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「覆水盆に返らず」の版間の差分

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'''覆水盆に返らず'''(ふくすいぼんにかえらず)は[[ことわざ]]の一つ。
'''覆水盆に返らず'''(ふくすいぼんにかえらず)は[[ことわざ]]の一つ。下の由来から、「一度[[離婚]]した[[夫婦]]は元に戻ることはできない」、転じて「一度起きてしまったことは二度と元には戻らない」と言う意味。'''覆水収め難し'''、{{読み仮名|'''覆水不返'''|ふくすいふへん}}、'''覆水難収'''、'''覆水不可収'''とも


== 由来 ==
[[呂尚|太公望]]が[[周]]に仕官する前、ある女と結婚したが太公望は仕事もせずに本ばかり読んでいたので離縁された。
[[周]]に仕官する以前のこと、[[呂尚]]はある女と[[結婚]]したが、いつも仕事もせず、呑気に本ばかり読んでいた。それを見た女は呂尚に失望し「この呂尚と一緒にいてもいいことはない」と思い、女は呂尚と離縁した。
太公望が周から[[斉_(春秋)|斉]]に封ぜられ、顕位に上ると女は太公望に復縁を申し出た。
太公望は盆の上に水の入ったを持ってきて、器の水を床にこぼし、「この水を盆の上に戻してみよ。」と言った。
女はやってみたが当然出来なかった。
太公望はそれを見て、「一度こぼれた水は二度と盆の上に戻るい。それと同じように私とお前とのも元に戻るはありえないのだ」と復縁を断った(出典は[[後秦]]の時代に成立した『[[拾遺記]]』による)


その後、呂尚は、[[周]]の王の目に留まって仕えることになった。やがて、呂尚は「太公望」として周から[[斉 (春秋)|斉]]の国に封ぜられ、身分の高い大人物になった。
この話から'''一度起きてしまった事はけっして元に戻す事は出来ない'''と言う意味で'''覆水盆に返らず'''と言うようになった。なお、[[四字熟語]]では'''覆水不返(ふくすいふへん)'''。


そんな呂尚の大出世を知って、昔、呂尚を捨てた女が呂尚の前に再び現れた。そして、女は、「どうか私ともう一度、一緒に暮らしてほしい」と復縁を申し出た。
中国語の「盆」(pen第2声)は日本語の「お盆」ではなく、鉢ボウル状の容器のことである。


そこで、太公望となった呂尚は水の入ったを持ってきて、水を床にこぼし、「この水を盆の上に戻してみよ。」と女に言った。
ちなみにこの話は太公望の数多くの伝説の一つであって、必ずしも史実とは限らない([[前漢]]の人物である[[朱買臣]]について、同様の逸話があるど)。


女はこぼれた水を元に戻そうとやってみたが当然できなかった。太公望・呂尚はそれを見て、「一度こぼれた水は二度と盆の上に戻ることい。それと同じように私とお前との関係昔のようなの関係に戻ることはありえないのだ」と言って、女の復縁の申し出を断った。
同義の別例として"覆水収め難し"、同じ意味を表す英語の諺に "It's no use crying over spilt milk."(こぼしたミルクを嘆いても無駄) がある。

(出典は[[後秦]]の時代に成立した『[[拾遺記]]』によるとされる)

中国語の「盆」({{ピン音|pén}})は日本語の「[[トレイ|お盆]]」ではなく、[[]]・[[ボウル]]状の[[容器]]のことである。

この話は[[太公望]]の数多くの伝説の一つであって、必ずしも史実とは限らない(理由:[[前漢]]の人物である[[朱買臣]]について、同様の逸話がある。太公望が生きていた当時は、まだ書物がほない時代である)。

== 他言語の類義語 ==
英語のことわざに、"It's no use crying over spilt milk."(こぼしたミルクを嘆いても無駄)があるが、これはどちらかと言えば「過ぎたこと悩んでも仕方がない」「くよくよするな」と言った前向きな意味合いになるため、必ずしも同義ではない<ref>{{Cite web|和書|url=https://ejje.weblio.jp/content/it+is+no+use+crying+over+spilt+milk |title=it is no use crying over spilt milkとは 意味・読み方・使い方 |publisher=weblio英和・和英辞典 |accessdate=2023-07-18}}</ref>。

== 脚注 ==
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== 関連用語 ==
*[[不可逆反応]]


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2023年12月2日 (土) 10:38時点における最新版

覆水盆に返らず(ふくすいぼんにかえらず)は、ことわざの一つ。下の由来から、「一度離婚した夫婦は元に戻ることはできない」、転じて「一度起きてしまったことは二度と元には戻らない」と言う意味。覆水収め難し覆水不返ふくすいふへん覆水難収覆水不可収とも。

由来

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に仕官する以前のこと、呂尚はある女と結婚したが、いつも仕事もせず、呑気に本ばかり読んでいた。それを見た女は呂尚に失望し「この呂尚と一緒にいてもいいことはない」と思い、女は呂尚と離縁した。

その後、呂尚は、の王の目に留まって仕えることになった。やがて、呂尚は「太公望」として周からの国に封ぜられ、身分の高い大人物になった。

そんな呂尚の大出世を知って、昔、呂尚を捨てた女が呂尚の前に再び現れた。そして、女は、「どうか私ともう一度、一緒に暮らしてほしい」と復縁を申し出た。

そこで、太公望となった呂尚は水の入った盆を持ってきて、水を床にこぼし、「この水を盆の上に戻してみよ。」と女に言った。

女はこぼれた水を元に戻そうとやってみたが当然できなかった。太公望・呂尚はそれを見て、「一度こぼれた水は二度と盆の上に戻ることはない。それと同じように、私とお前との関係も昔のような元の関係に戻ることはありえないのだ!」と言って、女の復縁の申し出を断った。

(出典は後秦の時代に成立した『拾遺記』によるとされる)

中国語の「盆」(拼音: pén)は日本語の「お盆」ではなく、ボウル状の容器のことである。

この話は太公望の数多くの伝説の一つであって、必ずしも史実とは限らない(理由:前漢の人物である朱買臣について、同様の逸話がある。太公望が生きていた当時は、まだ書物がほとんどない時代である)。

他言語の類義語

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英語のことわざに、"It's no use crying over spilt milk."(こぼしたミルクを嘆いても無駄)があるが、これはどちらかと言えば「過ぎたこと悩んでも仕方がない」「くよくよするな」と言った前向きな意味合いになるため、必ずしも同義ではない[1]

脚注

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  1. ^ it is no use crying over spilt milkとは 意味・読み方・使い方”. weblio英和・和英辞典. 2023年7月18日閲覧。

関連用語

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