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「蕪島」の版間の差分

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'''蕪島'''(かぶしま)は、[[青森県]][[八戸市]][[鮫町]]にある[[島]]である。[[ウミネコ]]繁殖地として、国の[[天然記念物#国の天然記念物|天然記念物]]に指定されている<ref>[https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/401/89 蕪島ウミネコ繁殖地] - 国指定文化財データベース</ref>。また、2013年5月に[[三陸復興国立公園]]に指定されている。


「島」と呼ばれているが、[[内務省 (日本)|内務省]]と[[]]の委託工事として[[1942年]]([[昭和]]17年)に[[大日本帝国海軍|旧海軍]]により2年がかりの埋め立て工事が行われ、本土と陸続きとなった。
'''蕪島'''(かぶしま)は、[[青森県]][[八戸市]]の八戸港内にある[[島]]。[[ウミネコ]]繁殖地として、国の[[天然記念物#国の天然記念物|天然記念物]]に指定されている。


== 概要 ==
== 概要 ==
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「島」と呼ばれているが、内務省省の委託工事として[[1942年]]に[[旧海軍]]により2年がかりの埋め立て工事が行われ、本土と陸続きとなった。
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名称の由来には諸説あ、以下のものが知られている。


* 蕪の花が咲く島。この「蕪」は野生の[[アブラナ]]を指す<ref>『日本地名大百科』、小学館、1996年、p.312 ISBN 4-09-523101-7</ref>。
島の頂上に鎮座する蕪嶋神社は社伝によれば[[永仁]]4年([[1269年]])に厳島神社を勧進したのがはじめとされている。祭神は多紀理毘売命、市寸嶋比売命、多岐都比売命で「蕪嶋の弁天様」として信仰を集めてきた。弁財天は商売繁盛や子授けにご利益があるとされているが、漁業の守り神でもある。ウミネコは漁場を知らせてくれる鳥であり、弁天様の使いとして大切にされてきた。そのため人家の近くでありながら島全体が[[ウミネコ]]の大繁殖地になっていて、毎年2月下旬から4月中旬にかけて飛来し、[[ナタネ]]の咲き乱れる5月ごろ営巣・抱卵、6月に孵化したヒナが7月には巣立ち、8月には島を離れていく。その数約4万羽。日本には10か所ほどウミネコの繁殖地があるが、ウミネコの巣を間近に観察できる唯一の場所であることから、[[1922年]]に天然記念物に指定された。島の頂上には、ウミネコ監視員の常駐所がある。
* 神を祭る場所としての「神嶋(かむしま)」、「神場島(かばしま)」
* [[アイヌ語]]の「カピュー」(ウミネコ等)と「シュマ」(岩場)を合わせたもの<ref>{{Cite news |title=「蕪島」の語源は“アイヌ語”? |newspaper=[[デーリー東北新聞社]] |date=2013-08-17 |author= |url= http://cgi.daily-tohoku.co.jp/cgi-bin/news/2013/08/17/new1308171402.htm|accessdate=2013-09-07}}</ref>


嶋神社付近で、4月第3日曜日に蕪島まつりがある。
地名は'''島'''で、頂上鎮座する神社名は'''嶋'''神社と表記する。

[[画像:Kabushima01.jpg|thumb|300px|right|ふもと駐車場から、頂上の蕪嶋神社を望む(2007年4月撮影)]]
ウミネコは漁場を知らせてくれる鳥であり、弁天様の使いとして大切にされてきた。そのため人家の近くでありながら島全体が[[ウミネコ]]の大繁殖地になっていて、毎年2月下旬から4月中旬にかけて飛来し、[[ナタネ]]の咲き乱れる5月ごろ営巣・抱卵、6月に孵化したヒナが7月には巣立ち、8月には島を離れていく。その数約4万羽。日本には10か所ほどウミネコの繁殖地があるが、ウミネコの巣を間近に観察できる唯一の場所であることから、[[1922年]]に天然記念物に指定された。島の頂上には、ウミネコ監視員の常駐所がある。
[[2011年]]3月11日、[[東北地方太平洋沖地震]]によって引き起こされた[[津波]]で被害を受けた。


== 地形 ==
== 地形 ==
種差海岸の北端にあたる。
[[種差海岸]]の北端にあたる。島のふもとの鳥居から頂上の神社入口まで参道の階段が続いている。
神社の周囲を歩くことができるように通路が作られており、周囲の景色楽しる。
島のふもとの鳥居から、頂上の神社入口まで、階段が続いている。
神社の周囲を歩くができるように通路が作られており、周囲の景色楽しむ事ができる。


* 長さ 300m
* 長さ:300 m
* 幅 140m
* 幅:140 m
* 高さ 19m
* 高さ:19 m
* 周囲 800m
* 周囲:800 m
* 面積 約17,000
* 面積約17,000 m{{sup|2}}
* 岩質 輝緑凝灰岩
* 岩質輝緑凝灰岩


== 名称の由来 ==
== 蕪嶋神社 ==
{{神社
諸説あって、以下のものが知られている。
|名称 = 蕪嶋神社
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|所在地 = [[青森県]][[八戸市]][[鮫町]]字鮫56−2
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'''蕪嶋神社'''は社伝によれば[[永仁]]4年([[1269年]])に江ノ島弁才天を勧進したのがはじまりだという。祭神は[[市寸嶋比売命]]、[[タキリビメ|多紀理毘売命]]、[[タギツヒメ|多岐都比売命]]の宗像三女神で「蕪嶋の弁天様」として信仰を集めてきた。[[弁財天]]は商売繁盛や子授けにご利益があるとされているが、漁業の守り神でもある。[[2015年]][[11月5日]]未明全焼した<ref name="ASHC5249MHC5UBNB002.html">{{Cite news|url=http://www.asahi.com/articles/ASHC5249MHC5UBNB002.html|title=ウミネコ繁殖地の蕪島、蕪嶋神社が全焼 放火の可能性も|newspaper =[[朝日新聞]]|date=2015-11-05|accessdate=2015-11-05}}</ref>。


再建工事は2016年11月に開始された。ウミネコの繁殖期である4月~8月は影響を最小限に抑えるために工事をしなかったため、約5年の歳月がかかり2020年に再建工事が完了した。なお、木材は青森県産のものを中心に使用している。
* 蕪の花が咲く島
* 神を祭る場所としての「神嶋(かむしま)」、「神場島(かばしま)」


境内には[[柳原白蓮]]の[[短歌]]が刻まれたウミネコ供養碑がある<ref name="201407260P018606.html">{{Cite news|url=http://daily-tohoku.co.jp/news/kita_ar/20140727/201407260P018606.html|title=柳原百蓮の短歌が刻まれたウミネコ供養碑を見ようと訪れた家族連れ|newspaper =[[デーリー東北]]|date=2014-07-27|accessdate=2014-07-27}}</ref>。
地名は蕪'''島'''で、神社名は蕪'''嶋'''神社と表記する。

蕪嶋神社付近では、毎年4月の第3日曜日に蕪島まつりがある。

== 八戸小唄の碑 ==
[[File:Hachinohe Kouta Monument.jpg|thumb|250px|[[法師浜桜白]]民謡碑]]
[[八戸市]]が1931年に制作、1932年に発表した[[新民謡]]「[[八戸小唄]]」では「島のうみねこ誰を待つ」などのフレーズで蕪島やウミネコが歌われている。1973年8月<ref>[https://www.plib.pref.aomori.lg.jp/bungakukan/literature-aomori/literary-monument/sanpatitiku/houshi-samemachi.html 法師浜桜白民謡碑 | 青森県近代文学館]</ref>には蕪嶋神社の参道横に、「八戸小唄」の一番の歌詞を刻んだ民謡碑が建立された。作詞を担当した俳人の[[法師浜桜白]]が揮毫し、タイトルと歌詞に続いて「法師浜桜白書」と刻まれている。


== ウミネコの糞 ==
== ウミネコの糞 ==
繁殖期には約3万羽のウミネコが乱舞する為、神社境内にも足の踏み場がないほどになる。
繁殖期には約3万羽のウミネコが乱舞する為、神社境内にも足の踏み場がないほどになる。運が悪いと、空からウミネコの糞(ふん)を浴びてしまうことになる。ふもとには無料貸出のビニール傘が数本設置されているが、ほとんどの場合、破損している。
運が悪いと、空からウミネコの糞(ふん)を浴びてしまう事になる。
ふもとには、無料貸出のビニール傘が数本設置されているが、ほとんどの場合、破損している。


== アクセス ==
== アクセス ==
*JR[[八戸線]][[鮫駅]]下車徒歩
* [[東日本旅客鉄道]](JR東日本)[[八戸線]][[鮫駅]]下車徒歩15分


==外部ンク==
== ギャラ==
<gallery>
*[http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.aspx?id=60416400&slidex=2000&slidey=400 地図閲覧サービス:八戸東部 ・南西] (この図の右上隅に記載されている)
File:Kabushima7.JPG|全景(2012年10月)
File:Kabushima6.JPG|蕪嶋神社(2012年10月)
File:Kabushima2.JPG|多数のウミネコ達(2010年6月)
File:Kabushima3.JPG|歩くのに注意が必要なほどのウミネコ達(2010年6月)
File:Kabushima4.JPG|無数に見える白い点がウミネコ達(2010年6月)
File:Kabushima5.JPG|ウミネコの糞の被害を避けるために傘が置いてある(2010年6月)
</gallery>


== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}

==外部リンク==
{{Commonscat|Kabushima}}
* [http://www.city.hachinohe.aomori.jp/kanko/nature/kabushima/kabushima1.html 蕪島] - 八戸市
* [http://kabushima.com/ 蕪嶋神社]
* [http://kabushimajinja.com/ 蕪嶋神社再建実行委員会]
* [http://hachinohe-kanko.com/ 八戸市観光情報サイト「八戸観光Navi」]
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[[Category:青森県の島|かふしま]]
[[Category:青森県の島|かふしま]]
[[Category:八戸市|かふしま]]
[[Category:かつての島|かふしま]]
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[[Category:八戸市の地理|かふしま]]
[[Category:日本の音風景100選]]

2023年12月13日 (水) 21:39時点における最新版

蕪島
所在地 日本青森県
所在海域 太平洋
座標 北緯40度32分20.66秒 東経141度33分26.95秒 / 北緯40.5390722度 東経141.5574861度 / 40.5390722; 141.5574861
面積 0.017 km²
海岸線長 0.8 km
最高標高 19 m
プロジェクト 地形
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蕪島(かぶしま)は、青森県八戸市鮫町にあるである。ウミネコ繁殖地として、国の天然記念物に指定されている[1]。また、2013年5月に三陸復興国立公園に指定されている。

「島」と呼ばれているが、内務省海軍省の委託工事として1942年昭和17年)に旧海軍により2年がかりの埋め立て工事が行われ、本土と陸続きとなった。

概要[編集]

1922年(大正11年)頃の蕪島
1922年(大正11年)頃の蕪島
現在の蕪島。白く見えるのがウミネコ
現在の蕪島。白く見えるのがウミネコ

名称の由来には諸説あり、以下のものが知られている。

  • 蕪の花が咲く島。この「蕪」は野生のアブラナを指す[2]
  • 神を祭る場所としての「神嶋(かむしま)」、「神場島(かばしま)」
  • アイヌ語の「カピュー」(ウミネコ等)と「シュマ」(岩場)を合わせたもの[3]

地名は蕪で、島の頂上に鎮座する神社名は蕪神社と表記する。

ウミネコは漁場を知らせてくれる鳥であり、弁天様の使いとして大切にされてきた。そのため人家の近くでありながら島全体がウミネコの大繁殖地になっていて、毎年2月下旬から4月中旬にかけて飛来し、ナタネの咲き乱れる5月ごろ営巣・抱卵、6月に孵化したヒナが7月には巣立ち、8月には島を離れていく。その数約4万羽。日本には10か所ほどウミネコの繁殖地があるが、ウミネコの巣を間近に観察できる唯一の場所であることから、1922年に天然記念物に指定された。島の頂上には、ウミネコ監視員の常駐所がある。 2011年3月11日、東北地方太平洋沖地震によって引き起こされた津波で被害を受けた。

地形[編集]

種差海岸の北端にあたる。島のふもとの鳥居から頂上の神社入口まで参道の階段が続いている。 神社の周囲を歩くことができるように通路が作られており、周囲の景色が楽しめる。

  • 長さ:300 m
  • 幅:140 m
  • 高さ:19 m
  • 周囲:800 m
  • 面積:約17,000 m2
  • 岩質:輝緑凝灰岩

蕪嶋神社[編集]

蕪嶋神社
所在地 青森県八戸市鮫町字鮫56−2
主祭神 市杵嶋姫命
宗像三女神
多紀理毘売命
多岐都比売命
創建 永仁4年(1269年
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蕪嶋神社は社伝によれば永仁4年(1269年)に江ノ島弁才天を勧進したのがはじまりだという。祭神は市寸嶋比売命多紀理毘売命多岐都比売命の宗像三女神で「蕪嶋の弁天様」として信仰を集めてきた。弁財天は商売繁盛や子授けにご利益があるとされているが、漁業の守り神でもある。2015年11月5日未明全焼した[4]

再建工事は2016年11月に開始された。ウミネコの繁殖期である4月~8月は影響を最小限に抑えるために工事をしなかったため、約5年の歳月がかかり2020年に再建工事が完了した。なお、木材は青森県産のものを中心に使用している。

境内には柳原白蓮短歌が刻まれたウミネコ供養碑がある[5]

蕪嶋神社付近では、毎年4月の第3日曜日に蕪島まつりがある。

八戸小唄の碑[編集]

法師浜桜白民謡碑

八戸市が1931年に制作、1932年に発表した新民謡八戸小唄」では「島のうみねこ誰を待つ」などのフレーズで蕪島やウミネコが歌われている。1973年8月[6]には蕪嶋神社の参道横に、「八戸小唄」の一番の歌詞を刻んだ民謡碑が建立された。作詞を担当した俳人の法師浜桜白が揮毫し、タイトルと歌詞に続いて「法師浜桜白書」と刻まれている。

ウミネコの糞[編集]

繁殖期には約3万羽のウミネコが乱舞する為、神社境内にも足の踏み場がないほどになる。運が悪いと、空からウミネコの糞(ふん)を浴びてしまうことになる。ふもとには無料貸出のビニール傘が数本設置されているが、ほとんどの場合、破損している。

アクセス[編集]

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

外部リンク[編集]