔵相応部[編集]

経蔵相応部 全訳

  • 『原始仏典II 相応部経典』(全6巻)中村元監修 春秋社
  • 『パーリ仏典 相応部(サンユッタニカーヤ)』(全10巻既刊9巻[15])片山一良訳 大蔵出版

有偈篇 全訳

  • 『ブッダ神々との対話―サンユッタ・ニカーヤ1 』中村元訳 岩波文庫
  • 『ブッダ悪魔との対話――サンユッタ・ニカーヤ2 』中村元訳 岩波文庫

デーヴァター相応(諸天相応)

  • 『世界の名著〈1〉バラモン教典, 原始仏典 』「サミッディの出家」中央公論社

ブラフマ相応(梵天相応)

  • 『世界の名著〈1〉バラモン教典, 原始仏典 』「説法の要請(梵天勧請)」中央公論社

サッチャ相応(諦相応)

  • 『世界の名著〈1〉バラモン教典, 原始仏典 』「はじめての説法(初転法輪)」中央公論社

経蔵増支部[編集]

  • 『原始仏典III 増支部経典』(全8巻)中村元監修 春秋社

経蔵小部[編集]

経蔵小部 全訳

  • 『小部経典』 全10巻、正田大観、Evolving/Kindle 2015年
  • 『小部経典』 全16巻、中村 元 監修・訳、春秋社、2023年から刊行中[16]

ダンマパダ(法句経)

  • 『ブッダの真理のことば・感興のことば』中村元訳 岩波文庫

スッタニパータ(経集)

テーラガーター(長老偈経)

  • 『仏弟子の告白―テーラガーター』中村元訳 岩波文庫

テーリーガーター(長老尼偈経)

  • 『尼僧の告白―テーリーガーター』中村元訳 岩波文庫
  • 『パーリ文『テーリー・ガーター』翻訳語彙典』(植木雅俊法蔵館、2023年)

ジャータカ(本生経)

  • 『ジャータカ全集』(全10巻)中村元監修 春秋社

ミリンダパンハ(弥蘭陀王問経)

ペータヴァットゥ(餓鬼事)

  • 『餓鬼事経 死者たちの物語』藤本晃訳 サンガ

ヴィマーナヴァットゥ(天宮事)

  • 『天宮事経 天界往生の物語』藤本晃訳 サンガ

その他[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 『南伝大蔵経』や、中村元らの翻訳本は、これを底本としている。
  2. ^ 現在、大蔵出版から刊行され続けている片山一良訳の『パーリ仏典』シリーズは、これを底本としている。

出典[編集]

  1. ^ a b パーリ語とは - 世界の主要言語がわかる事典/講談社/コトバンク
  2. ^ 『バウッダ [佛教]』 中村元 講談社学術文庫 p.100
  3. ^ 『バウッダ [佛教]』 中村元 講談社学術文庫 p.101
  4. ^ 山中行雄「東南アジアおよび南アジアにおけるパーリ語文献の写本伝承」印度學佛教學研究 65 (2), 757-756, 2017 NII論文ID 130006314815
  5. ^ 下田 正弘「「正典概念とインド仏教史」を再考する――直線的歴史観からの解放――」印度學佛教學研究 68 (2), 1043-1035, 2020-03-20  NII論文ID 130007899192
  6. ^ 清水俊史「パーリ上座部における正法と書写聖典」、『佛教大学仏教学会紀要 23』pp.19-41, 2018-03-25
  7. ^ ユネスコ「世界の記憶」公式サイト(英語) “Gilgit Manuscrpit”(ギルギット写本) の項。https://www.unesco.org/en/memory-world/gilgit-manuscript
  8. ^ 日本古写経研究所 https://www.icabs.ac.jp/research/koshakyo 閲覧日2023年11月11日
  9. ^ 増一阿含経
  10. ^ パーリ仏典 片山良一訳 - 大蔵出版
  11. ^ 南伝大蔵経とは - ブリタニカ国際大百科事典/コトバンク
  12. ^ 全文表示|著作権切れ書籍データのネット公開停止 出版社側からの抗議に国会図書館が折れる : J-CASTニュース”. 2015年11月9日閲覧。
  13. ^ 湯浅俊彦編著「電子出版と電子図書館の最前線を創り出す」(出版メディアパル、2015)、pp.201-203。
  14. ^ インターネット提供に対する出版社の申出への対応について”. 2018年1月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年11月9日閲覧。 国立国会図書館、2014年1月
  15. ^ ☆ シリーズ最新刊!! ☆パーリ仏典 3-9相応部(サンユッタニカーヤ)大篇Ⅰ”. www.daizoshuppan.jp. 大蔵出版. 2023年6月20日閲覧。
  16. ^ 春秋社 (2023年7月14日). “小部経典 第一巻”. webcache.googleusercontent.com. www.shunjusha.co.jp. 2023年11月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月1日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]